朝日文庫作品一覧
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-放送作家・藤井青銅氏が、自身の新人時代を描く自伝的小説。先輩ディレクターにしごかれ、アイドルたちと仕事をし、アニメ特番で盛り上がった80年代。「ラジオ放送100年」の今年(2025年)、待望の文庫化。解説 原田ひ香 【著者】藤井青銅(ふじい・せいどう) 1955年、山口県生まれ。「第一回星新一ショートショートコンテスト」に入選。以降、作家兼脚本家・放送作家になり、「夜のドラマハウス」「オールナイトニッポン・スペシャル」「NHKFM青春アドベンチャー」「FMシアター」など、書いたラジオドラマは数百本。オードリー・若林の才能にいち早く注目、ラジオに起用した。 【本文より】 小型の重機がガガガ…と進んでいるのを見て、驚いた。 私は野球場特有のゆるく湾曲した廊下を通って、センター奥のフェンスにある出入り口からグランドに入ったところ。 東京ドームいっぱいに五万三千人もの観客を集めて開催した巨大番組イベントが、いま終わったばかりだ。グランド全体がアリーナ席になっていた。すでに観客が去り、整然と並んだ何千ものパイプ椅子が片付けられつつある中、あちこちで何台かの小型重機が作業を始めていたのだ。 仕事がら、イベントや公開番組が終わった直後の風景は何度も見ている。観客が帰るとすぐに、大道具や照明や音響のステージ設営チーム、収録スタッフたちがものすごい勢いで撤収作業を始めるのだ。さっきまで出演者が立っていた豪華なステージの一部を、バリバリベリベリと音をたてて容赦なく壊し、剥がしていく。 「さあさあ、夢を見せている時間はもう終わりだ」 と言っているようだ。 祭りが終わったあとの名残惜しさと、明日もまた別の夢を作るんだからいつまでも余韻に浸ってるわけにはいかないという職人意識が入り混じったこの光景が、私は嫌いじゃない。 (さすがに巨大な東京ドームだと、それが重機の出番になるのか) と驚いたのだ。 フォークリフトのような重機は数台、グランドのあちこちを動いていた。 センター奥からだとはるか遠くに見える一塁側客席前グランドには、二十人ばかりのヘルメット姿の作業員集団が整列していた。リーダーが号令をかけ、これから人力でなんらかの撤収作業をするようだ。三塁側にもそういう一団がいて、こちらは全員で声を出しながら現場まで駆け足で移動中。まるで軍隊かなにかのようだ。巨大な野球場を使うと、イベントの撤収作業もこういう規模になるのか…という感慨があった。 見上げると一階、二階、三階、さっきまで満員の観客がいた客席はすでにほぼ無人。あちこちでスタッフが動き、片づけをしている。 二〇二四年二月十八日。「オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム」。たかが(とあえて言う)いちラジオ番組のイベントとしては大それた催しだ。分不相応と言ってもいいかもしれない。成功に終わってよかった。 これほどの大きな規模になると、番組作家の一人にすぎない私の役割などたいしたことはない。この日のステージは、出演者、演出陣、作家陣、映像チーム、音楽チーム、舞台チーム、運営陣…、そして当日の観客と、現場には来れなかったが全国でライブ配信を見た人たち(合計で十五万六千人)、さらにそれもできなかったがいつも番組を聞いていたリスナーたち…、が一緒になって作り上げたのだ。 この光景は、今日一日でいきなり出来上がったわけではない。「オードリーのオールナイトニッポン」という番組スタートから十五年という歳月の延長線上にある、一番新しい一日の出来事なのだ。 そして私個人について言えば、四十五年という歳月の延長線上にある一番新しい一日の出来事だ。 その四十五年前は…… 【目次】 プロローグ 1 場違いの日々 黒眼鏡の男にビビる/星新一がくれた縁/夜のドラマハウス/サバイバル制度/ラジオドラマってどうやって書くのか?/はじめてのドラマ脚本/ボツ! 2 振り子の日々 二足のわらじ/ラジオ素人/「あのぅ……、ギャラは?」/憧れの喫茶店/秋の気配/文化放送のテスト/ぎこちない会話/二十四歳だった 3 ドラマの日々 ドラマ作法/通り過ぎる夜に/ヒポクラテスたち/江夏の時間/ドラマ三昧 4 アイドルの日々 松田聖子/「あれ? この声は」/喫茶店めぐり/秘密兵器・三分割ノート/星新一語録/アイドル黄金時代 5 特番の日々 時代の空気/「さあ、何やろうか?」/大きな×/生放送スタート/職人たちと卵たち/憶えておくこと/嫉妬/ヤマト・ガンダム・ナウシカ/深夜の六本木で/マイケル・ジャクソン出世太閤記 6 始まりの終わり 突然の終了/そしてドラマハウスも/節操のない誘いに乗る/ゴミの山・宝の山 エンディング 文庫版のためのエピローグ
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4.41965年、東京五輪が世界中を興奮と歓喜の渦に巻き込む裏では、“クリーンな日本”をアピールするため、徹底的な風紀の取り締まり(浮浪者や、特に娼婦)の排除が行われていた。 そんな折、ある事件が起こる。戸籍上は男性である“女性たち”(ブルーボーイ〈男娼〉)を売春禁止法では取り締まれないので、対抗策として性転換手術を行う医師を見せしめに逮捕したのだ。 裁判では性転換手術の是非が問われ、証人として出廷した“彼女たち”は世間から奇異の目で見られた。 やがてこの裁判は「ある女性の幸せ」を裁く前代未聞の展開を見せる。 実話を基にした映画の小説版。
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4.3****** 訪問看護師が差し出す手は、こんなにも温かくて頼もしい。 ――前川ほまれ(小説家・看護師) ****** 桃井の明るさと不思議な力が利用者の心と謎を解きほぐす! 人気シリーズ「ナースの卯月に視えるもの」でデビューの著者、最新作! 元看護師の著者による、元気になれるあたたかなお仕事小説。 【内容紹介】 訪問看護師2年目、27歳の桃井由乃。ある日、いつものように利用者さんのお宅へ伺うと、部屋にいくつかの穴があいていた。触ってみると実際には穴はあいていない。「……家の怪異だ」。人の心が家に現れ怪異として見える桃井は、外見からは分かりづらい利用者さんの異変に気付き……。 カバー装画=丹地陽子 カバー装丁=bookwall ★医療業界から書店員さんまで、「励まされた」と感動の声、続々★ 「自分の過去や家庭にも向き合い少しずつ進んでいく彼女に大変励まされた」くまざわ書店 調布店・柴崎莉沙さん 「この本を読んで、自分だけでがんばらず、頼ってもいいんだと思えるようになりました」訪問看護師・Uさん 「ストーリーの向かう先に、心温まり元気を貰えました」理学療法士・Tさん 「きっと読んで勇気づけられる人がいる」学校図書館・荒木久美さん 「誰の尊厳も諦めない、温かいことばが溢れていて励まさました」訪問看護師・Iさん 「数々のエピソードが看護師として自分の経験したことばかりで驚きました。自分の大切な人のために訪問看護を頼むことになったら桃井ナースに来てもらいたい」訪問看護師・Kさん
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3.0・・・・・ あの戦争を、多くの父は語らない。重たい経験を誰にも手渡さないまま、死んでいった無数の父たちがいる。(中略) 本書は、昭和の父たちが、のちの世代に向けて残した、かけがえのない遺産である。 ――ノンフィクション作家・梯久美子(解説より) ・・・・・ ------ 【内容紹介】 週刊朝日が終戦から20年で募集した企画に1716編の手記が集まった。 捕虜の敵兵との友情、 戦地で暮らす人々を裏切った経験、 青酸カリを握りしめ生きたいと葛藤したこと――生々しく現実が綴られる。 北はシベリアや千島列島、南は硫黄島やガダルカナル島まで。かつて大日本帝国と呼ばれた戦地で何がおき、私たちの父はどう戦ったのか。 父から子へと託された無名戦士50人の戦争体験記、復刊。 《解説(選書版)大西赤人/(文庫版)梯久美子》 【目次】 一、 東アジア 二、 北太平洋 三、 東南アジア 四、 南太平洋 五、 内地・沖縄 あとがき 選書版解説 大西赤人 文庫版解説 梯久美子 装幀:柳沼博雅(GOAT) イラスト:洞 智子
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4.0「十五歳の手記募ります」 太平洋戦争勃発から50年、朝日新聞の読者投稿欄で女性の戦争体験記の募集が始まり、4千におよぶ手記が集まった。 兄の名誉の戦死を望んでしまった――。 風船爆弾に貼る補修紙の花びら形に癒やされ息抜きをしていた青春、 引き揚げの途中で子を産み埋めた女性、 子供を産めず「非国民」の声におびえたこと、 「名誉の死」に涙を堪えるしかなかった日。 朝日新聞に寄せられた女性たちが伝える戦争の真実、再編集のうえ復刊。 【目次】 一、 敵は日本人だった――戦時体制下の強圧 二、 地獄の劫火を見た――焼夷弾の雨の下で 三、 暗い青春――耐えるしかなかった日々 四、 温かい心――ささやかな自己主張 五、 沖縄で――国内戦を体験した少女たち 六、 別れ――夫・親子・兄弟、そして 七、 被害者そして加害者――国の内と外から あとがき 連載を終えて
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5.0※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 世界的に有名な戯曲を数多く残したシェイクスピア。作品に登場する台詞を紐解いていくと、現代人の心を落ち着かせてくれるメッセージが見えてきます。タキシードサムと一緒に、自分の人生を輝かせてくれる名台詞に出合いにいきましょう!
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3.9時代を象徴する一大経済事件へと発展したライブドア事件。フジテレビとの攻防、村上ファンド、楽天との闘い……。一連の騒動では誰がどう動いていたのか? 舞台裏の人間ドラマを描き切った話題騒然の書き下ろしルポに、事件のその後等、大幅加筆をして文庫化。
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4.0愛情の押し売り地獄から、どうにも逃げられない? 臨床歴50年の第一人者が「母親が変わる」という道筋を探す実践バイブル。文庫化に伴い、新章「『DV加害者プログラム』をとおして加害者について考える」を加筆し、山崎孝明氏による解説を新たに追加した。
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-著者のロングセラーが待望の文庫化。「母の愛」という幻想に傷つけられてきた娘たちが、母娘問題を「解決」することはできるのか。文庫化に伴い、新章「解決方法はあるのか」を加筆し、三宅香帆氏による解説を新たに追加した。
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3.0高齢化する母親、娘としての団塊女性。老いることで娘を引き寄せる母に娘はどう備えればいいのか。母娘問題の第一人者による力作。文庫化に伴い、新章「高齢化する母と娘たち」を加筆し、水上文氏による解説を新たに追加した。
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-80年代、保守的で能天気なハリウッド映画に背を向けた映画作家たちは何を作っていたか?『ブレードランナー』『ターミネーター』など8本の映画を取り上げ、資料と監督自身の言葉を手がかりに、作品が真に意味するものを読み解く。映画評論の金字塔を復刊!
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4.5性奴隷か売春婦か。両者の主張の矛盾を突きつつ、解決への「第三の道」を提案。第27回アジア・太平洋賞特別賞、第15回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞受賞作の文庫化。文庫化に際し、高橋源一郎氏による「記憶の主人になるために」を収録。
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4.0―――――――――――――――――――――― 日米の諜報機関に狙われた男―― 正体不明な勢力、連鎖する謎と危機。 ジャズ×格闘×スパイ×SF! 圧巻の国際謀略活劇、復刊!! ―――――――――――――――――――――― 気鋭のミュージシャン・橘章次郎のもとに舞い込んだ 米国のジャズフェスティバルへの出演依頼。 この突然の大抜擢により、 彼は日米政府をも巻き込む暗闘へと 否応なく巻き込まれていく……。 伝奇×格闘×音楽がセッションする 壮大な国際謀略活劇。初期名作が復刊! 《解説・関口苑生》 ※本書は、2011年刊の朝日文庫『獅子神(バール)の密命』を改題した新装版です。 復刊にあたり、初刊刊行時のタイトルに戻しました。
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4.4異常なほど娘に執着した母親。やがて彼女は薬物依存症に陥った。「いっそ死んでくれ」と願う娘と「産むんじゃなかった」と悔やむ母。母に隠されたコンプレックス、そして依存症家族の未来とは。医師として活躍する著者の知られざる告白。
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4.5作家夫婦は病と死に向き合い、どのように過ごしたのか。残された著者は過去の記憶に苦しみ、その後を生き抜く。大反響を呼んだ朝日新聞連載のエッセイ。文庫化に際し、夫の藤田さんが亡くなってから3年10カ月、現在の心境を加筆。解説は林真理子氏。
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4.0「ガラス」「冷たさ」「音」「清潔」「時間」「光」。この六つの大発明は、その時々で直面する問題に取り組むなかで予想外に生み出された。著名人から知られざる市井の人々までさまざまな発明に光を当てながら、人類進化の歴史をひもとく。
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5.01939年9月1日、英仏と同盟を結ぶ「軍事大国ポーランド」に攻め込んだドイツは、わずか1カ月で掌握。ヒトラーとスターリンの密約により同国を分割併合する。「第二次世界大戦の発火点」とされる戦いの核心に迫る戦記ノンフィクション。