某本紹介インフルエンサーの方の紹介で気になって手に取った本です。
自分の勉強不足で、途中まで読むのが少しキツかったのですが、読み切れたことで、自分の狭い世界が一回り広がったような感覚を覚えています。
キツかった理由、それは自分が日本で生まれ育った生粋の日本人であるからに違いありません。
隣接する国
...続きを読むを奪うこと、奪われること、奪われる痛み、取り返したいという渇望、不可逆な現実への絶望。領土を奪い合う複雑な歴史を紡いできたヨーロッパ諸国のような土地で生きる人々の意識に当然のようにあるナショナリズムの強靭さ。これらの感覚を心の底から理解できる日本人がどれほどいるでしょうか?恥ずかしながら、自分自身、北方領土問題や竹島問題などのニュースも全く危機感なく眺める程度のものです。でも、同じような人は多いのではないかなと思います。
この本ときちんと向き合うために、中ほどまで読み進めた段階で一度読書から離れ、ウクライナ、ハンガリー、ロシア、クリミアの歴史をざっと学びました。これが大正解で、登場人物たちの抱える葛藤や、アサトの手が理不尽に奪われたことに込められた物語的なメッセージを深く理解することが出来たと思います。
序盤で読むのがしんどくなって来た方、軽く歴史の勉強をしてみるのをオススメします。