朝比奈秋のレビュー一覧

  • 植物少女

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    母と娘との静かな会話

    物言えぬ母とのなんとも言えない会話

    この作者だからこそ表現できた作品。

    もっと読んでみたくなる作者ですね。


    ぜひ〜

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    2025年11月26日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医師作家9人によるアンソロジー作品。
    どの作品も50頁程なので、スピード感がある。

    研修医 精神科医 救急医療 現場医療 研究者 認知症等 医療1つとってもジャンルが違い、心理描写の加減に手に汗握ってハラハラしたり、淡々と読み進めたり、一冊で何度も美味しい読み応えのある本でした。

    医師(著者)が実際に経験しているであろうリアリティがそこにある。


    認知症対応を生業としている身としては、何度も見た光景で「あーー大変さの中に、いくつも希望が見いだせるんだよ」「怒ったらダメダメ」と逆の意味でハラハラさせられた。


    現代はサービスが揃っているので、抱え込まず使える手段を利用していくのがお互いの

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    2025年11月05日
  • サンショウウオの四十九日

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    結合双生児の姉妹。胎児内胎児だった父。
    肉体の境目、意識の境目は、はっきりしているようであやふやな時もある。
    精神や意識は、どこにあって、肉体が消失したらどうなってしまうのか。
    考えさせられた。

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    2025年11月01日
  • 私の盲端

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    ドサリ、ドサリ。
    全体的に、温度の低い描写がよい。色々なことが起こるのに、どこか一歩引いた目線というか。
    一度で内容を深く読みきれず、すぐに2回目も読み込んだ。

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    2025年10月29日
  • サンショウウオの四十九日

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    「単生児」という表現や、肉体と意識、自己、陰陽魚など、新しい視点をもたらしてくれた作品。自意識はともかく、周囲の受容のしかたにも当然濃淡があって面白い。

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    2025年10月19日
  • 植物少女

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    ネタバレ

    確信を持って「生きる」ことの定義を示された気がする。特殊な小説ではあるけれど、テーマの核はシンプルでとても力強い。

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    2025年09月18日
  • あなたの燃える左手で

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    ネタバレ

    他人の体と繋がることはどういうことなんだ?
    本文にも出てくる、"他人を意のままに動かすことができるのか?"答えはNo。
    私が司令塔であり、命令を下す側であり、手を従わせなければならない。
    "自分の体"とは、他人を受け入れるということは、自我や受容について、少し医療の倫理的な視点もあって自分と他人の「境界線」についてめちゃくちゃ考えさせられた。

    でもまさか、境界線に対して、国境の話が入ってくるとは思いませんでした。国と国の境目の話が出てくるのがとんでもなく説得力がでて、後半泣きながら必死に読んだ。

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    2025年09月03日
  • 受け手のいない祈り

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    はじめは、あまりに過酷な労働環境に、お医者さんて大変だなあ、たまに行く総合病院のお医者さんも、皆疲れていて、お休みあるのかなあ、なんて思っていたので、同情するような気持ちで読んでいましたが。
    だんだんとみんなが狂ってきて、怖くなってきて、これからどうなるの?と気になって、あっという間に読み切りました。こんなに早く読んだのは久しぶりです。
    確かに、医者が昼も夜も働き続けるドキュメンタリーやドラマって、医者をヒーロー化して、医者は特別な人として捉えていて、こんな働き方おかしい!って思ったこと無かったかもしれません。
    私が年老いた頃には、もう医者が少なすぎて診てもらえなくなるかも、と怖くなります。

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    2025年08月31日
  • 受け手のいない祈り

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    背骨を立てて浴室で死ぬ。光が眩しい 何日寝てないか分からない。過労死とは。絶え間なく搬送される患者に真摯に対峙する医師たち。医者なら当たり前なんだろうか。ニュースで過労死した若い医師を知らせている。小説を超えた臨場感。

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    2025年08月25日
  • 植物少女

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    植物状態の母の横で娘は日々成長していく__
    病室という閉ざされた世界で、2人だけの秘密のような時間が積み重なる。意思疎通が出来なくとも、怒りも愛もぶつけ合うことはできるのかもしれない。
    『お母さんはどんな人だった?』その問いへの答えが心を掴んで離してくれなかった。

    花の盲端は途中リタイヤしそうになったので大丈夫かなと不安に思いつつ、書店で1ページ目を読んで購入。生々しい描写に顔を歪めてしまう所もあったけど、目を逸らしたくないと思った...生きるって綺麗事じゃない。

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    2025年08月15日
  • 受け手のいない祈り

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    想像を絶する、医師達の超暗黒勤務実態を如実に描写していながら、タッチがドライな筆致なのでドロベタしてなく読み易かったです

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    2025年07月17日
  • あなたの燃える左手で

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    ヨーロッパで暮らすアサトは、左手を失ってしまうが、他人の手を移植される。
    自分ではない異物との戦いを、ヨーロッパの人種や国境問題と絡めて描く。

    私たちは、自分を守るため、細胞レベルで、個体レベルで、生まれついた人種として、あるいは国として、他者と戦わなければいけないのか。それとも、受け入れて共存できる道を探さないといけないのか。
    理論や科学、理想を超えた我々に染みついている感情をどう落ち着かせていけるのか。

    傑作。

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    2025年07月05日
  • 受け手のいない祈り

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    行き場のない絶望感が伝わってきました。

    自分がぼろぼろでも、立ち上がり、治療に臨まなければならない状況に、やるせない気持ちになりました。

    読み進めるにつれて、どんどん追い詰められてゆく感覚があり、突然訪れるラストシーンでふと置いていかれるような感覚を抱きました。 

    命を守る人の命も大切にされる世の中でありますように、と願わずにはいられない物語でした。

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    2025年06月24日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    どれも共感する。
    これから医師として働く自らの身に降りかかりうる未来と考え、深くしかしながら一瞬のうちに読破した。

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    2025年06月04日
  • 受け手のいない祈り

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    ネタバレ

    本の帯につられて読んだが、あまりにも重く、苦しく、悲しい。この本を手に取るには相応の覚悟が必要に思うが、それでも、この世のすべての人が一度は読むべき本と感じたし、こういった本を本屋大賞に選出すべきと感じた。

    本作では、救急医療の現場の実態やそこで働く医師の苦悩がリアルに描かれているだけでなく、所謂カスハラ患者や地方医療の姿、対照的な働き方をする皮膚科女医の様子など、多くの医療現場の要素が詰まっている。その中でも、公河の過労に向かう心境や体調の様子がどうにも苦しく、たびたび読み飛ばしたくなる。また、手術や患者の病態の描き方も細かく(この辺はさすがに著者が医師なだけあると感じる)、医者からの見え

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    2025年05月27日
  • あなたの燃える左手で

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    ネタバレ

    日本で生まれ育ったら、感覚的に国境を理解するのは難しい。島国ゆえの呑気さがたしかにあるのかもしれないと気付かされた。
    厳しい言葉でありながら日本人の本質を突くドクトル・ゾルタンの考えは、日本という国と日本人を客観視する目線を与えてくれた。自らのことや身の回りのこととなると思考の偏りがどうしてもあるものだ。
    他者とのコミュニケーションによって思い込みが取り払われることが往々にしてあると思う。それを、一冊を通してゆっくりと浸透させていくように読者に語りかけてくれるので拒絶反応は起きない。
    「移植はな、君らみたいな、切り取ったら終わりの治療とは違うのだよ」ゾルタンのこの台詞には、過去も未来も、国や人

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    2025年05月09日
  • あなたの燃える左手で

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    読み始めは少しきついかな?と思ったけど、読後は、読んでよかった、という感想になりました。
    こんな内容の本に出会ったことがありませんでしたが、一度読んでもらいたい本です

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    2025年03月10日
  • あなたの燃える左手で

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    朝比奈さんの話は2作目。
    面白かったです。心が揺さぶられて私の今年ベスト3入りしそうな予感です。

    まず、フィンランド語の訛りを日本の方言で表しているところ。フィンランド人が「ごめんやでー」と言っているの最高だった。フィンランド語を聞いて日本人である主人公が脳内変換してると面白い。静かに、この物語を緩くさせるような効果があった気がする。

    次に移植のこと。
    自分がいかに移植について深く考えた事がなかったことに気づいた。手は生活する上で大事な場所で、そしてよく目に入る。
    私は車で信号待ちしているときに手荒れや爪の伸びが気になる。人によっては綺麗にネイルして顔の次におめかしする場所かもしれない。

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    2025年02月08日
  • あなたの燃える左手で

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    純文学を読み慣れていないせいか、普段読んでいるような小説に比べると読みづらさはありましたし、深く考えずに淡々と読み進めてしまったところもあるのですが…。それでも読んでいてハッさせられる部分は多くあり、読み終えてみての感想は「読んでよかった」というものでした。
    語られる言葉の全部を汲み取れなくとも、自分の中にはない知識や感情、価値観、経験を、主人公の言葉を通して文字で知ったり、想像したりすることが出来る。そういう面白さを、今回の読書で少し体験できたように感じました。
    また、作品の主軸である手の移植から話が波及し、国や民族、歴史、社会情勢など多くのことに触れていく構成には非常に驚きました。
    頁数は

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    2024年12月28日
  • あなたの燃える左手で

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    ネタバレ

    朝比奈秋、3冊目。作品としては一番荒削りかもしれないが(構成やテーマ、それに対する回答など)、私は本作が一番好きだ。端正にまとまっていない、言語化しきれていない、繋がりきれていない、かもしれないが、それでも私は最も心を動かされた。
    前作2作品は日本での医療を取り扱ったものであり、それはそれで新しい視点を提供されて面白かった。一方で、今回はウクライナ侵攻が起きる中、ウクライナ人を妻にもつハンガリーで働く日本人看護師・アサトを主人公に、誤診により切断された手、その後移植された手を、国境や領土を巡る紛争と同化のプロセスになぞらえると、場所もテーマも大きく転換したというか、拡大した、著者にとっても意欲

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    2024年12月09日