朝比奈秋のレビュー一覧

  • あなたの燃える左手で

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    読み始めは少しきついかな?と思ったけど、読後は、読んでよかった、という感想になりました。
    こんな内容の本に出会ったことがありませんでしたが、一度読んでもらいたい本です

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    2025年03月10日
  • あなたの燃える左手で

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    朝比奈さんの話は2作目。
    面白かったです。心が揺さぶられて私の今年ベスト3入りしそうな予感です。

    まず、フィンランド語の訛りを日本の方言で表しているところ。フィンランド人が「ごめんやでー」と言っているの最高だった。フィンランド語を聞いて日本人である主人公が脳内変換してると面白い。静かに、この物語を緩くさせるような効果があった気がする。

    次に移植のこと。
    自分がいかに移植について深く考えた事がなかったことに気づいた。手は生活する上で大事な場所で、そしてよく目に入る。
    私は車で信号待ちしているときに手荒れや爪の伸びが気になる。人によっては綺麗にネイルして顔の次におめかしする場所かもしれない。

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    2025年02月08日
  • あなたの燃える左手で

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    純文学を読み慣れていないせいか、普段読んでいるような小説に比べると読みづらさはありましたし、深く考えずに淡々と読み進めてしまったところもあるのですが…。それでも読んでいてハッさせられる部分は多くあり、読み終えてみての感想は「読んでよかった」というものでした。
    語られる言葉の全部を汲み取れなくとも、自分の中にはない知識や感情、価値観、経験を、主人公の言葉を通して文字で知ったり、想像したりすることが出来る。そういう面白さを、今回の読書で少し体験できたように感じました。
    また、作品の主軸である手の移植から話が波及し、国や民族、歴史、社会情勢など多くのことに触れていく構成には非常に驚きました。
    頁数は

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    2024年12月28日
  • あなたの燃える左手で

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    ネタバレ

    朝比奈秋、3冊目。作品としては一番荒削りかもしれないが(構成やテーマ、それに対する回答など)、私は本作が一番好きだ。端正にまとまっていない、言語化しきれていない、繋がりきれていない、かもしれないが、それでも私は最も心を動かされた。
    前作2作品は日本での医療を取り扱ったものであり、それはそれで新しい視点を提供されて面白かった。一方で、今回はウクライナ侵攻が起きる中、ウクライナ人を妻にもつハンガリーで働く日本人看護師・アサトを主人公に、誤診により切断された手、その後移植された手を、国境や領土を巡る紛争と同化のプロセスになぞらえると、場所もテーマも大きく転換したというか、拡大した、著者にとっても意欲

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    2024年12月09日
  • あなたの燃える左手で

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    左手の移植をメタファーに、国の併合への苦しみを描いている。国境線のない日本人と常に領土争いに巻き込まれてきた東ヨーロッパの人々の意識の違いを肉体感覚の深い部分で抉ってくる。
    最初の意識が朦朧した状態から、徐々に現状が明らかになるストーリー運びもうまい。妻への電話も埋められない喪失感として左手への幻肢痛とともに描かれてて、なんとも言えないもの悲しさを感じた。
    読後感は良くないが、戦争や自国が奪われることの理不尽な不気味さを肌で感じることができるすごい作品だと思う。

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    2024年11月11日
  • あなたの燃える左手で

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    «左手の移植»に詰まった著者の平和への願い。島国に住む日本人の国民性や、この世界の現状を«左手»を中心に巡り描いた祈願と受け止めた。受け止めるだけで次への有益な行動に移れぬのがもどかしい。純文学はメッセージ性が強いから弱った現在の身にはキツイけれど、今作は150ページを越えた辺りからのめり込んでしまった。ちょっとしたホラー要素はあるものの移植した左手と会話するファンタジーではない。そこは現実的。とても惹き付ける因子を持った作風。気になるなぁ。

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    2024年11月04日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    フィクションなんだけど
    現実にあってもおかしくないくらい
    リアルなストーリーばかり。

    医療は全てが完璧じゃないから
    理想と現実にギャップがありすぎて
    理不尽過ぎることを言われることもあるし
    誰のために頑張ってるのか
    よく分からなくなることもある。

    だけどこの本を読みながら
    自分の捉え方次第かましれないとか
    もう少し頑張ってみようかなぁとか
    前向きに考えられるような気がしました。

    背中を押してくれる本って素敵ですよね。

    医療に関わる人も関わらない人も
    ぜひ読んで欲しい1冊です。

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    2024年08月15日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    最後の短編は感動致しました!素晴らしい。
    題名は、峠を越えてきた命、です。皆さんもぜひお読みになって下さい。

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    2024年07月14日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    現役の医師たちが綴る医療小説ということでどれも手に汗握るような臨場感で溢れていた。
    まだ読んだことのなかった作家の方も含まれていたので、また読みたい本が増えて嬉しい。

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    2024年06月16日
  • サンショウウオの四十九日

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    ネタバレ

    興味深い一冊だった。
    ハッキリと他者から見て結合双生児とわからないことによる杏と瞬の生きていく上での難しさを感じた(私は結合双生児と言えばベトちゃんドクちゃんしか知らなかった)。
    特に瞬と周囲が「瞬」を認知するまでに5年かかったのが辛い。
    とはいえこの作品はあくまでも杏と瞬の日々の生活のお話しであり、また彼女らの死生観について描かれているのかなと思った。彼女たちにとってはこれが「普通」なのだから。

    どうでもいいことだが私のような先天性心疾患の子が生まれる割合は100人に一人。
    誰の隣にも、マイノリティは存在する。

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    2026年03月20日
  • サンショウウオの四十九日

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    ひとつの体を(共有)している主人公を用いて、意識の死と体の死これらに違いはあるのか、私たちの意識はどこからくるのか、思考している。結局のところ意識はどこから生じるのか、答えは書いていないけど、臓器の全てにあって同時にどこにもないものなのかなと思った。最後の文章を読んで、意識も内臓のひとつに過ぎないし、私たちも人類の命の流れの中の一つに過ぎない。それを虚しくは感じず、どこか安心して感じた。

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    2026年03月02日
  • サンショウウオの四十九日

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    ネタバレ

    芥川賞受賞作とのことで手に取りました。事前情報ナシで読んでびっくり。冒頭、「胎児内胎児」だった父親の話に圧倒されながらもなんとなく主人公の女の子ふたりの描写に違和感を感じ…ふたりが「結合双生児」と分かった時の衝撃。はじめは正直その稀有な障害が興味深くて読み進めていましたが、しだいにその特異性は気にならなくなり、自分とはアイデンティティとは何か…と哲学書を読むように夢中になりました。瞬が死にかける終盤は、本来体験不可能なはずの死の感覚を体験したようで、不思議な気持ちに…。これはすごい作品ですね。

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    2026年02月25日
  • サンショウウオの四十九日

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    難しいことが書かれているようでいて、読みやすい文章だった。
    観念的な感じが村田沙耶香さんの『コンビニ人間』を思い出して、そうか芥川賞候補ってこんな感じだよね、みたいな感想を抱いた。

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    2026年02月24日
  • サンショウウオの四十九日

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    芥川賞受賞作品ということで読んだ本。
    結合双生児のお話だが、普段気がつかないことに気づかされたような内容でした。
    夢のシーンが過去の回想シーンがいくつも出てくるが、それをどう読んで理解したらよいのか、そのまま受け取るだけでよいのか、読解力の乏しい私には分からなかったけど、インパクトは大きな本でした。

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    2026年02月15日
  • サンショウウオの四十九日

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    なんともいえない読書体験

    身体(脳含め)は一つだが、2つの意識がある杏と瞬。
    決して二重人格というわけでもなく、2つの意識
    ということである。

    精神医学的な「二重人格(1つの身体に1つの意識が交代で現れる)」との最大の違いは、「意識が同時に存在し、常に隣り合っているか、交代する(入れ替わる)か」という点らしい。

    途中までは、うつ症状に悩む人の脳内はこんなかんじなのかな

    とか思いながらの読書だった。(めちゃくちゃ勝手な感想。)
    もう一方の神経症的な意識が永遠に議論を脳内で続け、もう一方は強制的に眠るしかないような…


    最後はなんだかほんとうに混ざり合いすぎて一読しただけでは理解できなか

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    2026年02月10日
  • 植物少女

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    母親が植物状態になってしまった娘の視点から、母親が亡くなるまでの26年間が描かれた小説です。出産の際に植物状態になってしまったため、主人公は一度も母親と会話したことがありません。
    父親と祖母が知る生前の母親は、主人公にとって知らない人のようです。
    空っぽの母親に主人公は何でも話すことができます。学校の愚痴、父親が別の女性と付き合ってること、祖母と父親が仲が悪いこと…。
    主人公が母親を扱うときの乱暴さが結構衝撃なのですが、生まれたときから植物状態の母親を小学生の子どもが人形のように扱うのはしょうがないよなぁ…。
    本当につらい状況なのですが、つらいという言葉で簡単に表現できないというか、当事者たち

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    2026年02月07日
  • サンショウウオの四十九日

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    【2024年上期(171回)芥川賞】
    一つの身体に宿る二つの意識、意識とは何か?
    伯父の死をきっかけに
    自分たちの存在意義を確かめ合う。
    どこか優しさあふれる作品と。

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    2026年01月30日
  • あなたの燃える左手で

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    ネタバレ

    □ストーリー

    「植物少女」を読んだ後に「なんだこの得も云えぬ読味は!?」という感想を持っていて、それがよかったので本作も読んでみることに。
    その時には言語化できなかった感情の正体だけど、調べていくうちに腑に落ちたものがあったので記載。

    エモーショナルライン(Emotional Line)とは、物語やコンテンツにおける登場人物(キャラクター)の感情の動きや変化を、時系列に沿ってグラフや線で視覚的に表したもので、「感情曲線」とも呼ばれる。

    基本的には負の状態(問題を抱えている状態)から始まるのが読者を惹き込みやすいようで、朝比奈秋作品は生命倫理みたいな問題を取り扱っている性質上、
    感情曲線が

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    2026年01月27日
  • サンショウウオの四十九日

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    第171回芥川賞受賞作です。
    技巧的な部分が高く評価されているようですが、私はそういったところは全然分からず…ですが、とても面白く興味深く読みました。
    胎児内胎児を父親に持つ結合双生児のお話です。頭も身体も一つを共有するという極めて珍しい結合双生児の杏と瞬の姉妹が主人公です。
    意識とは何か、二人で身体を共有するとはどういうことなのか…この辺りの描写がとても面白かったです。一つの身体に意識が二つあるというのは想像もできない不思議な事象に思えるのですが、二人からしてみたら自分の身体を自分だけのものだと考えている私たちこそが、何言ってるの?的に思えるという…。普通とは何かということを考えました。

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    2026年01月24日
  • サンショウウオの四十九日

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    頭がいい人の文章だ!よくわかんない!とバカな感想を持った。でもつまらないわけではなく、特に終盤は一気に読んだ。
    読み終わって寝ようと横になった時、このまま死ぬかもしれないのは双生児も単生児も変わらないなとパッと浮かんだ。作中でも、月が出てなければ父親もドブ川から出れず死んでいたかもしれない。
    生と死、自我と非我、分けているのは薄皮一枚で、結局ぜんぶ危うく曖昧。何が違おうがなんでもそう!と思わせるような本だったなあと思う。

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    2026年01月18日