朝比奈秋のレビュー一覧

  • あなたの燃える左手で

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    朝比奈さんの話は2作目。
    面白かったです。心が揺さぶられて私の今年ベスト3入りしそうな予感です。

    まず、フィンランド語の訛りを日本の方言で表しているところ。フィンランド人が「ごめんやでー」と言っているの最高だった。フィンランド語を聞いて日本人である主人公が脳内変換してると面白い。静かに、この物語を緩くさせるような効果があった気がする。

    次に移植のこと。
    自分がいかに移植について深く考えた事がなかったことに気づいた。手は生活する上で大事な場所で、そしてよく目に入る。
    私は車で信号待ちしているときに手荒れや爪の伸びが気になる。人によっては綺麗にネイルして顔の次におめかしする場所かもしれない。

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    2025年02月08日
  • あなたの燃える左手で

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    純文学を読み慣れていないせいか、普段読んでいるような小説に比べると読みづらさはありましたし、深く考えずに淡々と読み進めてしまったところもあるのですが…。それでも読んでいてハッさせられる部分は多くあり、読み終えてみての感想は「読んでよかった」というものでした。
    語られる言葉の全部を汲み取れなくとも、自分の中にはない知識や感情、価値観、経験を、主人公の言葉を通して文字で知ったり、想像したりすることが出来る。そういう面白さを、今回の読書で少し体験できたように感じました。
    また、作品の主軸である手の移植から話が波及し、国や民族、歴史、社会情勢など多くのことに触れていく構成には非常に驚きました。
    頁数は

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    2024年12月28日
  • あなたの燃える左手で

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    ネタバレ

    朝比奈秋、3冊目。作品としては一番荒削りかもしれないが(構成やテーマ、それに対する回答など)、私は本作が一番好きだ。端正にまとまっていない、言語化しきれていない、繋がりきれていない、かもしれないが、それでも私は最も心を動かされた。
    前作2作品は日本での医療を取り扱ったものであり、それはそれで新しい視点を提供されて面白かった。一方で、今回はウクライナ侵攻が起きる中、ウクライナ人を妻にもつハンガリーで働く日本人看護師・アサトを主人公に、誤診により切断された手、その後移植された手を、国境や領土を巡る紛争と同化のプロセスになぞらえると、場所もテーマも大きく転換したというか、拡大した、著者にとっても意欲

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    2024年12月09日
  • あなたの燃える左手で

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    左手の移植をメタファーに、国の併合への苦しみを描いている。国境線のない日本人と常に領土争いに巻き込まれてきた東ヨーロッパの人々の意識の違いを肉体感覚の深い部分で抉ってくる。
    最初の意識が朦朧した状態から、徐々に現状が明らかになるストーリー運びもうまい。妻への電話も埋められない喪失感として左手への幻肢痛とともに描かれてて、なんとも言えないもの悲しさを感じた。
    読後感は良くないが、戦争や自国が奪われることの理不尽な不気味さを肌で感じることができるすごい作品だと思う。

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    2024年11月11日
  • あなたの燃える左手で

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    «左手の移植»に詰まった著者の平和への願い。島国に住む日本人の国民性や、この世界の現状を«左手»を中心に巡り描いた祈願と受け止めた。受け止めるだけで次への有益な行動に移れぬのがもどかしい。純文学はメッセージ性が強いから弱った現在の身にはキツイけれど、今作は150ページを越えた辺りからのめり込んでしまった。ちょっとしたホラー要素はあるものの移植した左手と会話するファンタジーではない。そこは現実的。とても惹き付ける因子を持った作風。気になるなぁ。

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    2024年11月04日
  • あなたの燃える左手で

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    ネタバレ

    読んでいる最中から、やばいやばいやばい、と焦燥感が湧きあがった。

    「わたしは今、とんでもない本を読んでいる!」


    この小説は、喪失と受容の物語だ。

    主人公アサト(日本人)は、左手を失い、脳死した人の左手を移植される。

    「喪失」も「受容」も、比喩や仮託ではなく、そのものずばり、アサトの失われた左手を示す。それを諦める過程、新しい左手を得たものの、それは激しい拒絶反応を起こす。
    そしてこの「左手」は、ウクライナ・ハンガリー・ロシアの「国境線」ときっちり重ね合わせて描かれている。

    アサトが最初に失った左手は、80年代・ウクライナが強硬に併呑したハンガリー領土だったクリミアだ。ひじょうに理不

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    2024年09月25日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    フィクションなんだけど
    現実にあってもおかしくないくらい
    リアルなストーリーばかり。

    医療は全てが完璧じゃないから
    理想と現実にギャップがありすぎて
    理不尽過ぎることを言われることもあるし
    誰のために頑張ってるのか
    よく分からなくなることもある。

    だけどこの本を読みながら
    自分の捉え方次第かましれないとか
    もう少し頑張ってみようかなぁとか
    前向きに考えられるような気がしました。

    背中を押してくれる本って素敵ですよね。

    医療に関わる人も関わらない人も
    ぜひ読んで欲しい1冊です。

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    2024年08月15日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    最後の短編は感動致しました!素晴らしい。
    題名は、峠を越えてきた命、です。皆さんもぜひお読みになって下さい。

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    2024年07月14日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    現役の医師たちが綴る医療小説ということでどれも手に汗握るような臨場感で溢れていた。
    まだ読んだことのなかった作家の方も含まれていたので、また読みたい本が増えて嬉しい。

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    2024年06月16日
  • あなたの燃える左手で

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    表題からは想像できない他人の手を移植する物語で、東部ヨーロッパの複雑な背景もあり、奇妙な読後感を得た.アサトは左腕に浮腫ができ、悪性と診断され切断を余儀なくされた.その後、白人の手を移植することになり物語が急展開する.ドイツ語、ハンガリー語、ウクライナ語、ロシア語が飛び交う場面を想定した話があり、多くの人が交錯するので、前後関係を確認するため、何度も戻りながら読んだ.ハンナとのやりとり、移植医のゾルタンとの会話、手術後に現れる夢の数々、幻肢痛への対処、同僚との会話などなど、ばらばらに出現する事項が何故か一点に収束する感じを得たのは不思議だった.ただ、ウクライナのクリミヤ半島のドライブは、複雑な

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    2025年12月18日
  • 私の盲端

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    林芙美子文学賞受賞作がどんな作品なのか気になったので手に取った本。なので併録の「塩の道」を先に読んでから「私の盲端」を読みました。結果的にこの順で読んで良かったと思うのは、「私の盲端」のインパクトが強すぎたからです。

    「私の盲端」
    オスメイト(人工肛門)をつけることになった女子大生の物語。オスメイトの男にナンパされるところから物語は始まるのですが恋愛物語には一切発展せず、ひたすら大便の話が展開されていきます。確かに、健常な生活を送っていた人間が、突然オスメイト生活になれば、頭のなかを占めるのは便のことでしょう。オスメイトになった衝撃、便の処理、オスメイトとして社会に復帰する日のこと等がリアル

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    2025年12月13日
  • あなたの燃える左手で

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    戦争、国境、人種の違いを移植という形で対比して描いたのは、医師ならではの目線だと思う。
    ある日移植した他人の手に、自分の血が流れて、だんだんと同化していく。境界線が、吻合部があいまいになっていく。
    ヨーロッパの動脈であるドナウ川は何ヶ国も通過し、ハンガリーからウクライナへ。周りと同化することが自然なことなのか、違ったままで生き続けるのか。はるか昔から川は巡るけれども、今日も戦争は終わらない。

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    2025年12月12日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    9人の医師作家アンソロジー。どれも読みごたえがあった。特に南杏子の「空中テント」介護と家族がテーマで重いけどよかった。

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    2025年12月08日
  • サンショウウオの四十九日

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    作者が医師というだけあって、不思議と違和感なく読めた。主人公ふたりの思考が入り交じる場面は、やや混乱したけど慣れると興味深く読めた。終盤は思いの外平坦な閉じ方で、少し物足りないかも。

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    2025年12月06日
  • サンショウウオの四十九日

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    第171回芥川賞受賞作。

    インパクトのある設定だったが、父親と伯父の設定にも驚く。
    想像していたモノとは異なり、物語自体は淡々と進む。
    私とわたし、主語が入れ替わるごとに姉妹の思考が入れ替わる。
    2人の過去の出来事や記憶が思い起こされ、両親は当たり前のように2人を感じ取り、1人がもし亡くなったらどうなるのか……
    何となく姉妹の片方は伯父に似、もう片方は父に似ている気も。
    意識はすべての臓器から独立しているのかどうかなど、哲学的要素もあり、ただラストは物足りないような、これでいいような、不思議な読後感。

    最初のインパクトが大きすぎて、朝比奈秋作品なら、他のものの方が、とも思う。

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    2025年12月06日
  • サンショウウオの四十九日

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    第171回(2024年)芥川賞受賞作品。朝比奈秋は史上6人目、男性作家としては初となる純文学新人賞三冠(芥川龍之介賞・野間文芸新人賞『あなたの燃える左手で』・三島由紀夫賞『植物少女』)を達成した。現役、消化器内科医師として働きながら二刀流で執筆。

    (帯より)伯父が亡くなった。誕生後の身体の成長が遅く心配された伯父。その身体の中にはもう一人の胎児が育っていた。それが自分たち姉妹の父。体格も性格も正反対の二人だったが、お互いに心を通わせながら生きてきた。その片方が亡くなったという。そこで姉妹は考えた。自分たちの片方が死んだら、もう一方はどうなるのだろう。なにしろ、自分たちは同じ身体を生きている

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    2025年12月05日
  • 受け手のいない祈り

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    この作品はフィクションだけれども完全なフィクションではないんだろうな。
    ただただ過酷な医師の日常を綴っている。
    重く暗く苦しい長い長いドキュメンタリーを観ているような感覚。
    自分なんかがコメントするのも厚かましいが、情景・気持ちが良く分かる。

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    2025年12月04日
  • 植物少女

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    「わたしにとって、母は会いに行く人物だった。」

    著者の朝比奈さんは現役の医者。
    家族を除けば、
    植物状態になってしまった人物を、
    長期間にわたって見つめることができる、
    唯一といってもいい立場。

    そこから見た、家族模様。

    娘の成長。
    父の逡巡。
    母の生と死。

    他家族との対比。

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    2025年11月28日
  • サンショウウオの四十九日

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    体はひとつ、だが心はふたつ、という結合双生児の姉妹のお話(?)。

    芥川賞受賞作。

    それまでの人生と家族との関係、生と意識と死、そしてこれから。

    自身の内と外との関係など、混乱してしまいそうにもなったが、なかなかに深く考えさせられた。

    胎児内胎児という父親と伯父の関係性、
    心と身体の持ち主、死生観などなど。

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    2025年11月27日
  • サンショウウオの四十九日

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    不思議な気分になる作品。
    一つの体に二つの生命。
    想像できない世界に戸惑いながらどうにかこうにか読み終えた

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    2025年11月26日