朝比奈秋のレビュー一覧

  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    とても読みやすい短編集だった

    魚類譚 ちょっと異彩を感じた
    闇の論文 過去に宗教が人々を救ったように、ガン代は医療が人々を救っている

    空中テント 認知症の恐ろしさを知る

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    2025年01月18日
  • あなたの燃える左手で

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    作品としては素晴らしいのかと。
    短い中に色々な要素が含まれ、文字数少ない割にヘビーな印象。
    ただ、戦争と、切り離された手と、その再生手術後のメンタル面や本人、医師描写がグロすぎて少し苦手。
    視点とコロコロ変わる主語に翻弄され、またハンガリーやウクライナが舞台なのに、会話が大阪弁風や、京都弁風と個性的…
    ハンガリーの医学界に日本他、外国資本が流れるよう授業料があまり高くないような話を聞いたことがある。作者が関係者なのか?ウクライナの侵略に胸を痛めて舞台にしたのか?なぜ東欧なのか?そこら辺を知りたいと思った。

    ゾルタンは紙っぺらを一枚差し出した。病理検査結果と書かれた紙の中程に、切断された左手の写真、その横には病理結果:線維性骨異形成と載っていた。
    端的にいうとね、肉腫ではなかったのだよ。ただの良性の骨の異常でね、手を切断する必要などなかった。… p.56

    つまりは、この移植は失敗かもしれなかった。思えば、常に自我を押しだすことによって保たれる国境線、それを持たない人種にこの移植の適応があるとは到底思えなかった。他人の手が繋がるという意味すら、DNAや民族的な肌で理解できなかったのだ。p.146

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    2024年12月14日
  • あなたの燃える左手で

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    他人の手を移植した人の葛藤の話。

    文章に熱が籠もっているようで、読んでいると沸々と伝わってくるものがあった。移植した手と自分の腕の境界の関係を、自国と他国の境界に例えるのが面白かった。

    現実と妄想がごっちゃになりよくわからなくなる。

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    2024年12月13日
  • 私の盲端

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    ネタバレ

    大学生時代、芥川賞を読破して時代の変遷を感じたいと思っていたことがあった。全集を端から読み始め早々にリタイアしてしまったのだが、今でも芥川賞受賞の文字には心惹かれるものがある。冒頭から引き込まれ、騒々しいくらいに頭の中を掻き乱される作品。

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    2024年11月26日
  • あなたの燃える左手で

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    この本はかなり描写が大人だった。難しくてあんまり覚えてない。
    自分の体が自分のものでは無いような感覚になるのは当たり前だし、医療技術が発展すれば近い将来でも有り得るようになるのかなと思う。

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    2024年11月22日
  • あなたの燃える左手で

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    ネタバレ

    正直言って内容の3分の1ほどしか理解できていないと思う。

    そもそも他人の手をそんな簡単に移植できるのもなのだろうか。
    それも赤の他人で国すら違う人間のものを。
    途中拒絶反応的なものが起きる場面があったが、
    あくまでも精神的なものの影響というか、
    自分の中での葛藤がありそこに打ち勝つことと
    現実を直視することができるようになったことで収まったのか、
    妻の死も自分の腕についても受け入れて生きていく。
    …という解釈でいいのだろうか。
    「日本人は寛容なようで実はとても閉鎖的」というのは
    自分自身納得してしまい思わずフッと声がでてしまった。
    ここだけは深く同意。

    腕を移植されたことと国境のことや内戦のことがごっちゃになっていて
    これが理解できないというのはやはり私が島国育ち、
    しかも平和な日本人だということが関係しているんだろうなと思った。

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    2024年11月16日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医療従事者でありながら小説も書く、凄い方々の短編集。どの話も知識と経験をもとに書かれているので、現実感アリアリ。「魚類譚」、「パイナップルがある光景」、「闇の論文」、「空中テント」が面白かった。

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    2024年10月14日
  • サンショウウオの四十九日

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    ネタバレ

     こちらも読みやすい芥川賞。
     最初に興味を持ったのは本作のほうだった。

     結合双生児という、我々の世代は手塚治虫の「ブラックジャック」で描かれた世界を想像する。ツカミはOKというところか。

     最初は、父親と伯父の関係から語られる。彼らも「胎児内胎児」という珍しい関係でこの世に産み落とされた。しばらく、その話が語られ、本作の主人公のふたり、杏と瞬が結合双生児という種明かしは、少し経ってから。知らずに読んでいたら、その場面で、はっ、と息をのんだことだろう。
     あまり事前情報を入れて読むのものではないなと、残念な気がした。

     杏と瞬のふたりの、それぞれの一人語り、一人称で物語は語られる。
    杏が語っているときは「私」、瞬は「わたし」と書き分けがされていることに気づくと、どこが杏で、どこから瞬なのか、その切り替わりを楽しみに読んだ。

     物語は、身体のほぼ真ん中でぴたりとくっついた結合性双生児の故の、生きづらさ、身体的な不都合、そしてやがて迎えるふたりの分離手術といった外的な話になるのかと思ったら、むしろ、意識や感情、記憶といった内面の問題へと深化していく点は興味深かった。
     その宗教的、哲学的とも言える思索が、やがて他人と自分との関係や、自己の特異性の問題へと発展していく。

     主に、杏がその思索を深めていくようだが、自分だけの体ではないものを持つ結合性双生児だからこそ持ちえた、結局のところ自分だけの意識、自分だけの感情、自分だけの記憶は、誰も持ちえないのではないか、誰もが、それが結合性双生児ではない普通の人間であっても、

    「いろんなものを共有しあっていて、独占できるものなどひとつもない」

     と気づくクダリが本作のハイポイントだったろうか。

     そして最終章、「私」と「わたし」の書き分けが混乱してくる。
     最初は、あれ? ここ書き間違ってないか?と思ったが、ちがった。杏と瞬の意識が、混同していく。というか、一体化を強めていくのであった。

     そうして、これは杏、瞬のどちらかの死、肉体的な死ではなく、意識の死を迎えるのかと身構えて、ラストを迎えることになるが・・・。

     なかなか読み応えがあった。

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    2026年08月24日
  • 私の盲端

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    人工肛門になるって人生ひっくり返る程の衝撃的な出来事だと思うんだけれど、現実に自分の身に起こると、意外と冷静に受け止めるものなんだろうか(で、砂に水が染みるようにじわじわショックがやってくるのかな)
    著者の方は現役のお医者さんで、人工肛門とか排泄の描写は凄くリアルで、読みながら自分がこうなったら、うーん、と唸ってしまった。
    主人公の心情がリアルなのかは、人それぞれに思うところが違うだろうからわからない。ただ、達観したようで実は静かに傷ついて行く様子は読んでいてしんどかった。
    そもそも人工肛門についての知識がほとんど無かったことに気づいて色々検索してしまった。

    もう一作の塩の道は賞をとったそうなのだけど、あまり好みでは無かった。人生に惓んだ人は多分田舎に行ったらいかんのだと思う。物と情報に溢れて人間関係希薄な都会にいた方が、色々とメンタルに優しい気がする…。

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    2024年08月09日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    流石全員医師だけあって、医療現場の描写は迫力あるし、過労死ライン超過等の働き過ぎ問題や様々な課題が浮き彫りにされているが、小説としての上手さや完成度は、やはり久坂部氏以外は然程でもない。南杏子氏は出版社勤務から医師になった変わり種らしく、文章のセンスはなかなかだった。

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    2024年06月19日