朝比奈秋のレビュー一覧

  • 受け手のいない祈り

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    芥川賞作家。激務のために肉体も精神も病んでしまう若い医師の話。

    周りはなぜ気が付かないのだろうか。人手不足の職場だと、誰もが自分のことで手一杯になってしまうのか。

    誰の健康も害することなく回っていく仕組みが作れたら良いのに。

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    2025年04月19日
  • 受け手のいない祈り

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    総合病院で医師として働く公河は、別の医院で産科医だった同期が過労死したことを知る。
    公河もまた、昨日と今日の境目がわからないくらいに働き続けていた。
    近隣の病院が夜間救急から撤退し、公河の病院が最後の望みであるためか、徹夜での治療や手術が寝る間もなく延々と続いていく。

    外科手術の様子が仔細にある場面や睡眠がとれなくて麻痺している状態がこれでもか…と。
    あまりにも過酷すぎる救命の現場に人の命よりも自分の命は考えられないのか、とさえ思ってしまう。
    ここまでくると限界を通り越して、考えることすら停止してしまう怖さを感じた。
    医師としての経験があるからこそ、すべてがリアルに思えて余計に衝撃の度合いが

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    2025年04月14日
  • あなたの燃える左手で

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    読書備忘録899号。
    ★★★★。

    芥川賞作家朝比奈さんの2023年作品。
    サンショウウオ・・・は見かけ上1人の人間でありながら結合双生児という特殊な状況における心の物語でした。
    正直、どのように捉えて良いのか難しい作品という印象でした。

    この作品はサンショウウオに比べるとテーマが分かりやすい。
    ①国境を巡る紛争。侵略行為。一方、国境に縛られない民族という括り。
    ②生体移植。失われた人体機能を取り戻すために行われる生体移植。他人の一部を移植する。

    国境という境目。生体移植の境目。この2つは実は同じなんだという物語。
    そして、領土侵略、生体移植が成功するかどうかは境目を跨る相互意思に掛かって

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    2025年03月07日
  • あなたの燃える左手で

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    とても重たい話だった。自分の五体満足な体を当たり前と思わずもっと大切にしたいと思った。セカンドオピニオンも大事。

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    2025年02月27日
  • 私の盲端

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    生々しくて重たいのだけへど、そりゃそうだ、命なんだから。
    自分の身体の内臓までに思いを馳せて、そして身体の摂理が時々鬱陶しかったのに、今では感謝している。

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    2025年02月10日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医師でありながら小説家でもある9人の短編小説が詰まった作品でした。あんなに忙しそうなのに、いつ小説書いてるんだろうって不思議に思う凄い方々。

    医師であるからこそのリアルな感じが伝わってきて、とても面白かったです。

    特に空中テントは、認知症の家族を介護したことある人なら誰しも共感出来る部分がたくさんあると思いました。施設の入所は、家族を見捨てることではなく、プロがみてくれる安全な場所にいれるという考えが広がったらいいな。
    私も主人公のお母さんにとても同情しました。介護する人は、自由が奪われて当然なのか、当事者じゃない人達から見捨ててるなんて文句言われる筋合いはほんとにない。文句を言うなら1週

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    2025年02月02日
  • あなたの燃える左手で

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    朝比奈秋さんの初読になります。
    もしも自分の左手が他人の左手に移植することになったら。
    舞台はハンガリーの病院での移植。

    アサトは日本人、移植の手はヨーロッパ人の左手。手の肌の色が違うし、皮膚にあるうっすら生えているうぶ毛はブロンズ。そして右手と左手を見比べると指の長さ、掌の厚みなど部分的に大きさが違う。それだけでも気味悪くなるのに、そんな手術が誤診移植だったようでクラクラしてきます。

    今度は移植後の幻肢もなかなか経験出来ない貴重なものでした。馴染んできたり、拒絶反応が出てきたりの繰り返し。
    幻肢痛に、もがき続けるアサトの悩みが、経験者じゃないと描けないだろうと思い、ネットで朝比奈秋さんの

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    2025年01月07日
  • あなたの燃える左手で

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    ネタバレ

    今まで読んだことがないような作品で、楽しめました。(文章は少し苦手でしたが)
    日本の国境意識と、外国の国境意識。
    日本で生まれ育っているからか、あまり考えたことがなかった話を、左手の移植に準えて考えされられるとは。
    今でも色々な場所で国境に肖っていたり、苦しめられていたりすることを知りました。
    外国語の訛りを日本訛りで表現しているのにも驚きました。

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    2024年12月30日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    明けのカルテ 医師作家アンソロジーを読みました。
    9人の医師作家の短編集です。
    どれも結構面白かったです。
    空中テントでは、テントを張るために実家に帰った主人公が父親の認知症と直面します。
    50年前に話題となった有吉佐和子『恍惚の人』を思い出します。
    私の祖父も私が子供の頃認知症で大変でした。
    昔は介護施設も無かったですから大変でした。
    峠を超えてきた命では天城峠を超えて早産しそうな患者を迎え入れるチームの話で、出てきた地名が河津七滝ループとか、天城峠、伊豆の踊子像とか、懐かしく思いながら読みました。
    ドラマになって欲しい短編集です。

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    2024年12月24日
  • あなたの燃える左手で

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    ハンガリーの外科医によって、左手を失った日本人患者に他人の手を移植手術する場面を軸に展開される話。

    他人の手の移植にあたり、日本人は終始微笑して受け入れているように見えるが、徐々に本人にも耐え難い術後拒否反応が繰り返されることになる。
    その反応を比喩として、ハンガリーの外科医は、日本人は健やかに笑っていているように見えても、何も(外国人を)受け入れない国民性に結びつける。
    さらに、移植した手と本人の腕の境目を国境に見立て、日本人は四方に他国との国境があるヨーロッパとは異なり、似た者だけで排他的に暮らしながらも、自分たちは心優しい人種と思い込んでいる無知で幼稚な国民との印象を受ける。(移植した

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    2024年12月08日
  • 私の盲端

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    「私の盲端」…人工肛門つけたらこうなる、というマニュアルになりそうな内容。そして人の気持ちの揺れが淡々とつづられ、だからこそ直球で入ってくる

    「塩の道」…東北の濃厚な訛りを文字起こししたらこうなるのか、文字起こしできるんだ、とそこが面白かった。見取り病院、治療など必要としない人々を前に虚しさすら感じなくなることはある意味、楽なのか。田舎の日常が描かれている

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    2024年11月23日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医師でありながら作家でもある方々の医療小説9編。

    私の知っている作家さん以外にこんなに多くの医師作家さんがいることに驚きました。どれも医師であるだけに小説の内容は臨場感が溢れていて迫力がありました。

    中山祐次郎さんの『救いたくない命』は救急で運ばれてきた患者が犠牲者15人以上を出した通り魔事件の犯人と知り、葛藤をしながらも必死に命を救う姿に京アニ事件を思い出しました。

    南杏子さんの『空中テント』は家族の介護の経験がある人は共感出来るはず。

    どれも本当に良い作品ばかり。若手医師の過酷な労働時間、医療ミスの隠蔽、不都合な論文を闇に葬る等、医療小説が好きな人なら興味のある内容ばかり。でも朝比

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    2024年10月31日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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     書くことで、解放される思いがある。

     新たなジャンルが始まることへの期待を込めた夜明けでもある一方で、書かないと解放できない思いが溜まってきているのも事実であると思う。

     

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    2024年10月26日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    9人の作家(医師)による9篇の物語
    それぞれの作家自らの経験なのかはわからない
    ただ、それぞれの作家の医療への思いが短い作品の中に散りばめられていると感じた

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    2024年09月18日
  • 私の盲端

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    重たいけど重たいだけで片付けてはいけないような気がする。

    想像以上に知らないことが多くて
    この世界観に圧倒されてしまった。

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    2024年09月14日
  • あなたの燃える左手で

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    すごい作品だと思いました。
    楽しいかと言われると、楽しくはないけどすごい。
    硬質で、ドライで、知的。遠藤周作とか、大江健三郎と似たものを感じました。それってものすごい。雰囲気に圧倒されて、ストーリーがどうこう言いたくならない。
    これと『受け手のいない祈り』を読んだら結構違っていた。『受け手のいない祈り』は本作に比べると感情的に思える。作品によって色々変えているのかもしれない(共通しているのはやっぱり医療関係というのと、グロいというかナンセンスというか、ちょっと胸が悪くなるような気持ち悪いシーンが入れてくるということ…)。
    デビュー作と芥川賞受賞作も気になる。

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    2024年09月12日
  • 私の盲端

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    ネタバレ

    苦しい。苦しすぎる。

    大学生で人工肛門と共に生きる葛藤。

    半年だけと思って希望を持っていたのに
    いざ蓋を開けてみたら
    永久的に人工肛門になってしまった絶望。

    人工肛門って外見の変化があるから
    本人の受入れとか周囲の理解とか
    私が出会ってきた医療現場の葛藤の中で
    上位を争うくらい難しい課題。

    少し前に比べたら
    オスメイト対応トイレが増えてきて
    世間の認知も上がってきたかもしれないけど
    偏見とか誤解はすぐに変わらないから
    当事者からしたらまだまだ大問題。

    それに
    事前に人工肛門になると説明されて
    受け入れいても
    いざ目の当たりにするとショックを受ける。

    それなのに涼子は
    バイト中に倒れ

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    2024年09月09日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    9人の現役医師による医療小説アンソロジー。
    医師作家でしか表現できないと思われる臨場感あふれる詳細な描写、ヒューマンでミステリアスなストーリーが魅力の作品集だ。
    1〈研修医ヒナノの洞察〉
    上司からパワハラを受けている研修医が患者の膠原病を見つけ上司を見返す痛快な話
    2〈魚類譚〉
    封建的で理不尽な医大の内部構造、詳細な手術シーンにミステリーとホラーの要素を取り入れた作品
    3〈パイナップルのある光景〉
    同じような引きこもり系の精神疾患でも、一方は入院治療、一方は家族による対処という示唆をする精神科医。専門的な見解が押し付けなく、ふわっと伝わってくる秀作
    4〈救いたくない命〉
    救急外来に運び込まれて

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    2024年09月04日
  • 私の盲端

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    「植物少女」から「あなたの燃える左手で」を通り 「サンショウウオの四十九日」を読んで、ここまで辿り着いた。朝比奈秋から 逃がれることができない。すっかり どハマり中!ざらりとした手触り感が なんとも言えない読後感で クセになる(個人の見解ですが笑)
    人工肛門と共に生きることの戸惑いと衝撃もそうだけど ヒトもまた 生々しい生物なんだなと 認識させられた。「塩の道」は読み始めは 方言についていけなくて(笑)半分過ぎたあたりから するすると わかってきた。それぞれの看取りは それぞれで 正解も不正解もない。

    再読したら また 別の思いがでてきそう!

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    2024年08月17日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医師が描く小説はリアリティがあります。専門的な用語も飛び交うがそれもまた面白い。本短編集はよく知った医師作家が多かったので、新たな面も見れて楽しめました!

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    2024年08月07日