朝比奈秋のレビュー一覧

  • サンショウウオの四十九日

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    ネタバレ

    芥川賞受賞作とのことで手に取りました。事前情報ナシで読んでびっくり。冒頭、「胎児内胎児」だった父親の話に圧倒されながらもなんとなく主人公の女の子ふたりの描写に違和感を感じ…ふたりが「結合双生児」と分かった時の衝撃。はじめは正直その稀有な障害が興味深くて読み進めていましたが、しだいにその特異性は気にならなくなり、自分とはアイデンティティとは何か…と哲学書を読むように夢中になりました。瞬が死にかける終盤は、本来体験不可能なはずの死の感覚を体験したようで、不思議な気持ちに…。これはすごい作品ですね。

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    2026年02月25日
  • サンショウウオの四十九日

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    難しいことが書かれているようでいて、読みやすい文章だった。
    観念的な感じが村田沙耶香さんの『コンビニ人間』を思い出して、そうか芥川賞候補ってこんな感じだよね、みたいな感想を抱いた。

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    2026年02月24日
  • サンショウウオの四十九日

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    芥川賞受賞作品ということで読んだ本。
    結合双生児のお話だが、普段気がつかないことに気づかされたような内容でした。
    夢のシーンが過去の回想シーンがいくつも出てくるが、それをどう読んで理解したらよいのか、そのまま受け取るだけでよいのか、読解力の乏しい私には分からなかったけど、インパクトは大きな本でした。

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    2026年02月15日
  • サンショウウオの四十九日

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    なんともいえない読書体験

    身体(脳含め)は一つだが、2つの意識がある杏と瞬。
    決して二重人格というわけでもなく、2つの意識
    ということである。

    精神医学的な「二重人格(1つの身体に1つの意識が交代で現れる)」との最大の違いは、「意識が同時に存在し、常に隣り合っているか、交代する(入れ替わる)か」という点らしい。

    途中までは、うつ症状に悩む人の脳内はこんなかんじなのかな

    とか思いながらの読書だった。(めちゃくちゃ勝手な感想。)
    もう一方の神経症的な意識が永遠に議論を脳内で続け、もう一方は強制的に眠るしかないような…


    最後はなんだかほんとうに混ざり合いすぎて一読しただけでは理解できなか

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    2026年02月10日
  • 植物少女

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    母親が植物状態になってしまった娘の視点から、母親が亡くなるまでの26年間が描かれた小説です。出産の際に植物状態になってしまったため、主人公は一度も母親と会話したことがありません。
    父親と祖母が知る生前の母親は、主人公にとって知らない人のようです。
    空っぽの母親に主人公は何でも話すことができます。学校の愚痴、父親が別の女性と付き合ってること、祖母と父親が仲が悪いこと…。
    主人公が母親を扱うときの乱暴さが結構衝撃なのですが、生まれたときから植物状態の母親を小学生の子どもが人形のように扱うのはしょうがないよなぁ…。
    本当につらい状況なのですが、つらいという言葉で簡単に表現できないというか、当事者たち

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    2026年02月07日
  • サンショウウオの四十九日

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    【2024年上期(171回)芥川賞】
    一つの身体に宿る二つの意識、意識とは何か?
    伯父の死をきっかけに
    自分たちの存在意義を確かめ合う。
    どこか優しさあふれる作品と。

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    2026年01月30日
  • あなたの燃える左手で

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    ネタバレ

    □ストーリー

    「植物少女」を読んだ後に「なんだこの得も云えぬ読味は!?」という感想を持っていて、それがよかったので本作も読んでみることに。
    その時には言語化できなかった感情の正体だけど、調べていくうちに腑に落ちたものがあったので記載。

    エモーショナルライン(Emotional Line)とは、物語やコンテンツにおける登場人物(キャラクター)の感情の動きや変化を、時系列に沿ってグラフや線で視覚的に表したもので、「感情曲線」とも呼ばれる。

    基本的には負の状態(問題を抱えている状態)から始まるのが読者を惹き込みやすいようで、朝比奈秋作品は生命倫理みたいな問題を取り扱っている性質上、
    感情曲線が

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    2026年01月27日
  • サンショウウオの四十九日

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    第171回芥川賞受賞作です。
    技巧的な部分が高く評価されているようですが、私はそういったところは全然分からず…ですが、とても面白く興味深く読みました。
    胎児内胎児を父親に持つ結合双生児のお話です。頭も身体も一つを共有するという極めて珍しい結合双生児の杏と瞬の姉妹が主人公です。
    意識とは何か、二人で身体を共有するとはどういうことなのか…この辺りの描写がとても面白かったです。一つの身体に意識が二つあるというのは想像もできない不思議な事象に思えるのですが、二人からしてみたら自分の身体を自分だけのものだと考えている私たちこそが、何言ってるの?的に思えるという…。普通とは何かということを考えました。

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    2026年01月24日
  • サンショウウオの四十九日

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    頭がいい人の文章だ!よくわかんない!とバカな感想を持った。でもつまらないわけではなく、特に終盤は一気に読んだ。
    読み終わって寝ようと横になった時、このまま死ぬかもしれないのは双生児も単生児も変わらないなとパッと浮かんだ。作中でも、月が出てなければ父親もドブ川から出れず死んでいたかもしれない。
    生と死、自我と非我、分けているのは薄皮一枚で、結局ぜんぶ危うく曖昧。何が違おうがなんでもそう!と思わせるような本だったなあと思う。

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    2026年01月18日
  • サンショウウオの四十九日

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    サンショウオという小さな生き物の死と、人間の死、そして医療によって引き延ばされる「生と死の境界」が重ね合わされて描かれます。語り手は、治療・延命・看取りといった現実の中で、「本当に死んだと言えるのはいつなのか」「死はどこで区切られるのか」という問いに直面します。

    四十九日という、日本的な弔いの時間は、単なる宗教的慣習ではなく、生きている側が死を受け入れるための猶予期間として描かれます。その間、死者(あるいは死んだはずの存在)は、記憶や感覚の中で何度もよみがえり、完全には消えてくれません。

    作品全体は淡々とした文体で進みながらも、
    •医療の冷静さ
    •命を扱うことへの違和感
    •生き残った者の罪

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    2026年01月06日
  • あなたの燃える左手で

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    表題からは想像できない他人の手を移植する物語で、東部ヨーロッパの複雑な背景もあり、奇妙な読後感を得た.アサトは左腕に浮腫ができ、悪性と診断され切断を余儀なくされた.その後、白人の手を移植することになり物語が急展開する.ドイツ語、ハンガリー語、ウクライナ語、ロシア語が飛び交う場面を想定した話があり、多くの人が交錯するので、前後関係を確認するため、何度も戻りながら読んだ.ハンナとのやりとり、移植医のゾルタンとの会話、手術後に現れる夢の数々、幻肢痛への対処、同僚との会話などなど、ばらばらに出現する事項が何故か一点に収束する感じを得たのは不思議だった.ただ、ウクライナのクリミヤ半島のドライブは、複雑な

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    2025年12月18日
  • 私の盲端

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    林芙美子文学賞受賞作がどんな作品なのか気になったので手に取った本。なので併録の「塩の道」を先に読んでから「私の盲端」を読みました。結果的にこの順で読んで良かったと思うのは、「私の盲端」のインパクトが強すぎたからです。

    「私の盲端」
    オスメイト(人工肛門)をつけることになった女子大生の物語。オスメイトの男にナンパされるところから物語は始まるのですが恋愛物語には一切発展せず、ひたすら大便の話が展開されていきます。確かに、健常な生活を送っていた人間が、突然オスメイト生活になれば、頭のなかを占めるのは便のことでしょう。オスメイトになった衝撃、便の処理、オスメイトとして社会に復帰する日のこと等がリアル

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    2025年12月13日
  • あなたの燃える左手で

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    戦争、国境、人種の違いを移植という形で対比して描いたのは、医師ならではの目線だと思う。
    ある日移植した他人の手に、自分の血が流れて、だんだんと同化していく。境界線が、吻合部があいまいになっていく。
    ヨーロッパの動脈であるドナウ川は何ヶ国も通過し、ハンガリーからウクライナへ。周りと同化することが自然なことなのか、違ったままで生き続けるのか。はるか昔から川は巡るけれども、今日も戦争は終わらない。

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    2025年12月12日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    9人の医師作家アンソロジー。どれも読みごたえがあった。特に南杏子の「空中テント」介護と家族がテーマで重いけどよかった。

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    2025年12月08日
  • サンショウウオの四十九日

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    作者が医師というだけあって、不思議と違和感なく読めた。主人公ふたりの思考が入り交じる場面は、やや混乱したけど慣れると興味深く読めた。終盤は思いの外平坦な閉じ方で、少し物足りないかも。

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    2025年12月06日
  • サンショウウオの四十九日

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    第171回芥川賞受賞作。

    インパクトのある設定だったが、父親と伯父の設定にも驚く。
    想像していたモノとは異なり、物語自体は淡々と進む。
    私とわたし、主語が入れ替わるごとに姉妹の思考が入れ替わる。
    2人の過去の出来事や記憶が思い起こされ、両親は当たり前のように2人を感じ取り、1人がもし亡くなったらどうなるのか……
    何となく姉妹の片方は伯父に似、もう片方は父に似ている気も。
    意識はすべての臓器から独立しているのかどうかなど、哲学的要素もあり、ただラストは物足りないような、これでいいような、不思議な読後感。

    最初のインパクトが大きすぎて、朝比奈秋作品なら、他のものの方が、とも思う。

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    2025年12月06日
  • サンショウウオの四十九日

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    第171回(2024年)芥川賞受賞作品。朝比奈秋は史上6人目、男性作家としては初となる純文学新人賞三冠(芥川龍之介賞・野間文芸新人賞『あなたの燃える左手で』・三島由紀夫賞『植物少女』)を達成した。現役、消化器内科医師として働きながら二刀流で執筆。

    (帯より)伯父が亡くなった。誕生後の身体の成長が遅く心配された伯父。その身体の中にはもう一人の胎児が育っていた。それが自分たち姉妹の父。体格も性格も正反対の二人だったが、お互いに心を通わせながら生きてきた。その片方が亡くなったという。そこで姉妹は考えた。自分たちの片方が死んだら、もう一方はどうなるのだろう。なにしろ、自分たちは同じ身体を生きている

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    2025年12月05日
  • 受け手のいない祈り

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    この作品はフィクションだけれども完全なフィクションではないんだろうな。
    ただただ過酷な医師の日常を綴っている。
    重く暗く苦しい長い長いドキュメンタリーを観ているような感覚。
    読んでいてどんどん辛くなるが、目をそらしてはいけない現実のような感じ。
    自分なんかがコメントするのも厚かましいが、情景・気持ちが良く分かる。

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    2025年12月04日
  • 植物少女

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    「わたしにとって、母は会いに行く人物だった。」

    著者の朝比奈さんは現役の医者。
    家族を除けば、
    植物状態になってしまった人物を、
    長期間にわたって見つめることができる、
    唯一といってもいい立場。

    そこから見た、家族模様。

    娘の成長。
    父の逡巡。
    母の生と死。

    他家族との対比。

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    2025年11月28日
  • サンショウウオの四十九日

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    体はひとつ、だが心はふたつ、という結合双生児の姉妹のお話(?)。

    芥川賞受賞作。

    それまでの人生と家族との関係、生と意識と死、そしてこれから。

    自身の内と外との関係など、混乱してしまいそうにもなったが、なかなかに深く考えさせられた。

    胎児内胎児という父親と伯父の関係性、
    心と身体の持ち主、死生観などなど。

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    2025年11月27日