朝比奈秋のレビュー一覧

  • サンショウウオの四十九日

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    1日で読み切れました。意識が死んだら死ぬのか、体が死ぬから死ぬのか、考える本らしいです。どっちでしょう。どっちでも死んでると思います。

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    2026年06月04日
  • サンショウウオの四十九日

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    もし自分の体に二つの意識が存在したならば。
    それは二重人格でもなく双子として実証し、精神と身体的感覚と意識を自分だけのものとせず共通させて生きていくこと、それは可能なのか。
    片方が辛い時は共有して片方が眠ってる時は1人の世界にいられて。
    夢の世界も考えてることも共有できるって、どんな感覚なんだろう。
    どんな姿でも個人の存在をひとりひとり尊重できる世界になれば生きにくい人も生きやすいよな。

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    2026年05月26日
  • 私の盲端

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    朝比奈秋のデビュー作「塩の道」と『私の盲端』が収録されている。

    まずは『塩の道』から。
    読後、事件も事故も何も起こらなかったこの物語だからこそ、生と死が隣り合わせで日常的であった時代の風景が際立つ。

    主役は医師の伸夫。舞台は青森の漁村。漁師の生活、死への向き合い方、周りの受け止め方。
    赴任する前に勤めた博多繁華街での勤務医生活。青森、博多それぞれ患者の死に際の環境対比。

    私たちは文化的な発展により人間的な価値を大きく毀損してきているのかもしれない。かと言ってそれが良いとも悪いとも誰にも語らせず、考えることを促す。

    余談だが現役医による患者の苦しむ描写は見事で、こちらまで呼吸が苦しくなった。いや、左鼻がホントに詰まっているだけだった。

    次に本書の題名ともなっている『私の盲端』を読んだ。衝撃作です。人工肛門となった女子大生の内面、外面、取り巻く環境を赤裸々につづる。

    若干過激な描写もあるが、その筆力たるや恐れ入るる。

    熱感、口と肛門、食物と大便、内臓からの解放、内臓がなくなると生きてる実感も失われる、

    どこからこの感性がわきでてくるのだろうか。

    自分の無知をしる読書

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    2026年05月09日
  • 植物少女

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    芥川賞作品『サンショウウオの四十九日』は独特の世界観が好きだった。今回は小倉アナと朝比奈秋の対談YouTubeを見て、俄然著者の創作方法に惹かれて過去作を買いに出かけた。頭の中にストーリーが降りてくるらしいのだが、それが職務にも影響し医療事故につながりかねないからと、医者から作家に転身したとのこと。しかも小説を読んだことがなく、高校の時の教科書くらいかな?と言っていた。天才。

    本作『植物少女』は、自身を産んだ際に植物状態となった母親とそのとき生まれてきた美桜の物語。
    物心ついたころの美桜にとっては、左に首を傾けてただ呼吸をするだけの母が美桜の全てだった。みんなが知っている植物状態前の母の様子にもそれは私の知る母じゃないと耳を閉ざす。胸の中につつまれ、掌に優しくくるまれる描写は幸せな母子関係を表していた。

    小学生になってもその純粋さから発する言葉は一般的に大人の思う「植物人間」とはかけはなれ、毎日のように母に会いにくる美桜にとっては病室は同室の患者さんも含めそこに根をおろす、個性をもった愛おしい存在でまさに庭(植物園)のようなところだった。

    小学生の高学年になると、動かないし、しゃべらない。目もあけないし、笑わない。それがよかったはずなのに、目の前にいるのは脳にダメージをうけて何もできなくなったひと。父や祖母が知るイメージに覆われて苦しみを覚えるようになる。

    誰にも話せない相談事や愚痴も包み込んでくれていた母に対する甘えも、いつしか(母の胸に顔をうずめ、呼吸を聞くことが減った時期に重なる)話せなくなり、回復しないかもしれないとの思いは母をブラックホールのような寡黙さだと形容する。

    高校生になりランニング中に気がついた。

    一 母はかわいそうじゃない みじめじゃない 空っぽなんかじゃない
    涙が自然と垂れてくる。私もまた母のことを勘違いしていたかもしれなかった。

    就職し美桜が25歳、自分を母が産んだ歳を迎え、妊娠出産をする。。。。

    空気を吸って「おぎゃー」から生は始まるもんな。

    呼吸が意識をつなぐ。小説家としての朝比奈秋にしか綴れない生と死についてを読み終え、またまた死生観をアップデートする機会を得た。

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    2026年05月05日
  • サンショウウオの四十九日

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    結合双生児の意識・肉体にまつわる話。
    主語が混濁して混ざり合って逆転するような文体は正に追いかけ合う白と黒のサンショウウオのような、面白い描写だった。
    結合双生児の話ではあるが、自我の境界みたいなところまで主題を抽象化するとなんとなく考えさせられる作品だった気がする。どこまでが自分で、どこまでが他人か。杏と瞬は物理的に結合してるが故にお互いの境界が曖昧になるけれど、人同士も同じことだと思う。
    他の部分で印象に残った点とすると、伯父が亡くなった日の父親にも象徴されていて、いつも通り、高速道路が混んでいた話をする父親が、なんとなく素敵だなと思った。

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    2026年04月30日
  • 植物少女

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    「ただ存在するということがいかに大変か、それに耐えられないから、人は勉強したり働いたりするのかもしれなかった」という言葉が心に残っている。
    人は何のために生きるのだろうかと考えた。
    世の中は難しくて。生きているとしんどくて辛い瞬間がある。それは全ての人に等しく訪れる。ただ存在するだけでも辛さが降りかかってくる。だから何かをしていなくては耐えられない。
    人はそういうふうにできているんだなあと感じた。

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    2026年04月25日
  • 植物少女

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    ネタバレ


    私は医療職場なのですがお看取りの病棟では働いたことがなく自由だなあという印象を抱きました。

    自由だからこそ線引きが絶妙で植物のような状態である親族を好きにモノ扱い、ゴミ箱扱いしている少女をそのままにしている。言い方は悪いけど誰も止めなかった。それを少女は自身が子供を産んでお母さんになっても吐き出せずにいた。

    なんとも言えない。。
    母を植物だと捉えたこともないし、
    生まれた時から植物状態の母親しか知らない、
    そして人の親になるってすごいなと。
    しかもそれが自分を産んだ時に植物状態になったという状況なら“自分のせいではない”と言い聞かせる人生だったのかな、そういった描写はなかったけど
    色んな患者や家族を見たしいらいらすることもあったしどうにかしてあげたいと思ってもどうにもならないことも多いからこそ自分がこの子と関わった時にどう関われたかと考えさせられました

    医者であり、小説家である朝比奈秋さん。
    賞をとったサンショウウオの四十九日、あなたの燃える左手でも読んでいないので読みたいと思います

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    2026年04月05日
  • サンショウウオの四十九日

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    初めて目にする結合双生児の話に戸惑いながら読み終えました。日本には存在しないとされていますが、ベトナムのベトちゃんドクちゃんが話題になったことを思い出しました。同じ一つの命、二つの命かなどんな命でも大切に生きて欲しいと思いました。

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    2026年03月12日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医療現場のリアルな緊張感が伝わってくる作品が多かったです。短編なので読みごたえという点ではちょっと物足りなかったですが、読んだことのない作家さんが殆どだったので読み比べて楽しめました。

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    2026年02月22日
  • 受け手のいない祈り

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    倒れないと休めない 
    今の自分にも当てはまる部分もある。
    ある意味 ハイになって仕事してる感。
    医療描写にゾクゾクした

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    2026年02月03日
  • サンショウウオの四十九日

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    ネタバレ

    とても変わったお話でした。
    結合双生児という、ひとつの体に二つの人格を持った姉妹の物語です。

    彼女らをみていると、意識というものはすべての臓器から独立していることがはっきりしますが、それは誰しも同じだというのが本書の主旨。

    自分だけの体を持っている人はいない。
    みんな気がついていないだけで、みんなくっついて、みんなこんがらがっている。
    自分だけの体、自分だけの思考、自分だけの記憶、自分だけの感情、なんてものは実のところ誰にも存在しない。
    いろんなものを共有しあっていて、独占できるものなどひとつもない。

    こういう感覚について今まで考えたことがなかったのでとても不思議な心地がしました。
    分人、とも少し違う・・・
    理性では分かっていても本能に負ける、とか、飲酒した際や(人によっては)運転中に人が変わる、とか、そういうところに出ているのかなあ。
    捉え方のニュアンスだけ理解したような、してないような。。

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    2026年01月31日
  • サンショウウオの四十九日

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    一つの身体に二人の命。左右で分けられたその身体にあるのは一人分の数通りの臓器と手足と頭、そして二人分の意識。何が個人を個人たらしめているのか。何をもって死は訪れるのか。似た境遇であった伯父の死をきっかけに、杏と瞬は考えるようになる。

    短かったが濃密なストーリーだった。藤沢に住んでいるという設定は物語上どうでもいい割にはやたら解像度が高かった。
    映像化はとてもじゃないが難しいだろう、そこに文学の開けた可能性を感じた。

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    2026年01月31日
  • 受け手のいない祈り

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    地方の病院の医者不足の救急医療の地獄のような現実。3日も寝ずにぶっ続けで仕事、何ヶ月も休みが取れず残業300時間、朦朧とした中で手術…賢く生きる医者は辞めていき、責任感の強い医者のギリギリの体力と根性と使命感だけが頼りの限界医療。病人より辛く苦しく、若くして過労死する医者たち。恐ろしい現実。医者同士の本音の会話に引き込まれたが疲労困憊により現実から幽体離脱したような主人公の医師の妄想描写と内蔵の描写が多すぎてそのあたりは斜め読み。日本は簡単に医者に診てもらえてありがたいとか思ってたけど彼らの瀕死の医療の上に成り立っていると思うと本当に心苦しい。でも先日、身内が救急車呼んで入院した時は医師も看護師も「様子なんて見てないですぐに救急車呼んでいいんですよ」とあたたかく親身に診てくれてありがたかった。せめて健康に気をつけて無茶をせず自分でできることはしなきゃなと思う。

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    2026年01月29日
  • 受け手のいない祈り

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    著者は医師だし自身の経験も入ってるから長時間勤務で追い詰められた表現が生々しい。
    目に見える景色(現実も妄想も)、体の反応の表現、感情の表れ方

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    2026年01月24日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    つい読みやすい短編の医療系に手が伸びてしまいました。その期待は裏切らないのですが、短編集はやはり短編集でした。それにしても、お医者さんがもっと楽な社会にはならないのでしょうか。

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    2026年01月10日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    本当に医療に携わる方々の体力、知力、タフさは尊敬するし感謝しかない。どのお話もよかったけど、「研修医ヒナノの洞察」、「春に綻ぶ」が好き。
    少しでも健康でいようと思う。

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    2026年01月05日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    アンソロジーは、新しい作家さんとの出会いも楽しみ。シリーズ物も読んでみたいと思う作家さんに会えた。医師をしながら小説家もできるなんて凄すぎる。

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    2026年01月04日
  • 植物少女

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    難しい。
    そうなる前を知っている父と祖母と、そうなってからしか知らない美桜が感じるものは、まるで違うのだと思う。母の病室に通う美桜に悲愴感はない。
    でも、温かく手を握ってくれたことに満足していても、最後に一度でいいから母と話してみたかったと思い、母を外に連れ出すことを考えなかったことを思う。
    うーん、難しい。

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    2025年12月27日
  • 受け手のいない祈り

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    いやはや、すごい小説だった。これを厚労省の役人とか、大臣とか、医療制度の責任者はどう読むのか?

    この数年最も寝ていない外科医公河。同じ市内に三つあった救急医療を担う病院のうち二つが、急患の受け入れを停止した。残ったのは「どんな命も見捨てない」を院是に掲げた公河の勤務する病院だけ。24時間勤務は当たり前、時に四日連続勤務に当たることもある。冒頭、医大の友人ヤナザキが死んだとの連絡を受ける。こちらは産科医。母体と赤子を救うため働き続けて、病院のシャワー室で座ったまま死亡したのだ。背中を立てたまま死ぬ?公河の思考は混濁し、現実と妄想の狭間を行き来する。読んでるこちらも、魍魎とした不可思議な世界に引き込まれていく。 

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    2025年12月24日
  • 受け手のいない祈り

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    作者の魂の叫びが描かれた気がする作品。医療現場で本当にこのような状況があるのなら患者としての関わり方も考えなければいけない気がした。「あの本読みましたか?」に出演した時の作者の表情が忘れられない。

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    2025年12月17日