朝比奈秋のレビュー一覧

  • サンショウウオの四十九日

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    夢とも現とも、摩訶不思議な物語に思えた。ちょっと、怖いような感触も。。
    主人公は濱岸杏と瞬という結合型双生児。それぞれの半身がピッタリくっついている、外から見れば、少し相貌の変わった1人の人間。しかし、右半身は瞬、左半身は杏と名付けられ、それぞれの意識を持った人間。一体だけど一人ではない。
    二人の父親もまた双生児。胎児内胎児というかなり特殊な双子。(そもそもは三つ子だったようだが、3人目は体内で育ちきれず体の一部?だけ兄の中に残っていた)兄勝彦の体内で1年間、弟若彦(こちらが二人の父親)は育った後、手術で取り出された。時間軸でいけば、29歳の杏と瞬が数年ぶりに帰省したところからはじまり、伯父が

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    2025年08月29日
  • 植物少女

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    読んだ後、植物状態と脳死と昏睡状態の違いについてネットで調べてみたり、自分があるいは身内が植物状態になる状況を考えてみたりしている。

    例えば自分が交通事故にあって植物状態になったとして、それは自分だと言えるだろうか。今の私と地続きの存在だと言えるだろうか。自分はちゃんと生きていると言えるだろうか。植物状態は生きている状態だと医学的にも法的にも認定されている。でも自分の実感として、この「私」という意識と自由な思考、自由な身体こそ「生」の状態だと思っているので意識がなく寝たきりという状態は苦痛だと思った。そんな人生虚しすぎないか。いっそのこと殺してくれとすら思う。

    では親が、兄弟が、友人が、恋

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    2025年08月23日
  • サンショウウオの四十九日

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    2024年上期 芥川賞作品

    最初、姉妹のどちらが主体で話してるのか分からず、混乱してページを行きつ戻りつしてしまいました。。

    主語がコロコロ変わり、はっきりしなかったのは
    結合双生児の話だったから。
    一つの体に二つの意識が存在しているのです。

    昔話題になったベトちゃんドクちゃんや
    萩尾望都の名作「半神」は
    腰のあたりが結合している双子だったが
    この本の双子は体がすべて半分ずつ結合されて
    共有されているが意識は二つあるという状態。

    お父さんは胎児内胎児として生まれた人で
    実際にそういう症例があることを初めて知りました。
    (ブラックジャックのピノコがそうらしい)

    一人の意識が先に寝て

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    2025年08月17日
  • サンショウウオの四十九日

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    大変珍しい結合双生児の話ですね。
    最初はどんな状態なのか理解するまでに時間がかかりました。
    色んな感情が入り混じって色んな経験をしていく話ですね。
    やや難しい話ですが、あまり聞かない物語りで新鮮でした。

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    2025年08月17日
  • 受け手のいない祈り

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    ネタバレ

    2025/05/17予約40
    本当の話なのか、と思うほど過酷な労働、連続72時間勤務…救急医療をする側のほうが病んでいる。本来の仕事である医師を真っ当な精神、健康状態で行える環境を整えてほしい。もしかすると救急搬送患者を選別することにつながるのかもしれないが、暴走族やヤクザの救急医療を一般の患者と同じように扱うのが正しいのか考える時期に来ているように感じた。
    最後まで救いのない本。

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    2025年08月14日
  • 受け手のいない祈り

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    読んでいたただただ辛かった。

    ここまで追い詰められた状況をこれでもかと表現できる凄さ。
    受け手のいない祈り・・・深刻だ。

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    2025年08月13日
  • サンショウウオの四十九日

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    体を共有する姉妹の話ということで、興味深かったけど、わかるようなわからないような。
    子供の頃に、私はきょうだいの影響を強く受けていて、どこまでが元々の自分の性格や気持ちなのかわからないなぁ、という気持ちに似ているだろうか。

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    2025年08月09日
  • 受け手のいない祈り

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    読んでいてずっとしんどかった。救急医療で人の命を救うために自分の心も体もぼろぼろにして。
    文章が私には合わないと感じたし、とても疲れた。

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    2025年07月24日
  • 受け手のいない祈り

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    最初から最後まで重苦しかった。

    救命救急の現場の過酷さが、一人の外科医目線で描かれる。
    近隣の総合病院が救急から撤退する中、外科医の公河が務める病院は「誰の命も見捨てない」を院是に掲げ、患者を引き受け続ける。
    公河らは70時間以上の連勤を余儀なくされ、心身共に極限に達している。
    そして他病院でも、公河と医学部同期だった産婦人科医の過労死。誰の命も見捨てないという“命”に、医師の命が含まれていない現状。
    医師はどんどん辞めていき、病院は赤字経営、現実に起こっている地方中核病院の撤退や、たらい回しが頻発する救命医療の崩壊は今後加速度的に進んでいくのだろう。

    人の命を救うのが仕事とはいえ、医師の

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    2025年06月18日
  • 受け手のいない祈り

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    一つひとつの描写が息が詰まるほど重い。救急医療の現場で救う側の医師の命が磨り減り破綻に向かっていく様は、コロナ禍が収束した今日という日にもなお存在する壮絶な矛盾の地獄である。命は尊いという疑うことすら許されない言葉によって、むしろ積極的と言って良いほど蔑ろにされ犠牲となる命を前にして、祈る先を持つ者の中でその尊さは大きく揺らぐ。

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    2025年06月16日
  • 受け手のいない祈り

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    救いがなく感じられて読んでいて辛かった
    現実と虚構が混ざり合ってわからなくなる感じに主人公の疲労の深さを感じて怖かった
    フィクションなんだろうけど
    どこかであることなんだろうか?
    あるのか…やはりそうなのか…

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    2025年06月08日
  • 私の盲端

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    生々しさ。
    人工肛門、匂いや音。普段の何気ない部分でも気にしてしまうものなのに、状況や環境が変わると過敏になるとほんとに思う。
    全然知らない世界なのに、苦虫を噛み潰したような感情に襲われかねない。

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    2025年06月04日
  • 私の盲端

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    やっぱり初期作品を読むといろいろなことが伝わってきて良い。自分のやりたいこととの接続もよくわかった。共感と対極の余白。

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    2025年05月16日
  • 受け手のいない祈り

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    他人の命を救うためとはいえ、自らをここまで犠牲にしなければいけないとは。医師の経験を持つ朝比奈さんなので、リアルな体験を踏まえて書かれたものなのだろうけど、想像を超えた過酷さだった。
    そもそも、医師にはこれまで残業規制がなかったことも初めて知った。働き方改革で規制ができたけど、そのラインが960時間!普通に多いわ。
    これだけ長時間、しかも神経を使う仕事をやり続ければ、身も心もおかしくなってしまう。
    内臓のグロテスクな描写が、医師の心の中を表しているようで、こちらまでちょっと気分が悪くなりながら読んだ。

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    2025年05月11日
  • 受け手のいない祈り

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    タイトルの意味にはわりと冒頭で気づけるが、その意味はあまりにも虚しい。途中から現実なのかそうでないのかがわからなくなってくる。この作者はその描き方が絶妙で、その感覚が好きで本作品も手に取ったが、今回は心があまり揺れ動かなかった。現実味がありすぎたからだろうか。

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    2025年05月04日
  • 受け手のいない祈り

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    医師で小説家の朝比奈さんらしく医療小説。

    過酷な労働を強いられる医者という立場。
    何日も寝ずに働き続け、体を壊して、それでも患者を救わないといけない。

    内容は良かったけど、描写がリアルでグロ過ぎてちょっと苦手だった。

    作品は良いけど私は好きではない。

    この書き方だから内容が生きるのだと頭では理解できる。
    よくできた人間が主人公では、この作品の良さはなくなるし、伝わらない。
    分かるのと自分が好きかは別問題。

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    2025年04月19日
  • 私の盲端

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    「私の妄端」は人工肛門となった女子大生の話。現役医師の書いた小説なので、機能とか構造が細かく描かれていた。「塩の道」も医師ならではの視点で終末医療が描かれていた。青森の漁村で、亡くなる直前まで自宅で過ごす風景。人が年老いて死んでいくことを当たり前に受け止める家族の逞しさ。かっこいいけど難しい。

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    2025年04月14日
  • あなたの燃える左手で

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    誤診で失った左手に、代わりの別の人間の左手を移植されたところから、ハンガリーの医師とヤパァナ(日本人)の患者の話により物語が進んでいった。話は移植手術のみに終わらず、ヨーロッパの国際情勢や過去のいざこざの話が広がっていき、西洋人の国や国境意識と日本人のそれは、非常に乖離していることを気づかせてくれる作品だった。島国で国境がないことが、いかにお気楽なものであるか。なんとなく面白かったが、かなり難しい、、、。読解力が低くて、もっと国際情勢に詳しければ、面白く感じたんだろうなぁ〜。

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    2025年04月05日
  • あなたの燃える左手で

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    ネタバレ

    少し自分には難しいと感じた
    他人の左手がどんな感覚なのだろうと初めて想像してみた、とても受け入れ難いものであると思う。何をするにも手は使うし、視界にも入る、それが自分ではない人の手なのであれば不快な気持ちが常にまとわりつく感覚になるだろう
    当たり前に日本にしか住んだことないから考えたこともなかったが、見えるものすべてが自分の国のものって当たり前がじゃないんだと気付かされた

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    2025年02月24日
  • 私の盲端

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    私は潰瘍大腸炎になり、2回目の時人工肛門を付けていて、文章を読み進めるときすぐに便がたまり、すぐに公共のトイレ、オスメイト二駆け込み便を吐き出すことを思い出しました、私はたまたま人工肛門を閉じられてたので、又普通の生活をしていますが人工肛門をしている苦悩は、計り知れません、その便を吐き出すこととかのリアルさが、書かれていて、世の中の人達に人工肛門を付けて生活している人も、いることを伝えられるために書いたのか、書かれた方は医師とあったので、もしかしたら人工肛門の生活は、苦悩だと伝えたかったかもしれません後半は、老人達いつか死ぬ方を看取り死亡診断を書く医師の物語、何人も老人の死を見てきたので医師と

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    2025年01月29日