朝比奈秋のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
夢とも現とも、摩訶不思議な物語に思えた。ちょっと、怖いような感触も。。
主人公は濱岸杏と瞬という結合型双生児。それぞれの半身がピッタリくっついている、外から見れば、少し相貌の変わった1人の人間。しかし、右半身は瞬、左半身は杏と名付けられ、それぞれの意識を持った人間。一体だけど一人ではない。
二人の父親もまた双生児。胎児内胎児というかなり特殊な双子。(そもそもは三つ子だったようだが、3人目は体内で育ちきれず体の一部?だけ兄の中に残っていた)兄勝彦の体内で1年間、弟若彦(こちらが二人の父親)は育った後、手術で取り出された。時間軸でいけば、29歳の杏と瞬が数年ぶりに帰省したところからはじまり、伯父が -
Posted by ブクログ
読んだ後、植物状態と脳死と昏睡状態の違いについてネットで調べてみたり、自分があるいは身内が植物状態になる状況を考えてみたりしている。
例えば自分が交通事故にあって植物状態になったとして、それは自分だと言えるだろうか。今の私と地続きの存在だと言えるだろうか。自分はちゃんと生きていると言えるだろうか。植物状態は生きている状態だと医学的にも法的にも認定されている。でも自分の実感として、この「私」という意識と自由な思考、自由な身体こそ「生」の状態だと思っているので意識がなく寝たきりという状態は苦痛だと思った。そんな人生虚しすぎないか。いっそのこと殺してくれとすら思う。
では親が、兄弟が、友人が、恋 -
Posted by ブクログ
2024年上期 芥川賞作品
最初、姉妹のどちらが主体で話してるのか分からず、混乱してページを行きつ戻りつしてしまいました。。
主語がコロコロ変わり、はっきりしなかったのは
結合双生児の話だったから。
一つの体に二つの意識が存在しているのです。
昔話題になったベトちゃんドクちゃんや
萩尾望都の名作「半神」は
腰のあたりが結合している双子だったが
この本の双子は体がすべて半分ずつ結合されて
共有されているが意識は二つあるという状態。
お父さんは胎児内胎児として生まれた人で
実際にそういう症例があることを初めて知りました。
(ブラックジャックのピノコがそうらしい)
一人の意識が先に寝て
も -
Posted by ブクログ
最初から最後まで重苦しかった。
救命救急の現場の過酷さが、一人の外科医目線で描かれる。
近隣の総合病院が救急から撤退する中、外科医の公河が務める病院は「誰の命も見捨てない」を院是に掲げ、患者を引き受け続ける。
公河らは70時間以上の連勤を余儀なくされ、心身共に極限に達している。
そして他病院でも、公河と医学部同期だった産婦人科医の過労死。誰の命も見捨てないという“命”に、医師の命が含まれていない現状。
医師はどんどん辞めていき、病院は赤字経営、現実に起こっている地方中核病院の撤退や、たらい回しが頻発する救命医療の崩壊は今後加速度的に進んでいくのだろう。
人の命を救うのが仕事とはいえ、医師の -
Posted by ブクログ
私は潰瘍大腸炎になり、2回目の時人工肛門を付けていて、文章を読み進めるときすぐに便がたまり、すぐに公共のトイレ、オスメイト二駆け込み便を吐き出すことを思い出しました、私はたまたま人工肛門を閉じられてたので、又普通の生活をしていますが人工肛門をしている苦悩は、計り知れません、その便を吐き出すこととかのリアルさが、書かれていて、世の中の人達に人工肛門を付けて生活している人も、いることを伝えられるために書いたのか、書かれた方は医師とあったので、もしかしたら人工肛門の生活は、苦悩だと伝えたかったかもしれません後半は、老人達いつか死ぬ方を看取り死亡診断を書く医師の物語、何人も老人の死を見てきたので医師と