朝比奈秋のレビュー一覧

  • あなたの燃える左手で

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    ハンガリーの外科医によって、左手を失った日本人患者に他人の手を移植手術する場面を軸に展開される話。

    他人の手の移植にあたり、日本人は終始微笑して受け入れているように見えるが、徐々に本人にも耐え難い術後拒否反応が繰り返されることになる。
    その反応を比喩として、ハンガリーの外科医は、日本人は健やかに笑っていているように見えても、何も(外国人を)受け入れない国民性に結びつける。
    さらに、移植した手と本人の腕の境目を国境に見立て、日本人は四方に他国との国境があるヨーロッパとは異なり、似た者だけで排他的に暮らしながらも、自分たちは心優しい人種と思い込んでいる無知で幼稚な国民との印象を受ける。(移植した

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    2024年12月08日
  • 私の盲端

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    「私の盲端」…人工肛門つけたらこうなる、というマニュアルになりそうな内容。そして人の気持ちの揺れが淡々とつづられ、だからこそ直球で入ってくる

    「塩の道」…東北の濃厚な訛りを文字起こししたらこうなるのか、文字起こしできるんだ、とそこが面白かった。見取り病院、治療など必要としない人々を前に虚しさすら感じなくなることはある意味、楽なのか。田舎の日常が描かれている

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    2024年11月23日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医師でありながら作家でもある方々の医療小説9編。

    私の知っている作家さん以外にこんなに多くの医師作家さんがいることに驚きました。どれも医師であるだけに小説の内容は臨場感が溢れていて迫力がありました。

    中山祐次郎さんの『救いたくない命』は救急で運ばれてきた患者が犠牲者15人以上を出した通り魔事件の犯人と知り、葛藤をしながらも必死に命を救う姿に京アニ事件を思い出しました。

    南杏子さんの『空中テント』は家族の介護の経験がある人は共感出来るはず。

    どれも本当に良い作品ばかり。若手医師の過酷な労働時間、医療ミスの隠蔽、不都合な論文を闇に葬る等、医療小説が好きな人なら興味のある内容ばかり。でも朝比

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    2024年10月31日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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     書くことで、解放される思いがある。

     新たなジャンルが始まることへの期待を込めた夜明けでもある一方で、書かないと解放できない思いが溜まってきているのも事実であると思う。

     

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    2024年10月26日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    9人の作家(医師)による9篇の物語
    それぞれの作家自らの経験なのかはわからない
    ただ、それぞれの作家の医療への思いが短い作品の中に散りばめられていると感じた

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    2024年09月18日
  • 私の盲端

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    重たいけど重たいだけで片付けてはいけないような気がする。

    想像以上に知らないことが多くて
    この世界観に圧倒されてしまった。

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    2024年09月14日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    9人の現役医師による医療小説アンソロジー。
    医師作家でしか表現できないと思われる臨場感あふれる詳細な描写、ヒューマンでミステリアスなストーリーが魅力の作品集だ。
    1〈研修医ヒナノの洞察〉
    上司からパワハラを受けている研修医が患者の膠原病を見つけ上司を見返す痛快な話
    2〈魚類譚〉
    封建的で理不尽な医大の内部構造、詳細な手術シーンにミステリーとホラーの要素を取り入れた作品
    3〈パイナップルのある光景〉
    同じような引きこもり系の精神疾患でも、一方は入院治療、一方は家族による対処という示唆をする精神科医。専門的な見解が押し付けなく、ふわっと伝わってくる秀作
    4〈救いたくない命〉
    救急外来に運び込まれて

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    2024年09月04日
  • 私の盲端

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    「植物少女」から「あなたの燃える左手で」を通り 「サンショウウオの四十九日」を読んで、ここまで辿り着いた。朝比奈秋から 逃がれることができない。すっかり どハマり中!ざらりとした手触り感が なんとも言えない読後感で クセになる(個人の見解ですが笑)
    人工肛門と共に生きることの戸惑いと衝撃もそうだけど ヒトもまた 生々しい生物なんだなと 認識させられた。「塩の道」は読み始めは 方言についていけなくて(笑)半分過ぎたあたりから するすると わかってきた。それぞれの看取りは それぞれで 正解も不正解もない。

    再読したら また 別の思いがでてきそう!

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    2024年08月17日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医師が描く小説はリアリティがあります。専門的な用語も飛び交うがそれもまた面白い。本短編集はよく知った医師作家が多かったので、新たな面も見れて楽しめました!

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    2024年08月07日
  • 私の盲端

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    朝比奈秋のデビュー作「塩の道」と『私の盲端』が収録されている。

    まずは『塩の道』から。
    読後、事件も事故も何も起こらなかったこの物語だからこそ、生と死が隣り合わせで日常的であった時代の風景が際立つ。

    主役は医師の伸夫。舞台は青森の漁村。漁師の生活、死への向き合い方、周りの受け止め方。
    赴任する前に勤めた博多繁華街での勤務医生活。青森、博多それぞれ患者の死に際の環境対比。

    私たちは文化的な発展により人間的な価値を大きく毀損してきているのかもしれない。かと言ってそれが良いとも悪いとも誰にも語らせず、考えることを促す。

    余談だが現役医による患者の苦しむ描写は見事で、こちらまで呼吸が苦しくなっ

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    2026年05月09日
  • 植物少女

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    芥川賞作品『サンショウウオの四十九日』は独特の世界観が好きだった。今回は小倉アナと朝比奈秋の対談YouTubeを見て、俄然著者の創作方法に惹かれて過去作を買いに出かけた。頭の中にストーリーが降りてくるらしいのだが、それが職務にも影響し医療事故につながりかねないからと、医者から作家に転身したとのこと。しかも小説を読んだことがなく、高校の時の教科書くらいかな?と言っていた。天才。

    本作『植物少女』は、自身を産んだ際に植物状態となった母親とそのとき生まれてきた美桜の物語。
    物心ついたころの美桜にとっては、左に首を傾けてただ呼吸をするだけの母が美桜の全てだった。みんなが知っている植物状態前の母の様子

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    2026年05月05日
  • サンショウウオの四十九日

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    結合双生児の意識・肉体にまつわる話。
    主語が混濁して混ざり合って逆転するような文体は正に追いかけ合う白と黒のサンショウウオのような、面白い描写だった。
    結合双生児の話ではあるが、自我の境界みたいなところまで主題を抽象化するとなんとなく考えさせられる作品だった気がする。どこまでが自分で、どこまでが他人か。杏と瞬は物理的に結合してるが故にお互いの境界が曖昧になるけれど、人同士も同じことだと思う。
    他の部分で印象に残った点とすると、伯父が亡くなった日の父親にも象徴されていて、いつも通り、高速道路が混んでいた話をする父親が、なんとなく素敵だなと思った。

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    2026年04月30日
  • 植物少女

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    「ただ存在するということがいかに大変か、それに耐えられないから、人は勉強したり働いたりするのかもしれなかった」という言葉が心に残っている。
    人は何のために生きるのだろうかと考えた。
    世の中は難しくて。生きているとしんどくて辛い瞬間がある。それは全ての人に等しく訪れる。ただ存在するだけでも辛さが降りかかってくる。だから何かをしていなくては耐えられない。
    人はそういうふうにできているんだなあと感じた。

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    2026年04月25日
  • サンショウウオの四十九日

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    結合双生児として生まれる。時に強く時に繊細に日常を綴っていく。内面に起こる2人の気持ちが赤裸々に語られる。本作を通じてまた一つ新しい読書体験をさせてもらいました。良かったです。

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    2026年04月07日
  • 植物少女

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    ネタバレ


    私は医療職場なのですがお看取りの病棟では働いたことがなく自由だなあという印象を抱きました。

    自由だからこそ線引きが絶妙で植物のような状態である親族を好きにモノ扱い、ゴミ箱扱いしている少女をそのままにしている。言い方は悪いけど誰も止めなかった。それを少女は自身が子供を産んでお母さんになっても吐き出せずにいた。

    なんとも言えない。。
    母を植物だと捉えたこともないし、
    生まれた時から植物状態の母親しか知らない、
    そして人の親になるってすごいなと。
    しかもそれが自分を産んだ時に植物状態になったという状況なら“自分のせいではない”と言い聞かせる人生だったのかな、そういった描写はなかったけど
    色んな

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    2026年04月05日
  • サンショウウオの四十九日

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    初めて目にする結合双生児の話に戸惑いながら読み終えました。日本には存在しないとされていますが、ベトナムのベトちゃんドクちゃんが話題になったことを思い出しました。同じ一つの命、二つの命かなどんな命でも大切に生きて欲しいと思いました。

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    2026年03月12日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医療現場のリアルな緊張感が伝わってくる作品が多かったです。短編なので読みごたえという点ではちょっと物足りなかったですが、読んだことのない作家さんが殆どだったので読み比べて楽しめました。

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    2026年02月22日
  • 受け手のいない祈り

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    倒れないと休めない 
    今の自分にも当てはまる部分もある。
    ある意味 ハイになって仕事してる感。
    医療描写にゾクゾクした

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    2026年02月03日
  • サンショウウオの四十九日

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    ネタバレ

    とても変わったお話でした。
    結合双生児という、ひとつの体に二つの人格を持った姉妹の物語です。

    彼女らをみていると、意識というものはすべての臓器から独立していることがはっきりしますが、それは誰しも同じだというのが本書の主旨。

    自分だけの体を持っている人はいない。
    みんな気がついていないだけで、みんなくっついて、みんなこんがらがっている。
    自分だけの体、自分だけの思考、自分だけの記憶、自分だけの感情、なんてものは実のところ誰にも存在しない。
    いろんなものを共有しあっていて、独占できるものなどひとつもない。

    こういう感覚について今まで考えたことがなかったのでとても不思議な心地がしました。
    分人

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    2026年01月31日
  • サンショウウオの四十九日

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    一つの身体に二人の命。左右で分けられたその身体にあるのは一人分の数通りの臓器と手足と頭、そして二人分の意識。何が個人を個人たらしめているのか。何をもって死は訪れるのか。似た境遇であった伯父の死をきっかけに、杏と瞬は考えるようになる。

    短かったが濃密なストーリーだった。藤沢に住んでいるという設定は物語上どうでもいい割にはやたら解像度が高かった。
    映像化はとてもじゃないが難しいだろう、そこに文学の開けた可能性を感じた。

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    2026年01月31日