あらすじ
感染症の拡大を背景に周囲の病院の救急態勢が崩壊する中、青年医師・公河が働く病院は「誰の命も見捨てない」を院是に患者を受け入れ続ける。長時間の連続勤務による極度の疲労で、死と狂気が常に隣り合わせの日々。我々の命だけは見捨てられるのか――芥川賞受賞の気鋭が医師としての経験を元に描いた、受賞後初の単行本。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
はじめは、あまりに過酷な労働環境に、お医者さんて大変だなあ、たまに行く総合病院のお医者さんも、皆疲れていて、お休みあるのかなあ、なんて思っていたので、同情するような気持ちで読んでいましたが。
だんだんとみんなが狂ってきて、怖くなってきて、これからどうなるの?と気になって、あっという間に読み切りました。こんなに早く読んだのは久しぶりです。
確かに、医者が昼も夜も働き続けるドキュメンタリーやドラマって、医者をヒーロー化して、医者は特別な人として捉えていて、こんな働き方おかしい!って思ったこと無かったかもしれません。
私が年老いた頃には、もう医者が少なすぎて診てもらえなくなるかも、と怖くなります。
どうしたら良いんでしょうかね?
朝比奈秋さんの本はたぶん全部読んでいますが、1番読みやすいと思いました。
Posted by ブクログ
流れるような文章で一気に読めた。救急医療に携わる医師の過酷さに胸が縮む思いがする。生と死の狭間に漂うように生きる主人公に未来はあったのか、その先が気になる終わり方だった。
Posted by ブクログ
基幹病院が崩壊し医療崩壊した地域の唯一、救急を受け入れる病院に外科医・公河が勤務している。
長時間の連続勤務による極度の疲労で狂気を表出。天体の運行、そして本能と生理に逆らった労働に脳髄が消耗、何十時間も横にならなかったら縦になっている内臓が押しつぶされていくのだ。
患者は見捨てられないが、院是の『誰の命も見捨てない』の中に医者の命は含まれていない。患者は弱さを振りかざして自分の命を搾取してくる。
奥内は自分より悲惨なミイラ少年のために働くことができていた。あらゆる境界を見失い震撼する二元性が表されている。
Posted by ブクログ
読んでて苦しくなった。
ほぼ、似たような真実なんだろう。
外科医も産婦人科医も、段々居なくなる。
美容系医師は増える。
地方では病院集約しか道がないのであれば、もっと住民にその意味を知らすべきだし、時代が変わっていることを自覚すべき。
自分で自分の首を絞めるようなことになるぬように。
Posted by ブクログ
1日で読み終われそう、と思ったけど、とんでもない。読み進めていくと、どんどん胸が苦しくなって、休憩を挟まずにはいられない。
小説とはいえ、救急の現場は実際にこのような状態なのだろう。睡眠もとれずに連続4日間の勤務。精神的にも肉体的にもあまりに過酷。ラストシーン、主人公は生きているのか?明日は?明後日は?
Posted by ブクログ
医療現場の過酷な実態。
睡眠もとれない連続勤務は、医師の心身にも影響を及ぼす。
疲弊し切って、正しい判断もできないだろう。
医療従事者をきちんと守らなければ、良い医療は受けられないと思った。
Posted by ブクログ
[こんな人におすすめ]
*日本の医療体制の危うさを忘れがちな人
ホラー小説より怖いかもしれません。
何より恐ろしいのは、医療を受ける側には医療現場の危うさが見えにくいこと。ある日突然、自分の住む街の医療が立ち行かなくなり、救急車で運ばれても受け入れ先が見つからない。そんな事態が起こり得るのに解決策がなかなか浮かばないことに怖さを感じます。医療関連のニュースや選挙の公約への注目度が上がります。
[こんな人は次の機会に]
*ハードワーク気味な人
かなりしんどい勤務実態が描かれるため、「自分の職場はここまでブラックじゃない、まだマシか」と危険な勘違いを起こす可能性があります。ご注意ください。
Posted by ブクログ
医師でもある著者が凄まじく多忙な緊急医療の医師達を描いた作品
ただし、単なる医療現場の悲惨さだけでなく、医師の命に対する想い、葛藤や、友情、恋愛まで踏み込んだ異色な作品だ
現実と妄想が入り乱れて、一見読みにくい作品だが、つい引き込まれて一気読みした
それにしてもやはり、医者の多忙さは異常だ
月に100時間を超える残業、72時間の連続勤務、今どきは一般企業ではありえない過酷さだ
我々は当たり前のように医療を受け入れられると信じ込んでいるが、それは綱渡りなのだろう
Posted by ブクログ
絶句。凄まじいものを読んだ。目撃させられたような、そんな、話?なのか?ひたすら辛く恐い。私小説に近いと知ると尚更に。なんとかならんのか。せめて多くの人に読んでもらいたい。ルポと違い内側から知れる。あとこの題材でこの書き方で最初と終わりのある小説として書ききれる手腕も凄いな。
なんかしばらくパズル的なミステリとか素直に読めそうにない。
Posted by ブクログ
以前オオサンショウウオを読んでからの朝比奈秋さん。現役お医者さんなんだ〜読んでて切なくなった。こんなにも身を削って削って、判断もままならないまま日々診療してもらっていると思うと。日本の医療の崩壊も近いのかも。深刻に国にも考えてほしいし、なんならAIでお医者キット(ドラえもんみたい)のやってくれないかな…
Posted by ブクログ
この作品はフィクションだけれども完全なフィクションではないんだろうな。
ただただ過酷な医師の日常を綴っている。
重く暗く苦しい長い長いドキュメンタリーを観ているような感覚。
読んでいてどんどん辛くなるが、目をそらしてはいけない現実のような感じ。
自分なんかがコメントするのも厚かましいが、情景・気持ちが良く分かる。
Posted by ブクログ
現役医師が書いたこの小説、フィクションではあるがエピソードは事実に基づいていると想像すると、医師の労働条件とはなんて過酷なんだろう。連勤中の心理描写は、ただただ泣かせる。
後半、主人公の意識が拡張し、デフォルメした描写があらわれる。私にとって、これは不要な描写だ。写実に近い表現の方が、長時間労働と命に関わる重責につぶされ派生する狂気を表現できたのではないか。
BSテレ東で放送されている『あの本読みました』に出演されている著者を観て、本書を手に取ったが、現在、著者がパートタイムの勤務をされている理由がわかる気がする。
Posted by ブクログ
ただひたすらに救急医の凄まじい勤務実態~長時間の連続勤務~を描いた作品です。
著者は消化器内科医だそうですから、作品に登場する小谷という内科医が著者の分身かもしれません。
私も若い頃、結構な長時間勤務をしました。休みは月に1日だけ、休出の土曜も含め毎日終電近くまで残業、日曜日くらいは「定時で帰ろう」、そんな数カ月。肉体的にはしんどかったけど前は向いて居れました。期限は見えてたし、ある種の達成感も有りました。そして不足気味とはいえ毎日一定時間の睡眠は取っていた。それに比べると無茶苦茶ハード。しかも終わりが見えない。
内科医で作家の南木佳士さんは、末期癌患者を見送り続けてパニック障害に陥ったそうです。南木さんもハードな勤務もったようですが、何となく感じるのは精神的な「静かな死」・鬱。それに対しこの救急医は、他の救急病院や仲間が一人一人と過労死で倒れるなか、まるで太平洋戦争中の日本軍の兵士の様に物資もなければ支援もない中、ただ前に進むしかない肉体・精神両面での壮絶な戦闘死(死んでは無いけど)。不眠不休によって思考は完全に混乱しながらも手は手術を続ける主人公。凄まじい表現が読み応えがある。このあたり、流石に芥川賞作家。
ただな~、私の様なヤワな読者としては、物語として、もう少しサイドストーリーや救いが欲しいな。
Posted by ブクログ
地域の基幹病院に掛かっているが、ほぼ予約診療でありながら、待って待って…ものの2、3分で終わる診察。もっと話ししてほしい、聴いてほしい、と不満だが、医師のワークライフバランスに思いを馳せると言えない。
救急医療の大変さは、それどころではないようだ。いっそ病に倒れた方が、死んでしまった方がマシじゃないか、と医師が思うのが不思議ではない過酷な勤務状況の描写。重く苦しい読後。
関西弁がナチュラルで、そこが救いなところ。
Posted by ブクログ
朝比奈秋、ハズレが無い!
やりがいに搾取され、逃げ場のない労働者が、睡眠をもぎ取られるとどうなってしまうか。
それを医師という職業で、表現してくれた、ということだ。
追い詰められた人間がどうなっていくか、公河の内面を追うことで読者に見せてくれる。
恐ろしや恐ろしや。
医師って、子どもたちが目指すいい仕事のはずなんだけど…。直美(ちょくび)もわからなくはないね。
Posted by ブクログ
地方の病院の医者不足の救急医療の地獄のような現実。3日も寝ずにぶっ続けで仕事、何ヶ月も休みが取れず残業300時間、朦朧とした中で手術…賢く生きる医者は辞めていき、責任感の強い医者のギリギリの体力と根性と使命感だけが頼りの限界医療。病人より辛く苦しく、若くして過労死する医者たち。恐ろしい現実。医者同士の本音の会話に引き込まれたが疲労困憊により現実から幽体離脱したような主人公の医師の妄想描写と内蔵の描写が多すぎてそのあたりは斜め読み。日本は簡単に医者に診てもらえてありがたいとか思ってたけど彼らの瀕死の医療の上に成り立っていると思うと本当に心苦しい。でも先日、身内が救急車呼んで入院した時は医師も看護師も「様子なんて見てないですぐに救急車呼んでいいんですよ」とあたたかく親身に診てくれてありがたかった。せめて健康に気をつけて無茶をせず自分でできることはしなきゃなと思う。
Posted by ブクログ
著者は医師だし自身の経験も入ってるから長時間勤務で追い詰められた表現が生々しい。
目に見える景色(現実も妄想も)、体の反応の表現、感情の表れ方
Posted by ブクログ
いやはや、すごい小説だった。これを厚労省の役人とか、大臣とか、医療制度の責任者はどう読むのか?
この数年最も寝ていない外科医公河。同じ市内に三つあった救急医療を担う病院のうち二つが、急患の受け入れを停止した。残ったのは「どんな命も見捨てない」を院是に掲げた公河の勤務する病院だけ。24時間勤務は当たり前、時に四日連続勤務に当たることもある。冒頭、医大の友人ヤナザキが死んだとの連絡を受ける。こちらは産科医。母体と赤子を救うため働き続けて、病院のシャワー室で座ったまま死亡したのだ。背中を立てたまま死ぬ?公河の思考は混濁し、現実と妄想の狭間を行き来する。読んでるこちらも、魍魎とした不可思議な世界に引き込まれていく。
Posted by ブクログ
作者の魂の叫びが描かれた気がする作品。医療現場で本当にこのような状況があるのなら患者としての関わり方も考えなければいけない気がした。「あの本読みましたか?」に出演した時の作者の表情が忘れられない。
Posted by ブクログ
しんど過ぎて途中何度も挫けそうになった
でも極限状態の人間の狂気的な描写はかなりリアルなんだと思う
私の父も外科医で、幼い頃はそれこそ当直もあり、論文書きながら、手術もこなし、幾度となく夜呼び出されて、家族旅行の思い出なんてほぼないし、学校行事に来たことなんて一度もない…結局急逝する2年前、79歳まで医師として仕事を続けたけれど、父が読んだらどんな感想言うだろうなぁ〜とふと思った
Posted by ブクログ
この主人公は、作者ご自身であると決めつけている。
テレビで観た朝比奈さんの印象そのものだった。
医療現場の労働環境がここまで来ているとは。同情なんて申し訳なさすぎるほど。
「一日」という単位の繰り返し。睡眠がその単位を区切っている。
その区切りなく、人の生死に関わらざるを得ない人間。その人たちがいるから安心して「一日」を生きている俺。治してもらわないと困るけど、当たり前と思ってはいけないな。勝手なもんだ。
「何十時間も横にならんかったら、縦に連なった内臓がな、重みで潰れていくんや」
Posted by ブクログ
コロナ禍で地方のいくつかの病院が崩壊した現実があった。今でも、地方では医師不在、救急病院不足の現状がある。
舞台は大阪近郊の総合病院。近隣の病院が次々と夜間救急から撤退、この病院でも医師が次々といなくなり、青年医師の公河は徹夜に次ぐ徹夜で70時間を超える連続勤務で肉体、精神ともに蝕まれていく。
限界を過ぎても断れない救急。患者の命は救われるが、医師の命は捧げなければならないのか。医療との免罪符を手に無数の患者の生命と向き合い続けた罪悪感が精神を追い詰めていく。
私たち全員が向き合うべき現実がここに存在している。衝撃の問題作。
Posted by ブクログ
2025/05/17予約40
本当の話なのか、と思うほど過酷な労働、連続72時間勤務…救急医療をする側のほうが病んでいる。本来の仕事である医師を真っ当な精神、健康状態で行える環境を整えてほしい。もしかすると救急搬送患者を選別することにつながるのかもしれないが、暴走族やヤクザの救急医療を一般の患者と同じように扱うのが正しいのか考える時期に来ているように感じた。
最後まで救いのない本。