【感想・ネタバレ】受け手のいない祈りのレビュー

あらすじ

感染症の拡大を背景に周囲の病院の救急態勢が崩壊する中、青年医師・公河が働く病院は「誰の命も見捨てない」を院是に患者を受け入れ続ける。長時間の連続勤務による極度の疲労で、死と狂気が常に隣り合わせの日々。我々の命だけは見捨てられるのか――芥川賞受賞の気鋭が医師としての経験を元に描いた、受賞後初の単行本。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

本の帯につられて読んだが、あまりにも重く、苦しく、悲しい。この本を手に取るには相応の覚悟が必要に思うが、それでも、この世のすべての人が一度は読むべき本と感じたし、こういった本を本屋大賞に選出すべきと感じた。

本作では、救急医療の現場の実態やそこで働く医師の苦悩がリアルに描かれているだけでなく、所謂カスハラ患者や地方医療の姿、対照的な働き方をする皮膚科女医の様子など、多くの医療現場の要素が詰まっている。その中でも、公河の過労に向かう心境や体調の様子がどうにも苦しく、たびたび読み飛ばしたくなる。また、手術や患者の病態の描き方も細かく(この辺はさすがに著者が医師なだけあると感じる)、医者からの見え方がよく伝わる。

私自身、労働は対価のために行われるものだと信じており、本作はここに尽きると思うのだが、良心や使命感から搾取する労働、本作における医師をはじめとした職業(ほかにも学校教員や官庁職員などが挙げられるか)は、早く労働環境を改められてほしいし、そういったことを行える立場に立って是正していきたいと強く感じる。公河からは節々に医師としての使命感が読み取れるし、医師を志す人の多くはそういった利他的な想いを持っていると思うが、その点を国も患者もそれ以外のすべての人々も理解して、お互いに尊重し合い、守り合える社会にしていかないといけないと思わされる。利他的な精神だけでは世界はまわらない、皆が相手のことを想像して、思いやって生きる、そんな社会になったらいいし、したい。

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2025年05月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

しんど過ぎて途中何度も挫けそうになった
でも極限状態の人間の狂気的な描写はかなりリアルなんだと思う
私の父も外科医で、幼い頃はそれこそ当直もあり、論文書きながら、手術もこなし、幾度となく夜呼び出されて、家族旅行の思い出なんてほぼないし、学校行事に来たことなんて一度もない…結局急逝する2年前、79歳まで医師として仕事を続けたけれど、父が読んだらどんな感想言うだろうなぁ〜とふと思った

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2025年10月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025/05/17予約40
本当の話なのか、と思うほど過酷な労働、連続72時間勤務…救急医療をする側のほうが病んでいる。本来の仕事である医師を真っ当な精神、健康状態で行える環境を整えてほしい。もしかすると救急搬送患者を選別することにつながるのかもしれないが、暴走族やヤクザの救急医療を一般の患者と同じように扱うのが正しいのか考える時期に来ているように感じた。
最後まで救いのない本。

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2025年08月14日

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