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Posted by ブクログ
林芙美子文学賞受賞作がどんな作品なのか気になったので手に取った本。なので併録の「塩の道」を先に読んでから「私の盲端」を読みました。結果的にこの順で読んで良かったと思うのは、「私の盲端」のインパクトが強すぎたからです。
「私の盲端」
オスメイト(人工肛門)をつけることになった女子大生の物語。オスメイトの男にナンパされるところから物語は始まるのですが恋愛物語には一切発展せず、ひたすら大便の話が展開されていきます。確かに、健常な生活を送っていた人間が、突然オスメイト生活になれば、頭のなかを占めるのは便のことでしょう。オスメイトになった衝撃、便の処理、オスメイトとして社会に復帰する日のこと等がリアルに描かれています。こういった人が実際に存在することを知ってほしいという、オスメイトに対する理解は深まりますが、いっぽうで便に対する執着や情熱を感じ、消化器医ならではの視点だなぁと思いながら読みました。便の話というより、便と共存する人間生活の話という印象です。健常者も腸に便を抱えた状態で生活していることに変わりはないけど、そのことを目に見える形で提示し、口から肛門までつながっていることの神秘を謳っているようにすら感じました。
ただ、主人公のバイト先の飲食店の治安の悪さ、ナンパしてきたオスメイト男との交わりなど、そのへんがおそらく伝えたい核の部分だとは思うけれど理解が追いつかず。オスメイト男の過去から現在にいたるまでの苦悩や悟りをちゃんと深く書いてほしいなとは思いました。理解はできなかったけどインパクトが強く最後まで夢中で読みました。
「塩の道」
勤務医として馬車馬のように働いていた医師が、入院病棟のない村で唯一の医師として働く様子が描かれています。医療ものではあるが救命ドラマとは正反対の、看取りのあり方が描かれています。緩和ケア的な感動ものではなく、人が(特に高齢者が)死ぬ時の痛みや汚さをリアルに伝えるような書き方。医療が発達していなかった時代は耐えるしかなかった痛みや不便さに焦点をあてているようにも感じ、医療はどこまで寿命に介入して良いものか等と考えさせられました。ただ、方言がきつく読みにくい部分もあり、「私の盲端」を読んだあとでは頭に文章が入ってこなかったかもしれないとは感じました。主人公の医師は苦悩の末に悟りをひらいたような終わり方ではありましたが、ちょっと理解は追いつきませんでした。
総じて何を伝えたいのかはっきり汲み取れなかったものの(そんなテーマらしきものはそもそも無い?)、書かれている内容はおもしろく、文章も読みやすかったです。
Posted by ブクログ
「植物少女」から「あなたの燃える左手で」を通り 「サンショウウオの四十九日」を読んで、ここまで辿り着いた。朝比奈秋から 逃がれることができない。すっかり どハマり中!ざらりとした手触り感が なんとも言えない読後感で クセになる(個人の見解ですが笑)
人工肛門と共に生きることの戸惑いと衝撃もそうだけど ヒトもまた 生々しい生物なんだなと 認識させられた。「塩の道」は読み始めは 方言についていけなくて(笑)半分過ぎたあたりから するすると わかってきた。それぞれの看取りは それぞれで 正解も不正解もない。
再読したら また 別の思いがでてきそう!
Posted by ブクログ
朝比奈秋のデビュー作「塩の道」と『私の盲端』が収録されている。
まずは『塩の道』から。
読後、事件も事故も何も起こらなかったこの物語だからこそ、生と死が隣り合わせで日常的であった時代の風景が際立つ。
主役は医師の伸夫。舞台は青森の漁村。漁師の生活、死への向き合い方、周りの受け止め方。
赴任する前に勤めた博多繁華街での勤務医生活。青森、博多それぞれ患者の死に際の環境対比。
私たちは文化的な発展により人間的な価値を大きく毀損してきているのかもしれない。かと言ってそれが良いとも悪いとも誰にも語らせず、考えることを促す。
余談だが現役医による患者の苦しむ描写は見事で、こちらまで呼吸が苦しくなった。いや、左鼻がホントに詰まっているだけだった。
次に本書の題名ともなっている『私の盲端』を読んだ。衝撃作です。人工肛門となった女子大生の内面、外面、取り巻く環境を赤裸々につづる。
若干過激な描写もあるが、その筆力たるや恐れ入るる。
熱感、口と肛門、食物と大便、内臓からの解放、内臓がなくなると生きてる実感も失われる、
どこからこの感性がわきでてくるのだろうか。
自分の無知をしる読書
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小説・文芸
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