海外文学作品一覧
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4.0疎外された者の絶望と孤独を優しく照らし、現代社会に問いかける小品集 私たちは生きるのに精一杯で、誰かの痛みに関心を持つことは難しい。でもその痛みはいつか自分に降りかかるかも知れない。困難な時代に痛みが弱者に集中せずに、分散して和らぎ健やかな社会へと向かうには、「他者」の痛みに寄り添う営みが必要だ。無関心は残酷さにも気付けないが、誰かに救われた記憶は、また誰かを救う。傷ついた記憶すべき人々を忘却から引き戻し共感へと引き寄せる、優しくも力強いこの短編たちが誰かの希望となり、強者に押し込められた孤独から、救う者と救われる者を護り照らす一筋の光になることだろう。 【目次】 光の護衛 翻訳のはじまり モノとの別れ 東の伯の林 散策者の幸福 じゃあね、お姉ちゃん 時間の拒絶 ムンジュ 小さき者たちの歌 解説 彷徨う存在の記憶と光(文学評論家・韓基煜) 作家のことば 訳者あとがき
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4.0韓国文学の新シリーズ〈キム・エランの本〉刊行スタート! 《第一弾は、BTSのRMさんも愛読、韓国で17万部の大ベストセラー小説集》 -------------------------------------- タクシー運転手のヨンデは、車内で、中国語のテープを聴いている。 数ヶ国語を話せた、死んだ妻が吹き込んでくれたものだ。 何をしても長続きせず、「家族の恥」と周囲に疎まれ、三十六歳で逃げるように上京した彼は、中国の地方から出稼ぎに来ていた親切な女ミンファと出会い、結婚し、貧しいながらも肩を寄せ合うように暮らしていた。 だが、やがて彼女はがんを患って……(「かの地に夜、ここに歌」)。 裏切り。罪。喪失。悲しみ。 韓国文学の旗手が贈る、哀切な8つの物語。 ——この空の向こうに、幸せはきっとある。 -------------------------------------- 【目次】 ■日本の読者の皆さんへ ■そっちの夏はどう? ■虫 ■水中のゴリアテ ■かの地に夜、ここに歌 ■一日の軸 ■キューティクル ■ホテル ネアックター ■三十歳 ■あとがき ■訳者あとがき
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-アルブケルケ家の家長であり、クラリッサの父親であるジョアン・ジ・デウスの死で幕が開ける、“クラリッサ連作”の第三弾。全ての忌まわしき過去を打ち捨てるべく、生まれ故郷ジャカレカンガを離れ、州都ポルト・アレグレへと旅立つクラリッサとその母親クレメンシィア、それに従兄のヴァスコ。 大きな夢と希望を胸に抱いて、新たな地に身を置くも、そこでの生活は想像を絶する過酷なものであった。若きクラリッサとヴァスコは、醜悪とも言える現代社会を生きる、実に個性的な面々との出会いを通じて、成熟した大人へと成長して行く。 作家エリコ・ヴェリッシモが常々、「この世に不要な人間など存在しない」と声を大にして叫んでいた、全ての人間に対する愛情、同情溢れるメッセージが込められ、その人間模様を見事に描き切った“クラリッサ交響詩”の最終楽章のタクトが、今、振り下ろされる。
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2.0「ロスト・ジェネレーション(失われた世代)の聖書」とみなされ、独特の「乾いた文体」でヘミングウェーが一躍作家としての名声を確立した処女長編。「武器よさらば」とならぶ生涯の代表作。戦争で性的不能におちいった青年ジェイクはパリ暮らしで知り合った仲間とともにスペインを旅し、釣りを愉しみ闘牛見物に興じるが……虚無のまぼろしはいつまでつづくのか。
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3.7時代を超えて読みたい家族の物語 少女の死をきっかけに家族がそれぞれ抱えていた秘密が語られ、一家の深い闇が暴かれる。 死の真相を追うというミステリーの枠組みこそあれ、そこで語られているのは差別によって 心を蝕まれた家族の崩壊と再生の物語である。 舞台は1977年、オハイオ州の架空の田舎町。16歳の少女が行方不明になり、数日後に湖で遺体で発見される。 物語はリー一家を中心に進んでいく。父親ジェームズ・リーは中国系アメリカ人の大学教授。ハーバード大学を 卒業したものの、教職に就いてからも周囲になじめずにいる。そんなコンプレックスから、ジェームズはリディアに「友達と同じように」「周囲にとけこむように」という夢を託し、プレッシャーをかけ続ける。 妻のマリリンは南部出身のブロンドヘアーの白人。医師を志していたが、ジェームズと出会って恋に落ち、 妊娠・結婚。夢をあきらめることになる。マリリンもまた、あきらめきれなかった夢を、自分と同じ青い目を もつリディアに託し、知らず知らずのうちにリディアを追い詰めていた。 長女のリディアは母親によく似た容姿で両親に溺愛される。青い目であっても、黒髪であること、父親が アジア系であることから、周囲にはなじめずにいる。 一方、長男のネイスと次女のハンナは父親ゆずりのアジア人顔だ。ネイスは、父から疎まれ、母から 無視をされ、鬱屈した生活を送っていた。ただ大学入学を機に、ついに家を出ることが決まっていた。しかし、 このことで、お互いを支えとしていたネイスとリディアの関係が変化し、リディアに決定的な暗い影を落とす。 妹のハンナは、家族から相手にされず、常に部屋の隅、机の下に隠れている。だが、誰よりも客観的に家族を 観察し、事件の真相に迫っているキーパーソンでもある。 本書では、章ごとに1950年代の両親のなれそめ、1970年代の現代を行き来し、家族が徐々に崩壊していく 様子が語られる。その語り手も、リー一家が章によって入れ替わり、それぞれの秘密を静かに暴露していく。 終盤ではリディアの語りによって、死の真相が明らかになる。
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4.3インドで両親を亡くし、イギリスに住む親戚に引き取られたメアリ。広い屋敷のなかでひとりぼっちの彼女は、庭を散策するうちに、閉ざされた庭園を見つける。ひょんなことから鍵を手に入れ、世話係のマーサの弟、ディコンと一緒に、その庭の手入れを始めることに。さらに、屋敷内に存在が隠されていたいとこのコリンも加わり、庭の再生に熱中していく。3人が体験した奇跡とは――。世界中で愛される、児童文学の最高傑作。 ※電子特別版として「秘密の花園」(1911年)のもとになったといわれる、短編「青い花の国」(1904年)を収録しています。
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3.9〈「2000年代韓国文学における最も美しい小説」ついに邦訳 〉 「暴力あふれるこの世界で、好きでいられる(もの)なんてほんの少ししかない」 強大な力によってかけがえのない日常を奪われながらも、ひたむきに生きる2人のあたたかで切ない恋物語。 --------- 大都会の中心に位置する築40余年の電子機器専門ビル群。 再開発による撤去の話が持ち上がり、ここで働く人たちは〈存在していないもの〉のように扱われる。 ──弱き者たちに向かう巨大な暴力。 この場所を生活の基盤とするウンギョとムジェを取り巻く環境はきびしくなっていく。 しかし、そんな中でも二人はささやかな喜びで、互いをあたたかく支えあう。 2人が歩く先にはどんな希望が待っているのか……。 --------- 僕は鎖骨のくっきり浮き上がった人が好きです。 そうなんですね。 好きです。 鎖骨がですか? ウンギョさんのことが。 ……あたし、鎖骨とかぜんぜんくっきりしてないけど。 くっきりしてなくても好きなんですから、ほんとに好きなんですよ。 --------- 【目次】 ■森 ■つむじとつむじとつむじではないもの ■口を食べる口 ■停電 ■オムサ ■恒星とマトリョーシカ ■島 ■あとがき ■ふたたび、あとがき ■訳者あとがき
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3.0ノルウェーの新星が放つ 極寒のスリラー! ・高まる恐怖を植え付ける……タイトルどおりの極寒でひりつく物語 ……〈フィナンシャル・タイムズ〉 ・吹雪の中で繰り広げられる『ダイ・ハード』と『アガサ・クリスティ』の猛烈なブレンド ……〈ノルウェージャン・アート〉 北極基地に残された凍死体。 殺人犯はまだそばにいる── 特殊部隊出身の元狙撃手であるアナ・アウネは負傷を原因に軍を辞したのち、父の友人で科学者のダニエル・ザカリアッセンと北極遠征に参加している。ある夜、ふと窓の外を見たアナは、空に打ちあげられた照明弾を目撃する。方角から、中国の極地研究基地〈アイス・ドラゴン〉が発した救難信号だと判断したアナとザカリアッセンは、暴風雪のなか、ホバークラフトでその基地へと向かうが、人の気配はなく、キャビンに足を踏み入れた二人を迎えたのは、何者かに殺されたと思しき十数体の凍結死体だった……
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3.9ぐうたらでダメ男の若旦那バーティーと、とんち男の召使いジーヴス。 世界的に有名なこの名コンビと、オマヌケなビンゴやお節介屋のアガサ伯母さんたちが繰り広げる抱腹絶倒の人間喜劇。
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5.0日系米国人作家によるエドガー賞候補作! 米国で生まれ広島で育ち、戦後帰米した日系二世、元庭師の老人マス・アライ。マスと同じく原爆体験を持つ帰米二世の親友・ハルオが亡くなり、広島の沖合にある小島に暮らす遺族に遺灰を届けるため、マスは50年ぶりに日本を訪れた。そこで彼は、少年が犠牲になる痛ましい事件に遭遇する。小さな島を訪れた異邦人でしかないマスだが、広島で経験した少年期の傷痕を思い出し、14歳で命を落とした少年のために謎を追う。 日系米国人作家が父親をモデルに、15年間にわたって描き続けた「庭師マス・アライ」シリーズ第7作。このシリーズ最終作では、父親の故郷・広島の現代の情景を鮮やかに活写し、さらに複雑なアイデンティティを持つ主人公の頑固爺の内面を見事に描いて2019年エドガー賞最優秀賞(ペーパーバック・オリジナル部門)最終候補作となった。日本のメディアでも話題となった傑作ミステリが、満を持して登場。 (底本 2021年8月発行作品)
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-「戦争」に向かっている国家に歯止めをかけることができるのは農民しかいないとジオノは考えた。 ジオノは暮らしていたマノスクという町の周辺で暮らしている農民のことをよく知っていた。自分で判断して行動するようにと何度も念入りにジオノは注意している。あるラーメン屋が美味しいとマスコミが騒げば、たちまち自称「食通」たちが押しかけ長蛇の列を作る。高級と言われているブランド品をみんなが競ってあさる。大型娯楽商業施設に無数の人々が参集する。軽井沢や嵐山近辺が見どころだと観光業界が宣伝すると、すぐそれに乗せられる人々が後を絶たない。政府の高官が、さあ今こそ反撃を開始しようとタイミングよく声をかければ、まるで羊の群れのように人々は「さあ、戦争だ!」と叫ぶかもしれない。私たちは自分が旨いと思うものを食べ、自分の楽しみは自力で発見したいものだ。桜が美しいのは桜の名所だけではない。道端に枝ぶりのいい桜が咲いていたりするのである。ジオノが指摘しているように、「戦争」に反対することは大変な勇気を必要とする。政府やマスコミに簡単に操られることだけは何としても避けたい。どうしたらいいのか、ジオノの著作は貴重なヒントを与えてくれるはずである。
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5.0
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3.6「わからないじゃありませんか」とベルはつとめて平然としたふりをして言いました。「もしかすると、私に与えられた恐ろしい運命には、それが恐ろしく見えるのと同じくらい幸福なもう一つの運命が隠れているのかもしれませんわ」(本書より) * * * ディズニー映画で有名な「おとぎ話」は、本当はこんな物語だった! 美女と野獣との「めぐりあわせ」に秘められたいくつもの謎が明かされてゆく……森の奥深く、バラに囲まれた魔法の宮殿を舞台に、16歳の美少女ベルと守護妖精たちがくりひろげる華麗なるファンタジー。 本書は、フランスの作家・ヴィルヌーヴ夫人が書いたオリジナル版にもとづいた、本邦初訳の完全版です(1740年の初版に挿絵はありませんが、今回は、ウォルター・クレインの作品を特別収録しました)。世界的に有名なフェアリーテイルであると同時に、醜さと美貌、愚かさと才気、邪悪と善良さなどがキャラクターに属性として与えられ、愛をめぐる考察が行なわれる文学作品。いわゆる民話としてではなく、意識的に恋愛心理を追究した「恋愛論」としても楽しめる一冊です。ヤングアダルト小説の読者にも配慮したルビつき。
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3.5歯なしの若者リー・メロンとその仲間たちがカリフォルニアはビッグ・サーで繰り広げる風変わりで愛すべき日常生活。様々なイメージを呼び起こす彼らの生き方こそ、アメリカの象徴なのか?待望の文庫化!
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3.71831年、英海軍の測量船ビーグル号に同乗したダーウィンが南米大陸沿岸や南太平洋諸島で目にした世界の驚異。進化論へと結実する着想を得た調査記録『ビーグル号航海記』はこの旅で誕生した。その記念碑的著作から動物・人類・地理・自然の記述を抜粋、細密な銅版画を豊富に交えて再編集。『航海記』のエッセンスを凝縮し、世界で愛された1冊。(講談社学術文庫)
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4.0戦時下のパリ。徴用近づく高等学校生のピエールと、絵描きとして家計を助けるリュース。地下鉄車内で出会った2人は、ドイツ軍の爆撃に遭遇し、とっさに手を握り、惹かれあう……。若い男女の清純な恋愛が、醜く恐ろしい戦争の現実と、あざやかなコントラストをもって描かれる。第一次大戦下に執筆され、1920年に発表された。ノーベル文学賞作家が紡いだ、100年読み継がれる「初恋・悲恋」の物語。映画『また逢う日まで』の原作、ガラス越しのキスシーンで話題に。(1950年東宝、今井正監督、主演:岡田英次・久我美子) ●目次 ピエールとリュース 解説(渡辺淳):(1)ロラン理解のために~ヨーロッパの良心、ロマンロラン~ (2)『ピエールとリュース』について あとがき(渡辺淳):新版のために 付録:『ピエールとリュース』復刻に際して
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-愛弟子ハイコがベルリンの壁で逃亡者を射殺……。壁崩壊後のチームの運命は? 現代ドイツを証言する,あるサッカーチームの名もなき監督によるモノローグ。一貫して旧東ドイツを描いてきた新進気鋭の作家ブルスィヒがはなつ,二十一世紀の新しいドイツ文学。著者による,日本の読者へのメッセージも収録。 本書は2002年刊行の『ピッチサイドの男』のプリント・オンデマンド版(2021年4月刊)を底本とする電子書籍版です。
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3.9星がきれいなある夜、突然ウェンディの部屋に現れたピーター・パン。彼らは妖精ティンカー・ベルの魔法の粉を身体にふりかけ、ネバーランドへと飛び立ちます。行き方は、二つ目を右に曲がったら、そのまま朝までまっすぐ! さあ、海賊のフック船長、人魚、人食いワニが待つ大冒険の始まりです。永遠に年を取らない少年と、やがて大人になってしまう少女の、切なくも楽しい物語。
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4.3※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 (ファウスト)俺の喜びはただこの大地から生まれこの世の太陽だけが俺の悩みを照らすのだ。(メフィスト)それならためらうことはない。さあ契約だ。……地上にある限りの日々……人間がまだ見ぬものを見るのです。神ならぬ人間の身で世界のすべてを究めたい欲求に憑かれたファウストは、悪魔メフィスト―フェレスと契約を結ぶ。文豪ゲーテ畢生の対策が柴田翔の躍動する新訳で甦る。
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-ファウストは学問と知識に絶望して、悪魔のメフィストフェレスと契約をかわして魂を売りわたし、その見返りにすべての地上の快楽を手に入れ、享受しようとする。ファウストは秘薬を手に入れて若返り、マルガレーテとの恋を成就するが…(第1部)。マルガレーテの処刑からくる自責の念からよみがえったファウストは、皇帝の城、古代ワルプルギスの夜、ヘレナとの家庭生活など、次々に生命の諸相を体験する。やがて人生の〈たそがれ〉を迎えたファウストは盲目のなかで自分の大事業を見とどけようとしながら、思わず「時よ、とどまれ」と口にする(第2部)。ゲーテが60年の歳月をかけて完成した欧米文学の記念碑。ゲーテも賛嘆したドラクロワのリトグラフ挿絵16点入り。
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-不朽の大作を、読売文学賞を受賞した翻訳史上画期的な名訳で贈る。第一部第二部の合本版。 (第一部) あらゆる知的探究も内心の欲求を満たさないことに絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと魂をかけた契約を結ぶ。巨匠ゲーテが言葉の深長な象徴力を駆使しつつ自然と人生の深奥に迫った大作。訳者による解説「一つの読み方」を付す。 〈巻末エッセイ〉河盛好蔵・福田宏年 (第二部) 無垢な少女グレートヒェンを悲運のどん底に落とし心身ともに疲れきったファウストは、しかし「最高の生き方をめざして絶えず努力をつづけよう」と決意する。第一部の執筆後、二十年以上の休止を挟み、死の前年に完成に至った壮大な戯曲の第二部。 〈巻末エッセイ〉中村光夫
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-ゲーテの生涯をかけた大作。高名なわりに読み通した人が多くないのは、韻文で書かれた戯曲という形式上の制約からといわれる。本書は、原作のもつ重厚さ失わず、読みやすい「物語」にまとめて好評を博した作品。
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3.7人が自分の体を生きることの居心地のわるさを描き出した、注目の作家モナ・アワドのデビュー作。 宇宙はわたしたちに冷たい。理由はわかっている。 インディーズ音楽とファッションをこよなく愛す主人公のエリザベス。特別な人生は望んでおらず、ただ普通にしあわせになりたいだけ。けれど高校でも大学でも、バイトをしても派遣社員となっても、結婚しても離婚しても、太っていても痩せていても、体のサイズへの意識が途絶えることはない。自分と同じ失敗をさせまいとする母親、友だちのメル、音楽を介してつながったトム、職場の女性たち……。彼らとの関係のなかで、傷つけ、傷つけられ、他者と自分を愛する方法を探してもがく。 【目次】 宇宙にさからう時 最大のファン 全身写真 そんなことなら わたしの嫌いなあの子 それって欲張り 母にとってのセクシーな人 Fit4U あの子はなんでもしてくれる フォン・ファステンバーグとわたし カリビアン・セラピー アディション・エル 海のむこう 謝辞 訳者解説 【著者】 モナ・アワド 1978年カナダのモントリオール生まれ、ボストン在住。ブラウン大学、エディンバラ大学、デンヴァー大学で創作と英文学を学ぶ。現在はシラキューズ大学で創作を教えている。デビュー作品集『ファットガールをめぐる13の物語』に続くポップでキュートな怪作Bunny(2019年、未邦訳)は、The Ladies of Horror Fictionベスト作品賞受賞。2021年8月に第3作All's Well が刊行予定。 加藤有佳織 慶應義塾大学文学部准教授。アメリカやカナダの文学、世界各地のカッパ(的な存在)に関心がある。共著に『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房、2020年)、翻訳にトミー・オレンジ『ゼアゼア』(五月書房新社、2020年)。 日野原慶 大東文化大学にてアメリカ文学を教えている。「身体」「自然」「環境」「廃棄」「排泄」などに関心があり、それらにつながる現代のアメリカ小説や、ノンフィクション作品(とくに自然や環境をテーマにしたネイチャーライティングや、病や体をテーマにしたエッセイなど)を研究している。共著に『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房、2020年)。
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3.0加害者告発に加え、否認した母と傍観者だった自分も性虐待に加担していたという自責から書かれた本は他に類を見ない。まさに震撼の書である。――信田さよ子 ■本書の内容 30年前、わたしの双子の弟を性虐待したのは、誰もが敬うエリート学者の「継父」だった。そして、現実から目を背け、わたしたち姉弟を糾弾したのは、誰よりも自由と解放を重んじたはずのフェミニストの闘士、母だった――。 1980~90年代、自由礼賛の名の下に、左派インテリの両親はわが子の人生を支配した。「継父」による加害が発覚したあとも、周囲の大人たちは(ひとりを除き)目をつぶり、告発しないことを選んだ。その共謀の過程で、子どもたちは名ばかりの同意と沈黙を強いられてきたのである。 著者は、傍観者としての、小さな加担者としての罪悪感を見つめ直し、苦悩の記憶を掘り起こしながら、文学的努力を払い、その経験を言語化する。 実父は「国境なき医師団」創設者のひとり、叔母はトリュフォー監督も認めた有名女優、母も継父も著名な言論人ということもあり、2021年1月の原書出版時にはフランス中に激震が走った。本が出版された1週間後には、「#MeTooInceste」というハッシュタグで8万件ものツイートが流れ、マクロン大統領が「子どもに対する性犯罪」の対応に関して声明を発するまでに至ったという。 本書は、被害がなかったことにされる構造と、沈黙にともなう罪悪感をありありと表現した一冊だ。フランスで32万部突破、海外版権15か国の話題作、ついに邦訳。
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-著者ピーター・ミルワード氏は『ファンタジーの七つの時代』において、イギリス文学におけるファンタジーの伝統を、西洋の歴史をたどりながら探求しています。 本書は以下の各章で構成されています。 プロローグ ファンタジーという別世界 第一章 創造と壊滅のファンタジア 第二章 神話のふるさと 第三章 妖精物語のファンタジー 第四章 聖杯探求 第五章 ルネサンス・マジック 第六章 楽園喪失から新しきエルサレムへ 第七章 ナンセンスの世界 エピローグ 現実への回帰 『ロード・オブ・ザ・リング』や『ナルニア国物語』、『不思議の国のアリス』など、今日、映画化されて人気のある、有名なファンタジーの作品も登場します。こういったファンタジーが、イギリスという国で育まれた文化・宗教を背景にしていることについて、本書はわかりやすく解説しています。また、英文学研究者の方だけでなく、幅広い層の読者の方に親しんでいただけるよう、各章の人物・歴史的事項・作品に関する注が訳者によって付けられています。
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-「現実」が厳しければ厳しいほど、人びとのファンタジーが花開く場所はメルヘンの世界以外にはない。メルヘンは生や死、哲学的命題まで簡単な表現で提示する。「グリム童話」のあまり知られていない話から想像力の意味を探る。 【目次】 第1章〈しあわせ〉のゆくえ (1)「しあわせハンス」 (2)「漁師とその妻」 (3)「六人の家来」 第2章 兄と弟のはなし (1)「命の水」 (2)「唄う骨」 第3章 愛と憎しみのかなた (1)「お墓へはいったかわいそうなこぞう」 (2)「親不孝なむすこ」 第4章 かぎりないユーモア (1)「ものぐさ三人兄弟」 (2)「おいしいおかゆ」 (3)「もの知り博士」
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-この一冊で見渡す作品世界――。 若くして洞察に富むデビュー期の輝き、早すぎる晩年の作ににじむ哀切。 二十年でついえた作家としてのキャリアの中で、フィッツジェラルドが生み出した幾多の小説から、思い入れ深く訳してきた短篇を村上春樹が厳選。「エッセイ三部作」を加えたベスト十作を収録。
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4.6痛くて、おかしくて、悲しくて、愛しい。 50人のドラマが、あやとりのように絡まり合う。 韓国文学をリードする若手作家による、めくるめく連作短編小説集。 ものがたりの楽しさに満ちた、韓国小説の新シリーズ創刊! (訳者あとがきより) 家族のように近い関係ではなく、すれ違う程度の人々、良き隣人たちの存在が社会においてどんなに重要かを著者は描きたかったのだろう。 還暦を前にした母親である訳者にとっては、お嫁さんのけがに心を痛めるチェ・エソン、 初の就職でダメージを受けた娘を思いやるイム・チャンボクの二人はまさに同僚、 もう一歩進んで同志のように感じられたし、読む人の立場によってそれぞれに、 忘れられない「人生の同僚」を見つけることができるだろう。
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-製粉工場ができて利用されなくなった風車小屋のなかで、粉ひきじいさんが壁土をひいていたという「コルニーユ親方の秘密」、あばずれ女と結婚した青年が、女をもとの情夫に連れていかれて、女を思い切れずに自殺するという「アルルの女」など、プロバンスを舞台にした情趣あふれる24の短編からなるドーデの代表作。
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4.0自称台湾人の詐欺師による架空の台湾・日本紹介。広く読まれ18世紀の極東認識や『ガリヴァー旅行記』にも影響を与えた世紀の奇書。
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-初老のフォーチュン氏は宣教師として南の島に行くが布教はままならず、美少年ルエリだけが改宗者となった。二人は幸福な日々を過ごすが……。20世紀イギリス小説個性派セレクションシリーズの第2弾。
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3.7北には山脈が横たわり、海ほどもある湖をぐるりと囲んでいる森。そのまん中に穴がひとつ、口をあけている。ある日、大きな兄と小さな弟がその穴に落ちてしまった。深さおよそ7メートルの穴からどうしても出られず、何か月も木の根や虫を食べて極限状況を生きのびようとする。外界から遮断された世界で、弟は現実と怪奇と幻想が渾然一体となっためくるめく映像を見はじめる……。どうして兄弟の名前と年齢が明かされないのか。なぜ章番号が素数のみなのか。文章に織り交ぜられた不思議な暗号が示すものとは。著者によって綿密に構成され、さまざまな寓意に彩られた物語は、読後、驚愕とともに力強い感動をもたらす。暗黒時代を生きる大人のための寓話。
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4.0※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 大好評、そしてロングセラー『魔女の薬草箱』の姉妹本がついに登場しました。 今回は「薬草」を縦糸に、「魔女・グリム・伝説・聖書」を横糸に構成した内容です。 「魔女」やさまざまな「伝説」が生み出された背景を「薬草」をキーワードに解き明かす、ちょっと風変わりな文化考。 目次 第1章 グリム童話 魔女と薬草 1「白雪姫」──白雪姫の継母は魔女か・セイヨウリンゴ 2「ネズの木の話」──甦りの木・セイヨウネズ 3「いばら姫」──「賢い女」は魔女か・イヌバラ 4「六羽の白鳥」──呪いを解く草花・ハナニラ/アストランティア・マヨール 5「ラプンツェル」──金髪の娘と魔法使いの女・フェルトザラート 6「ホレおばさん」──祝福されたニワトコの木・セイヨウニワトコ 第2章 ドイツの伝説 魔女と不思議な植物 1「ドリュベックの若者」──ヴァルプルギスの夜と薬草・魔女草 2「魔女ヴァーテリンデ」──薬草摘みの乙女 3「アルラウネ」──フィクションになった植物・マンドラゴラ 4「コルヴァイ修道院のユリ」──死とつながる花・ユリ 5「ジークフリートの死」──竜の血とボダイジュの葉・ セイヨウボダイジュ 第3章 聖書 古い時代の植物 1 雅歌 ──ザクロの片割れのような頬・ザクロ/ナルド/没薬/乳香/ヘンナ 2 過越祭 ──最後の晩餐のメニュー・ホースラディッシュ(セイヨウワサビ)/ニガヨモギ/クレソン(オランダミズカラシ) 3 十分の一税 ──支払いは薬草で ハッカ/イノンド(ディル)/ウンコウ(ヘンルーダ)/クミン 附録・ドイツの薬草園と魔女迫害の跡地を訪ねる 薬草園 1 修道院の薬草園 ミヒャエルシュタイン修道院/メムレーベン修道院/ベネディクトボイエルン修道院 2 大学の薬草園 ヴュルツブルク大学植物園/ハンブルク大学植物園/ベルリン自由大学植物園 3 薬事博物館 ハイデルベルク薬事博物館/インゴルシュタット薬事歴史博物館 4 ヒルデガルトの薬草園 魔女迫害の跡地 魔女の塔(1)ゲルンハオゼン 魔女の塔(2)イトシュタイン 魔女の牢獄 エッシュヴェーゲ 魔女の家 バンベルク ドイツ最後の魔女裁判の地 ケンプテン
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-「聖書」、「マザーグース」、「シェイクスピア」と並んで、イギリスで最も多く読まれている作品の1つである「不思議の国のアリス」。 140もの言語に翻訳され、現在も世界的人気を誇る。 児童文学の伝統を打ち壊した珠玉の作品を原文完全収録! しゃべる白ウサギを追いかけたアリスが不思議な国に迷い込んでゆく……。 目次 1.作者について 2.代表作 3.時代背景 4.『不思議の国のアリス』について 5.あらすじ ALICE'S ADVENTURES IN WONDERLAND CHAPTER I. Down the Rabbit-Hole CHAPTER II. The Pool of Tears CHAPTER III. A Caucus-Race and a Long Tale CHAPTER IV. The Rabbit Sends in a Little Bill CHAPTER V. Advice from a Caterpillar CHAPTER VI. Pig and Pepper CHAPTER VII. A Mad Tea-Party CHAPTER VIII. The Queen's Croquet-Ground CHAPTER IX. The Mock Turtle's Story CHAPTER X. The Lobster Quadrille CHAPTER XI. Who Stole the Tarts? CHAPTER XII. Alice's Evidence
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 嵐の中で双子のきょうだいを亡くした、琴の名手オルフェスの愛情物語。
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4.0大人気パラノーマル、物語の転換点! パラノーマル・ロマンス〈超能力者(サイ)=動物に変身できる種族(チェンジリング)〉シリーズ第13弾! 〈アロー部隊〉に所属する瞬間移動者(テレポーター)のヴァシックは、暗殺者としての過酷な任務を果たすなか、いつしか死の安らぎを望むようになっていた。そんな彼に、実験のため集められた共感能力者(エンパス)たちの護衛という新たな任務が与えられる。ヴァシックが担当することになったアイビーは、能力の高まりのせいで再度の条件づけを経験しながらも自我を保ってみせた強い女性だった。その輝きに触れて、彼の凍てついた心は溶け始める。
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-シチリア王レオンティーズは親友ポリクサニーズを少しでもながく自分の宮廷に引きとめておこうとして、妻のハーマイオニにその説得役になってくれと頼む。だが妻がやっとそれに成功した時、王の心には、はげしい嫉妬が芽生える…そして思いもかけぬ破局が。シェイクスピア晩年の「和解」の物語。
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-妖精・怪奇・幻想三部作のひとつ。「変身譚」「愛」「嫉妬」「試練」「不思議な動物」「妖精」「プシュケ神話」の7章からなる。フランス民話はペローの童話で有名だが、炉辺で語られる民話は民衆のしたたかな想像力の裾野の広さを示す。
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-ネロとパトラッシュの愛と感動のお話。ベルギーのフランダースという片田舎。画家のルーベンスに憧れるネロ。しかし貧しいネロはお金を払って絵を観ることができません。唯一の希望はクリスマスに自分の絵が選ばれること。しかし……涙とともに、心が洗われるような美しいお話。