表題を含め5編の中短編が収められている。
ほぼ私の世代の筆者は、本業が映画監督。
訳も含め、かなり読み易い文体、映像の感覚が随所に見られるの画、筆者の本業と分かり納得。
南北分断と朝鮮層を経て、20世紀後半以降の韓国の世情に渦巻くイデオロギー、中産階層の空気感が核となっている。
特に表題の作品が然
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川辺に佇む鹿の姿・・・あたかも山水画を思わせる・・が装丁のどす黒さ、退廃感は??
筆者の狙いが現れている~20世紀泣かばよりくに破れて山河在りき様となった国情。
国を興すべくシャカリキとなった韓国・・中産階級が住むマンション群が鹿川に立ち並び、それはあたかも「糞尿痰」の上に屹立した建物。そこを対比させる筆者のアイロニカルなテクニック。
他4遍も老若男女を配置し、個性豊かな人物像が描かれた佳作。
惜しむらくは読み易さがゆえに、霞がかったままと終わり、スクリーンで見せたような監督業の技はマイナス評価。