【感想・ネタバレ】鹿川(ノクチョン)は糞に塗(まみ)れてのレビュー

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Posted by ブクログ

鹿川は糞に塗れて
韓国映画界の巨匠イ・チャンドン監督が30年前に書かれた小説の翻訳版
その時代も今も続く南北分断、独裁政権下の学生達、急激な経済成長の元に暮らす人々の淡々とした様子が、思っていた以上に読みやすく描かれている

初めて見た韓国映画はイ・チャンドン監督の
『초록 물고기』
以来、
『박하사탕 ペパーミントキャンディ』
村上春樹『納屋を焼く』を原作とした『버닝 バーニング』
監督の映像の原点を文字で追うことで、その絵が広がって見える

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2024年03月20日

Posted by ブクログ

表題を含め5編の中短編が収められている。
ほぼ私の世代の筆者は、本業が映画監督。
訳も含め、かなり読み易い文体、映像の感覚が随所に見られるの画、筆者の本業と分かり納得。

南北分断と朝鮮層を経て、20世紀後半以降の韓国の世情に渦巻くイデオロギー、中産階層の空気感が核となっている。
特に表題の作品が然り。
川辺に佇む鹿の姿・・・あたかも山水画を思わせる・・が装丁のどす黒さ、退廃感は??
筆者の狙いが現れている~20世紀泣かばよりくに破れて山河在りき様となった国情。
国を興すべくシャカリキとなった韓国・・中産階級が住むマンション群が鹿川に立ち並び、それはあたかも「糞尿痰」の上に屹立した建物。そこを対比させる筆者のアイロニカルなテクニック。

他4遍も老若男女を配置し、個性豊かな人物像が描かれた佳作。
惜しむらくは読み易さがゆえに、霞がかったままと終わり、スクリーンで見せたような監督業の技はマイナス評価。

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2024年02月09日

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