作品一覧 2014/10/24更新 人間和声 試し読み フォロー 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~ 試し読み フォロー 1~2件目 / 2件<<<1・・・・・・・・・>>> ブラックウッドの作品をすべて見る
ユーザーレビュー 人間和声 ブラックウッド / 南條竹則 昔ちょっと音楽の勉強をしていたから、和声?人間?とタイトルに目を引かれたのが出会いだった。紹介文によるといわゆる幻想怪奇小説という類の物語らしい。あまり馴染みがない。きっとどうせ完読できないだろうという弱気から手に取るまで時間がかかったが、色々と偶然の後押しもあって読んでみたらとても面白かった。ま...続きを読むずはその達成感が嬉しい。 主人公はロバート・スピンロビン、二十八歳。彼は何か大いなる物に憧れ、魂の真の冒険を求めている夢想家だが、臆病さゆえに自ら行動を起こすことはできず、そんな自分の卑小さ平凡さを恥じる謙虚さはきちんと持ち合わせているというところがまた可愛らしくもある、そんな人間である。彼はある日、次のような謎めいた求人を見つけ、胸躍らせて応募した。 〈勇気と想像力ある秘書求む。当方は隠退した聖職者。テノールの声とヘブライ語の多少の知識が必須〉。 さてその仕事とは?この聖職者は一体何をしようとしているのか?これが「幻想怪奇」の一番のあんこの部分であることは間違いなく、そのドキドキが推進力となってずんずん読み進んでいく。正直、情景描写については幻想が過ぎて何だかよくわからないところもそこそこあったが、それでも気にせず薄目で読んでいけるほど、スピンロビンという人間の心理描写から目が離せなかった。 非凡な聖職者スケール氏と出会って、彼に心酔していくスピンロビン。しかもその偉大なるスケール氏の偉大なるプロジェクトに、取るに足らないちっぽけな自分が必要とされているのだ。父親のような威厳と愛情とに満ちた態度で自分に接してくれるスケール氏の期待に応えようと、懸命に仕事に打ち込むスピンロビン(こういうとこ可愛い)。ホームズにワトソンみたいな敬愛関係が築かれてゆく。 スケール氏の仕事には、他にも二人の女性が関わっている。スピンロビンがテノール、スケール氏がバスであるならば、アルトとソプラノの人物も当然必要なのだ。人里離れた荒野の屋敷におけるこの男女四人きりの生活を続けていくうちに、スピンロビンの心境にも徐々に変化が訪れる。スケール氏の恐るべき仕事が着々と完成に近づいていくなか、愛すべきスピンロビン君はハムレットさながらに思い悩む、これが見どころだ。幻想怪奇小説の形をしてはいるけれど、実は単純なボーイ・ミーツ・ガールの物語だ、とも言える。 ちなみに原題は”The Human Chord”で、辞書的にはchordは和音で和声はharmonyなのだそうだが、スケール氏の思想はピタゴラスの考えた「天球の音楽」(宇宙は音楽を奏でている、それがこの世の調和すなわちハーモニーを作り出している、という説)を思わせるところがあるので、邦題の「和声」が却って適切なのかもしれない。 Posted by ブクログ 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~ ブラックウッド / 南條竹則 「幻想怪奇」という言葉に惹かれて。 一つ一つの話が「アレは何だったんだろう?」という後味の悪さを残して終わっていく。特に表題作「秘書綺譚」のアレは何だったろう?感が凄い。こういう引っかかる感じが、本読みにはたまらない。 確かに幻想怪奇な傑作が詰まった素晴らしき1冊。江戸川乱歩が絶賛しただけあるな...続きを読むぁ…。 Posted by ブクログ 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~ ブラックウッド / 南條竹則 百年前の作品なんて信じられないです。 最近は妙に凝った作風のものが多いせいか、こうあっさりとしたプロットなんだけど文章力で勝負! ていう作品がひどく新鮮でした。 本当に面白い。 じっくりと読みたいって思っていたのに、この後どうなる? で、どんどんページをめくってしまい、すぐに読み終えてしまいました。...続きを読む 古典文学に分類される作品ですが、新訳だからか読みやすかったです。 Posted by ブクログ 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~ ブラックウッド / 南條竹則 全編面白かった! 100年前の作品なのに、全てやりきっている。ジム・ショートハウスを主人公とした短編が全て入っていたのがありがたい。この本には収録されていないが、ジョン・サイレンスを主人公にした作品の方が有名らしいので、それも読んでみたいと思った。 が、果たして翻訳されてるのか…? Posted by ブクログ 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~ ブラックウッド / 南條竹則 「空家」は何度読んでもゾクゾクします。 ビジュアルではなく、音や触感で感じる恐怖。 私にとっては最高傑作です。 けれど他のどの作品もブラックウッドらしい美しくもの悲しい雰囲気の中、恐怖や不思議が絶妙に描かれていて読みごたえがあります。 Posted by ブクログ ブラックウッドのレビューをもっと見る