小説 - 講談社作品一覧

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  • 風は思い出をささやいた
    -
    望郷の詩人・おのちゅうこうが、郷里の赤城山麓で過した幼い日の思い出を活写した、土の香り豊かな珠玉の連作集。「母と木イチゴ」「一年ぼうずの先生」「村のおばけ」「もらいぶろ」「イヌと少年」「カモシカの話」「町っ子の冬子」「こぶ吉さん」「おとなのうそ」「きびしい父の目」など16編。ほかに姉妹編の代表作『氏神さま』も収録。野間児童文芸推奨作品賞受賞作。
  • 風は緑に
    5.0
    外国映画会社宣伝部の一雄とTV局報道部勤務の圭助をめぐってる、ファッション・モデルの彩子、アナウンサーの三千代、幼稚園の先生の牧子たちとの恋模様。だが、牧子はアメリカ文学者と不倫し、彩子を狙うスポンサーが現れて……。華やかな都会の第一線で活躍する男女の、恋愛の苦悩と情熱を描いた、青春の感動的ロマン!
  • 風物語
    4.5
    30年ぶりの同窓会で再会した男女の心境は? 人生の哀歓を描く秀作集。連作短編12編。人生をそよがす風の妙。大人の寓話――中学時代、ほのかな恋ごころを燃やした美少女がいた。都会から田舎の中学へ転校し、再び都会に去った少女に対して、少年は一度だけ直接話しかける機会があったが、結局、何も話せない。そしていま、30年ぶりの同窓会で、男は女にそれを語ってみると……。時は風、風は人生。さまざまな人生の哀歓を巧みに描き出す、大人の寓話集。
  • 風よ聞け 雲の巻
    3.0
    幕末の嵐を駆けぬけた名剣士・伊庭八郎の面影――政権を朝廷に返上した徳川幕府が鳥羽伏見の戦いに敗れると、東征軍は江戸へ進撃を開始した。うろたえ騒ぐ人々の中で、江戸侍の見事な典型、心形刀流の名剣士・伊庭八郎は、信念に従って抗戦派に身を投じる。彼を慕う幼馴染の千遠、稲本楼の小稲など、女たちにも押し寄せる維新の激流。書下ろし長編小説。
  • 風よ雲よ(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    明朝末期のマカオ、美丈夫の野心家・鄭芝竜と、豊臣の遺臣・安福虎之助との運命の出会い。風雲児の生涯を描く壮大なロマン――東に虎視眈々と機を窺う満洲族、西に流賊・李自成軍が迫る明朝末期、中国南部の港町・マカオで、二人の男が運命の出会いをした。美丈夫の野心家、生れながらの統領の器、鄭芝竜と、大坂落城時、脱出して蘇州の大商人の用心棒となった長身の浪人、安福虎之助である。壮絶な乱世に、南海制覇の野望に燃える男と、夢と生き甲斐を大陸に求めた男の人生の軌跡を描く、歴史長編。<上下巻>
  • カゼヲキル(1) 助走
    3.8
    1~3巻1,155円 (税込)
    山根美岬は、タータンのトラックさえ走ったことがない、田舎の中学2年生。しかし、自然に鍛えられた天性のバネを密かに見込んだ男がいた。はたして美岬は、世界と互角にたたかっていける逸材なのか!? 才能豊かな仲間たちとの出会い。初めて芽生えたライバル心。そしてほのかな初恋。いつかきっと追いつきたい! 追い抜きたい!! アスリートとしての自覚と、勝利への執着心を得るまでを描く「助走」編。
  • 風を見た人(一)
    -
    1~5巻660円 (税込)
    強い季節風の吹き下す、新潟県の石曾根で生れた真崎ちよは、幼い頃に父を失い、貧しい娘時代を過す。しかし、不幸な青春の中にあって恋を知り、やがて妊娠する。だが、愛する男は軍隊におり、男の両親はその責任から逃れようとする。「別れ」の人生を送ってきたちよが、誰にも恥じない陽の下道を選んで生きようとする、哀切きわまりない長篇ロマン。<全5巻>
  • 仮装行列
    -
    旧華族との交渉を懸念する父のすすめで、滝沢一郎と婚約した田所真木子。真木子の義父・憲介は、東洋美術館長で、重要文化財審議会の委員をしている。旧華族の東照寺公一は、徳之内元伯爵家の相続人・摂子とブルー・セックスに耽っているが、真木子の婚約を知ると、掌中の珠を失う思いに悩む。二人の結婚に執念を燃やすのは、元伯爵夫人・徳之内津留で、一郎の父・滝沢代議士は、大名華族の元家令である。この政略結婚のかげには、徳之内家所蔵の国宝絵巻屏風をめぐる、母娘の醜い争いが隠されていた……。真木子をめぐる、仮装行列さながらの上流社会の虚偽と性の腐爛を描いた大作。
  • 仮装人物
    値引きあり
    -
    仮装舞踏会で被せられたサンタクロオスの仮面の髯がマッチを摺るとめらめら燃えあがる、象徴的な小説の冒頭。妻を亡くした、著者を思わせる初老の作家稲村庸三は、"自己陶酔に似た"多情な気質の女、梢葉子の出現に心惹かれ、そして執拗な情痴の世界へとのめり込んでゆく。冷やかに己れのその愛欲体験を凝視する"別の自分"の眼。私小説の極致を示した昭和の名作。第1回菊池寛賞。
  • 家族会議
    値引きあり
    -
    東京の兜町で株式売買をする重住高之は、大阪の北浜の株のやり手仁礼文七の娘泰子に心惹かれている。だが、――文七はあくまで高之に熾烈な仕手戦をしかけて止まない。金の絡みと高揚する恋愛の最中、悲劇は連続して起こる。資本が人を動かし個人が脅かされる現代に人間の危機を見、「純粋小説論」を提唱実践した横光利一が、その人間崩壊を東と西の両家の息づまる対立を軸に描いた家庭小説の傑作。
  • 家族が「がん」になったら 誰も教えてくれなかった介護法と心のケア
    4.0
    家族だから悩むこと 家族だからできること――家族は、患者さんのいちばんの味方です。だからといって、すべてを抱え込んで悩んでは、つらいもの。病院の選び方や移り方、衣食住でのちょっとした工夫、病人の気持ちへの寄り添い方、そして、家族自身の心のケア。自らも母親の介護を経験したホスピス医が、病院では教えてくれない、具体的な本音のアドバイスを贈ります。
  • 家族善哉
    -
    1~2巻660円 (税込)
    このオカンに感動! 愛に満ちた笑撃小説――母親がナント、娘と同じ高校の同級生に!?  大阪で暮らす咲子は、高校時代に妊娠、結婚。再び高校に通い始めたが、高2の娘・美佐緒が恋した男子との三角関係に! そして、家には幼子を連れたかつての友達が転がり込んできて……。男気溢れる夫や初恋に揺れる息子も巻き込んだ、ユーモアいっぱいのナニワ人情物。
  • 家族の神話
    -
    野々村英が5歳の時、両親は離婚した。12年後、高3になった英は、スペイン料理店を営むまだ若く美しい母にうっとうしさを覚えている。母と子の微妙な隙間に女子大生・亜紗子が入って来た。英は母に内緒で彼女と同棲する。一方で、記憶の底に潜む幻であり憧れである父との、皮肉な再会が実現するのだが……。家族とは、都会人とは? 文化的で猥雑な時間の洪水のなかで豆粒的に生きる家族を描く。
  • 家族の晩餐
    -
    弓岡愛子、高校2年生。母亜美子、38歳。母娘二人暮し。愛子は毎月第一日曜日に実父(パパ)とデイトする。だがこのデイトは、もはやメルヘンではなく、陰惨さを帯び始めてさえいるのだ――家族という大都会の中のもっとも小さな単位。そこにも葛藤があり事件がある。その日常の模様を、都会の中の母娘の微妙な関係を、愛情こめて描く長編メッセージ小説。テレビドラマ化も。
  • 家族はつらいよ
    3.2
    長年連れ添った妻の誕生日の夜、平田周造は離婚届を突き付けられた。翌朝、犬の散歩に出ようとすれば、次男は結婚したい相手がいると言い出し、家に戻れば長女が亭主と別れたいと泣いている。二世帯住宅で開かれた家族会議は予想もしない展開に!? 「男はつらいよ」から20年、山田洋次監督の待望の喜劇を、「東京バンドワゴン」の小路幸也が小説化!
  • 家族物語(上)
    -
    男と女は、どのような深い縁で夫婦となるのか? ――京都の織物会社の社長・並木啓一郎は、自然の美しい嵯峨に穏やかな家庭をもっているが、取引先の女性・ゆかりに、秘かな愛情を感じていた。しかしゆかりは、婚約者の自殺で、心に深い傷を負っていた。啓一郎の妻・真穂は、夫への不信に苦しみ、脳溢血で倒れてしまう。夫婦の絆は危うく切れそうになるが……。<上下巻>
  • 時限
    値引きあり
    3.5
    1~2巻462~712円 (税込)
    枯山水を望む老舗呉服屋の別邸で、若い女性の首吊り死体が見つかった。京都府警五条署の片岡真子(まこ)は、遺体の首筋に不可解な扼殺痕(やくさつこん)があると知り捜査を始める。遺留品と女性の過去から容疑者が絞られていく中、真子はある“時限(タイムリミット)”に挑まなければならなかった。女性刑事の情熱に絆(ほだ)されるカウントダウン・サスペンス!
  • カタナなでしこ
    3.7
    16歳女子高生が日本刀製作に挑む、青春小説!祖父の形見分けで蔵整理に駆り出された高校生の千鶴。そこで見つけたのは、一振りの刀身だけの日本刀だった。そして夏休み、千鶴は同級生の紗和子、鏡美、音々と一緒に、無くなってしまった「刀の拵え」を創作することになる。好きなことも嫌いなこともバラバラな四人の女子高生が"初めて"に挑戦する青春小説。
  • カタブツ
    3.7
    まじめさゆえに窮地に陥ってしまう愛すべき隣人たち。どこかで身に覚えのある危うい心、共感せずにはいられないミステリー集ーー家庭がありながら運命的な出逢いをしてしまった二人、人の世話ばかり焼いてしまう癖を恋人に咎められる青年、息子が事故に遭遇しても足がすくんで助けられない夢にうなされる母親、隣室の女性がストーカーに殺されたのに何もしなかったと非難される男……。誠実な人々の窮地を描いて共感を呼ぶミステリー集。
  • 片目の蝿 赤かぶ検事奮戦記
    -
    下関郊外の鬼伝説が残る山中で、右目をえぐられた男の全裸死体が発見される。つづいて起きた、アベックを襲う通り魔事件と、老人を騙す土地詐欺。――これらの事件の奇妙な絡みを、赤かぶ検事が1本の糸につなげ、意外な結末に……。という表題作ほか、化粧品販売員ばかりを次々と古式銃で襲う事件など、傑作3編を収録。
  • 片翼だけの天使
    -
    「愛してるんよ。あんたはトクベチュな人よ」――40代半ばの独身中年作家が、ふと遊びに出かけたソープランドで出会った、天使のような明るい韓国人女性。作家は、彼女の舌足らずのしゃべり方や、全身で愛情を表現してためらうことのない一途な性格に魅せられていく。現代では稀有な「純愛」を描いて、熱い共感を呼ぶ大人のための「名昨」恋愛小説。ひたむきで純朴な女性とのめくるめく恋の熱い日々!
  • 語り屋カタリの推理講戯
    3.6
    「君に謎の解き方を教えよう」少女ノゾムが、難病の治療法を見つけるために参加したデスゲーム。条件はひとつ、謎を解いて生き残ること。奇妙な青年カタリは、彼女に"Who"Where"How"などにまつわる、事件を推理するためのレクチャーを始める……!広大な半球密室、水に満たされた立方体、ひしめく監視カメラ、燃え上がる死体。生き残るには、ここで考えるしかない――。
  • KZ’ Deep File 青い真珠は知っている
    4.1
    1~4巻1,265円 (税込)
    胸を痛めながら足を進めていくと、海の上で突然、あの白い光がきらめいた。目を射られて和彦は声を上げそうになる。岬のすぐ近くだった。かつて二度ウォータージェットから見た時には、もっと遠くに感じた。それで沖の方だとばかり思っていたのだった。斜めから見ていたせいだろうか。あるいは光を発している何かが、波に乗って岬に近づいてきているのかもしれなかった。
  • 葛藤
    3.0
    愛して、恨んで、それが人。 生まれたばかりの我が子を誘拐され、失意を拭えぬまま夫婦だけの生活を続けてきた三好紗英は、16年後ある女子高生と出会う。少女は誘拐された自分の娘なのではないか? しかし、たとえ我が子だったとしても、今さら名乗り出ては少女を混乱させ心に傷を負わせてしまうかもしれない。 少女の幸せと、喪失を抱え生きてきた自分の希望を天秤にかけ、紗英がとった行動は……。
  • 闊歩する漱石
    3.5
    夏目漱石の『坊っちゃん』は、あだ名づくしで書かれた反・近代小説。『三四郎』は、都市小説のさきがけ。そして『吾輩は猫である』は、価値の逆転、浪費と型やぶりによる言葉のカーニバルーー。漱石の初期3作をモダニズム文学としてとらえ、鑑賞し、分析し、絶賛する。東西の古典を縦横無尽に引いて、斬新明快に語る、最も自由な画期的な漱石論。漱石の楽しさを語ろう!
  • 勝つ極意 生きる極意
    -
    絶対不敗の勇者はいかにしてつくられたか? 趣味尽きない歴史人物エッセイ。人生ここ一番の勝負で勝った男たち――絶対不敗の人間は、いかにしてつくられたか……。宮本武蔵、大石内蔵助、徳川吉宗、山岡鉄舟など、史上稀なる剣客、名将、大器量人の、厳しい自己鍛練。剣の奥義が処世の指針となる道理と、「勇」に尽きる必勝法。剣の実践者の著者にして初めて可能な、合理的で躍動感にみちた語り口の、興趣つきない歴史エッセイ集。
  • 勝つために何をすべきか 新日鉄釜石の「やる気」ラグビー
    -
    常勝集団・新日鉄釜石の、勝利を生み出す知略と統率。ラグビーでは、人間を中心に考えるということが大事である。選手の自発的な気持ち、ゲームや練習に自分から進んで立ち向かう「やる気」が、重要なのである。もっとも人間くさく、男くさいスポーツであるラグビーで、勝ち続けてきた組織の、哲学と実践の記録。
  • 家庭用安心坑夫
    3.6
    1巻1,463円 (税込)
    日本橋三越の柱に、幼いころ実家に貼ったシールがあるのを見つけたところから物語は始まる。狂気と現実世界が互いに浸食し合い、新人らしからぬ圧倒的筆致とスピード感で我々を思わぬところへ運んでいく。 誌上発表後、新聞各紙絶賛、話題沸騰の受賞作を緊急刊行! 第65回群像新人文学賞受賞作(選評より) 語り手、そして読む人の立つ足下が揺るがされる――柴崎友香 絶望的成長小説である――町田康 最も文章の水準、小説技術の水準の高い作品だった――松浦理英子
  • 花伝書(風姿花伝)
    4.1
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 わが国の古典中、もっとも異色である作品で、申楽者・観阿弥が、その実力を養い発揮する方法を、人間の本性を会得した立場で考究した、稀有の体系的芸術論である。その洞察は、また人間論としても、現代に生きている。校注は、世阿弥研究の第一人者・川瀬一馬博士。平易な現代語訳の決定版。
  • 家電の神様
    3.7
    街の電器屋さんvs.大手家電量販店の戦い!大手家電メーカーで働く轟雷太は長引くデフレの影響で入社三年目にして突如リストラされてしまう。転職活動を諦めた彼は実家の母が経営する店を継ぐ決意をする。そこは昔ながらの地域密着型の「街の電器屋さん」。だがそこも近所の大手家電量販店に客を奪われ、経営は風前の灯火だった!<文庫書き下ろし>
  • 蚊トンボ白鬚の冒険(上)
    4.1
    羽音と不思議な声がすべての始まりだった……。陸上競技への夢を断念し、水道職人となった若者・達夫の頭の中に、ある日奇妙な生物が侵入してくる。その名も蚊トンボ・シラヒゲ。超人的能力を得た達夫は、アパートの隣人・黒木を理不尽な暴力から救う。しかし、それは恐るべき闇社会との対決を意味していた。
  • 叶うならば殺してほしい ハイイロノツバサ
    3.9
    1巻2,717円 (税込)
    深夜、吉祥寺で発生した住宅火災。死者3名、重傷者1名。死者のうち1名は片手錠をかけられた女性だった。唯一の生存者でその家に住む17歳の少年・仁科徹は当初完全黙秘。  現場の様子から警察は、男4人による女子高生集団監禁事件と判断し、捜査を開始する。  ほどなく死者3名の身元は判明し、2週間にわたって被害女性に加えられた凄惨な虐待も明らかになるが、瀕死の重傷者は身元不明のまま。  警視庁捜査一課管理官の箱﨑ひかりは、突然供述をはじめた仁科がかけがえのない何かを守るために虚偽を述べていると感じ、被疑者、被害者それぞれの背景を調べ始める。 元警察官僚・古野まほろが描く、胸を穿つ警察ミステリ。
  • 金沢発特急「北陸」殺人連鎖
    -
    走行中に2つの殺人……最もあやしい人物は、列車の起点と終点にいた! ――寝台特急「北陸」の車内で男が毒殺され、同じ車中で、女がナイフで胸を刺され殺された。それぞれの犯行時刻に、第1の事件の容疑者は起点の金沢に、第2の事件の容疑者は終点の東京にいた。ニヒルな調査員、おなじみの鏑木(かぶらぎ)一行が、女を抱きながら事件を見事解決する、ハードボイルドなトラベル・ミステリー。
  • 悲しいだけ 欣求浄土
    4.7
    緊張した透明度の高い硬質な文体。鋭角的に切り抉られた精神の軌跡。人間の底深い生の根源を鋭く問い続ける藤枝静男の名篇「欣求浄土」「一家団欒」を含む『欣求浄土』、藤枝文学の極北と称賛された感動の名作、野間文芸賞受賞の『悲しいだけ』を併録。
  • 愛しき哉
    5.0
    恋に破れた長女、姉の許婚者にひそかな想いを寄せる次女、陰影の濃い男性にプロポーズされた三女、そろって青春の岐路に立った可愛い三人娘に、父親はとまどう。不憫な思いをさせたくない親心とは裏はらに、嫉妬、背信に苦しむ母を知らない娘たち。それを優しく抱く父の心を、あますところなく描いた傑作長編。
  • 哀しき父 椎の若葉
    4.0
    「生活の破産、人間の破産、そこから僕の芸術生活が始まる」と記した葛西善蔵は、大正末期から昭和初年へかけての純文学の象徴であった。文学の為にはすべてを犠牲にする特異無類の生活態度で、哀愁と飄逸を漂わせた凄絶苛烈な作品を描いた。処女作「哀しき父」、出世作「子をつれて」、絶筆「忌明」のほか「馬糞石」「蠢く者」「湖畔手記」など代表作15篇。
  • 哀しみの女
    -
    1巻550円 (税込)
    エゴン・シーレの作品「哀しみの女」という作品が、わたしの心を捉えて離さない。わたしは、五つ年下のイラストレーター、章司と同棲している。ずっと昔、板倉さんという雑誌記者に銀座のクラブを紹介してもらい、上京して出会ったのが章司だった。章司は板倉さんの伝手で挿画を描かせてもらい、他社からも声が掛かるようになった。が、章司の心がわたしから離れていく。シーレのモデルで愛人だったヴァリーの人生と重なるように。
  • 哀しみの北廃止線
    4.0
    幸福駅の災厄に十津川が名推理!! 奇妙な頼みを果たして訪ねた依頼人の部屋には、血が飛び散りかつての仲間十津川警部がいた! ――幸福駅の切符がもたらす災厄を、十津川警部が推理。探偵事務所を開いた元警官に舞い込んだ奇妙な依頼は、廃線となった北海道・幸福駅の切符を買い、駅に絵馬を掛けることだった。約束を果たし訪ねた依頼人の部屋には血痕が飛び散り、かつての仲間・十津川警部たちが居た。4つの難事件に十津川が挑む、傑作短編集。
  • カナスピカ
    3.6
    少女は“地上に落ちてきた星”に恋をした――。そのとき中学生の加奈は空を見上げていた。はるか上空から落下した球体は目の前でみるみる少年に姿を変えた。異星人の地球観測衛星、それって!? 少年をかくまった加奈は、当然のごとくあやしい連中に追われる身に! ライトノベル界の雄が描くピュアな青春小説! (講談社文庫)
  • 彼方の水音
    -
    真昼のしらじらとした明るさの中にこそ闇を見つめる孤高な眼。平穏な日常の中にこそ死の気配を嗅ぎとる存在の痛み。狂暴な破壊への意志を内に秘め生きる女の虚無……。鋭利な感覚で人間存在の毒と、清冽な〈彼方〉への憧れを描き、特異な文学空間を創り上げた著者の処女作品集。「相似形」「囚われ」「渺芒」など5篇を収録。
  • カナリアが囁く街 警察庁が震撼した七日間
    -
    バブル経済が崩壊し国内が混乱すると予言した、極秘のレポートが作成された。それを受け取った内閣情報調査室は、治安強化を求める世論の喚起を目的に、ある組織を使って、各地でテロ事件を頻発させる。それを阻止するため、一人の捜査官が首相官邸に呼ばれ、動き始めた……。危機迫る、情報サスペンス小説。警視庁が震撼した7日間。首相の特命で、極秘捜査官が凶悪テロに挑む!
  • 花の下にて春死なむ 香菜里屋シリーズ1〈新装版〉
    3.9
    1~4巻715~792円 (税込)
    人生に必要なのは、 とびっきりの料理とビール、 それから、ひとつまみの謎。 三軒茶屋の路地裏にたたずむ、ビアバー「香菜里屋」。 この店には今夜も、大切な思いを胸に秘めた人々が訪れる――。 優しく、ほろ苦い。 短編の名手が紡ぐ、連作ミステリー。 不朽の名シリーズ第1弾! 第52回日本推理作家協会賞 短編および連作短編集部門受賞作 解説 瀧井朝世 春先のまだ寒い夜。ひとり息を引き取った、俳人・片岡草魚。 俳句仲間でフリーライターの飯島七緒は、孤独な老人の秘密を解き明かすべく、 彼の故郷を訪れ――(表題作)。 バー「香菜里屋」のマスター工藤が、客が持ち込む謎を解く連作短編ミステリー。
  • 蟹の町
    -
    処女作「雪洞にて」は、山岳カメラマンが朝の光で樹氷を撮ろうと雪の斜面に掘った穴に潜む短い時間の心理と回想を、瑞々しく綴った秀作。「蟹の町」は、詩性にあふれた筆致が不思議な町を浮かび上がらせる快作。他の2篇も、暖かい人々の情景を描かせれば日本一と注目を集める作家の、みごとな出発点となる小説だ。詩的感性あふれる鮮烈なデビュー作。内海文学の原点がここにある!
  • 鐘

    3.6
    諸行無常の理(ことわり)を表わすという鐘の音。浅見家代々の菩提寺、聖林寺の梵鐘から血が滴るという怪事件があってまもなく、顔にその鐘の模様痕をつけた男の変死体が隅田川に浮かんだ。四国高松、越中高岡と、被害者の美しい妹とともに鐘の謎を追いかける浅見光彦の旅が始まる。(講談社文庫)
  • 金を払うから素手で殴らせてくれないか?
    3.9
    1巻1,562円 (税込)
    「おい鈴木、米原正和を捜しに行くぞ」とその米原正和が言った──。失踪した米原正和の行方を、当の米原とともに追う鈴木。会社を休んで、米原の自宅、立ち寄り先を米原をともに捜す。果たして、米原は見つかるのか?
  • 加納大尉夫人
    -
    大阪で指折りのメリヤス問屋の末娘に生まれた安代は、卒直な明るさを持つ娘であった。安代が女学校を卒業した年に、戦争が始まった。ある日、母に見せられた1枚の写真、それが海軍中尉・加納敬作であった。敬作のりりしさにあこがれた安代は、彼の妻になった。少女時代の延長のような稚なさの安代が、帝国軍人の妻らしくなりたいと努力し、緊張するほど、無邪気な失敗がくり返された。そんな妻を、敬作はいとしく思った。戦いは次第に苛烈さを加え、敬作の出征中に、安代は男の子を生んだ。そして半年の後に、敬作の戦死が伝えられた……。ほかに「猫」「山」「二人の女」を収録。
  • かの子撩乱その後
    3.0
    またとない理解者一平を夫に得、才能豊かな太郎を子として産み、恒松安夫や新田亀三を崇拝者として同居させながら、かの子はいつでも孤独感にさいなまれていた。人並外れた激情の作家を支え、大輪の花と咲かせた家族と恋人たちを鮮やかに描く、伝記的小説とエッセイ集。不滅の名作『かの子撩乱』の姉妹編。
  • 彼女たちのいる風景
    3.8
    1巻1,881円 (税込)
    私たち、38歳。全てが順風満帆にすすんでいる、はずだった。 出産によって「マミートラック」に追いやられてしまった凛。 シングルマザーとして、発達障害の子供を抱え貧困から抜け出せずにいる響子。 週刊誌のサブデスクまで上り詰めがらも、不妊治療がうまくいかない美華。 月一回のランチ会で愚痴をこぼすことでストレスを解消していた私たち。 いつの間にか「本当の悩み」は避けるようになっていた―。 相手を見下すことでしか自分の人生を肯定できない「私」は心が汚れているのだろうか。 「女」、「妻」、「母」。 役割を背負わされ、反発しながらも生き抜く、三者三様の戦い。
  • 彼女の夫たち(上)
    -
    書道家として、はなやかに生きる長女・和美、人妻の座に安住して11年、夫婦間の沈滞に悩む次女・伸子、愛し合って結ばれた夫に浮気をされて呆然とする三女・節子、独身のOLで、中年の愛人との不安定な愛に揺れる四女・竜子。美しい4人姉妹が、それぞれの宿命と愛憎とに翻弄されてゆく姿を、みずみずしく描く、長篇ロマン。<上下巻>
  • 彼女の部屋
    3.2
    ささやかなハプニング、仄(ほの)かな心のざわめき。何度か顔を合わせた程度の女友達から強引に部屋に誘われた恭子。しょうがなく訪れた彼女のマンションで見たものは……。表題作ほか「ハローウィーン」「アメリカを連れて」など6作品を収録。何気ない日常を淡々と描きながら、気にも留めずにやり過ごしている“心のざわめき”を繊細に浮かび上がらせる掌編集。(講談社文庫)
  • 彼女の夕暮れの街
    -
    由美子は旅行代理店に勤めるOL。美しく賢い29歳。何かもの足りなさは感じていて、誘いもいろいろあるのだけれど、何となく気がすすまない。ある日、ふと寄った酒場で、柳川という顎の長い編集者に出会って……。一女性の心の移りかわりと戸惑いーー男性との出会い、恋心を抱き、育てていく過程を、見事に描いた連作短編集。表題作を含め14作収録。一歩ずつ恋を育てて大人になっていく、彼女の恋の行方は……。
  • 彼女はたぶん魔法を使う
    3.0
    刑事をやめて、ルポライターと探偵業をこなす柚木草平。ある雨の日に、彼のもとに不思議な事件が持ち込まれた。謎の糸をたぐり寄せるたびに、出逢うのはいろんなタイプの美女、美女、美女。殺人事件の謎ときから、掃除、洗濯、料理をこなし、おまけに『いい女』にも強い柚木がさり気なく活躍する人気シリーズ。
  • 屍の園 桜井京介episode0
    3.2
    全寮制の男子校・聖マカーリィ学院に通う饗庭怜は、三月のある日、学院の鐘楼から墜落した。墜落の後遺症で記憶が曖昧な怜は、自分が鐘楼に行った理由、墜落した経緯を探ろうとする。彼の周りで次々と起こる異変。誰もが疑わしい中、怜のまえに現れたのは、あまりにも美しい少年だった。事件の真相を鮮やかに解き明かす桜井京介、少年の日の物語!
  • 花氷
    2.0
    不動産ブローカーの粕谷は、元愛人の登代子と銀行員坂本の仲に目をつけ詭計で支店長黒川を脅迫する。粕谷が狙う一攫千金の野望は国有地の払下げである。資金のメドのついた彼は、臆面もなく政界実力派の代議士に接近……。腐敗する政界裏面と、飽くことのない欲望に奔走する男の黒い構図を描く異色作。
  • 黴 爛
    3.7
    明治四四年、夏目漱石の推挙で「東京朝日新聞」に連載し、自身の結婚生活や師・尾崎紅葉との関係等を徹底した現実主義で描き、自然主義文学を確立、同時に第一級の私小説としても傑作と謳われる「黴」。翌々年発表の「爛」では、元遊女の愛と運命を純粋客観の目で辿り、文名を確立する。川端康成に「日本の小説は源氏にはじまって西鶴に飛び、西鶴から秋声に飛ぶ」と言わしめた秋声の、真骨頂二篇。
  • 甲比丹
    4.0
    三方を海に囲まれた、外国人特別居留地・長崎出島。商館長(カピタン)ヘンミーのもとにおくられた遊女照葉(てりは)は蘭学者の娘。オランダ語を解するがゆえに、幕府と薩摩藩との暗闘に翻弄されるのだった。 都会の恋人たちを描いて定評のある著者が、父の勧めにより壮大なスケールで挑んだ唯一の大河時代小説。惜しまれる未完の大作で絶筆!
  • カフェ・オリエンタル
    3.0
    南国の大都会・シンガポールで、日夜繰り広げられる、男と女の危険なゲーム。じっとりと湿気を含んだ、けだるい大気にからめとられるようにして、過ぎていく退廃の日々のなかで、禁断の店「カフェ・オリエンタル」へ安樹子(あきこ)を向かわせたものは、何だったのか? そして、そこで安樹子は、ゲームの結末を見たのだろうか?
  • カフネ
    NEW
    -
    1巻1,771円 (税込)
    一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。 やさしくも、せつない。この物語は、心にそっと寄り添ってくれる。 法務局に勤める野宮薫子は、溺愛していた弟が急死して悲嘆にくれていた。弟が遺した遺言書から弟の元恋人・小野寺せつなに会い、やがて彼女が勤める家事代行サービス会社「カフネ」の活動を手伝うことに。弟を亡くした薫子と弟の元恋人せつな。食べることを通じて、二人の距離は次第に縮まっていく。
  • 株価操作
    -
    証券界の腐った土壌、株式相場を闇より操る勢力とその手口、総裁選資金調達のカラクリ! ――建前として禁止されている手張り(証券会社の社員が自分の思惑で相場を張り株を売買すること)の咎で、課長の座を追われた「一匹狼」がつかんだキナ臭い団体の存在と秘密……。闇の錬金場とカゲ口される証券業界の歪んだ土壤を背景に、株式相場を影より操る勢力とその手口、総裁選資金調達のカラクリを暴く企業小説。
  • 歌舞伎剣法
    -
    15歳の美少年・山三郎は、蒲生氏郷に召し抱えられたが……という表題作はじめ、五味康祐、柴田錬三郎とともに、剣豪小説を支えてきた著者による傑作8編。
  • カプチーノ・コースト
    値引きあり
    3.4
    1巻781円 (税込)
    しんどいときほど、周りに頼れない。 早柚(さゆ)は、会社を休職中の26歳。 ふとしたことから、地元の海岸のゴミ拾いを始めた。 自分を見つめ直す、ひと月の物語。
  • 壁の鹿
    3.7
    壁に飾られた鹿の声が聞こえたとき、孤独な魂に革命が起こる。女子校の寄宿舎に暮らす少女結婚詐欺師二股の恋愛に悩む女性剥製職人彼ら、彼女らの心の解放を!あの孤高のミュージシャン「黒木渚」 初の小説刊行!
  • 壁を破る 【小田実全集】 世界のなかの体験と思想
    -
    本書は1962年から64年にかけて著者が、日本と世界とが積極的に結びつき、その上で日本独自の立場を築き上げようと志して書いた国際関係論だ。かつてのフルブライト留学生たちを訪ね歩くことで、自分にとって、また私たちにとって、アメリカとは何か、日本とは何かを考えた。作者は、日本が「アメリカのつくったもう一つの日本」であることを欲しない。日本は、かつて自分たちが侵略したアジア・アフリカを避けて通ることは出来ないことを、初めての韓国訪問の中で考えた。
  • 神在月のこども
    4.0
    自然も人も神様も きっと昔は繋がっていたんだ。 2021年秋、アニメーション映画公開! ☆☆☆ 母を亡くした少女・カンナのもとに訪れた、神の使いを名乗るうさぎ。 曰く母は韋駄天という神様だったそうだ。 日本全国の“馳走”を集めて届けるという使命を受けて、 カンナは走って出雲を目指すことに。 追いすがる鬼の子孫・夜叉とともに、森、街、山、海と神々の美しい座所をめぐる。 縁が日本を一つにつなぐ、原風景の物語。
  • 噛みあわない会話と、ある過去について
    4.1
    あなたの「過去」は、大丈夫? 美しい「思い出」として記憶された日々――。 その裏側に触れたとき、見ていた世界は豹変する。 無自覚な心の内をあぶりだす「鳥肌」必至の傑作短編集! 大学の部活で仲のよかった男友達のナベちゃんが結婚するという。だが、紹介された婚約者はどこかズレていて――。 「ナベちゃんのヨメ」 国民的アイドルになったかつての教え子がやってくる。小学校教諭の美穂は、ある特別な思い出を胸に再会を喜ぶが……。「パッとしない子」 人の心裏を鋭くあばく傑作短編集!
  • 神々の岩壁
    -
    南は、ハーケンを打つ右手に、異常を感じた。手ごたえが甘い。垂直300メートルに屹立する衝立岩にとりついて3日目、最後の一滴の水もつきていた。バランスを失って、危うく墜落しそうになる。もはや彼の心には、岩に対する憎しみだけがあった。登攀不可能といわれる衝立岩は、神々の手に守られて、人間を拒んでいるかに思える。それでも、南は危険な垂直の前進をやめようとしない! 少年の日、登山家を夢見ていらい、ヒマラヤを志して精進を続けた、天才的クライマーが、魔の谷川岳、衝立岩に挑む姿をえがいた実録小説「神々の岩壁」はじめ山岳小説4篇。
  • 神々の午睡(上)
    4.5
    1~2巻550円 (税込)
    はまったら抜けられない? 清水&宗教の世界! “開祖たち”は、詐欺師、怒りっぽい族長、世間知らずのおぼっちゃまだった? 小説より奇なる事実よりさらに奇なるもの“宗教”をテーマに、パスティーシュの天才が築きあげた大スペクタクル。世界に誇る3大宗教(アルカマ教、サライ教、ジブ教)はいかにして生まれたか。開祖が現われ、教典が編まれ、正統と異端が生まれる。嵌まったら抜けられない清水ワールド。(講談社文庫)
  • 神々のプロムナード
    3.0
    もうおまえとは暮らせなくなった――日曜日の夕方、テレビも点けたままの状態で姿を消した松岡邦夫。妻の深雪に相談された友人の村上史郎は、邦夫を捜し始めた。すると続発する不可解な失踪劇との関連性がちらつく。その陰にはある新興宗教組織の存在が……。世界を混沌の淵へとみちびくミステリー大作。(講談社文庫)
  • 神様ドライブ
    値引きあり
    4.1
    1巻781円 (税込)
    就職活動がうまくいかない休学中の大学生・みつるは、亡き父親そっくりの男・紡に声をかけられ、全国の神社を巡る旅に出る。途中で出逢った看護師ほのかも加わり、旅はいよいよ賑やかに。旅を続けるうち、紡が神社を巡るとした驚くべき理由を聞かされる。神社は全国に8万以上あり、コンビニより多い。全国の神社は何のために、どんな神を祀っているのか? お参りの仕方から鳥居の由来まで、神社のことが好きになります。
  • 神様 2011
    4.0
    1巻1,045円 (税込)
    くまにさそわれて散歩に出る。「あのこと」以来、初めて――。 1993年に書かれたデビュー作「神様」が、2011年の福島原発事故を受け、新たに生まれ変わった――。「群像」発表時より注目を集める話題の書! 2011年。わたしはあらためて、「神様2011」を書きました。原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性をもつものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。――<「あとがき」より>
  • 神様の贈り物
    4.1
    無表情で無反応。全てに無関心な殺し屋チャンスは、バスジャック事件に遭遇し一躍ヒーローになった。だが、恩人に頭を撃ち抜かれ、死の淵から奇跡的に甦った彼の目に映る世界は、劇的に変化していた。「水は美味しく花は美しい」。脳の障害を取り除かれ「心」を手に入れたチャンスは自分の過去と対峙していく。
  • 神様の思惑
    値引きあり
    4.0
    「僕を殺してくれる?」 あのとき、そう願った少年。 二十年ぶりの邂逅によって、謎は解き明かされる。 隠された愛が涙を誘うミステリ集! 美しい伏線、感涙のミステリ。 『神様の思惑』は、令和になって奇跡的に発掘されたタイムカプセル ――解説(ミステリ評論家・大森滋樹)より 技巧ミステリの名手による、深い家族愛をめぐる五つの物語。 遊園地で休憩中の若い父親は、清掃員の男性に頼まれ、迷子の親捜しをする。 そこで、清掃員がかつて近所の公園で寝泊まりしていた「カミさん」だったことに気づく。 彼は少年時代、「カミさん」に自分を『殺してくれ』と頼んだことを思い出す(表題作「神様の思惑」)。 隠された愛が涙を誘うミステリ短編集(『家族パズル』改題)。
  • 神様のスイッチ
    3.0
    この街に降り積もる小さな偶然を、僕たちは奇跡と呼ぶんだ。ドラマ化『今からあなたを脅迫します』の新鋭が描く、一晩の奇跡の物語。同棲相手との未来に迷うフリーター、街を警らする女性警察官、恋に悩む大学生小説家に、駆け出しやくざや、八方美人の会社員。父娘の隔絶から麻薬強奪事件まで、この街は事件で満ちている!すれ違う彼らが起こす些細な波紋と、生じる驚きのドミノ倒し。気がつかないだけで、誰もが物語の主人公だ。
  • 神様の短剣
    -
    1巻1,463円 (税込)
    納屋で生まれた少年に「おめでとう」と声をかけたのは、翼の生えた少女だった。一人目の天使は、ドーム型都市ミルバの中央、セントラルタワーで数々のコードに繋がれ生きていた。「閉じている門を開けてくれれば――僕は君を殺さない」夜中、少年は毛布を抜け出した。右手に剣、左手に西洋人形を持ち、天使が眠るフロアを目指す――。第一章から極限を迎えた物語は、読み進むにつれさらに加速する!
  • カミさんと私
    -
    結婚して25年の雄三夫婦。カミさんは男8人女3人の11人兄弟姉妹の7番目で、実家にいるときは7番さんと呼ばれていた。銀行員をしながら作家をしていた著者の、ユーモアあふれるサラリーマンもの・夫婦ものの物語。
  • 神なるオオカミ 上
    4.3
    1~2巻1,705円 (税込)
    文化大革命時代、北京の知識青年・陳陣(チェンジェン)は内モンゴルのオロン草原に下放され、現地の古老・ビリグのもとで羊飼いをはじめた。天の教えを守り、草原とともに生きる遊牧民の暮らしに魅せられていく陳陣。やがて、かれの興味は、遊牧民の最大の敵でありながら、かれらの崇拝の対象であるオオカミへと向かう。オオカミにのめりこんでゆく陳陣は、自らの手でオオカミの子を捕らえ、飼うことを夢見るのだが……。
  • 紙の碑に泪を 上小野田警部の退屈な事件
    3.0
    多方面で活躍する才人・西木遵が東京・八王子で殺害された。そのとき犯人は、遠く離れた渋谷のホールでクラシックのコンサートを聴いていた……!? 一方、捜査にあたる上小野田警部はアメリカ南部を舞台とした奇怪なミステリーを読みながら、とある場所で犯人の到着を待っている。 警部はテッパンのアリバイを崩せるのか!? 鬼才・倉阪がまたしても仕掛けた、驚天動地のトリック! (講談社ノベルス)
  • 神の一球
    -
    高校入学直前、野球嫌いの繭村剣の前に「野球の神様」と称する老人が現れる。老人は誰にも打てない「神の一球」を繭村に授け、この球で天才スラッガー・佐野慶司を3年間抑え込めと命令する。仕方なく野球部に入った繭村だが、そこにいたのは、一癖も二癖もある部員ばかりで、デコボコもいいところ……。
  • 紙の城
    3.5
    新聞、本当になくなってもいいですか? 躍進著しいIT企業インアクティブによる、東洋新聞買収宣告。マスコミの寵児となった会長の驫木は、世論を味方に、役員会を切り崩しにかかる。“ウェブファースト“を掲げ、新聞の価値を根底から揺ぶる彼らが、本当に買おうとしているものは何か? 社会部デスク安芸と部下たちの、記者魂を賭けた死闘が始まる。 『傍流の記者』で直木賞候補となった著者だから描けた、メディアの裏側の熱き攻防! 情報化社会? 何を言ってやがんだ。本当の情報は クリックすれば出てくるもんじゃないんだ。 本城の作品には、「情報」というものの深みを教えられる。 本作は「新聞社は生き残れるか」を人間ドラマに広げた秀作だ。                       ――佐高 信 「朝日新聞」「産経新聞」「日経ビジネスオンライン」「サンデー毎日」「週刊朝日」「アサヒ芸能」「J-novel」ほか新聞25紙で紹介された話題沸騰の話題作!!
  • 紙の眼
    -
    通り魔事件にざわめく街に増殖する、眼が描かれた貼り紙――主人公の「彼」は、ある朝、勤務先の入り口脇に眼が描かれた貼り紙を見つける。その奇妙な紙は、しだいに街中に増殖していく。一方で、「彼」は日常生活を盗撮された写真を誰かから送りつけられるようになる。連続して起こる通り魔事件と、「彼」を苦しめる盗撮写真や貼り紙に描かれた眼とは関係が?――都市生活者の不安を捉えた表題作ほか、書下ろし短編5編を収録。
  • 髪の環
    -
    切られた髪、竹の花、熟れすぎた果実。絶妙の小道具たちが、男女の陰影深い感情の震えに、鮮かな輪郭を与え、そのとき、みずみずしい生命感をたたえた日常の中に、ふと非日常と幽冥の露頭が現出する。異空間へ踏み出そうとする情念の快い緊張、不安、期待……。強い美意識に貫かれた、珠玉の9短篇。毎日出版文化賞受賞。
  • 神村企画 The Making of the Next Kamimura
    2.0
    30歳目前の売れない俳優に、突然大役の話が持ちかけられた! それは日常でベストセラー作家“本多レオ”を演じるというもの。戸惑いながらも成功してみんなを見返したいという思いから、その得体の知れない話を引き受けてしまう。ゴーストライターの書く小説は次々と大ヒットとなり、本多レオは一躍有名に! 富と名声を得たが、気がつけば本当の自分の人生はどこにもなくなっていた。次第にエスカレートするプロジェクトはノーベル賞を前にあらぬ方向へ……。
  • 神宿る手
    4.0
    伝説のピアニスト、バローは生きていたのか?四十余年ぶりの新録音がCD化され、話題を呼んだ。奇跡の楽壇復帰を仕掛けたのは、スイス在住の島村夕子であった。しかし、ベストセラーを続けるCDに疑惑の影が。美に憑かれた女のゆくところ、謎また謎。最終章に衝撃的ラストが待ちかまえる音楽ミステリーの一大傑作。
  • ニーベルンクの城
    -
    大ピアニストから聖なる槍を預かった島村夕子。この「ロンギヌスの槍」はかつて、ヒトラーの手にも渡ったことがあり、権力者たちが愛してやまない代物なのだ。これを取り返し、ナチスの復興を企てる人物が動き出した……。槍が夕子の手元にあることを突き止め、恐ろしい刺客を放ったのだ! 長編音楽ミステリー。
  • 仮面官僚 東京地検特捜部
    3.0
    政官財の20億円襖絵事件を暴く検事・香車勇人(かしゃ・はやと)――国税庁に届いた1通の告発文書。絵画売買に絡む、不動産会社の脱税容疑だ。マルサが動き、特捜部が注目した。会社幹部がバブルの裏金で掴まされた20億円の襖絵には、政官財を結ぶ巧妙な罠が仕組まれていた。助教授から検事に転じた香車勇人(かしゃ・はやと)が、東京と京都・祇園を繋ぐアリバイを崩し、金の流れを追い、事件の核心に迫る!
  • 花面祭 MASQUERADE
    3.0
    昭和22年、みずから作り出した花にとり憑かれ、密室で変死した鬼才、塘松(とうしょう)流先代家元・芦田挿花。その生まれ変わりを信じる次期家元・藍草が刺され、第2、第3の殺人が……。40年の時をつなぎ塘松流を襲った惨劇の謎は、挿花が日記に遺した輪廻転生の花=「しきの花」にあるのか? 奇想天外なトリックに挑む本格ミステリ。花が人を殺す!?
  • 仮面と衣装
    -
    港湾の小都市・南浦市のパチンコ屋の娘・戸田松子が堕胎し、そして縊死した。日日新聞の支局付記者・番匠谷人志は、松子の死を疑い、調べてゆくうち、ヤクザの大里組と葦原組との争いの中に巻きこまれていった。何かを画策している大里組の小湊正美、しばしば番匠谷の危難を求う傷病軍人・城励太郎、妖艶な芸者・つた代、女給・ミリー。サスペンス溢れるスリラー長編。
  • 仮面の改革派・渡辺喜美
    3.0
    1巻1,265円 (税込)
    政策秘書が間近で見た、渡辺喜美の迷走と、みんなの党分裂の一部始終。「政策の党」はなぜ、かくも無残に崩壊したのか?
  • 仮面の君に告ぐ
    4.0
    目を覚ませば、身体は別人。 しかも“私”は一年前に殺されていた?! 犯人への復讐に燃える恋人を前に、果たして何ができるのか。 ――映画化された「ルパンの娘」シリーズが話題の横関大、読後に胸がざわつくミステリー! 涌井和沙は、目を覚ますと病院のベッドにいた。 戸惑っているうちに、「モリさん、目覚めたんですね」と看護師から声がかかる。 沸き起こる違和感に鏡をのぞいた和沙は驚愕する。映っていたのは赤の他人だったのだ。 身体だけが別人になってしまったことにパニックになるなか、 追い打ちをかけるように新たな事実が判明する。 涌井和沙は一年前、何者かに殺害されたというのだ!  衝撃のラストに思わず震える再読必至のミステリー!
  • 仮面の火祭り
    -
    アル中気味の私立探偵・布施稔・47歳。生まれたばかりの子供ほ実の子ではなくすりかえられた、妻の浮気相手を捜してほしいと、ある日、妙な依頼人が現われた。調査を進めるうちに、人間関係は意外な方向へ展開し、やがて殺人事件が起こる……。はぐれ者の探偵が見た人生の一断面を、ミステリー・タッチで描く長編ロマン。私立探偵が暴いた意外な事実とは?
  • 仮面法廷
    5.0
    琵琶湖をのぞむ時価10億円の高台の土地売買をめぐるトラブルで、仲介の弁護士と不動産屋が殺害される。事件の蔭に暗躍する謎の女。法律を盾に、虚々実々の駆け引きに辣腕を揮いながら、甘い利権に群がる地面師。専門知識を活かして、民事裁判の実態をえぐる、法廷ミステリの傑作。江戸川乱歩賞受賞作。
  • 鴨川ランナー
    4.0
    日本という異国に住まいながら、日本人と外国人の間をさまよう人々を巧みな心理描写と独特の文体で描いた短篇2本。 「鴨川ランナー」第二回京都文学賞受賞作。選考委員の満場一致で選出された。日本から京都に仕事に来た西洋人の日常や周囲の扱い方に対する違和感を、「君」という二人称を用いた独特の文章で内省的に描く。 「異音」・・・福井の英会話教室を突如やめる羽目になった外国人の主人公は同僚の紹介で結婚式の神父役のバイトを始める。
  • 茅原家の兄妹
    3.6
    1巻1,672円 (税込)
    交流が途絶えていた旧友の茅原恭仁から突然の招待を受け、私は資産家だった茅原家が山間の別荘地に所有している広大な屋敷を訪ねる。そこでは恭仁が妹の睦美と暮らしていたが、かつて快活で高慢ですらあった睦美は、屋敷に出るという幽霊に怯え、別人のように生気を失っていた。恭仁が私を呼んだ目的とは何か? そして恭仁が夜な夜な屋敷で行っているという「研究」とは何なのか? 物語の様相が一変するラストまで一気読み必至!
  • 空打ちブルース
    3.4
    1巻1,155円 (税込)
    「四流高校生」と自嘲する16歳の少年ケージュンは、自分にはしょせん明るい未来も夢もない、と自分の運命を淡々と受け入れているのだが……。シンジさんは、たばこを重ねて二個持ち、スッとレジを通した。<たばこ・410円> おれはびっくりした。シンジさんはペットボトルも二本同時にレジを通した。二本なのに一本分。一本は打っていないことになる。第51回 講談社児童文学新人賞受賞作品
  • からくり人形は五度笑う
    3.0
    人形の村で次々起こる怪事件を巡る本格推理――人形の村・沙華姿。そこで27年前、婚礼の夜に新妻が殺された。雪に囲まれた死体の側には、凶器も足跡もなかった。数ヵ月以内に新郎も殺され、双子の弟も焼死として処理された。同じ頃、この村で行方不明になった父を探して訪れた、作家・依井直之。昔の事件の謎を探るうちに、彼にも魔の手が迫る! 新本格推理。人形村の秘密とは何か? 謎の探偵・一尺屋遙が怪事件に挑む!
  • 体の中を風が吹く
    -
    章子は、ぐうたらな夫と別れ、2人の子供をかかえて働く、婦人記者である。わが子の成長を楽しみに生きる章子にも、女としての心のひもじさに耐えきれぬ夜もあった。彼女には、年下の恋人・省吾がいた。誠実な彼は結婚を迫るが、章子は自分の境遇を負い目として応じられない。愛しあい、逢瀬を重ねながら、章子の心は、かたくなに閉されてしまう。そして、上役の世話で、省吾に若い笹子との縁談が起こるのだが……。年上の女の情熱と哀しみを主題に、定年を迎えた隣りの山崎家、そこに同居する共稼ぎの安川夫妻など、善意をもって生きる人々の生活の哀歓を描く、長編傑作。
  • からっぽ男の休暇
    4.0
    忘却の旅に出て知る忘却する快楽!! 休暇中のからっぽ男のように南の島で読んでください。あるいは暑い日に!! 南の島の木陰で紡ぎだす曖昧な童話――陽光に照らされた風が動きはじめて、椰子の森がささやいて揺れる。終わりのない休暇を南の島ですごす僕。美しいティパワンやクリッサナたちとのひととき、忙しかったころには思い出しもしなかった童話を話したくて仕方がない。でも、ちょっと変!! そんな曖昧でこんがらがってしまった不思議な15のお話。
  • 空手道ビジネスマンクラス練馬支部
    4.3
    サラリーマンの夢とは何か? 新格闘技ノベル! ヤクザに土下座させられ、男は練馬の空手道場へ通い強い男に変身したのだが……。男なら誰しも強くなりたいと思う! ――新宿で飲んだ帰りに、ヤクザにからまれて、土下座させられたサラリーマンが、一念発起して、練馬の空手道場に通い始めた。「強くなりたい。ケンカに勝ちたい」の一心で、男の腕前は、めきめき上達した。不倫のホテル帰りに、再び同じヤクザにからまれた男は、若いOLの手前、りきんだのだが……。異色格闘技長編ロマン!
  • カラマーゾフの妹
    3.6
    カラマーゾフ事件から十三年後。モスクワで内務省未解決事件課の特別捜査官として活躍するカラマーゾフ家の次男、イワンが、事件以来はじめて帰郷した。兄ドミートリーの無罪を証明し、事件の真相を確かめたい――再捜査を開始するイワンの前に新たな事件が起こる。十三年前の真犯人は誰なのか。新たな事件は誰が、何のために起こしているのか、そして、謎解きの向こうに見えてくるものとは。息詰まる展開、そして驚愕の結末!
  • 仮往生伝試文
    3.8
    寺の厠でとつぜん無常を悟りそのまま出奔した僧、初めての賭博で稼いだ金で遁世を果たした宮仕えの俗人―平安の極楽往生譚を生きた古人の日常から、中山競馬場へ、人間の営みは時空の切れ目なくつながっていく。生と死、虚と実、古(いにしえ)と現代(いま)。古典世界と現在の日常が、類い稀な文学言語の相を自在に往来し、日本文学の可動域を、限りなく押しひろげた文学史上の傑作。読売文学賞受賞。

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