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文藝春秋
■■■昭和百年 美しき日本人50■■■ 私を捨て、利に流されず、節を貫き、誠を持った日本人の記録 上皇ご夫妻(山根基世)/堀田善衞(佐伯泰英)/石橋湛山(石破茂)/安室奈美恵(今井絵理子)/樹木希林(箭内道彦)/緒方貞子(鈴木規子)/川村隆(西山圭太)/渡辺和子(保阪正康)/北の富士(吉田賢)/坂根正弘(杉本りうこ)/横田滋(横田拓也)/今村均(岩井秀一郎)/中村哲(藤田千代子)/坂本龍一(浅田彰)/古島一雄(堀川惠子)/斎藤隆夫(村瀬信一)/金子勇(東出昌大)/石牟礼道子(いとうせいこう)/三上信夫(三浦英之)/畠山重篤(畠山信)/谷川俊太郎(尾崎真理子)/伊東正義(泉宣道)/茨木のり子(後藤正治)/山口百恵(中川右介)/岡田啓介(早坂隆)/田村正和(上沼恵美子)/星野道夫(新井敏記)/小津安二郎(平山周吉)/木谷明(水野智幸)/本田靖春(清武英利)/やなせたかし(梯久美子)/島田叡(佐古忠彦)/森英恵(下重暁子)/田中一村(谷口博文)/林明子(福音館編集者)/黒田博樹(倉義和)/徳岡孝夫(土井荘平)/大谷恭子(島崎今日子)/桜井政博(永田泰大)/岩村昇(石川信克)/羽生善治(北野新太)/丸川正人(泉秀一)/内館牧子(三田佳子)/河井寛次郎(鷺珠江)/大滝詠一(萩原健太)/上岡龍太郎(トミーズ雅)/山野井妙子(柏澄子)/小泉今日子(近田春夫)/土光敏夫(出町譲)/大谷翔平(冨田英揮) 【高市早苗研究6】 ◎高市インフレ「プランB」なき危険な賭け 渡辺努×塚口直史 ◎高市さん、日本をどうしたいのですか 田中眞紀子 ◎林・石井を粛清した高市独裁の罠 赤坂太郎 【特集「睡眠」は最高の健康投資だ】 ◎ラスカー賞・柳沢正史に真山仁が聞く「デキる奴ほどよく眠る」 ◎夜、目が覚めてしまうアナタへ 渥美正彦 ◎かんたん“快眠体操” 池谷敏郎 ◎「睡眠薬」正しい減らし方 三島和夫 ◎82歳の「不眠半世紀」 椎名誠 ◎KADOKAWA秘密文書入手 夏野剛「のし上がり」の代償 本誌編集部 ◎無人機戦争──ウクライナ現場ルポ 飯沼賢一 ◎本木雅弘 60歳の告白「晒された家族」の婿として ◎黒柳徹子×篠崎史紀×片山杜秀 窓ぎわから見たN響100年の秘密 ◎「俺たちの箱根駅伝」を10倍楽しむ 爆笑ウラ話 池井戸潤×大泉洋 ◎【グラビア】日本の顔 大泉洋(俳優) ◎石川祐希 日本バレーを変えた男 田中夕子 ◎豪雨はもう異常気象ではない 坪木和久 【連載】 ◎【新連載 第2回】世界と戦う「AIインテリジェンス」 成果を生むAI実装、二つの条件 伊藤錬 ◎成田悠輔の聞かれちゃいけない話 17 ゲスト 内田光子(ピアニスト) 「音楽は教育じゃない、体験よ」 ◎有働由美子対談 94 西川美和(映画監督)私たちの知らない戦争 ◎底線思考 4 穴の空いた世界 佐橋亮 ◎忘れ得ぬ「昭和人」 4 後藤田正晴の逡巡 保阪正康 ◎古風堂々 90 大いなる狼狽 藤原正彦 ◎日本人へ 277 塩野七生 ◎ベストセラーで読む日本の近現代史 158 佐藤優 ◎言霊のもちぐされ 25 山田詠美 ◎ラファエルの羅針 7 柚月裕子 ◎ゴルフ春秋 21……ほか -
フィリップ・マーロウの教える生き方
巨匠チャンドラーが生んだ私立探偵フィリップ・マーロウの至言をテーマ別にチョイス。村上春樹の翻訳で贈る珠玉の名言集が文庫化 -
小澤征爾さんと、音楽について話をする(新潮文庫)
「良き音楽」は愛と同じように、いくらたくさんあっても、多すぎるということはない――。グレン・グールド、バーンスタイン、カラヤンなど小澤征爾が巨匠たちと過ごした歳月、ベートーヴェン、ブラームス、マーラーの音楽……。マエストロと小説家はともにレコードを聴き、深い共感の中で、対話を続けた。心の響きと創造の魂に触れる、一年間にわたったロング・インタビュー。 -
あらゆるものがおくりもの
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできません。 『おくりものはナンニモナイ』の著者パトリック・マクドネル氏が贈る、待望の新作。 翻訳を手がけるのは、村上春樹氏。 前作『おくりものはナンニモナイ』は、谷川俊太郎氏の名訳によって日本の読者に愛されてきました。 しかし谷川氏が亡くなられたあと、そのバトンを受け継ぐように、村上氏が本作の翻訳を引き受けました。 村上氏自身も、かつてアメリカで暮らしていた頃、新聞で連載されていた『MUTTS』を愛読していたといいます。 谷川俊太郎氏から村上春樹氏へ。日本文学を代表する二人の言葉が、ひとつの絵本シリーズのなかで静かにつながった、特別な一冊です。 物語の主人公は、黒猫のムーチ。ある特別な日、ムーチは大切な友だちである犬のアールに、「かんぺきなおくりもの」をおくろうと決めます。 おくりものは、とびっきり最高で、「ワオ!」と叫びたくなるようなものでなくてはなりません。 ムーチは、かんぺきな箱とリボンを用意しますが、肝心の中身がなかなか見つかりません。 クローゼットをのぞき、秘密の宝箱を探し、書斎を調べ、大好きなおばさんやおじさんにも会いに行く。 それでも答えは見つからないまま、時間だけが過ぎていきます。 ムーチは空を見あげ、自分の吐いた息をじっと見つめ、舞い降りる雪のかけらをしげしげと眺めます。 探しても探しても見つからなかった「かんぺきなおくりもの」。 けれど、立ち止まって世界を見つめ直したとき、ムーチの目に映るものは少しずつ変わっていきます。何気ない一日、そばにいる誰か、いつもの場所、ふとした出来事。 そのすべてが、ムーチにある大切な気づきをもたらしていくのです。 大切な人に何かをおくりたいと思う気持ちから始まり、世界をまなざす心そのものへと広がっていく物語。 マクドネル氏のやわらかな絵と、村上春樹氏の澄んだ日本語が、日々の何気ない瞬間を、そっと光らせてくれます。 子どもには世界の美しさを、大人には忘れかけていた感謝の感覚を届ける絵本です。 ほんとうのおくりものとは何なのか――ムーチと一緒に、その答えを見つけたくなる、あたたかな一冊です。 -
アンダーグラウンド
「それらを通過する前とあととでは、日本人の意識のあり方が大きく違ってしまった」1995年に起きた阪神淡路大震災、そして地下鉄サリン事件。日本の戦後史の転換期を狙い澄ましたかのようなこの二つの悲劇は、地下--「アンダーグラウンド」から突如噴き出した、圧倒的な暴力の裏と表だった。魂の最奥部を見つめ続けてきた作家が、62人の関係者への丹念なインタビューを通じて浮かび上がらせる現代日本の、そして人間の底深い闇。強い祈りをこめた、渾身の書き下ろしノンフィクション。 -
一人称単数
人生にあるいくつかの大事な分岐点。そして私は今ここにいる。 ――8作からなる短篇小説集、待望の文庫化! ビートルズのLPを抱えて高校の廊下を歩いていた少女。 同じバイト先だった女性から送られてきた歌集の、今も記憶にあるいくつかの短歌。 鄙びた温泉宿で背中を流してくれた、年老いた猿の告白。 スーツを身に纏いネクタイを結んだ姿を鏡で映したときの違和感――。 そこで何が起こり、何が起こらなかったのか? 驚きと謎を秘めた8篇。 「一人称単数」の世界にようこそ。 ※この電子書籍は2020年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
英日バイリンガル 現代ゴシック小説の書き方
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ★エッセイで指南し、小説で実践してみせる。当代一の書き手によるゴシック入門。 エドガー・アラン・ポー、ウィリアム・フォークナーから始まり、内田百閒、伊藤潤二、柴崎友香、『鬼滅の刃』までのゴシック、ホラーの作品世界を、現代アメリカの最重要ゴシック作家のひとりブライアン・エヴンソンが語り尽くす。書き下ろしを含むゴシック小説4篇(うち3篇は本邦初公開)と、柴田元幸との対談も収録。完全英日バイリンガル本。 〈目次〉 まえがき ブライアン・エヴンソン Introduction by Brian Evenson 1 幼いころに難解な物語を 聴くことの効用 ― たとえばポー ― Having Poe Read to in Childhood エッセイ ポーを読む(Reading Poe) 小説 ザ・パニッシュ(The Punish) 2 「よくわからない」が創作につながる ― 鬼滅の刃、内田百閒、伊藤潤二、柴崎友香 ― Creativity of Not Knowing エッセイ 何もかもわかってはいないことの効用(Not Quite Knowing What It All Means) 小説1 痕跡を残さぬ顔(A Face Leaving No Traces) 小説2 紫の野菜(Purple Vegetable) 3 ブライアン・エヴンソンはいかにして作られたか The Making of Brian Evenson ブライアン・エヴンソン、柴田元幸対談 A Conversation Between Brian Evenson and Motoyuki Shibata 4 総括篇 Conclusion 小説 ぐっすりお休み(Good Night, Sleep Tight) 訳者あとがき 柴田元幸 Translator's Afterword 装画 横尾忠則 -
大いなる眠り
私立探偵フィリップ・マーロウ。三十三歳。独身。命令への不服従にはいささか実績のある男。ある午後、彼は資産家の将軍に呼び出された。将軍は娘が賭場で作った借金をネタに強請られているという。解決を約束したマーロウは、犯人らしき男が経営する古書店を調べ始めた。表看板とは別にいかがわしい商売が営まれているようだ。やがて男の住処を突き止めるが、周辺を探るうちに三発の銃声が……。シリーズ第一作の新訳版 -
[音声DL付]現代語訳でよむ 日本の憲法―憲法の英文版を「今の言葉」に訳してみたら―
戦後70年の節目に、「日本国憲法英文版」をアメリカ文学研究家、翻訳者の柴田元幸が現代日本語に翻訳。法律用語監修に首都大学東京の木村草太を迎え、対談「英語からみた『日本の憲法』」も収録。また、現代語訳を声優の関俊彦が朗読。英語から「日本の憲法」にアプローチする、新たな試み。 【商品の特長】 1)日本国憲法英文版を、柴田元幸が「素直」によんで、「今の言葉」に訳す 1946年11月3日、日本国憲法が公布された同じ日、「英文官報号外」に“The Constitution of Japan”が掲載された。いわゆる「日本国憲法英文版」である。 この日本国憲法英語版の全文を、「素直」によんで、「今の言葉」に訳すとどうなるのか? これに挑戦したのが、ポール・オースターをはじめ、アメリカ文学の翻訳を数多く手がける柴田元幸。一見回り道のようだが、英語からアプローチすることで、日本国憲法の持つメッセージが、より明確に、「腹にストンと落ちる」形で伝わる。 2)木村草太が、法律用語を監修 他分野とのコラボレーションに意欲的で、発信する憲法学者である木村草太。本書では、憲法学の見地から、法律用語を監修。 3)柴田元幸×木村草太対談 英語からみた「日本の憲法」収録 日本国憲法を英語からみると、どんな地平が広がっているのだろう? 「対談を通して訳語が変わっていく」過程、「実は憲法には衆議院と参議院の違いが書かれていない」意外な事実、「individuals(個人)とhumans(人)の違いは、英語で考えるとよりくっきりする」気付きなど、刺激に満ちたスリリングな対談。 4)無料ダウンロード音声で声優・関俊彦がよむ「日本の憲法」全文が聞ける! 「忍たま乱太郎」(土井先生役)、「仮面ライダー電王」(モモタロス役)、「NARUTO-ナルト-」(うみのイルカ役)などで知られる声優の関俊彦が、現代語訳された「日本の憲法」全文をよむ。耳から「日本の憲法」がしみこんでいく。 ※ダウンロード音声(mp3)はPCのみの対応です。ダウンロードするにはPCとPC用のメールアドレスが必要です。 対象レベル:全レベル ダウンロードコンテンツ: ・現代語訳版音声:17ファイル、約56分、収録言語=日本語。「日本国憲法英文版」の現代語訳を、声優の関俊彦さんの声でお聞きいただけます。 ・日本国憲法英文版音声:17ファイル、約52分、収録言語=英語。「日本国憲法英文版」の原文をお聞きいただけます。 【著者プロフィール】 翻訳: 柴田元幸:アメリカ文学研究者、翻訳家。1954 年東京生まれ。ポール・オースターやリチャード・パワーズ、レベッカ・ブラウンをはじめ、アメリカ文学の翻訳を数多く手掛ける。文芸誌「MONKEY」(スイッチ・パブリッシング)責任編集。『アメリカン・ナルシス』(東京大学出版会)でサントリー学芸賞、『メイスン&ディクスン』(上・下、新潮社)で日本翻訳文化賞を受賞。月刊誌『ENGLISH JOURNAL』(アルク)にて「英米小説最前線」を好評連載中。 法律用語監修: 木村草太:憲法学者。首都大学東京法学系准教授。1980 年東京生まれ。著書に、『平等なき平等条項論』(東京大学出版会)、『憲法の急所』(羽鳥書店)、『憲法の創造力』(NHK出版)、『テレビが伝えない憲法の話』(PHP)、『未完の憲法』(奥平康弘との共著、潮出版社)、『憲法の条件』(大澤真幸との共著、NHK出版)など多数。「報道ステーション」(テレビ朝日系)レギュラーコメンテーターとしても活躍中。 -
[音声DL付]対訳 英語版でよむ日本の憲法
英語×柴田訳で見えてくるこの国の「基本」 日本国憲法には公式訳があった! 文学翻訳の名手が挑む「英文版憲法」 日本国憲法が公布された1946年11月3日、その全文訳が英文官報に掲載された。本書では、この「英語版憲法」の新訳に、英米文学翻訳家の柴田元幸が挑戦、明快な現代語訳を作りあげた。英語という言語を介して、この国の基本法を新たな角度で見つめよう。 ●「英語版」&「柴田元幸訳」で日本国憲法が分かる! 英語も身に付く! 日本国憲法の公式訳「英語版憲法」を、翻訳界の巨匠柴田元幸氏が翻訳。正統派の英文と明快な現代語訳という新しいアプローチで、憲法のスピリットとメッセージが頭にすらすら入ってくる。英文は、憲法公布日(1946年11月3日)、GHQの了承に基づき英文官報に掲載されたもの。語注が付いているので、英語学習にも最適。法律用語を憲法学者の木村草太氏が監修。 ●朗読音声で「耳から」もよめる! 日本語と英語の朗読が聞けるダウンロード音声付き。日本語は『鬼滅の刃』(鬼舞辻無惨役)でお馴染みの関俊彦氏、英語はプロのネイティブナレーターが朗読。私たちの生活を守る憲法が耳に、心に、じわじわとしみてくる。 ●柴田氏&木村氏の対談「英語からみた『日本の憲法』」を収録 peopleをどう訳すかは難題、第9条の英文に感じる「気合い」、「実は憲法には衆議院と参議院の違いが書かれていない」…etc.。訳語をめぐる思いや条文の以外な事実など、訳者と監修者が語る、英語から見えてくる日本の憲法。 ●アメリカ合衆国憲法も! アメリカの憲法にはどんなことが書かれているのか? 合衆国憲法の英文(抜粋)、柴田氏の翻訳、木村氏の解説を収録。日米比較で憲法をよりディープに理解。大統領選や弾劾裁判などアメリカのニュースもぐっと身近で分かりやすくなる。 ※本書は、2015年刊行の『現代語訳でよむ日本の憲法』にアメリカ合衆国憲法の翻訳を新たに加え、増補改訂したものです。 ※本書の学習で使用する音声(MP3)は、すべて無料でダウンロードできます。アルクのウェブサイトよりダウンロードの上ご利用ください。お持ちのPCの音声プレーヤーや、スマホに同期して再生、もしくはスマホアプリ「英語学習 booco」(無料)から直接ダウンロードして、再生いただくこともできます。なお、本電子書籍のビューワー上で音声再生はできません。予めご了承ください。商品ご購入前に、ご利用の端末でのアプリ「英語学習 booco」インストールの可否を、ストア(App Store/Google Playストア)でご確認ください。 【対象レベル】英語全レベル 【ダウンロード音声】MP3形式 【著者プロフィール】 柴田元幸(翻訳): アメリカ文学研究者、翻訳家。EJで「英米小説最前線」連載中。ポール・オースターやレベッカ・ブラウンら、アメリカ文学の翻訳を数多く手掛ける。文芸誌「MONKEY」(スイッチ・パブリッシング)責任編集。『アメリカン・ナルシス』(東京大学出版会)でサントリー学芸賞、『メイスン&ディクスン』(上・下、新潮社)で日本翻訳文化賞を受賞。 -
鑑識レコード倶楽部
ピーター・バラカン 「持ち寄ったレコードを黙って聞き、意見を一切言わない。この極度のオタク行為に潜む意義はあるのか、答えはまだ出ませんが、一気に読んでしまいました」 直枝政広(カーネーション) 「明かされるタイトルだけを頼りに、読みながらプレイリストを作った。音楽の迷路に迷い込む気持ち良さを存分に味わった。答え合わせは後のお楽しみだ」 月曜の夜、パブの小部屋に3枚のレコード盤を持ち寄り、厳格なルールのもとにただ黙って聴く──ストイックな倶楽部は順調に育っていくかに見えたが、やがてライバルが出現し、分裂の危機に揺さぶられる……トマス・ピンチョンがデビュー作を賞賛、イギリスならではの乾いたユーモアの名手が送る現代社会の寓話。 作中には60年代以降のロック、ポップスのタイトルが無数に登場するが、ミュージシャンやバンド名はいっさいナシ。そんな意地の悪い小説だが、作者本人がSpotifyに“The Official Forensic Records Society Playlist by Magnus Mills”と題したプレイリストを公開中! 訳者・柴田元幸によるあとがき、注解とマグナス・ミルズの著作ガイドとともにお楽しみ下さい。 訳者あとがきより─── 人物の過去も背景も示さず、ほかに何をやっているかも伝えず、ひたすらひとつの営みに携わるさまを、比喩などのレトリックにも頼らず描く。そうやって自主的に素材を貧しくすることを通して、この作家ならではの、オフビートな可笑し味が生まれてくる。無表情で可笑しいことを言ったりすることを英語ではdeadpanと呼ぶが、マグナス・ミルズほどdeadpan humourに長けた書き手もそうザラにいない。 -
虚言の国 アメリカ・ファンタスティカ
虚言症が蔓延するアメリカで、稀代の嘘つき男が 仕掛ける奇想天外なロードトリップ―― ピュリッツァー賞候補作家が放つ長編小説、待望の全訳! オブライエン(著)×村上春樹(訳) ある理由で一流ジャーナリストからフェイクニュースの王に転落した中年男ボイド。 カリフォルニアの田舎町でデパートの店長をしている彼は地元銀行の窓口係アンジーに 銃をつきつけ、奪った8万1千ドルと彼女を連れ逃避行に出る。 仕切り屋で喋り通しのアンジーに閉口しつつアメリカを縦断するボイドと、 彼をとりまく大富豪、悪徳警官、美人妻、殺人者――追う者追われる者が入り乱れ、 嘘と疫病に乗って全米を疾走するが……。 ティム・オブライエン、20年ぶりの長編小説。 -
雲
出張先のメキシコで、突然の雨を逃れて入った古書店。そこで見つけた一冊の書物には19世紀に、スコットランドのある町で起きた黒曜石雲という謎の雲にまつわる奇怪な出来事が書かれていた。驚いたことに、かつて、若かった私はその町を訪れたことがあり、そこで出会ったある女性との愛と、その後の彼女の裏切りが、重く苦しい記憶となっていたのだった。書物を読み、自らの魂の奥底に辿り着き、自らの亡霊にめぐり会う。ひとは他者にとって、自分自身にとって、いかに謎に満ちた存在であることか……。幻想小説、ミステリ、そしてゴシック小説の魅力を併せ持つ、マコーマック・ワールドの集大成とも言うべき一冊。 -
グレイス・ペイリー短篇集
村上春樹翻訳・至高の女性作家の第一作品集。アメリカ文学の伝説はここから始まった! 村上春樹と、アメリカ文学の生きた伝説、グレイス・ペイリーのコラボレーション。 「ペイリーさんの小説は、とにかくひとつ残らず自分の手で訳してみたい」と村上氏は語る。キッチン・テーブルでこつことと書き継がれた、とてつもなくタフでシャープで、しかも温かく、滋味豊かな短篇集。巻末にデビュー当時を語ったエッセイと訳者による詳細な解題付き。世紀を超えて輝く傑作10篇収録。 ※この電子書籍は2005年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
さよなら、愛しい人
刑務所から出所したばかりの大男へら鹿マロイは、八年前に別れた恋人ヴェルマを探して黒人街にやってきた。しかし女は見つからず激情に駆られたマロイは酒場で殺人を犯してしまう。現場に偶然居合わせた私立探偵フィリップ・マーロウは、行方をくらました大男を追って、ロサンジェルスの街を彷徨うが…。マロイの一途な愛は成就するのか?村上春樹の新訳で贈る、チャンドラーの傑作長篇。『さらば、愛しき女よ』改題。 -
死ぬまでに読みたい1000冊 人生を豊かにする世界の名著
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 古代から現代まで、文化と時代を超えて読み継がれる1000冊を紹介! 読むことの喜びと新たな本の発見にワクワクする驚き・娯楽・啓発に満ちたブックガイド! 長年全米の読書人を魅了した通販書籍カタログ「A Common Reader」の発行人にして熟練書店員の著者が 14年かけて選び抜いた「人生で読むべき本」のリスト。 本の世界を探索し、豊かな読書体験にたどりつく―― ◎小説などのフィクションをはじめ、科学、哲学、回想録、歴史書、ジャーナリズム、児童書など、多様なジャンルを網羅。 ◎作品ごとに、読みどころはもちろん、その本にまつわる背景や筆致などにも言及。核心に迫る新たな視点や興味深い洞察を提供している。 ◎著作者のアルファベット順の並びで、特筆すべき著作者については作品と別にそのキャリアや功績について、より詳しく解説している。 【本書の4つの特色】 1、オールカラー、画像も豊富 見やすいオールカラーで、作品に関連するイラストや写真を多数掲載。より理解や興味を深めやすいよう配慮している。 2、書名は「日本語訳+原書タイトル」を記載 書名は邦訳が刊行されているものはそれに倣い、ないものは新たに日本語に訳した。原書タイトルも併記し、原書を探す際の手助けとした。 3、読み物としての楽しさ ジャンルごとではなく著作者のアルファベット順の並びのため、どこを開いても思いがけない作品との出会いがある。また、各解説はエッセイとしても読み応えがある。 4、関係書籍・翻案・邦訳書情報を付記 作品ごとに、同じ著作者の他作品や、おすすめの関連書籍、映画などの翻案といった情報も記載。邦訳書の有無も付記しており、日本語で読める本を探しやすい。 -
小説の技巧
小説愛好家・作家志望者のためのバイブル! 小説を考察する50の方法 小説愛好家・作家志望者なら必読の名著、待望の普及版。ユリシーズをはじめ、ジェイン・オースティン、シャーロット・ブロンテ、ヴァージニア・ウルフ、フィッツジェラルド、サリンジャー、ヴォネガット、オースター、ミュリエル・スパーク、ジャネット・ウィンターソン、カズオ・イシグロの作品まで、古今の傑作小説を素材に、使える技法を伝授。 「書き出し」から始まり、「視点」「意識の流れ」「内的独白」「異化」「時間の移動」「間テクスト性」「実験小説」「マジック・リアリズム」「信用できない語り手」「メタフィクション」……50のキーワードを、「コミック・ノベル」の第一人者であるデイヴィッド・ロッジが徹底解説! テキストを味読・考察し、小説がどのように書かれているかについても明快に言語化してくれる。英米文学科学生にとっても座右の書。 これ1冊で、ストーリーテリングの秘訣がわかる。 [目次] 序 1 書き出し(ジェイン・オースティン/フォード・マドックス・フォード) 2 作者の介入(ジョージ・エリオット/E・M・フォースター) 3 サスペンス(トマス・ハーディ) 4 ティーンエイジ・スカース(J・D・サリンジャー) 5 書簡体小説(マイケル・フレイン) 6 視点(ヘンリー・ジェイムズ) 7 ミステリー(ラドヤード・キプリング) 8 名前(デイヴィッド・ロッジ/ポール・オースター) 9 意識の流れ(ヴァージニア・ウルフ) 10 内的独白(ジェイムズ・ジョイス) 11 異化(シャーロット・ブロンテ) 12 場の感覚(マーティン・エイミス) 13 リスト(F・スコット・フィッツジェラルド) 14 人物紹介(クリストファー・イシャウッド) 15 驚き(ウィリアム・メイクピース・サッカレイ) 16 時間の移動(ミュリエル・スパーク) 17 テクストの中の読者(ロレンス・スターン) 18 天気(ジェイン・オースティン/チャールズ・ディケンズ) 19 反復(アーネスト・ヘミングウェイ) 20 凝った文章(ウラジーミル・ナボコフ) 21 間テクスト性(ジョゼフ・コンラッド) 22 実験小説(ヘンリー・グリーン) 23 コミック・ノベル(キングズリー・エイミス) 24 マジック・リアリズム(ミラン・クンデラ) 25 表層にとどまる(マルカム・ブラドベリ) 26 描写と語り(ヘンリー・フィールディング) 27 複数の声で語る(フェイ・ウェルドン) 28 過去の感覚(ジョン・ファウルズ) 29 未来を想像する(ジョージ・オーウェル) 30 象徴性(D・H・ロレンス) 31 寓話(サミュエル・バトラー) 32 エピファニー(ジョン・アップダイク) 33 偶然(ヘンリー・ジェイムズ) 34 信用できない語り手(カズオ・イシグロ) 35 異国性(グレアム・グリーン) 36 章分け、その他(トバイアス・スモレット/ロレンス・スターン/サー・ウォルター・スコット/ジョージ・エリオット/ジェイムズ・ジョイス) 37 電話(イーヴリン・ウォー) 38 シュルレアリスム(リオノーラ・キャリントン) 39 アイロニー(アーノルド・ベネット) 40 動機づけ(ジョージ・エリオット) 41 持続感(ドナルド・バーセルミ) 42 言外の意味(ウィリアム・クーパー) 43 題名(ジョージ・ギッシング) 44 思想(アントニー・バージェス) 45 ノンフィクション小説(トマス・カーライル) 46 メタフィクション(ジョン・バース) 47 怪奇(エドガー・アラン・ポー) 48 物語構造(レナード・マイケルズ) 49 アポリア(サミュエル・ベケット) 50 結末(ジェイン・オースティン/ウィリアム・ゴールディング) 訳者あとがき Uブックス版に寄せて 翻訳書一覧 -
小説の読み方、書き方、訳し方
小説は、読むだけじゃもったいない。読んで、書いて、訳してみれば、百倍楽しめる!文豪と人気翻訳者が〈読む=書く=訳す〉ための実践的メソッドを解説した、究極の小説入門。 -
世界で最後の花
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日本国際児童図書評議会「おすすめ!日本と世界の子どもの本 2025」選定図書 第十二次世界大戦が起きた世界。文明は破壊され、町も都市も、森も林も消え去った。残された人間たちは、ただそのへんに座りこむだけの存在になりはてた。ある日、ひとりの若い娘がたまたま世界に残った最後の花を見つけます。その花をひとりの若い男と一緒に育てはじめます。すると……。なぜ人間は戦争を繰り返すのか? 第二次世界大戦開戦の直前に描かれた、平和への切実な願い。世界的ロングセラーを村上春樹の新訳で復刊。 -
世界の名作を読む 海外文学講義
時を超え、世界中で読み継がれる文学の古典は、21世紀を生きる私たちにとってなお身近な感覚や切実な問いを突きつけている。 『ドン・キホーテ』『罪と罰』『ボヴァリー夫人』『失われた時を求めて』などの大作から、チェーホフやカフカ、メルヴィルの短篇まで、フィクションを読む技法と愉しみを知りつくした4人が徹底解説。 放送大学でロングラン9年の大人気講義に原典の名訳・新訳を交えて再構成した、海外文学案内の決定版。 ※本書には、紙版の第16章に収録されている下記3作品の抜粋は、版権上の理由により収録されておりません。 イタロ・カルヴィーノ『魔法の庭』 (和田忠彦訳) イタロ・カルヴィーノ『楽しみはつづかない』 (和田忠彦訳) イタロ・カルヴィーノ『ある夫婦の冒険』 (和田忠彦訳) -
総特集◎150年目の『不思議の国のアリス』
世界中で一番親しまれてきたファンタジーは、少年少女の愛読書というジャンルを破り、さまざまにアリス現象として全世界の隅々に広まっていった。人間の深層の様々な夢・欲望・恐怖を表わし、映像・マンガ・美術・ファッション、そして哲学、精神分析・論理学にも侵犯し、熱烈なファンを獲得してきた。アリス誕生150年となる2015年、永遠の少女アリスは絶世の美女か、それとも賢い悪女か。その行方を重層的に追い求める―『アリス』決定版、ここに刊行! -
象工場のハッピーエンド(新潮文庫)
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 春が来るとジョン・アプダイクを思い出す。ジョン・アプダイクを読むと1968年の春を思い出す。ほんのちょっとしたことなのだけど、われわれの人生や世界観はそのような「ほんのちょっとしたこと」で支えられているんじゃないか、という気がする……。都会的なセンチメンタリズムに充ちた13の短編と、カラフルなイラストが奏でる素敵なハーモニー。語り下ろし対談も収録した新編集版。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 -
高い窓
私立探偵フィリップ・マーロウは大邸宅に住む老女主人から呼び出される。貴重な金貨を持ち逃げした息子の嫁を探して欲しいと言うのだが……だが彼の行く手には脅迫と、そして死体が! 待望の新訳版 -
デカルトからベイトソンへ――世界の再魔術化
17世紀、デカルトとニュートンのパラダイム成立によって、世界から魔術が失われた。 貨幣による資本主義と合理的な科学思考によってできあがった近代的な世界。 魔術は科学に置き換えられてしまった。しかし、科学的に再編成される過程で色あせていったパワフルな知を取り戻すために、今こそ「世界の再魔術化」が必要だ! デカルト・パラダイムに反旗を翻し、1960年代のカウンター・カルチャーの空気をひっさげ、「世界の再魔術化」への道筋を探った知的冒険の書、待望の復刊! オカルト学の山々を乗り越え、たどり着いたひとつのヒントはグレゴリー・ベイトソン。 ロボティクス、アンドロイド、VR的な現実世界の出現を前に、今こそ再読されるべき書。 -
どこかで叫びが
恐怖が、再定義される── 『ゲット・アウト』の監督・ジョーダン・ピールが送る 黒人作家たちによる恐怖の最前線 【ローカス賞】、【ブラム・ストーカー賞】、【英国幻想文学大賞】受賞! 【世界幻想文学大賞】最終候補作! 『ゲット・アウト』『アス』『NOPE/ノープ』で世界に衝撃を与えた映画監督・脚本家ジョーダン・ピールが編集を手がける、全編書き下ろしによるブラック・ホラー短篇集。 本アンソロジーに収録された19の作品では、奴隷制度の記憶、公民権運動のトラウマ、移民としての分断されたアイデンティティ、そして現代社会の見えざる暴力など、超自然の恐怖だけでなく、アメリカ社会に深く根を下ろした不正義や歴史的暴力といった“現実”の〈悪夢〉が描かれる。 作家陣には、N・K・ジェミシン、ンネディ・オコラフォー、レベッカ・ローンホース、タナナリーヴ・ドゥーら国際的に高く評価される作家たちが名を連ね、新進気鋭の書き手も多数参加。また、ジョーダン・ピール自身による序文も収録されている。 ローカス賞、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞を受賞したほか、Esquire、CrimeReads、シカゴ公共図書館の「年間ベストブック」にも選出された。また、英・ガーディアン紙は「今年最高のアンソロジーであるだけでなく、時代を超えて語り継がれる一冊」と絶賛している。 ブラック・ホラーの最前線を記録する、必読のアンソロジー。 あなたがまだ見ぬ恐怖が、ここにある── -
ナイフ投げ師
天才的な腕前を誇るナイフ投げ師が、私たちの町にやってきた! 彼の名はヘンシュ。それまでいかなるナイフ投げ師も越えなかった一線を越えたことで、その名声を築き上げたのだ。公演の日、噂に聞いたヘンシュの投げ技は、徐々に趣向をエスカレートさせ……(表題作)。夜、私たちの町では、少女たちの秘密結社が妖しい儀式を開くという。風聞や関係者の証言によっても、結社の真の姿は判然とせず……(「夜の姉妹団」)。自動人形、空飛ぶ絨毯、地下世界――精密な文章により現実から飛翔するミルハウザーの魔法のごとき十二篇を、名手の翻訳で贈る。/【目次】ナイフ投げ師/ある訪問/夜の姉妹団/出口/空飛ぶ絨毯/新自動人形劇場/月の光/協会の夢/気球飛行、一八七〇年/パラダイス・パーク/カスパー・ハウザーは語る/私たちの町の地下室の下/訳者あとがき/創元文芸文庫版訳者あとがき/解説=藤野可織 -
猫を棄てる 父親について語るとき
各紙誌で絶賛! 村上作品の原風景がここにある 村上春樹が自らのルーツを綴ったノンフィクション。中国で戦争を経験した父親の記憶を引き継いだ作家が父子の歴史と向き合う。 父の記憶、父の体験、そこから受け継いでいくもの。村上文学のルーツ。 ある夏の午後、僕は父と一緒に自転車に乗り、猫を海岸に棄てに行った。家の玄関で先回りした猫に迎えられたときは、二人で呆然とした……。 寺の次男に生まれた父は文学を愛し、家には本が溢れていた。 中国で戦争体験がある父は、毎朝小さな菩薩に向かってお経を唱えていた。 子供のころ、一緒に映画を観に行ったり、甲子園に阪神タイガースの試合を見に行ったりした。 いつからか、父との関係はすっかり疎遠になってしまった――。 村上春樹が、語られることのなかった父の経験を引き継ぎ、たどり、 自らのルーツを初めて綴った、話題の書。 イラストレーションは、台湾出身で『緑の歌―収集群風―』が話題の高妍(ガオ イェン)氏。 ※この電子書籍は2020年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
ハックルベリー・フィンの冒けん
★柴田元幸がいちばん訳したかったあの名作、ついに翻訳刊行。 ★オリジナル・イラスト174点収録。 ★訳者 柴田元幸の「作品解題」付き。 「トム・ソーヤーの冒けん」てゆう本をよんでない人はおれのこと知らないわけだけど、それはべつにかまわない。あれはマーク・トウェインさんてゆう人がつくった本で、まあだいたいはホントのことが書いてある。ところどころこちょうしたとこもあるけど、だいたいはホントのことが書いてある。べつにそれくらいなんでもない。だれだってどこかで、一どや二どはウソつくものだから。まあポリーおばさんとか未ぼう人とか、それとメアリなんかはべつかもしれないけど。ポリーおばさん、つまりトムのポリーおばさん、あとメアリやダグラス未ぼう人のことも、みんなその本に書いてある。で、その本は、だいたいはホントのことが書いてあるんだ、さっき言ったとおり、ところどころこちょうもあるんだけど。 それで、その本はどんなふうにおわるかってゆうと、こうだ。トムとおれとで、盗ぞくたちが洞くつにかくしたカネを見つけて、おれたちはカネもちになった。それぞれ六千ドルずつ、ぜんぶ金(きん)かで。つみあげたらすごいながめだった。で、サッチャー判じがそいつをあずかって、利しがつくようにしてくれて、おれもトムも、一年じゅう毎日(まいんち)一ドルずつもらえることになった。そんな大金、どうしたらいいかわかんないよな。それで、ダグラス未ぼう人が、おれをむすことしてひきとって、きちんとしつけてやるとか言いだした。だけど、いつもいつも家のなかにいるってのは、しんどいのなんのって、なにしろ未ぼう人ときたら、なにをやるにも、すごくきちんとして上ひんなんだ。それでおれはもうガマンできなくなって、逃げだした。またまえのボロ着を着てサトウだるにもどって、のんびり気ままにくつろいでた。ところが、トム・ソーヤーがおれをさがしにきて、盗ぞく団をはじめるんだ、未ぼう人のところへかえってちゃんとくらしたらおまえも入れてやるぞって言われた。で、おれはかえったわけで。 ——マーク・トウェイン著/柴田元幸訳『ハックルベリー・フィンの冒けん』より ■タイトルの表記について(本文「解説」より) ハックはまったくの無学ではないし、学校に行けばそれなりに学びとるところもあるようだから(まあ六七(ろくしち)=三十五と思っているみたいですが)、もし漢字文化圏の学校に通ったとしたら、字もある程度書けるようになって、たとえば「冒険」の「険」は無理でも、「冒」は(横棒が一本足りないくらいのことはありそうだが)書けそうな気がするのである。 -
ブルーノの問題
現代アメリカ文学を代表する作家のひとり、アレクサンダル・ヘモンの最初期短編集 故郷喪失者は言語の中でのみ生きることができる たとえどこにいようが故郷には決していないのだから 原書が刊行されてから二十数年が経過し、サラエヴォ包囲自体は過去の出来事になったかもしれないが、むろん優れた小説はこの程度の時間で古びるものではないし、そもそもユーゴスラヴィアの惨事と消滅そのものは過去の話であっても、同じような事態が日々世界で生じていることは言を俟(ま)たない。(柴田元幸) ヘモンがナボコフとのあいだに感じる親近感は語彙という面からくるものではなく、故郷を喪失した作家が共通して抱える「埋め合わせてくれるものは言語だけ」という感覚だという。(秋草俊一郎) A・ヘモンによる『島』は、彼が英語で書いたもっとも初期の作品のひとつである。ヘモン氏はボスニア人であり、一九九二年にアメリカを旅行中、ボスニアでの戦争により帰国の道を絶たれてアメリカに移住した。『島』 を書いたのは一九九五年の春、もはや母語で小説を書くこともできず英語でもまだ書けなかった三年間を耐えた末のことだった。 スチュアート・ダイベック(『プラウシェアーズ』 1998年春号) 【目次】 島 アルフォンス・カウダースの生涯と作品 ゾルゲ諜報団 アコーディオン 心地よい言葉のやりとり コイン ブラインド・ヨゼフ・プロネク&死せる魂たち 人生の模倣 訳者あとがき 【著者】 アレクサンダル・ヘモン 1964年、旧ユーゴスラヴィアの構成国だったボスニア・ヘルツェゴビナ社会主義共和国の首都サラエヴォで生まれる。1992年渡米後、サラエヴォがセルビア人勢力によって包囲されたことで帰国不能になりアメリカに留まる。母語ではない英語で作品を発表するようになり『ノーホエア・マン』で高く評価。代表作に『世界とそれがかかえるすべて』など。映画『マトリックス レザレクションズ』ではラナ・ウォシャウスキー、デイヴィッド・ミッチェルと脚本の共同執筆も務めた。 柴田元幸 1954年生まれ。東京大学名誉教授、翻訳家。ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、レベッカ・ブラウン、スチュアート・ダイベックなどアメリカ現代作家を中心に翻訳多数。著書に『アメリカン・ナルシス』、訳書にジョナサン・スウィフト『ガリバー旅行記』、マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒けん』、エリック・マコーマック『雲』など。講談社エッセイ賞、サントリー学芸賞、日本翻訳文化賞、早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。文芸誌『MONKEY』日本語版責任編集、英語版編集。 秋草俊一郎 1979年生まれ。日本大学准教授。専門は比較文学・翻訳研究など。著書に『アメリカのナボコフ―塗りかえられた自画像』、『「世界文学」はつくられる 1827-2020』、訳書にドミトリイ・バーキン『出身国』、ウラジーミル・ナボコフ『ナボコフの塊 エッセイ集1921-1975』、アレクサンダル・ヘモン『私の人生の本』、ホイト・ロング『数の値打ち―グローバル情報化時代に日本文学を読む』(共訳)など。