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Posted by ブクログ
▼(本文より)私には酒が必要だった。高額の保険が必要だった。休暇が必要だった。郊外の家が必要だった。しかし今のところ私が手にしているのは、上着と帽子と拳銃だけだった。だからそれらを身にまとい、部屋を出た。
▼言い回しの次元でしかないとも言えますが、思わずにやりとしてしまいます。小説というのは、物語というのは、結局は言い回しの次元であると言えます。パチパチ。
▼私立探偵フィリップ・マーロウ長編シリーズ第2作。
①大いなる眠り(The Big Sleep, 1939年)
②さよなら、愛しい人(Farewell, My Lovely, 1940年)
③高い窓(The High Window, 1942年)
④水底の女(The Lady in the Lake, 1943年)
⑤リトル・シスター(The Little Sister, 1949年)
⑥ロング・グッドバイ(The Long Goodbye, 1953年)
⑦プレイバック(Playback, 1958年)
(以下、ネタバレ備忘)
▼マーロウはたまたま、ムース・マロイという乱暴な大男と知り合う。マロイは、「昔たれかに嵌められ」長い獄中生活から出所直後。もともと堅気ではない。ショーガールのヴェルマ、という愛人がいた。獄にいる間、ヴェルマからは音信不通。出獄した今、マロイはヴェルマを探す。ヴェルマを深く愛している。
マーロウは一方で、その直後から。
一見、マロイと無関係に(実は関係が大アリ)依頼された調査が発生。そこから殺人事件に巻き込まれて右往左往する。
結論は、以下。
・マロイの愛人だったヴェルマが、成り上がるために昔、マロイを嵌めて排除した。
・ヴェルマはその後、金持ちと結婚して成り上がった。過去を隠した。
・ヴェルマは出所したマロイが自分を探していることを知る。マロイを再び排除(殺し)たい。
・マーロウはマロイを知り合ったことから、ヴェルマに狙われた。殺されかけた。
・最後は全部マーロウが全てあばききる。マロイは最愛の人・ヴェルマに射殺された。ヴェルマは逮捕される。
Posted by ブクログ
村上春樹訳のハードボイルドミステリであるフィリップ・マーロウものの2作目。旧訳のほうは荒々しく削り出した巌を撫でて温度を感じるようのな無駄のない文体だが、今作の新訳のほうは、岩の成分を一つ一つ手で探ってフィリップ・マーロウというキャラクターを浮かび上がらせるような作りになっている。ハードボイルド、という単語から連想するような気取った感じはなく「こういう生き方しかできない」どこまでも不器用でたった一つの美学のみで突き進んでいくマーロウには男として憧れるものを感じる。事件の流れから最後で明かされた真相の読後感もさることながら、マーロウの身に起こる一つ一つの出来事に対してのレスポンスが一番の魅力だろう。ヒーローでもアンチヒーローでもなく、無力で繊細だが、その不屈の美学と飾らなさには凄く共感を覚える。ある種の損な生き方というのは、時に得がたいものなのだ。
Posted by ブクログ
仕事で訪れた酒場で事件に巻き込まれ、これをきっかけに、様々な人々の思惑の繋がりの中に絡め取られていく。主人公はその中を緩急つけながらもがき進んでいくことになります。いったい俺は何を探しているんだろうという疑問を持つ暇もないままに。
行間にある登場人物から発せられるサインと、同じく行間にある主人公の直感とが、事件の真相に向かって読者を進ませてくれます。説明できないけれども分かる必然性が、読者を虜にするのではないかと思います。それだけ登場人物が魅力的に生き生きと描かれていて、目の前で映画を見ているかのようにはっきりと場面が浮かび、感動します。魅力的なセリフの数々。読後にこの世界の余韻に浸るひと時に幸せを感じます。
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