講談社文庫作品一覧

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  • 噂の娘
    -
    言葉による映像美の頂点。鮮やかな記憶の破片、重なるあの日の心情――遠いどこかの街で父親が入院し、母は私と弟を、懇意の美容院に預けて旅立つ。50年代のどこか、夏から秋にかけての数日間を、女ばかりが暮らすその家で過ごす私は、漠然とした不安に発熱する。おびただしい噂話、錯綜する記憶、懐かしい物が織りなす重層的な映像(イマージュ)。時間と感覚を縦横に描く繊細にして強靭な長編。
  • うわっ、八十歳
    -
    妻・乙羽信子のこと、生と死……ホンネで明かす胸の内。自分の歩みを省みた爽快な好エッセイ! ぴんぴんと生きている! ――「人は仕事をして生きてきたのだから、命がおわるまで仕事をしていたいものだ」本音で綴る80歳の胸の内。荷風の人生を追ううちに見えてきた己れの姿。妻・乙羽信子のこと、親友・殿山泰司の死、なお映画をつくり続けること。老いと性、生と死、ぴんぴんと生きている自分を省みた、爽快な好エッセイ!
  • 運河が死を運ぶ
    -
    頭と脚と手首のない胴体だけの死体を詰めたトランクが、アムステルダムの運河で発見される。この猟奇的事件の被害者は、日本人の商社マン。強盗説、怨恨説などが飛び交うが、いずれも推理の域を出ない。敏腕記者の追跡の前に、事件はぶきみな深淵と輪郭を見せ始めるのだが……。表題作「運河が死を運ぶ」など7編収録の傑作ミステリー集。
  • 運転士
    3.3
    時刻ヨーシ、方向切替ヨーシ、発車。電車はスピードを急速に上げ、間もなく軌道が緩やかに下り始め、徐々に傾斜がきつくなっていく。傾斜角1000分の35。都市と都市生活者の様々な貌(かお)をトンネルの闇と駅の輝きが妖しく繋ぐ。カミソリのように光る二本のレールの上に現代を官能的に描く。第107回芥川賞受賞。
  • 運命の塔(上)
    4.0
    死刑制度について、職務を逸脱した発言をした元法務大臣・榎木雪夫の孫が、誘拐された。巧妙に仕掛けられたトリックによって、身代金1億円の奪取を図る一方で、反政府組織を名乗る犯人は、犯行声明文を公表する。榎木の義父で、政界の重鎮である大河原善造の特命を受け、元秘書・平岡道義は、事件の裏を探り始める。政治家一族を襲った誘拐と脅迫事件。<上下巻>
  • ウーナ・ミラノ Una Milano
    -
    ミラネーゼ風に遊び尽くすための、現地在住エッセイストのお勧め。ミラノの本当の楽しみ方、満載! ――あこがれの街・ミラノで暮らす人たちみたいに、楽しむ滞在の仕方とは? あらゆるミラノの魅力を、様々な歩き方で、24時間にわたって紹介する、画期的なエッセイ。食や風俗・習慣についてよくわかるコラム、おすすめの散策コースやショップ・リストもついた、「読んで楽しい、まねして楽しい」究極の必携ミラノ案内!
  • 永遠。
    3.6
    生きることに無器用なひとなのね、それが私にはいとしかった――葉月さんは亡くなる前、娘の弥生と幼なじみの僕に話してくれた。かつて別れた恋人のことを。弥生はその男の向かいの部屋に住み、彼の講義を聴きに短大に通った。「お父さん」と、一度も告げられずに。卒業式の日、僕は弥生の帰りを待つ――。(講談社文庫)
  • 永遠に生きる犬 ニューヨーク チョビ物語
    5.0
    ニュージャージーのペットショップで一目惚れした子ハスキー、チョビ。偶然の出会いが「逃げ出す・ごまかす・適当」に生きてきた著者リンコの人生を大激変させた! NY在住のエッセイストが綴る、愛犬とのハートフルな日常、そして別れ――。ペットを愛するすべての人に贈る珠玉の一冊。〈文庫書下ろし〉
  • 永遠のジャック&ベティ
    4.0
    英語教科書でおなじみのジャックとベティが、50歳で再会したとき、いかなる会話が交されたか? 珍無類の苦い爆笑、知的きわまるバカバカしさで、まったく新しい小説の楽しみを創りあげた奇才の、粒ぞろいの短篇集。ワープロやTVコマーシャル、洋画に時代劇……身近な世界が突然笑いの舞台に!
  • 英会話最終強化書
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 文法なんて気にせずに、ブロークン英語で話しましょう! 会話では「あなたはどこへ行きますか?」ではなく、「どこ行く?」でしょう。英語でも「Where are you going?」ではなく、主語、be動詞なしの「Where going?」で、じゅうぶん通じるのです。3000人に教えた秘訣を公開します! アメリカ人が伝授する日本人に最適の英会話マスター法。
  • 映画館が学校だった わたしの青春記
    -
    恋。友情。悲劇のヒロイン。映画に惹かれ、映画の中で人生を考えた。映画を愛しすぎてしまった男の青春感動自伝――田舎町の電電公社に勤めていた少年は、気がついたら興奮して、映画館のスクリーンを夢中で見つめていた、懐かしいあの頃。恋、友情、力強く生きる正義の男たち。悲劇のヒロイン……。こんなにも美しい女のひとがこの世にはいるという新鮮な驚き。映画に惹かれて、映画の中で人生を考え、やがて映画評論家になってしまった男の、映画を通じた青春自伝。懐かしい名画の数々が甦る感動の人生記録。
  • 映画は恋の教科書
    値引きあり
    3.0
    恋愛小説の名手が描く 俳優・女優たちのデッサン。映画は、ときに優しくロマンティックに、ときに生々しく、ときに手厳しく、恋の至福とテクニックを教えてくれる教科書(テキスト)。当代随一の恋愛小説の名手が、掌編小説の登場人物のようにあざやかに描き出す、俳優・女優たちの横顔。男の真実、女の魅力を語る、おとなのための恋愛レッスン。<『忘我のためいき』改題>
  • 英国太平記
    4.0
    「栄光のためでなく、富のためでなく、名誉のためでもない。ただ自由のためにのみ我々は戦う」。のちにアメリカ独立、フランス革命の礎となったその宣言は、隣の強国イングランドに迫害されながらも粘り強く戦いぬいたスコットランドの名もなき人々の魂の叫びだった。中世英国を描ききった一大歴史叙事詩。(講談社文庫)
  • [英語が恐い]殺人事件
    3.0
    英語とガイジンに対して強烈な劣等感を抱いている中年社員の福岡竜男が、こともあろうにニューヨーク支社勤務を命ぜられた。しかし彼の精神はパンク、みじめな日本送還となった。やがて彼の周囲で、血まみれの殺人が続発。第1の犠牲者は巨漢の外国人レスラーだった! 英語が恐いと感じる人必読のミステリー。 (講談社文庫)
  • 英才の家系―鳩山一郎と鳩山家の人々
    -
    家系とは何か。鳩山家は、和夫・一郎・威一郎・由紀夫・邦夫と四代にわたり、東大出身でかつ各時代の政治のリーダーを育てあげた。特に一郎は、日ソ国交回復を成し遂げた。その後また、由紀夫が首相に擬せられる。教育者でもある春子・薫子らの妻たちも通して、名家のルーツと叡智とリーダー陶冶の条件を探る。『鳩山一郎――英才の家系』改題。首相の器となる英才をどう育てたのか? 四代にわたる指導者育成の秘密に迫る!
  • 叡智のひびき 天風哲人 箴言註釈
    -
    たとえ病に侵されようとも、あるいは運命に悩まされようとも、それを克服しようとはせず、安らかに超然としていられることが、天風哲学の理想とする「積極心」なのである。──このほか、「報償を目的としない生活」「正しい思いやり」「不平不満を感じたときの対処」「自己を厳格に批判すべきこと」「人生のいっさいを感謝、感激に置き換えること」「人生への態度の積極化」「心を消極的に絶対しないこと」「人の世のために尽くすこと」……など、人生を正しく大切に生きるための、中村天風の信念から迸り出た言葉を収めた珠玉の指南書。
  • 英雄ありて
    -
    中国史の英雄に出会う旅。史記、三国志、唐詩、西遊記、水滸伝に登場する魅力的な人物とその舞台を語る好著。中国史上の雄大な人間ドラマを活写――史家や軍略家が主命を奉じた苦難の旅、皇帝の大旅行、飢えと非礼の中の亡命者の旅、刺客の悲壮な旅、詩人たちの異郷の旅……。中国史上の英雄たちの旅の現場を辿り、雄大な歴史と風土を目のあたりにする好著。天下を争う人々の興亡を俯瞰し、人間の悲劇に対する深い洞察を読む、興趣尽きない歴史エッセイ集。史実の重みと自由な空想の醍醐味を味わう!
  • エウレカの確率 経済学捜査員 伏見真守
    3.6
    1~3巻748~836円 (税込)
    「犯罪だって一般の消費者選択理論と同じ」。連続殺人事件の特捜本部に乗り込んだ行動経済学者の捜査に、誰もがあっけに取られた。被害者女性たちの自宅から足跡や血痕が発見されたのに解決の糸口すら見つからない難事件を、経済学で独自の容疑者を割り出したというのだ。まったく新しい知的警察小説の快作!
  • 駅に佇つ人
    -
    冷酷な現実に立ち向う、必死な愛の犯罪――石巻市で中年の男が殺され、若い塾教師が逮捕されたが、その男は起訴後自供を翻し、被害者の妻が殺される第2の殺人事件が発生した。被疑者に関わる地元代議士の妻の動き、やり手刑事のある秘密、そして恐るべき証拠品が……。人間の愛と罪を抉る表題作のほか、孤独な愛の激しさを描く、傑作推理小説集。
  • 駅物語
    3.8
    「大事なことを三つ言っとく。緊急時は非常停止ボタン。間に合わなければ走れ。線路に落ちたら退避スペースに入れ」 酔っ払う乗客、鉄道マニアの同期、全自動化を目論む副駅長に、圧倒的な個性をもつ先輩たち。毎日100万人以上が乗降する東京駅に配属された若菜は、定時発車の奇跡を目の当たりにし、鉄道員の職務に圧倒される。臨場感あふれる筆致で駅を支える人と行き交う人を描ききった、書き下ろしエンターテインメント!
  • 世界企業・日本攻略の構図 外資トップが語る対日企業戦略の全貌
    -
    日本に進出している外国企業の経営者たちは、日本の経済、企業、そして日本人をどうとらえているのか……。真の狙いは何か? 30兆円の日本市場を狙う米国通信界の覇者「AT&Tインターナショナル」、「デュポン・ジャパン」、「コカコーラジャパン」など、日本を攻略する世界企業の社長らを完全取材して、熾烈な経済戦争の内幕に迫る、問題レポート。
  • エクソシストとの対話
    3.7
    オカルト的な興味本位の対象として認識されてきた"エクソシスト"。だが、現在イタリアでは、ヴァチカン公認のエクソシストが人々の精神的な闇を癒す存在として、にわかに見直されている。実際に悪魔祓いの儀式にも参列し、数々の"現代のエクソシスト"たる神父を取材。その真実の姿に迫ったノンフィクション!
  • エコノミカル・パレス
    3.5
    34歳フリーター、年下の同棲相手は失業中。エアコンは壊れ、生活費の負担は増えていく。昔の知り合いが彼女を連れて転がり込む。どんづまりの生活を変えたのは、はたちの男からかかってきた「テキ電」だった。――生き迷う世代を描き、フリーター文学とも呼ばれた著者の転換点となった傑作。
  • エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ
    3.7
    エコール・ド・パリ――第二次大戦前のパリで、悲劇的な生涯を送った画家たち。彼らの絵に心を奪われ続けた有名画商が、密室で殺された。死の謎を解く鍵は、被害者の遺した美術書の中に潜んでいる!? 芸術とミステリを融合させ知的興奮を呼び起こす、メフィスト賞受賞作家の芸術ミステリシリーズ第一作。(講談社文庫)
  • 絵島疑獄(上)
    -
    七代将軍家継の生母月光院に仕える、大奥大年寄絵島と、当代の人気役者生島新五郎のスキャンダルは事実無根、全くのデッチ上げ! 連坐者千五百名に及んだ一大疑獄事件を、正室派対側室派、保守対革新、尾州家対紀州家等々、幕閣内に渦まく派閥抗争と捉え、犠牲者絵島の人間像に迫る、杉本史眼が冴える長編。
  • 封印再度 WHO INSIDE
    3.7
    50年前、日本画家・香山風采は息子・林水に家宝「天地の瓢」と「無我の匣」を残して密室の中で謎の死をとげた。不思議な言い伝えのある家宝と風采の死の秘密は、現在にいたるまで誰にも解かれていない。そして今度は、林水が死体となって発見された。2つの死と家宝の謎に人気の犀川・西之園コンビが迫る。
  • 幻惑の死と使途 ILLUSION ACTS LIKE MAGIC
    4.1
    「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」いかなる状況からも奇跡の脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が衆人環視のショーの最中に殺された。しかも遺体は、霊柩車から消失。これは匠幻最後の脱出か? 幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟が解明する。
  • 夏のレプリカ REPLACEABLE SUMMER
    3.9
    T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは? 『幻惑と死と使途』と同時期に起こった事件を描く。
  • 数奇にして模型 NUMERICAL MODELS
    3.9
    模型交換会会場の公会堂でモデル女性の死体が発見された。死体の首は切断されており、発見された部屋は密室状態。同じ密室内で昏倒していた大学院生・寺林高司に嫌疑がかけられたが、彼は同じ頃にM工業大で起こった女子大学院生密室殺人の容疑者でもあった。複雑に絡まった謎に犀川・西之園師弟が挑む。
  • SF西遊記 【復☆電書】
    3.8
    「復☆電書」企画にて、電子書籍で復刊! グリドラクータ星において全銀河系を治めるサーキ・ムニを訪ねて、超光速船白馬号に乗って宇宙を旅する三蔵法師陳玄奘とサイボーグ猿孫悟空、スーパーアンドロイド猪八戒、半漁人沙悟浄のユーモラスな難行珍道中を描くSFパロディー傑作長編。アニメ「SF西遊記 スタージンガー」原作。(講談社文庫・1981年9月刊)
  • SF水滸伝
    3.0
    波瀾万丈の古典名作の傑作SFパロディー。……平等革命で高度に自動化した天球星社会は、現実には官僚の個人的裁量で左右され、賄賂が決め手という腐敗社会に変貌していた。そこに現われた9人の闘士。〈水滸百八〉の謎、〈九天玄女〉によって語られるその真相、〈闇の霊〉との対話――物語は勇壮に展開していく……。
  • 江田島殺人事件
    4.0
    江田島の主峰・古鷹山が炎上し、短剣を腹部に突きたてた不審な焼死体が発見された。そして10年――。帝国海軍の象徴・東郷元帥の盗まれた短剣の行方を追って浅見光彦が江田島へ。奇しくもその日、発見された短剣で男が「自殺」した。3つの短剣に秘められた戦後40余年の繁栄に酔いしれる日本の悲劇とは!? (講談社文庫)
  • 枝付き干し葡萄とワイングラス
    3.5
    夫に突然離婚を切り出された妻の悲嘆が消えた瞬間。第2子を身ごもった女が目にした、産婦人科での光景。浮気相手の妊娠を妻に告げた夜。人生の豊饒の時、「結婚後」の男女の点景を通して、あたりまえの生活をいとなむ、そのすぐそばに潜んでいる奇異なものたちを見逃さずに描き出した、傑作短編小説集。(講談社文庫)
  • タカイ×タカイ CRUCIFIXION
    3.5
    ※本作品は2012年2月24日~2016年3月10日まで販売しておりました講談社ノベルス版『タカイ×タカイ CRUCIFIXION』の文庫版となります。 通常価格は異なりますが、本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。 「あんな高いところに、どうやって死体を上げたのでしょう?」有名マジシャン・牧村亜佐美の自宅敷地内で発見された他殺死体は、奇妙なことに、地上約15メートルのポールの上に掲げられていた。被害者は、前夜ファンと牧村の会食中に消えたマネージャーだった。事件関係者の調査依頼を受けた《探偵》鷹知祐一郎は、複雑に絡み合う人間関係の糸を解きほぐし、犯人の意図と事件の意外な真相に迫る。絶好調シリーズ第3弾!
  • ムカシ×ムカシ REMINISCENCE
    3.9
    東京近郊に広大な敷地を持つ百目鬼家は、大正期の女流作家、百目一葉を世に出した旧家。その息子夫妻が屋敷内で刺殺され、遺産の整理と鑑定を請け負ったSYアート&リサーチの小川と真鍋、アルバイトの永田は新たな殺人に遭遇する。古い河童の絵と謎めいた文の意味するものは。Xシリーズ、待望の第4作!
  • サイタ×サイタ EXPLOSIVE
    3.9
    匿名の依頼を受け、ある男の尾行を始めたSYアート&リサーチの小川と真鍋。男は毎日何時間も映画館を見張っていた。単調な仕事かと思われた頃、ニュースを騒がせている連続爆発事件にアルバイトの永田が遭遇。そして殺人事件が――。依頼人は誰か、目的は。連続爆弾魔との関係は。緊張感に痺れるXシリーズ第五弾!【解説入り】 ※本作品は 2017年9月14日まで販売しておりました講談社ノベルス電子版『サイタ×サイタ』の文庫電子版となります。 本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。
  • EDGE
    3.0
    ライトノベル界最注目の、天才心理捜査官登場! 爆弾魔VS.美貌の捜査官――私には犯人が見える……。世紀末の東京、レインボーブリッジや都庁など、超高層建造物だけを狙った連続爆破犯人「黄昏の爆弾魔=ラグナロク・ボマー」が、世間を震撼させていた。捜査に行き詰まった警察は、若き美貌の天才心理捜査官・大滝錬摩(おおたき・れんま)に協力を依頼する。ライトノベル界の最注目シリーズ、第1弾登場。<全5巻>
  • 似ッ非イ教室
    3.6
    英語には、なぜ、単数と複数があるのか? 美容院に行く男は、前もって洗髪すべきか否か? 日常生活にはびこる素朴な疑問やいじましい矛盾について、名物コラム・辛口批評のスタイルをパスティーシュして綴りあげた、エッセイまがいの異色短篇集。28の作品に練りあげられた、嘘(ウソ)と真実(マコト)の駆引きがまき起こす、笑いの大洪水。
  • 越年歩哨(『歩兵の本領』講談社文庫所収)
    -
    大晦日に上番する警衛隊の弾薬庫で、しかも午前零時からの越年歩哨を命じられるなんてひどい話だ。しかも、去年はクリスマス・イブの上番だったのに。宝クジがあたるよりも難しい不運を嘆く赤間に、営内班の強面たちが次々に声をかけてくる。娑婆とは違う、自衛隊の序列を教えてやろう――。浅田次郎が自らの自衛隊体験を活写した、涙と笑いの青春グラフィティ! 『歩兵の本領』所収。
  • 悦楽王 鬼プロ繁盛記
    5.0
    バカでもエロでもええじゃないか! 鬼才、最後の自伝的小説――自らを「サディストではない」と言い切る著者は、いかにして雑誌『SMキング』を立ち上げ、官能小説の大家となったのか? たこ八郎、渥美清ら多彩な人々との交流、’70年代アングラカルチャーの勢い、破天荒な私生活。「どんな風に生きてもいい」と教えてくれた鬼才が、最後に著した自伝的小説。 ◎「明るさと暗さの引き立て合い。まさに、これこそ、団鬼六という作家の真髄ではないでしょうか。そして、『SMキング』の三年間が、その明るさを演出したとは考えられないでしょうか。」<山田詠美「解説」より>
  • 凱旋門に銃口を
    -
    パリの屋根裏部屋に住む緒方健一とポーランドから亡命したアンジェイ・バナシャは、底辺の生活に明け暮れるエトランゼだ。ある日、二人の間に日本から素っ頓狂な女の子・幸田美里が飛び込んできた。アンジェイが仕入れてきた儲け話は、マフィアが盗んだツグジ・フジタの名画を横取りしようというもの。若者たちとマフィアの泥棒ごっこの結末は!? パリ暗黒街を舞台に展開する大活劇!
  • 江戸お留守居役の日記 寛永期の萩藩邸
    5.0
    江戸の萩藩お留守居役・福間彦右衛門の日記「公儀所日乗」。この第1級史料をもとに、藩邸生活の実態、藩の命運かけてたたかう外交官=留守居役の実像などを、新進気鋭の歴史学者があきらかにする、歴史ノンフィクション。根廻し、裏工作など、現代社会の原像がかいま見える好著。日本エッセイストクラブ賞受賞作。
  • 江戸管理社会反骨者列伝
    -
    「納得できる生き方」を求めた信念の人々! ――幕府あるいは藩という「組織」で運営されていた江戸時代。組織と個人の軋轢に苦悩した人々……駿河台の御意見番、大久保彦左衛門。上司に潰された大塩平八郎。失脚後冷遇された、新井白石などなど。閉塞状況に、納得できる生き方を求めた人々の群れが、ここにある。<『株式会社江戸幕府、さらりーまん事情』改題作品>
  • 江戸禁断らいぶらりい
    -
    江戸時代は庶民文化の花ざかり。世界一短かいポルノグラフィである艶句、大胆な発想と緻密な文章技巧をこらした春本、人生の深奥を垣間みる小ばなし、いずれも江戸ならではの匂いにあふれる。それらの快作怪作をすくい上げ、人生観察の名手が縦横に品評、おもしろさを増幅させる―江戸ポルノ書譜。
  • 江戸小咄
    4.0
    時代の性格とニュースを知る上に貴重な文献であり、世相と一般の生活を如実にあらわしているといわれる咄本。江戸後期の咄本15冊を各種の原本にあたり、完璧な形で編集した好著――古典落語の原話として広く知られる咄本は、日本人の笑いの無尽蔵の大鉱脈であるが、また、その時代の世相を如実に映しており、庶民の生活を見る上での貴重な文献でもある。本巻では、現代人の感覚にもよく通じる江戸後期の作品群を主としてとりあげ、原文のまま紹介するものである。各編、解説、訳注を付す。<全2巻>
  • 江戸時代はエコ時代
    3.7
    世界最大の都市・江戸を擁しながら、ほぼ完全な循環型社会を実現していた、かつての日本。驚異的なエネルギー効率を誇る農工業、民間人がボランティア的に行政参加するスリムな社会システム、季節に応じた知恵溢れる庶民の暮らし……。豊富な図版とともに「究極のエコ社会」江戸を読み解く。(講談社文庫)
  • 江戸城大奥列伝
    -
    春日の局――徳川三代将軍家光の乳人となり、家光の将軍継嗣に尽力し、「表」の老中に匹敵するほどの権勢を持つようになった、江戸城「大奥」の取締役。ついでお万の方、矢島の局、桂昌院、右衛門佐の局、お伝の方、左京の方、絵島等々、江戸の時代を背後から彩る大奥婦女を活き活きと描く海音寺史伝。
  • 江戸城の宮廷政治 熊本藩細川忠興・忠利父子の往復書状
    4.5
    幕藩体制が整う寛永時代までは、江戸城大広間は、大名みずからが命運をかけてたたかう戦場でもあった。現代日本の政治風土をつくった江戸時代初期の権力抗争を、熊本藩の細川忠興・忠利父子の残した膨大な往復書簡から解読する、歴史ノンフィクション。『江戸お留守居役の日記』の気鋭の歴史学者が放つ傑作。室町時代から現代まで、細川家繁栄の謎にせまる!
  • 江戸の怪奇譚
    3.7
    口から針を吐く少女。殺人鬼へと豹変した真面目な旗本の亡霊。突如、母親を切り刻んだ3人の子……江戸の人々を震撼させた怪事件は妖怪や怨霊の仕業なのか。その背後に浮かび上がるのは拉致、虐待、いじめ、ストリートチルドレンなど、現代社会にも通底する諸問題だった。今も昔も本当に怖いのは、人の心。
  • 江戸の検屍官 闇女
    -
    「悪事を見落とさぬように、兎に帽子を被せぬように」。真相を求め、冤罪を嫌う、北町奉行所の同心にして検屍官、北沢彦太郎の前に、不可解な死体が続々現れる。自殺か他殺か、どちらとも取れる状況の中、女好きだが有能な医師の玄海、女絵師のお月らと共に、地道な探索の果て、辿り着いた驚愕の真実とは!? (講談社文庫)
  • 江戸の商魂
    -
    大石内蔵助の志を命がけで試した赤穂浪士の功労者、天野屋利兵衛。「現銀安売り掛値なし」で商業に革命を起こした三井高利。洒落のきいた広告で儲けた山東京伝。角屋七郎兵衛、柊屋新次郎、銭屋五兵衛、中井源左衛門、五代友厚。広告戦略や信頼関係の重視等、商売の原点。江戸の商人の矜持とは?
  • 江戸の夕映え
    -
    お上のために、危険を承知の火消しこそ、男の中の男である……「あっしにとってのお上は前将軍(さきさま)だけ」と、徳川慶喜の水戸退去に大役を果たした、新門の辰五郎。男のつとめをやり遂げて、やくざ者ながら侠気の誇りに生きた、清水の次郎長、会津の小鉄など、新政府に媚びることなく、義理を立て通した男たちを描く傑作。激動の時代を侠気で生きた男たちを描く長編小説。
  • 江戸は浅草
    3.5
    雷門で掏摸に遇い路頭に迷っていた真一郎は、貧乏長屋の大家・久兵衛に用心棒兼遣い走りとして拾われる。向かいは真夜中に面を打つ謎の美女・多香、隣は女のヒモで洒落者の笛師・大介。長屋で気ままに暮らす住人たちが、町の騒動に立ち向かう。江戸っ子の粋と人情、そして色恋も鮮やかな新シリーズが開幕!「六軒長屋」「猫殺し」「夏の獲物」「錠前破り」の傑作四話収録。
  • 江戸は廻灯籠
    3.7
    伜のためにと、50両を盗んだ、腕利きの屋根職人。それを知った親方がとった、思いがけぬ行動は? さすらいの銀細工師に寄せた茶屋女の恋心、足を洗いそこねた密偵(いぬ)の哀しみ、など、懸命に生きる庶民の意地と想いが交錯し、物語が物語を紡ぎ出す。7つの短篇のどこから読み始めても、やがてひとつの輪をなす、円熟の連作。親子の情、秘剣の冴え、忍ぶ恋! 八百八町に生きる庶民の哀歓が、時空をこえて鮮やかによみがえる。
  • 江戸風狂伝
    4.0
    実在した風狂な人々を情感豊かに描いた女流文学賞受賞短篇集 にらまれても、疎まれても、世間を騒がしても、貫きたい意地がある 無謀にも将軍綱吉に衣装自慢を仕掛けた豪商の石川屋六兵衛とその妻およし。 危ないと知りつつ幕府批判の風刺画を引き受けた人気浮世絵師の歌川国芳。 曰くつきの家を買った平賀源内が起こした殺傷事件の顛末。 時代の風潮に反発し、心の赴くままに意地を貫き、破滅をも恐れない風狂な人々を描いた七作の短篇集。 ※本書は2000年8月に中公文庫から刊行された作品に加筆・修正したものです。
  • 江戸芙蓉堂医館
    3.0
    幕府奥医師の娘・半井千鶴は、「薬師如来の再来」と噂される腕っこきの漢方医。愛らしい顔立ちに似合わぬお転婆で、巷の事件に片っ端から首をつっこんでは大車輪。倒錯、妄想、恋の病いに疝気の虫まで、見事な処方でさらりと解決してしまう。御殿山のお花見、両国の花火など、四季折々の江戸の風物を背景に、娘医者が大活躍する痛快時代小説集。美人でおきゃんな娘医者の花カルテ、江戸情緒あふれる7編。
  • 江戸神輿
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 祭りの華は、江戸神輿。三社祭り、神田祭り、鳥越祭り……江戸の祭りと神輿の徹底ガイド&写真集! ――単車をころがしたって、ディスコ行ったって、結局はどこかいつもシラケてんだよね。だけど祭りのときだけは、完全に燃えられるんだよね。心も体もね。江戸の祭りはいま、もっとも過激なヤングのものだ。神輿がうねり汗が飛ぶ。ギャルのはち巻きがイロっぽい。ソイヤソイヤ……お神輿野郎のおとおりだ!
  • 江戸老人旗本夜話
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    勤務先・江戸城。職業・旗本。天野弥五右衛門(やごえもん)81歳、赤裸々な日々の記。時代小説ではわからない武士の真実――。武士道とは長生きして出世競争に勝ちぬくことなり。武芸とは健康法なり。性は「接して泄(も)らさず」が善し。ある老旗本が書き残した、組織・仕事・カネ、家庭の悩み、性生活、老いへの惑い。江戸の「性」と「老い」を語れば当代随一の著者が武士の実像を生々しく描く、目から鱗(うろこ)の傑作エッセイ。(『元禄養老夜話』改題)
  • 江戸を生きる
    3.0
    黄門様と今も人気のスーパーマン・徳川光圀の虚像と実像、若狭酒井藩の酷政に静かな抵抗を貫いて散った青年庄屋・松木荘左衛門、激しい業苦を抱えて俗臭と反骨に生きた葛飾北斎、華美驕奢したい三昧の好運児・将軍家斉など、鎖国泰平の300年を彩った驚くべき人々を、迫真のドキュメントタッチで描く名著。
  • 恵那峡殺人事件
    -
    晩秋の気配漂う恵那峡で若い人妻の絞殺体が発見された。被害者の足取りを調べるうちに浮かんだ容疑者は夫。しかし死亡推定時には彼は百八十キロも離れた長野駅前のホテルにいたらしい。事件の第一発見者が旧知という縁でルポライター浦上伸介はその謎に挑む。表題作のほか七作を収める、旅情推理の傑作集。
  • NTTの挑戦 いま進む30万人の組織革命
    -
    第二電電、日本テレコム、日本高速通信など、巨大資本グループが参入し、激しい市場競争にさらされたNTT。民営化後、重大な試練を迎えて、首脳部は何を考えたのか。30万人の社員を、いかに効率よく活用するか、事業部制や子会社戦略を展開して大変革を進めた経緯を、綿密な取材で明かすルポ。
  • Nの悲劇
    -
    野口英世博士が1928年、アフリカで病死したときに遺したことばは、「わからない」のひと言だった。博士の死因に疑惑を抱く「私は」、生前博士と交際のあった父の日記を秘かに調べ、一人の白人女性の存在を発見する。そして、博士の死の真相を握っていると見られるその女性は、近々日本へ来るという。だが、その彼女の身の上には異変が……
  • エネミイ
    3.5
    加害者を許せますか? 暴力団抗争の巻き添えにより娘を射殺された父親をはじめ、愛する家族を喪った犯罪被害者たちが、ある喫茶店に集まった。彼らは加害者に報復を誓う。次々に殺される加害者たち。事件の背景に、犯罪被害者の復讐があると突き止めた棟居(むねすえ)刑事は、容疑者のアリバイを崩せるのか? 真の正義を問う社会派推理。(講談社文庫)
  • エノケンと呼ばれた男
    -
    日本中を笑いの渦に巻きこんだ喜劇王の素顔を克明に追う。浅草オペラの華を咲かせ、あの”洒落男”を唄い、そして孫悟空で舞台に映画に大活躍したエノケン。短身・塩辛声が奇妙に調和したアチャラカ喜劇の魅力は何か。貴重な資料と関係者の証言を駆使して、表面からは窺いしれなかった生涯を明かす。
  • 絵のない絵本
    4.0
    無邪気な者への共感、貧しさへの熱き同情、湖に漂う白鳥に托す詩情…。そっと月が話してくれた33の話。音楽がきこえてくるようなロマンティシズムに薫る、巨峰アンデルセンの、絵にも似た詩的散文――無邪気なもの、貧しいものへの熱い共感と、湖に漂う白鳥の孤影に託された詩情。ローマの廃墟から中国の寺院にまで及ぶ、そっと月が話してくれた三十三夜のおはなしは、憧れを懐くもののよろこびと悲しみを奏でて、豊かな詩的アラベスクをなす。新訳で贈る、北欧風ロマンティシズムの香り高い「絵画詩」とも言える名作。
  • 絵の中の殺人
    -
    現役を引退した元プロ野球選手。なぜか第2の人生は、美術学校の事務員。その歓迎会の夜、上司がアトリエで殺された。だが1年前には、理事長が殺されていた。今回の被害者は、実は理事長の子飼いだった。理事長の威光をかさに粛清を行っていた悪評の人物。事件はにがい思いをした者たちの反撃なのか。それとも? 元野球選手の探偵が決めた見事なスクイズ。美しい絵画が凶器になった? トリック・ミステリーの傑作。
  • エバリーン夫人のふしぎな肖像
    4.0
    次々に登場するユニークなおばあさん。ふしぎで楽しい話がいっぱいのファンタジー集――魔女がかいた肖像画からぬけだして、わがままばかり言うおばあさん(「エバリーン夫人のふしぎな肖像」)、雪深い温泉宿で起こる奇妙な光景を見ようと、露天風呂に出かける月子のおばあちゃん(「ふしぎな忘年会」)など、ふしぎなおばあちゃんやおじいさんがいっぱい登場する、柏葉幸子のファンタジック・ワールド。楽しくてユーモアあふれる12の短編を収録。
  • 恵比寿屋喜兵衛手控え 新装版
    4.0
    争いごとは世の常、人の常。江戸の世でその争いの相談を受けるのが恵比寿屋のような公事宿だ。 今日も、恵比寿屋に自分の兄が見知らぬ男に金を返せと訴えられていると、若い男が相談に来た。 その訴えを聞いた、主の喜兵衛は怪しいにおいを感じとる。事件の真相は如何に?  江戸の街に生きる市井の人々を、愛情込めて描く長編時代小説。第110回直木賞受賞作。
  • 海老のしっぽ 噺家の嫁と姑
    -
    泣いて笑って明るく頑張った日々! 「丈夫でいいね」と姑(はは)に見込まれ、噺家・三平の嫁になって、独身と偽る夫を「お兄さん」と呼び、姑と二人、内職で夫に買ったドラム缶のお風呂。初めて「おかみさん」と呼ばれた日の嬉しさ……。夫の死後、こぶ平・いっ平を育て、林家の看板を守り、自らエッセイストとして活躍。その50年の大変な人生をカラリと描いた傑作エッセイ。<『姑うた様と』改題作品>
  • エフェソス白恋
    3.0
    ミステリアスな雰囲気の人妻・舞由子と、大学教授・峰の恋は、古代遺跡・エフェソスで燃えあがった。だが、遠く離れた異国の地でも、舞由子の夫の思惑が見え隠れする。いったい、夫は何を企んでいるのか? ある夜、峰の身に重大な事故が発生し、舞由子は意外な行動に出た。そして、あまりに過酷な運命が、二人を襲う――。切なすぎる不倫の結末、時空を超えた恋が古代遺跡で燃えあがる!
  • エベレストに死す 天才クライマー加藤保男
    4.5
    世界最高峰エベレストの冬は、寒気はむろんのこと、吹きすさぶジェット・ストリームとの闘いとなる。この厳冬期のエベレストに単独でアタックし、見事“三冠王”(春、秋、冬登頂)の偉業を、世界にさきがけて達成した天才クライマー加藤保男。だが、快挙の直後、氷雪に消え、33歳の劇的な生涯を閉じた。
  • M&A 企業買収時代の経営戦略
    3.0
    日本、欧米で大ブームのM&A(買収・合併)を解剖する。為替変動、貿易摩擦、激化する国際競争のなかで、企業はどう生き残るのか? 「時間を買う」戦略といわれるM&Aは、多角化や新規事業を展開する上では極めて有力である。国際競争が激化するなか、いまや「一社一事業」では生き残れなくなってきている。現在、日本企業のすすめるM&A戦略の実態を抉り、背景を考察する。
  • M/Tと森のフシギの物語
    3.8
    祖母から聞いた、四国の森の奥深くに伝わる「壊す人」と「オシコメ」の創造の物語を、MとTという記号を用いて書き記す。時の権力から独立した、1つのユートピアがつくり出される奇想天外の物語は、いつしか20世紀末の作家が生きる世界、われわれの時代に照応していく。海外で最も読まれている大江作品。
  • M博士の比類なき実験
    3.7
    生まれ変わるため、「僕」は全身整形手術を受けるアルバイトに応募、瀬戸内海に浮かぶ孤島・O島に向かう。〈鬼〉が出ると噂されるこの島では、天才美容外科医のM博士が研究棟を建てて究極の美を追究しており、そこには二人の美しい女と博士の婚約者・レイコも暮らしていた。「僕」の手術が成功したのも束の間、M博士の部屋から首なし死体が見つかる。博士を殺した〈鬼〉を捕まえるべく、レイコは研究棟を〈密室〉にするが……。
  • M8の殺意
    -
    マグニチュード8級の東海大地震が起きる! 新聞の特報記事で関東はパニックにおち入った。この報道に批判的立場をとる、地震予知会議の木村教授は、脅迫状を受けとったり、さらに新幹線で隣席の客が毒死するという怪事件に遭遇する。いったい、背後にどんな真相が秘められているのか? リアルな材料で緊迫感横溢の野心作。 (講談社文庫)
  • 偉物伝
    -
    一休さんは、情にあふれた女好き。志賀島の金印を鑑定した学者・亀井南冥。問題児を扱ったら超一流の冴えを見せる酒井家家老・河合寸翁……。歴史を形づくる「いぶし銀」のひとコマ。江戸時代を中心に、キラリと光る才能で実力を発揮した11人を描く。今だからこそ学びたい賢人、傑物たちの処世術。歴史の隅で異彩を放つこの生き方を学べ!
  • 江利子と絶対 本谷有希子文学大全集
    3.4
    引きこもりの少女・江利子は、拾った犬に「絶対」と名付けた。「絶対に自分の味方」となることを求め、その犬の世話をする江利子。ところが、電車の横転事故の跡を見たとき、事件が起きた(表題作)。人間の深奥に潜む、悪意、ユーモア、想像力を、鋭い感性で描いた3作品。文学界に衝撃を与えた鮮烈なるデビュー作。
  • エルニーニョ
    3.8
    暴力男の留守を狙い、一週間ぶりに外出した瑛。公園で出会った謎の中年女は、『森のくまさん』を歌って言った。この歌にはあなたへのメッセージが隠れてる。「お嬢さん、今すぐそこから逃げなさい」。瑛は南へ旅立ち、ホテルで一本の留守番電話を聞いた。「ボート乗り場に十時でいいですか?」。瑛は待ち合わせ場所に向かうことを決める。それが運命を劇的に変える出会いだとは知らずに。直木賞作家渾身の、希望溢れる長編小説。(講談社文庫)
  • えれじい
    4.5
    立て籠もり無理心中、女性警察官殺し、中学生乱射事件。いずれも凶器となったのは、同じ型のマグナム銃だった。愛崎署で銃器薬物対策係に所属する佐倉は、潜入捜査官となって銃の密売経路を追う。頼れるのは、うだつのあがらない極道、跡見ただ一人――。不器用に信条を貫く男の姿を描いた警察小説の感動作。
  • 猿猴
    2.8
    This is 伝奇! 田中啓文が世に問う伝奇小説。「猿猴、つひに蘇り、しかる後、人類を喰らふべし」……世界が崩れる!? ――聖徳太子による「人類滅亡」を意味する預言は真実か? 冬山で遭難した奈美江(なみえ)が洞窟で見たものは? 望まぬ妊娠、殺人事件、不気味な宗教団体、秀吉の埋蔵金……その背後に見え隠れする奇怪な「猿」の影。運命の嵐に翻弄(ほんろう)される奈美江は、やがて世界の根源の謎に迫っていく。著者渾身の文庫書下ろし伝奇小説。
  • 〈冤罪〉のつくり方 大分・女子短大生殺人事件
    4.0
    冤罪――。多くの冤罪は、杜撰な見込み捜査、代用監獄での苛酷な取調べが元凶だ。人にありがちな誤謬ではなく、捜査当局のメンツ意識や責任逃れ、時には功名心の結果だ。実際にあった、女子短大生強姦殺人事件の“思い込み自白”のプロセスを明らかにし、冤罪という“罠”を浮き彫りにする力作ノンフィクション。(『夢遊裁判-なぜ「自白」したのか』改題)
  • えんじ色心中
    3.4
    ライターの収入だけでは満足な生活を送れない久保は派遣会社から紹介された職場で働き、糊口を凌いでいた。マニュアル作成の仕事を受けた久保だが、納期に追われて派遣の仕事との両立が難しくなる。折しも16年前の殺人事件が再注目される時、窮地に陥った久保の脳裡にあの光景が重なる。かつてない閉塞感を最大圧縮した凄絶作品!
  • 炎上チャンピオン
    -
    「ルパンの娘」シリーズで人気沸騰の横関大が贈る、 自粛に負けない男たちによる起死回生の物語! 伝説のチャンピオン・ファイヤー武蔵のライバルレスラーが、 立てこもり事件の犯人として捕まった。 世間のバッシングを受けてファイヤーが下した決断は 〈プロレスの自粛〉だった。 その十年後、元プロレスラーたちが何者かに襲われて、瀕死の重傷に。 プロレス復活の夢が断たれたが……。 胸アツ必至の極上エンタメ!
  • 沿線風景
    3.8
    鉄道とバスを乗りつぎ、移ろう車窓の景色に眼を凝らし、降り立った土地の食を楽しみ、関連する本に思いをめぐらす。昭和の雰囲気を忠実に残す郊外の団地、天皇や皇族にちなんだ場所、宗教施設やその跡地、さらに浅間山荘、旧上九一色村など戦後史の重要な舞台を訪ね、読書と旅の風景をつなぐ日帰り“書評”エッセイ。(講談社文庫)
  • 円朝芝居噺 夫婦幽霊
    4.0
    ある文学者の遺品から見つかった奇妙な暗号文。明治期に隆盛した田鎖式速記で書かれた暗号を解読すると、そこに書かれていたのは江戸時代の噺家、名人・三遊亭円朝、幻の落語だった!?  安政の大地震以前、江戸城から盗まれた四千両、その金に絡む色と欲。円朝よりも円朝らしい噺には、もうひとつ大きな噺が隠されていた……。磨き上げられた文章で円朝の怪談噺を蘇らせた手練れの一作。(講談社文庫)
  • エンドロール
    3.0
    『時空犯』でリアルサウンド認定2021年度国内ミステリーベスト10第1位に輝いた著者の、待望の長編! 202X年。新型コロナウイルスのせいで不利益を被った若者たちの間で自殺が急増する。自殺者の中には死ぬ前に自伝を国会図書館に納本するという手間をかけている者がいた。その数200人。共通するのは陰橋冬という自殺をした哲学者の最後の著書と自伝を模倣するということ。 早世したベストセラー作家・雨宮桜倉を姉に持つ雨宮葉は、姉が生前陰橋と交流があり、社会状況の変化から遺作が自殺をする若者を肯定しているという受け止められ方をしてしまったという思いから、自殺を阻止しようとするが……。
  • 「円」を操った男たち 政財官マネー人脈の暗闘
    -
    マネー戦争に拠って世界を見ると、また歴史を見ると、推理小説を反対から読むように、さまざまな謎が容易に解ける。迷路のような風景が単純な構図になる。アメリカの日本潰しから大蔵省・日銀の暗闘。空前の高収益におどった証券業界とアングラマネー。「円の大洪水」をめぐる狂乱現象、その舞台裏の全貌を暴く。
  • 炎を薙ぐ
    -
    江戸の大川で、若い女性が両手両足を切断、惨殺される「達磨美女」事件が勃発。貧乏浪人の由比三四郎は、妻の依頼で暗殺された花火師の娘・おゆきの用心棒となる。その直後から、彼らの元に難敵が次々と現れる。三四郎は「秘剣・氷柱折り」で、究極の黒幕退治に挑むのだが──。人情と剣戟が交錯する連作長編小説。
  • AI崩壊
    値引きあり
    3.7
    主演・大沢たかお×監督・入江悠2020年公開、映画化決定!2030年AIが命の価値を決める。スマートフォンなどのデジタルデバイスによって日々蓄積される検索履歴や趣味嗜好の情報、行動データに加え、年齢、遺伝子情報、病歴、医療費、犯罪歴、納税額――。私たちの個人情報から、AIが「生きる価値がある人間」と「生きる価値がない人間」を選別する。大量殺戮が始まるまで、あと数時間。天才AI開発者は、その悲劇を止められるのか。
  • エーゲ海 ギリシア神話の旅
    3.0
    透き通るように碧く、どこまでも広がるエーゲ海。ギリシアの神々は、ここでどんな午睡を楽しんだのだろうか? またオリンポスの山の中で、どんなドラマを繰りひろげたのだろうか? ギリシアの旅は神話を手がかりに、心身の癒しを求めて歩くのが最高。ストレスだらけの現代人にピッタリの一味違った旅ガイド。旅が2倍楽しくなる!
  • Aではない君と
    4.3
    同級生の殺人容疑で逮捕された14歳の息子。だが弁護士に何も話さない。真相は。親子は少年審判の日を迎える。吉川文学新人賞受賞作
  • ABC<阿部和重初期作品集>
    5.0
    読後すぐには日常に戻れない周到に張りめぐらされた言葉が、不穏な予感を暴発させる――デビュー以来、日本文学の最先端を疾走し続ける阿部和重の危険な作品世界は、いまや次々に現実となっていく。今だからこそ読みたい初期の傑作6作品。3人のゲームクリエイターによる語り下ろし特別座談会〈阿部和重ゲーム化会議〉を巻末に収録。※本書は新潮文庫より刊行された『ABC戦争』(平成14年6月刊)と『無情の世界』(平成15年3月刊)を1冊にしたものです。
  • エール 夕暮れサウスポー
    値引きあり
    -
    阪神園芸が舞台のお仕事小説『あめつちのうた』の著者が贈る、再出発への応援歌! 突然の戦力外通告――。でも、諦めない。 トライアウト後、唯一来たのは弱小社会人チームからの誘い。 野球がしたい。でも、お金は? 家族は――? 【内容紹介】 球団をクビになった元プロ野球投手・窪塚夏樹は、崖っぷちに立たされていた。 現役続行を目指すも、他球団から連絡は来ない。 ようやくかかってきた電話は、弱小社会人チームからの誘い。 野球を続けたい。でも、お金は? 家族は? 夢に向かってもがく全ての人に贈る応援歌! ※『エール 名もなき人たちのうた』改題
  • 御家の狗
    5.0
    家康の天下盗りの裏には、あまたの異能の臣の姿があった。徳川家に莫大な富をもたらした金山奉行・大久保長安。豊臣家打倒に鬼謀をめぐらした本多正信・正純父子。しかし、君臣の愛憎と泰平の到来の果てに、いつしか彼らは己の時代の終焉を悟る。権力の魔性に魅入られた漢たちの哀しみを描く、傑作短篇集。家康の天下盗りはこの漢(おとこ)たちが支えた!
  • 追越禁止 夜明日出夫の事件簿
    -
    老女を乗せて岩手まで車を駆った夜明は、若い女の変死に遭遇し、遺書の謎を解く。お馴染の夜明名探偵、東北でも大活躍! ――地上げ屋によるゴルフ場造成のトラブルに巻き込まれた老女を、自分のタクシーに乗せて岩手県一関へ赴いた夜明日出夫は、彼女の遠縁の娘の変死に遭遇する。その女の土地は、夫によって勝手に売却されていた。死体の口にはヒイラギの花ビラが……。残された遺書と花ビラから、夜明は老女のために犯人を暴こうとする。
  • 老侍
    4.0
    群雄割拠の戦国時代。武士たちは身命を賭して主君に仕え、家を守り、己の矜持のためにその生涯を生き抜いた。どんなに老いて体が衰えたとしても、その経験と智慧が輝きを失うことはない。 常に戦いの中に身を置き、死を傍らに感じる中で、武将たちはいかに考え、いかに生き残っていったのか。 最期の最期まで「侍」であることにこだわり続けた、六人の武将の生き様を描く作品集。 戦国時代に、「定年」はない――。 「意地の天寿」……龍造寺家兼(齢九十三) 「勝てば良かろう」……朝倉宗滴(齢八十二) 「不屈なれ」……長野業正(齢七十一) 「捨て身の思慕」……宇佐美定満(齢七十六) 「魂の檻」……武田信虎(齢八十一) 「過ぎたるもの」……島左近(齢六十一)
  • おいしいワインが出来た! 名門ケラー醸造所飛び込み奮闘記
    3.0
    汗と涙と感激と、私のワイン修業――輝くワインに魅せられて、飛び込んだケラー醸造所。極寒のワイン畑、枝の剪定から私の修業は始まった。ムクドリの大群と戦い、実を間引き、収穫を祈った日々。静かにワイン誕生の音をきき、夢にまで見た試飲の日がやってきた。ラインヘッセン、ケラー家で過ごした至福の1年間!
  • お市の方 戦国の凰
    4.0
    信長の妹、浅井三姉妹の母、柴田勝家の妻。戦国一の女性(にょしょう)の気高き生涯――織田信長の妹として生まれ、仇敵へと転じる浅井長政に嫁ぎ、茶々(ちゃちゃ)、初(はつ)、小江(おごう)の三人の娘を守り育て、最後は信長の重臣・柴田勝家の妻となった。明日を約束されない時代で、波乱の生涯を生き抜いた、市(いち)。最後まで「想い」を貫こうとした相手は、誰だったのか? 新たな着想で、戦国随一の女性の真実に迫る歴史小説。
  • 追いつめられた信徒 死なう団事件始末記
    4.5
    弾圧に対して「死なう団」の信徒は集団で切腹の抗議をした。昭和史の真相に迫る力作! ――戦前、警察国家の弾圧に対して、死ぬことを最高の教義とする「死なう団」の信徒は、集団で切腹の抗議をした。彼らはなぜ、ここまで追いこまれたのか。切腹で何を訴えようとしたのか。昭和初年の深刻な不況から、血腥いテロ、そして戦争へと突き進んでいく日本の象徴的な事件を、事件関係者への入念な取材と豊富な資料で初めて明らかにする!
  • おい! 山田 大翔製菓広報宣伝部
    3.7
    「おい山田、お前今日からゆるキャラな」大翔製菓・広報宣伝部に異動した山田は、そのままのサラリーマン姿でゆるキャラとなり、新製品「ガリチョコバー」のPRをすることに! 「わかりました。私が山田さんをプロデュースします。打合せしましょう」同僚の水嶋里美は突然立ち上がったプロジェクトに戸惑いつつも、持ち前の負けん気の強さで引き受けた。笑いと涙の、ノンストップゆるキャラスペクタクル!

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