幸田家に代々伝わる言葉について、幸田露伴の曾孫であり、幸田文の孫である青木奈緒さんが語っている。
全部で40近くの言葉が挙げられているが、祖母である幸田文の言葉が多い印象。
そのため、それぞれの言葉の説明部分では、幸田文の作品が多く引用されているが、併せて実際に祖母や母が、その言葉を使った場面も回
...続きを読む顧されている。そこはやはり親族ならではの視点だ。
そして何より、現代の方だから言葉が分かりやすく、幸田文の言葉を通訳してくれている感じもある。
この本を残してもらえてよかったと感謝したくなる。
先日、幸田文の随筆も読んだが、奈緒さんが思い出す祖母・幸田文と、本人の書く文章から受ける印象とまた違う。私は幸田文はもっと厳しい人かと思っていた。奈緒さん目線だとすごく優しいおばあさんに感じる。なぜか大好きな祖母を思い出しながら読んでしまった。
奈緒さんは祖母幸田文のことを「内に弱さ、哀しさ、やさしさを心の内にいっぱい抱えたがゆえのきかん気、反抗心、強さを持っている。みそっかすのみそっかすたるゆえんであり、天性の明さが救いだろう。陰の暗い部分があるからこそ、そこをバネにして明るい高見へも飛び上がれるのだと思う。」とも評されていた。そんな客観的な視点も面白かった。
もっと幸田家の世界を知りたいと思った。
そして作品は多くはないが、母である青木玉さんの文章も読んでみたいと思った