あらすじ
四代をつなぐ40のことばと生きていく力。
だれにでも、日々の暮らしに根づいたことばがあります。それは、それぞれの家族の生き方や暮らし方をあらわし、知らず知らず自分のよりどころにしていることばです。
曾祖父・幸田露伴、祖母・幸田文、母・青木玉から筆者まで四代をつなぐ幸田家のことばには、意気があり、ユーモアがあり、折り合いをつけながらも潔く生きるための力があります。
「あなたがこれから先、何か迷うことにぶつかったときは“とやせん、かくやせん、せぬことぞよき”と心に留めておきなさい」
ある時、母から言われたことも、「しようかやめようか迷うときはやめるほうがいい。しなければならないことなら、いずれ機会は巡るもの」という意味を持つ、母自身がよりどころにしていることばだったといいます。
「心ゆかせ」「ぞんざい丁寧」「猫根性」「桂馬筋」「人には運命を踏んで立つ力があるものだ」……幸田家のことば40語に込められた生きる道理をひもとく本書は、家族とともにあることばが自分にとって大切な財産と気づかされる心に響く一冊です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
幸田家に代々伝わる言葉について、幸田露伴の曾孫であり、幸田文の孫である青木奈緒さんが語っている。
全部で40近くの言葉が挙げられているが、祖母である幸田文の言葉が多い印象。
そのため、それぞれの言葉の説明部分では、幸田文の作品が多く引用されているが、併せて実際に祖母や母が、その言葉を使った場面も回顧されている。そこはやはり親族ならではの視点だ。
そして何より、現代の方だから言葉が分かりやすく、幸田文の言葉を通訳してくれている感じもある。
この本を残してもらえてよかったと感謝したくなる。
先日、幸田文の随筆も読んだが、奈緒さんが思い出す祖母・幸田文と、本人の書く文章から受ける印象とまた違う。私は幸田文はもっと厳しい人かと思っていた。奈緒さん目線だとすごく優しいおばあさんに感じる。なぜか大好きな祖母を思い出しながら読んでしまった。
奈緒さんは祖母幸田文のことを「内に弱さ、哀しさ、やさしさを心の内にいっぱい抱えたがゆえのきかん気、反抗心、強さを持っている。みそっかすのみそっかすたるゆえんであり、天性の明さが救いだろう。陰の暗い部分があるからこそ、そこをバネにして明るい高見へも飛び上がれるのだと思う。」とも評されていた。そんな客観的な視点も面白かった。
もっと幸田家の世界を知りたいと思った。
そして作品は多くはないが、母である青木玉さんの文章も読んでみたいと思った
Posted by ブクログ
ひとつ一つのことばが美しい。
暮らし方、そこにある
心の置き方が美しい。
ことばこそが、人の心を創り、
くらしを紡いでいくのだと
よりよく生きるために
大切にしたいことを
かみしめるように読んだ。
Posted by ブクログ
青木奈緒さんの「幸田家のことば」、2017.2発行です。青木奈緒さん、64歳からもの書きを始めたお母さんの青木玉さんから「文章はすらっと滞りなくわかってもらえるのが一番」と教わったそうです。この作品、確かに、すらっと滞りなく理解できました(^-^) 著者は、小学生の頃、一人で道を尋ねるとき、「つかぬことを伺いますが・・・」と切り出して「おかしな子だね」と笑われた経験があるそうです。小学生の頃から「幸田家のことば」に馴染んでたんですね! 素晴らしいことと思います!薀蓄のあることばがおさめられています。