歴史・時代小説 - 文春文庫作品一覧

  • コルトM1851残月
    4.3
    第十七回大藪春彦賞受賞 江戸の闇を裂いて銃撃の宴が開始される――! 熱い戦いの物語を書き続ける月村了衛、渾身の時代小説。 人呼んで“残月の郎次”。昼は江戸の廻船問屋の番頭、夜は裏金融を牛耳る儀平一味の大幹部。組織のために邪魔者を消す仕事を請け負っていた郎次だが、実際に殺しを実行しているのが彼自身とは誰も知らなかった。どんなに荒事に長けた連中が相手でも、郎次が決して引けをとらなかったのは、彼には切り札があったからだ―― コルトM1851、6連発。アメリカ製の最新式回転拳銃。 組織の跡目と目されていた郎次だったが、ある殺しを機にその運命は暗転する。裏切られ、組織を追われた郎次。残されたのはコルトM1851ただ一挺。それを手に郎次は江戸の暗黒街に絶望的な戦いを挑む! 単行本 2013年11月 講談社刊 文庫版 2016年4月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
  • 虎狼は空に 小説新選組
    5.0
    「新撰組を描いた小説はこれまでにおびただしい数になるであろうが、津本氏のこの長編の特徴は、新撰組をあくまで非常な暗殺集団として容赦なく描き切ったところにある」(解説・桶谷秀昭) 幕末の京都、江戸より上洛した浪士組が殺人集団へ変貌していく。 敵対する者は斬る、隊規を乱す者は斬る。士道不覚悟は切腹。 新撰組の殺伐たる実像を新視点から活写した力作長篇。
  • こんちき あくじゃれ瓢六捕物帖
    4.0
    色男・瓢六が大活躍。人気捕物帖シリーズ第二弾 晴れて無罪放免となった瓢六だが、お袖と熱々の平和な日々も長くは続かない。 わけありの母子を匿ったり、瓦版を作ったり、そして今度はお袖が牢に入れられる……!? 粋で愉快でほろりとする六篇を収録。痛快無比の時代小説。
  • ご隠居さん
    3.3
    「軍鶏侍」の野口卓、渾身の書き下ろし! 腕利きの鏡磨ぎ師の梟助じいさん。江戸に暮らす人たちの家に入り込み、おもしろい話を披露して、ときには事件を鮮やかに解決します。
  • 破落戸 あくじゃれ瓢六捕物帖
    -
    円熟の江戸活劇、いよいよクライマックスのシリーズ第5弾! 文化人を弾圧し悪名高い「天保の改革」。瓢六は弥左衛門やお奈緒らと陰に陽に立ち向かうが、やがて圧政者たちも決して一枚岩ではないことに気付く。 「妖怪」こと鳥居耀蔵の裏切り、それによる水野越前守の失脚と復活。一方瓢六は勝家の若き当主・麟太郎と親交を深める。 時代はうねり、活劇シリーズいよいよ佳境へ。 解説・大矢博子
  • 再会 あくじゃれ瓢六捕物帖
    -
    新ヒロイン登場! 絶世の色男が活躍する幕末活劇シリーズ第4作 今度の敵は“妖怪”だ!  瓢六が仲間たちと立ち上がる 天保の大火でお袖を失い自堕落な生活をおくる色男・瓢六。 しかし老中・水野忠邦と“妖怪”鳥居耀蔵の陰謀に苦しむ人々を見ていられず、また謎の武家女性・お奈緒の魅力に導かれるように、相棒の堅物同心・篠崎弥左衛門と幕政の理不尽に立ち向かう。 大切な人を喪った者のみが知る優しさが漂うシリーズ第4弾。 解説・細谷正充
  • 雑賀六字の城
    4.5
    負ければ皆殺し。生きのこりをかけた戦いがはじまった! 元亀元(1570)年9月。大坂石山本願寺から反信長の檄文が各地に発せられ、紀州雑賀の荘も立ち上がった。得意の海上船や銃撃戦で抵抗する雑賀衆に、信長は圧倒的な軍兵をもってひねりつぶしにかかる。雑賀衆頭領の息子・七郎丸は、将来を約した幼馴染おみつを想いながら銃弾と血風のなかで成長していく。
  • 西郷家の女たち
    -
    二十三歳の岩山いとが西郷吉之助に嫁いだのは慶応元年正月のこと。いとはひとめぼれだったという。念願叶い妻となるが、待っていたのは大家族を抱えての極貧生活だった。国事に奔走する夫の留守を守りつつ、いとは三人の子と二人の腹違いの子を育てる。だが、近代国家黎明期の日本は、維新の清算のときを迎えていた。渦中の西郷は、西南戦争へと自らを導き、明治十年城山に自刃。維新回天の英雄から、一転「賊徒」の汚名を着せられた亡夫に対するいとの思いは……。傑作歴史小説。
  • 最終飛行
    3.3
    没後80年。大ベストセラー『星の王子さま』の作者の波乱の人生 本書の主人公、サン・テグジュペリにはらはらさせられ、どうにも私は心を鷲掴みにされてしまった。――小林エリカ 『星の王子さま』は、なぜあの不思議な終わり方なのか? 謎を解く鍵は、作者の特異な人生にある――! 武器を積まない偵察飛行を繰り返した作家であり飛行士のサン・テグジュペリ。 最後のフライトで彼が見た光景とは……? 圧巻のラストをぜひお読みください! 第二次世界大戦下のフランス。 売れっ子作家のサン・テグジュペリは飛行士として活躍。 だがパリがナチスに占領されるとアメリカへと亡命し、その苦悩の中で『星の王子さま』を書く。 やがて、念願の偵察飛行任務に復帰が叶うが……。 困難な時代の中で葛藤しながらも、信念を貫き行動し続けた姿を鮮烈に描く傑作長編! 解説・小林エリカ ※この電子書籍は2021年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 嵯峨野花譜
    3.9
    花を生ける、人を生かす。 まだ悲しみも喜びも知らぬ少年僧の、四季折々の花に彩られた成長物語。 物語の舞台は文政13(1830)年の京都。 年若くして活花の名手と評判の高い少年僧・胤舜(いんしゅん)は、ある理由から父母と別れ、大覚寺で修行に励む。 「昔を忘れる花を活けてほしい」 「亡くなった弟のような花を」 「闇の中で花を活けよ」 次から次へと出される難題に、胤舜は、少年のまっすぐな心で挑んでいく。 繊細な感受性を持つ少年僧が、母を想い、父と対決していくうちに成長をとげていく、美しい物語。 解説・澤田瞳子 ※この電子書籍は2017年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 桜花(さくら)を見た
    3.4
    日本橋「いせ辰」の手代・英助には誰にも言えない秘密があった。母が死に際に遺した「お前のお父っつぁまは北町奉行の遠山様なのだよ」という言葉である(表題作)。北斎の娘・お栄の、婚家と実家を行き来する胸の内(「酔いもせず」)。名家老であり、その画業で“松前の応挙”と讃えられた蠣崎波響の選んだ道(「夷酋列像」)など、実在の人物に材をとった時代小説5篇。所収の「シクシピリカ」は、著者の『蝦夷拾遺 たば風』の「錦衣帰郷」と呼応する佳品です。
  • 佐助を討て 真田残党秘録
    3.0
    真田十勇士の裏ヴァージョン 最強の忍者、猿飛佐助。かつて彼に追い詰められた家康は悪夢にうなされ、無謀な討伐を部下に命ずる……手に汗握る新感覚忍者活劇!
  • 薩南示現流
    4.2
    幕末京都の地で、勇猛とおそれられた示現流は、開祖・東郷重位が16世紀末、薩摩の地に定着樹立させた。京の禅院天寧寺で僧侶善吉の教えを受け、研鑽を積んだ重位の峻烈な生きざまを描いた表題作のほか、示現流達人たちの鋭き太刀風を現代に伝える剣豪小説集。「不敗の剣法・示現流」のすべて、ここにあり。 解説・武蔵野次郎
  • 薩摩夜叉雛
    -
    女性と見まごう美貌で北辰一刀流を会得した薩摩藩の剣豪隠密、赤星速水。西郷隆盛の信頼篤い速水は、藩の軍資金稼ぎのため、女密偵以登とともに生糸の密売の藩命を受け、横浜を目指してひた走った。そして舞台は京都、大阪、上海、アメリカへ。薩摩藩の幕末の激動期をダイナミックに描く歴史小説!
  • 真田幸村 真田十勇士
    4.3
    柴錬先生の奔放自在な筆がほとばしる、伝奇ロマンの傑作! 家康がもっとも怖れた男、真田幸村。彼のもとには忍者・猿飛佐助や霧隠才蔵、石川五右衛門の一子・三好清海入道らをはじめとする十勇士がいた。忍術、知略を駆使した奇想天外の戦いで徳川方を苦しめるが、やがて最後の決戦、大阪夏の陣が迫る――。幸村たちの超人的な活躍に刮目せよ!
  • さむらいの本懐
    -
    幕末の世に大仕事をしながら、将軍慶喜からも疎まれ罵倒された勝海舟、一介の流人あがりにもかかわらず東国武士に担ぎ上げられ鎌倉に幕府を開いた源頼朝などなど、人の褒貶は棺を蓋うてもなおなお定まらない。永い時の流れを経てみれば勝者も敗者もみなひとしく美しく懐しい。遺るのはただ、男の美学の存否のみ、その尺度で測られることこそが「さむらいの本懐」だろう。円熟の史眼で転変を凝視する巨匠の小説と随想集。歴史を読む醍醐味はこの一冊に凝集される。
  • 墨染の桜 更紗屋おりん雛形帖
    3.3
    江戸幕府の第5代将軍・徳川綱吉の後継問題で世間が騒いでいたころ、父を亡くした京の呉服屋の一人娘おりんは、叔父を頼って江戸に出た。ところが、江戸の店はすでに閉じており、おりんは叔父夫婦と3人で長屋に暮らし始めた。身に付けた裁縫の腕で日銭を稼ぐうち、ひょんなことから、日本橋の越後屋の主と関わりをもつことになる――。はたして、おりんは江戸の店を再興できるのか。期待の新鋭の書き下ろし時代小説。
  • 猿飛佐助 真田十勇士
    3.0
    猿飛佐助は武田勝頼の遺児であった――。初妊婦の陰毛を集める修行で百本以上の成果をあげ、天才的な忍者に成長。善良すぎて人を殺すことが苦手なのが欠点だが、それを愛され、真田幸村に仕える。信長、秀吉など戦国の名だたる武将の活躍と死の裏で、忍者や剣客たちが暗躍する! 柴錬先生の筆が冴え渡る、奇想天外の歴史娯楽小説。
  • 燦 1 風の刃

    3.4
    少年たちの葛藤と成長を描く、文庫書き下ろしシリーズ第1弾。江戸から遠く離れた田鶴藩。その藩主が襲われた。疾風のように現れた刺客は鳥獣を操り、剣も達者な謎の少年・燦(さん)。筆頭家老の嫡男・伊月(いつき)は、その矢面に立たされるが、2人の少年には隠された宿命があった――。尋常でない能力を持つ「神波(かんば)の一族」の正体とは? 一気読み必至のエンターテインメント時代小説。江戸の世を少年たちが駆ける!
  • 三国志 第一巻
    4.1
    宮城谷文学の集大成。現代日本の『三国志』決定版! 後漢王朝の衰亡――。建武元年(西暦25年)に始まる後漢王朝では、幼帝が続き、宮中は皇太后の外戚と宦官の勢力争いに明け暮れていた。正義の声は圧殺され、異民族の侵入が頻発し、地震や天候不順が続く。6代目の帝に皇子が生まれた時、守り役に1人の幼い宦官がついた。その名は曹騰(そうとう)。後に8代目順帝の右腕となった彼こそ、曹操の祖父である。
  • 三国志名臣列伝 蜀篇
    1/5入荷
    -
    関羽、張飛、諸葛亮……最高傑作「蜀篇」! 非情にも見える劉備を、なぜ男たちはそれほど愛したのか? 数千年の時をこえて、中国歴史小説の第一人者によって初めて見出された真実。 関羽、張飛、諸葛亮、趙雲……。 「めずらしいほど無垢な人」劉備に、どこまでもついていった男たちの純情と覚悟。 いまも愛される英雄たちの挽歌。 『三国志』全十二巻の大河小説を刊行している宮城谷さんにとっても、この『三国志名臣列伝 蜀篇』は、まさに珠玉の一冊であり、三国志名臣列伝の最高傑作である。 三国志時代、最も小さな国・蜀。 誰もが知る関羽、張飛、諸葛亮、趙雲から劉備の死後に活躍する李恢、王平、費緯まで、 七人の名臣を丁寧に描くことにより、一見、非情にも見える劉備の不思議な魅力を炙り出す。 今もなお愛され続ける英雄たちの光と影。

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  • 三国志外伝
    3.4
    「いつの世でも、人が生きてゆくということは、むずかしいものである」(序より) 正史にもとづいた大作『三国志』全12巻を書き上げた著者が、時代の潮流の外にいながらも忘れがたい12人の生涯をたどった。 『三国志』をあらわした陳寿(ちんじゅ)、輝ける倫理観と志望をもっていた太史慈(たいしじ)、魏の名臣・王粲(おうさん)・・・。 ある者は、権力者や政治の中心に近づきながら、遠ざかることを余儀なくされた。その苦難をどのようにしのいだのか。曹操、孫権、劉備、関羽といった英傑たちとはことなり、歴史の中で一瞬だけ輝いた人生。その輝きが愛惜の念とともに描かれる。 著者による後漢・三国年表つき。
  • 三国志読本
    3.5
    歴史はふりかえってみるものではない。すすんでいって、みるものである。「特別随想 ふりかえること」より 『三国志』をはじめ長年、中国歴史小説を書き続ける著者が、みずからの歴史観、世界観、小説観をあますところなく開陳した。 自作解説や作家、経済人、学者など多彩なメンバーとの対談などを収録。 <目次> 【ロングインタビュー】私の「歴史小説」 【自作解説】三国志の世界 ・『三国志』の沃野に挑む--大歴史絵巻の豊穣なる世界 ・曹操と劉備、三国志の世界--正史からみえてくる英雄たちの素顔 ・『三国志』の可能性--歴史は多面体だからこそおもしろい ・『三国志』歴史に何を学ぶのか--構想十年、執筆十二年の大長編を終えて 【対談】歴史小説を語る ・水上勉--歴史と小説が出会うところ ・井上ひさし--歴史小説の沃野 時代小説の滋味 ・宮部みゆき--「言葉」の生まれる場所 ・吉川晃司--我々が中国史に辿り着くまで ・江夏豊--司馬遼太郎真剣勝負 ・五木寛之--乱世を生きるということ 【講義&対談】中国古代史の魅力 ・中国古代史入門--どこから学べばいいのか ・白川静--日本人が忘れたもうひとつの教養 ・平岩外四--逆風の中の指導者論 ・藤原正彦--英語より『論語』を ・秋山駿--春秋時代から戦国時代へ ・マイケル・レドモンド--碁盤上に宇宙が見える ・項羽と劉邦、激動の時代--ふたりを動かした英雄たちと歴史的必然 ・『三国志』をより深く楽しむための本 ・宮城谷昌光 中国歴史作品の年代一覧 ・特別随想 ふりかえること ・宮城谷昌光 出版年譜
  • 斬(ざん)
    4.5
    “首斬り浅右衛門(あさえむ)”の異名で天下に鳴り響き、罪人の首を斬り続けた山田家二百五十年の末路は、明治の維新体制に落伍しただけでなく、人の胆をとっては薬として売り、死体を斬り刻んできた閉鎖的な家門内に蠢く、暗い血の噴出であった。もはや斬首が廃止された世の中で、山田家の人間はどう生きればいいというのか。豊富な資料を駆使して時代の流れを迫力ある筆で描き、「歴史小説に新領域を拓いた」と絶讃を博した、第67回直木賞受賞の長篇大作。
  • 私記キスカ撤退
    -
    太平洋戦史の中で奇蹟とされる日本軍キスカ島守備隊の無血全員撤収。「霧の作戦」は、いかにして立案され、どのように実施されたのか? すでに何度も描かれた「語るに足る数少ない後味のいい史実」(あとがきより)であるキスカ作戦成功の全貌を、筆者が新取材と、独自の見方で描いた表題のドキュメントほか、戦後、文筆家として初めて玉砕の島を訪れたときの模様を描く「アッツ紀行」、「海軍の伝統と気風について」など、一貫して揺るがぬ著者の視点をあきらかにする好読物を併録。
  • 縮尻鏡三郎 美女二万両強奪のからくり
    4.0
    町会所から千両箱が消えた! 前代未聞の事件は幕閣の醜聞に発展する。 捕縛したものを取り調べる仮牢兼調所「大番屋」の元締を勤める鏡三郎が今回遭遇する事件は、町会所の押し込み強盗。 町会所とは幕府が貧困や災害時の救恤のため民間に設けさせた機関で、そこから二万両が奪われたという。 鏡三郎らは犯人の行方を追うが、事件は幕閣が震撼するスキャンダルへと意外な展開を見せて……。 殺される証人、予測不能な展開。狡猾な事件の黒幕に迫れるか。 冷酷非道な悪に立ち向かう同心の決死の闘い。 ※この電子書籍は2016年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 縮尻鏡三郎(上)
    3.4
    拝郷(はいごう)鏡三郎は、もと勘定方勤めで順風満帆の役人人生……だったのだが、いささかの仔細あって、クビとなった。かつての上司の尽力あって、今は八丁堀近くの“大番屋”の元締として再就職を果す。大番屋とは、江戸の仮牢(かりろう)兼調所(しらべどころ)。持ち込まれる相談ごとは、町人の釈放嘆願から天下の将軍さまの悩みごとまで。ハテ、どうしたものか? と悩むうち、強運と顔の広さ、いや鏡三郎の能力なのか? いつしか見事解決に至る。
  • 縮尻鏡三郎 当たるも八卦の墨色占い
    4.0
    身を誤る女あれば、縁遠い女あり――シリーズ第5弾 故あって勘定方を追われたしくじり御家人拝郷鏡三郎の許へ、日々持ち込まれる厄介事。今回は色事師も顔負けのふしだら女が現れる
  • 縮尻鏡三郎 老いらくの恋
    4.0
    縮尻御家人・鏡三郎。人気シリーズ第6弾 米相場で大儲け、大金を隠し持っていると噂されるご隠居が、歳もはばからずに恋をした。金目当ての連中は、あれこれ詮索するが…
  • 縮尻鏡三郎 首を斬られにきたの御番所
    3.6
    失脚して縮尻(しくじり)御家人となった拝郷鏡三郎は、いまは「大番屋」の元締として大忙し。本日もよろず相談事が持ち込まれる。役人の言葉に逆上して「ここで餓死させていただく」と坐り込む男あれば、ぐうたらな娘婿は評定所に呼び出される。趣味の陸釣りに出かければ、手に釣竿を握った奇妙な土左衛門の話を聞かされる。表題作ほか「天に口無し」「護持院ガ原逢魔が時の大捕り物」「舞う桜」「吝嗇之助は吝嗇之助」「妲己のおせん」等を収録、好評シリーズ第二弾。
  • 縮尻鏡三郎 捨てる神より拾う鬼
    3.5
    御家人としての出世街道をしくじり、大番屋元締となった拝郷(はいごう)鏡三郎は、日々持ち込まれる厄介事を捌いている。ある日、大名家の婿養子のお手つきとなって厄介者扱いの娘を預かることになった。器量のいい娘は旗本の水野采女(うねめ)に気に入られ、奥方にと望まれるが、采女には許しがたい前科があった。なんとか娘を守ろうとする鏡三郎だったが、彼女は意外な申し出をする…。市井の事件と鏡三郎の親心が織りなす人情ドラマ。好評シリーズ第4弾。
  • 縮尻鏡三郎 頼みある仲の酒宴かな
    4.0
    老婆の戯言が思わぬ大騒動に……。好評シリーズ第八弾! 日本橋の白木屋の土地は自分のものだと老婆が鏡三郎に訴え出た。 とはいえ証拠の書類は焼失したという。 老婆の背後には腕利きの浪人が軍師として付いている様子だ。 その浪人、柴田帯刀は凄腕の剣の遣い手のうえ、やけに金回りもいい。 果たして事の真相は?
  • 縮尻鏡三郎 浜町河岸の生き神様
    3.5
    「一番札をお持ちの方、どうぞ」書役小頭(しょやくこがしら)の佐吉の声で鏡三郎の一日の仕事が始まる。八丁堀近くの仮牢「大番屋」の元締・鏡三郎の許には、話を聞いてくれ、牢屋から出してくれ、と早朝から人々が詰め掛けるのだ。欲と欲とが突っ張り合う金公事(かねくじ)から、娘夫婦のまたしてもの揉め事、しごき帯で結びあって流れ着いた心中死体の後始末まで、よろず相談事が持ち込まれる上、はしご酒が続けば女房どののご機嫌もななめに……。人気シリーズ第三弾!
  • 縮尻鏡三郎 夢に見た娑婆
    4.0
    しくじり御家人・鏡三郎が今日も行く。好評第7弾! 鏡三郎が行きつけの店で楽しむ鳥肉料理。だが鳥問屋をめぐっておかしな動きが……。鏡三郎は飼鳥屋の新三郎のために一肌脱ぐことに。
  • 始皇帝 中華帝国の開祖
    3.7
    始皇帝は“暴君”ではなく“名君”だった!? 『キングダム』で話題のえい政=始皇帝のすべてがわかる必読の書! 世界で初めて政治力学を意識し、中華帝国を創り上げた男。その人物像に深く迫りつつ、現代にも通じる政治・経営学を解きあかす。 自らを「始皇帝」と名乗るに至った男、えい政。乱世に終止符を打ち、中華帝国を統一した男は暴君なのか、それとも英雄なのか? 3歳まで人質として過ごした幼少期、兄との熾烈な玉座争い、家臣との相克――。天賦の才覚と不屈の精神力で過酷な運命のもとに勝ち上がった男の真実を浮き彫りにする、不朽の名著。 「崇高な争い」は感動的で、しかも美しい。 だから「歴史」でそういう場面に出会うと、夜なら眠れない程に興奮する。 ――著者「文庫版あとがき」より 解説・冨谷至 ※この電子書籍は1995年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を新装版として刊行したものを底本としています。
  • 志士の風雪
    -
    維新ドラマの裏に隠れた志士の激烈な生涯 松陰のもとで学び、維新志士として、信念を貫く明治の政治家として「暴発」しつつ活躍した品川弥二郎の生涯に光を当てる歴史長篇。
  • 仕立屋お竜
    3.3
    表の顔は腕の良い仕立職人、裏の顔は達人に仕込まれた剣術で悪を成敗する「地獄への案内人」。仕立屋お竜の活躍を描く痛快時代小説開幕! 第一話は、いたいけな少女・おしんがお竜と名を変えて「地獄への案内人」の道を歩むまでが描かれます。幼い頃に父からDVを受けてきたおしんは、母と家を逃げ出すが、その母も過労で亡くなり天涯孤独の身に。母親の薬代のためにつくった借金を抱えたおしんだが、親切顔で近づいてきたやくざの林助に騙され、盗品の運び屋や、美人局の片棒を担がされるなど、悪の道にひきづりこまれてしまいます。  とあることがきっかけで、武芸の達人・北条佐兵衛に助けられて自由の身となったおしんは、天賦の才があったのか、達人から教えてもらった武術を乾いた砂が水を吸うようにわがものにしてゆきます。「お前の才能は、お前のように困っている女性のために使うのだ」という師匠の言葉を胸に、師匠の紹介で仕立屋「鶴屋」から仕事をもらうようになります。そしてお竜と名を変えて、女をいたぶる悪人を退治することを決意。そんなある日、因縁の男と再会することになって……。  お竜の庇護者となる仕立屋の主・鶴屋孫兵衛、鶴屋の碁敵で謎のご隠居・文左衛門、そして鶴屋の用心棒で、ちょっととぼけた吉岡流剣術の使い手・井出勝之助など、お竜の脇を固める登場人物たちも魅力たっぷり。そして何よりの読みどころは、お竜の艶やかさと痛快アクションシーンです!
  • 史伝 西郷隆盛
    4.5
    2018年、NHK大河ドラマの最高の教科書 維新の英雄、西郷隆盛の生き様は薩摩の風土・人情、 そして主家島津家の家風を抜きにしては語れない。 名君斉彬から多くの影響を受けた西郷は、維新の志士藤田東湖、 橋本佐内、月照らとの交流から次第に天下に目を向けるようになった――。 疾風怒濤時代の若き西郷の軌跡を辿り、その実像に迫る傑作歴史読物。 (解説・葉室麟)
  • しのぶ恋 浮世七景
    4.0
    浮世絵からうまれた7つの名篇 近松に描かれスターとなった遊女・梅川に憧れ、端女郎・小梅は心中未遂を試みるが。時に滑稽に時に切なく、江戸に生きた男女を描く。 ※この電子書籍は2020年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 屍末師 松永久秀の罠
    1/5入荷
    -
    戦乱の世に蠢く“人ならざる者”の陰謀 羽柴秀吉の命により、青年・松助が行動を共にすることになった壮年の武士には秘密の力が──ノンストップ伝奇アクション、開幕。 秀吉の密命を受け、若き近習の松助は山奥に住む壮年の大男、玄信に会う。錆びた槍だけで戦場に向かう玄信、彼には”人ならざる者”を討滅する秘めた力があった――。戦乱の世に蠢く”死”を巡る大いなる陰謀、そして裏切りの将・久秀の野望に松助が立ち向かう。戦国の覇権争いと神々の戦いが交錯する怒涛の伝奇アクション開幕!

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  • 島原大変
    5.0
    土地の人々が「奥山」と呼ぶ普賢岳に続き、寛政四年三月一日、島原の「前山」が火を噴いた。大噴火は地震と津波を誘発し、肥前島原藩七万石の城下町は一夜にして土砂に埋まった――。大自然の猛威を目の当たりにし、恐怖におののく藩主、武士、医師、町民の姿を活写する表題作の他、歴史短篇小説の傑作三篇を収録。
  • 秋色(上)
    -
    「秋色」とは、心の中にある秋景色のこと、である。 世界的に有名な建築家と京都の名家出身の二廻り年下の妻、この華麗なる夫婦の実態は……夫には三十年来の愛人がいる。常に控えめな妻は、シドニー行の機内で出会った奈良の老舗の二男坊に惹かれていく。シドニー、麻布、銀座、奈良、京都、伊豆山と舞台を移して、華やかに、かなしく、時におそろしく展開される人間模様と愛のかたち。
  • 出世商人 (一)
    3.5
    遺されたのは借財、託されたのは店の再建 急逝した父が遺したのは借財まみれの小さな艾屋(もぐさや)。 再建を志した文吉は、荒波を乗り越え立派な商人へとなれるのか。 薬種問屋に奉公していた文吉は、父が急逝し、家業の艾屋を継ぐ事となった。 形見は古い店と十両を超す借財。 文吉は店を再興しようと決意するが、艾売りだけでは金は返せそうにない。 しかも、借金の形(かた)に己の命までもかけられてしまい――。 絶体絶命の返済期限が迫る中、文吉に一発逆転の策はあるのか? 書き下ろし新シリーズ、第一弾!
  • 朱なる十字架
    4.6
    細川ガラシヤ――。彼女の父は、謀叛を起こした明智光秀。夫は、冷ややかに父を無視した細川忠興。無垢な心と比類なき美貌を併せ持つ彼女に課せられた運命は、あまりにも過酷であった。深い苦悩の末、禁制のキリスト教に救いを見出したのも束の間、関ヶ原合戦の前夜、彼女は自らの命を絶つことになってしまう――。ガラシヤ夫人の愛と苦悩、憂愁の生涯を描く感動の長篇小説。
  • 春風無刀流
    -
    幕末から明治にかけて一刀正伝無刀流を拓き、明治維新では勝海舟、西郷隆盛らと親交をかさね、大政奉還後の官軍と幕軍の衝突を防ぐべく身を挺した山岡鉄舟。彼は、剣の人であると同時に天皇側近の人でもあった。剣豪小説で定評のある著者が、剣の奥義をきわめた鉄舟の「無我」で虚心、その悠然たる生涯を描く。
  • 将軍の子
    4.3
    名君・保科正之の来歴を、爽やかに描きだす。 生まれた直後に養子に出された徳川秀忠の庶子、保科正之。 不遇にも見える生い立ちの陰には、彼を思いやる多くの人々がいた。 養母となった武田信玄の娘、見性院。 人徳の高さを買われ、養父となった高遠藩主、保科正光。 そして陰に日向に力になってきた老中、土井利勝。 江戸城の外で育った「将軍の子」は、 いかにして稀代の名君と呼ばれるに至ったのか。 今もっとも注目される歴史時代小説の新鋭が、その半生を辿る。 ※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 白樫の樹の下で
    4.1
    江戸幕府が開かれて180年たった、天明期、最下級の御家人で小普請組の3人の幼馴染が活躍。当時は竹刀剣法花盛りの中で、彼らはいまだ木刀を使う古風な道場に通っている。ある日、江戸城内で田沼意知を切った刀を手にしたことから物語が動き始める。いまだ人を斬ったことがない貧乏御家人が刀を抜くとき、なにかが起こる……。傑作時代ミステリー。第18回(2011年)松本清張賞受賞作。
  • 奈緒と磐音 居眠り磐音
    3.8
    “居眠り磐音”が帰ってきた! 全五十一巻で完結した平成最大の人気シリーズが復活。 豊後関前藩中老職の嫡男・坂崎磐音の朋輩に妹の奈緒が生まれたその日(「赤子の指」)。 四歳の奈緒が磐音の嫁になると口にした日の出来事(「梅雨の花菖蒲」)など、本編では描かれなかった5つの物語を収録。 ふたりの幼き日々から悲劇の直前までを描き、万感胸に迫るファン必読の一冊。
  • 新・御宿かわせみ
    4.4
    ついに「御宿かわせみ」復活! 時は移り明治の初年。維新の激動の中で「かわせみ」ファミリーにも数々の厄難が降りかかっていた。東吾は戦乱で行方不明、源三郎は凶賊の手にかかり落命、麻生家も源右衛門ら3名が殺害された。しかし、麻太郎や花世、源太郎らは、悲しみを胸に抱えながら雄々しく歩み始める。いまだ江戸の名残を色濃くとどめ、舶来の風俗が異彩を放つ新しい舞台で、力いっぱい立ち向かっていく次代を背負う若者たち。大河小説第2部、堂々のスタート!
  • 新撰組秘帖
    3.5
    新選組隊士九人の苛烈なる生涯が蘇る! 寡黙な巨漢・島田魁、近藤勇を撃った男・富山弥兵衛、最後の新選組隊長相馬主殿など、隊士の生死に宿る光と影を描いた傑作小説集
  • 新太閤記(一)
    3.0
    尾張の鉄砲足軽の子、与助は、その容姿から「猿」とあなどられる愛嬌者の百姓だった。小さな体に秘められた出世への情熱は熱く、智謀にたけ、努力の甲斐あって織田家の小者をふりだしに、トントン拍子の出世街道に漕ぎ出す。木下藤吉郎と名を改め、人心をつかむ術にたけた彼は巧みな取入りと人使いで、清洲城の普請に、桶狭間の戦いにと八面六臂の活躍で功をあげ念願の士分にまでとりたてられた。一代の英雄を描いて興趣つきない極めつき太閤記。
  • 親鸞聖人の生涯 無量の光 上
    -
    平安末期、親鸞は、比叡山延暦寺に入門する。源平の戦いや大規模な飢饉により、日本中が苦しみに喘ぐ中、親鸞は激しい修行に打ち込むものの納得がいかない。ついに二十年修行した叡山を下り、専修念仏を説く法然に弟子入りする。自らも門徒である著者が描くその偉大なる一生!
  • 地獄を嗤う日光路
    -
    「股旅小説を書いていると、ぼくもいつの間にか主人公と一緒に旅を続けることになる。あの峠を越えたらその向こうに何があるか、急がないと日が暮れてしまう、こうした旅とはまったく孤独なものだ、などとぼくも主人公と同じことを考えている」(あとがきより) 「借りを返さにゃ死にきれぬ」渡世人・小仏の新三郎を描く連作は街道シリーズ「雪に花散る奥州路」の姉妹篇。「背を陽に向けた房州路」「月夜に吼えた遠州路」「飛んで火に入る相州路」「地獄を嗤う日光路」の四篇を収録。
  • 若冲
    3.9
    若冲の奇妙にして華麗な絵とその人生。 大ベストセラー文庫化! 緻密な構図や大胆な題材、新たな手法で京画壇を席巻した天才は、 彼を憎み自らも絵師となった亡き妻の弟に悩まされながら描き続ける。 京は錦高倉市場の青物問屋枡源の主・源左衛門――伊藤若冲は、 妻を亡くしてからひたすら絵に打ち込み、やがて独自の境地を極めた。 若冲を姉の仇と憎み、贋作を描き続ける義弟・弁蔵との確執や、 池大雅、与謝蕪村、円山応挙、谷文晁らとの交流、 また当時の政治的背景から若冲の画業の秘密に迫る入魂の時代長篇。 解説・上田秀人
  • 邪剣始末
    3.0
    『月下上海』の松本清張賞受賞で一躍スターダムに上り詰めた“食堂のおばちゃん作家”山口恵以子さん。彼女のデビュー作が待望の文春文庫化! 新内流しの門付け芸人おれんは、義父の刀匠・呉羽暁斎の遺言で、彼が呪いを込めて打ってしまった邪剣四振の行方を追っている。おれんは、辻斬りに襲われているところを救った貸本屋・文三の力を借りて邪剣を探し当て、邪剣に魅せられた者たちと死闘を繰り広げていく――。
  • 十一番目の志士(上)
    3.9
    天堂晋助。長州藩の下層の出ではあったが、剣の天稟は尋常ではなかった。ふとしたことから彼を知った藩の過激派の首魁、高杉晋作は、晋助を恐るべき刺客に仕立てあげる。京に、大坂に、江戸に忽然と現れ、影のように消え去る殺人者のあとには、常におびただしい血が残された。剣の光芒が錯綜する幕末の狂宴!
  • 十二人の剣豪
    -
    なぜ剣豪・外記は主君と討ち死にせず、蔑まれつつ逃げ落ちて、主君の美しい姫に纏足をほどこして密かに育てたのか? 老臣の悲劇を官能的に描く「腰抜け外記」ほか、自らに咎のない罪を被って従容と死に赴く「逆臣伊丹求馬」、兄に奪われた初恋の女の無残な変貌に複雑な想いの主とそれを見つめる家臣を描く「曲淵主従」、激昂すると異常に隆い咽仏が上下し、三度それが続くと刀を抜く剣豪「咽仏玄蕃」など、十二の剣豪の様々な決断非情を描いて、五味康祐の筆が冴える短編集。
  • 殉国 陸軍二等兵比嘉真一
    4.6
    14歳の少年は、何を見たのか。 少年の体験を通して、すさまじい沖縄戦の実相をつぶさに描いた長篇小説。 「郷土を渡すな。全員死ぬのだ」 太平洋戦争末期、沖縄戦の直前、中学生にガリ版ずりの招集令状が出された。小柄な14歳の比嘉真一は、だぶだぶの軍服の袖口を折って、ズボンの裾にゲートルを巻き付け、陸軍二等兵として絶望的な祖国の防衛線に参加する。 実在の人物の体験を、ことこまかに聞きとり、特異な事実をそっくりそのまま写し取った外面的リアリズムが、読む者の胸を強く打つ。 1991年に刊行された文庫本の新装版。元本は、累計102000部のロングセラー。 解説・森史朗 ※この電子書籍は、1911年11月に文春文庫より刊行された文庫の新装版を底本としています。単行本は1982年6月に筑摩書房より「陸軍二等兵 比嘉真一」として刊行されました。
  • 常在戦場
    4.4
    急逝した著者の遺した傑作短篇集 家康を支えた異能異彩の七人の家臣を描いた作品集。戦国武将を最も愛した作家・火坂雅志の人生もまさに「常在戦場」だった。
  • 浄土双六
    4.0
    荒廃する室町時代を舞台に、男と女の欲と情念を描く。 足利八代将軍となる義政を育てた乳母の亥万(いま)。 彼女はやがて、義政に閨の手ほどきをし、 側女として政にも関わるようになっていった。 正室の日野富子が待望の子を授かるが、 産まれてきた赤子は呼吸をしていない。 富子は亥万の呪詛が腹の子を殺したのだと訴えて――。 室町時代を舞台に人間の業と情を描く傑作歴史小説。 対談・近藤サト ※この電子書籍は2020年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 人生胸算用
    3.0
    清々しさ漂う時代小説。稲葉稔の真骨頂 郷士の長男という素性を隠し、深川の穀物問屋に奉公に入った辰馬。「大名に頭を下げさせる商人になる」という大望を胸に秘めて――。
  • 水軍遙かなり(上)
    4.0
    志摩水軍の若き継嗣・九鬼守隆。 水平線の彼方を眺めつつ戦国の世に育つ。 父・嘉隆に連れられ安土城で「天魔」と懼れられた信長に会い、 この覇者が頑迷な京の暦学者達に苛立っていることを知る。 やがて本能寺の変――。 羽柴秀吉が巧妙に信長の後継ポジションを掴んで行く。 村上水軍より強いと言われた九鬼水軍の頭領・守隆を主人公に、 史料の徹底検討から浮かび上がる「ありえたかもしれない戦国時代後の日本」の姿。 ※文字の大きさによって、文章がきれいに表示されない場合があります
  • 墨染の鎧(上)
    3.5
    「いまはつまらぬ意地を張らず、刃を腹に呑んで毛利家に従うのが、宇喜多どのの生きる道ではござらぬか」「毛利家の使僧が抜かす言葉ではないな」。戦国時代、禅僧にしてただ一人、城持ち大名となった男、安国寺恵瓊(あんこくじえけい)。安芸の名家に生まれながら、家が滅亡して出家。西国の雄・毛利家の外交僧として才覚を現し、戦国乱世に飛び込んでいく。信長の死を予言し、秀吉の行末を読んだ男の生涯を、NHK大河ドラマ「天地人」の原作者が描く長篇歴史小説。
  • 助太刀のあと 素浪人始末記(一)
    3.0
    義によって助太刀いたす!! 『風烈廻り与力・青柳剣一郎』で大人気の著者、新シリーズ開幕! 那須山藩飯野家に仕える松沼平八郎のもとに、 江戸で剣術道場を開く岳父が討たれたとの報せが届いた。 すぐさま、義弟より仇討ちの助太刀を頼まれた平八郎だが、 江戸へと向かう道中で、何者かの妨害を受けることに。 刻限が迫るなか、平八郎は無事に本懐を遂げることができるのか?  剣戟が冴え渡る、待望の新シリーズ。
  • 随筆集 柚子は九年で
    3.4
    「自分の残り時間を考えた。十年、二十年あるだろうか。そう思った時から歴史時代小説を書き始めた。老いを前にした焦りかと思ったが、二度とあきらめたくなかった」――50歳で創作活動を始め、第146回直木賞を『蜩ノ記』で受賞した、いま最も中高年に支持されている作家・葉室麟、初めての随筆集。若き日々への回想や出会った人々や書物、直木賞受賞後のあれやこれや。江戸時代の博多を舞台にした短篇小説「夏芝居」も収録。
  • 背負い富士
    4.0
    NHKでドラマ化もされた一力版次郎長! これまで何度も小説や映画の題材になった永遠のアンチヒーロー「清水の次郎長」に、“義理と人情”の山本一力が新たな命を吹き込んだ。実の両親と別れ養子に出された少年・長五郎は、激動の幕末に己の才覚と運で人生を切り開いていく。命がけで次郎長に従う森の石松や、大政、小政ら、おなじみの次郎長一家も大活躍。
  • 関所破り定次郎目籠のお練り 八州廻り桑山十兵衛
    4.0
    相州と上州、それぞれの関所破りの意外な始末。 上州玉村で道案内が殺され、道案内を殺した定次郎は子分を連れてそのまま姿を消した。 同じころ、保土ヶ谷の道案内角太郎を殺した河童の六こと六蔵を追って、 八州廻りの桑山十兵衛は河童の六の出身、相州の松田まで足を延ばす道すがら、 鐘撞き講で金を集める破れ坊主を懲らしめる。 だが、肝心の保土ヶ谷の一件は、わからずじまいとなり江戸へと戻ってきた。 すると、日光例幣使街道の上州玉村宿のそばにある竹田村で、 朝早くに川向こうの穂波村から、鉄砲の玉が飛んできたという訴えが。 玉村では、侠客の定次郎一味が、玉村の道案内を殺し、大戸の関所を破ったとの知らせが。 玉村の道案内の後任を決める必要もあり、十兵衛はそのまま上州へと向かう。 十兵衛は、鉄砲をきっかけに、定次郎一味の足跡を見つけられると考えるのだが……。 破れかぶれになり、関所破りで、せめて名を上げようとする侠客たち。 そして、姿を消した河童の六はいずこへ流れたのか。 人の欲を見つめて関八州を経巡る十兵衛が、侠客の最後にみせる粋なはからい。 そして、二つの殺しは、意外な展開に……。 十兵衛は、首尾よく彼らを捕えることができるのか。 ご存じ、人気時代小説・八州廻り桑山十兵衛シリーズ待望の第9巻。
  • 刺客
    -
    坂本龍馬を斬殺した事実を、死の間際まで秘した孤独の剣客の心底を描く表題作「刺客(せっかく)」。姫に怪我をさせた六郎左衛門は、周りの非難も聞こえない風に鳥の世話をしているが……「小鳥の餌」。家老の忰を斬って逐電した医師が、逃走の果てに四国の一山村に辿り着いた時、時疫の流行を見て、敢然と腰を据えて施療にとりかかる。上意討の六士が到着した時、医師は……。作者の心衷を色濃く投影した名作「自日没(にちぼつより)」等、人性の本体に迫る会心の時代小説十一篇。
  • 千里の向こう
    4.0
    あなたはまだ中岡慎太郎という男を知らない! 龍馬とともに暗殺された中岡慎太郎。庄屋の家に生まれたいごっそう(頑固者)が謀略うずまく幕末を駆け抜けた。稀代の傑物の一代記。 ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 桑港特急
    4.0
    清水湊から父島、そしてアメリカへ! アメリカに憧れ、アメリカを旅した時代小説作家・山本一力のウェスタン小説登場 江戸末期の文政年間、小笠原の父島に漂着した娘とアメリカ人の元捕鯨船乗りの間に生まれた兄弟、丈二と子音。 彼らはアメリカの捕鯨船フンラクリン号の副長だった若き日本人ジョン・マンと出会ったことで、大航海への夢を募らせていく。 当時、海の向こうのアメリカ西部はゴールドラッシュに沸き、一攫千金を夢見る人々が殺到。 シャンハイの大富豪チャンタオも事業拡大を狙ってサンフランシスコへ向かう。 途中立ち寄った父島で、丈二と子音の兄弟を船に乗せ、たどり着いた新天地で作業着店を開業。 そこにやって来たのが、妻を殺したサントス一味への復讐を誓うリバティー・ジョーだった。 日米中を股に掛けた、男たちの死闘必至の大作戦が始まった――。 週刊文春に一年以上をかけて連載された、山本一力版の大西部劇。超弩級の作品がついに文庫化! 解説・縄田一男
  • 奏鳴曲 北里と鷗外【電子特典付き】
    3.7
    感染症と戦う北里と鷗外、その栄光と蹉跌! 民の命を守るため「医療の軍隊」を夢見た北里と鷗外は、なぜ道を違えて対立したか。医師でもある海堂尊が描くライバル物語! 明治時代のニッポンに、感染症との終わりなき闘いに挑んだ男たちがいた。「細菌学の父」北里柴三郎と、陸軍の軍医総監にして文豪の森鷗外。ふたりは同時期にドイツで学び、「感染症から国民の命を守る」という同じ目標に突き進んだ。それなのになぜ道を違え、対立したのか。誰も描かなかったライバル物語。解説・本郷和人 ※この電子書籍は2022年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本とし、「作品相関図」などの電子版特典を付したものです。
  • 蒼龍
    3.9
    大人気時代小説家・山本一力の傑作中篇集。途方もない借金を背負う若夫婦が、起死回生を狙って茶碗の新柄の公募に挑む。その顛末は――。貧しい暮らしの中で追いかける大きな夢。武家社会の心意気、商人の気概。誠を尽くせば、身分の差を越えて人は分かりあうことができる。生きる力と明日への希望を与えてくれる感動作。「オール讀物」新人賞を受賞しデビューのきっかけとなった表題作は、著者自身の新人賞に応募していた当時の心情が色濃く反映され、胸に迫る。その他、『あかね空』以降に執筆した四作品を併録。
  • 宗麟の海
    4.0
    九州の若獅子吼ゆ! 信長に先んじて海外貿易を行い、硝石、鉛を輸入、鉄砲隊をいち早く整備。軍事力と知略で九州六か国を制覇した若き日の大友宗麟。 ザビエルから「世界を手に入れたとしても、心が満たされなければ幸せになれない」と諭された宗麟は宣教師を通して新知識を導入。 瞬く間に九州の覇王に駆け上がった男の波乱の生涯を活写する。 ※この電子書籍は2017年9月にNHK出版より刊行された単行本を、文春文庫で文庫化したものを底本としています。
  • その男(一)
    3.8
    1981年に文庫化されて以来、46刷まで重ねている池波正太郎のロングセラーが新装版に。 池波正太郎の“もっとも愛着のふかい”長篇小説! 過酷な運命の少年、杉虎之助が、動乱の世を斬り開く――。 杉虎之助は微禄ながら旗本の嫡男。生来の病弱に加えて義母にうとまれ、そんな我が身を儚んで十三歳のとき大川に身を投げるが、謎の剣士・池本茂兵衛に助けられた。この日が波瀾の人生の第一歩だった。 幕末から明治へ、数奇な運命を辿った直参の剣士の生涯を描きつつ維新史の断面を見事に剔る異色の長編小説。 ※この電子書籍は1981年に文藝春秋より刊行された文庫版を、新装版として刊行したものを底本としています。
  • 損料屋喜八郎始末控え
    3.8
    上司の不始末の責めを負って同心の職を辞し、きっぱりと刀を捨てた喜八郎は、長屋住まいの庶民相手に鍋釜や小銭を貸す<損料屋>に身をやつした。といってもただの損料屋ではない。与力の秋山や深川のいなせな仲間たちと力を合わせ、巨利を貪る礼差たちと渡り合う。田沼バブルのはじけた江戸で繰り広げられる、息詰まる頭脳戦。時代小説に新風を吹き込んだ、直木賞作家・山本一力の輝かしいデビュー作。人情味と後味の爽快さは一作目から群を抜いてます。
  • 太公望(上)
    4.2
    古代中国史の中で、この男ほど謎と伝説に彩られた武人はいない……。羌(きょう)という遊牧の民の幼い集団が殺戮をのがれて生きのびた。年かさの少年は炎の中で、父と一族の復讐をちかう。商王を殺す――。それはこの時代、だれひとり思念にさえうかばぬ企てであった。少年の名は「望(ぼう)」、のちに商王朝を廃滅にみちびいた男である。中国古代にあって不滅の光芒をはなつこの人物を描きだす歴史叙事詩の傑作!
  • 戴天
    4.7
    天に臆せず胸を張って生きる男たちを描く 唐・玄宗皇帝の時代。絶対的権力者に抗おうとする若者と、人に人らしからぬ生き方を強いる体制を糺そうとする若僧の、心熱き戦い。 時は玄宗皇帝下の唐、陽物を欠いた名家の貴公子・崔子龍(さいしりゅう)は、辺境民族の征伐に赴く唐軍に従軍し、宦官・辺令誠(へんれいせい)の策略にはまる。心酔する上官・高仙芝(こうせんし)を陥れた辺への復讐を誓う崔の前に現れた僧侶・真智(しんち)。権力闘争に翻弄される男達と、虐げられても強かに生きる女達が安史の乱を機に躍動する歴史大河小説。解説・瀧井朝世 ※この電子書籍は2022年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 鷹ノ目
    -
    罪人を捕らえて金を稼ぐ一人の男…… 時代は戦国。一匹の痩せ馬に乗り、斑鳩をゆく一人の男がいた。 渡辺条四郎、メリケンでいえば賞金稼ぎ、本邦では勧賞目当ての素浪人のていである。 諸国を旅しながら、高札にかかげられた勧文に記された手配書に従って、下手人を捕え金品を得ることで糊口をしのぐ。 しかし本当は仇討の大望が……。 解説・末國善己
  • 武田三代
    4.0
    信虎追放、信玄陣没、勝頼自刃――。 天下に名をとどろかせた甲斐の武田家。風林火山を旗印にしたこの強大な騎馬軍団は如何にして生まれ、そして滅んだのか。信虎、信玄、勝頼という武田三代にまつわるさまざまなエピソードから、埋もれた真実が明らかになる! 著者の代表作『武田信玄』の基礎をなしたともいえる七篇を集めた短篇集。
  • 旅路 上
    3.5
    池波正太郎のヒロイン、仇討の旅 彦根藩の勘定方・三浦芳之助が斬殺された。 下手人は御目付方・近 藤虎次郎らしい。 男は逃亡し、藩庁は三浦の若妻・三千代に実家へ戻るようにと沙汰した。 納得出来ぬ三千代は敵討ちのため故郷を出奔、 道中危難に見舞われるが、堀本伯道と名乗る謎めいた老人に救われる。 美しくしなやかな武家の女の数奇な運命を描く傑作長編。
  • たまゆらに
    4.1
    舞台は文化3年の江戸・日本橋。青菜売りの朋乃は、橋で五十両もの大金入りの財布を拾った。この財布を巡って思いがけぬ長い一日が始まる――欲深い人間たち、真摯に生きる価値を描ききる傑作時代小説。江戸情緒満点、正直と粋の人生応援歌!
  • 樽屋三四郎 言上帳  男ッ晴れ
    4.0
    江戸開府以来の特権町人「町年寄」樽屋の新当主は、23歳の熱血漢・三四郎。時の将軍・吉宗から「百眼(ひゃくまなこ)をよろしく頼む」と謎の言葉をかけられたが──。奉行所の目が届かない庶民の事情をすくい上げ、事件の予兆を捉えつつ智恵と人情で問題を解決。時には権力に逆らいながらも江戸の町の安泰を図る三四郎の活躍を描く、書き下ろし時代小説新シリーズ第1弾!
  • 大修院長ジュスティーヌ
    3.0
    「童貞を守る必要はないと思います。私は、性行為を不浄だとは思いません。それは、人間らしいことです。もっと言えば聖職者にも、人間として性を楽しむ権利があると思います」(本文より)。性愛を肯定する異端の女子修道院長は、聖女か淫蕩の魔女か? フランス革命下に生きた3人の豪胆な女たち…大修院長ジュスティーヌ、侯爵夫人ドニッサン、娼婦ティティーヌ。美貌を駆使し、熱狂と快楽と陶酔の波をどう切り抜けてゆくのか。エロティシズム溢れる歴史ロマン官能3篇!
  • 大盗禅師
    3.4
    大坂落城から三十年。摂津住吉の浦で独自の兵法を磨く浦安仙八の前に、ひとりの僧が現れる。妖しの力をあやつる怪僧と、公儀に虐げられる浪人の集団が、徳川幕府の転覆と明帝国の再興を策して闇に暗躍する。これは夢か現か―全集未収録の幻想歴史小説が、三十年ぶりに文庫で復活。
  • だましゑ歌麿
    4.2
    江戸の町を高波が襲った夜、当代の人気絵師・喜多川歌麿の恋女房が惨殺された。歌麿の幕府風刺を憎む上からの圧力に抗いつつ、事件の真相を追う南町奉行所の同心・仙波。仙波の前に、やがて明らかとなる黒幕の正体と、歌麿のもう一つの顔とは!? 時代はまさに「鬼平」こと長谷川平蔵が火附盗賊改(ひつけとうぞくあらため)の重職を担っていた当時で、鬼平もたっぷり登場します。浮世絵を愛する著者が、江戸の町が見えるように生き生きと語る、恋あり仁義ありの傑作時代ミステリー!
  • 地上の星
    3.5
    葉室麟、絶賛! 「島原の乱」開戦前夜 天草を守った武将・麟泉。民に愛された姫・お京。異国との架け橋になった少女・おせん。かなしみの秘史に、はじめて光を当てる! ※この電子書籍は2016年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 血と炎の京 私本・応仁の乱
    3.8
    行間から血の匂いが立ち上ってくるかのような迫力。 応仁の乱を描いた小説中の最高峰だ。――田中芳樹 応仁の乱――それは地獄の戦さだった。 かつて栄華を誇った都は燃え落ち、縦横に走る塹壕に切り刻まれ、泥と屍に覆いつくされた。 連なる屋敷は高い土壁に守られて砦と化して、中枢は地下の壕内に設けられた。 日が沈めば夜襲が行なわれ、矢が飛び交い、兵どもは無造作に殺されてゆく。 そこにあったのはあたかも近代戦争のごとき総力戦、終わりの見えぬ中で人間がひたすら消費されてゆく戦だった。 行軍中に東軍・細川勝元が拾った瀕死の男。 額に「犬」の文字の刻まれた男は、西軍の山名宗全に虐殺された集落の生き残りだった。 男は宗全への憎悪を胸に、地獄の戦場に血路を切り開く。 しかし敵方には中国渡りの最新兵器たる投石器を駆使する軍師がおり、苦戦を強いられる。 一方、この大戦さの中にあって、これを収拾しようという姿勢もみせぬ将軍・足利義政の妻・日野富子は、 渇いた心の救いを希い、戦火のなかを蓮如に面会すべく動き出そうとしていた。 京を灰燼に帰した応仁の乱とはいかなる戦争であったのか。 その血みどろの風景を壮絶に描きつくす書き下ろし歴史伝奇小説。
  • 長城のかげ
    3.8
    劉邦にかげのように寄り添った男女たち 怠け者で口八丁の男が天下の覇者に――漢の始祖・劉邦の勃興から崩御後までを、敵、臣下、息子、学者など同時代人の目で描く連作集。 ※この電子書籍は1999年4月に文藝春秋より刊行された文庫の新装版を底本としています。
  • 長宗我部(ちょうそがべ)
    3.7
    四国統一を成し遂げ天下を夢見るも、関ヶ原で敗北。山内政権下で「下士」へ転落し、雌伏の後、明治維新を機に家名復活へ──。秦の始皇帝を遠祖とする名門一族の興亡を、長宗我部元親の末弟、親房から17代目の当主・長宗我部友親が描く。末裔でなければ書けない史実の数々は、70代、2000年に及ぶ血脈の「大河の一滴」までさかのぼった、まさに歴史のロマン。長宗我部元親の原点がここにある!
  • 長宗我部 復活篇
    3.0
    「真田丸」の時代を生きた盛親の刑死から四百年―― 大坂の陣で歴史から消えた長宗我部家。しかし、からくも命脈を保ち、大政奉還によって甦る。「血のドラマ」を描く一大叙事詩。
  • 蝶の戦記(新装版)上
    3.8
    尾張の国、清洲城下のはずれで、二十歳の於蝶は五月晴れのもとにのびやかな肢体をなげだしていた。夏草のにおいと果肉のような体臭に、木立を進む武士は惑乱した。一瞬の後に……。川中島から姉川の合戦に至る時代を、少女から女へと変貌しながら、甲賀忍びの技と道に賭してゆく於蝶。上杉謙信への忠心に燃えつつ、時には男装して前髪すがたの小姓になりすまし、時に男たちとの恋にときめく日々……、心と体を完璧にあやつり、死闘を繰り広げる女忍びは、ついに川中島の決戦へ!
  • 沈黙の王
    4.6
    夏、商、周といった古代王朝を舞台にした傑作短編集。 商王朝の王子・丁は、言葉が不自由なため、父王から追放された。しかし苦難の旅の末に、目に見える言葉――文字を創造した。 己のハンディを跳ね返し、普遍的な価値を生み出した高宗武帝を描く表題作「沈黙の王」ほか、四つの短編を収録。
  • 月影の道 小説・新島八重
    3.0
    会津が降伏開城した夜、見上げた空には銀の月、無残に散った親友の美しい顔──。壮絶な籠城戦に男装で参加し生き延びた、会津藩砲術指南役の娘・山本八重は、薩長への突き上げるような憎しみに葛藤する。アメリカ帰りの牧師・新島襄と結婚した時、心に期したこととは。「幕末のジャンヌ・ダルク」と呼ばれ、時代に挑戦し続けた女性の激動の一生。2013年NHK大河ドラマの主人公・新島八重の、誇り高き会津人としての生き様をドラマティックに描ききった画期的小説。
  • 月に捧ぐは清き酒 鴻池流事始
    4.3
    清酒を造ったのはあの山中鹿之助の息子だった! 尼子一族を支えた猛将の息子は、仕官の誘いを断って商人の道を歩む。 日本を代表する鴻池財閥の始祖が清酒の醸造に成功するまで。 山陰尼子家の忠臣山中鹿介の息子でありながら、叔父に育てられた新六は、父を知らず尼崎で成長する。 父の死後、武士を捨て、幼馴染のはなとともに商人として生きる道を選ぶ。 とある出来事から新六改め新右衛門は新たに酒造りを始めるが……。 豪商鴻池の祖となる男の波乱万丈の生涯を描く傑作歴史長篇小説。 解説・島内景二(国文学者)
  • 月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話
    3.9
    超人気シリーズが、書き下ろし長編小説に! 髪結いの伊三次と芸者のお文。仲のよい夫婦をめぐる騒動を、江戸の夜空にかかる月が見守っている。大河ロマン的な人情時代小説です。
  • 蔦屋
    3.9
    2025年、NHK大河ドラマは「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~」。 その主人公である江戸の出版プロデューサー・蔦屋重三郎の波瀾万丈人生を描く、傑作歴史長編小説! 寄る年波には勝てず、店仕舞いしようとしていた地本問屋・丸屋小兵衛のもとを、才気迸る若い男が訪ねてくる。この店に毎年二十両払うから、雇われ人となって自分を手伝ってほしい、という申し出に面食らう小兵衛。 「一緒にやりませんか。もう一度この世間をひっくり返しましょうよ」 その男こそ、吉原随一の本屋、飛ぶ鳥を落とす勢いの蔦屋重三郎だった――。 飲むときはとことん飲み、遊ぶときはとことん遊ぶ。商売の波に軽々と乗り、つねに新しいものを作りたい、と意気込む重三郎。重三郎の周りには、太田南畝、朋誠堂喜三二、山東京伝、恋川春町ら売れっ子戯作者や狂歌師が出入りするが、腐れ縁の絵師・喜多川歌麿には、特別な感情をもっている。 やがて松平定信による文武奨励政治が始まると、時代の流れは予期せぬ方向へ――。 蔦屋重三郎の型破りの半生を、父親ほども年が離れた小兵衛を通して描く。最強バディが江戸の街を闊歩する、極上エンターテインメント小説。 単行本を大幅に改稿し、著者によるあとがき「文庫化までの長い言い訳」を特別収録。 単行本 2014年4月 学研パブリッシング刊 文庫版 2024年10月 文春文庫刊 ※この電子書籍は、文春文庫版を底本としています。
  • 手鎖心中
    4.0
    材木問屋の若旦那、栄次郎ときたら、いずれ大店を継ぐ安楽な身の上のくせに、他人を笑わせ、他人に笑われ、ちょっぴり奉られもしたいがために、絵草紙の作者になりたいと思い焦がれている。悲しいかな、その才能は皆無なのだが、それを知らぬは本人ばかり。暢気でお調子者の若旦那を主人公としたこの小説、江戸・寛政期の風俗と実在の戯作者たち、洒落や地口を綺羅星のごとくちりばめて、あまりのばかばかしさに読者が吹きださずにはいられない、第六十七回直木賞受賞作の傑作時代小説。
  • 手のひら、ひらひら 江戸吉原七色彩
    3.8
    江戸吉原には、娘を花魁(おいらん)へと染めかえる裏稼業があった。その名も、うぶな時分に性技を仕込む「上ゲ屋(あげや)」、年季を重ねた妓(おんな)に活を入れハリを蘇らせる「保チ屋(もちや)」、常に女心を探り間夫(まぶ)を絶つ「目付(めつけ)」。吉原の架空の設定を軸に、これら男衆と、磨きぬかれたオンナ達が織りなす色と欲、恋と情けを描いた連作7編。秘められし真心が静かに胸をうつ、期待の新人のデビュー作!
  • 寺田屋騒動
    -
    幕末の悲惨な事件はなぜ起こったのか。文久二(1862)年四月二十三日、伏見の船宿・寺田屋の二階。長州と手を組んでクーデターを謀る薩摩誠忠グループの動きは、長州嫌いの久光の怒りを買った。蹶起中止を説得する使者との間に朋友相撃つ惨劇が起こる。武士にとって藩命と理想、君命と朝命はいずれが重いか、この時点でこれは答えの出ない命題だった。怒涛の時流にのまれ、ピュアに生きすぎた武士たちの過ちとプライドを絶妙の語り口でつづった歴史ドキュメント。
  • 初詣で 照降町四季(一)
    3.7
    日本橋の近く、傘や下駄問屋が多く集まる町・照降町に「鼻緒屋」の娘・佳乃が三年ぶりに出戻ってきた――  著者初・江戸の女性職人が主役の書下ろし新作<全四巻> 1巻「初詣で」内容 文政11年暮れ。雪の降る中、18で男と駆け落ちした鼻緒屋の娘・佳乃が三年ぶりに照降町に戻ってきた。 懐かしい荒布橋(あらめばし)を渡り、町の入り口に立つ梅の木を、万感の思いで見上げる佳乃。 実家の鼻緒屋では、父が病に伏せっており、九州の小藩の脱藩武士・周五郎を見習いとして受け入れていた。 父にかわり、職人として鼻緒挿げの腕を磨く佳乃は、新鮮なアイデアを出して老舗の下駄問屋の宮田屋に認められ、吉原の花魁・梅香からも注文を受ける。 自分を受け入れてくれた町に恩返しをすべく、日々を懸命に生きる佳乃だったが、駆け落ちの相手・三郎次が あとを追ってきて―― 「己丑の大火」前夜の町と人々を通して描く、知恵と勇気の感動ストーリー。

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