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上司の不始末の責めを負って同心の職を辞し、きっぱりと刀を捨てた喜八郎は、長屋住まいの庶民相手に鍋釜や小銭を貸す<損料屋>に身をやつした。といってもただの損料屋ではない。与力の秋山や深川のいなせな仲間たちと力を合わせ、巨利を貪る礼差たちと渡り合う。田沼バブルのはじけた江戸で繰り広げられる、息詰まる頭脳戦。時代小説に新風を吹き込んだ、直木賞作家・山本一力の輝かしいデビュー作。人情味と後味の爽快さは一作目から群を抜いてます。
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Posted by ブクログ
『損料屋喜八郎始末控え』シリーズ第1作。深川で小さな損料屋を営む喜八郎が、真っ当に生きる人たちの暮らしを守る姿を描く経済時代小説。4編からなる連作。再読。 * * * * * 田沼バブル経済と定信緊縮財政。真逆の政治体制に翻弄される江戸が舞台です。 そして主人公は、深川で損料屋...続きを読むを営む元同心の喜八郎という男。この喜八郎が実に魅力的。 損料屋の規模は小さいものの、優れた洞察力と抜群の経営センスで大店の札差たちと互角以上に渡り合い、真っ当に生きる江戸の庶民たちの暮らしを守ろうとする喜八郎が、なんとも粋でカッコイイんです。 やはり何度読んでもおもしろい! シリーズ化が納得できるほどの出来栄えで、一力節の本領が存分に発揮された名作です。
主人公の喜八郎を始め脇を固める登場人物たちが兎に角カッコイイ。敵役の伊勢屋ですら実にカッコイイ。巨利を貪る札差達との頭脳戦、も楽しいんだが、とにかく人物たちのカッコ良さを骨の髄まで楽しめる傑作。 そして深川八幡祭のクライマックスへの昇り方がまた呼吸を忘れさせてしまうほど。神輿の『差し上げ』なんて今ま...続きを読むで見たことも無いし、当然挿絵なんかもついてないのに、脳内再生されたその粋っぷりに思わず涙腺崩壊。 続編もあるらしい。実に嬉しい。早く読まねば。
巨利をむさぼる札差、借金にあえぐ御家人。これをたすける為に幕府は借金棒引き令を出すが…どこまでも強かな札差相手に損料屋が知恵を絞る短編集。最初は強欲な札差をやっつけるのが痛快だが、札差にも札差の立場があり、そちらからの視点も入ってくるのが公平だと感心する。何しろ元はといえば借金踏み倒す幕府の方が泥棒...続きを読むなのだ(笑)札差の逆襲などもまた読んでいて面白い。いつの世も金とは争いの種である☆
自分にとっての初の山本一力作品。他の作品と通ずる深川を中心とした鯔背なオトコたちと彼らを支えるオンナたちの世界にハマりました。剣の腕に頼らず頭脳戦で繰り広げられる話は今まで自分が読んできた時代小説とは一線を画すもので、この部分だけでも読み応えがあります。また池波正太郎的に劇中の食に関する部分もリアル...続きを読むにそそられる点も良いです。
山本一力のあかね空の前の作品。 損料屋、札差という初めて聞く職業とともに江戸時代の町人文化に触れられる快作! 喜八郎のかっこよさとともに、秋山、奉行という見守り、そして責任を引き受けるという上司のカッコヨサ・・・。
読み応えありました。3作目があっさりだったので、それが作風かと思いきや。 前シリーズ読みたくなりました。主人公ちょっと堅過ぎだと思いません?
必殺仕置人のような展開で、札差の悪事を主人公の損料屋になりをひそめた喜八郎が主人の旧知の与力 秋山と仲間とともに密かに解決していくという話で、江戸下町の粋な姿と絡みあって、とても面白かったです! 続編もあるようなので、喜八郎と江戸屋女将の秀弥との恋模様も気になるところです。 でも、江戸屋女将の秀弥は...続きを読む、初期の山本一力の作品には欠かさず登場する定番人物のようです。
棄捐令の功罪は重く問われるなぁ 現代の日本とも見まごう不景気を もたらした政策 多分2度目に読んだのですが、前回は どことどこが敵対しているのか分かり づらかった
鬼平犯科帳と同じ時代・地域が舞台だけに、読みながら色々とリンクしてくるのが面白い。どちらも表組織の奉行所から少し隠れた組織や人が活躍するのだけど、こちらはチャンバラが無い分、現代サスペンスに近い感じで読みやすいかも。富岡の周りを散策したくなった。
派手な事件は無いけど、市井の人々がちゃんと息づいている小説。 江戸家の女将がいいね。あこがれます。
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