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影の車
仮眠から目覚めると、私の横に健一がいた。その手に出刃庖丁が握られている。私は危うく声を上げかけた。……夫を亡くし保険の集金人をする小磯泰子と二十年振りで出会った私は、妻の眼を盗んで家に出入りし、密かな逢瀬を楽しむようになった。が、その一人息子で6歳の健一は何故か私に親しまず、その異常な挙動に私は自分への殺意を感じた。少年の殺意。――私にはそれを否定し切れぬ過去があった。「潜在光景」ほか「典雅な姉弟」「万葉翡翠」「鉢植えを買う女」「薄化粧の男」「確証」「田舎医師」を併載。眼に見えぬ運命の糸に操られ、破滅へと導かれる男女を描く連作推理集。 -
翳った旋舞
東京の女子大学を卒業してR新聞社資料調査部に働く順子は、ある日外国要人の写真を係に取り違えて渡し、その日の夕刊の写真誤用は社内に大きな波紋を呼んだ。部長末広と次長の左遷。――責任を感じた順子は編集局長川北に辞表を提出するが、川北は意外にも彼女を銀座のクラブに誘う。二人の接触は、川北に恨みを抱く末広により、スキャンダルとして暴露された。社内に激化する醜い派閥争い。職場への夢を失った順子は、一夜川北から財界の怪物海野を紹介されるが…。人生の確かな手ごたえを求めてさまよう、一女性の心と行動を鮮やかに捉えた巨匠の長編現代ロマン。 -
[映]アムリタ
自主制作映画に参加することになった芸大生の二見遭一。その映画は天才と噂される最原最早の監督作品だった。彼女のコンテは二見を魅了し、恐るべきことに二日以上もの間読み続けさせてしまうほどであった。二見はその後、自分が死んだ最原の恋人の代役であることを知るものの、彼女が撮る映画、そして彼女自身への興味が先立ち、次第に撮影へとのめりこんでいく。 しかし、映画が完成したとき、最原は謎の失踪を遂げる。ある医大生から最原の作る映像の秘密を知らされた二見は、彼女の本当の目的を推理し、それに挑もうとするが――。 第16回電撃小説大賞<メディアワークス文庫賞>受賞作。 -
絶望センチメンタル
今日こそはアイツに復讐しよう。公園のベンチに座ってそう決意する僕の目の前に、女子高生のお姉さんが落ちてきた。 ……アスレチックの上から。彼女は微笑んで言う。 「しようぜ、復讐」 見知らぬお姉さんに引きずられ、僕(=小学五年生)の奇妙な旅が始まった。旅なのか……な? 第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞後、第一作。可愛げのない小学生と、破天荒な女子高生。おかしな二人の奇妙な旅を綴るメランコリック・ロードノベル。 -
君に続く線路
時は昭和初期。線路を守る保線手として、二十年以上ひたむきに働いてきた三郎。ある日、彼は一人の若い少女が線路の上で倒れているのを発見する――。仕事一筋に生きる純朴な四十男と少女の淡いラヴロマンス。 -
オルヌカン城の謎
ポールは新妻のエリザベートとともにオルヌカンの城へと旅立った。独仏国境近くに建つ、エリザベートの父の館である。だがそこで、ポールは驚くべき発見をした。かつて自分の父を殺した犯人、それはほかならぬエリザベートの母だったのだ! ポールはエリザベートと別れ、折しも勃発した第一次大戦の戦場へと向かう。だが運命のいたずらか、ポールは再びオルヌカン城へと引きもどされることになるのだった、ドイツ軍の手におちた城を奪還するために。囚われのエリザベートの運命は? 奇怪な人物、ヘルマン参謀とは何者か?砲弾とびかう戦場と、あやかしのオルヌカン城を舞台に描く波乱万丈の物語! -
靴に棲む老婆
世界的な製靴会社を築き上げたコーネリと前夫との間に生れた三人の子供は奇人揃いだった。ある日、長兄のサーロウは弟のロバートに決闘を申し込み、なんとクイーンに介添人を頼んできたのだった。彼は一計を案じ、銃に空包をつめたのだが……!マザー・グースの歌を本格推理にみごとに融合されたクイーンの中期の傑作 -
シャーロック・ホームズ最後の挨拶
知り合ったばかりの男の家へ招待されて一泊し、一夜明けると主人をはじめ家じゅうの人間が忽然と姿をけしたという奇想天外な事件の「ウィスタリア荘」、ホームズと敏腕ドイツ・スパイとの対決を描く「最後の挨拶」、ほかに「瀕死の探偵」「ボール箱」「赤輪団」「悪魔の足」など傑作8篇を収録。 -
カエルの子は
遊園地でカエルの着ぐるみをかぶって仕事をこなし、優雅な独身貧乏生活を満喫中の俺、三十歳。ある日、見知らぬガキんちょがやってきて、俺に向かって思いっきり叫んだ。 「父ちゃん!」 身に覚えは……ない、わけでもない……。ああ、なんてこった。突然の息子の登場で、俺の平穏な生活が一変。そもそも子供は苦手なのに、この先、どうなっちまうのか ――。 真冬の遊園地でじんわりと展開する、奇妙な縁で結ばれた親子の心温まる物語。ぎこちない父親の愛情と、まっすぐな子供の信頼が、関わる人々に笑顔を運んでいく。 -
俺たちのコンビニ 新米店長と仲間たち
故郷の小さな田舎町でコンビニを起ち上げた若き店長、牧水良平。開店までの苦労を乗り越えた彼を待っていたのは、厳しい現実だった。画一化を図るコンビニチェーン本部に抵抗し、オリジナリティあふれる店づくりをモットーに頑張っていたが、経営は赤字続き。しかも、バイト店員が起こしたある事件が原因で、ただでさえ少ない客足も激減してしまう。閉店の危機に、牧水店長が打ち出した策は―― !? どれだけ努力しても、結果が出ないこともある。でも彼には、信じるものがあった……。へこたれながらも、前へ進もうとする青年を描いた、元気をもらえる爽やか青春小説! -
俺のコンビニ
東京暮らしに挫折して、故郷へと舞い戻った青年、牧水良平。実家の小さな商店を手伝うわけでもなく、悶々とした日々を送っていた。そんな彼が一念発起! 人口の少ない田舎町で、コンビニを起ち上げようと決意する。当然のごとく次から次へと難題が降りかかってきて、若き店長は行き詰まるのだが――。 あなたがいつも立ち寄るコンビニの裏でも、こんな熱いドラマが繰り広げられているのかもしれない!? 何事にもへこたれず、前へ進んで行こうとする一人の青年を描いた、元気をもらえる爽やか青春小説! -
奇祭狂想曲
おちゃらけな大学生、名雪小次郎。彼はある日、思わぬ事態に驚愕する。すなわち ―― 金がない。 このままでは卒業どころか、明日を迎えることさえ叶わないと自覚した小次郎は、夏祭り 「嗚鼓宮祭」 で、濡れ手に粟の金儲けをしようと企む。しかし、頼りの相棒・魔王が逮捕され、ピンチに陥る。しかも、かつて敵対していた女子高生・朝霞愛理を人質に、街中を逃げ回ることになってしまい……。 第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞作である 『おちゃらけ王』 の名雪小次郎が、またまた大奮闘!? 疾走感あふれる愉快痛快な逃亡劇に、酔いしれろ! -
月だけが、私のしていることを見おろしていた。
高学歴、高年齢、高層マンション住まいの3K女・二宮咲子は、元彼の御厨に未練たらたらの日々を送っていた。週末の友人の結婚式で御厨と奥さんに再会することを悩む咲子は、占い師に一週間で出会いがないと一生独身と宣言される。驚いた咲子は合コンやお見合いなどの予定を入れていくのだが、相手を御厨と比べてしまい、逆に自分の未練を自覚していく。そんな咲子には、誰にも言えない楽しみがあった。それは、年下青年の住むぼろアパートを中古の天体望遠鏡で覗くこと。今の彼女の心を暖めてくれるのは、月夜に望遠鏡を通して知り合った青年・瑞樹との交流しかなくて──。 -
七人の王国
小笠原諸島の中に浮かぶ、ある小さな島。東京から南に1000kmも離れたその島には、さまざまな過去をもつ男女七人が、数年前から暮らしていた。ある日、彼らは、日本からの独立を宣言する。 国名は多生島共和国。そして驚いたことに、総理大臣は十七歳の少年だという。 独立宣言を記した国書を受け取った日本政府は不快感を示し、突飛なニュースを渇望していたマスコミは一躍飛びつき、そして日本中の国民が大いに動揺した――。 これは、日本での生活に馴染めない人間たちが自由を求め夢想した、可笑しくも哀しい破天荒な物語。 -
おちゃらけ王
かつては無類の馬鹿者だったが、いまは怠惰な大学生に成り果てていた名雪小次郎。そんな彼の前に、幼少からの腐れ縁 「魔王」 が現れ、言い放つ。「君に用心棒を頼みたいのだ」。 多くの人間に金を借りている魔王は、借金を取り立てる債鬼から逃げつづけなければならないのだという。 やっかいな頼みを断る小次郎だったが、魔王の策略にはめられ、恐ろしい追っ手たちから無我夢中で逃げ回ることになる。その逃亡劇の果てに二人を待っていたものは――? 馬鹿で奇妙奇天烈で爽快なネオ青春グラフィティ! 第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞作。 -
モルグ街の殺人事件
ある日、パリのモルグ街で猟奇殺人事件が起きた――。 犠牲者の母娘は残酷きわまる殺され方をされており、しかも事件現場は密室だった。密室から聞こえていた犯人と思われる人物の声を複数の者が聞いていたが、証言者はこぞって自分の母国語以外の言語を喋っていたと言う。この殺人事件の解明に探偵C・オーギュスト・デュパンが挑むこととなる。 エドガー・アラン・ポーによる本作は、推理小説というジャンルを築く作品であり、密室殺人を扱った最初の作品とも言われています。後世の作家たちにも多大な影響を与えた作品であることは間違いありません。時代を超えて愛される名作を是非、味わいましょう。 【目次】 モルグ街の殺人事件 -
悪の起源
玄関先に送りつけられた犬の死体と脅迫状が宝石商のヒルを殺した?そして共同経営者のプライアムにも意味不明の脅迫が続く。二人を死ぬほどおびえさせるものは何か?プライアムが頑として語ろうとしない二人の過去とは……?題名を『種の起源』になぞらえ、ハリウッドを舞台に展開する本格推理大作。 -
シャーロック・ホームズの事件簿
端正な容貌の陰に悪魔のような狡猾さを秘めた犯罪貴族グルナー男爵と、名探偵ホームズの息詰まる対決を描く「高名の依頼人」をはじめ、中世の伝説にまつわる怪奇な事件を解決する「サセックスの吸血鬼」ほか「ソア・ブリッジ」「三人のガリデブ氏」等、円熟の筆致で描く12篇を収録する最後の短篇集。 -
泥棒は詩を口ずさむ
古本屋の主人におさまった私のもとにやってきた古書蒐集家は、私が泥棒だということを知っている様子だった。なにしろ世界に一冊しかない稀覯本を何が何でも手に入れろというのだから。ところが、盗んだばかりの本を奪われ、殺人事件にまで巻き込まれてしまった。ネロ・ウルフ賞受賞作。 -
泥棒は選べない
どんな錠前でもあける自信はあった。だが、家捜しを始めたとたん警官に踏み込まれ、その上寝室から死体が転がり出て、殺人犯と間違えられるはめに…… 泥棒として再び仕事をするためには自分で事件を解決しなれければならない。マンハッタンの泥棒探偵バーニイ・ローデンバー初登場 -
金星で待っている
その日、人類は初めて金星人と遭遇した――。 僕は劇団の稽古場で、入団希望の女の子を面接していた。自らを 「金星人」 だと名乗る彼女は、印象的な瞳を輝かせながら自信たっぷりに言う。「どこからどう見てもそうです」。 弱りながらも、僕は彼女の入団を受け入れた。目の前で演じた即興芝居が抜群にうまかったから。けれど彼女の加入で、僕らの劇団、いや僕らの人生は大きく変わるのだった……。 小さな劇団を舞台に、夢を追いかける個性的な若者たちを鮮烈に描く、甘酸っぱさ満載の青春群像劇。 -
かもめ高校バドミントン部の混乱
初速400キロとも言われるスピードで飛び交う、真っ白なシャトル。目にも止まらぬ小さなそれを打ち合う華麗かつ苛烈なスポーツ――それがバドミントン。 自らの力を信じて、入学した高校でも意気揚々とバドミントン部に入った南太一は、先輩たちとの実力の差に愕然とし、落胆する……。それでもバドミントンを続けていこう。そう決意した太一は、ライバルや先輩たちに、正面からぶつかっていく――。 第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉を受賞し、『おちゃらけ王』 でデビューした気鋭・朽葉屋周太郎が贈る、青春ストーリー! -
奥様はネットワーカ
スージィこと内野智佳は、某国立大学工学部化学工学科の秘書。彼女の勤める大学周辺で暴行傷害事件が多発する。智佳の周辺でも不気味な出来事が続き、友人のルナも被害に遭っしまうが……。大学の工学部を舞台に、それぞれに秘密を抱えた6人の視点で連続殺人事件を追う、ちょっとフーガな新感覚ミステリィ。(解説は、コジマケン描き下ろしマンガ『俺様はネットワーカ』) -
リリーベリー
「みなさんには、ケーキのように愛おしい宝物はありますか?」 ―― 大切な想いが込められたものには、必ず他人を魅了する力があります。それはケーキにも、お店にも、そして、人にも……。 女子大生・中屋明海が訪れた噂の洋菓子店「リリーベリー」は不思議な店でした。一年間限定開店、店に置かれるケーキは一日一種類のみ、そして、スイーツの主役であるイチゴショートがないこと。 そんな店に疑問を抱く明海でしたが、ある事件をきっかけに、パティシエ兼店長でどこか冷めた性格の青年・竹下望と一緒に働くことになってしまい ―― !? あなたも、一軒の洋菓子店 「リリベリー」 にまつわる甘くて苦くて愛おしい物語をご賞味あれ。 -
バンク!
全国に数多くの支店をもつメガバンク、東協名和銀行。新入社員の有村麻美が配属されたのは、表沙汰にはならない数々の不正を追究する 「コンプライアンス部内部犯罪調査室」。そこには、仕事はできるもののファッションセンスが壊滅的な八代主任や、頼りなさそうな中尾課長など、クセ者ばかりが揃っていた。 前途に不安を覚える有村だが、普通の企業では考えられないような事件が次々と起こり、激務の奔流に呑み込まれていくのだった――。 元銀行員の著者がリアルに炙り出す、銀行内部の驚くべき実情。銀行って……こんなに生臭いものなの……!? -
カクレカラクリ
同級生の真知花梨とともに鈴鳴村を訪れた郡司朋成と栗城洋輔。彼らを待ち受けていたのは村に伝わる奇妙な伝説だった。天才絡繰り師・礒貝機九朗は、120年後に作動する謎の絡繰りを密かに作り、村のどこかに隠した。言い伝えが本当ならば、120年めに当たる今年、それが動きだすという……。【解説】栗山千明(女優) -
ダブル・ダブル
エラリイ・クイーンが懐かしのライツヴィルに赴いた時、すでに三つの謎があった…… “町の隠者”の病死、 “大富豪”の自殺、そして “町の呑んだくれ”の失踪。だがこれは、来るべき連続殺人の単なる発端にすぎなかった!古い童謡に憑かれたように犯行を重ねる殺人鬼に、さすがのクイーンもなす術がなかった! -
神祭
土佐の山に囲まれた盆地に。ひっそり佇む嬉才野(きざいの)村。村の家々では、かつて盛大な「神祭(じんさい)」が行われていた。それは、氏神様に一年の収穫を感謝する祭りであり、遠方からの親戚縁者が集い、村が賑わう日でもあった。村に住む老女・由喜の脳裏に甦った、四十年前の「神祭」の奇妙な記憶とは……。ある盆の日、山中に忽然と消えた公務員・定一。山に隠れて、あることないことを吹聴し、村人を嘲弄し始めた。定一は神隠しにあったのか、それとも死んでしまっているのか……。嬉才野村を舞台に、神秘と幻想美あふれる土俗世界を描いた、珠玉の短編小説集。 -
逃げろ。
地球に巨大な隕石が落ちてくる――。 救いのないニュースで、人間たちはパニックに陥った。街が狂気の渦に飲み込まれる中、僕はひとまず会社へ出勤してみる。しかし、そこで待ち受けていたのは、閑散としたオフィスと、血まみれの死体だった……。 明日をも知れぬ恐怖で次第に歪んでいく日常を潜りぬけ、僕は逃げる。途中で出会った、殺人犯の老人や、ひきこもりの無口な少女とともに、僕は逃げる。 空に光る隕石から。 そして避けられない運命から。
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