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北の夏、海辺の街で男はバラックにすむ女に出会った。二人がひきうけなければならない試練とは―にがさと痛みの彼方に生の輝きをみつめつづけながら生き急いだ作家・佐藤泰志がのこした唯一の長篇小説にして代表作。青春の夢と残酷を結晶させた伝説的名作が二〇年をへて甦る。
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Posted by ブクログ
やるせない、すくいようがないようでいながら不思議と清貧的なさわやかさがある小説だった。しっとりと読み応えのある小説らしい小説だった。 特に第二部「滴る陽のしずくにも」のほうがよかった。それはたぶん、気だるく無頼に生きていた達夫が、結婚し子どもをもってそれなりに生きている様子が描かれていたから。独り身...続きを読むが好き勝手に生きることなど簡単で、結婚したりして守るものができても守りながら自分を捨てずに生きている達夫の姿がよかった。 義弟の拓児を介して出会った松本と達夫のやりとりがなおよかった。どちらも世のなかがどういうものかを感覚的に知っている男どうしという感じで。そう、男のなかには若いうちから実体験がなくても、自分をしっかりもちながら感覚的に世のなかとうまく折り合いをつけていける人がいるものだ。
海岸沿いの北方の小さな街での孤独な男が百円ライターがきっかけで出会う貧困と堕落した家族との物語 この小説は2部構成になっており1部は造船会社でリストラに会って間もない孤独で無職の達夫と貧乏暮らしでバラック小屋に住んでいる拓児と姉千夏と母親、痴呆の父親の4人家族に出会って何故かこの家族に惹かれてゆく...続きを読む達夫、特に娼婦である千夏に愛情を抱き初める、千夏は離婚暦があり夜の仕事で疲れ果て家族だけの為に生きていると割り切っているが達夫の事が気になり始める。 そんな二人の心からの遣り取りが夏の海岸と相まって実に鮮やかに描かれている。まさに”そこのみにて輝く”のは社会的にはちっぽけな存在である千夏と達夫の小さな愛です。 2部では二人が結婚しつつましくも暖かい家族を築いてゆく、弟拓児にも慕われ、平和で単調な生活にある時から達夫は水晶を掘る山仕事に興味を持ち始める。 有名な作家ではありませんが、この小説は人と人の出会い、心の深層にあるもの、その描写が実に鮮明で輝いている。登場人物や背景に読者をぐっと惹きつける魅力が有ります。
作家が表現したいことがどんなにいびつなものでも、情理を尽くして語ることで、小説を小説たらしめることができるのだなぁ、と思う。 主人公のスカシ具合とか、読みづらい短文の連続とか、世界のとらえ方は私の知っている世界とは違うが、この小説には読ませる何かがある。 それが何かが言えないところが、小説を小説たら...続きを読むしめているものの証明だと思う。 これこれ、これが良いのよ、みたいなものが言えてしまうというのは、かえって小説らしさから遠ざかると思う。 ゆえに、この小説は、実に、小説らしい、小説の存在意義の塊、みたいな小説だと思う。
海炭市叙景で感じた文体の瑞々しさとは、 また少し違った眩さ溢れる作品。 一文の短さや、 出来事の始まりを回想で蘇らせることで、 特別な瞬間として装飾する方法や、 限りなく内的な移り変わりなはずなのに、 景色で語られるその心情やらが、 すべて抑制的なのに、 夏の光、冬の光、 生々しい底に? もしくは...続きを読む底から? 薄くても差し込むその光が、 闇を浮かび上がらせながらも、 やはりその先の希望を影絵のように映し出す。 日常性と、非日常性。 安定性と、不安定性。 固定と、流動。 光と、闇。 そのなかに漂い続ける、 あなたと、わたし。 出会いに堕ちていくような一瞬が放つ、 潮の香りと波音に、 人間の本質を見る。 ずっと、薄い日差しのもと、 浜辺にいるようなのだ。
纏わりつくような閉塞感と退廃的な空気を感じるのに、不思議と嫌な感じは受けなかった。そこにしか行き場がなかった人達が、そこで家族を作る。 その気になれば、町を出ていくこともできたかもしれないのに。 外に光を求めずに、自らの中に光を見いだしたかったのか、そうせざるを得なかったのか。生きることのひたむきさ...続きを読むを感じた。 2章での、とどまることを選んでも尚、新しいものを渇望し、揺れ動いている達夫の人間臭さも好きだった。
始めは文体に馴染めなく読み進めるのに苦労したが、段々と焦点があってくる感じがあり、半分くらいから最後までは一気に読めた。慣れるとこの文体が心地よかった。終始ヒリついた内容だったけど、嫌いじゃない。水々しい生々しい表現が非常に良い。嫌いじゃないけど嫌いな人もいるだろうな。オーバーフェンスもきみの鳥はう...続きを読むたえるも映画は見たので原作を読んでみようとおもった。
「とっつきにくい文章だなあ」というのが最初の印象。“文章が重い”とでも言えばいいか。 しかし、読んでいるうち、慣れてくる。 徐々に、心地よい温度に感じられてくる。 決して個性のある文章、文体ではないが、情景描写が徹底されている。いや、風景描写といったほうが相応しいかもしれない。絵を見せるような描写...続きを読むである。 この土地への作者の強い思いが、ここに表れていると思った。 私にとっては、魅力的な人物は出てこなかった。ある程度小説を読んでいる人なら、みたことのあるような登場人物たちである。 しかし、そんな人物同士が出逢ったときに生まれる物語は随一である。 人ではない、人と人の出逢の物語を書いている。 最後に。 松本の元妻は、特に登場させる必要はなかったんじゃないか。何か意図があったのだろうか。ちょっとわからなかった。
好きな世界だ。ヒリヒリする感じがいい。 映画も公開当時観たが映画の方がリアリティがあってよかったな。 佐藤泰志は好きな作家だ。
10年近く前に映画を観て、ずいぶん暗くて行き場の無い街と人々だな、と感じた。函館行きを前に佐藤泰志「海炭市叙景」を読み返したのに続き、こちらも読んだ。映画の物語は忘れていて千夏が魅力的だったことだけ覚えてる。小説の中でもおんなじだ。炭鉱、造船所、歓楽街、競輪場、刑務所、と楽しみにしている函館旅行がま...続きを読むすます魅力的になるキーワードであふれているな。そんな情景を描くのが上手だし、さらに後半の松本に惹きつけられることに驚く。ほんの少しの描写で松本(および元妻)を魅力的に際立たさせる、相当の筆力だよ。もっと早く評価されるべき作家だったな。残念。
映画を先に見たので、登場人物全員に演者さんたちを重ねて読んでしまったのが、惜しかったなあと思った こういうのって本と映画どちらが先がいいのだろう、、 それでもやはり、千夏は魅力的な女性だと思う
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移動動物園
試し読み
黄金の服
大きなハードルと小さなハードル
海炭市叙景
きみの鳥はうたえる
鳩
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