歴史・時代小説作品一覧

  • 秋山久蔵御用控 夕涼み
    3.0
    十年前、貧乏当人の娘と所帯を持とうとして勘当され、出奔した袋物問屋の若旦那が、江戸に戻ってきているらしい。隠居した父親は勘当したことを悔い、弥平次に息子を捜すよう依頼した。同じ頃、袋物問屋を窺っている男たちの姿があった。若旦那と何か拘わりがあるのか……。 好評シリーズ第27弾!
  • 反逆(上)
    4.0
    1度でもいい。上さまの……あの顔に……怯えの影を見たい――己れの力に寸分の疑いをもたぬ信長の自信、神をも畏れぬ信長への憎しみ、恐れ、コンプレックス、嫉妬、そして強い執着……村重、光秀、秀吉の心に揺らめく反逆の光を、克明に追う。強き者に翻弄される弱き者たちの論理と心理を描ききった歴史大作。
  • でんでら国 上
    4.5
    姥捨山のその奥に老人達の桃源郷があった。  この時代小説がすごい2016年版(宝島社)にランクイン!細谷正充・著『歴史・時代小説の快楽 読まなきゃ死ねない全100作ガイド』(河出書房新社)に掲載。各方面で話題の時代小説が、いよいよ待望の文庫化!  時は幕末、陸奥国八戸藩と南部藩に挟まれた小さな国、外館藩西根通太平村。大平村には、60歳になると村での役割を全て解かれ、御山参りをする習わしがあった。それは、食い扶持を減らすための姥捨ての旅とも囁かれていた。しかし、その実態は・・・・・・?  山に捨てられた老人達が、理想の村を作って生活を営む、そんな国を暴こうとする代官とそれを守ろうとする農民たちの攻防戦。意外な結末が、愉快痛快!現代の高齢化社会の問題を解決するヒントが盛りだくさん。
  • 朝日文庫時代小説アンソロジー 母ごころ
    -
    絵師の千鶴は、駿河屋惣兵衛の依頼で妾お仙の亡くなった母の似絵を描くことに。目の前にいない人を描くのは初めてで、千鶴はお仙に母のことを尋ねるが……(永井紗耶子「母の顔」)。第一線の女性作家らが「母」をテーマに織りなす珠玉の6編。文庫オリジナル。
  • 入り婿侍商い帖 関宿御用達(三)
    4.0
    家禄三百五十石の旗本家の次男だった角次郎は、米屋の大黒屋に婿入りした。関宿藩の御用達となり、新米番船で2番に入った大黒屋の商いは順調にみえた。ところが店舗拡大を考え始めた矢先、本所深川一帯で大火事が起こり、大黒屋の店舗も焼失してしまう。散りぢりになった家族や従業員は無事だった倉庫に再集結するが、義母・おトクは帰ってこない。取り乱す義父・善兵衛を気遣いつつ、角次郎は商い再開に向けて動き出すが……。
  • 北の武士たち・狼奉行 傑作時代小説集
    -
    自害の恐れがある代官の嫡男・孫四郎を預かった左金吾。領内に現れた盗賊の討伐に向かう夜、孫四郎が姿を消し――(「赤い米」)。羽州上山藩の僻地に赴任した靱負は、病を運ぶ狼と藩の陰謀に立ち向かう(直木賞受賞作「狼奉行」)。山形在住の直木賞作家が、北の武士の哀楽を活写する短篇集。書き下ろし二篇を収録した、文庫オリジナル編集。
  • 戦端 武商繚乱記(一)
    3.5
    大坂・東町奉行所の同心、山中小鹿(やまなか・ころく)は、上役の筆頭与力・和田山の娘をわけがあることを 承知で娶ったにもかかわらず、裏切られてしまう。妻の不貞を許せなかった小鹿は、 義父の和田山に妻を公然と突っ返すという方法に及ぶ。これが原因で、東町奉行所内では、 同僚たちからも距離を置かれて居心地がよくない日々を過ごしていた。 鬱憤をはらそうと大坂の遊郭に足を向けたものの、なぜか客引きをされない。 理由は、大商家が「総揚げ」すべての見世を貸し切っていたからだ。 その商家の名は、淀屋。西国三十藩以上の年貢米を大坂へ廻送、売る権利を持ち、莫大な富を得ていた。 淀屋に借金をする大名もあらわれ、参勤交代の折には淀屋に寄って挨拶をするほどの力関係に至る。 幕府も忸怩たる思いで、ついに時の老中首座・土屋相模守が手を打つことに。 一介の同心・小鹿は、商魂たくましい上方の豪商と武士の沽券をかけた争乱に巻き込まれていく。 吉川英治文庫賞受賞作家が送る新機軸の書下ろし時代小説、堂々開幕!
  • 殿様失格 追放大名、江戸にて無双す!
    -
    浅草花川戸の船宿に居候している謎の侍・新之助…… なにやらいわくありげで、さる旗本の若殿であったが廃嫡され、市井にくだってきたという触れ込み。それが本当ならばとんだ無能だが、本人はどこ吹く風のご様子。着流しで唄を口ずさみながら、ふらふらと日々を暮らしていた。 だがこの男、じつは旗本どころではなく、九州肥前の大名・宇治島家の若さまで、御家騒動を嫌い、武家社会を飛びだした変わり者であった。 ようやく本領発揮とばかりに、新之助はあらたな地……江戸の町場で自由気ままな悪党退治へと乗りだす。そんな新之助の風格や人柄、そして無類の強さに触れ、次々と新たな仲間が集いだすのだが……。 破天荒な時代シリーズ・第一弾!
  • 伊能忠敬
    4.0
    緯度一度の正確な長さを知りたい。五十五歳、すでに家督を譲った隠居後に、奥州・蝦夷地への測量の旅に向かう。艱難辛苦にも屈せず、初めて日本の正確な地図を作成した晩熟の男の生涯を描く歴史小説。
  • 悲願千人斬 上下合本版
    値引きあり
    -
    悲悲運の若君太郎頼秀。斎藤道三に滅ぼされた土岐頼芸の遺児。稲葉山城で首を刎ねられる寸前の太郎を救い出したのは、名僧の誉れ高い白雲上人と、異腹の弟ながら上人と瓜二つの土佐青九郎。主家再興を企てる兄弟は、太郎を護りながら、日根野備中守の執拗な追及を躱す。善玉悪玉入り乱れる人物群像の鮮やかさと奔放な空想力。戦国動乱期の美濃を背景に、華麗な乱世絵図を骨太に描く伝奇小説の白眉! 夜な夜な、稲葉山城下に出没して、天誅の刃をふるう異形の武士二人。一人は般若の仮面を被り、もう一人は天狗の仮面。土岐氏再興の柱と頼む太郎頼秀を毒殺され、復讐の鬼と化した白雲上人と土佐青九郎は、千人斬の悲願を胸に、城下に血の雨をふらす。古今絶無と評されたタイトルの見事な残酷さ。「キング」創刊号から連載され、吉川英治『剣難女難』と人気を二分した波瀾万丈の伝奇巨篇、ここに完結。
  • 秋山久蔵御用控 冬の椿
    4.0
    同心の和馬は町中で、かつて秋山久蔵が斬り棄てた浪人の妻と娘を見かけた。ふたりは穏やかそうに暮らしていたが、なぜか大店の内儀が探りを入れていた。不審を抱いた和馬は、久蔵の許しを得て母と娘を見守ることにした。やがて、娘が博打打にさらわれかけるという事件が起きる。大店の内儀と母娘にはどんな関係があるのか。久蔵は過去を探ること……。 好評シリーズ第26弾!
  • 魔界転生 下 山田風太郎ベストコレクション
    4.4
    紀州藩で密やかに進行する陰謀と転生衆の存在を知った十兵衛。孤剣を抱き、魔人と化したかつての剣豪たちと対峙していくが、ついに最強の敵が立ちはだかる! 十兵衛は仲間を守れるのか。手に汗握る死闘の果てとは!
  • 本多忠勝
    4.0
    幼き頃より槍術を叩き込まれ、徳川家康に仕えたのちは 大鹿角脇立の兜に大数珠を袈裟懸けにかけた姿で戦場を疾駆。 名槍・蜻蛉切を操り圧倒的武勇を誇った本多平八郎忠勝。 岡崎時代、姉川、小牧・長久手、関ヶ原など家康の天下取り の戦いにはいつでも獅子奮迅の激闘をみせる忠勝がいた。 義に篤く、情に深い徳川四天王の剛将の生涯を描く長編 歴史小説。◆文庫書き下ろし◆

    試し読み

    フォロー
  • 夜叉の涙 風烈廻り与力・青柳剣一郎[40] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.5
    その顔を見た者はいない――。一家皆殺しの残忍な押込みを働く『鬼夜叉』一味の犯行を阻止した風烈廻り与力青柳剣一郎。だが、恨みを抱いた一味が放った凄腕の刺客から不意の襲撃を受ける! 剣一郎のおかげで難を逃れた木綿問屋『戸倉屋』も、悪所通いにより勘当された長男浪太郎に言葉巧みに近付く輩が…。『鬼夜叉』と剣一郎の、父と子の、因縁が絡む戦いの行方は!?
  • 秋山久蔵御用控 傀儡師(くぐつし)
    3.5
    「町奉行所の役人は、お奉行の為に働いてるんじゃあねえ。八百八町で真面目に暮らしている庶民の為に働いているんだ」。剃刀と呼ばれ、悪党を震え上がらせる、南町奉行所吟味方与力の活躍を描く“秋山久蔵シリーズ”。日本橋で虚ろな眼をして刀を振り回す浪人。しかし人々を襲った男はその記憶が全くないという。蠢く“傀儡師”の正体とは?多彩な脇役も魅力です。 好評シリーズ第14弾!
  • 秋山久蔵御用控 口封じ
    3.3
    「相手は薄汚ねえ盗賊だ。情け容赦は無用だぜ」。江戸の悪を“剃刀久蔵”が斬る!  錺職(かざりしょく)の男が鎌倉河岸で死体となって浮かんだ。北町奉行所の調べでは溺死と判断されたが、頭には殴られた跡があり、客ともめていたのを見た者がいた。客が注文したのは丸に揚羽の蝶の銀簪。男の女房に真相究明をたくされた久蔵は、”丸に揚羽蝶”の家紋を手がかりに、背後に蠢く悪に迫る。久蔵の、心形刀流が炸裂する! 三編の読切り時代小説を収録。 好評シリーズ第13弾!
  • 猫は心配症
    5.0
    ますます快調! 化け猫まるとその仲間たち 有能すぎる与力が就任。おネエ同心・中村さまの首が危ない? そんなさなかに大事件が起きて…。大人気「猫は――」シリーズ第3弾。
  • お江戸薬膳出前帖 さいわい飯
    NEW
    -
    風評被害に襲われた「旬屋」 危機を救ったのは-- 医師でありながら薬膳料理にも通じ、人々の健康と幸せを願う幸庵。 父親から受け継いだ店「旬屋」も軌道に乗って順風満帆だったが、出前先の問屋のあるじが急死する。 幸庵を逆恨みした息子によって旬屋は風評被害に襲われる。思わぬ試練で、沈む幸庵を支えたのは助手おみかだった。 二人の絆は深まり、やがてかけがえのない存在となっていく。
  • 軍師 官兵衛(上)
    3.5
    謀将・黒田官兵衛は秀吉に賭けた!! あふれんばかりの知謀を持つ男は、田舎大名の家臣に甘んじはしない。――播磨の田舎大名の家臣にすぎなかった男・黒田官兵衛。天下布武をめざす織田信長の下に伺候(しこう)した彼は、二人の類まれな大名に出会う。一人は誇り高き武人・荒木村重、もう一人は才気あふれる苦労人・羽柴秀吉。官兵衛はみずからの運命を切り拓くべく、秀吉のためにその脳髄を絞りつくす……。<上下巻・『乱世が好き』改題作品>
  • 天正十年夏ノ記
    4.0
    天正年間――信長は天下統一をめざし、将軍・義昭、武田信玄、上杉謙信、顕如上人らとの戦いに、勝利を続ける。天皇を凌ぐ神の座に就こうとする征服者との交渉役をつとめた正親町(おおぎまち)天皇の秘書官・勧修寺晴豊。この青年貴族の目を通して、未曾有の動乱期をしたたかに生き抜いた天皇と公家たちを描く、渾身の歴史小説。信長上洛! 青年公家が見続けた征服者の貌(かお)。
  • 海狼伝
    3.9
    【第97回(1987年)直木賞受賞作】 ときは戦国。海と船への憧れを抱いて対馬で育った少年笛太郎は、航海中、瀬戸内海を根城とする村上水軍の海賊衆に捕まり、その手下となって、やがて“海の狼”へと成長していく。日本の海賊の生態をいきいきと描いた、夢とロマンが香る海洋冒険時代小説の最高傑作。「海を舞台にした小説は外国には多い。海洋冒険小説という一つのジャンルが確立しているほどである。四面環海の日本にそれがないというのは、ふしぎな現象だ。(略)日本の海洋小説の一里塚を築けたとすれば、私としては本当にうれしい」(「著者のことば」より)
  • 冬波 風烈廻り与力・青柳剣一郎[22] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.0
    霙舞い落ちる冬の夜更け。金貸しの使用人・多助が主の善兵衛を殺し、人質を楯に立て籠もった挙げ句、自殺した。騒ぎは落着したと思われたが、見習い与力として出役した青柳剣之助は疑念を覚える。使命感を燃やし、密かな探索の末に辿り着いたのは、非情なる真実だった…。戸惑い迷う伜を見つめる剣一郎が、父として、"青痣与力"として、取った意外な行動とは?
  • 悪だくみ 斬! 江戸の用心棒
    -
    すっかり江戸暮らしに慣れた真十郎は剣の腕を活かすため、商家の主の不在時に留守番を行う家守屋という商売を始めた。一方で口入屋の玉緒からの用心棒の依頼もこなしていくが、彼女との関係だけは上手く回らず……。書き下ろしシリーズ第五弾。
  • へっつい河岸恩情番屋 夏初月の雨
    -
    能勢伝七郎は、江戸城内で奥祐筆を務めた旗本。優しさゆえ城内の出世競争から降り、それがため屋敷内でも家人から疎外されて身の置き所がなかった。 一切を打ち捨てて隠居したいと思っていた折、町名主を務める幼馴染みから自身番の書役を探しているという話を聞き、家督を倅・伝之助に譲って日本橋難波町の番屋に勤めることになる。 市井でのんびり暮らせると思っていた伝七郎だが、自身番には町の厄介事が次々に持ち込まれる。酔っ払いの子どもの保護から、年頃の息子の素行調査、行方不明の父親探し、そして殺しまで……。 素性は隠してもなぜか皆に頼りにされる伝七郎が、知恵と情けで解決する。へっつい河岸にある、人呼んで「恩情番屋」の傑作捕物帳、第一弾。
  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録
    3.7
    関東の覇者、小田原・北条氏に生まれ、上杉謙信の養子となってその後継と目された三郎景虎。越相同盟による関東の平和を願うも、苛酷な運命が待ち受ける。己の理想に生きた悲劇の武将を描く歴史長編。
  • 喜連川の風 江戸出府
    3.8
    石高はわずか五千石だが、家格は十万石。日本一小さな大名家が治める喜連川藩では、名家ゆえの騒動が次々に巻き起こる。家格と藩を守るため、藩の中間管理職にして唯心一刀流の達人・天野一角が奔走する!
  • 霧に棲む鬼 風烈廻り与力・青柳剣一郎[38] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.5
    口入屋『宝生屋』番頭の久次郎と町火消し吾平の惨殺体が立て続けに見つかった。風烈廻り与力・青柳剣一郎は手口の残忍さから同一犯と断定。宝生屋・主の与五郎が二人と博打仲間だったと知り遺恨を疑うも、与五郎は身に覚えがないと言う。だが与五郎も謎の刺客に襲われ、15年前の悲惨な事件が浮上する…。哀しみの果てに己を捨てた復讐鬼を、剣一郎はどう裁く。
  • 砂の守り 風烈廻り与力・青柳剣一郎[34] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.0
    鮮やかな斬り口だった。矢先稲荷脇で発見された死体を検死した青柳剣一郎は剣客による犯行と判断。三月前の刃傷事件と絡め、連続殺人を疑い探索を始める。浮上したのは同じ頃に一刀流仁村道場の師範代を辞め、姿を晦ました神村左近という男だった。一方、その道場の門弟高岡弥之助は事件当日、現場付近で左近を目撃、独自に追っていたが、第三の死体が発見され…。
  • 善の焔 風烈廻り与力・青柳剣一郎[32] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.0
    強風吹き荒れる大伝馬町で、火の手が上がった。青柳剣一郎たち風烈廻りの働きで小火に済むが、数日後、今度は通旅籠町で付け火未遂が起きる。しかも、犯人を目撃した男が刺された。当夜の風向きからすると、狙いは牢屋敷の解き放ちか!? 死罪で入牢中の5人と関係の深い者を探る剣一郎。やがて、事件の真相が人の心に棲む“善と悪の奥深さ”にあると気付くが…。
  • 照れ降れ長屋風聞帖 : 1 大江戸人情小太刀 〈新装版〉
    3.3
    1~18巻550~748円 (税込)
    日本橋魚河岸と背中合わせの、履物屋と傘屋がひしめく照降町。九尺二間の貧乏長屋に仲人稼業のおまつ、連れ子のおすずと肩寄せ合って暮らす浅間三左衛門は一見冴えない痩せ浪人だが、元は上州七日市藩士、しかも富田流小太刀の遣い手だ。己も素寒貧なのに困った者を放っておけず、今日もおまつに尻を叩かれ、筋を通して一肌脱ぐ。江戸の四季を巧みに織り交ぜ、人の情けと男女の機微をたっぷり描く名手・坂岡真の代表シリーズ、堂々の新装版第一弾!
  • おとっつあん 八丁堀赤鬼忠孝譚
    4.0
    因縁をつけられて父親を無為に殺された高井伊八郎は、加護藩からひとり、江戸に仇討ちに出てきていた。憎き仇の名は、竜崎又右衛門。長らく仇を見つけられぬまま、行き倒れた伊八郎が助けられ意識を取り戻すと、そこは多くの恵まれない生い立ちの子どもを引き取って育てている、忠孝園という施設だった。そして、忠孝園を運営する有徳の士・祐源は、話に聞いていた父の敵、又右衛門と面影がそっくりだった――果たして、祐源の正体は善人の面をかぶった極悪人なのか? 自分が祐源を斬ったら、遺された子どもたちはどうなる??様々な黒い噂も耳に入り、伊八郎は真実を突き止めるべく、祐源に近づこうとするのだが―― さまざまな人生模様が交差する人情時代ミステリ!
  • 離れ簪 風烈廻り与力・青柳剣一郎[37] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.7
    足袋問屋『山形屋』への婿入りを次男から切望され、鼻緒問屋『能代屋』の主は悩んでいた。相手は美人だが、高額の持参金、趣味三昧、病死した婿は毒殺だった、と黒い噂ばかり。真相究明を頼まれた青柳剣一郎は、仲人や検視した同心を尋ね歩くが、前夫の死因は揺るがない。そう結果を報告するも、次男が婿入りした直後に事件が! 奥深い男女の闇を剣一郎が斬る。
  • 人待ち月 風烈廻り与力・青柳剣一郎[28] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.5
    二十六夜待ちの晩、高級料理屋『松風』の看板娘おゆきが姿を消した。女将は遊び人の冬吉と駆け落ちしたと決めつけるが、青柳剣一郎は女将の頑なな態度に不審を抱く。おゆきの妹おしゅんも、そんな相手はいないと証言。数日後、大川に冬吉が無惨な姿で浮かび…。二人の身に一体何が? おゆきの安否は? 妹の想いを背負う剣一郎が、隠された真実を炙り出す!
  • 美の翳 風烈廻り与力・青柳剣一郎[33] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.7
    太物店『山形屋』の主は、店に置き忘れられた三十両の持主探しに嫌気がさしていた。貼紙をしても現われるのは偽者ばかり。ついに本人かと安堵するも、受け取りに来たのは代理の男だった。それでも主は男を信用するが、話を聞いた青柳剣一郎はあまりの大金と都合のよい話に不審を抱く。しかし、男はすでに行方をくらましていた。同じ頃、掏摸の死体が発見され…。
  • まよい雪 風烈廻り与力・青柳剣一郎[29] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.7
    佐渡から江戸へと帰り着いた鉄次と弥八。鉄次は水替人足として酷使されるなか、唯一の支えが許嫁のおきみだった。だが、苦界に沈んだと知らされ、身請金のため押込み一味に。一方、弥八も親友のため、ある企みに加担しようとしていた。弥八はかつての恩人青柳剣一郎を頼るべきか悩むが…。大切な人のため、悪に染まろうとする二人。剣一郎の救いは間に合うのか?
  • 南町 番外同心1 名無しの手練
    3.0
    名奉行の根岸肥前守と出自不詳の拳法同心は江戸の悪を許さない! 旅の若き僧が大川端で倒れ、経文と拳法の他は記憶喪失。 それがなぜ名奉行の下に? 御三卿清水家に秘められた開かずの間の謎とは? 名奉行根岸肥前守の下、名無しの凄腕拳法番外同心誕生の発端は、御三卿清水徳川家の開かずの間から始まった。そこから聞こえる物の怪の経文を耳にした菊千代(将軍家斉の七男)は、物の怪退治の侍多数を拳のみで倒す手練の技に魅了され教えを乞うた。願いを知った松平定信は、『耳嚢』なる著作で物の怪にも詳しい名奉行の根岸に、その手練との仲介を頼むと約した。
  • 夏炎 風烈廻り与力・青柳剣一郎[20] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.3
    うだるような残暑の中、俄に起こった大火。自分を裏切り大店へ嫁いだおちかを殺そうとして捕らわれていた峰吉は、一時的に解き放たれる。おちかへの未練に苦しみつつも、羅宇屋の老人・徳三に諭され、生きる望みを取り戻した矢先、次々と罠が…。さらに、行動を共にしていた吉松も謎の死を遂げる。弱き者を陥れる、真の悪の正体とは? 青柳剣一郎、執念の探索行!
  • 黒猿 風烈廻り与力・青柳剣一郎[25] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.0
    神田岩本町一帯が燃えた。火元は古着屋の増田屋。店の金を盗んだ容疑で捕らえられた下男伝助が解き放たれた夜の出来事だった。火盗改めが火付け犯として伝助捕縛に向かうなか、当日その姿を見かけた青柳剣一郎は伝助が犯人ではないと確信する。ところが、伝助はその日から姿を消していたのだった…やがて紅蓮の炎に隠された陰謀を、剣一郎が快刀乱麻に暴き出す!
  • 袈裟斬り 風烈廻り与力・青柳剣一郎[16] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.0
    蝋燭を手に二階家に立て籠もった男。周囲の住人は火事を恐れて騒然となった。しかし平井大二郎と名乗る旗本が、隙を衝いて男を袈裟懸けに斬り捨て、騒ぎは落着する。平井は一躍英雄と称えられるが、一部始終を目撃した青柳剣一郎は、平井の挙動に言いしれぬ不気味さを覚えていた。探索の末、炙り出された騒ぎの真相と平井の過去。剣一郎は罪なき人々を救えるか!?
  • 白牙 風烈廻り与力・青柳剣一郎[24] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.0
    凍てつく冬、蝋燭問屋殺しで、腹違いの弟・忠助が捕らわれる。番頭らの話から日頃の冷遇を恨んでの凶行と思われた。だが事件の夜、外で忠助を見たという大工は証言を翻した挙げ句、不審死を遂げる。忠助の無実を確信し、黒幕を炙り出すべく大胆な罠を張る青柳剣一郎。驚くべき奸計が顕わになる時、敵は牙をむいた! 青柳父子は真に守るべき者を守りきれるのか!?
  • かぶき平八郎荒事始 残月二段斬り
    -
    時代小説に新風! 元幕臣の豊島平八郎、溝口派一刀流の凄腕で市川團十郎の殺陣師に。 新御番役勤め二百石の幕臣・豊島平八郎は、大奥大年寄の姉絵島が巻きこまれた「絵島生島事件」により重追放の罪を得て会津に逃れ、八年ぶりに赦免されて江戸に戻った。事件の真相を探るうち、八代将軍吉宗らの巨大な陰謀が見えてくる。溝口派一刀流の凄腕を買われて二代目市川團十郎の殺陣師となった平八郎は……。
  • 完本 二十六夜待
    -
    罪を追う者、背負う者。 後ろ暗い過去を抱えて市井に隠れ住む人々と 使命に生きる岡っ引きの、 ほろ苦く温かい七つの物語。 七月二十六日の夜、岡っ引きの市兵衛は、人気のない神社で話し込む二人の男を見つめていた。鉋職人の勘助と紙屑買いの十蔵だ。 久方ぶりの再会を果たす二人だが、市兵衛には、その縁を断ち切らねばならない理由がある。十六年前、ある太物商で起きた火事に二人は関わっていた。 事件は、勘助が抱える亡き妻や一人娘に言えなかった秘密に繋がっており……。(「二十六夜待」) じんわり沁みてほろっと泣ける人情捕物帳! ※本書は『二十六夜待』に著者が加筆・修正を施した「完本」です
  • 日本史の叛逆者 私説・壬申の乱
    3.8
    父を異にする二人の皇子、中大兄皇子と大海人皇子。両者の間の確執は、やがて、古代史上最大の争乱といわれる壬申の乱となって火を吹き上げた――。二人は何故そこまで憎み合わなければならなかったのか? 大海人皇子の妻・額田王はどうして中大兄皇子に娶られなければならなかったのか? 大海人皇子の実父はいったい何者であったのか? 数多くの謎を秘めた壬申の乱。その歴史の真相と、交錯する人間模様を、著者独自の視点から探り、リアルな筆致で描いた、新本格歴史小説!
  • 二刀流大名 立花丹後
    続巻入荷
    -
    大和奥鹿野藩藩主・立花丹後守達人は、齢二十八で柳生新陰流の凄腕剣士。 だが彼に魚を捌かせたら家中で右に出る者はない。立花丹後は刀と包丁の二刀流大名なのだ。姿盛りの美しさは思わずため息がもれるほどで、料理も美味いと藩内外で評判が高い。 一方、江戸市中で夜な夜な凶事が起きると聞き、丹後は藩士を夜廻りに出した。だがまた若い武士が一刀で斬られる。目的は何か⁈ なんとしてでも下手人を捕らえるべく、道場仲間の火盗改方長官とともに、丹後も夜廻りに加わる。不気味な念仏と、闇夜に響く面妖な笑い。そこにはおぞましき謀が隠されていた――。 二刀流大名は町の安寧を取り戻せるか!?気迫る戦いと美味しい料理に魅了される時代小説!
  • 詫び状 風烈廻り与力・青柳剣一郎[14] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.8
    屋根上に潜む黒い影。見回りの途中、風烈廻りの青柳剣一郎は押し込みの一味を発見するが、邪魔が入り取り逃がす。その追尾中に剣一郎は、御家人飯尾吉太郎に出くわした。押し込みに飯尾の関与を疑う剣一郎だが…。そんな中、駆け落ちし出羽の国酒田に逃れていた倅の剣之助から文が届く。そこには、押し込み一味の驚くべき事実が!? ますます見逃せない新展開!
  • 最後の将軍 徳川慶喜
    4.3
    ペリー来航以来、開国か攘夷か、佐幕か倒幕かをめぐって、朝野は最悪の政治的混乱に陥ってゆく。 文久二年、将軍後見職として華々しく政界に登場した、のちの十五代将軍徳川慶喜は、優れた行動力と明晰な頭脳をもって、敵味方から恐れと期待を一身に受けながら、抗しがたい時勢にみずから幕府を葬り去った。 さまざまなエピソードを連ねて描かれる、“最後の将軍”の生涯。 解説・向井敏
  • 恋の川、春の町 江戸戯作者事情
    3.5
    駿河小島藩に仕える倉橋寿平には、もう一つの顔がある。「恋川春町」の名前で滑稽本を執筆する江戸で人気の戯作者だったのだ。浮世を楽しむため、さまざまな女性のもとを渡り歩く春町のもとに、突如として幕府の大物・松平定信から呼び出しの文が届く。倹約を旨とする幕府の方針に、春町の著作はそぐわないと判断されたのだ――。戯作者の矜持を胸に、命がけの洒落で権力に挑んだ粋人の生涯を描く軽妙洒脱な時代小説。
  • 仕舞屋侍〈新装版〉
    4.0
    かつて御小人目付として剣と隠密探査の達人だった九十九九十郎(つくもくじゅうろう)。 だが後輩がお役目で命を落としたことを機に職を辞し、いまは町屋でもめ事の内済屋を営んでいる。 齢を経たからできる練れた交渉。見えてくる人の心の綾。 だが、その九十郎も驚くことがある。 ある日家に帰るとひとりの童女が「お帰りなさいませ」と膝をついた。 父母を亡くし、賄いとして雇って欲しいという。 童女は、断っても出て行かず、会津で料理人をしていた父に仕込まれた料理で九十郎を唸らせる。 そんなある日、九十郎は、不忍池の畔で追剥ぎに襲われて、斬り殺された山同心の妻・お照から依頼を受ける。 お照は、夫がたびたび夢に現れては無念だと訴えるのだと述べ、三十両を添えて、涙ながらに事件の真相解明を懇請するが…
  • 下天は夢か 一
    3.5
    群雄割拠する戦国の世に、尾張半国を斬り従えて頭角を現した父・織田信秀は、国主大名へと成り上がる野望を果たせず病没した。内外を敵に囲まれて跡目を継いだ信長は、内戦を勝ち抜き、ついに強敵・今川義元を桶狭間に討ち取ると、美濃攻略に取りかかる。天下への大きな一歩を踏み出そうとしていた…。革命児・織田信長の素顔に迫り、空前のブームを巻き起こした記念碑的大作。全4巻。
  • 正妻 慶喜と美賀子(上)
    4.3
    幕府と朝廷の関係にも動乱の機運が高まる十五代家慶の治世。一条家の美しき姫美賀子は、英邁の噂轟く一橋慶喜に嫁いだ。「わしはどんなことがあっても将軍になどならぬ」信念を曲げない夫の奇矯な振る舞いに翻弄される美賀子は、ある哀しい決意を抱く。幕末の新たな一面を描ききる、傑作大河小説を文庫化!
  • 風よ雲よ 上下合本版
    値引きあり
    -
    明朝末期のマカオ、美丈夫の野心家・鄭芝竜と、豊臣の遺臣・安福虎之助との運命の出会い。風雲児の生涯を描く壮大なロマンーー東に虎視眈々と機を窺う満洲族、西に流賊・李自成軍が迫る明朝末期、中国南部の港町・マカオで、二人の男が運命の出会いをした。美丈夫の野心家、生れながらの統領の器、鄭芝竜と、大坂落城時、脱出して蘇州の大商人の用心棒となった長身の浪人、安福虎之助である。壮絶な乱世に、南海制覇の野望に燃える男と、夢と生き甲斐を大陸に求めた男の人生の軌跡を描く、歴史長編。 『風よ雲よ(上)』『風よ雲よ(下)』上下巻合本版
  • 室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君
    4.1
    京と吉野に二人の帝が存在した、南北朝の時代。南朝の帝の妹宮・透子は、北朝に寝返った武士・楠木正儀を連れ戻すべく、乳母と二人きり、吉野から京へと乗り込む。京についたとたん人買いに攫われてしまった二人を救ってくれたのは、猿楽師の美少年・世阿弥と、透子たちの宿敵である足利義満で……。世間知らずの姫君が混迷する時代の中で見たものは。瑞々しい筆致で描く時代小説。
  • 沖田総司
    4.5
    慶応四年(一八六八)五月三十日夕刻、江戸・千駄ヶ谷の植木屋平五郎宅で、ひっそりと息を引きとった沖田総司。遺体はその夜ひそかに沖田家菩提寺の麻布専称寺に運ばれ、埋葬された。――五年前、近藤勇や土方歳三ら試衛館道場の仲間とともに幕府浪士組に加わって上京した総司。以来、新選組最強の剣士として、一番隊の先頭にはいつも総司の姿があった。血風吹きすさぶ京洛を剣とともに生き、新選組の落日とともに病に倒れた、心やさしき天才剣士の青春を鮮烈に描いた名作がいま甦る。
  • 恋歌
    4.3
    樋口一葉の師・中島歌子は、知られざる過去を抱えていた。幕末の江戸で商家の娘として育った歌子は、一途な恋を成就させ水戸の藩士に嫁ぐ。しかし、夫は尊王攘夷の急先鋒・天狗党の志士。やがて内乱が勃発すると、歌子ら妻子も逆賊として投獄される。幕末から明治へと駆け抜けた歌人を描く直木賞受賞作。
  • 東京新大橋雨中図〈新装版〉
    3.0
    第100回(1988年下半期)直木賞受賞作 明治初年の東京を舞台に、「最後の木版浮世絵師」となった 小林清親の半生を描く傑作時代小説。 失われつつある江戸の情景への愛惜、一世を風靡した「光線画」の凋落。 時代の激動に呑み込まれて沈みゆく人々と自身へのやるせなさを噛みしめる清親の、優しさゆえの苦悩と新時代へかける想いが交錯する。 「いかにも好もしい男」――解説・田辺聖子 単行本 1988年11月 新人物往来社刊 文庫版 1991年11月 文春文庫刊 文庫新装版 2025年1月 文春文庫刊 【この電子書籍は文春文庫新装版を底本としています。2022年11月に電子版配信を開始した同タイトル作の表紙を一新したものであり、作品内容に変更はありません。】
  • 猫は仕事人
    3.0
    春爛漫。江戸は本所深川で、三味線の音を聞きつつ駄猫ライフ満喫中の化け猫のまるに、町娘姉妹の悲話が降りかかってきた。悪い奴らに騙されて、骨までしゃぶられる人間たちを見て、「ゆるせない!」と仲間だった化け猫たちも立ち上がる。まるはもう裏の〈仕事人〉稼業はやめたはずだったけれど――。痛快シリーズ第1弾!
  • 絵島疑獄(上)
    -
    七代将軍家継の生母月光院に仕える、大奥大年寄絵島と、当代の人気役者生島新五郎のスキャンダルは事実無根、全くのデッチ上げ! 連坐者千五百名に及んだ一大疑獄事件を、正室派対側室派、保守対革新、尾州家対紀州家等々、幕閣内に渦まく派閥抗争と捉え、犠牲者絵島の人間像に迫る、杉本史眼が冴える長編。
  • 入り婿侍商い帖 関宿御用達(二)
    2.0
    旗本家次男の角次郎は縁あって米屋の大黒屋に入り婿した。米の値段が下がる中、仕入れた米を売るために、角次郎は新米を江戸に運ぶ速さを競う新米番船に参加する。妻と心を重ね家族一丸で米屋を繁盛させていく物語。
  • おせん
    4.1
    〔けころ〕とよばれる娼家から身請けされ、いまは囲われ者となっているおせんと、かつてのなじみ客でゆすりの罪で島流しにあった男の母親との心のふれあいを描いた表題作。それがその男の口ぐせとも知らず“不作の生大根”という罵言にかっとなり、思わず殺してしまった世間知らずの娘の、その後の人生を追った「三河屋お長」。ほかに「あいびき」「お千代」「梅屋のおしげ」など全13編収録。
  • 御宿かわせみ
    4.2
    江戸情緒をたたえた捕物帳でロングセラーとなった、人気シリーズの新装版の第一作。大川端にある小さな旅籠「かわせみ」。若き女主人るいは、元・同心の娘。都市を行きかう人びとがひと時のやすらぎを求めて投宿する。ときに、表沙汰にできない厄介ごとを胸に秘めて……。誘拐、詐欺、敵討ちなど、大小さまざまの事件に巻きこまれながら、るいは恋人の神林東吾と協力し、解決の途をさぐってゆく。数度にわたりテレビドラマ化され、話題をとった人情譚。
  • 風の忍び 一、風魔の六代目
    -
    徳川家康との約定により、影で江戸の鎮護を任される風間家。その実態は風魔一族を率いながら、無役の小普請組だった。だが平穏な江戸を打ち破る者が現れた。風間六代目の伊織が、江戸を護るために動き出す!
  • 新選組裏表録 地虫鳴く
    4.1
    走っても走ってもどこにもたどりつけないのか――。土方歳三や近藤勇、沖田総司ら光る才能を持つ新選組隊士がいる一方で、名も無き隊士たちがいる。独創的な思想もなく、弁舌の才も、剣の腕もない。時代の波に乗ることもできず、ただ流されていくだけの自分。陰と割り切って生きるべきなのか……。焦燥、挫折、失意、腹だたしさを抱えながら、光を求めて闇雲に走る男たちの心の葛藤、生きざまを描く。
  • 夜叉萬同心 親子坂
    5.0
    中越・永生藩の山村から、奇妙な男が江戸に送り込まれた。無垢な心を持ち、鷹のように一瞬に獲物に止めを刺す、森で育った忍びの者、西上幻影。北町奉行所の隠密廻り方同心・萬七蔵は相次ぐ豪商の不審死を調べるうち、ある腹黒い商人と永生藩国家老周辺との癒着に気づく。巻き込まれる誇り高い鷹、幻影の運命に、七蔵はどう立ち向かうか。傑作シリーズ第三弾。
  • 歴史作家の城めぐり――戦国の覇権を競った武将たちの夢のあと<特典付電子版>
    4.0
    【電子書籍特典11城追加版】 第一級の歴史作家が読み解く、関東甲信の隠れた名城46のガイド お城ブームを反映して、城に関する書籍が多数出版されている。安土桃山期以降の豪華絢爛な天守閣を擁する城を中心に取り上げた書籍もあれば、戦国期の軍事色が強い古城を扱った書籍まで百花繚乱である。 本書は、気鋭の歴史作家として注目される伊東潤氏が、これまでの多くの作品で舞台としてきた関東甲信の名城を紹介するもの。多くはこの地域の覇権を競った北条氏、武田氏、真田氏、徳川氏にまつわる城である。 単なる名城ガイドや探訪記ではなく、歴史作家である伊東氏が綴る各城にまつわる物語や縄張り(城の基本設計)の解説が本書の特徴。読めば必ず現地を訪れたくなるし、一度行った城でもまた行きたくなる。 特典付電子版は紙の書籍ではお伝えしきれなかった11城を新たに加えました。 この本は、ディープな城ファンや伊東潤ファンはもちろん、これから関東甲信の城めぐりを始めたい方々にもおすすめです。 【目次より】*特典付電子版のみ 序章 城の基礎知識 第1章 東京都(滝山城、石神井城、江戸城、*浄福寺城) 第2章 神奈川県(小田原城、玉縄城、津久井城、三崎城、*石垣山城、*小机城) 第3章 埼玉県(武州松山城、菅谷城、杉山城、*忍城、*岩付城) 第4章 千葉県(国府台城、佐倉城、臼井城、本佐倉城、*関宿城) 第5章 群馬県(岩櫃城、太田金山城、松井田城、沼田城) 第6章 栃木県(唐沢山城、祇園城、宇都宮城、*足利氏館) 第7章 茨城県(逆井城、額田城、小幡城、*石神城) 第8章 山梨県(新府城、躑躅ヶ崎館、岩殿城、*若神子城) 第9章 長野県(高遠城、上田城、大島城、旭山城、*戸石城) 第10章 静岡県(諏訪原城、下田城、興国寺城、丸子城、*田中城)
  • うぽっぽ同心十手綴り 病み蛍
    4.0
    妊婦が大八車に轢かれたという凶事を耳にした長尾勘兵衛。駆けつけた先で、自分に顔も姿も瓜ふたつの同心、占部と知り合う。瓜を買い占め、卸値を吊り上げている悪党どもがいると憤慨し「かならずや証拠をあげてみせる」と息巻く占部を、勘兵衛は応援したくなるが……。この世は理不尽だが“うぽっぽ”がいる! 傑作捕物帳シリーズ第六弾。
  • うぽっぽ同心十手綴り 藪雨
    4.3
    おででこでん、おででこでん。女だけで芝居を打つ「緒川佐保之丞」一座は大入り人気で江戸を騒がしていた。愛娘の綾乃が女役者の赤子を取り上げた縁があり、臨時廻り同心の長尾勘兵衛も足を運ぶ。しかし夕刻、大惨事が起こってしまう……。たかが“うぽっぽ”と侮るなかれ、怒らせたら手が付けられぬ鬼と化す――。傑作捕物帳シリーズ第五弾!
  • 帝都の用心棒 血刀数珠丸
    -
    刀を持たぬ剣術遣いと刀剣蒐集妖女との邂逅。 藤田五郎翁は刀を手にし、表に飛び出した。斬殺された男ふたりが道端に倒れている。 傍に立ち、血刀を提げた巨漢が唸り声を上げた。転瞬、ふたつの刃が火花を散らす。それも束の間、巨漢が隙を突き、姿を消した。 残された藤田が目にしたのは、亡骸の首元に彫られた蜘蛛の入墨、周囲に転がる数珠玉だった……。「立て続けに妖刀が出没して、人を斬っている」との噂を聞いた、東京帝国大学理学部教授の山川健次郎は、事件の真相を突き止めてほしいと、加能碧一と行成光雄に依頼した。 ふたりは、梁山泊屋敷と呼ばれる〔水城よろづ商会〕に出入りする用心棒コンビなのだ。刀を持たない剣術遣いの碧一と、二振の短刀と棒手裏剣を全身に仕込んでいる光雄は早速、刀剣蒐集家ウィルソンの邸へ赴いた。 ウィルソンが蔵で保管していた四谷正宗こと源清麿が血染めになっていたのだという。刀の装飾には蜘蛛が施されていたらしいが、前の事件を鑑みると、近頃一部の富裕層を取り込みつつある謎の組織〔蜘蛛の会〕を主宰し、人知を超えた力を使うと言われる妖女、多摩峰トワ子が関係しているのか? 剣光疾り、太刀風駆ける、書き下ろし大正ノワール日本刀アクション!
  • 子産(上)
    4.1
    信義なき世をいかに生きるか――春秋時代中期、小国鄭は晋と楚の二大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。二代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。
  • だましゑ歌麿
    4.2
    江戸の町を高波が襲った夜、当代の人気絵師・喜多川歌麿の恋女房が惨殺された。歌麿の幕府風刺を憎む上からの圧力に抗いつつ、事件の真相を追う南町奉行所の同心・仙波。仙波の前に、やがて明らかとなる黒幕の正体と、歌麿のもう一つの顔とは!? 時代はまさに「鬼平」こと長谷川平蔵が火附盗賊改(ひつけとうぞくあらため)の重職を担っていた当時で、鬼平もたっぷり登場します。浮世絵を愛する著者が、江戸の町が見えるように生き生きと語る、恋あり仁義ありの傑作時代ミステリー!
  • 猫は大泥棒
    4.0
    化け猫まるが難儀するコミカル短編集! 書き下ろし第2弾 近ごろ江戸にはやる「おネエ殺し」。おネエ同心中村は、事件解決に躍起になるが……。化け猫まるとその仲間たちが活躍する短編集。
  • 江戸彩り見立て帖 色にいでにけり
    3.8
    “色”で江戸の難題、解決します。 累計32万部突破「居酒屋ぜんや」シリーズの坂井希久子、 文庫オリジナル、新シリーズ始動! 江戸時代は、洗練された美意識と、繊細な色彩感覚が頂点に達した時代でした。 もしも、江戸にカラーコーディネーターがいたら……? お彩の父親は腕のいい摺師でしたが、火事で視力も、仕事場も失ってしまいます。 盲いた父の面倒を見ながら貧乏長屋で暮らしているお彩。 婚約者との縁談も流れ、粗末な木綿の着物に身を包んでいますが、お彩には、天性の鋭い色彩感覚があるのでした。 そこに目をつけたのが、謎の京男、右近。 一本気なお彩に邪険のされながらも、懲りずにまとわりつく右近は、お彩に次々と色に関する難題を持ち込みます。 そして、“江戸のカラーコーディネーター”、お彩の活躍が始まります! 着物や芸能にも詳しい坂井さんならではのエピソードや、 色や柄にまつわる知識も満載。 例えば鼠色だけでも、これだけ種類があるのか!と驚かされます。 ※ お彩はお蔦の顔と見比べながら、帳面をめくっていく。 白鼠、銀鼠、藤鼠、湊鼠、錆青磁、柳鼠──。(中略) 「あっ!」 唐突に、記憶の糸が張り詰めた。 一枚の錦絵がするすると、脳裏に引き出されてくる。(本文より) ※ 新作菓子の意匠から花魁の仕掛けの図案まで、豊かな色彩溢れる江戸のカラーコーディネーターとして活躍するお彩の人情物語。
  • 陳平 劉邦の命を六度救った「知謀の将」
    4.5
    項羽との覇権争いに勝った劉邦の下には、名軍師張良と並び称されるもう一人の「知謀の士」がいた――その名は陳平。貧しい家の生まれながら、天下に志を立てようと考えた彼は、初め項羽に仕えていた。しかし、ふとしたことで怒りを買い、誅殺されそうになる。そこで項羽を見限る決意をし、故郷から連れてきた若者とともに劉邦の下へ身を寄せる。劉邦との対面で策略を進言した陳平は、実力を高く評価され、やがてめきめきと頭角を表わすようになる。項羽と軍師の范増を離間させたり、項羽軍に包囲された城からの脱出劇を演じたり、まともに戦えば勝ち目のない韓信を、巡幸を装って捕えたりするなど、見事な「奇策」を展開し続けた。そして、結果的に劉邦の命を六度救う、劉邦軍になくてはならない軍師になるのだった。本書は、劉邦亡き後も、右丞相に昇って国家の重鎮となった陳平の波瀾に満ちた生涯を余すところなく活写した評伝小説である。

    試し読み

    フォロー
  • 蜩ノ記
    4.6
    命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか―。幽閉中の武士・戸田秋谷の気高く凄絶な覚悟と矜持を、九州豊後の穏やかな山間の風景の中に謳い上げる感涙の時代小説!平成23年度下半期・第146回直木賞受賞作!2014年、待望の映画化!
  • おやごころ
    4.0
    大好評「まんまこと」シリーズ第9弾。麻之助、ついに父に――! 前作でお和歌と婚礼をあげた麻之助。今作ではお和歌に男の子が生まれます。 お気楽者の麻之助もこれで少しはしゃっきりするだろうと、町の面々もほっとしてお祝いムード。 子どもの名前を考えながら、麻之助は今日も町の揉め事に立ち向かいます。 〈文庫解説〉 杉江松恋 たのまれごと  嫡男の悪行で家が滅ぶと愚痴る旗本だが、悪行は見当たらず…… こころのこり 大店から大事なものが失せるのは、ある芝居のせいだというが よめごりょう  妻のお和歌と結婚するはずだったと息巻く男が突然現れた 麻之助走る  妻が子を宿した麻之助。何かが気になり支配町を走り回るが 終わったこと  与力の娘につきまとう謎の男。麻之助は真犯人に辿りつけるか おやごころ  息子が生まれたばかりの麻之助の周りに親子の相談事が続々と 単行本 2023年5月 文藝春秋刊 文庫版 2025年4月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
  • 鬼辰閻魔帳 仕置きの花道
    -
    日本橋浜町、大川沿いの小路で若い男女の行き倒れが見つかった。現場に出くわした棒手振りの風真は、骸が放つ妙に甘い匂いを嗅ぎ不審を感じる。 風真の商いは仮の姿。実は北町奉行小田切土佐守の下で闇の仕置き人を務める鬼辰の耳目として市中を探るのが役目だった。折りしも巷では凶悪な押し込みが連続、奉行は鬼辰一門に探索を命じる。 妙な匂いと商人一家の拐かし、そして不死身のゴロツキの跋扈。鬼辰らはそれらの関連を探り、背後に潜む黒幕の存在を突き止める。 北奥羽の小藩と一万石の幕閣が企む陰謀とは?鬼辰一門は千両役者梅川喜重郎一座の助けを借りて、一世一代の仕置きの大舞台に挑む! 警察小説で人気沸騰の著者が贈る痛快時代エンタテインメント!
  • 元禄一刀流 〈新装版〉 池波正太郎初文庫化作品集
    3.5
    浅野内匠頭の家来、堀部安兵衛と奥田孫太夫に吉良上野介の中小姓である清水一学。同じ一刀流の堀内道場に通いながら、敵味方にわかれざるをえなかった彼らを師の視点から描いた「元禄一刀流」や、新陰流の開祖、上泉伊勢守の戦国武将としての姿を描いた「上泉伊勢守」など、文庫に収録されていなかった作品7編を収録したオリジナル文庫。
  • うちの旦那が甘ちゃんで 1
    3.6
    はっきり言って月也は「ぼんくら」である。月也とは、北町奉行で風烈廻方同心を拝命している、沙耶の旦那のことだ。のほほんとした性格から、盗人を取り逃がすことが多く、付き人である小者たちは愛想を尽かして次々に辞めていった。小者は捕り物の補助や身の回りの世話をする重要な存在で、小者がいなければ同心は能力の半分も発揮できない。次の小物をどうやって手当てすればいいのか。沙耶が思いついたのは、なんと自分だった!
  • イザベラ・バードと侍ボーイ
    3.7
    三浦半島の下級武士の子・伊東鶴吉は、維新後に通訳となる。父が幕末に函館へ行き生死不明のため、家族を養う身だ。20歳となり、東北から北海道へ旅する英国人作家イザベラのガイドに採用された。彼女は誰も見たことのない景色を求めて、険しき道ばかりを行きたがる。貧しい日本を知られたくない鶴吉とありのままを世界に伝えようとするイザベラ。英国人作家と通訳の青年の北への旅は困難を極める…。対照的な二人が織りなす文明衝突旅を開国直後の日本を舞台に描く歴史小説。
  • 札差市三郎の女房
    3.0
    貧しい御家人の娘・綾乃は、御留守居役を勤める五千石の旗本・坂東の側室となる。坂東志摩守は、綾乃を虐待する冷酷な男だ。一年後、実家の断絶を知った綾乃は、雪の降るある夜、意を決して屋敷を逃げ出す。傷を負った綾乃を、札差の市三郎が偶然助け匿った。しかし綾乃の平穏な日々は、長くは続かなかった。坂東から市三郎の店に執拗な嫌がらせが始まり…。江戸の金融崩壊を背景に、札差の主人として誠実に生きる男と腐敗した武家を捨てた女の、身分を越えた情愛と不屈の闘いを描く。傑作時代小説。
  • へっぽこ膝栗毛 : 1
    3.0
    御蔵前の札差「小泉屋」の跡取りの新兵衛は、放蕩三昧の日々を過ごしている。ある日、両親に縁談の話を持ち掛けられる新兵衛だが、まだ身を固めて家を継ぐ気はなく、縁談を保留し、後学のためと称して諸国を巡る旅に出る。馴染みの太鼓持ちの和助と、訳ありげな用心棒の稲妻五郎の三人連れで、東海道で箱根に向かう新兵衛だが、行く先々で様々ないざこざに巻き込まれ……。笑いあり、涙ありの大注目シリーズ、堂々開幕!
  • この世をば(上)
    値引きあり
    4.7
    直木賞作家・永井路子氏の作品が遂に電子化! 時の権力者、関白・藤原兼家の三男坊の藤原道長は、機転が利きカリスマ的な存在感を放つ長兄の道隆や野心家である次兄の道兼に比し、平凡でおっとり、出世も遅々としていたが、姉である詮子の助力を得ながらも、左大臣の娘・倫子と結婚する。以来、徐々にではあるものの、道長にも運が向いてきて、姉・詮子、妻・倫子などの支援を受けながら出世街道を上りつめていく……。表面的な華やかさに誤解されがちな人間・藤原道長の素顔を見事に浮かび上がらせた名作。  目   次 男  と  は 首 よ り も 今 宵 来 る 人 深 泥 が 淵 風  の  精 影     絵 あ し の う ら 離  洛  帖 花と地獄の季節 後 宮 明 暗 腥 風 の 荒 野 「一声ノ山鳥」 大正14年東京生まれ。東京女子大学国文科卒業後小学館に入社し、『女学生の友』『マドモアゼル』の編集者を務める。 小学館時代から歴史小説を執筆し始め、昭和39年『炎環』で直木賞を受賞。その他にも吉川英治文学賞を受賞した『雲と風と』等多くの素晴らしい作品を世に送り出している。 男性的目線になりがちな歴史人物や歴史事件を解きほぐし、その陰になりがちな女性にも焦点をあて、歴史上の人物、出来事を鮮やかに浮かび上がらせる作風は、歴史小説に新風を巻き込んだものと評価されている。 また、直木賞受賞作品である『炎環』、『北条政子』などは、NHK大河ドラマ『草燃ゆる』(1979年)の原作として、また『山霧 毛利元就の妻』『元就、そして女たち』などは、同じくNHK大河ドラマ『毛利元就』(1997年)の原作としても知られている。
  • たそがれ清兵衛
    3.6
    下城の太鼓が鳴ると、いそいそと家路を急ぐ、人呼んで「たそがれ清兵衛」。領内を二分する抗争をよそに、病弱な妻とひっそり暮らしてはきたものの、お家の一大事とあっては、秘めた剣が黙っちゃいない。表題作のほか、「ごますり甚内」「ど忘れ万六」「だんまり弥助」「日和見与次郎」等、その風体性格ゆえに、ふだんは侮られがちな侍たちの意外な活躍を描く、痛快で情味あふれる異色連作全八編。
  • 物書同心居眠り紋蔵(一)
    3.7
    南町奉行所で内勤30年。勤務中でも居眠りをする奇病を持つ藤木紋蔵。だが、奇病ゆえ、人生の真実が見える時がある。義父が下女に手を出し、妊娠させる騒動が起きた。義母は「男は穢らわしい」とご立腹だ。人間の欲深さを描く「浮気の後始末」ほか7編。“窓際族”同心が活躍する捕物帳!連作時代小説。
  • 豊臣秀長
    4.1
    紀伊・大和中心に100万石もの大領を有し、大和大納言と称された豊臣秀吉の弟・秀長。乱世にあって秀吉の片腕として無私を貫き、文武両面で活躍し天下統一に貢献。秀吉に諫言できる唯一の人物として、豊臣政権の要とも評される男の生涯を描く。

    試し読み

    フォロー
  • 一夢庵風流記
    4.4
    戦国末期、天下の傾奇者(かぶきもの)として知られる男がいた。派手な格好と異様な振る舞いで人を驚かすのを愉しむ男、名は前田慶次郎という。巨躯巨漢で、一度合戦になるや、朱色の長槍を振り回し、敵陣に一人斬り込んでいく剛毅ないくさ人であり、当代一流の風流人でもあった。そして何より、自由を愛するさすらい人でもあった。故あって、妻子を置き旅に出た男の奔放苛烈な生き方を描く時代長編。

    試し読み

    フォロー
  • 江戸に花咲く 時代小説アンソロジー
    3.8
    練達のベテランから気鋭の若手まで、時代小説の粋 江戸の華〈祭り〉をテーマに人気時代小説作家が競作! 宮部みゆき「三島屋変調百物語」の最新作など、読み応え十分のアンソロジー。
  • 駆け入りの寺
    4.3
    悩みを抱える人々が門を叩く、一風変わった駆け込み寺。 平穏で優雅に暮らす尼たちの元へ、ある日飛び込んできたのは「助けてほしい」と叫ぶ若い娘……。雅やかで心に染み入る連作時代小説。 ※この電子書籍は2020年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 剣法秘伝(電子復刻版)
    -
    三代将軍家光の頃、江戸では親陰流、無明流が覇を競っていた。将軍家指南役、新陰流柳生但馬守宗矩は、無明流の声望高きを怖れ、無明流四天王の謀殺をはかった。三人までは仕留めたが、神月悪源太のみは残った。宗矩は更に刺客を放つが、ことごとく撃退される。ついに旅に出ていた嫡男十兵衛を呼び寄せ、無明流道場へと送り込んだ……(「殺人鬼」)。剣に命を賭けた男たちの生きざまを描く習作十篇収録。

    試し読み

    フォロー
  • ぬばたま一休
    NEW
    -
    野ざらし髑髏に恨みあり……百鬼あふれる室町の闇に、一休禅師が挑む!  一休たちの後ろ、今まで駆けのぼってきた坂道から霧のごときものが湧き起こった。それは風に逆らって流れてくる。夜気に見紛うばかりの薄色をして、香煙のように一本細長く立ち昇っていた。しかも、その香煙はただ一本ではなく、五本、八本、十本と、次々に生き物のごとく坂道を登りきり、一休たちめがけて流れ来る。(「緋衣」より)  室町の魔と闇が織りなす時代妖異譚の粋。一休宗純を主人公とした伝奇時代小説。全6編を収録。 *木曾の褥 *ひとつ目さうし *赤い歯形 *緋衣 *邪曲回廊 *一休髑髏 ●朝松健(あさまつ・けん) 1956年札幌生まれ。東洋大学卒。出版社勤務を経て、1986年『魔教の幻影』でデビュー。ホラー、伝奇など、幅広い執筆活動を続けている。2006年『東山殿御庭』が第58回推理作家協会賞短編部門の候補となる。近年は室町時代に材をとった幻想怪奇小説〈室町ゴシック〉、一休宗純を主人公とした〈一休シリーズ〉、かつて誰も書かなかった〈異形の戦場〉と化した京都を描いた『血と炎の京』で高い評価を得ている。
  • 星落ちて、なお
    3.8
    女絵師の一生を描ききった直木賞受賞作! 不世出の絵師・河鍋暁斎の娘とよは、暁翠の画号をもつ女絵師。 父亡き後、仲がよいとは言えぬ腹違いの兄・周三郎(暁雲)と共に、 洋画旋風の中、狩野派由来の父の画風を守ろうとする。 明治大正の激動の時代、家庭の生活を担いつつ、 絵師として母として、愚直に己の生を全うした女の一代記。 第165回直木賞受賞作。 解説=東山彰良 ※この電子書籍は2021年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 歴史をさわがせた女たち 日本篇
    3.9
    歴史をつらつらながめてみると、日本の女性はいつも弱かったわけではありません。 和泉式部、淀君、北条政子、持統天皇、清少納言、出雲のお国、紫式部――日本史上有名な女性三十三人をとりあげ、確かな史実にユーモアをまじえて綴った愉快な女性日本史。 キュウクツな歴史の定説を覆しのびやかな実像を描きだした不朽の名著。 文庫新装版 2003年6月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫新装版を底本としています。
  • 吉原手引草
    4.2
    廓遊びを知り尽くしたお大尽を相手に一歩も引かず、本気にさせた若き花魁葛城。十年に一度、五丁町一を謳われ全盛を誇っていたまさにそのとき、忽然と姿を消した。一体何が起こったのか? 失踪事件の謎を追いながら、吉原のすがたを鮮やかに描き出した、時代ミステリーの傑作。選考委員絶賛の第一三七回直木賞受賞作。
  • 若冲
    3.9
    若冲の奇妙にして華麗な絵とその人生。 大ベストセラー文庫化! 緻密な構図や大胆な題材、新たな手法で京画壇を席巻した天才は、 彼を憎み自らも絵師となった亡き妻の弟に悩まされながら描き続ける。 京は錦高倉市場の青物問屋枡源の主・源左衛門――伊藤若冲は、 妻を亡くしてからひたすら絵に打ち込み、やがて独自の境地を極めた。 若冲を姉の仇と憎み、贋作を描き続ける義弟・弁蔵との確執や、 池大雅、与謝蕪村、円山応挙、谷文晁らとの交流、 また当時の政治的背景から若冲の画業の秘密に迫る入魂の時代長篇。 解説・上田秀人
  • お吟さま
    3.5
    千利休の娘・お吟の胸には、堺の豪商・万代屋宗安に嫁いだ後も、初恋のキリシタン大名・高山右近の俤(おもかげ)がひそかに生きつづけていた。やがて離婚したお吟の美貌は、最高権力者・秀吉の関心をひき、その軋轢が、お吟と利休を苛酷な運命の袋小路に引きずりこむ……。戦国の世を生きた薄幸の美女を描き第36回直木賞を受けた名作に、平家滅亡に生涯を賭した僧の生きざまを綴る『弱法師』を加えた本格歴史小説集。
  • 疾風の義賊 〈新装版〉
    5.0
    孤児の乱之介は人買から小人目付の斎(いつき)権兵衛に拾われ、生きるための知恵を身につける。芸人一座に身をやつした乱之介は、米価を操る悪徳仲買らを拉致、身代金を要求して江戸庶民の喝采を浴びた。若き目付、甘粕孝康は、面子を潰された上席の鳥居耀蔵から乱之介捕縛を命じられる。己の義を信じ剣を恃(たの)みに生きる者同士、対決の時は迫る。長篇時代剣戟。(『双星の剣 疾風の義賊』改題)
  • 花あざ伝奇
    3.0
    兄王への謀叛を企んだとされ、追われる身となった季王韶(しょう)。名を秘し、張少子(チャンシャオツ)と呼ばれ、逃亡生活に入った。牛荘(ニュウチャン)で奉公をはじめ、お嬢様の趙小姐(ちょうシャオチェ)と打ち解けるが、少子が正体を明かすと……。という直木賞受賞作の「張少子の話」ほか、妲己(だつき)・曹操など歴史上の人物を題材に、謀略・反乱・悲恋……、歴史を題材に虚実を取り混ぜて描く、傑作中国歴史短編7編。
  • 長宗我部(ちょうそがべ)
    3.7
    四国統一を成し遂げ天下を夢見るも、関ヶ原で敗北。山内政権下で「下士」へ転落し、雌伏の後、明治維新を機に家名復活へ──。秦の始皇帝を遠祖とする名門一族の興亡を、長宗我部元親の末弟、親房から17代目の当主・長宗我部友親が描く。末裔でなければ書けない史実の数々は、70代、2000年に及ぶ血脈の「大河の一滴」までさかのぼった、まさに歴史のロマン。長宗我部元親の原点がここにある!
  • 竹笛 橋廻り同心・平七郎控
    3.5
    昔の思い出に生きる女を救えるか、平七郎――。 二世を誓った男を追って、田舎から江戸に出てきた女が初めて見た、許婚の正体とは! 立花平七郎は万年橋から身投げをはかったおなみという女を助けた。二世を誓った男が江戸で消息を絶ち、後を追ってきたという。 途方に暮れるおなみは、よみうり屋のおこうの下で働き始める。ところが、店にも馴染んできた頃、今度はおなみが集金に出たまま行方知れずに。 持ち逃げか、かどわかしか――平七郎は、消えた男が女連れで浅草寺にいたと耳にするや……。
  • 天の光
    3.6
    博多の仏師・清三郎は木に仏性(ぶっしょう)を見出せず、三年間、京へ修行に上る。妻のおゆきは師匠の娘だ。戻ると、師匠は賊に殺され、妻は辱められ行方不明になっていた。ようやく妻が豪商・伊藤小左衛門の世話になっていると判明。お抱え仏師に志願し、十一面観音菩薩像を彫り上げた。しかし、抜け荷の咎(とが)で小左衛門は磔(はりつけ)となり、おゆきも姫島に流罪になってしまう。おゆきを救うため、清三郎も島へ…。
  • 母上は別式女
    3.7
    「別式女」は実在した。大名家の奥を守る女武芸者のことで、御三家や仙台藩などの大藩には置かれていたが、万里村巴が仕えるたった5万石の雨城藩に6人もいるのは珍しい。なかでも巴はその統率者たる「別式女筆頭」なのである。その任務は多岐にわたり、藩主の妻女の護衛のほか、家臣の子女への剣術指南なども行った。だが巴は、剣の腕は立つが料理はからっきし。反対に夫の音次郎は、上屋敷の賄い方助として料理の腕をふるっているのだ。そんな「凸凹夫婦」の万里村家には、皮肉屋の父や楽天化の息子もいて、まったくもって目が離せないのだ……。

最近チェックした作品からのおすすめ