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Posted by ブクログ
今年の1冊目。毎年恒例の松岡先生の作品から。昨年読んだ『黄砂の籠城』の続編で義和団事件を中国側から描いた作品。
“無知の農民蜂起団が国家の軍団にのしあがり、列強に立ち向かっていく物語”ではない。自らの暮らしを脅かす洋人を倒すために立ち向かった“数”だけが頼りの集団を、清国が巧みに操り特攻兵として利用し、結果国家諸共に粉砕していく物語である。義和団の一兵卒は知識を得、兵隊となることに無垢な喜びを得る。本主人公である張たちリーダーたちはこのカラクリを知りながらも流れに身を任せるしかないその苦悩に焦点をあてている点が興味深い。
「“自分たちでも立ち上がれれば国を変えられること”に自ら気づけただけでも指導した意味がある」と悟った張の思いが、まさに後記に書かれている義和団事件の最新の再評価を表すのだろう。
個人的感想としては、張という存在(人物造形)に物足りなさを感じた。あっという間にリーダーに祭り上げられていくのは張自身の戸惑いを描くのに必要だったと思うが、読者としては?の連続であった。
また、作中で妖術や奇跡を当然のように受け入れる人々が描かれる。知識を得ている我々からすれば衝撃的だったが、これが1900年の中国の実情だろう。日本が明治維新で急速に近代化できたのは農村の識字率の高さにあったということに改めて気付かされる。
最後のシーンで莎娜が柴中佐に日本も義和団の二の舞にならないようにと忠告する。皮肉的にも日本は太平洋戦争下で劣勢にも関わらず勝利を喧伝し奇跡にすがっていく姿はこの事件と全く同じ構図である。歴史は何度も繰り返す。朝廷のシーンは一部であったが、次は朝廷側を主人公としたスピンオフ作品も見てみたい。
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小説・文芸
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