小説作品一覧

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  • 仙台駅殺人事件
    4.0
    毎年12月1日正午に、仙台駅ホームに佇む和服姿の女。この謎の美女は、原宿で起きた殺人事件の容疑者だった。ところがその、高級クラブ「綾」のママ・早坂みゆきは、1千万円もの大金を仙台駅でゆすられ続けていた。行方をくまらしたみゆきを追跡する十津川警部と亀井刑事は、仙台駅に網を張るが、何者かに発煙筒で妨害され、失敗。再度の張り込み中、駅構内で「綾」のホステス・久保カオルが絞殺された。1千万円の行方と殺人容疑者、恐喝犯を追う十津川の前に明かされる意外な真相は…。 24時間眠らぬ、東北の玄関口・仙台駅を舞台にした駅シリーズ。
  • 霊視刑事 夕雨子1 誰かがそこにいる
    3.7
    1~2巻748円 (税込)
    刑事夕雨子はいつも首元にストールを欠かさない。お洒落のため? いや、これを巻かないと、寒気と共に常に死者が話しかけてくるからだ。「祖母譲りの特殊能力を活かしたい」と、この仕事に就いたが体力を消耗する霊視には、未だまったく慣れないのだった。浮かばれない死者たちの声は、ある時は怒りに震え、ある時は悲しみに沈んでいり。事件の本当の真相は、彼らの声を聞かずにはわからない――意外な結末がスリリングな、エンタメ女性刑事シリーズ、開幕!
  • 完パケ!
    4.0
    たった一つのことにすべてを賭けた、あの輝かしい日々。 経営難で閉校が噂される武蔵映像大学で、卒業制作のドラマ映画を撮れるのは、たった一人。感覚の安原と理性の北川。お互いの才能を認め合いながらも性格がまったく合わない二人は、同じ題材を使ってコンペで勝負をすることに。撮影は、前途多難の幕開けとなったが――。
  • 君が笑うまで死ぬのをやめない 雨城町デッドデッド
    4.0
    新居に棲みつく呪われた女。 彼女を救うために俺は―― 1万回死ぬことを決めた! 陽気なバカの辞書に不可能はない。 切なく笑えて、驚き泣ける。青春タイムループ小説! 大学進学に伴い、引っ越したアパートには悪霊が棲んでいた。 霊に刺殺された灰原雅人は死の直前に巻き戻る。部屋に入れば殺される――。しかし男たるもの寛容さも必要だ。殺されたくらいで逃げるようでは大学生は名乗れない。かくして灰原は女の霊と同居を始めた。死と隣合わせの毎日で、彼女の事情を解決すべく。 これは赤の他人の幸せを追い求める、“時をかける馬鹿”の物語。
  • そして扉が閉ざされた  新装版
    3.4
    富豪の若きひとり娘が自動車事故で不審死して3ヵ月、彼女の遊び仲間だった男女4人が、遺族の手で地下シェルターに閉じ込められた! あの事故の真相は何だったのか? 4人が死にものぐるいで脱出を試みながら推理した意外極まる結末。極限状況の密室で謎を解明する異色傑作推理長編。
  • 捕まえたもん勝ち! 七夕菊乃の捜査報告書
    4.1
    1~3巻902~1,056円 (税込)
    念願叶って捜査一課の刑事に抜擢された七夕菊乃。しかし元アイドルという経歴のせいでお飾り扱いされてしまい、おまけに、驚異的な洞察力を持つ天才心理学者・草辻蓮蔵と、FBI出身で報告書の書き方に異様な執念を燃やす鬼才、「アンコウ」こと深海安公が繰り広げる頭脳戦に巻き込まれることに!初めて挑む密室殺人事件の捜査は、一体どうなってしまうのか!
  • 水

    5.0
    水差しから救いの水を飲んだ直後息絶えた病床の母(「水」)。「死にたくない、俺ひとり」妻の胸で叫ぶ癌を病む夫(「谷」)。生と死のきわどさ、戦き、微かな命の甦りの感覚を、生理と意識の内部に深く分け入っていく鋭敏な文体で描出した、「影」「水」「狐」「衣」「弟」「谷」の6作による初期連作短篇集。
  • 木犀の日 古井由吉自選短篇集
    3.8
    〈都会とは恐ろしいところだ〉。5年間地方で暮らし、都会に戻った私は毎朝のラッシュに呆然とする。奇妙に保たれた〈秩序〉、神秘を鎮めた〈個と群れ〉の対比、生の深層を描出する「先導獣の話」のほか、表題作「木犀の日」、「椋鳥」「陽気な夜まわり」「夜はいま」「眉雨」「秋の日」「風邪の日」「髭の子」「背中ばかりが暮れ残る」の10篇。内向の世代の旗頭・古井由吉の傑作自選短篇集。
  • 巨悪
    3.8
    消えた復興予算、2兆円。 震災を食い物にする奴らがいる――。 《日本最強の捜査機関》東京地検特捜部に配属された検事・中澤源吾は追い詰められていた。 大手運送会社社長の億単位の脱税疑惑を追うも、立証できたのはごく一部。 だが、元同級生の事務官・城島毅らと捜査を進めるうち、 不可解な金の動きは東日本大震災の復興補助金に繋がり――。 元記者の著者が、取材不可能な組織の深部に迫る、骨太の社会派ミステリー! 【推薦コメント続々!】 これほどまでに真に迫る形で、「東京地検特捜部」を扱った入魂の小説があっただろうか。 『巨悪』を読めば、わかるだろう。 伊兼源太郎が、いま猛烈な勢いで巨星・横山秀夫の域に近づきつつある要注目の俊英だと! ――宇田川拓也(ときわ書房本店) やられてしまった。善とは悪とは。考え続けている。 巨悪に立ち向かう中澤、城島。 その悪の正体が現れた時、怒りが爆発し、悲しみにうち震えた。 重いテーマ、エンタメ度満点の傑作ミステリー。 誰かに思いを話したい。 ――山中真理(ジュンク堂書店滋賀草津店) 理不尽な社会の拳となるのは絶望から生まれた怒りの感情。 「巨悪」とはこの世を覆い尽くす闇でもあれば身近に潜む棘でもある。 本物の正義が伝わる揺るぎなき物語! 目を背けてはならない現実がここにある……。 ――内田剛(元書店員、ブックジャーナリスト) 「東京新聞」の特集も大反響!!
  • 蒼海館の殺人
    4.1
    館が沈めば、探偵も、犯人も、全員死ぬ 濁流押し寄せる館の連続殺人。 雨が止むころ、僕らは生きているのか。 ☆☆☆ 2019年『紅蓮館の殺人』(講談社タイガ)がスマッシュヒットを記録し、 2020年『透明人間は密室に潜む』(光文社)が続々ランクインの26歳による最高傑作! ↓ ☆「2021本格ミステリ・ベスト10」(原書房)国内ランキング 第1位 ☆「このミステリーがすごい! 2021年度版」(宝島社)国内編 第2位 ☆「週刊文春ミステリーベスト10」(文藝春秋)第2位 ☆「ミステリが読みたい! 2021年度版」(ハヤカワミステリマガジン)国内篇 第3位 ☆☆☆ 学校に来なくなった「名探偵」の葛城に会うため、僕はY村の青海館を訪れた。 政治家の父と学者の母、弁護士にモデル。 名士ばかりの葛城の家族に明るく歓待され夜を迎えるが、 激しい雨が降り続くなか、連続殺人の幕が上がる。 刻々とせまる洪水、増える死体、過去に囚われたままの名探偵、それでも――夜は明ける。 新鋭の最高到達地点はここに、精美にして極上の本格ミステリ。
  • こんな日もある 競馬徒然草
    4.5
    1巻1,771円 (税込)
    ツキにからかわれるのも、人生長い目で見れば悪いことではない。 年々歳々、馬とともに春夏秋冬をめぐり、移り変わる人と時代を見つめ続けた作家の足跡。 日本文学の巨星が三十余年にわたり書き継いだ名篇エッセイ、初書籍化。 編・解説:高橋源一郎 何年先のことになるやら、たとえばダービーの日のスタンドかテレビの前で、そういえばあの男、このダービーをもう知らないんだ、と生前の私のことをちらりと思い出す人がいるかもしれない、と今からそんなことを考えると、心細いようで、あんがい、慰められる気持ちになる。自分一個の生涯を超えて続く楽しみを持つことは、そしてその楽しみを共にする人たちがこれからも大勢いると考えられることは、自分の生涯が先へ先へ、はるか遠くまで送られて行く、リレーされて行くようで、ありがたいことだ。 (本文より)
  • 密売人
    3.7
    十月下旬の北海道で、ほぼ同時期に三つの死体が発見された。函館で転落死体、釧路で溺死体、小樽で焼死体。それぞれ事件性があると判断され、津久井卓は小樽の事件を追っていた。一方、小島百合は札幌で女子児童が何者かに車で連れ去られたとの通報を受け、捜査に向かった。偶然とは思えない三つの不審死と誘拐。次は自分の協力者が殺人の標的になると直感した佐伯宏一は、一人裏捜査を始めるのだが……。道警シリーズ第五弾、待望の文庫化! (解説・青木千恵)
  • 浅草料理捕物帖(一)
    完結
    3.0
    浅草で評判の一膳飯屋・樽屋の板前、孝助のもとに、悪評高い岡っ引きの文蔵がやって来た。店に毎晩来る浪人・越野十郎太が、連続辻強盗ではないかと目星をつけたからだ。文蔵の手下になりたい孝助は、十郎太を見張るが、十郎太はすぐに意図を見抜き、疑いを否定する。やがて二人は、それぞれが十年前の事件の裏を暴くため、浅草に戻ってきたことが明らかに……。一方、太物問屋・片倉屋に、手代として働いていた息子を見捨てられた千代治は、復讐のため主人・徳兵衛らを付け狙う。だが、その矢先、番頭が辻強盗に殺される。果たして犯人は――? 美味しい浅草の食と事件を描く捕物帖、待望の幕開け!
  • リストラ日和
    3.6
    森山二郎は、日本を代表するメガバンクに勤めるエリート銀行マン。順風満帆の生活を送っていたが、突然、系列子会社への転出を命ぜられる。事実上のリストラである。二十九年間走り続けた日々の、あまりにも呆気ない終焉だった。なぜ自分なのか――現実を受け止められず、葛藤する毎日。リストラの余波で家庭も崩壊寸前の中、銀行員時代に扱った案件で森山は訴えられ、さらなる暗雲がたちこめる……。仕事とは何か?家族は再生するのか?すべての働く人々の心に沁みる長篇小説。(解説・高田郁)
  • 源氏五十五帖
    3.8
    不朽の名作「源氏物語」は実は未完であり、秘された最後の一帖は時の最高権力者を窮地に陥れる物語ではないか。生前の紫式部が存在を秘して没した「五十五帖」とは果たして……宮中の陰謀に物語が切り結ぶ時をスリリングに描き、多くの書評に取り上げられた昨年の第11回日経小説大賞受賞作『新・紫式部日記』には続編があった。「源氏物語」に残された最大の謎という大胆不敵なフィクションである。主人公は菅原孝標女(作中では、更級)。藤原道長から「五十五帖」の探索を命じられるが、同行を命じられるのが宮中に仕えていた紫式部の娘、賢子。田舎育ちで父から与えられる物語に耽溺して成長した更級と、物語づくりに忙しい母にかまってもらえなかった賢子が幻の「源氏物語」を探していく過程で、紫式部がどういう人間であったか、「源氏物語」はいったいどのような物語であったかが浮き彫りにされていく。豊かな学識から紡ぎ出された“古典文学ミステリー”の秀作である。
  • イノセント・ツーリング
    3.3
    緊急事態宣言が明けて2020年も夏を越え、大学時代の親友の夫とその息子と、紀伊半島のツーリングに出かけることになった。若くして命を落とした親友との約束を果たすため、そして、ひとり親で育った息子が母を新たに知るため。就職氷河期世代が親になっての心情もそこはかとなく漂うハートウォーミングなロードムービー風の小説が本書。日常の景色だけでなく生活スタイルも変わってしまった。変わらざるをえなかった。リセットするにしても、調子を取り戻すためにも、記憶の底に押し込めてしまった大切なものをもう一度見つけ出して、新たに前に進もう。コロナ禍でぽっかり出現したつかの間の人生の空白期間。みーんな元気の在庫がなくなった。でも、だから……3人それぞれが生きるために必要なささやかなものを見つけた、数日間の旅の物語。
  • マーリーとスクープ
    値引きあり
    -
    ミステリー小説の研究家・翻訳家として活躍する著者が、『ヴェニスを見て死ね』でおなじみ私立探偵ジョー・ヴェニス・シリーズとともに書き継ぐ、女性探偵フィリス・マーリーの冒険。 さらに、探偵ばかりが殺される事件を追う抱腹絶倒のパロディ、“ほぼ固茹で”探偵サム・スクープも登場! ニューヨークの女性探偵マーリーは、セントラル・パークを見渡せる高層アパートメントに暮らす老婦人の依頼を受け、あるいは疑惑の小説家志望者の調査中に死体に出くわし、はたまたミステリー作家のコンヴェンションで殺人に巻きこまれ、快刀乱麻を断つ活躍を見せる――女性探偵フィリス・マーリー・シリーズ。 かたや、ここディックスヴィルの街では、なぜか探偵ばかりが殺される事件が続発! 全編これ私立探偵小説のパロディ――“ほぼ固茹で”探偵サム・スクープ・シリーズ。 ミステリー好きほど楽しめる、全7編。【電子オリジナル版】
  • 月のうた
    4.4
    小学生の時に母を亡くした民子は、父とその再婚相手との三人暮らし。複雑な想いを胸に秘めていたが、亡き母の親友からある話を聞き、徐々に心を開いていく――それぞれの想いを鮮やかに掬い取った、切なくも温かな家族の物語。
  • ぎぶそん
    4.0
    中学二年「ガンズ・アンド・ローゼズ」に心酔した少年ガクは、仲間を集めてバンドをはじめる。 親友のマロと幼なじみのリリイ。 それに「ギブソンのフライングV」を持っていてギターがうまいと噂――の問題児かける。 ケンカや練習を経て、四人は次第に仲間になっていく。 ガクとリリイの淡い恋、文化祭ライブ、十四歳のできごとのひとつひとつが多彩な音を響かせあう青春ストーリー。 第21回坪田譲治文学賞受賞作。
  • 本多正信 家康に天下をとらせた男
    3.0
    「なんとしても、わがあるじに天下をとらせてやりたい。そのためには、あの秀吉に負けない権謀術数を磨かなければ」――正信は最近、ようやくこのことの面白味がわかりかけてきていた。一度は家康に弓を引きながら、許しを得て、ついには家康最大の腹心となった本多正信。類い稀な着想と企画力を武器に、徳川政権の地位を不動のものにした名参謀、その独創的生き方とは!
  • アイドル潜入捜査官 小田切瑛理
    5.0
    とある権力者の指示により、国民的人気アイドルグループ「プリティなでしこ」の第10期メンバーオーディションを受け、グループに潜入した、元警視庁公安部の小田切瑛理。 年齢制限10オーバー、格闘技をたしなみ媚びは売らず(売れず)正義感あふれる彼女が、慣れないアイドル活動に悪戦苦闘しながら、テロリストスパイ捜査を進めていく。 デンジャラスなアイドルの規格外っぷりに笑いが止まらないコメディタッチ爽快小説!
  • タマの猫又相談所 花の道は嵐の道
    3.7
    ──うちの理生ときたら、高校生になったというのに、泣き虫で弱虫でこまったもんだ。やれやれ、おれがなんとかしてやるか──。 流されるままに花道部に入部し、因縁ののライバル茶道部との激しい部室争奪戦に巻き込まれてしまった理生を、じつは妖怪・猫又の飼い猫タマが陰から賢くサポート。
  • 北京散歩ノート
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 北京に行ってない人にだって、北京を旅行した気分にさせる、北京の情報がいっぱい! 旅を10倍楽しくする北京マップ――北京の空に想いを馳せて、田舎のおふくろを東京見物によぶ時の、意中の人を実家に案内する時のおもいで、北京から来た中国の編集者と力を合わせて編んだ、「北京旅行全情報」。北京への旅行で、最少限必要な会話や食事・宿泊・交通の情報、昔から有名な街並みや名所旧蹟、公園や博物館・美術館の、歴史と地理が満載。――極爲熱情地編輯了 北京旅遊指南!
  • 武蔵と五輪書
    5.0
    凡俗を超越した達人の心技の妙。現代人に最高の処世訓――生涯60余度の真剣勝負に勝ち続けた宮本武蔵が、「二天一流」の奥儀を後世に残すために記した「五輪書」。兵法の世界のみにあらず、人生全般にわたる処世訓と読める、普遍の広がりをみせる練りぬいた名著述である。この、宮本武蔵の心と技を、剣道三段の津本陽がわかりやすくときあかす、極めつきの現代語訳。
  • 日本剣客列伝
    -
    剣豪10人の実践の模様を再現する迫真の力作――誰がいちばん強いのか? みずから剣道の達人でもある著者が、日本歴代の名だたる剣豪から10人を選んで、実戦の模様を臨場感あふれる筆致で再現する。塚原卜伝・小野次郎右衛門・東郷重位・柳生宗矩・宮本武蔵・千葉周作・男谷信友・仏生寺弥助・近藤勇・榊原鍵吉らの実像が生き生きと甦る、津本版新剣豪小説の精粋。
  • 数学は嫌いです! 苦手な人のためのお気楽数学
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 読めばゼッタイ子どもに教えたくなる。「楽しい勉強」の基本形――関数だの、方程式だの、微分だのといっても、基本的な部分は、日常生活の中で、普通に暗算しているようなことばかりなのだ。買い物に行ったときのお釣の話から、二次方程式へ。また、蛇口から垂れる水の量の話から、積分の話へ。これ一冊で、数式も苦じゃなくなる! 数学嫌いを大変身させてくれる、目から鱗の名教則本。
  • 危地に生きる姿勢
    -
    自由に、悔いなく生きた男たちの人生は、どのようなものであったのだろうか? 逆運に立ち向う男の生き方を考える――宮本武蔵、塚原卜伝、伊藤一刀斎などの、激烈な闘争の半生と不動の境地を考える時、16歳の昭和20年1月、動員先の川崎航空機工場で受けた、戦慄の空襲体験を思い出す時、故郷・片男波の海が育んだ、命を賭けて逆運に立ち向かう男たちを知る時……、著者の胸に去来するものを、熱く静かに語る、滋味あふれるエッセイ集。悔いなく生きる、自信と備えを考える名著。サラリ-マンをやめ、無一文で帰郷してからの激しい星霜と、敵を回避することを潔しとしない性分、男として守らなければならないものを、静かに語る!
  • 愛子のおんな大学
    -
    笑って、怒って、考える、女の行く道・生きる道。娘と妻と母親と、世の中半分、女族。男と女の生活が、この世の幸せであるならば、女の道を教えます。ご存じ愛子の痛快な、男女共読、名エッセイ。「離婚常習者の弁」「母性愛のワナ」「わが教育愚論」「姑のブルース」「ヤキモチは焼くべし」など、24篇を収録。
  • もう頬づえはつかない
    -
    さよなら、偽りの愛、やさしさだけの男たち。若い世代に圧倒的共感を呼ぶ、話題の青春文学――橋本くんと体をあわせている時も、ふらりと出ていってしまった恒雄を激しく求める私。奇妙な三角関係に陥った女子大生・まり子が、体の変調を自覚した時、残酷な「卒業」の季節が訪れて……。大胆な行動と湿った生理の間に揺れる、現代の愛のかたちを爽やかに描いて、騒然とした話題に包まれた、早大文芸科生の「卒業小説」。
  • にっぽんほら話
    3.0
    ぜ~んぶ手口の違うショートショート25話――うははのへ、太郎とキツネ、うちのニャロメ、恐竜の声、シノプシス、おさる日記、サウンド・オブ・ミュージック……童話あり、SFあり、落語あり、そしてホラーありと、ぜーんぶスタイルの違う仕掛の、小意気な25のショートショート集。全篇万化、和田誠の世界。
  • 「日本自讃論」では未来は読めない
    -
    夜郎自大で世界中の笑いものにならないために、これからどうするか? 誰が総裁になろうと、これだけは重要だ! ――世界的な日本叩きの中で、被害者意識とエリート意識に捉われた、愛社人間のアナタ。豊かになった日本は、なぜ他国から嫌われるのか。国内での常識は、世界では通用しないのではないか。精神主義や集団ガンバリズムは、国を亡ぼすのではないか……。入社試験のあり方から愛社精神に巣くう病理、カラオケブームの意味するものまで、我らKKニッポンの全社員が、クールに自分を見直すべき問題に斬り込む! KKニッポンの全社員に贈る診断と処方箋、今後の指針を探る対談集。
  • 理系白書 この国を静かに支える人たち
    3.9
    日本の高度経済成長を支えながらも、文系優位の社会で、その存在がかすみがちな「理系」。深刻な科学離れが叫ばれるいま、その地位、報酬、研究、カルチャー、教育、結婚など、理系のすべてを初めて浮き彫りにした渾身のレポート。はたして、理系は報われているか? 第1回科学ジャーナリスト大賞受賞作品。 ◎養老孟司氏推薦! ――日本人が「なぜ?」という問いかけができなくなったのは、本当の「科学する心」が失われたからではないかと思う。この本は、そのわけを解き明かしている。
  • 日乃出が走る 浜風屋菓子話
    3.8
    時は明治2年。 代々続く一軒の老舗菓子店が、店を閉めた。 世の混乱と父親の謎の急死により店が傾き、悪の豪商・善次郎の手に押さえられたその店――橘屋を復興しようと、ひとり娘である16歳の少女・日乃出は奔走をはじめる。 再建の第一歩として必要不可欠な家宝の「掛け軸」を奪還するため、日乃出は善次郎と「百日で百両、菓子を作って稼ぐ」という勝負をすることに……。 果たして日乃出は、その賭けに勝つことができるのか!? 勝敗の鍵を握る幻の西洋菓子「薄紅」のレシピを追い求め、日乃出は走る!
  • 知床岬殺人事件
    -
    1巻671円 (税込)
    愛知県警の若手警察官、大鷹鬼平は休暇を取って北海道の知床岬を訪れた。たまたま訪れた港町・羅臼で津具美というホステスと出会う。 津具美にすっかり惚れ込んだ鬼平だったが、なぜか殺人の容疑がかけられることに。 津具美への思いから暴走してしまった鬼平に助けの手を伸べたのは、警察庁の広域捜査官、天才的推理力の持ち主の宮之原昌幸警部だった。 宮之原と鬼平の名コンビの前に、二十七年前の因縁が明らかになる! 傑作旅情推理!
  • 塚原卜伝十二番勝負
    4.0
    剣の極意を求める壮絶な決闘を描き、剣豪小説に新しい息吹をもたらした会心作。剣の聖地・鹿島に生まれ、香取神道流の奥儀を極めて、17歳で武者修行の旅に出る。めざすは、諸流達人の集まる京都だ。一人の若者が古今無双の剣士と称されるまでの名勝負をリアルに描き、謎多き塚原ト伝の実像に迫る、長編力作。
  • その傷口を刃で飾れ
    -
    1巻682円 (税込)
    不倫相手の医師とともに、自宅前で突然襲ってきた少年に軟禁された看護師の則子。少年院から脱走してきた少年は、金の工面のために医師の沢田を外出させるが、人質となって残された則子の心は猜疑に揺れはじめる(「ブラック・モーニング」)。他、「750cc心中」「しらけ鳥のブルース」「盗まれた夜」「汚れた夜の夜想曲」「誘惑の紫陽花」「青い鳥のエレジー」「ジグソーパズル」「下在の譜」の9編を収録。 男と女の不可思議な心の揺れを巧緻に描く、繊細なハードサスペンス作品集。
  • ジ エンド オブ ザ ワールド The End of the World
    3.5
    中東で起こった戦争をきっかけに世界各地で核爆弾が炸裂。 避難したシェルターの中で、母も父も、弱って死んでいった。 シェルターに一人残された少年。 そんな時に無線機が受信したか細い声。 少年たちはどうなったのか?(表題作) 卒園6年後に行われた幼稚園の同窓会、そういえばあの時……だんだん全員が思い出しはじめたあの子のこと。 (「六年目のクラス会」) 刊行当時に衝撃を呼んだ、那須正幹の名短編10編がよみがえる。
  • 鹿乃江さんの左手
    3.5
    「この学校には魔女が棲んでいて、どんな願いごとも一つだけ叶えてくれる」という噂。 絵空事と思っていた生徒の前に、ある日魔女を名乗る女性が現れて……。(「からくさ萌ゆる」より) ある女子校で起こる“不思議で残酷な出来事”を描く3つの連作短編集。
  • 怪談最恐戦2019
    -
    「怪談最恐戦2019ファイナル」が2020年1月18日、渋谷ユーロライブで開催。 日本で一番恐い怪談を語る者〈怪談最恐位〉の座をめぐって、語りの猛者たちによる激闘が繰り広げられた…。 東京・大阪の予選会を含む、いま最もアツい語り部による最恐の怪談を抜粋して掲載。 あわせて、ファイナルの舞台でスペシャルゲスト・ぁみが語った話と、怪談最恐戦投稿部門として毎月公募している〈怪談マンスリーコンテスト〉より選出された優秀作を収録。 さらなる盛り上がりを見せるこれからの怪談シーンを象徴する最恐最アツの一冊!
  • 嘘つきたちの晩酌
    -
    大学卒業を控え、就職や進学などそれぞれの道へと進む、優香、千恵美、征太、彰士。二年間シェアハウスで同居していた彼らは、四人で過ごす最後の夜に、思い出作りとして「秘密暴露会」を開くことにした。酒と肴を手に、誰にも言ったことのない秘密を明かすことで親交を深める――そんな会になるはずが、一人、また一人と暴露するにつれ、四人の複雑に絡み合った事情が浮き彫りになり……? 報われない思い、許されない願い、終わらない贖罪――それぞれの秘密を胸に、嘘つきたちの夜は静かに過ぎていく。
  • 絶体絶命ラジオスター
    3.4
    1巻748円 (税込)
    大ヒット作「スマホを落としただけなのに」シリーズの著者【志駕 晃】が、デビュー前から構想を温めていた幻の未発表作にして、初のSF作品。 スケールの大きなストーリーテリングに、手に汗握る見せ場の連続、ラジオマンとしてのキャリアを生かしたリアルなラジオ業界の描写。《 SF × ミステリ × 活劇 × お仕事小説 》と言うべき、新感覚エンターテインメント小説! 解説は、読書家としても知られる声優・エッセイスト・日本SF作家クラブ会長の【池澤 春菜】氏が寄稿。 【あらすじ】 AMラジオ局「帝都ラジオ」の局アナDJ垣島武史は、突然現れた自分そっくりの男に、わけもわからず命を狙われるはめに。 謎の少女が導く地下室。 深夜の埠頭にとどろく銃声。 暗躍する独裁国家の工作員。 錯綜していく記憶──。 時間と空間を越えた陰謀の中、命がけで臨んだ最後の放送が、彼を待つ恋人とリスナーたちに届いた時、深夜ラジオの電波は小さな奇跡を起こす......!
  • 少年十字軍
    3.7
    13世紀、フランス。 “天啓”を受けた羊飼いの少年・エティエンヌの下へ集った、アンヌ・ルー、ベッポら数多の少年少女たち。 彼らの目的は聖地エルサレムの奪還。 だが国家、宗教、大人たちの野心が行く手を次々と阻む――。 直木賞作家・皆川博子が作家生活40年余りを経て、ついに辿りついた最高傑作。
  • カレンダーボーイ
    3.7
    ある朝目が覚めたら、小学五年生に逆戻り!? 社会人としてそれなりの地位を築いてきた二人の男が、眠りについて目が覚めるごとに現在と過去を行き来するようになってしまう。 二人は過去を変えることで、ある人を救うことができると気づく。 あたたかな切なさに満ちた物語。
  • 19世紀イタリア怪奇幻想短篇集
    値引きあり
    3.3
    野生の木苺を食べたことがきっかけで、男爵の心と体が二重の感覚に支配されていく「木苺のなかの魂」、〈真実の口〉ドン・ペッピーノの忠義心が試練の数々に直面する寓話風の「三匹のカタツムリ」ほか、世紀をまたいで魅力が見直される9作家の、粒ぞろいの知られざる傑作を収録。全9作、本邦初訳。
  • 開化鉄道探偵
    3.4
    明治12年晩夏。鉄道局技手見習の小野寺乙松は、局長・井上勝の命を受け、元八丁堀同心の草壁賢吾を訪れる。「京都―大津間で鉄道を建設中だが、その逢坂山トンネルの工事現場で不審な事件が続発している。それを調査する探偵として雇いたい」という井上の依頼を伝え、面談の約束を取りつけるためだった。井上の熱意にほだされ、草壁は引き受けることに。逢坂山へ向かった小野寺たちだったが、到着早々、工事関係者の転落死の報が……。「このミステリーがすごい!2018」トップ10にランクインした、時代×鉄道ミステリの傑作。/【目次】第一章 最後の八丁堀/第二章 逢坂山/第三章 十四尺の洞門/第四章 鉄道嫌い/第五章 火薬樽/第六章 一触即発/第七章 特別臨時急行/第八章 大物登場/第九章 発破用意/第十章 トンネルを守れ/第十一章 一枚の切符/第十二章 ただ鐵(くろがね)の道を行く/あとがき/解説=香山二三郎
  • 拳豪伝
    4.0
    時は幕末、「拳骨和尚」物外の、愛と武勇の遍歴ー幕末の動乱の世を生きた「げんこつ和尚」武田物外(もつがい)の、愛と武勇の遍歴。武家の長男に生まれながら、幼時の喧嘩で相手が死んでしまい、剃髪する。剣と柔術の道を極め、京都・壬生(みぶ)の新選組道場に現われてその荒稽古を嘲り、近藤勇の挑戦を受ける晩年まで、人並み外れた怪力の持ち主の、気骨の生涯をたどる痛快時代巨編。
  • 蟻地獄(新潮文庫)
    3.8
    二村孝次郎(にむらこうじろう)は、親友の修平(しゅうへい)と共に一攫千金を目論み、裏カジノに乗り込む。大金を手に入れたかと思いきや、イカサマは見破られていた。5日後までに300万円を差し出さなければ、人質にとられた修平は殺される。金をつくるため、孝次郎が向かった先は、青木ケ原樹海。19歳の青年は奔る! 地獄から生還するために――。圧倒的筆力で読む者を欺く、超弩級ノンストップ・エンタテインメント!(解説・道尾秀介)
  • 川柳句集 亀の歩み
    -
    1巻880円 (税込)
    落語好きの著者が、自然の流れで導かれた川柳作家への道。句集のタイトルは《兎より亀の歩みが性に合い》という著者の「偽らざる心境」を詠んだ句から生まれた。第一章「生活編」、第二章「職場編」、第三章「社会編」、第四章「家族編」、第五章「余生編」の構成。収録作品は、所属する上州時事川柳クラブ、時事川柳創琳などで長年鍛えてきたウガチの効いた時事川柳、ユーモア溢れる川柳、一読明快で多くの読者の共感を呼ぶ川柳などバラエティに富み、読む者の好奇心をくすぐる。実体験もあればフィクションもある、著者のキラキラ輝く十七音の宝箱をのぞいてみよう。 文春に追いかけられもせず過ごす 鈍感力付けばこの世はパラダイス すみません最前列でつい欠伸 取らないでマスク美人のままがよい 吊り橋の真ん中あたり管理職 新コロナ家で録画の旅をする 永眠をせぬよう目覚ましをかける
  • ダイヤモンド婚記念句集
    -
    1巻880円 (税込)
    キレ味鋭い時事川柳は、時代を超越して読み継がれる。時事川柳の専門句会として名を馳せる、群馬県の上州時事川柳クラブで活躍する著者の「ダイヤモンド婚」を記念した川柳句集。30代の頃に上毛新聞の「じょうもう時事川柳」に初投句。定年後も一日二句を原則に4紙に投句を続け、本句集を編む時点で入選作品は1000句を優に超えている。構成は尾藤三柳選「読売新聞編全国版」、大伴閑人・西木空人選「朝日新聞全国版」、佐藤一夫選「読売新聞群馬版よみうり文芸」、山口菓声選「上毛川柳」の4章立て。 《連立の柱は飴で出来て居る》 《先生に処方していた鼻ぐすり》 《温泉へ入浴剤を持って行き》 《休止符も終止符もある労働歌》 《一匹と二人で語る核家族》 《へそくりを健康食がつまみ食い》 《医者替える悪いことでもしたように》
  • 川柳句集 薄っぺら
    -
    1巻880円 (税込)
    天性の詩心と巻き込み力で、現代川柳に嵐を呼ぶ! 静岡が生んだ川柳界のホープ、待望の第1句集。30歳で脳内出血をわずらい、闘病のさなかに「真っ暗闇の中で私をプラス思考に導いてくれた」(「はじめがき」より)運命の一句に出合い、川柳を本気で志すことになった著者。主宰するホームページの掲示板にて全国の川柳作家の交流の場をつくりつつ、自ら軽やかに日本中の句会大会を駆け回る行動派。斬新な言葉選びと仕立て方は早くも「団石調」との呼び声も高い。一方で社会問題に斬り込むシリアスな作品もあり、著者の懐の深さが感じられる一冊。 《父ちゃんの朝一番が長すぎる》 《ご機嫌で帰ると妻は不機嫌だ》 《歯科助手の長いマツゲにあーんした》 《びしょ濡れの旗だ風にはなびかない》 《本当に泣いてしまった女優です》 《道化師が笑うああ痛いのだろう》 《消すために点ける炎よ赦されよ》
  • 川柳句集 75の手習い
    -
    1巻880円 (税込)
    75歳から飛び込んだ、川柳の世界。良き師や仲間に恵まれ、ひたむきに前だけを見て作句に挑み続けた6年の記録。  読んだ人もポジティブに、前向きになれる作品群に、あなたも思わず一句詠みたくなってくるかもしれない。 生甲斐を求めて学びの戸を叩き 錆ついた心のドアに油さし 待つことを覚えて少し強くなり もう一度時と所を変えて咲く いいことも山ほどかかえ生きている 黒白をつけずにうまく引き分ける うまく行く秘訣はたまに敗けること
  • 続 明暗
    4.5
    漱石の死とともに未完に終わった『明暗』──津田が、新妻のお延をいつわり、かつての恋人清子に会おうと温泉へと旅立った所で絶筆となった。東京に残されたお延、温泉場で再会した津田と清子はいったいどうなるのか。日本近代文学の最高峰が、今ここに完結を迎える。漱石の文体そのままで綴られて話題をよび、すでに古典となった作品。芸術選奨新人賞受賞。
  • 万葉集講義 最古の歌集の素顔
    4.2
    奈良時代の後期に成立し、短歌・長歌など四五一六首を収める『万葉集』。歴代天皇や皇族、宮廷貴族、律令官僚がおもな作者だ。他方で防人、東国の農民、遊女といった庶民の歌も含む。幅広い階層が詠んだ、きわめて日本的な「国民文学」のイメージで語られるが、それははたして妥当か。古代日本が範を仰いだ中国の詩文の色濃い影響をどう見るべきか。代表的な歌々を紹介・解説しつつ、現存最古の歌集の実像を明らかにする。
  • アメリカ ハーブ紀行
    4.0
    ハーブ復興の地から陽気な楽しみ方。バジルのそばにユリやナスがすまし顔! ヒューマンで温かなハーバルライフ公開。ハーブを楽しむ新ヒント! --ハーブ・ルネサンスの地、アメリカ。自然回帰の波にのって蘇ったハーブが、いかに暮らしに根付き、社会に溶け込んでいるか。フィッシャー家の5代にわたるハーブ料理のレシピ、実地に体験した苗作り、森につくったリタイア後の農場、進んだ園芸療法……などを通し、堅実でヒューマンなアメリカ流ハーバルライフを公開。
  • ク・リトル・リトル神話集
    4.0
    今世紀アメリカが生んだ最大の恐怖小説家ラヴクラフト。彼が深化させた宇宙的恐怖の大系は、今日なお後出の作家達によって連綿と書き継がれている。ラヴクラフトをはじめとする8名の作家による傑作11篇を収録。

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  • 野鴨
    3.0
    はかなく取りとめない日常の中に現代の至福を描き出す長篇小説。家族を愛し人生を慈しむ――丘の上に住む作家一家。息子たちは高校生・大学生になり、嫁いだ娘も赤ん坊を背負ってしばしばやってくる。ある時から作家は机の前に視点を定め、外に向いては木、花、野鳥など身近な自然の日々の移ろいを、内では、家族に生起する悲喜交々の小事件を、揺るぎない観察眼と無限の愛情を以て、時の流れの中に描き留めた。名作『夕べの雲』『絵合せ』に続く充実期の作家が、大いなる実験精神で取り組んだ長篇。 ◎庭に来る鳥や、庭の樹木から書き起こされる章が多いが、人の心が自然現象のなかに融け、照らし出されているように感じられる。八章には、「四十雀が飛び立ったあと、水盤の水に映った空が揺れている。」という小景描写があった。水面が揺れているのではなく空が揺れている。こんなところを読むと、今、見ているような気がする。昭和の小説には、このような豊かさがあった。<小池昌代「解説」より>
  • 室町記
    5.0
    日本文化の核を育み、社会の階層をかき回した、渾沌と沸騰の200年! 豊かな乱世の絢爛たる文化―― 日本の歴史の中でも室町時代の200年ほど、混乱の極みを見せた時代はなかった。が、一方では、その「豊かな乱世」は、生け花、茶の湯、連歌、水墨画、能・狂言、作庭など、今日の日本文化の核をなす偉大な趣味が創造された時代でもあり、まさに日本のルネサンスというべき様相を呈していた。史上に際立つ輝かしい乱世を、足利尊氏や織田信長らの多彩な人物像を活写しつつ、独自の視点で鮮やかに照射する。
  • 考えるよろこび
    4.0
    江藤文学への最高の入門書。『漱石とその時代』執筆当時に行った、若き著者の知性とユーモア溢れる講演録。表題作の他「転換期の指導者像」「英語と私」など、全6編――アメリカから帰国し、名作『漱石とその時代』を準備中の、1968年から69年にかけて行われた若き日の6つの講演。現代における真の「英知」とは何か……歴史を探り、人物を語り、表現の謎に迫り、大学や国際化の意味を問う。軽妙なユーモアと明快な論理、臨場感あふれる語り口で、読者を一気に江藤文学の核心へといざなう。多くの復刊待望の応え、甦った歴史的名講演集。 ※本書は、講談社文庫『考えるよろこび』(1974年9月)を底本としました。
  • 旅の話・犬の夢
    -
    若き文学者・江藤淳のほとばしる好奇心、躍動する批評精神。旅先での思索、愛犬との日常――ロンドンでターナーと漱石の内的現実について考え、ドイツで音楽生活の厚みと欧州人の厳格な孤独に触れ、ウィーン国立歌劇場の爛熟と洗練を極めたオペラに酔い、アメリカで世阿弥を読み自己の核心を支えるものを発見し、東京で愛犬ダーキイを傍らに思索を重ね執筆する。著者が20代後半から30代にかけて、横溢する好奇心と旺盛な行動力、躍動する批判精神で綴った、随筆集の名著。
  • 地図で読む松本清張
    3.9
    日本推理小説界の巨星・松本清張の作品の舞台を地図とともに解説する書籍。地図と合わせて読むことで、作品の世界観は一層深みを増したものになります。本書で扱うのは『ゼロの焦点』『砂の器』『点と線』『火と汐』『時間の習俗』『或る小倉日記伝』『波の塔』『球形の荒野』『Dの複合』『眼の壁』『天城越え』の全11作が揃った完全版。巻末には多くの清張作品の舞台となった昭和30年代の中学校地図帳も復刻して収録。ほかにも、清張作品に登場する鉄道路線や列車名がわかる資料もあり、清張ファンのみならず、鉄道ファンも垂涎の一冊。
  • 新編 真ク・リトル・リトル神話大系1
    3.5
    1~6巻1,584~1,689円 (税込)
    H・P・ラヴクラフトが創造し、A・ダーレスを初めとする作家たちによって拡大しつづける“ク・リトル・リトル神話”の真なるアンソロジー、待望の新装版。狂気のアラブ人、アブドゥル・アルハザードが記した魔道書『死霊秘法(ネクロノミコン)』が初めて登場する「廃都」、邪神クァウグナール・ファウグンとの戦いを描いた「夜歩く石像」など、“ク・リトル・リトル神話”創生初期の名作を収録。

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  • 全員少年探偵団
    3.6
    1巻1,650円 (税込)
    霧の中から現れる怪しい灰色の紳士カクイ。 呪われた美しい首飾り。 美しいバイオリニストの少女。 名探偵明智小五郎。 そしてわれらの少年探偵団。 江戸川乱歩の生誕120年を記念したオマージュ作品! 少年探偵団の活躍の場を現代に移し、新しさと懐かしさを纏いながら、今こそ“彼ら”が藤谷治の手によって復活する!
  • ビオレタ
    3.8
    1巻1,650円 (税込)
    婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、道端で大泣きしていたところを拾ってくれた菫さんが営む雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。 そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店。 何事にも自信を持てなかった妙だが、ビオレタでの出会いを通し、少しずつ変わりはじめる。 人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、心のすきまにしみこむ温かな物語。 選考委員の満場一致で選ばれた、第四回ポプラ社小説新人賞受賞作。
  • 風船 ペマ・ツェテン作品集
    5.0
    映画監督としても注目されるペマ・ツェテンの小説家としての魅力、そしてチベット文学の魅力を伝える作品集。 草原に暮らす羊飼いの家族たち。その穏やかな生活のなかにある、秘められた葛藤と孤独を描く表題作「風船」のほか、仏教的世界観と近代的価値観が混じり合う現実を生きるチベットの人々をユーモラスに、幻想的に、時にリアリスティックに描いた短編6作品を掲載。ほか、自伝的エッセイと、訳者解説も所収。
  • 物語を歩く 「押絵と旅する男」他
    -
    1巻1,870円 (税込)
    江戸川乱歩の「押絵と旅する男」から 【取り憑かれた人間】をテーマとして抽出、 江戸川乱歩、松本清張、正岡子規作品を読み解く。 物語・俳句が伝えるものと、 生命をかけてそれを生み出す人間の心理に迫る。 引用するテキスト、題材は以下の通り。 「押絵と旅する男」(江戸川乱歩)、 「段碑」「石の骨」「真贋の森」(松本清張)、 浦上玉堂の芸術、松尾芭蕉、正岡子規の俳句と生涯。 多岐にわたる作品、関係者の物語を縦横無尽に巡り、 比較文学の醍醐味を味わう。 人は一途に何かを追い求め、命を燃焼させて、この世を去っていく。 江戸川乱歩、松本清張、松尾芭蕉、正岡子規らの 作品・人生を通して見る、取り憑かれた人間の悲哀と幸福。 ■目次 プロローグ 「押絵と旅する男」 ・「押絵と旅する男」の詳しいあらすじ ・「押絵と旅する男」の分析 第1部 松本清張の短編小説から ・「断碑」 ・第一章 「断碑」の詳しあらすじ ・第ニ章 藤森栄一と『二粒の籾』 ・第三章 「断碑」の分析 ・第四章 森本六爾と妻ミツギの軌跡 ・「石の骨」 ・第一章 「石の骨」の詳しいあらすじ ・第ニ章 「石の骨」の分析 ・第三章 『旧石器の狩人』 ・「真贋の森」 ・第一章 「真贋の森」の詳しいあらすじ ・第ニ章 「真贋の森」の分析 第2部 浦上玉堂 第3部 芭蕉物語 第4部 正岡子規の世界 エピローグ 俳句あれこれ ■著者 佐藤義隆(サトウヨシタカ) 1948年、父光儀、母タツの次男として、長崎県大村市に生まれる。 南山大学大学院文学研究科英文学専攻博士課程修了。 元岐阜女子大学文化創造学部教授 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
  • アヒル命名会議
    3.7
    1巻1,980円 (税込)
    神「お前、なんで生きとる?そんなことで次の天地創造までやっていけると思うのか?」ーー仕事、友だち、家族、恋人、性別、神様…新時代の自由を拓く稀代のアーティスト、待望の初小説集。後藤正文氏推薦
  • 文豪の名句名言事典
    -
    1巻1,980円 (税込)
    文豪たちの語彙力で豊かな日本語生活を! 日本の名著で使われた語句・成句をピックアップした「読む事典」。参照した作品は約250、語句・成句は1200以上! 「逸楽」「永訣」「蛇蝎」「払暁」「容喙」などのふだん馴染みのないものから、「愛着」「葛藤」「呪縛」などよく使うものまで、その意味とともに例文を明示。語彙力を高め、美しい日本語に触れることができる本。 【本文例】 暗合【あんごう】思いがけなく互いに一致すること。偶然の一致。 ▽「僕のも去年の暮のことだ」「みんな去年の暮は暗合で妙ですな」と寒月が笑ふ。欠けた前歯のふちに空也餅が着いて居る。(夏目漱石『吾輩は猫である』) ▽夜中に鉄砲の音を聞いた人は十人をこしていた。その時間は丁度、かの女が先生の姿を見た時と暗合していた。二三日経っても師は帰って来られなかった。(武者小路実篤『幸福者』)
  • サンソン回想録 フランス革命を生きた死刑執行人の物語
    3.3
    パリの死刑執行人〈ムッシュー・ド・パリ〉を代々務めるサンソン家の4代目当主として、ルイ16世、マリー・アントワネット、ロベスピエール、サン‐ジュストら、3000人余を手にかけた男、シャルル‐アンリ・サンソン―― サンソン家に代々伝わる資料と直接取材を基に、フランスを代表する文豪バルザックが描く、革命期を生きた処刑人の物語を、待望の本邦初訳!

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  • 芭蕉
    -
    芭蕉は、俳諧の大成者であるとともに、日本美の極限を生きた。著者が心血をそそいだ、読売文学賞受賞作の『芭蕉』は、必読の座右の書として、不朽の光を放っている。そのほかに、著者の芭蕉に関する重要評論も収録した全集版。
  • 釈迢空 短歌 その器を充たすもの
    -
    釋迢空すなわち折口信夫は、著者の青年時代からの師であり、決定的な存在であった。その影響と、そこからの超脱が、著者の文学者としての歩みといえよう。本書収録の2著作『釋迢空』『短歌 その器を充たすもの』は、師と著者とのあいだに発せられた光芒である。
  • 青葱(第4回大藪春彦新人賞受賞作)
    3.3
    1巻202円 (税込)
    話題の新人を続々輩出する大藪春彦新人賞、第4回受賞作! ●今野敏 選評(抜粋) 日常生活の描写と、殺人・死体遺棄とのミスマッチが、なんともいえないおかしさを醸し出している。話の先が気になって、ついページをめくってしまった。 ●馳星周 選評(抜粋) 物語の進め方も、クライマックスの盛り上げ方も文句ない。 ●徳間書店文芸編集部編集長 選評(抜粋) 主人公、母、祖母。三人の女性が死体隠蔽をめぐって右往左往する様は、時に笑えて時にゾッとする、極上のサスペンスになっていました。 ●あらすじ 母から、祖母が徘徊でいなくなってしまったという連絡を受け、ひかりは約半年ぶりに実家に帰ってきた。 仏間に横たわっている父の姿。そして母の言葉。 「おばあちゃんが、殺してしもてん」 台風が通り過ぎ、昨日までの悪天候が嘘のように日射しが明るい。 ひかりは、警察で取り調べを受けるなか思い返していた。実家で起きた、あの出来事を……。 ※受賞作のほか、選評および受賞の言葉を収録
  • P+D BOOKS 怒りの子
    -
    三人の女性の緊迫した“心理劇”。 「あんたの中に、怒りの子が見える……人のうちに、潜んでる、外から見えんけど、何処かにいる、人の奥のほうに。」  自分自身のやりたいこと、望んでいることなどが定まらず、ビジネス学校に通いつつ悶々とした日々を送る主人公・美央子。美央子が姉のように慕う、どこか浮き世離れした雰囲気を持つ初子。そして美央子と同じアパートに住み、親しくするそぶりを見せながら、いちいち美央子の感情を逆撫でしていくますみ――。3人の感情は、初子の義弟・松男の存在を触媒として、大きく揺れ動いていく。  人間の心情を、平易な言葉を使いつつ、豊かな描写力で見事に描ききった、第37回読売文学賞受賞作。
  • 元カレの猫を、預かりまして。
    4.1
    1巻660円 (税込)
    仕事にお疲れな34歳独身OL・まさきのもとに、突然元カレからの電話が。「しばらく預かって欲しい」と頼まれたのは、ふてぶてしい一匹の雄猫だった。猫は「しばらく面倒みたってや」と関西弁を喋りだし、まさきに対して人間顔負けの恋愛指南をはじめて…!? 恋に不器用な女性とわがまま猫が繰り広げる、もふもふラブコメディ。
  • P+D BOOKS 三つの嶺
    -
    1巻715円 (税込)
    義妹・マリアが選ぶのは双子の兄か弟か?  名峰ドライチンネで遭難死したイタリア人ガイドの娘・マリアは、ガイドのバディーであった日本人・鳥羽省造の元に引き取られ、2歳上の双子・博、豊とともにすくすくと成長する。10歳だった少女は、双子と同じく山登りが大好きな美しい女性になり、やがて省造が勤める会社のマスコットガールを務めるまでに。一方、大学生になっていた博と豊は、マリアへの募る思いを抑えることができず、ほぼ同時に愛を打ち明ける。  ふたりのどちらかを選ぶことができないマリアは、タレント活動に没頭する日々を送るが、ある日、博と豊が北アルプスで遭難したという知らせを受けて――。  きょうだいだが恋愛も結婚もできるという微妙な関係にある3人が織りなす、山を背景とした濃厚な人間ドラマ。
  • バイバイ、ブラックバード<新装版>
    3.8
    星野一彦の最後の願いは、何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気「上品」──これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。ふたりのなんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー 。<特別収録>伊坂幸太郎ロングインタビュー。
  • 黒沼 香月日輪のこわい話
    4.5
    無邪気に見える子供の心にさえ巣くう「闇」をまっすぐ見据えた身も凍る怪談と、日常と非日常の間に漂う世にも不思議な物語。 夜中、読んじゃダメ。怖いけれど懐かしい。きっとあなたのすぐそばにも、奇妙な世界が存在する。放課後の学校で「永遠の鬼ごっこ」をする少女 たち、森の奥の禁断の地、海から男を呼び続ける人魚……。無邪気に見える子供の心に潜む〈闇〉や、ふとした瞬間に迷い込んでしまった奇妙な非日常を描いた背筋も凍る作品集。話題の新装版『桜大の不思議の森』の桜大が幼少期に体験した、祭りの夜に起きた不思議を描いた「黒沼」を収録。 目次 このさき、危険区域~学校のこわい話 ランドセルの中 たたずむ少女 扉の向こうがわ 呪い 鬼ごっこ   忘れもの 聖母 黒沼 譚の部屋 ねこ屋 鬼車 再見 海を見ていた はげ山の魔女 人魚の壷 海を望む窓辺に 春疾風 断崖 春 茶屋の窓辺にて候 文庫版あとがき
  • 黒白の起点 飛騨高山殺意の交差
    -
    この女、一体、何人殺ったんだ!? 札幌・飛騨高山・上高地…流行作家と その秘書がたどり着いた真相! 長篇旅情ミステリー。 小森甚治は流行作家・野山遊介の秘書だ。 野山が書き散らした原稿を整えたり、 作品に必要な取材をして資料を準備したりするのが仕事である。 ある日、野山は偶然新宿で知り合ったホームレスの男から興味深い話を聞き、 作品にしたい欲求にかられる。 小森はその男からさらに話を聞くことを依頼されるが、 男は失踪し、やがて上高地の梓川で死体で発見された!? 調査を進めるうちに、男が経営していた札幌のクラブのホステスで、高山出身の女がいることが判明する。 飛騨高山で交差する連続殺人事件の真相は?
  • 家族会議
    4.0
    1巻792円 (税込)
    官能とバイオレンスの大家が70代で描いた「家族」を揺るがす一大事な物語7篇。 「姉妹」 子供が巣立って、夫婦だけの二人暮らし。夫は自分が先に逝くと思っていたが、妻が半身不随に。食事や入浴の世話で生活は一変した。妻の妹が同居して助けてくれたまでは よかったが……。 「ダブルベッド」 娘の披露宴に出席する両親。しかし、二人は別れて12年の元夫婦。娘と新郎の願いでこの日だけ夫婦のふりをしなくてはならなかった。 ほか、急死した呑み屋のママの葬儀で常連客が次々と暴露する秘密(「遺骨」)、元ヤクザの父親が遺した遺言状のあまりな内容に驚く息子(「遺産」)など、一筋縄でいかない仕掛けが満載。大家の筆の凄みを堪能できる極上の短篇集。
  • 怨み籠の密室
    3.4
    大学生の飛渡優哉に故郷の謂名村は禁断の土地だった。しかし、父が死に際の言葉を聞いて、病死した母は殺されたのではないかと思い、謂名村を訪れる。だが、待ち受けていたのは首吊り死体だった――。完全密室の謎を解いた果てに見えてくるのは、悲哀に満ちた家族の物語。探偵・海老原浩一シリーズ最新作!
  • 天使と悪魔のシネマ
    値引きあり
    3.8
    結婚を控えた地下鉄の運転士、酔って駅のホームに立つDV男、仕事を辞め恋人も失った無職の若者……狙いをつけた人間の行動に絶妙なタイミングで介入し、運命の調整をはかる天使と悪魔。関りがないように見えていた登場人物たちを背後で接近させ、より合わせ、人間たちが気づいていないもうひとつのドラマを浮かび上がらせていく――。怖いのにちょっと笑ってしまう運命の舞台裏、天使と悪魔がつむぐ「ふつうの人たち」の物語。
  • 斗星、北天にあり  出羽の武将 安東愛季
    4.2
    信長、秀吉と渡り合った智将が秋田にいた! 綿密な資料研究で初めて描き出される、知られざる英雄の人生とは!? 齢十五にして安東家を継いだ八代目当主、愛季は胸を滾らせた。国の安寧は、民を養ってこそなせるもの。そのためにも、かつて東北有数と言われた 野代(能代)湊を復興してみせる。「載舟覆舟」の国造りを始めた愛季だが、次々困難に直面する。檜山と湊、両安東家の統一、蝦夷との交易、 中央勢力の脅威————。「斗星(北斗七星)の北天に在るにさも似たり」と評された稀代の智将を描く本格歴史長編。
  • カリスマvs.溝鼠 悪の頂上対決
    3.0
    登場人物、全員が欲まみれ! 狂気・変態モードのノンストップ暗黒小説! かつて、カリスマと呼ばれたカルト宗教の教祖がいた。 カネと女に目がないイケメンだ。 そして、溝鼠の異名を持つ復讐代行屋がいた。 誰もが振り向く絶世の美女だ。 二人は住む世界は違ったが、ともにドス黒い欲望にとらわれた悪の化身だった。 あれから十七年。二人を継ぐ者が現れた。 一人は男、もう一人は女。 教祖の超悪オトコを極悪オンナの復讐代行屋が追い詰める。 闘いの中で次々と増殖してゆく悪意と悪行。 悪党小説の代表者・新堂冬樹が描く『カリスマ』『溝鼠』の続篇となるノンストップ暗黒エンターテイメント!
  • 日本近代文学の起源 原本
    3.8
    「歴史主義的普遍性」の基盤を大胆に覆す鋭い知性。 新たな思考の視座を極めて丹念に布置・構築して行く、最も現代的な「知の震源」柄谷行人の、鮮やかにして果敢な挑戦。 名著『マルクスその可能性の中心』につづく柄谷思想の原点となる歴史的快著。
  • ほたるいしマジカルランド
    3.7
    1巻1,760円 (税込)
    大阪の北部に位置する蛍石市にある老舗遊園地「ほたるいしマジカルランド」。「うちはテーマパークではなく遊園地」と言い切る名物社長を筆頭に、たくさんの人々が働いている。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフ、花や植物の管理……。お客様に笑顔になってもらうため、従業員は日々奮闘中。自分たちの悩みを裡に押し隠しながら……。そんなある日社長が入院したという知らせが入り、従業員に動揺が走る。
  • 鏡の中を数える
    5.0
    タイの人気作家プラープダー・ユンの、日本オリジナル編集による短編集。2002年、29歳にしてタイの最も権威ある文学賞である「東南アジア文学賞」を受賞した『存在のあり得た可能性』を含め、タイで発表された初期の人気短編集などの中から12編を厳選し、宇戸清治氏が構成・翻訳した2007年の同名書籍の電子版です。どの作品にも実験的アイディアとタイ語の言葉遊びが散りばめられ、日本の日常にそのままあてはまるほどリアルでクールな視点もみずみずしく、読む者に不思議な読後感をもたらします。著名な父を持つがゆえに「親の七光り」と向き合わざるを得ない複雑な自我を描いた「バーラミー」や、手から紙片が滑り落ちてから、屈んでそれを拾うまでの間の長大な追憶「存在のあり得た可能性」など、その新鮮な構想力と、散弾銃のように続く濃密でピュアな言葉の連射は「文芸アート」とも言えるもの。2000年代東南アジアの文学の季節に萌芽した傑作短編集として長く愛されることでしょう。

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  • 俺たちはそれを奇跡と呼ぶのかもしれない
    3.7
    「俺」はいったい誰なんだ? 目覚めるたびに別人に成り代わる。年齢も性別もバラバラで、脈絡があるのかどうかもわからない。そんな状況で目にした「カップル連続惨殺犯」の文字に「俺」は強い衝撃を受ける。この不可解な現象は、この事件に関係している? まさか、「俺」が犯人なのか!? どこに連れて行かれるかわからない、一気読み必至の徹夜本!
  • 愛のかたち
    -
    1巻710円 (税込)
    親子の葛藤、女の友情、そして運命の出逢い。5人の男女のさまざまな愛のかたちを、パリと京都を舞台に描き出す大河恋愛小説です。 表題作「愛のかたち」に加え、「南の島から来た男」を収録。いずれも、悲痛な運命に抗って力強く生きる登場人物の姿が、静かな感動を呼びます。国際派女優そしてジャーナリストとして世界中で活躍をしてきた岸恵子ならではの贅沢でスケールの大きな人生賛歌です。 ※この電子書籍は2017年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ライアー×ライアー  映画ノベライズ
    5.0
    SixTONESの松村北斗初主演映画、さらにW主演は今をときめく女優の森七菜。 ある日、軽い気持ちで友人の高校時代の制服を着て街に出た大学生の湊(みなと)は、偶然、同い年の義理の弟・透(とおる)と遭遇! しかも透は女子高生姿の湊に恋をしてしまい……!? 軽い「嘘」が積み重なって展開する、奇妙で素敵なラブストーリーの結末は? <すべての漢字にふりがなつき 小学中級以上 ノベライズ>
  • Y田A子に世界は難しい
    4.9
    自我を宿したAI内蔵人型ロボット・瑛子は、わけあって和井田家に居候中。家族の勧めで高校に入学し、目に映る景色が変わっていく。孤独な少女・風香との出会いや、いつもなにかと騒がしい一家との日々。友情とか親子とか、検索しても正解のない世界を、ロボットならではのフリースタイルで瑛子は突き進む! 鬼才のエッセンス全開のハイテンション青春AI家族小説!
  • 江戸橋慕情 決定版~研ぎ師人情始末(九)~
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    研ぎ師・荒金菊之助と同じ長屋の住人で、南町奉行所臨時廻り同心横山秀蔵の手下を務める次郎が、花魁殺しを捕縛した。しかし、下手人は大番屋から逃走してしまう。お人好しの菊之助は、必死に追う秀蔵と次郎の助をすることになるのだが……。隣長屋に越してきた謎の美人も絡んだ難問に菊之助が挑む! 稲葉稔の原点シリーズ決定版、涙するラストが待つ第九弾。
  • 8人のいとこ
    3.0
    すてきなおじさんとカッコイイ7人のいとこたち、 ローズがさいごに選ぶのは? ローズはひとりぼっち。ある日、すてきなアレックおじさんに ひきとられ、男の子ばかり7人のいとこと初対面!  さあ、“運命のとびら”がひらき、ローズの新しい生活がはじまります。 病弱でさみしかったローズに、いったいどんなことがおこるでしょうか。 世界の名作『若草物語』のオルコット作の、笑いと涙と愛にあふれた感動の物語。 さいごにローズが選ぶのはだれ? あなたならだれを選ぶ? <B世界の名作 小学中級から すべての漢字にふりがなつき >
  • 敗れざる者たち
    4.2
    勝負の世界に青春を賭け、燃え尽きていった者たちのロマンを描く、 スポーツノンフィクションの名作が、待望の新装版に! 燃え尽きたいと望み続けついに叶わなかったボクサー、 栄光の背番号3によって消えた三塁手、夭折した長距離ランナーの「思い」、 良血馬達との決戦に臨むサラブレッ ド― “勝負の世界に何かを賭け、 喪っていった者たち”をテーマに書き継がれた6篇。 著者の原点ともいうべきスポーツ・ノンフィクシ ョンの金字塔! 沢木耕太郎が、徒弟修業中の自分にひとつの可能な道筋が見えてきた、と語る、自身の出発点ともいえる記念碑的作品。 解説・北野新太
  • 鬼を待つ
    4.2
    飲み屋で男二人が喧嘩をした。一人は大怪我、殴った男は遁走の果てに首を吊った。町方にすれば“些末な”事件のはずだった。しかし、怪我を負った男が惨殺されたことから事態は大きく展開し、小間物問屋〈遠野屋〉の主・清之介の周囲で闇が蠢く。北町奉行所定町廻り同心の木暮信次郎と岡っ引の伊佐治が辿り着いた衝撃の真相とは――。一気読みのシリーズ第九弾。
  • 新選組の料理人
    3.5
    戦に焼けた京の町で炊き出しをすることになった新選組、料理ができる者がいない。滅法まずいその粥に文句をつけた菅沼鉢四郎は、原田左之助の命により剣を握らぬ「賄方」として新選組に入隊することに。菅沼は数々の難題に直面しながら、隊士の暮らしや愛憎、組織の矛盾を間近で目にしていく。食べ、生き、戦い、やがて歴史の波間に消える新選組を新視点から描く。
  • 姫島殺人事件 新装版
    3.0
    雑誌の取材で大分の姫島に向かう空港で浅見光彦は、何度か一緒に仕事をしたカメラマン、浦本智文に会った。彼は射爆場問題に揺れる日出生台に行くという。無事に取材を終えて東京に戻っていた浅見に、姫島滞在時に絡んできた男が殺されたという連絡が入る。事件の捜査は遅々として進まない様子だったが、突然、浦本が「会いたい」と連絡をしてきた――。
  • ウェンディのあやまち
    3.5
    二人の幼児が自宅に置き去りにされ、一人が餓死するという事件が発生した。物語に登場するのは、客の男にのめり込む恋愛体質のキャバクラ嬢、女優としてドラマ出演のチャンスが舞い込んだ女、自分を痛めつけるように働き続ける清掃員の女……。3人の女を繋ぐ、幼児餓死事件の真実とは――。人間の業を抉る衝撃のノンストップ社会派ミステリーが待望の文庫化!
  • ボーダレス
    3.6
    〈教室の片隅で密かに小説を書く女子高生と、彼女に興味を惹かれる同級生〉〈事故で失明した妹と、彼女を気遣い支える姉〉〈音大入試に挫折して実家の喫茶店を手伝う姉と、彼女に反発する妹〉〈年上の女性に熱い思慕を抱く令嬢〉交わらないはずの彼女たちの人生が一つに繋がるとき、待ち受ける運命とは!? 4つの物語(ストーリー)が交錯し、スリリングに展開する青春ミステリー。
  • トコとミコ
    3.9
    6歳から96歳まで、歴史に翻弄された二人のヒロイン。 伯爵家の令嬢・燈子と、遊び相手に選ばれた使用人の娘、美桜子。 ふたりはトコとミコと呼び合い、友情を育みながら、大人への階段を上っていく。 だが、終戦を境に伯爵家は没落、才気煥発な美桜子は実業界で成功し、燈子とその家を支えていく。 時に慈しみ、時に妬み傷つけ合いながらともに歩んだふたりの90年を描く、感動の大河ロマン! ※この電子書籍は2016年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 月夜に溺れる
    4.0
    神奈川県警生活安全部・真下霧生には子供が二人いる。長男は一人目の夫とその新しい妻と暮らし、長女は、二人目の夫と別れた後、母の力も借りて、彼女が育てている。元夫は二人とも警察官で、将来を嘱望された存在だ。霧生とて、あちこちの現場に駆り出される“使える”警察官だが、何故か、台風の目になりがちで……。警察小説に新たなヒロインがしなやかに登場!
  • 灼熱起業
    4.0
    1巻880円 (税込)
    サラリーマンで終わるつもりはない! 見果てぬ夢を追う男の物語。 放送局のエース営業マン・武田光司は、周囲の反対を押し切って退職、自転車の輸入販売を始めた。 商習慣の違いで失敗し、信頼する部下や取引先にも裏切られ、幾度も会社存続の危機に。 家族や仲間、先輩経営者に支えられ、急成長するスーパーマーケットでの販売に活路を見出すが……。 解説・高成田享 ※この電子書籍は2000年3月にKADOKAWA、2005年11月に講談社より刊行された文庫を、2021年2月に改題し刊行した文春文庫を底本としています。

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