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解体された東ドイツの宮殿、絶滅種のトラ、太平洋に沈んだ島、老いたグレタ・ガルボ……自然や芸術作品が雄弁に語り始める。テキストと、ダークな線画(カラーデバイスでの閲覧推奨)が織りなす夢の目録。第七回日本翻訳大賞受賞。
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Posted by ブクログ
目録となっているが、12篇の短篇集のようでもある。 今はない物への偏愛、憧憬と幻視による物へのオマージュ。論文調だったり、小説のようだったり、日記のようなものまであって一つ一つが面白い。 カスピトラがローマの見世物になったりフリードリヒのグライスヴァルト港の絵がリク川の源泉を辿る旅仕立てになったりし...続きを読むて想像の行くところがいい。 そして何より本としての佇まい、章ごとの仕切りの美しさ、ため息が出ました。
『ユリイカ』のハン・ガンのインタビューで「今読んでいる本」として挙げられていたもの。章ごとに差しこまれる黒い表紙には、光の加減でその章のテーマとなる「失われた物」のビジュアルが浮かび上がる。「失われた物」と続く物語の関連性が自分には上手く見出せずしたがい物語に入っていけず、眠くなることもしばしば。し...続きを読むかし「グライフスヴァルト港」の章は…… 良かった…… あの章だけ何度も読み返したいくらい。植物や野鳥に精通した目があれば、「自然豊か」のひと言で片付けられそうな光景も、あれほど精緻で優しい描きかたができるのだ。
棄ててしまった物、失われた物は二度と取り戻すことができない。世の中にはそういう物があるのに、処分しようとする「断捨離」という考え方には真っ向から反対する。その対極にいて、物を棄てられない質の自分にとって、この本の序文は心に響いた。 本書は、12点の「永遠に失われた物」を取り上げている。ただし、その「...続きを読む物」についての解説は最初の一葉程度で、口絵も無く、ただ各章の間の黒いページに墨色で図版があるのみ。それについて知りたければ、Wikipediaなりで調べる必要がある。つまり、本書はそのような「失われた物」についての博物図鑑では無い。 代わりに、もう存在しない物に思いを馳せた、散文詩であったり、紀行文であったり、随筆であったり、物語であったり、それぞれ違う形態の文章が、本書の血肉を成している。 正直、実体の無い物にインスパイアされた作者のとりとめのない文章は、理解しづらいところもあり、共感が無いと読み進めるのは難しい。ただ、その文章そのものに意味は無いと割り切って、作者の言葉の海にどっぷり溺れるのが、正しい楽しみ方なのだろう。 漆黒の表紙と各章に差し込まれた黒い頁、原著の大変素晴らしい装丁を、翻訳書ながら再現しているのは嬉しい。 すでに無い物を、そこにあるかの如く想像を膨らませて文章にするのは、「断捨離」の対極ではなく、そのずっと先、行き着く先にあるのではないか、そんなことを感じさせる本だった。
地図から消えた島、絶滅した生きもの、散佚した古代の詩、燃やされた聖典……。歴史上たしかに存在していながら今は消えてしまった、あるいは存在しないことが明らかになってしまったゆえに忘れ去られてしまった物たちに捧げる、黒と金のレクイエム。 墓石、それともモノリスのような佇まいのハードカバーを開くと、各...続きを読む章ごとが濃い藍色のページで区切られ、そこに鈍金色で刷られた章のモチーフがうっすらと浮かびあがる。それは今はない島が載った海図だったり、一角獣の骨格だったり、廃墟と化した貴族の屋敷の在りし日の姿だったりする。 ドイツでブックデザインの賞を獲ったというのが納得の、一目で惹かれる存在感。中身はまた私好みのエッセイと創作のあいだを行き来する作風で、澁澤の『唐草物語』『ドラコニア綺譚集』からユーモアを引いて、山尾悠子『歪み真珠』のマテリアリズムを与えたような感触。 コロッセオでライオンと闘うことになったトラ視点の「カスピトラ」、ピラネージとユベール・ロベールの邂逅を幻視した「サケッティ邸」、サッフォーをめぐる虚実入り混じる「サッフォーの恋愛歌」、忘却物の保管庫になった月にすむ男のモノローグ「キナウの月面図」などが印象に残った。文体も章ごとに変わり、「マニの七経典」はボルヘス風、「グライフスヴァルト港」は動植物の名前がたくさんでてきて梨木香歩みたい。 モチーフと物語のあいだにあまり飛躍がなく、創作ベースのものはありきたりな感じもした。その分、文章はとても端正で、装丁の佇まいに惹かれて読んだ期待は裏切られない。
読者を選ぶ本。博物学や、内容紹介で挙げられているモチーフに惹かれた人には面白いかもしれない。でも文体も話ごとにバラバラでどうしても苦手な文体もあったし、基本的に教養が高い人じゃないと単語がいちいちわからず調べたりするはめになる。きりがないのでわからないまま読み飛ばしたりしたけれど、本当は全部わかって...続きを読むいないと話の奥深さが理解できないんだろうなあ、と思う。わかるものについては、知的好奇心を刺激されてすごく面白かった。著者の博学と美意識の高さに感嘆した。
文章と装丁によって創り上げた「本」という空間、その著者の ヴィンダーカマー(博物陳列室)に収められた十二の物語。 ・はじめに ・緒言 ・ツアナキ島・・・失われた島への夢想と島を求める冒険家たち。 ・カスピトラ・・・古代ローマのコロッセオ。死せる運命にも 本能を露わにする、絶滅したトラ...続きを読むの生き様。 ・ゲーリケの一角獣・・・山岳地帯で執筆する数日間のエッセイ。 ・サケッティ邸・・・廃墟画家たちと描いた廃墟の運命。 ・青衣の少年・・・グレタ・ガルボの漂っているような散歩での独白。 映画「青衣の少年」は「吸血鬼ノスフェラトゥ」の監督の ムルナウの第一作目。失われた映画にガルボが関係してた というオマージュかな?(接点が不明) ・サッフォーの恋愛歌・・・現存するサッフォーの詩の断片と 彼女に纏わる様々な事項の考察。 ・フォン・ベーア家の城・・・かつて暮らした家の側に、城の残骸と 公園があった。そして現在は・・・幼き日の想い出。 ・マニの七経典・・・預言者マニは語る、書く。光と闇、宇宙観。 聖典は燃やし尽くされても言葉は残る。断片であろうとも。 ・グライフスヴァルト港・・・リク谷からグライフスヴァルト港までの 水と自然、時の移ろいを辿る紀行。 ・森の百科事典・・・人間の知識を集めた森の百科事典へようこそ! すごいな、こんな場所を作って隠遁してた人がいるとは! ・共和国宮殿・・・共和国宮殿が権威を誇っていた頃の、東ドイツの 日常。だが非日常の出来事が夫婦に・・・。 ・キナウの月面図・・・植物学から月への興味が高まったキナウは、 ついに月へ到達し、保管庫へ。SF的作品。 人名索引、掲載写真等一覧有り。 各物語の始まりは、黒地に淡い金で失われたモノが 幻のように浮かび上がっている。 各16ページ、冒頭にモノについての説明、続いて本文の、構成。 過ぎ去ったもの、忘れられたもの、言葉を失ったもの、 なおざりにされたもの等を書くことによって取り戻す物語集です。 残るほんの僅かな断片から、夢想し、紡ぎ出される物語。 小説、エッセイ、紀行文等、様々な手法で仕立てられています。 失われても、断片であっても、書くことで記憶は残るでしょう。
2021年NHKラジオドイツ語講座のテキストでドイツ文学を毎月一冊紹介していた中から。 失われた物を展示する博物館に陳列された物の背後あるストーリーを、著者の想像を膨らませて書いたエピソード。読み始めて、文章が長い。説明が冗長。教養書読んでるみたい。飲み込みのに頭のしわ使う。しんどいな〜と思いつつ...続きを読む、読み続けると、口語調のストーリー(でも説明くどいけど)もあり、あ、この著者、こんな現代調の話も書けるんだ、と気づく。 失われた物にスポットを当てるアイデアと、本の装飾という著者の作家以外の職業を掛け合わせた作品は、読み物としてのみならず、ハードの本の芸術も鑑賞。失われた物という事で、黒地に薄い絵が浮かび上がる絵が不気味でよく目をこらさないと見えない。 描写が詳細だが表現が少し古く固いので、読んでいて鮮やかに舞台が想像できるとまでいくストーリーがそこまで多くないのが残念だが、逆に印象に残るのが、自分の目に浮かべられたストーリーなのだと気づく。 ペルシャトラの闘いは死闘が目の前で起こっていたようだった。最期、敵のライオンと交尾しても絶滅する運命に圧倒された。 東ドイツの宮殿。あれは、元アスリートカップルの満ち足りない人生の話?取り壊された宮殿と、東ドイツという貧しい世界の物悲しさを重ねているの?よくわからなかったが、なんとなく好きな話。 港の話は、植物の名前がたくさん出てくる。どれも知らないから、想像できない。もっと植物知ってると違った感想だったろう。 結構読むのにしんどかったので、別の作品に手が伸びるかどうか。デザインを愛でる目的から行くか?
題名で読むことを決めたので、どういう内容かは全く把握しないまま読み始めた。 失われてしまったもの12個に関する話を短編小説のような形で書いたもので、翻訳ということもあって正直読み進めにくかった。 お気に入りは、森の百科事典と共和国宮殿。
緒言を読むのから、結構な気力・知力を要求される。 地図と、辞書またはスマホを側に置きながら読み進めないと、文字だけが頭を流れて、イメージが浮かばず、世界が形作られない。 様々な文体、対象について描かれていて、この本の読書を通じて、この本に慣れることはなく、常に挑むような感覚。 一読だけでは内容を...続きを読む掴みきれない。時間を置いて、もう一度読み、咀嚼したくなる。
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