小説 - 講談社文庫作品一覧

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  • いのちある限り ある脳神経外科医の記録
    -
    車に撥ねられ、頭部を強打するという、一瞬の事故。「死んだ方がましだ」と叫ぶ患者を励まし、献身的努力を傾けつづける医師と、絶望的な苦しみに耐えて生きつづけようとする一人の人間をめぐる、愛と悲しみの記録。生命の尊厳、安楽死への疑問、医療と社会とのひずみ、植物人間や後遺症の問題を考える。著者の執刀でかろうじて一命をとりとめた人とその家族との苦闘の日々を描く。増え続ける植物人間、医療のこころを訴える、感動の力作!
  • いのちとかたち 天際の借景
    -
    日本美の根源を求めて極めた、美論の成果。源氏物語や枕草子などの古典文学、肖像画・絵巻・茶・花などの伝統芸術、日本人の自然観・芸術観などについて、綜合的な思索を展開。古典、詩、文芸批評の果てに、著者が行きついたのは、日本美への源流であった。『いのちとかたち』は著者50年の文業の結論であり、日本文化研究の輝かしい達成であった。野間文芸賞受賞作品。
  • 命の遺伝子
    3.5
    ベルリンでの講演直後、天才遺伝子科学者トオル・アキツは何者かに攫われ、爆破事件で吹き飛ばされた男の手首を見せられた。四十代のものに見える手首の主は、生きていれば百歳を超えるナチス武装親衛隊の大佐だという。謎を解明するためブラジルの奥地へ向かったトオルの前に、ナチスの壮大な陰謀が姿を現す。
  • 居場所もなかった
    4.0
    気にいっていた住居を追い立てられて新しい部屋を捜すことになった独身女性作家の「私」。オートロック付きの部屋に固執する「私」と不動産屋との間には奇妙で不毛なやりとりが重なり、真剣になればなるほどズレが生じる。そのおかしみを描く怒りと涙の住い捜しの奮戦記。表題作に短編「背中の穴」を併録。(講談社文庫)
  • イベリアの雷鳴
    4.2
    1~12巻712~1,047円 (税込)
    総統暗殺!?1940年。内戦の痛手いまだ癒えぬスペインでは、フランコ殺害を企む一派が活動を続けていた。ジブラルタルを巡り、日英独の諜報戦が熾烈を極めるマドリードに現れた日系ペルー人の宝石商・北都昭平は、やがて激動する歴史の渦へと巻き込まれていく。苛烈な闘いを緻密に描くエスピオナージ。
  • イベリアシリーズ合本版
    -
    1940年、内戦の痛手いまだ癒えぬスペインでは、フランコ殺害を企む一派が暗躍する。ジブラルタルを巡り、日英独の諜報戦が熾烈を極めるマドリードに現れた日系ペルー人の宝石商・北都昭平は、やがて激動する歴史の渦へと巻き込まれていく。『イベリアの雷鳴』『遠ざかる祖国』『燃える蜃気楼』『暗い国境線』『鎖された海峡』『暗殺者の森』『さらばスペインの日日』の7篇からなる、著者畢竟のエスピオナージ大作が遂に完結!
  • 違法弁護
    3.6
    横浜の巨大法律事務所の勤務弁護士・水島由里子は、女性初の経営弁護士の地位をめざし、貿易会社の法的危機管理を担当。しかし、クライアントの連中は古ぼけた倉庫の中に何を保管していたのか、まさかその秘密を守るために警察官を射殺したのか? 最高検も動いている!? このままでは弁護士生命まで絶たれてしまう……! 乱歩賞受賞後第一作。(講談社文庫)
  • 今は幻 吉原のものがたり
    -
    高村光太郎がモナ・リザと仰いだ吉原の聖女大火前夜の廓に織りなされる、悲しくも粋な女たちのドラマを淡々とした筆致で描くノンフィクション――吉原遊廓にひときわ高くそびえる角海老楼の時計台。その下で働くことになった娘おふよの見たものは? 華やかなおいらんたちの悲しい素顔、高村光太郎や志賀直哉ら文学者との意外なドラマ……。桜花爛漫のある日、紅蓮の炎とともに最後の「江戸」のすべては灰燼に帰した、明治44年、吉原炎上。江戸情緒をはぐくんだ廓の最後のきらめきを描く。
  • いま日は海に
    -
    欺き利用するだけの男のために、その困窮した生活を援助し、空を飛びたいという男の捨てきれぬ夢を叶えさせようとする加陽子。長い長い歳月の後に、やっと男が自分を振りかえろうとしたとき、悲劇が起こる。報われることを望まず、ただひたむきに愛し尽すことに心身を捧げる純粋な愛の勁さと美しさを描いた名作。
  • 嫌な奴
    4.1
    学生時代に杉本の「親友」だった、粗暴で自己中的な男、三浦。病に臥せる三浦を、杉本は十二年ぶりに病院に見舞う。そこから再び始まった二人の奇妙な関係は、不本意な同居生活まで発展する。これはいったい、友情か、愛情か、執着 か……。傑作BL『箱の中』の作者が、執拗かつ理不尽な同性同士の愛を描く。 カバーイラスト:丹地陽子
  • イヤミス短篇集
    3.4
    小学生の頃のクラスメイトからかかってきた一本の電話。「覚えている?会おうって約束したこと」。その声から蘇る、憧れだった美少女の顔。それはノストラダムスが人類滅亡を予言した一九九九年七月の出来事だった(「一九九九年の同窓会」より)。他人の不幸は蜜の味。甘い六篇が詰まった著者初の短篇集。
  • イラク高校生からのメッセージ 日本の若い世代へ
    3.0
    「僕の人生どうなるの? 生きるの? 死ぬの? 戦争はいや! 平和に暮らしたい! 日本のみなさんは広島や長崎を忘れないから、この気持ち分かりますよね」――イラク戦争下で高校生が綴った切実な熱き訴え。バグダッドに滞在していた大学生の著者が、体験ルポを加えた、現地で託されたメッセージ!
  • 異類婚姻譚
    3.4
    子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言する夫は大量の揚げものづくりに熱中し、いつの間にか夫婦の輪郭が混じりあって…。「夫婦」という形式への違和を軽妙洒脱に描いた表題作が第154回芥川賞受賞! 自由奔放な想像力で日常を異化する傑作短編集。
  • 入れ換った血
    -
    保存されていた自分のへその緒の血液型鑑定をした医者が、おのれの過去の謎を追う。そしてつきとめた驚愕すべき血の運命の真相とは…(表題作)。旅の途中、一夜をともにした女の不思議な肌の秘密とは…(「棘|のある肌」)など、医学がかかわるミステリーの粋な6編。リアリティーと合理性に、ロマン性がみごとに加味された、佐野ミステリー短編集。
  • 色判官絶句
    -
    舞台は中国、明の時代。港町の寧波(ニンポー)に都から色男の判官、柳禎之(りゅうていし)がやってきた。迎えうつのは海の荒くれどもを従え、港を牛耳る若き女傑、高悠環(こうゆうかん)。その美貌とはうらはらに、火竜娘(かりゅうじょう)と呼ばれるほど気性は激しい。そこへ彼女に好意を寄せる呉家の頭(かしら)、鷹訓(ようくん)もからんで……。恋と権力、冒険。痛快無比の中国ロマン。
  • 淫具屋半兵衛
    3.0
    密貿易の謎を解け! 日本一の淫の求道者・半兵衛が、江戸を奔る! ――浅草寺裏手で商う仏壇仏具の浅深屋半兵衛は、じつは腕利きの淫具職人。武家の姫君から吉原の遊女、尼僧まで、あらゆる身分の女性がお得意様だ。そんな半兵衛に、大名の奥方が義妹の観月院を還俗させよとの密命が下る。その裏には、さる雄藩の醜聞が秘されていた。淫道の相方・美雪とともに、半兵衛が奔る!
  • インド三国志
    3.5
    インド帝国はなぜ滅亡したのか? インドは「我が青春の一部」と語る著者が、東インド会社に屈した謎を描く――生き残る王子はたった一人。流血が王位継承の伝統であったムガル帝国に、東インド会社を尖兵としたイギリスの魔手が迫る。アヘン戦争、明治維新へと続く歴史の前哨戦として、300年を越えるムガル王朝滅亡のひき金をひいたのは誰か……。インドは「我が青春の一部」と語る著者が、熱き思いをこめて描く長編歴史小説。
  • インドの樹、ベンガルの大地
    5.0
    バニヤン・ツリーの木陰で休んだ、熱暑のひととき。祭りの日に友人と遊び、柔らかな陽がさす池で沐浴した日々……。ベンガル地方の風や樹、可憐な花の香りと姿が、今も記憶の中で息づく。暖かな人々との交流、樹や花との語らい。名著『インド花綴り』の著者が、美しい調べのごとく、あなたの渇いた心を潤す、インドの人と森の物語。安らぎと静寂のインドが、ここにある!
  • インフェルノ・ロード
    -
    日本国を闇の中から支配する一大コンツェルンの総帥・鬼竜陣三郎は自分の生命を狙う影に脅えていた。鉄壁のガード・嵯峨と共に突き止めた敵の正体はなんと陣三郎自身のドッペルゲンガーだった。暴力と妖術渦巻くネオ東京に今、再び魔戦の火ぶたが切って落とされた! ホラーの鬼才渾身のハイパー伝奇巨篇。
  • インフォデミック コロナ情報氾濫
    -
    テレビのワイドショー制作会社に入社した駒野しおりは、ADとして忙しい日々を送っていた。だが、コロナ報道に対する番組の姿勢や、私利私欲に走るプロデューサーたちの姿に、違和感を覚え始める。そしてしおりが2時間の生放送で曝した恐るべき「真実」とは……。元芸人の作家が2年余のコロナ禍を事実に即して描く、前代未聞の書下ろしメディア小説!
  • 晩年様式集
    3.8
    作家自身を思わせる主人公の長江古義人は、3.11後の動揺が続くなか「晩年様式集(イン・レイト・スタイル)」と題する文章を書きだす。妻、娘、妹の「三人の女たち」からの反論。未曾有の社会的危機と自らの老いへの苦悩。少なくなる時間のなかで次世代に送る謎めいた詩。震災後の厳しい現実から希望を見出す、著者最新にして「最後の小説」。
  • 荒鷲の狙撃手(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    特殊工作員が闇で蠢く軍事サスペンス! 自衛隊を「日本軍」とするための地下組織がある。密かにクーデターが始まった! 対馬沖の油田を巡り日中戦争勃発!? ――自衛隊の中に、「ウルフ・パック」と呼ばれる地下組織がある。この組織は、自衛隊を「日本軍」とするため、密かにクーデターを計画しているのだ。そんな中、対馬近海で、新たに油田が発見された。利権を巡り、日本と中国は、武力衝突の危機を迎える。クーデターは、成功するのか? 日中戦争は? 軍事テクノ・サスペンス。<上下巻>
  • ηなのに夢のよう DREAMILY IN SPITE OF η
    4.2
    プレゼンされた首吊り死体たちと不可解なメッセージ。Gシリーズのターニングポイント。地上12メートルの松の枝に、首吊り死体がぶら下がっていた。そばには、「η(イータ)なのに夢のよう」と書かれた絵馬が。その後も特異な場所での首吊り自殺が相次ぐ。一方、西之園萌絵は、両親の命を奪った10年まえの飛行機事故の真相に近づく。これら一連の事件に、天才・真賀田四季は、どう関わっているのか――?
  • イーヨくんの結婚生活
    3.9
    五人兄弟の長男をとつぜん亡くした夏目家の通夜に、長男の婚約者を名乗る妊婦が現れた。親代わりに五人を育てた伯父夫婦の苦肉の策は、どんな頼まれごとでも「いいよ」と引き受ける末っ子・伊代太との無茶ぶりすぎる結婚! 圧倒的人気「猫弁」シリーズ著者真骨頂、涙と感動のラストがあなたを待つ。
  • with you
    3.7
    ☆☆☆2021年 青少年読書感想文全国コンクール課題図書  中学校の部☆☆☆ 夜のランニング中、中学三年生の悠人は公園のブランコに座っている少女・朱音と出会う。 受験を控え、自分の存在意義を見出せないでいた悠人は、 何か事情を抱えていそうな朱音に惹かれていく。 朱音が母の介護と妹の世話をしている「ヤングケアラー」だと知った悠人は、 彼女のために何かしたいと思いはじめる。
  • ウェディング・ドレス
    3.5
    結婚式当日、何者かに襲われた祥子。婚約者のユウ君と手分けをしながら、祥子は真犯人を目指した。鍵となったのは、あるビデオに関わる猟奇殺人と、母が遺したウェディング・ドレス。そしてユウ君と再会したとき、不可解なジグソーパズルは完成する。全編に謎と伏線が鏤(ちりば)められた第16回メフィスト賞受賞作。
  • ウェディング・マン
    3.7
    人間が苦手で、相手が誰であれ一定の距離を保って接してしまう立夏。そんな自分を自然に受け入れてくれた妻・恵里香の不審な行動に浮気を疑い、ついに尾行を決意する。車が到着した場所は、立夏が所有する関東近郊の土地。そこで妻と妻の妹は、車のトランクから手足を拘束された少女を出す。現地で合流した妻の従弟の見ている前で、妻は少女をナイフで刺し、地中に埋めようとする。思わず立夏が声を上げると、その隙をついて、死んだはずの少女が駆け出した。従弟に追われ、恵里香とともに逃げる立夏。そこで彼女が語った、驚きの「仕事」と「家族」とは。
  • ウエストサイドソウル 西方之魂
    -
    父子家庭に育った十七歳のピカイチは登校拒否中。ある日、古本屋で同級生の日向淑子と出会ったことから、彼の人生は大きくうねりだしていく。ほとばしる音楽への熱情、日向淑子から始まり年上の女性とも交わす性体験、そして実母との邂逅――。屈折した少年が大人へ成長する姿を描ききった傑作青春小説!
  • 上野駅殺人事件
    -
    上野駅周辺で、ホームレスを狙った連続殺人事件が発生。死因は青酸中毒死。Kと名乗る男から駅長あてに八千万円を要求する脅迫状が届くが、犯人の輪郭すらつかめない。そして、東北・上越新幹線の上野駅開業の日、地下三階で爆発が。駅の構造を熟知した犯人と、その動機を、十津川警部の推理が追いつめる!
  • ウォーク・イン・クローゼット
    3.6
    対男用のモテ服好みなOL早希と、豪華な衣裳部屋をもつ人気タレントのだりあは、幼稚園以来の幼なじみ。危うい秘密を抱えてマスコミに狙われるだりあを、早希は守れるのか? わちゃわちゃ掻き回されっ放しの、ままならなくも愛しい日々を描く恋と人生の物語。表題作他「いなか、の、すとーかー」収録。【解説入り】
  • ウォーク in チャコールグレイ
    -
    都の西北にある大学の新聞学科に入学した山木信子は、新しい大学新聞の創刊を志す男子学生たちに交じって、キャンパスの周辺で新聞作りに励み始めた。蔦の緑濃くなる頃、初恋に心揺らぎ、悩みながらも信子は、ひたむきな学園生活を送る。60年代の青春群像を描いて今に甦る、早世した作家の自伝的長編小説。学生新聞の創刊にかける男女の愛と苦悩の日々は、チャコールグレイだった!
  • 迂回の殺意 伊東着16時27分の死者
    -
    黒いコートの小柄な女性が、駅のはずれのトイレ裏で殺された。容疑者は姪。浦上伸介と前野美保が、ダイヤ・トリックを使った犯人のアリバイに挑む表題作をはじめ、連続婦女暴行犯の心理を刻明に綴る「非情」など、8つの事件を通して、人間の心の奥底に潜む暴力性を鋭く描く、傑作短編ミステリー集。<『非情』改題作品>
  • 写楽殺人事件
    3.7
    謎の絵師といわれた東洲斎写楽は、一体何者だったか。後世の美術史家はこの謎に没頭する。大学助手の津田も、ふとしたことからヒントを得て写楽の実体に肉迫する。そして或る結論にたどりつくのだが、現実の世界では彼の周辺に連続殺人が起きていて――。第29回江戸川乱歩賞受賞の本格推理作。(講談社文庫)
  • 北斎殺人事件
    4.1
    ボストン美術館で殺された老日本人画家とは何者か。一方日本では、謎の生涯を送った浮世絵師葛飾北斎の正体に迫ろうと研究家たちが資料を追う。北斎は隠密だった? 日本とアメリカを結ぶキーはどこか? 『写楽殺人事件』に続く浮世絵推理の傑作。日本推理作家協会賞受賞作。(講談社文庫)
  • 広重殺人事件
    4.0
    広重は幕府に暗殺された? 若い浮世絵学者津田良平が“天童広重”発見をもとに立てた説は、ある画商を通して世に出た。だが津田は、愛妻冴子のあとを追って崖下に身を投げてしまう。彼の死に謎を感じた塔馬双太郎が、調べてたどりついた意外な哀しい真相とは? 深い感動の中で浮世絵推理3部作ついに完結! (講談社文庫)
  • 動かぬ証拠
    3.8
    ラスト1ページの驚愕! 新形式本格ミステリー! ……犯行は完璧のはずだった。だが、そこには犯人が見落とした、たったひとつのミスが残されていた。ラストで絵(イラスト)による《動かぬ証拠》が目の前に浮かび上がる、まったく新しい推理短編集。カラーイラストが鮮やかなボーナス・トラックも収録。《証拠》が見えてしまうので、ページをパラパラめくらないでください。
  • 動くとき、動くもの
    3.0
    緑豊かな自然の中で、日々山が崩れ、河が荒れる――。祖母・幸田文が著した名作『崩れ』の地を再訪。そこで出会った人々と、寡黙だがかけがえのない「砂防」という営み。 「山も川も、人の心も、動かぬものはありません。決別であり、同時にそこからの始まりでもあります」著書の目と心に映る景色を確かな筆致で綴る。(講談社文庫)
  • 兎の秘密 昔むかしミステリー
    3.0
    「かちかち山」の兎と狸の「妖しい関係」があぶりだす、殺人事件の真相。「浦島太郎」が乗った亀は、タイムマシンだった? 「花咲爺」で本当の悪者は誰だったのか? サルカニ合戦を恐れ、さる年の男を拒絶する蟹座の女。一寸法師と内視鏡の深い関係とは――。日本の昔ばなしを斬新な発想で愉しむ、異色短編集。
  • うず潮のひと
    -
    天草の海を背景に描く、若い未亡人の秘めた愛の物語! ――カメラマンの夫を亡くし故郷の港町へ帰り、美しい海の町の天草・牛深で、特産の海産物加工品を本物の味に創り上げようとがんばる、若き未亡人・千帆子。夫の面影に守られ、頑固な父親と名人肌の海女や慕って集まる若者たちに支えられて、ようやく彼女の努力が実を結ぼうとしたとき、年下の純情な青年が現れて愛を告白する。自然と恋愛を大らかに描いた力作。長編恋愛小説。
  • 嘘ですけど、なにか?
    4.0
    やっと出会えたはずの高級官僚の男は、新幹線爆破テロの発生直後から様子がおかしくなる。怪しんだ彼女が警察に通報すると、待っていたのは自分自身の逮捕だった。木内一裕10作目は、完全エンターテインメント大作!
  • 贋作 天保六花撰
    4.0
    貧乏御家人の入り婿となった片岡直次郎は、黙っていても女が貢いでくれる色男。が、病弱で世間知らずな美しい妻あやのを養うためなら、ゆすりたかりも厭(いと)やせぬ。ご存じ悪徳坊主・河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)、剣客・金子一之丞、商人・森田屋清蔵、やくざ者の丑末(うしまつ)に吉原の遊女・三千歳(みちとせ)ら6人の悪党が繰り広げる痛快大江戸ピカレスク。
  • うたかた
    3.5
    アイツにとって、俺は、うたかたのような存在でしかなかったのかもしれない。でもあの時の幸福は、うたかたではなかったと思う――。チンピラの焦がれる恋を描く表題作ほか、大阪で彼を待つタミ子や、障害を持つわたしの実らぬ思いなど、自分を「消え去る泡」のように感じてしまう5つの恋を描いた、切ない短編集。
  • 歌麿殺贋事件
    3.4
    歌麿の「幻の傑作」が発見された? 美術界をゆるがすかもしれぬ事件に雑誌編集者の杉原は勇み立ち、研究家の塔馬双太郎の助手をたのむ。しかし、それは巧妙な贋作だった。そして思いがけず、歌麿は謎の絵師写楽でありえたことまで証明されて……。浮世絵ミステリの白眉といえる秀作。(講談社文庫)
  • 歌麿殺人事件
    -
    ジャーナリスト・風間隆平の変死に疑惑を抱いた星野昇子と柚木哲也は、隆平が生前追っていたテーマを手がかりに、親友の怪死の謎を解くため、調査に当たる。「喜多川歌麿は殺人犯だった」というのが隆平のテーマだと知った二人は、歌麿の暗号を解くことで、隆平の死の真相に近づいたが……。見立て殺人の衝撃的結末。天才浮世絵師・歌麿は殺人犯だった? 三角関係から殺人を犯したという歌麿の謎を追った男の怪死は何を物語るのか?
  • 「うちの子は『算数』ができない」と思う前に読む本
    -
    国語の成績を上げるのは、たいへんだ! 算数はポイントさえ覚えれば、成績は上昇する! 中学入試、算数の鉄則!! なぜできないのか? ――算数ができないのは、センスのせいにしていませんか? 生まれつきの能力だと思っていませんか? 計算ミスを減らすため、練習問題をがむしゃらにしていませんか? ……すべて間違いです。正しい方法で算数を学ばないと、成績が伸び悩みます。でも、本書を読めば、算数の成績をあげることは簡単です!
  • 宇宙から来た遺跡
    -
    「異星人」が地球に残した、謎の文明を追う。太古のいつか、宇宙から来た高等な知的生物は、人類の誕生と古代文明の発祥に関与した! この命題を検証するため、まず中南米大陸に狙いを定め、フィールドワークを決行。次々に発見される不可解な遺跡と遺物には、何が隠されているのか? そして重大な事実が……。地球外生物が遺した、巨大遺跡の謎を解く!
  • 宇宙と地球のミステリー 超科学が解いた不思議現象
    -
    あなたは、現代科学の常識では説明できない不思議に、遭遇したことがありませんか。UFO、ネッシーなど「未知現象」に対する興味と期待は、いちだんと高まっています。太古地球にあった宇宙人基地、ESP能力を持つ生物、宇宙心霊の伝達など、超科学が初めて解いた驚くべき成果を、豊富な写真・図版でレポート。
  • 美しい家
    3.5
    妻子と別れ一人で暮らす作家の中谷は、ある夜、コンビニの前で酔った女を助ける。連れて帰った部屋で女が語ったのは幼いころの不可思議な記憶。中谷はその過去を辿ることになる。同じころ一人の青年が幼少期の「恩人」を探し出そうとしていた。三人の孤独が交錯し「家族」の真の意味を問い直こす傑作ミステリー!
  • 美しい死刑
    -
    過熱した受験戦争をめぐって起こる恐るべき犯罪。――名門の私立御濃高校教師の車のトランクに、犬の死骸が投げこまれていた。日経ずして、女性外務員殺人事件と問題の高校教師殺人事件が相次ぐ。だが、これらの事件には、不思議な女の影がちらついていた。はたして、3つの事件の共通項、接点の裏に隠された真相は何か?
  • 奪われた死の物語
    -
    平戸、網走、能登、京都と、景勝の地に、花と物語を訪ねる取材グループに加わった独身作家が、知らず知らず巻き込まれていった哀しい犯罪。復讐者の巧妙な罠がついに犯人を捕えた時、浮びあがった異常な執念と、愛にこたえない人を想う苦悩と絶望の果てを、甘美に、きめこまかく描く、長編ミステリーロマン。むくわれない愛の果てを痛切に描く!
  • 産まなくても、産めなくても
    3.9
    妊娠と出産にまつわる、女性にとって切実な話題を切り取った七つの物語──「第一話 掌から時はこぼれて」39歳の女性弁護士が、ふとしたきっかけで知った卵子凍結の情報に、心が大きく揺さぶられて……。/「第二話 折り返し地点」妊娠よりもオリンピック出場を優先してきた女性アスリート。レース前、胸に去来したものは?/「第三話 ターコイズ」不妊治療中の女性たちが集うイベントで、子宮の劣化の話を聞いて愕然となり……。/「第四話 水のような、酒のような」バブル時代に独身生活を謳歌した男が、不妊治療のクリニックで思わぬ宣告を受け……。/「第五話 エバーフレッシュ」妊娠をめざすのか、仕事を優先するのか。女性の厳しい現実に対応する、新しい社内制度とは?/「第六話 五つめの季節」三度目の流産で子供をあきらめかけたとき、養子縁組のことを知り……。/「第七話 マタニティ・コントロール」近未来。不妊治療や子育て支援に大きな予算が投じられ、妊娠は政府によって制御されようとしていた。
  • 海からの光
    -
    海のある風景を背に、ひそやかにはじまる光と闇の物語。海からのあふれんばかりの光は、心の闇に忍びこむ……。光みなぎる海。死の予兆をはらんだ海。さまざまな海からの光が、心の奥にわだかまる暗い淵に射し込むとき、浮かび上がるひとつの青春、そして生のかたち。彫琢された透明な文章が奏でる水晶の響き、背後の沈黙の深さは、まさに現代の神話。小川文学の全体を示す作品集。「青年司祭」「地中海の漁港」「鞭打苦行者」「父と子」「海からの光」を収録。
  • 海鳴
    -
    たった2回会ったきりの売れっ妓女郎と逃亡人足の心中。貧しさゆえに花街に身を沈めた花衣と佐渡金山の人足・直吉、肉体と魂をボロ布のようにこきつかうしかなかった二人の絶望的な愛を受けとめるのが、暗くうねる海だけだったとは……。苛酷な運命に翻弄される男女の姿を描いて、愛の意味を痛切に問う長編歴史小説。
  • 海鳴りの街
    -
    30年近く「兄妹」として暮してきた義兄への愛が、日ましに深まっていく。苦しく重い試練に耐え、完璧な愛を求める稲子。義妹の愛に応え、この街に根を張ろうと決意する宏之。繁栄した過去の幻影が重くのしかかる運河の街・小樽を舞台に、「兄妹」から「他人」に昇華して、未来へはばたこうとする男女を描いた、本格恋愛小説。
  • 海に降る雪
    -
    二人の愛の巣は線路ぎわ、電車が通るたびゆれる小さな部屋。大都会・東京のすみっこで結ばれて、青春をいちずに生きる、塩子と裕一のかけがえのない時間。だが、心のボタンをいつ掛け違えたのか。彼女が変ったのでも、彼がそむいたのでもないけれど、あんなにはずんでいた塩子が貝になる。……信じることの困難な現代に、愛の神話を希求する青春恋愛小説。こんな恋がめばえたら、あなたならどう育てますか?
  • 海の碑
    -
    自然開発か環境保全か? 自然の宝庫、鹿児島県志布志湾の工業開発をめぐり、意見はまっ二つに割れ、激しい抗争が続いていた。折しも開発反対派の野鳥学者・福島が現地で行方不明になり、彼は遠く離れた箱根の芦ノ湖で死体となって発見される。死体移動を謀った犯人の狙いは? 開発という最も今日的なテーマに、殺人の謎を交錯させた著者会心の傑作推理!
  • 湖の琴
    -
    若狭の国の貧しい農家に生れた栂尾さくは、琵琶湖の北端にひっそりと水をたたえた余呉の湖の近くの蚕の糸とりの家に、糸取り娘として奉公に出る。そこで、同じく若狭出身の宇吉にめぐり会うことにより、さくは新たな運命の糸にもてあそばれていく……。三味線糸生産地の風土を背景に、悲痛な女人像を浮かび上がらせ、哀しみと詩情をこめて描いた人間愛が、哀切な琴の音をひびかせる長編ロマン、悲恋物語。
  • 海のサロメ
    -
    美しくなりたいと願いつづけて18歳になった娘に、母は残酷な事実を突きつけた。娘は本の中に閉じこもるが、運命は、初めての甘い恋と幻想を与え、大人たちを犠牲にしようと企んだ。しかし、愛を拒絶した男を永遠に自分のものにしたサロメのように、娘は……。激しい情熱の一瞬の炎を描いて、心にしみる作品集。(講談社文庫)
  • 海の空 空の舟
    4.0
    高台の神社からは廃墟と化した造船所が見える。喧噪と活気を失い、憧れの彼女もいない町で、中学生の辰雄は性のとば口にいる自分をもてあます。昔の祭りさながらに、渾身の力で引き上げた舟を海にすべらせた――少年の1日を活写した小説現代新人賞受賞の表題作をはじめ好編3作。(『雨を見たかい』を改題)
  • 海の日曜日
    -
    銀色に輝やくマリンスノーを一目見て魅せられた三郎。少年の馬への憧れと挫折を描く! ――目の前に銀色に輝く馬が立っていた。近くの厩舎から逃げ出したらしい。三郎はその馬、マリンスノーを一目見てすっかり魅せられてしまい、ぜひ、自分のものにしたいと心に誓ったが……。少年の馬への強い憧れと挫折をファンタスティクに描いた、今江祥智最初の書き下ろし長編小説。サンケイ児童出版文化賞受賞作品。
  • 海の果ての祖国 南の島に「楽園」を求めた日本人
    -
    南の島サイパンに渡った日本人たちの夢と絶望を、生存者の証言で描く労作。南洋開拓30年の夢と挫折の記録! ――南洋の島サイパンに「楽園」を求めて、夢と希望を託して海を越えた日本人たちがいた。厳しい自然と闘い、荒地を拓き、夢の新天地建設は着実に進む。だが、しのび寄る第二次世界大戦の暗雲は、サイパン島に生きる日本人を地獄の坩堝に突き落した! 知られざる南洋開拓民の30年史を、生存者の証言で綴る慟哭のドキュメント! 苦難の開拓と建設そして悲劇。
  • 海の見える街
    3.7
    あらゆる恋愛は、奇跡だ。2015年、最高の恋愛小説は、コレだ!海の見える市立図書館で司書として働く31歳の本田。十年も片想いだった相手に失恋した七月、一年契約の職員の春香がやってきた。本に興味もなく、周囲とぶつかる彼女に振り回される日々。けれど、海の色と季節の変化とともに彼の日常も変わり始める。注目作家が繊細な筆致で描く、大人のための恋愛小説。
  • 海へ、ボブスレー
    -
    港で、行き場を失った怪物――二度と素晴らしいスピードでアイスバーンを滑降することも出来なくなった、1台のボブスレーが港に放置されているのを見つけた歯科医の青年は、医院の開業資金をつぎ込み、そこにカフェ・レストラン〈ボブスレー〉を開店する……。青春への郷愁をドラマチックに描いた秀作4編を収録。郷愁を語るには若すぎる。現代の青春を定着する瑞々しい奇妙な味の都会小説集。
  • 海辺の光景ほか六編
    3.0
    海に臨んだ精神病院で狂死する母、それを看取る父と私。父はもと陸軍獣医少将。だがそんな父を軽蔑した母と私。――人間の奥底に潜むエゴイズムを赤裸々にえぐり出し、夫婦とは、親子とは、人生とはを追求した、芸術選奨&野間文芸賞W受賞の表題作。ほかに卓抜な感性の冴えを示す6編を収録。
  • 海を見ていたジョニー 新装版
    -
    姉・由紀は少年とともに、海辺の基地の町でピアノのあるバーを経営していた。少年の楽しみは閉店後に、海岸で出会った黒人兵・ジョニー、ベース弾きの健ちゃんの3人で、ジャズを演奏することだった。だが、何ヵ月かして、ジョニーは突然姿を消す。ベトナムへ行ったのだろう。そして、10ヵ月ぶりに現れたジョニーはすっかり人が変わっていた。人を殺した自分にジャズは演奏できないという。ジョニーはピアノを拳銃で撃ち抜き、店を飛び出した……。
  • 海を見ないで陸を見よう
    3.0
    美しい姉妹と青年との避暑地の恋の結末は? ――昭和23年、高志は、東舞子の浜に建つ伯母の別荘で、ひと夏を過すことになった。久しぶりの再訪、そして、隣家の美人姉妹との戦争をはさんでの再会。互いに成人した彼らの間に、微妙な感情が芽生える。そんな折に、妹の津枝子が水死した。ひそかに恋人ときめていた津枝子の死に、悄然となりながらも、高去は、死因に疑いを抱く。美しい海に青春の痛みをからめた、本格長編ミステリー。
  • 梅の花咲く 決断の人・高杉晋作
    3.5
    命を投げうった若き英雄に刮目せよ! ーー幕末維新の群像の中で、ひときわ激しく光芒を放った男・高杉晋作。この若き天才指導者は忽然と現れ、わずか2年半、見事に咲き誇り、そして爽やかに散った……。命を懸けて幕府の息の根を止め、新しい国家への道を切り拓いたリーダーの生き方は、今の日本人に何を問いかけるのか? 元経済企画庁長官、初の小説。
  • 梅は匂い 人はこころ
    4.0
    常務の彼を、多くの社員はまだ「英三さん」と呼んだ。経営者の一族でありながら、工場育ちで飾り気のない人柄がそう呼ばせた。戦後、退社を決意していた彼を会社に引き戻したのは、心情を一にしていた部下たちだった。しかし競争激化、新製品開発、流通改革の戦後史は熾烈だった。花王石鹸元社長・伊藤英三を描く傑作評伝小説。逞しくも爽やかな男の一生!
  • 埋れた牙
    3.3
    捜査一課から地元の武蔵野中央署へと転出した刑事・瀧靖春は、旧友の長崎から姪の恵が行方不明になっていると相談を受ける。市議会議員の選挙運動を手伝っていたという恵の足取りを追う中、瀧は過去に起きていた類似の事件に気づく。この街に巣くう闇とは!?
  • 裏街
    -
    黒い運河には、大きい月が浮かんでいた。橋の上から、ひとりの男が突き落とされた。殺した男と目撃した男は、それぞれの影を追い求めて裏街をさまよう。やがて、男たちの中でよみがえる20年前の真夏の記憶とは? 究極のアリバイ崩しに挑戦する、夢幻のごとき文芸ミステリー大作! 鮎川哲也氏・埴谷雄高氏も推薦。真夏の夜の殺人事件を題材に、人間存在の根源に迫る傑作。
  • 恨みの陸中リアス線
    4.0
    北へ走る三陸鉄道を襲う殺意。殺人予告を知りながら救えなかった、十津川警部痛恨の事件――北へ走る三陸鉄道リアス線の車内で、水産会社社長が殺された。男の身元を知って、十津川は自責の念にかられる。殺害予告の脅迫状に怖えた被害者の娘が、父の死の前日、捜査一課に助けを求めていたのだ。そして、上野で起こった第2の殺人が、十津川を宮古へと向かわせた。怒りに燃え真相に迫る十津川警部の推理。
  • 憂い顔の童子
    4.8
    作家・長江古義人(ちょうこうこぎと)は、息子のアカリとともに四国の森に帰った。長江の文学を研究するアメリカ人女性ローズが同行する。老いた古義人の滑稽かつ悲惨な冒険は、ローズが愛読する『ドン・キホーテ』の物語に重なる。死んだ母親と去った友人の「真実」に辿りつくまで。『取り替え子(チェンジリング)』から続く、長編3部作の第2作。
  • 熟れすぎた林檎
    3.5
    親友の三田村毬子の母親に頼まれて、謎の女を探ったみすずは、恐るべき事件にまきこまれる。複雑怪奇な三田村家の事情は、若いみすずの手に余るが、毬子も協力して突きとめた真相の、更に奥には……。愛を求める叫びと、歯止めを失った欲望が、ついに破滅をよんだ時、一筋の光明が射す、傑作サスペンス長編。
  • 新装版 ウロボロスの偽書(上)
    -
    リアリティと非現実感が交錯する!竹本健治が連載を始めた本格推理に、いつのまにか埼玉で起こった女性連続殺人事件の、犯人を名乗る男の手記がまぎれこんでいた!現実と虚構の境界線はあいまいになり、事件は思わぬ展開に。私たちが暮らすこの世界もどこからどこまでが現実なのか、次第にあやふやになってくる、奇々怪々な超ミステリ。
  • ウロボロスの基礎論 上
    5.0
    実在のミステリ作家らを襲う奇妙奇天烈な"うんこ事件"。竹本健治の連載ミステリに混入する眩暈と戦慄の物語。綾辻行人、小野不由美、笠井潔、新保博久、法月綸太郎、麻耶雄嵩、山口雅也が推理合戦を展開、小説ジャックまで強行される。物語中に有名作家が突如原稿を混入し、謎は深まる一方。世界は擾乱され朦朧胡乱の淵に転落した。
  • ウロボロスの純正音律(上)
    4.0
    長編マンガの描き下ろしの依頼を受けた竹本は、"玲瓏館"の一室を借りて作業を開始した。怪しげな使用人たち。アシスタント陣。そして館に集まった錚々たるミステリ作家・評論家・編集者たちの面前で、突然『モルグ街の殺人』見立ての殺人事件発生!一同は早速推理合戦を開始するが、真相に辿り着けないまま、第二の見立て殺人が起こってしまう。彼らは果たして犯人をつきとめ新たな凶行を阻止できるのか。
  • ウロボロスシリーズ 全6冊合本版
    -
    竹本健治が連載を始めた本格推理に、いつのまにか埼玉で起こった女性連続殺人事件の、犯人を名乗る男の手記がまぎれこんでいた!現実と虚構の境界線はあいまいになり、事件は思わぬ展開に。私たちが暮らすこの世界もどこからどこまでが現実なのか、次第にあやふやになってくる、奇々怪々な超ミステリ――『新装版 ウロボロスの偽書』上下巻。第二の書『ウロボロスの基礎論』上下巻、第三の書『ウロボロスの純正音律』上下巻。計6冊合本でお届けします。
  • 噂の娘
    -
    言葉による映像美の頂点。鮮やかな記憶の破片、重なるあの日の心情――遠いどこかの街で父親が入院し、母は私と弟を、懇意の美容院に預けて旅立つ。50年代のどこか、夏から秋にかけての数日間を、女ばかりが暮らすその家で過ごす私は、漠然とした不安に発熱する。おびただしい噂話、錯綜する記憶、懐かしい物が織りなす重層的な映像(イマージュ)。時間と感覚を縦横に描く繊細にして強靭な長編。
  • 運河が死を運ぶ
    -
    頭と脚と手首のない胴体だけの死体を詰めたトランクが、アムステルダムの運河で発見される。この猟奇的事件の被害者は、日本人の商社マン。強盗説、怨恨説などが飛び交うが、いずれも推理の域を出ない。敏腕記者の追跡の前に、事件はぶきみな深淵と輪郭を見せ始めるのだが……。表題作「運河が死を運ぶ」など7編収録の傑作ミステリー集。
  • 運命の塔(上)
    4.0
    死刑制度について、職務を逸脱した発言をした元法務大臣・榎木雪夫の孫が、誘拐された。巧妙に仕掛けられたトリックによって、身代金1億円の奪取を図る一方で、反政府組織を名乗る犯人は、犯行声明文を公表する。榎木の義父で、政界の重鎮である大河原善造の特命を受け、元秘書・平岡道義は、事件の裏を探り始める。政治家一族を襲った誘拐と脅迫事件。<上下巻>
  • ウーナ・ミラノ Una Milano
    -
    ミラネーゼ風に遊び尽くすための、現地在住エッセイストのお勧め。ミラノの本当の楽しみ方、満載! ――あこがれの街・ミラノで暮らす人たちみたいに、楽しむ滞在の仕方とは? あらゆるミラノの魅力を、様々な歩き方で、24時間にわたって紹介する、画期的なエッセイ。食や風俗・習慣についてよくわかるコラム、おすすめの散策コースやショップ・リストもついた、「読んで楽しい、まねして楽しい」究極の必携ミラノ案内!
  • 永遠のジャック&ベティ
    4.0
    英語教科書でおなじみのジャックとベティが、50歳で再会したとき、いかなる会話が交されたか? 珍無類の苦い爆笑、知的きわまるバカバカしさで、まったく新しい小説の楽しみを創りあげた奇才の、粒ぞろいの短篇集。ワープロやTVコマーシャル、洋画に時代劇……身近な世界が突然笑いの舞台に!
  • 映画館が学校だった わたしの青春記
    -
    恋。友情。悲劇のヒロイン。映画に惹かれ、映画の中で人生を考えた。映画を愛しすぎてしまった男の青春感動自伝――田舎町の電電公社に勤めていた少年は、気がついたら興奮して、映画館のスクリーンを夢中で見つめていた、懐かしいあの頃。恋、友情、力強く生きる正義の男たち。悲劇のヒロイン……。こんなにも美しい女のひとがこの世にはいるという新鮮な驚き。映画に惹かれて、映画の中で人生を考え、やがて映画評論家になってしまった男の、映画を通じた青春自伝。懐かしい名画の数々が甦る感動の人生記録。
  • 営業零課接待班
    3.8
    苦手な営業に異動となり、ついにリストラ勧告まで受けたマジオこと真島等(まじまひとし)は、接待専門の「営業零課」で再起を図ることに。落ちこぼれ社会人のマジオと仲間たちは修羅場を乗り越え、年間売上50億という無謀な目標を達成できるのか!? 涙も笑いも挫折も成功も、「働くこと」のすべてが詰まった感動の営業小説。(講談社文庫)
  • 英国太平記
    4.0
    「栄光のためでなく、富のためでなく、名誉のためでもない。ただ自由のためにのみ我々は戦う」。のちにアメリカ独立、フランス革命の礎となったその宣言は、隣の強国イングランドに迫害されながらも粘り強く戦いぬいたスコットランドの名もなき人々の魂の叫びだった。中世英国を描ききった一大歴史叙事詩。(講談社文庫)
  • [英語が恐い]殺人事件
    3.0
    英語とガイジンに対して強烈な劣等感を抱いている中年社員の福岡竜男が、こともあろうにニューヨーク支社勤務を命ぜられた。しかし彼の精神はパンク、みじめな日本送還となった。やがて彼の周囲で、血まみれの殺人が続発。第1の犠牲者は巨漢の外国人レスラーだった! 英語が恐いと感じる人必読のミステリー。 (講談社文庫)
  • A2Z
    値引きあり
    3.8
    文芸編集者・夏美は、年下の郵便局員・成生と恋に落ちた。同業者の夫・一浩は恋人の存在を打ち明ける。恋と結婚、仕事への情熱。あるべき男女関係をぶち壊しているように思われるかもしれないが、今の私たちには、これが形――。AからZまでの二十六文字にこめられた、大人の恋のすべて。読売文学賞受賞作。
  • 英雄ありて
    -
    中国史の英雄に出会う旅。史記、三国志、唐詩、西遊記、水滸伝に登場する魅力的な人物とその舞台を語る好著。中国史上の雄大な人間ドラマを活写――史家や軍略家が主命を奉じた苦難の旅、皇帝の大旅行、飢えと非礼の中の亡命者の旅、刺客の悲壮な旅、詩人たちの異郷の旅……。中国史上の英雄たちの旅の現場を辿り、雄大な歴史と風土を目のあたりにする好著。天下を争う人々の興亡を俯瞰し、人間の悲劇に対する深い洞察を読む、興趣尽きない歴史エッセイ集。史実の重みと自由な空想の醍醐味を味わう!
  • エウレカの確率 経済学捜査員 伏見真守
    3.6
    1~3巻748~836円 (税込)
    「犯罪だって一般の消費者選択理論と同じ」。連続殺人事件の特捜本部に乗り込んだ行動経済学者の捜査に、誰もがあっけに取られた。被害者女性たちの自宅から足跡や血痕が発見されたのに解決の糸口すら見つからない難事件を、経済学で独自の容疑者を割り出したというのだ。まったく新しい知的警察小説の快作!
  • 駅に佇つ人
    値引きあり
    -
    冷酷な現実に立ち向う、必死な愛の犯罪――石巻市で中年の男が殺され、若い塾教師が逮捕されたが、その男は起訴後自供を翻し、被害者の妻が殺される第2の殺人事件が発生した。被疑者に関わる地元代議士の妻の動き、やり手刑事のある秘密、そして恐るべき証拠品が……。人間の愛と罪を抉る表題作のほか、孤独な愛の激しさを描く、傑作推理小説集。
  • 駅物語
    3.8
    「大事なことを三つ言っとく。緊急時は非常停止ボタン。間に合わなければ走れ。線路に落ちたら退避スペースに入れ」 酔っ払う乗客、鉄道マニアの同期、全自動化を目論む副駅長に、圧倒的な個性をもつ先輩たち。毎日100万人以上が乗降する東京駅に配属された若菜は、定時発車の奇跡を目の当たりにし、鉄道員の職務に圧倒される。臨場感あふれる筆致で駅を支える人と行き交う人を描ききった、書き下ろしエンターテインメント!
  • エコノミカル・パレス
    3.5
    34歳フリーター、年下の同棲相手は失業中。エアコンは壊れ、生活費の負担は増えていく。昔の知り合いが彼女を連れて転がり込む。どんづまりの生活を変えたのは、はたちの男からかかってきた「テキ電」だった。――生き迷う世代を描き、フリーター文学とも呼ばれた著者の転換点となった傑作。
  • エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ
    3.7
    エコール・ド・パリ――第二次大戦前のパリで、悲劇的な生涯を送った画家たち。彼らの絵に心を奪われ続けた有名画商が、密室で殺された。死の謎を解く鍵は、被害者の遺した美術書の中に潜んでいる!? 芸術とミステリを融合させ知的興奮を呼び起こす、メフィスト賞受賞作家の芸術ミステリシリーズ第一作。(講談社文庫)
  • 詩的私的ジャック JACK THE POETICAL PRIVATE
    4.0
    大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する!
  • 封印再度 WHO INSIDE
    3.8
    50年前、日本画家・香山風采は息子・林水に家宝「天地の瓢」と「無我の匣」を残して密室の中で謎の死をとげた。不思議な言い伝えのある家宝と風采の死の秘密は、現在にいたるまで誰にも解かれていない。そして今度は、林水が死体となって発見された。2つの死と家宝の謎に人気の犀川・西之園コンビが迫る。
  • 幻惑の死と使途 ILLUSION ACTS LIKE MAGIC
    4.1
    「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」いかなる状況からも奇跡の脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が衆人環視のショーの最中に殺された。しかも遺体は、霊柩車から消失。これは匠幻最後の脱出か? 幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟が解明する。
  • 夏のレプリカ REPLACEABLE SUMMER
    3.9
    T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは? 『幻惑と死と使途』と同時期に起こった事件を描く。
  • 今はもうない SWITCH BACK
    4.2
    避暑地にある別荘で、美人姉妹が隣り合わせた部屋で一人ずつ死体となって発見された2つの部屋は、映写室と鑑賞室で、いずれも密室状態。遺体が発見されたときスクリーンには、まだ映画が……。おりしも嵐が襲い、電話さえ通じなくなる。S&Mシリーズナンバーワンに挙げる声も多い清冽な森ミステリィ。
  • 数奇にして模型 NUMERICAL MODELS
    3.9
    模型交換会会場の公会堂でモデル女性の死体が発見された。死体の首は切断されており、発見された部屋は密室状態。同じ密室内で昏倒していた大学院生・寺林高司に嫌疑がかけられたが、彼は同じ頃にM工業大で起こった女子大学院生密室殺人の容疑者でもあった。複雑に絡まった謎に犀川・西之園師弟が挑む。
  • SF水滸伝
    3.0
    波瀾万丈の古典名作の傑作SFパロディー。……平等革命で高度に自動化した天球星社会は、現実には官僚の個人的裁量で左右され、賄賂が決め手という腐敗社会に変貌していた。そこに現われた9人の闘士。〈水滸百八〉の謎、〈九天玄女〉によって語られるその真相、〈闇の霊〉との対話――物語は勇壮に展開していく……。

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