小説・文芸 - 中央公論新社作品一覧
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3.3過労自殺をしかけた経験を持つ著者が、会社から身を守る処世術を伝えるコミックエッセイ。12万部を超えるベストセラーとなった処女作『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』は、過労死しそうになる原因を追求することが主でしたが、本書はその前段階、働きながら抱えがちな悩みや不安を払拭するための心構えを、まんがでわかりやすく解説します。 仕事ですごく落ち込んだ時、ショックなことがあった時、モヤモヤした気持ちを落ち着けたい時――全ての働く会社員に役立つ一冊。
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4.019世紀から20世紀にかけての欧州の事例を、ルポルタージュの手法も用いながら解析した本書は、原著刊行から百年近く経つ現時点においても、さまざまに研究されており、また、現実政治の動きを見るなかでつねに参照される名著である。いかに国家権力を奪取し、またいかにそれを防御するかについて歴史的分析を行うとともに、引き起こす人間の人物論や心理状態の描写も豊富に含んだ、まさに古典中の古典といえるこの著作について、現代的観点から全貌を新訳した中公選書版にもとづき、註釈を増やしてより理解しやすくした文庫版がここに登場。
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3.0戦争は勝ったか、負けたかというチャンバラではなく、その全体にわれわれの社会と同じような原理が働いている――。太平洋戦争の天王山・レイテ島での死闘を、厖大な資料を駆使して再現した戦記文学の金字塔。毎日芸術賞受賞作。巻末に講演「『レイテ戦記』の意図」を付す。 (目次より) 第一巻 一 第十六師団 昭和十九年四月五日 二 ゲリラ 三 マッカーサー 四 海軍 五 陸軍 六 上陸 十月十七日―二十日 七 第三十五軍 八 抵抗 十月二十一日―二十五日 九 海戦 十月二十四日―二十六日 十 神風 十一 カリガラまで 十月二十六日―十一月二日 巻末付録 講演「『レイテ戦記』の意図」
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-幸せに死ぬためには「在宅」か?「病院」か? 数千の臨床現場に立ち合ってきた医師が、幸せな臨終のための方法を教えします。死が近づくと人はどうなるのか。孤独死を防ぐための最善の方法とは。本書では、なぜ日本人が死と「三途の川」を結びつけるのか、またなぜこの文明社会地獄・極楽という伝説が消えずに脈々と語り継がれているのかなど、われわれの死と生の狭間にある七不思議を考えてみることにしました。そして、これらの古い伝説が医学的にどんな意味を持って日本社会に受け入れられているのか、そのことについても分析を試みます。死を達観して安らかに天に召されるためには、60歳を過ぎても老い急いではいけません。また、死に急いでもいけません。たった一度の人生なのですから、思い切り満足のできる生き方をして天に召されるべきです。 そう心に決めて60歳から暮らしていけば、死を迎えることはけっして怖くなくなるはずです。死は、けして敗北ではありません。人生を、医療任せにしてはいけません。「亡き母が手を握ってくれた」「夫と愛用車でドライブに行った」――これまで幻覚・せん妄として治療対象であった「お迎え」現象が、死生に向き合う貴重な過程として医療現場で注目されている。死を怖れ、痛みとたたかう患者に何ができるのか、緩和ケア医として2500人を看取った医師が終末期医療のあり方、死との向き合い方を問いかける。
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4.2「洗濯機がお風呂がわり」「虫歯は放置か、ペンチで抜く」「空腹のあまり、カマキリの足をかじった」「草を食べて空腹を満たした」など幼少期の貧乏仰天エピソードで『徹子の部屋』で話題になり、『明石家さんまのコンプレッくすっ杯』では「貧乏代表」「貧乏レジェンド」と称されるまでになった風間トオルさん。一方、逆境のなかでも明るく前向きに、グレず、へこまず、生きていられたのは、おばあちゃんから受け継いだ知恵と人生哲学があったからだという。発売当初から話題となり、アマゾンのレビューでは★5つが29、メディア取材も50件を超えた。下流、ワーキングプア、年金崩壊、格差社会……暗い話題の多い昨今、本書には「大丈夫」と背中を押すメッセージが詰まっている。貧乏はつらいけど、不幸じゃない。テレビでは語れなかったエピソードや心模様、思い出、人生哲学を1冊に。
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2.5満州事変時の吉林総領事、上海事変直後の上海総領事、そして日中戦争勃発時の東亜局長と、悪化の一途を辿った日中関係の最前線にあって、軍部独走に抗しつつ和平の道を模索しつつも、最後は敗走のビルマ大使として終戦を迎えた外交官が、日記をもとに綴った第一級の記録。 〈解説〉加藤陽子
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-聖誕祭までに赤化アメリカの首都ワシントンを攻略せよ! 日英をはじめとする連合軍と、核兵器使用を仄めかす赤化米軍との激闘もついに最終局面へ。堂々のシリーズ完結篇。
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4.2“最後の文士”として昭和という時代を見つめ続けた著者の戦時中の記録。昭和二十年の元日から大晦日までを収録。
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3.0中国文学の原点である『詩経』と『楚辞』の成立、発想、表現を、『記紀万葉』と対比し考察する。古代共同体的な生活が破壊され、封建制が根付いたとき、人々はそれぞれの運命におそれを抱き、そこに古代歌謡が生まれる――。この巻でとり扱った時期は、古代中国人が神を発見し、また失う過程を示すものである。斬新で美しい論の展開、すべてを網羅した知識、知的興奮が味わえる白川静の世界へようこそ。 427ページ
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5.0「戦艦などは、遠からず無用の長物になるはずだ」 昭和一六年。満州国を巡る日米間交渉は、互いの主張が平行線をたどったまま打ち切られる。 米国はダニエルズ・プランのもと、四〇センチ砲装備の戦艦一〇隻、巡洋戦艦六隻をハワイとフィリピンに配備。アジア艦隊を増強して軍事的圧力をかけ続けた結果、西太平洋の緊張は極限に達していた。 この強大な国力に比するべくもなく、日本は戦艦の建造を断念する。海軍の主力を空母と航空機とすることで活路を見出そうとするが、航空機で戦艦に勝てるものなのかは確証が得られていなかった。 日米戦争が勃発すれば、敵の大艦隊が一気に日本本土へ迫り来るであろう。 連合艦隊は、この事態を食い止めることができるのか!?
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4.0大統領選挙後、共和党過激派が各州で起こした“大陪審”が、アメリカ分断をもたらそうとしていた。大陪審の判決を目前に控えたある日、テキサスの田舎町を襲った巨大竜巻の爪痕から、半分ミイラ化した古い死体が発見される。 同じ頃、北米全土では一部放火が疑われる山火事が多発していた。大陪審後の混乱に備え、州軍の活動が制限される中、ワシントン州のヤキマ演習場にいた陸上自衛隊水陸機動連隊の部隊に対し、消防活動への援助要請が下るが……。 超大国アメリカの未来を占う迫真の新シリーズ、堂々開幕! 【目次】 プロローグ 第一章 トルネード 第二章 ヤキマ演習場 第三章 怪しい影 第四章 ヤキマ作戦 第五章 大陪審 第六章 ダラスの熱い夜 第七章 父と娘 第八章 崩壊へのカウントダウン エピローグ
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-この一冊で見渡す作品世界――。 若くして洞察に富むデビュー期の輝き、早すぎる晩年の作ににじむ哀切。 二十年でついえた作家としてのキャリアの中で、フィッツジェラルドが生み出した幾多の小説から、思い入れ深く訳してきた短篇を村上春樹が厳選。「エッセイ三部作」を加えたベスト十作を収録。
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4.6俺に明るい未来なんてあるのかな――。 ドラマ化で話題、『死にたい夜にかぎって』のその後を描いた待望のエッセイ。 手痛い失恋、家族との確執、そして自らに起きた性の揺らぎを抱えながら、人生の暗黒期を過ごしていた著者。孤独の中から救い出してくれたのは、パチンコ中毒のお坊さんと、「トリケラ」という源氏名のオカマバー店員だった。誰が一番エロい仏像を見つけられるか競争したり、連絡が取れなくなった知人のLINEに天丼のスタンプを100個送ったり、知らない子どもの剣道の試合で号泣したりしながら、辛い過去を笑い話に変えていく日々。 『死にたい夜にかぎって』から1年。人生のどん底を「なんとなく」乗り越え、夢を叶えるまでを描いた実話。
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3.8人は死を前に、何を見、何を思い、何を考えるのか? 死は誰にも平等に訪れるものです。それゆえ、古来、人は死を恐れ、「死を思う」ことで自らの存在を見つめてきました。現代においても、未知の感染症の拡大で、死の恐怖を身近に感じる事態が起こります。本書は、半世紀以上前に、死を迎えつつある人の心の動きを、二百人におよぶ患者の聞き取りで解明しようとしたものです。自分や周囲の人の死をどう受け容れるか。死について考えるとき、道しるべとなる一冊です。
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-赤化米国首都ワシントンを目指し進軍する連合軍。しかし、大河を遡上する戦艦大和の前に、謎の戦闘艦アペオスが立ちはだかる!
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-ついにアメリカ社会主義合衆国の首都ワシントンに迫った日英ら連合軍。だが劣勢のスターリンは核兵器使用を仄めかし、思わぬ停戦条件を示してきた! 最終シーズン三部作、第一弾!!
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5.0ビスケットもまだ知らない山国から上京して、明治の新東京の風物と社会に驚き、やがて目の当たりにする大正の大震災……。明治大正の世相・風俗を深く見透した記者魂の面目躍如の名著。
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3.3その時分の私たちというのが、なんでも先生の真似をして見ようという、随分馬鹿気きっていた時分なのである。――師・夏目漱石をはじめ、寺田寅彦、鈴木三重吉、森田草平から芥川龍之介まで。漱石山房で、ともに文学談義を交わし、酒を呑み、気焔を上げた人々を、第一の弟子が回想する。文庫オリジナル 〈コミックエッセイ〉香日ゆら 目次より 夏目漱石 休息している漱石/漱石二十三回忌/漱石と恋愛/漱石二題/漱石と読書/漱石と画/漱石と烟草/偽物/注釈/「漱石発狂」の報告者/漱石文庫/漱石半身像/漱石のうちの猫/修善寺日記 寺田寅彦と松根東洋城 『漱石・寅彦・三重吉』序/「寅彦全集」/「破門」/『回想の寺田寅彦』序/漱石と寅彦/寅彦と死相/寅彦と俳諧/寅彦と羽子板/「御髭」/松根東洋城のこと 鈴木三重吉 三重吉の思い出/鈴木三重吉/三重吉のこと/青春記/写真 安倍能成 安倍のこと/眼鏡/アンシュリアム 森田草平と内田百閒 森田草平/『実説草平記』/誤植/誤伝の経路/チョッキのまぼろし/白髪 野上豊一郎 野上の死/野上のこと 芥川龍之介 芥川龍之介の死/一挿話
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-アフリカで、中南米で、中央アジアで、ヨーロッパで……地球全土を覆いゆく、奇怪なる“譚(ものがたり)”の影! 虚栄の裏の差別、愛憎の果ての復讐……人跡あるところ、必ずや悲劇あり。帝国主義と植民地支配の未だ吹き荒れる二十世紀、世界各地で起こった異妖なる事件の数々。近代社会と人間心理の暗部を、日本文学史上破格のイマジネーションで鋭く描き続けた鬼才による、異国を舞台にした怪奇と幻想のベスト・セレクション全8篇。 好評『橘外男日本怪談集 蒲団』に続く、文庫オリジナル第二弾。 【目次】 令嬢エミーラの日記(1939)……コンゴ 聖コルソ島復讐奇譚(1937)……ベネズエラ 鬼畜の作家の告白書(1937)……アルゼンチン マトモッソ渓谷(1939)……ボリビア ムズターグ山(1947)……中央アジア 殺人鬼と刑事(1955)……スウェーデン 雪原に旅する男(1958)……アラスカ 人を呼ぶ湖(1951)……スイス 解説=倉野憲比古
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5.0埼玉と神奈川で、連続無差別通り魔事件が発生。それぞれの犯人は逮捕直後に急死したが、身に着けていたデバイスにより遠隔操作を受けていた痕跡が見つかった。 その頃、米中ソでは、政府高官や軍のトップに対し核攻撃を匂わせる脅迫状が届いていた。受信経路とその内容からAIの暴走が疑われ、デフコン3が発令。世界に緊張が走った。 そして21世紀末の火星――。ロゼッタ渓谷の底で発見されたのは、溶岩チューブを利用した正体不明の遺跡だった。入念な準備の末、内部調査で見つかったのは……。 謎が謎を呼ぶ怒濤のSF開幕!
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4.3「思いがけないことになったものだ。我が帝国海軍は長年、米英海軍を仮想敵と考えて作戦研究を進めてきた。それが今や、ドイツが最大の仮想敵になったのだから」 昭和一四年八月、ドイツがソ連との不可侵条約を締結したことにより、日本がそれまで進めていた独伊との同盟は頓挫する。かわりに日本に接近してきたのはドイツと対峙するイギリス、フランスであった。 やがて日英仏同盟が締結されるが、大陸を席捲したドイツ軍はついに英本土へ上陸。首都ロンドンを陥落させる。本国を脱出して東アジアに逃れた英艦隊は日本に亡命、これにより日本もまたヒトラー総統の怒りを買い、宣戦布告がなされた。 英仏政府の要請を受けた連合艦隊は、第一航空艦隊にセイロン島トリンコマリーへの進出を命じる。だがインド洋海面下では、牙を研いだ狼の群れがで息をひそめ獲物を待ち構えていた!
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-よい友とは、何をしてもよい。絶交してさえもよい。―― 衝突と復縁を繰り返しながら、生涯にわたる友情を育んだ二人の作家。 表題作は、幼少期の出会いから「白樺」での文学修業に至る青春期までを辿った、里見弴幻の代表作。〈白樺派の青春群像を描いた重要文献〉にして、のちの『暗夜行路』成立にも多大な影響を与えた作品でありながら、連載原稿の紛失事件により未完に。これまで全集等でしか読むことはできず、文庫化は今回が初となる。 その他、「城の崎にて」で知られる志賀の山手線事故の顚末を記した「善心悪心」、鳥取・松江旅行の回想「世界一」「或る年の初夏に」など、若き志賀との交友に関する小説・随筆の主要作品を初めて一冊に。二大文豪の出発点をあらためて見直す文庫オリジナル。 【目次】 [小説] 君と私(1913) 善心悪心(1916) 世界一(1920) 或る年の初夏に(1917) 幸福人(1917) 失われた原稿(1916) [随筆等] 春の水ぬるむが如くに(1924) 志賀君との交友記(1935) 弔辞(1971) 志賀君との間柄(1974) あとがきより 解説=麻井朝 里見弴・収録作品関連年譜
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4.5中国軍による南シナ海東沙島奇襲作戦に端を発した東シナ海の戦いは、主戦場を尖閣諸島魚釣島へと移し、激戦が繰り広げられた。土門康平率いる〈サイレント・コア〉部隊は台湾軍と共同作戦を取りながら、米軍の協力を得て、中国軍を島から撤退させることに成功する。その頃、成田空港に降り立った人民解放軍の秘密部隊が、ベトナム人技能実習生グループを装って、「超限戦」の作戦を開始。日本をブラックアウトさせた。中国の狙いは、日本同様ブラックアウトした台湾への侵攻。人民解放軍の大艦隊がついに台湾へと迫る。 【目次】 プロローグ 第一章 コンビニ 第二章 モーメント 第三章 東京タワー 第四章 大義名分 第五章 避難行動 第六章 最後通牒 第七章 軍神 第八章 ニイタカヤマノボレ エピローグ
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-時代と向き合い、社会を書く、ということ。 現代日本最高峰の作家は、〈平成〉を舞台に何を描き出すのか――。 人の世が綾なす芳醇の最新作! 〈解説〉阿部公彦 あらすじ―― 東京・青山にデザイン事務所を構える瓜生甫と妻のちづるは、セックスレスの関係にあった。ちづるはある日、知人に紹介された年下のネイリスト塩出可奈子に誘われて、性愛の関係を結ぶ。 また甫には、旅行会社のプランナー中子毬子と古い付き合いがある。毬子の夫・中子脩は語学学校の経営者だが、女性関係が派手で夫婦の仲は冷えて久しい。中子夫妻は自宅のパーティーに瓜生夫妻を呼び、そこでちづるは毬子と意気投合する。 後日、ちづるから毬子を紹介された可奈子は、毬子も誘って三人でホテルに行かないかと、ちづるに提案する――。 都会の喧噪の中で交わされる、優雅で淫靡な秘密のささやき。錯綜する彼らの思惑がたどり着く先とは。
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4.0「日本最凶」の古典怪談、ここに甦る……。 ある地方の古着屋が入手した、青海波模様の縮緬布団。以来、その周囲では血塗れの美女が出現する怪現象が続発し、ついに死人まで――読む者を虚実のあわいに引きずり込む、独特の恐怖世界。日本怪談史上屈指の名作として読み継がれる表題作ほか、現代ホラー界の先駆的存在である著者初の怪談ベスト・セレクション全七篇。 【目次】 Ⅰ 蒲団(1937) 棚田裁判長の怪死(1953) 棺前結婚(1952) Ⅱ 生不動(1937) 逗子物語(1937) 雨傘の女(1956) 帰らぬ子(1958) 〈解説〉朝宮運河
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3.3「五月の朝に詩的な《赤いワンピースの娘》に出会って以来、おびただしい数の犠牲者が、人生の暗い波間に、永久に姿を消し去った」……モスクワの新聞社へ持ち込まれた、ある殺人事件をめぐる小説原稿。そのテクストの裏に隠された「おそろしい秘密」、そして読み終えてなお残り続ける「もう一つの謎」とは何か? 近代ロシア文学を代表する作家が若き日に書いた唯一の長篇小説にして、世界ミステリ史上に残る大トリックを駆使した恋愛心理物語の古典。巻末に、江戸川乱歩による評論を収録。 江戸川乱歩――「チェーホフともあろう作家の、こういう作品を知らなかったのだから、われわれの全く気づかない面白い探偵小説が、まだどれほど残っているかと思うと楽しくなる。……探偵小説のトリックの歴史から考えても、相当大きな意味を持つ」。 解説・佐々木敦
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3.5短篇は他のどんなジャンルよりも発想や展開において、また構成や叙述において自由で柔軟なものだ――。「私の文章作法」「短篇小説論」を中心に日本語論、自作解説を増補した新編集版。『短編小説礼讃』の著者による小説作法の書。巻末に荒川洋治との対談「短篇小説を語る」を収録する。 〈解説〉荒川洋治 【目次】 *=新収録 Ⅰ 私の文章作法 書くということ/待つ・聞く・書く/好きな言葉/散文の基本/小説を超えるもの*/不朽のジャンル/「僕」の問題*/うらぎる言葉*/幼年の文学*/土地の感覚*/小説と年齢* Ⅱ 日本語について ニュアンスについて*/昔の言葉/いい文章*/淋しい文章/私の国語問題/読書会にて/読者への手紙 Ⅲ 短篇小説論 短篇作者の仕事/贋の首飾り/チェーホフの星/チェーホフの現在/日本語のルナール/国木田独歩がいた町で/おのずからの形式/短篇小説の青春*/陳腐な運命/芥川龍之介の短篇/真剣な遊戯/三浦哲郎氏の短篇/猫のいる短篇/私の処女作*/父をさがす子*/『自転車』のこと*/短い形式* 対談 短篇小説を語る* 荒川洋治×阿部昭 解説 荒川洋治
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3.5すべて成るようにしか成らん。不愉快なことや怒髪天をつくようなことがあってこそ、人生は面白い。死ぬことも怖くないし貧乏も怖くないし、どん底をくぐり抜けるということはありがたいことだった。生きるとは、老いるとは、死とは、幸福とは……。読めば力が湧く、愛子センセイのメッセージ。 (本文より) ●すべて成るようにしか成らん。そう思っています。 ●幸福って欲望の充足では決してないんです。 ●幸福とは何か? いい時も悪い時も腐らず怨まず嘆かず、どんな時でも平然としていられることだと私は思っています。 ●もし、誰かに、あなたの人生でひとつ満足だったことは? と問われたら、私は「苦しいことから逃げなかったことです」と答えるでしょう。 ●不愉快なことや怒髪天をつくようなことがあってこそ、人生は面白い。温室のような環境にいると、人生への勇気がなくなるんです。 ●生きるというのは苦しいこと。私たちは楽しむためではなく、修行するために生まれてきたと思うことにしています。そう思えば、苦しいことを避けたり、楽しくないからといって恨んだりしなくていい。修行だと思えば、耐えやすいんです。 ●苦労というものを不幸のように考えるのは間違いです。苦労を乗り越えるから、自信というものが生まれるんですよ。 ●いろいろあったけれど、辛いとか悲しいとか嘆く気持ちはなかったです。戦場の兵士が敵との戦闘の最中に、辛いとか悲しいとか思わないのと同じです。そんな暇がなかった。人生の幸せとか喜びとか考えたことがなかった。何が幸せかなんて、暇人のいうことと思ってました。
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4.5一九八〇年、『時刻表2万キロ』の著者は全線乗りつぶしのため台湾へと向かった。戒厳令下で日本人観光客は団体ツアーばかりの当時、阿里山鉄道を筆頭とする狭々軌鉄道や、開通したばかりの超特急、砂糖会社線などを八日間で乗り尽くす。その後の八三年、九四年の全島一周達成の紀行を増補した著者台湾紀行の完全版。〈解説〉関川夏央 (目次より) 台湾鉄路千公里 1 一九八〇年六月二日(月) 桃園国際機場/台北車站/自強号、往高雄/空襲警報時旅客須知 2 六月三日(火) 莒光号餐車/対号特快車/阿里山森林鉄路/呉鳳旅社 3 六月四日(水) 台糖公司虎尾総廠路線/集集線/海線、山線、循迴追分線/台中柳川西路 4 六月五日(木) 東勢線・内湾線/淡水線・新北投/台北夜場 5 六月六日(金) 濂洞・侯硐・菁桐/嶮路北迴線/花蓮新站 6 六月七日(土) 花蓮港/太魯閣峡/狭々軌特急、光華号/台東市 7 六月八日(日) 公路局公共汽車、金龍号/屏東線、東港線 終 章 あとがき 台湾鉄路千百公里 台湾一周二人三脚 台湾一周、全線開通 解説(関川夏央)
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4.0昭和一四年、日本陸軍は満蒙国境ノモンハンにてソ連軍に押され続けていた。このまま日ソ全面戦争に発展することを恐れた日本は、急ぎドイツ・イタリアとの同盟を締結。ソ連軍も矛を収め、相互不可侵条約が成立した。だが、北の脅威がなくなったことに安堵できた時は短い。ドイツがポーランドを攻撃、イギリス・フランス両国と戦争状態を引き起こしてしまう。三国同盟の約定により参戦することとなった日本は、西太平洋のイギリス領・フランス領を攻撃。マレー・シンガポール・ビルマなどを占領し、連合艦隊はインド洋へと進出した。だが、そこにはイギリス海軍の最強戦艦が待ち構えていたのである――。 世界に七隻しかない四〇センチ砲戦艦――世界のビッグ・セブン その四隻がインド洋にて激突!
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3.3名家の老嬢エミリーの死後、閉ざされた部屋に残されていたのは……。短篇ミステリの古典にも数えられる表題作ほか、「あの夕陽」「ウォッシュ」など七篇を収録。架空の町ジェファソンを舞台にした《ヨクナパトウファ・サーガ》の全体像を望見しうる短篇集。巻末に中上健次の講演「フォークナー衝撃」他一篇を収録。 【目次】 赤い葉/正義/エミリーに薔薇を/あの夕陽/ウォッシュ/女王ありき/過去/デルタの秋/解説(高橋正雄) 《巻末付録》 中上健次、フォークナーを語る(フォークナー、繁茂する南/フォークナー衝撃)
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3.3【目次】 まえがき プロローグ 第一章 ナンシー関の才能とその影響力 ・作家 宮部みゆきの場合 ・天性の観察眼と「規格外」という自意識 ・「後悔はしないのか」 ・テレビプロビューサー 土屋敏男の場合 ・視聴率とは別の、もう一つの指針 ・コラムニスト 小田嶋隆の場合 ・視聴者と同じ目線の高さ ・イラストレーター 山藤章二の場合 ・“自己批判"という新しいジャンル 第二章 <ナンシー関>が誕生するまで ・照れ屋のちょっと変わった女の子 ・「ホットドッグ・プレス」での初仕事 ・改行なしのコラム原稿 ・たけしの「オールナイトニッポン」の影響 ・マブダチとの出会い ・丁稚で勝負 ・消しゴムを彫って生きる覚悟 ・「ビックリハウス」に単身で売り込みに行く ・「ミュージック・マガジン」の表紙に抜擢 ・自分自身の物差し ・独自のスタイルが完成 第三章 青森での関直美 ・子どもころから「大人」 ・実家でのナンシー ・クラスの中の“最後の砦" ・マツコとの鼎談 ・高校受験に失敗 ・サブカルチャーに傾倒 ・「演歌はいいけど、精神的演歌は嫌だ」 ・はじめて消しゴムハンコを彫る ・投稿ハガキが読まれ、拍手喝采 第四章 旅するナンシー、歌うナンシー ・香港でパーマをかける ・ハンコとスタンプ台を持ち歩く ・台湾社員旅行の過酷すぎるスケジュール ・「今考えれば、いいこと浮かぶかも」 ・ナンシーのバンド時代 ・染之助・染太郎の前座でバンドデビュー ・なぜか「嫌いじゃなくなった」カラオケ ・サブカル好きなお相撲さんと出会う ・憧れのムーンライダーズに緊張 ・いくつもあったカラオケの十八番 ・免許持つ人、持たぬ人 ・箱根への日帰りドライブ 第五章 ナンシー関の全盛期 ・はじめての単行本 ・愛用の消しゴム ・「噂の真相」での連載開始 ・見えるものしか見ない「顔面至上主義」 ・日常生活では「人の顔など見ちゃいない」 ・永ちゃんのコンサートに「潜入」 ・「フォーエバー毒蝮」 ・「テレビには出ない」という決断 ・本領発揮のプロレス技 ・ページはじまって以来の抗議の投書 ・大月隆寛との対談「地獄で仏」 ・ナンシーの外見と文章 ・週刊誌コラム連載で全国区に ・テレビコラムを主戦場に定めて ・デープ・スペクターとの論争 ・松本の外したような笑いのセンス ・定点観測の視点 ・リリー・フランキーとの対談「小さなスナック」 ・ワンアンドオンリーの存在感 エピローグ あとがきにかえて <巻末インタビュー> マツコから見たナンシー 〈解説〉 ナンシー関と雑誌の時代 与那原恵
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3.0「赤い死」が蔓延するなか、千人の友達と僧院に避難したプロスペロ公は壮麗な仮装舞踏会を催した。そこへ現れたひとりの仮装した人物が、人々の間に狼狽と恐怖と嫌悪を呼び起こす――死に至る疫病に怯えおののく人々を描いた表題作のほか、処女作「メッツェンガアシュタイン」など短篇小説十篇と、蔵書の行間に書き込んだ思考の断片「覚書(マルジナリア)」を収録。 巻末に解説「ポォの作品について」を所収。 吉田健一の名訳が愛好した作品が名訳で甦る。
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3.7金沢を舞台に旧制四高生・片口安吉の青春の光と影を描く「歌のわかれ」、敗戦直後、天皇感情を問うた「五勺の酒」。この二篇のほか、「村の家」「萩のもんかきや」など著者の代表的な短篇七篇を収める。詩篇「歌」、自作をめぐる随筆を併録。文庫オリジナル。 〈巻末エッセイ〉石井桃子・安岡章太郎・北杜夫・野坂昭如 ■目次 歌(詩) 【Ⅰ】 歌のわかれ/春さきの風/村の家/広重/米配給所は残るか/第三班長と木島一等兵/軍楽/五勺の酒/萩のもんかきや 【Ⅱ】 「春さきの風」「五勺の酒」の線/「春さきの風」のとき/「第三班長と木島一等兵」おぼえがき/五十年まえと三十年まえ 【中野重治をめぐって】 ある機縁(石井桃子)/我慢と律義と剽軽と(安岡章太郎)/「茂吉ノート」など(北杜夫)/青春の書(野坂昭如)
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5.0一冊の本との出会いによって物理学を志した学生時代の回想から、講演「素粒子論はいずこへ」「科学の進歩と国際協力」、ノーベル賞授賞式への旅を綴った「旅のノートから」まで。科学雑誌『自然』に一九四七年から七五年にかけて発表したエッセイと講演を集成。文庫オリジナル。 〈巻末対談〉水上勉×湯川秀樹「京都と日本を語る」 (目次より) Ⅰ 思い出すこと/学術の交流/旅のノートから/若い人々へ/仁科芳雄先生の思い出/科学の進歩と国際協力/研究者としての人間/二つの道を一つに/科学者の創造性/物理学者群像/日本の科学の一〇〇年 Ⅱ 素粒子論の現状と将来(湯川記念館開館記念講演)/素粒子論はいずこへ/理論物理学の伝統について/将来計画の意義/物理学の老化と若返り/素粒子論の現状と将来(素粒子論三〇年)ベータ崩壊の古代史 〈巻末対談〉京都と日本を語る 水上勉×湯川秀樹
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4.5真綿で首を絞めるように香港の自由を奪った中国が、次に見据えるのは台湾だ。ある日、台湾領の東沙島が中国軍の奇襲を受ける。大艦隊が接近する中、台湾軍は必死の抵抗を続けることに……。そんな緊迫する台湾に偶然居合わせたのが《サイレント・コア》の魔女こと司馬光一佐。面倒を見ている娘のレストラン開店を祝っていたところ台湾、アメリカの関係者との秘密会談に引き込まれ、日本の軍事参加を迫られる。「尖閣を守りながらの二面作戦は無理!」とつっぱねるが、事態はますます予断を許さないものとなっていく。一方、中国へ一矢報いるため、凶悪な計画を携えた者たちも上海へ向かっていて……? 大石英司の新シリーズ、不穏にスタート!?
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5.0僕等はツバぜり合ひの刀の下で、永久に黙笑し合つてる仇敵である――北原白秋主宰の雑誌への投稿で知り合い、近代詩を牽引する良きライバルとなった二人。交流を描いたエッセイから互いの詩集に寄せた序文までを集成する。それぞれが語る生涯にわたった友情。 文庫オリジナル 巻末対談 萩原葉子×室生朝子 目次から Ⅰ さびしき友・室生犀星(萩原朔太郎) 室生犀星の印象/さびしき友/田端に居た頃 /移住日記/室生犀星君の心境的推移に就て/室生犀星に与う/室生犀星君の飛躍/室生犀星に就いて/室生犀星君の人物について/室生犀星の小曲詩/詩壇に出た頃/所得人/犀星氏の詩/小説家の俳句/孝子実伝/別れ/室生犀星に Ⅱ 砂丘を登る人・萩原朔太郎(室生犀星) 赤倉温泉/萩原と私/芥川龍之介と萩原朔太郎/萩原朔太郎論のその断片/萩原朔太郎/萩原朔太郎を哭す/『卓上噴水』の頃/萩原葉子 著『父・萩原朔太郎』あとがき/詩人・萩原朔太郎/萩原に與へたる詩/供物 Ⅲ詩集に寄せて 室生犀星『叙情小曲集』序(萩原朔太郎)/健康の都市 詩集『月に吠える』(室生犀星跋)/愛の詩集の終りに(萩原朔太郎)/室生犀星『新らしい詩とその作り方』序に代えて(萩原朔太郎)/珍らしいものをかくしている人への序文(萩原朔太郎『純情小曲集』序 室生犀星)/『室生犀星詩選』推薦文(萩原朔太郎)/『青き魚を釣る人』序(萩原朔太郎)/『青き魚を釣る人』小言(室生犀星)/室生犀星詩集の編選について(萩原朔太郎)/野性の叫び(『室生犀星全集』萩原朔太郎推薦文) Ⅳ詩への告別 詩よきみとお別れする/詩に告別した室生犀星君へ/悲しき決闘/詩への告別に就て萩原君に答う/犀星氏の詩 巻末附録 萩原葉子/室生朝子対談「わたしの朔太郎、わたしの犀星」
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3.5貧しいスコットランド移民の子から全米の鉄鋼王となり、後半生は公共事業や世界平和の実現に尽くしたカーネギー。その圧倒的な楽観主義に裏付けられた成功哲学と社会福祉への思いが綴られた感動の自伝。カーネギーを敬した渋沢栄一が本邦初訳版に寄せた序文ほかを新たに収録。〈解説〉亀井俊介/鹿島 茂
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3.7「なぜもっと早くいらっしゃらない?」 廃墟に響いた幽霊の声―― 100年前、「田園の憂鬱」で一躍文壇に躍り出ながら、極度の神経衰弱に陥った佐藤春夫は台湾へと旅立つ。そこで目にしたもの、感じたものは、作家の創造力を大いに刺激した。台湾でブームを呼ぶ表題作など、台湾旅行に想を得た、今こそ新しい9篇。ミステリーあり、童話あり。異国情緒のなかに植民地への公平なまなざしと罪の意識がにじむ。文豪・佐藤春夫評価に一石を投じる文庫オリジナル企画。 収録作 「女誡扇綺譚」 「鷹爪花」 「蝗の大旅行」 「旅びと」 「霧社」 「殖民地の旅」 「魔鳥」 「奇談」 「かの一夏の記」
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3.0「あまり日本語で話をしない方がいい。皆、日本人を嫌っているから」―――中華民国初期の内戦最前線を行く「南方紀行」、名作「星」など運命のすれ違いを描く9篇。 佐藤春夫は戦前の二十数年間に中国を五度訪れた。一九二〇年、台湾から対岸の福建省へ。七年後には杭州・南京へ。しかし時代は田漢・郁達夫との友情に暗い影を落とす……。 「南方紀行」では東アジア初の社会主義実験都市・漳州を訪れているほか、「曾遊南京」で明らかになる蒋介石とのすれ違いなども興味深い。 また、「わが支那游記」は長らく行方不明であったが近年発見された。 文庫オリジナル。〈編集・解説〉河野龍也〉 目次 ・星 ・南方紀行 厦門採訪冊 厦門の印象/章美雪女士の墓/集美学校/ 鷺江の月明/漳州/朱雨亭の事、その他 ・市井の人々-大陸逸聞- 老青年 南京雨花台の女 ・ 交遊の思い出-郁達夫・田漢- 西湖の遊を憶う 秦淮画舫納涼記 曾遊南京 ・わが支那游記 ・旧友に呼びかける
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4.3
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-「若い医者と軍人の結合体にとって、詩と死はただの同音ではなかった」(谷川雁) 医師で詩人の著者は臨時召集を受け、軍医少尉として出征。北ビルマの最前線ミイトキーナでは、司令官・水上源蔵少将に対し死守が命じられるが、少将は残存将兵への転身命令を発したのち自決。部隊は全滅を免れるも、その後は「中国の雲南からビルマをよぎって、タイのチェンマイまでの泥まみれの敗退」となった……。 壮絶を極めた南方戦線から奇跡的に生還した著者は、その記憶を書き残す決意を固めるには四半世紀の時間を要したと述懐している。一九六九年夏に西日本新聞に連載した「月白の道」は、2000キロの敗走を綴った戦場の記録である。 第一篇には、「私たちはおたがいに心の虫歯をもっていたほうがよい。…でないと、忘却というあの便利な力をかりて、微温的なその日ぐらしのなかに、ともすれば安住してしまうのだ」とある。声高に叫ぶのではなく感情を抑えたさざ波のような断章が連なり、野呂邦暢や川崎洋らが賞賛する詩的な香りの漂う孤高の戦記文学となった。 都合三度刊行された『月白の道』の「序」「あとがき」に加え、二度目の刊行時に書き加えられた後日譚とも言うべき「南の細道」、文藝春秋に寄稿した「軍神を返上した水上少将」、および、私家版『定本 丸山豊全散文集』から戦争・戦友に関する一〇篇を収録した、戦争散文の集大成。 さらに、谷川雁の追悼文、野呂邦暢、川崎洋、森崎和江のエッセイ、映像制作者・木村栄文の「『月白の道』に寄せて」を収録。
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-貧乏暮らしあり浮気ありで五十年、放浪詩人とその妻はよき相棒。金子の日本論、女性論から交友録、森のパリ印象記、金子の肖像など、二人の自選によるベストエッセイ集。金子の遺著となった単行本に全集未収録の夫婦往復書簡(一九三九年)を増補。 〈巻末エッセイ〉森 乾 ■目次 【金子光晴】 Ⅰ ひげのある人生/明治の青年を苦しめたもの/江戸につながるなにものもなく/日本人について/番付の心理/いやな思いをした昭和という年号 Ⅱ 私小説/伝統の芸能/日本の大衆芸人と番付/秋の日記/血と地につながるもの/ちょんまげのこと/『コスモス』雑記 Ⅲ 萩原朔太郎について/高村光太郎との僅かなかかりあい/清親のこと/吉田一穂のこと Ⅳ 女について/なおも、男・女などをめぐって/若さと老年と/日本人のフェミニズム/着物を剝がれた女達/女体の豊饒を描く/日本人よ淫なれ 【森三千代】 Ⅰ 巴里郊外の青春/巴里の秋色/白/血を抱く草/仏印の文学/アンコール・ワットへの道 Ⅱ 和泉を憶う/わたしの大休暇/香木の話/志摩を思う/金子光晴の横顔I/金子光晴の横顔Ⅱ/父の心/老母の手/きのうきょう/若葉よ、妹が生れた/若葉の夏休みのレポートに添え/なつめと共に/なつめとの対話/若葉のいる正月 跋 (金子光晴) 金子光晴・森三千代往復書簡(一九三九年) 巻末エッセイ 父と母の想い出に(森乾)
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4.5「恥を忍んで申し上げます。開戦日の延期はできないものでしょうか?」 「既にハワイ作戦に向けて動き始めている。今になっての中止は考えられぬ」 開戦劈頭の奇襲攻撃は根底から覆された―― 昭和一六年、日米関係の悪化により、戦争は避けられぬ情勢となりつつあった。すでに連合艦隊は開戦に備え、各地で動き出している。そのなかに、特異な巡洋艦の姿があった。防空巡洋艦「青葉」「加古」。主砲すべてを高角砲に換装し、空母機動部隊を航空攻撃から守るために改装された艦である。 だが、真珠湾の米主力艦隊に奇襲をかける空母機動部隊への参加を見送られ、マレー・シンガポール攻略を担当する艦隊に配属されてしまった。想定とは違う任務に戸惑う乗組員たち。南方作戦には防空巡洋艦の出番はないのではと落胆の思いを抱いたが……。 そこに陸海軍、いや日本中を動転させる驚愕の情報が飛び込んできた! 新シリーズ開幕!
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4.5
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4.5師の臨終に立ち会い号泣し、奇禍に倒れた友の事故の様子を丹念に取材し記し、幽霊でも良いから夢に出てこいと弟子へ呼びかける。夏目漱石、芥川龍之介、鈴木三重吉ら一門の文学者から、親友宮城道雄、教え子、飼い猫クルツまで。哀惜をこめてその死を嘆き、思い出を綴る追悼文集。〈解説〉森まゆみ (目次より) Ⅰ 漱石先生臨終記/湖南の扇/亀鳴くや/花袋追慕/花袋忌の雨/寺田寅彦博士/御冥福を祈る/鈴木三重吉氏の事/四谷左門町/酒徒太宰治に手向く/黒い緋鯉/草平さんの幽霊/青葉しげれる/薤露蒿里の歌/舞台の幽霊/追悼句集 Ⅱ 朝雨/「臨時停車」より/東海道刈谷駅/「つはぶきの花」/宮城会演奏プログラム口上一束/ピールカマンチヤン/「新残夢三昧」より Ⅲ 鷄蘇仏/破軍星/空中分解/アヂンコート/片山敏彦君 解説 森まゆみ
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-名句《竹馬やいろはにほへとちりぢりに》で知られる文人・久保田万太郎。浅草生まれ浅草育ちの生粋の江戸っ子が、明治・大正・昭和三代にわたって移りゆく町の姿を、懐旧の情にみちた筆致で綴った名随筆。「雷門以北」「吉原附近」「浅草の喰べもの」「夏と町々」ほか全十九編。〈巻末エッセイ〉戌井昭人 ■目次 雷門以北/吉原附近/続・吉原附近/隅田川両岸/浅草田原町/あやめ団子/相模屋の路次・朝倉屋の路次/浅草の喰べもの/夏と町々/絵空事/一年/浅草よ、しずかに眠れ/夜店ばなし/除夜/正月/水の匂/らッぱぶし/さのぶし/町々……人々……
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4.3
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5.0一九八六年、中曽根内閣は懸案の自主憲法制定を成し遂げた。自衛隊は改称され国軍へ昇格。また日銀は絶妙の金融政策でバブル経済を軟着陸させ、日本は好景気のまま発展した。だが今、その社会は危機に瀕している。「シンク」という謎の穴がすべてを飲み込み、同時に感染症も流行。政府が隠蔽する世界の崩壊を阻止する鍵を握るのは、一人の日本人学者だった。彼を探し保護せよとの命を受けた土門康平陸軍中将は、この任務を遂行し、日本を、この世界を救 うことはできるのか――? 大石英司が描く世界滅亡の書。
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-※既刊電子版と内容に変更はありません。※ 『CN25』所収で C★NOVELS Mini として電子化された短篇と、中公文庫『皇国の守護者』1巻および3巻から9巻所収で個別に電子化された外伝8篇、および中公文庫・同電子版『皇国の守護者2』に併録された随想1篇を合本。 〈収録作品〉 「猫たちの戦野」 C★NOVELS Mini 「観光資源」 「職業倫理」 「新城支隊」 「島嶼防衛」 「お祖母ちゃんは歴史家じゃない」 「新城直衛最初の戦闘」 「我らに天佑なし」 「猫のいない海」 「筆者贅言 はじめにみえたもの」(『皇国の守護者2』所収)
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4.0
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-この小説の主役は、読みながら読者の心に去来するその人その人の時間と光景だ。人は孤立していない、一人一人は閉じられた存在ではない。人は別々の時間を生きて大人になるが、別々の時間を生きたがゆえに繋がっている。(「あとがき」より) 【この本に出てくるものたち】 怪傑ハリマオ、ナショハルキッド、七色仮面、コマ回し、三角ベース、貝殻拾い、力道山、プラモデル、『力持ちのポール』、クレイジーキャッツ、『恋の片道切符』、まぼろし探偵、野球、石蹴り、加山雄三、防空壕、伊賀の影丸、鉄人28号、鉄腕アトム、『少年サンデー』、ドロケン、マルハナバチ、木登り、友だちと好きな女の子。