小説 - 小学館作品一覧

  • P+D BOOKS 罪喰い
    5.0
    1巻880円 (税込)
    夢幻が彷徨い時空を超える赤江瀑珠玉の6編。 週刊誌の告知板に、建築家・秋村黒人が<罪喰い>という死者儀礼についての問合せを出していた。 それを見た京都の精神科医・水野は、2年ほど前に奈良・高畑の新薬師寺本堂前で出会った青年を思い出す。水野が持っていた伐折羅大将とよく似た木彫像裏の「都美波美黒人」の字を「罪食み黒人」と読めると話した青年が、その建築家だと思った彼は手紙を送る。 しかし、突然訪ねてきた秋村はあの時の青年とは全くの別人だった……。<罪喰い>という魔の言葉に取り憑かれた新進建築家の混迷を描く表題作は、第69回直木賞候補となっている。 「花夜叉殺し」は、主人公の亡き母の記憶と重なる物語。月明かりの夜にこそ幽玄の魅力を秘めた銀閣寺の庭と、一方、香花木で埋め尽くされた屋敷の絢爛たる庭とを対比しながら、庭の魔性に惑わされた若い庭師の惨劇が描かれている。ほかに赤江瀑初期の代表的短編「獣林寺妖変」「ライオンの中庭」「赤姫」「サーカスの花鎮」を収録。
  • P+D BOOKS おバカさん
    3.8
    1巻880円 (税込)
    純なナポレオンの末裔が珍事を巻き起こす。  春のある日、銀行員隆盛の妹、巴絵に一通の手紙がシンガポールから届く。姿を現したのは、フランス人、ガストン・ボナパルト。ナポレオンの末裔と称する見事に馬面の青年は、臆病で無類のお人好し。一見ただのうすら“おバカ”だが、犬と子どもに寄せる関心は只事ではない。  変質者か? だが、すれっからしの売春婦をたちまち懐柔したり、ピストルの弾丸を相手の知らぬ間に抜き取るなど、はかりしれない能力も垣間見える。 そして行く先々でその生真面目さから珍事を巻き起こしていく。日本に来た目的は?その正体は?そんな“おバカ”な一方で、彼は出会った人々の心を不思議な温かさで満たしていく。  遠藤周作、得意の明朗軽快なタッチながら、内に「キリスト受難」の現代的再現を意図した心優しき野心作。
  • ほどよく長生き 死ぬまで元気 遺産そこそこ 遺書はしっかり
    -
    1巻880円 (税込)
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 家業の会社の営業をこなしつつ、作家として活躍する咲塚浩一郎は、親族が次々と病に倒れ、長期入院、はたまた急死と日々慌ただしい。だが、倒れるわけにはいかない彼は、ひとり歯を食いしばって介護に悪戦苦闘。我々はみな死や病と背中合わせに生きている。別れの時が訪れるまで、“みんな元気でいてくれよ”-主人公の心からの願い。読後、心にポッと温かさが残る愛あふれる介護小説。
  • 源氏物語 1 古典セレクション
    5.0
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 学校やカルチャーで、テキスト利用に最適と大好評のハンディ版『源氏物語』。原文・注・現代語訳が同一見開きにおさまり、はじめて読む方でも無理なく読みとおせます。第1巻は桐壺・帚木・空蝉・夕顔を収録。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • 新訳源氏物語 1
    -
    1~4巻880円 (税込)
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 難解で膨大な源氏物語を歌人・尾崎左永子が、原文に即しながら文脈を解きほぐし、分かりやすい現代文に置き換えました。物語を支える「雅び」の味を損うことなく、源氏物語をらくに読みこなすことを主眼にしています。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • P.S.アイラヴユー
    3.7
    世界中の人が泣いた愛の再生の物語。 ホリーに突然おそいかかった夫ジェリーの死。泣き暮らす彼女の元に、ある日手紙が届く。中身は開封すべき月が指定された10通の手紙、そして文末にはいつも「P.S.アイラヴユー」の文字が……。それは絶望にくれる妻への思いがけない贈り物だった。家族と友人に見守られながら、徐々に生きる力を取り戻していくホリーを通し、愛の喪失と再生を描いた感動作を林真理子が翻訳。著者の処女作ながら全世界で大ベストセラーを記録、数々の賞を受賞した本作を電子化。 ヒラリー・スワンク主演による映画は2008年10月より日本全国でロードショーが公開された。
  • 永遠の詩01 金子みすゞ
    4.5
    1~8巻880円 (税込)
    幻の天才童謡詩人による奇跡の詩。 彗星のように現れて消えていった、天才童謡詩人、金子みすゞ。わたしたちのこころに永遠に生きつづけるその童謡詩を金子みすゞ記念館館長・矢崎節夫による鑑賞解説付き、現代仮名遣いで収録。 永遠の詩シリーズは、今日的に意義のある詩人をとりあげ、代表作を厳選しました。わかりやすい解説で、詩があなたにもっと近くなります。

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  • 淑女への贈り物
    -
    1巻880円 (税込)
    大人の少年誌「ラピタ」連載の35章のショート・ストーリー。女性への贈り物に纏わる物語。「ありがとう」を、どうして妻に言えないんだろう。「ごめんね」を、どうして母に言えないんだろう。「愛してる」を、どうしてあの時言えなかったんだろう。胸の奥が4℃温まる 思いとモノと物語。妻へ、母へ、娘へ、恋人へ。様々な関係、状況での女性たちへの贈り物をテーマにした珠玉のショートストーリー。思いを込めて大切な女性へ贈りたい、でも何を贈れば良いかわからない。そんな男性へ、必ず淑女に喜ばれる商品情報付。

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  • ケータイ小説家~憧れの作家10人が初めて語る“自分”~
    -
    1巻880円 (税込)
    ケータイ小説を書き始めたきっかけ、作品への想い、読者への気持ちなど、人気ケータイ小説家10人の想いが詰まった一冊。指を血だらけにしながらも、過去の体験や素直な気持ちをケータイに打ち込んでいく。書いているうちに、つらくて我慢できなくて、でも、読者の励ましでまた書き続ける。そんなケータイ小説家の一途な姿を、作家へのインタビューをもとにまとめた一冊です。彼女(彼)らは、どんな人生を過ごしてきたのか。どんなきっかけでケータイ小説を書くようになったのか。そして、小説を書いているときの気持ちや読者との固いきずな……。読者から高い支持を得ている人気ケータイ小説家10人の素顔を、代表作のあらすじを交えながら描き出します。好きな小説家がこの本に載っていたら、是非読んでください。今まで知らなかった、ケータイ小説家の本当の想いがあなたに届きます。登場する作家と作品/美嘉「恋空」、水嶋利子「理由。」、飛鳥「Re:涙雨」、ナナセ「片翼の瞳」、蓮居くうな「戦場のサレ妻」、SINKA「また会いたくて」、美由「最後の約束」、Saori「腐指」、めぐみ「心の鍵」、Chaco「空」。

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  • こんぱるいろ、彼方
    4.0
    戦争と難民──今を生きる私たちの物語。 近所のスーパーの総菜売り場で働く真依子は、サラリーマンの夫、大学生の奈月、高校生の賢人の四人家族だ。職場でのいじめに腹を立てたり、思春期の息子・賢人に手を焼いたりしながら、日々を慌ただしく過ごしている。奈月が、夏休みに友人と海外旅行へ行くと言い出した。真依子は、奈月の代わりにパスポート申請に必要な書類を取りに行った。戸籍謄本と戸籍抄本、二つの書類をもらうと、戸籍謄本の真依子の出生地の欄には、カタカナの国と市が書かれていた。子どもたちには伝えていない。奈月には戸籍抄本を渡した。パスポートを手にした奈月に行き先を尋ねると、「ベトナム」と答えが返ってきた。友人たちと旅の準備を進める中で、奈月は真依子から戸籍謄本を見せられる。 「わたしね、ベトナム人なの」 「わたしたちね、ボートピープルだったの」 奈月は自分のルーツを受け入れ、ベトナムに向かった──。家族小説の気鋭が、世界を広げて挑む新境地! ※この作品は単行本版『こんぱるいろ、彼方』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • ブルーアウト
    3.7
    エルトゥールル号遭難に着想を得た海洋小説。 和歌山県串本町のダイビングショップでガイドとして働く高畑水輝。そのもとを偶然訪れたトルコ人青年ギュスカン。彼の目的はいまから125年前、祖先ムスタファを乗せた軍艦「エルトゥールル号」の遭難現場に潜り、「あるもの」を捜すことにあった。バディとして潜る水輝が一瞬目を離した隙に突然視界から消えたギュスカン・・・。1世紀の時を経て、日本とトルコの時空を超えて絡み合うふたりの宿命。それは偶然なのか、必然なのか。1890年に起きた「エルトゥールル号遭難事故」に着想を得て、書き下ろした生命の根源を問う渾身の長編海洋小説。待望の文庫化。「生と死が交錯するスリリングな物語」 (朝宮運河氏「解説」より) <エルトゥールル号の遭難事故とは> 1890年9月、オスマン帝国の親善訪日使節団を乗せた軍艦「エルトゥールル号」は帰国の途中、和歌山県串本沖で台風に遭遇、遭難し、500名を超える犠牲者を出した。この未曾有の大惨事の中、地元住民たちの献身的な救助活動により、69名の乗組員が奇跡的に母国トルコに生還した。
  • 抱擁/この世でいちばん冴えたやりかた
    3.0
    ゴシックミステリから奇譚まで極上の物語集。 元版は2002年刊の短篇集『約束よ』と2009年刊の中篇『抱擁』。二冊を合本、二部構成にして初の文庫化。第一部「抱擁」は、二・二六事件の翌年、昭和12年の東京駒場の前田侯爵邸を舞台に展開する。18歳の小間使い(わたし)の検事に向かっての供述で語られる物語。5歳の令嬢・緑子の不可思議な行動、ゴシック建築の洋館で起こる異様な事件、物語は謎をたたえて結末に向かって走り出す。ヘンリー・ジェイムズの傑作『ねじの回転』をパスティーシュした傑作である。 第二部は総タイトルを「この世でいちばん冴えたやりかた」と改め、七篇の名品が並ぶ。日本と中国を舞台にした奇譚の数々。一篇一篇がその文章力と物語の起伏で読む手が止まらない。特筆すべきは著者の代表作である盲目の落語家を主人公にした『遊動亭円木』(谷崎潤一郎賞)の外伝三篇が収録されていること。ファン感涙である。若き日に中国貿易に携わった著者でこそ書ける中国を舞台にした三篇もすごい。時代も唐から現代まで、そのストーリーテリングは凡百の作家の追随を許さない。タイトルに採った「この世でいちばん冴えたやりかた」は天安門事件を背景にした驚くべき現代の奇譚。単行本時の表題作だった「約束よ」には官能の匂いが立ちのぼる。 さらに、作品の中にさりげなく引用されるフロベールの『ボヴァリー夫人』とボルヘスの掌篇、豊潤な作品を詰め込んだ「世界文学」ともいうべき至福の物語集である。
  • 鳩の撃退法 上
    3.7
    小説名人による名作中の名作ついに文庫化! 夢枕獏さん、京極夏彦さん、奥泉光さん、筒井康隆さんら選考委員から圧倒的な評価を受けた、第6回山田風太郎賞受賞作! 山田風太郎賞の受賞からおよそ2年後、著者は『月の満ち欠け』で第157回直木賞を受賞したが、関係者のあいだでは本作が直木賞でも――といった声も出ていたという。 連載に3年を要した本作は、著者本人も「墓碑銘にしたい」「思い残すことはないくらい、本当に集中して書いた」と語る、まさに渾身の作品です。 【ストーリー】 かつて直木賞も受賞した作家・津田伸一は、とある地方都市で送迎ドライバーをして糊口をしのいでいた。 以前から親しくしていた古書店の老人の訃報が届き、形見の鞄を受け取ったところ、中には数冊の絵本と古本のピーターパン、それに三千枚を超える一万円札が詰め込まれていた。 ところが、行きつけの理髪店で使った最初の一枚が偽札であったことが判明。 勤務先の社長によれば、偽札の出所を追っているのは警察ばかりでなく、一年前の雪の夜に家族三人が失踪した事件をはじめ、街で起きる騒ぎに必ず関わる裏社会の“あのひと”も目を光らせているという。 こんな小説アリなのか! 小説表現の臨界点を超えた、まさに先が読めない展開――かつてない読書体験を約束します。存分にお愉しみください。 ※この作品は過去に単行本版として配信されていた『鳩の撃退法』 の文庫版となります。
  • 社運
    -
    二転三転する日米企業の合弁交渉の行方は!  マツイ・エクセレンスの斎藤潤は、同じ健康食品企業であるアメリカのリッチベイ社と合弁企業を設立するための交渉責任者として、シンシナティ・シティに向かった。斎藤は社長の中野の腹心の部下であり、一方、リッチベイの交渉窓口となったロバートも、副社長のキースに絶対の忠誠を誓う男だった。  マツイ・エクセレンスは、中野と副社長向山の派閥争いがあり、ライバル企業のサンセット・トレードが業界第三位開健堂に続き、アメリカ企業のランパートと合併したことで、業界のトップシェアを奪われていた。  合弁事業の予定会社、株式会社アールエムの準備事務所ができ、当初は順調に交渉が進んでいた。   突如、リッチベイ社に対等合併の話が出てきた。合併賛成派は、リッチベイ社の社長・副社長側で、反対側が会長とキースの側だった。そればかりか、リッチベイ社が重大な問題を隠蔽していることが明らかになってくる。  中野の意を受け、証拠をもとにロバートを追い込むことになった斎藤。行き詰まる交渉の結果は!
  • しょったれ半蔵
    4.0
    大河でも注目!本当は武士になりたかった男。 かの有名な忍び、服部半蔵。その二代目は武士だった? 戦国時代に名を馳せた伊賀忍者、服部半蔵保長。その長男・正成は、家を継ぐべく育てられた。しかし忍びの仕事は闇に紛れ命を奪う影の仕事。七歳のある日、初めての任務が下されたが、そのあまりの理不尽さに悩んだ正成は、思わず家を飛び出してしまう。影に生きる忍びではなく、太陽の下、正々堂々と戦う武士になると心に決めて。 時は流れ、渡辺守綱の家で修行を積んだ正成は上ノ郷城で初陣を迎えた。戦場には密命を帯びた父・保長もいた。しかし直後、謎の忍び・梟に父を殺され、さらには正成も命を狙われる羽目に。 変わらず忍びを厭う正成だったが、保長を失った服部家を継ぐよう主君・松平元康に命じられてしまう。武士としては、主からの命令に逆らえるはずもなく、不本意ながらもここに二代目・服部半蔵が誕生したのだった。 しょったれとは、三河地方で「半端者」の意。武士にも忍びにもなりきれない半蔵は、それでも人と縁を繋ぎ、もがきながら死地を駆け抜ける。2023年大河ドラマでも注目のキャラクターが多数登場。気鋭の歴史時代小説作家による、忍びエンタメの最高峰、待望の文庫化! ※この作品は単行本版『しょったれ半蔵』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 都立水商! 2年A組
    4.7
    水商売の専門高校、廃校の危機!? 日本初の水商売を専門に学ぶ都立高校が新宿歌舞伎町に設立されてから二十八年。夜の街は、コロナ禍による営業自粛で閑古鳥が鳴いていた。都立水商でも、伝統ある入学を祝う会が早々に中止になり、神奈川の高校との交流戦もとりやめられた。そんな中、週刊誌に、水商の存在に疑問符を投げかける記事が掲載され、ニュースとなる。全校に動揺が広がる中、生徒会は文化祭を盛り上げようと、あらゆる手を画策する。さらには、メジャーリーガーを親に持つ徳永英雄率いるバスケット部が、都大会で快進撃を続けるのだった。
  • あの日に亡くなるあなたへ
    4.0
    今なら、過去を変えられる――。 大学病院で産婦人科医として勤務する草壁春翔。 春翔は幼い頃に妊娠中の母が目の前で倒れ、何もできずに亡くなってしまったことをずっと後悔していた。 ある日、春翔は実家の一室で母のPHSが鳴っていることに気づく。不思議に思いながらも出てみると、PHSからは亡くなった母の声が聞こえてきた。 それは雨の日にだけ生前の母と繋がる奇跡の電話だった。さらに春翔は過去を変えることで、未来をも変えることができると突き止める。そしてこの不思議な電話だけを頼りに、今度こそ母を助けてみせると決意するのだが……。 現役医師が描く、時をこえる本格医療・家族ドラマ!
  • 警視庁レッドリスト
    3.5
    1~2巻858~913円 (税込)
    映像化多数の著者による、新・警察小説!  警視庁内部には、違法行為、コンプライアンス違反には至っていないが要注意と判断された職員をピックアップした名簿、通称「赤文字リスト」がある。昨今増加する警察官の不祥事と世論への対策として、赤文字リストに載せるべきかを内偵する部署「職場環境改善推進室」が設置された。室長は、阿久津慎。二年前に史上最年少の三十四歳で監察係の係長に就任したエリートだ。室員は、「職場改善ホットライン」から来た、民間企業出身の三雲みひろ。セクシャルマイノリティ、借金、酒、不倫、行き過ぎた趣味等々、「警察」という特殊組織ゆえに問題視される厄介かつデリケートな事案を、自らもリスト入り寸前の凸凹バディが調査する。やがて二人は、監察係主導の陰謀に気づくのだが……。 『メゾン・ド・ポリス』はじめドラマ化作品多数の著者による、まったく新しい警察小説、誕生!
  • オッドタクシー
    4.3
    超話題のアニメーション、完全ノベライズ!  平凡な毎日を送るタクシー運転手・小戸川。少し偏屈で無口な変わり者の彼が友人と呼べるのは、かかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生・柿花ぐらいだ。小戸川が乗せるのは、どこかクセのある客ばかり。バズりたくてしょうがない大学生・樺沢、何かを隠す看護師・白川、いまいち売れない芸人コンビ・ホモサピエンス、街のゴロツキ・ドブ、売出し中のアイドル・ミステリーキッス。車内で交わされる何でも無いはずの会話が、やがて1人の少女へと繋がっていく──。  主演に花江夏樹を迎えた超話題のアニメーション「オッドタクシー」。人気漫画家・此元和津也が書き下ろした脚本をもとに完全ノベライズ!巻頭カラーで人物相関図と名場面も収録。唯一無二の不思議な世界を、小説でもお楽しみください。 ※この作品はカラーが含まれます。
  • まぎわのごはん
    4.0
    現役医師が描く圧巻のデビュー作!  修業先の和食店を追い出された赤坂翔太は、あてもなく町をさまよい「まぎわ」という名の料理店にたどり着く。  店の主人が作る出汁のおいしさに感動した翔太は、店で働かせてほしいと頼み込む。念願かない働きはじめた翔太だが、なぜか店にやってくるのは糖尿病や腎炎など、様々な病気を抱える人ばかり。  それもそのはず、「まぎわ」はどんな病気にも対応し、患者に寄り添った食事を提供する、特別な食事処だったのだ。  塩一つまみ気軽には使えない店の正体に戸惑いを隠せない翔太。そんな中、翔太は末期がんをわずらう元モデル・如月咲良のための料理を作ってほしいと主人に依頼され――。  病と向き合う若き料理人の葛藤と成長を現役医師が描く、圧巻の感動作! (底本 2021年6月発行作品)
  • こんなにも優しい、世界の終わりかた
    4.1
    世界が終わるなら、誰に想いを伝えますか? いまさらながらに、みんなようやく気付いたのかもしれない――もとより、ぼくらに残された時間なんてそんなになかったってことに。 突然、世界は鉛色の厚い雲に覆われた。 雲間から差す青い光が注がれた町は、ひとも獣も、鳥も木も、土も水も、すべてが動きを止めてしまう。誰にも理由はわからない。あっという間に世界は冷えて、どこもかしこもが冬のようになった。 そして凍った町は少しずつ成長していた。 「ぼく」は「彼女」に会いに行くと約束した。最後に電話で話したとき、彼女はとてもおびえていた。 「もう、町には誰もいないの。」ぼくは、ならば「ぼくがそこに行くよ。そうすればもう怖くないよね?」と言った。 これを最後に電話はまったく通じなくなった。むしろこのとき繋がったことのほうが奇跡に近かったのかもしれない。 彼女の住む町まで直線距離で500キロ。 青い光を逃れ、ぼくは彼女に会うことができるだろうか。 彼女はそれまで、青い光に染まらずにいられるだろうか。 『いま、会いにゆきます』『恋愛寫眞 もうひとつの物語』『そのときは彼によろしく』と、ベストセラーを連発した著者による、3.11以降究極のラブストーリー。 恋人、家族、友人など、たくさんの愛が描かれた最高の愛の物語です。
  • 砂のクロニクル 上
    4.3
    1~2巻858~924円 (税込)
    イランを舞台に描く壮大な一大叙事詩。  舞台は、イラン、イラク、旧ソビエト、そしてヨーロッパ・・・。壮大なスケールで描く超大作。ペルシアの地を目指した、2人の日本人が、苛烈な運命に翻弄されながらも強く生きる。  イスラム革命が成功したイラン。王の時代は終わりを告げ、念願のイスラム教を軸とする国家へと移りゆく。イスラムの教えを強く信じ、革命を成し遂げた革命防衛隊だったが、権力を手にしたとたん、内部からじわじわと腐敗がすすみゆく。革命の成功が、理想の国家を作り上げると信じていた革命防衛隊員サミル・セイフは、その現実を目の当たりにし、もう一度イスラム革命の理念を取り戻すべく戦う。  一方、イラク、イラン、トルコなど、カスピ海沿岸に国を持たずさまようクルド人。自らの国家を樹立するため、武装蜂起を計画。その意思を受けクルド人の武器を調達する日本人武器密輸商人ハジ。そして、イラン革命をつぶさに見てきた隻脚の日本人ハジ。2人の日本人の生き様を通じて、中東の置かれた現実や人々の思いを見事に描ききる。  長きに渡り、読み継がれてきた船戸与一最高傑作。小学館文庫にて刊行するにあたり、イランの地図と登場人物紹介を付記したものを電子化した。
  • 空とシュウ
    3.9
    1巻858円 (税込)
    女の子が女になるとき、セフレが必要な理由周囲との軋轢の中で自分の感情を持て余す主人公のあには、シュウという名のセフレがいた。のあがシュウに求めたのは愛でもセックスでもない…。「ひとりの少女が女へと成長してゆく過程を、その中で感じる葛藤や寂しさ、身に持て余してしまうほどの切なさを、ひとりの少年との“セフレ”という関係を通して描きたかった」(作者)。少女がもがきながら女に成長していく過程を描いた青春小説です。

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  • 原色3人女
    3.9
    1巻858円 (税込)
    男性を値踏みし石橋を叩きすぎて、高値で売れる「黄金の婚期」を逃しつつあることに焦る輸入会社秘書の紅(べに)。OLから憧れのマスコミ業界に転職したものの、過酷な労働状況&恋愛模様にヘトヘトな女性誌編集者紫織(しおり)。恋人の自殺を機に「世の中お金とパワーでしょ」と覚醒しラジオ局員を辞め、天性の小悪魔気質を生かし銀座ホステスに転身した向日葵(ひまわり)職種も性格もまるで異なる女3人が仕事や恋愛に悩みながら、自分らしい“色”を出せるようになるまでの過程をポップに描いた本作。女性に大人気のエッセイストである著者、初のガールズノベル。

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  • 俺が近所の公園でリフティングしていたら
    3.8
    1巻858円 (税込)
    2ちゃんねらーが感涙した青春サッカー小説! 高校生の樋口広樹は優秀なサッカー・プレイヤーだったが、全国的にはまだ無名の選手だった。その樋口がある日、近所の公園でリフティングをしていたら抜群にサッカーが上手い外国人の女の子二人組にからかわれてしまう。そのひとりがアメリカから樋口の高校に転校してきた日本人とアメリカ人のハーフ、モニカだった。樋口はモニカとの出会いによってめきめきサッカーが上達、ついにワールドユース日本代表にまで選ばれオランダで大活躍する。しかし、帰国した樋口を悲劇が襲う……。掲示板サイト2ちゃんねるで「連載」されていた当初から、「電車男」より泣けるとサッカーファンの間で話題になった青春サッカー小説の金字塔、待望の電子書籍化!

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  • 転がる検事に苔むさず
    4.5
    窓際検事の逆転なるか! 夏の夜、若者が高架鉄道から転落し、猛スピードの車に衝突した。自殺か、他殺か。判断に迷う刑事課長は飲み友達の検事、久我周平に助けを求めた。出世レースから外れた久我は日の当たらぬ部署で罰金刑など軽めの事件ばかり扱う一方、遺体の検分には豊富な経験を持つ。久我は靴の傷に他者の関与を疑う。交番巡査、新人の女性検事とともに若者の身辺を探っていくと、海を超えての怪しげな高級外車の取引が浮かびあがった。法務検察内のパワーゲームにも巻き込まれながら、男の正体に迫っていく。窓際検事の逆転なるか。 ◎著者は、検察庁など司法を担当した現役新聞記者 ◎解説は元最高裁判事の甲斐中辰夫氏 ◎第3回警察小説大賞受賞作 真摯に正義を求める“生身の検事”がここにいる―――柚月裕子 氏激賞! ※この作品は単行本版『転がる検事に苔むさず』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 鳴かずのカッコウ
    4.0
    日本社会に対する「警告の書」。 公安調査庁は警察や防衛省の情報機関と比べて、ヒトもカネも乏しく、武器すら持たない。そんな最小・最弱の組織に入庁してしまったマンガオタク青年の梶壮太が、ある日のジョギング中、偶然目にした看板から国際諜報戦線に足を踏み入れることに。“ミス・ロレンス”こと西海帆稀とともに、神戸に暗躍する謎のウクライナ人を追跡する―― 〈インテリジェンスにあまりに無頓着だった日本社会に対する「警告の書」として本書を読むべきだろう〉――ジャーナリスト・後藤謙次氏(解説) 【「ウルトラ・ダラー」シリーズ・スピンオフ】 ※この作品は単行本版『鳴かずのカッコウ』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • アルテミスの涙
    3.7
    全てのまばたきが、伏線。 『江花病院』に長期入院している閉じ込め症候群(ロックドインシンドローム)の女性患者・岸部愛華が深夜に体調を崩した。当直中の産婦人科医・水瀬真理亜が診察すると、愛華は妊娠していることが判明する。寝たきりの愛華は誰に妊娠させられたのか? 病院は騒然となり、政治家である愛華の父は激怒するが、前代未聞の事件はマスコミに報道されて世間の知るところとなる。真理亜は真相を探るべく、話すことができない愛華のまばたきを通して彼女の”声”を聞くが―― 社会派ミステリーの旗手が人間の尊厳と命の倫理に迫る、新たなる傑作。 ※この作品は単行本版『アルテミスの涙』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 警官は吠えない
    -
    手帳を置いても、刑事は刑事だ! ラブラドール・レトリバーのナインと山小屋で暮らす元刑事・村瀬の前に、突然見知らぬ青年・秋山亮が現れた。 「悪いが、しばらくの間、彼の世話を頼む」と書かれた手紙を持って。 手紙の主は、京都左京署時代にコンビを組んでいた刑事・柳智也。 元相棒の勝手な振る舞いに戸惑う村瀬は柳に連絡を取ろうとするが、まったく電話に出ない。 嫌な予感を覚えつつも、預かる理由が分からないまま、秋山の面倒を見る羽目に――。 柳の身を案じ、ひとりで捜し始めた村瀬は、なぜか京都市南部に古くから大きな勢力を持っている暴力団・条南興業から圧力をかけられる。 さらに、条南興業の敵で、北部を縄張りにする北天会のナンバー2である阿佐井峻が姿を見せ、村瀬を手助けすると言い出した。 いったい理由はなんなのか? 困惑する中、村瀬の後輩刑事・三島翔太から電話が入る。 「秋山亮が死体で見つかった」と――。 預かっている青年と殺された男は、同姓同名の別人なのか? 真相を追う村瀬に、手帳を置いた原因となった発砲事件が立ちはだかる。
  • 白夜の警官~BLACKOUT~
    4.0
    英国でドラマ化の人気シリーズ、第3弾! アイスランド北部の町、ソイズアールクロークル近くの建設現場で、撲殺された男性の死体が発見された。 被害者は建設業者のエリアス・フレイソン。シグルフィヨルズルに住民登録をしていたため、アリ=ソウルが捜査に駆り出される。 慈善事業にも関わっていたというエリアスだが、自宅からは大金の入ったスポーツバッグが見つかり、同僚からは陰の仕事に手を染めていた可能性を耳打ちされる。 一方、首都レイキャヴィークのニュース編集室に勤める女性ジャーナリスト、イースルンがこの事件の調査のため北に向かう。エリアスの元妻によれば、被害者は金や女性関係に汚かったらしい。さらに捜査関係者は、エリアスが行っていた不正の先で、ある少女が命の危機に瀕していることをつかむ。 その頃、アリ=ソウルの同僚であるフリーヌルに、脅迫めいたメールがいくつも届いていた。ある過去を抱えていたフリーヌルは、精神的に追い詰められていく。 噴火の影響で火山灰雲が垂れ込めるアイスランドの、白夜の二日間――。 捜査の先に見えたのは、日の沈まない極北の町に隠された暗い記憶の数々だった。
  • 猫のほそ道 ノラ猫俳句旅
    4.0
    ノラは子猫を探し「奥のほそ道」の旅に出た。 《我が家の老猫ノラはある日コツゼンと姿を消しました。ノラは、芭蕉さんの「奥のほそ道」の旅に出たのだと思うのです。消えてしまったノラの念力をいただいてこの話ができました。》東京から松島へ、そして平泉へ、ノラの旅はつづく。登場する猫たち――ボイシー、トーちゃん、ニャー水、ネコ尼、ネコ丸……いずれも個性豊かで、みな俳句を詠む。句会はもちろん、連句(五七五の句のあとに七七の脇をつける)もあるし、句合せ(持ちよった句の勝ち負けを決める)もある。全篇に猫たちが詠んだ句があふれ、人気猫イラストレーター・浅生ハルミンの絵も多数収録された(カラーも5点)傑作猫物語。文庫化に際して全篇にわたり加筆訂正した完全版、待望の刊行。全14章、見出しは全て俳句。 猫たちの句の一部をご紹介:片すみに猫がかたまる走梅雨/老猫の小さな足に西日さす/みちのくの涼しさつげよ猫の旅/水を飲む猫の小舌に秋の風/渋柿の花散る里に帰りゆく そして連句―― スーパーの煮干しの固き余寒かな  ノラ 貧しき家にけふもいついて     トーちゃん
  • 怒り 上
    4.7
    ポーランド発、完徹必至の傑作ミステリ上陸。 ポーランド北部オルシュティン市の工事現場で、白骨化した遺体が見つかった。現場に向かった検察官テオドル・シャツキは、現場が病院に続く地下の防空壕だったことから、戦時中のドイツ人の遺体と考えていた。ところが検死の結果、遺体の男は10日前には生きていたことが判明、この短期間で白骨化することはあり得ないという。さらに調査を続けると、複数の人間の骨が入り交じっていた。やがてこの男は、大量の顆粒の配水管洗浄剤に生きたまま埋められて死んだことがわかる。そして真相に手が届こうとした時、シャツキ自身の身に思いもよらぬ事件が……。  ポーランド本国でベストセラーとなり、欧米では「ポーランドのP・ルメートル」と大絶賛された本邦初登場の作家による、大傑作ミステリ!
  • エアー2.0
    4.1
    あの人は資本主義をやり直そうとしている! 新国立競技場の工事現場で働く中谷は、不思議な老人と出会う。老人はいかにも肉体労働には向いておらず、仕事をクビになるが、現場を去る直前、翌日の競馬の大穴馬券を中谷に託していた。老人が姿を消した直後、工事現場では爆破事件が起こり、翌日馬券は見事的中する。  5000万円の現金を手にした中谷の前に、再び老人が現れ、彼が開発した市場予測システム「エアー」の代理人として、日本政府との交渉窓口となるよう、中谷は依頼される。 「エアー」は世の中に渦巻く人間の感情を数値化して、完璧な市場予測を可能にするシステムで、それは政府が握るビッグデータと結びつくことで、国家の予算を潤すほどの巨額な利益をもたらすものだった。 謎の老人の代理人として、政治家や官僚たちと交渉を重ねる中谷だったが、「エアー」供与する見返りとして、福島の帰還困難地域を経済自由区として、自分たちに運営を任せるという要求を突きつけるのだった。  現代日本が直面する難題をつまびらかにし、圧倒的なスケールで描く近未来経済サスペンス小説。
  • 東京帝大叡古教授
    3.4
    日本初! 文系の天才博士が事件を解決! 物語の主人公・宇野辺叡古(うのべえーこ)は、東京帝国大学法科大学の教授である。大著『日本政治史之研究』で知られる彼は、法律・政治などの社会科学にとどまらず、語学・文学・史学など人文科学にも通じる“知の巨人”である。 その知の巨人が、連続殺人事件に遭遇する。 時代は明治。殺されたのは帝大の教授たち。事件の背景には、生まれたばかりの近代国家「日本」が抱えた悩ましい政治の火種があった。 他を圧倒する「知の巨人」が開示していく事件の真相は、まさに予測不能。ラストは鳥肌モノ!! 直木賞候補作、早くも文庫化!
  • ウォーム・ボディーズ ゾンビRの物語
    3.8
    死者であるゾンビが人間の女性に恋をした! ゾンビのRは、ある日、仲間と一緒に狩りに出かける。狩りとは、「生者」を見つけてその肉を食らうこと。Rは人間の若者ペリーを見つけて、大好物である脳を食べる。するとRの頭の中に、食べたペリーの記憶が入り込んで来て、その場に一緒にいたペリーの恋人、ジュリーに恋をしてしまう。Rは他のゾンビの攻撃からジュリーを守り、彼女をゾンビの棲み家である廃墟となった空港に連れて帰る。 しかし、「生者」であるジュリーの存在は、ゾンビの社会に波紋を引き起こし、Rはジュリーを人間たちが住む巨大スタジアムまで連れ帰ろうとするのだが……。
  • 人面瘡探偵
    3.8
    名探偵は肩にいる!? 不可解連続殺人の謎。 三津木六兵には秘密がある。子供の頃に負った右肩の怪我、その傷痕がある日突然しゃべりだしたのだ。人面瘡という怪異であるそれを三津木は「ジンさん」と呼び、いつしか頼れる友人となっていった。 そして現在、相続鑑定人となった三津木に調査依頼が入る。信州随一の山林王である本城家の当主・蔵之助の死に際し遺産分割協議を行うという。相続人は尊大な態度の長男・武一郎、享楽主義者の次男・孝次、本城家の良心と目される三男・悦三、知的障害のある息子と出戻ってきた長女・沙夜子の四人。さらに家政婦の久瑠実、料理人の沢崎、顧問弁護士の柊など一癖ある人々が待ち構える。 家父長制度が色濃く残る本城家で分割協議がすんなり進むはずがない。財産の多くを占める山林に希少な鉱物資源が眠ることが判明した夜、蔵が火事に遭う。翌日、焼け跡から武一郎夫婦の焼死体が発見された。さらに孝次は水車小屋で不可解な死を遂げ……。一連の経緯を追う三津木。そんな宿主にジンさんは言う。 「俺の趣味にぴったりだ。好きなんだよ、こういう横溝的展開」 さまざまな感情渦巻く本城家で起きる事件の真相とは……!? 解説は金田一俳優でもある片岡鶴太郎氏。 ※この作品は単行本版として配信されていた『人面瘡探偵』の文庫本版です。
  • トヨトミの野望
    4.6
    1~2巻836~935円 (税込)
    経済界を震撼させた超問題作奇跡の文庫化。 「本書の内容のどこまでが事実でどこまでがフィクションなのか。  これについて、巨大自動車企業に極めて近い経営者は99%が事実と私に言い切った。一方で良識ある自動車業界担当の官僚は、まあ、半分くらいじゃないですかね、と口を濁す。名古屋界隈の書店から本書はすべて消えた、とか(中略)さまざまな噂が駆け巡るが、真実を知るものは本書の登場人物のモデルとされる人物だけだろうし、彼らが本書の真偽を語ることは絶対にないだろう。  本書は週刊誌ではないのだから、真偽のほどなどどうでもいい。フィクションと割り切って読むと、これほど面白い企業小説はない」(夏野剛氏による解説より)
  • TEN 上
    3.8
    1~2巻836~902円 (税込)
    汗と涙と歯ぎしりのサラリーマン奮闘小説! 「俺は<異物>だ、負けてたまるか!」――学もない、金もない、失うものは何もない。試されるのは生きる力だ!  戦後の動乱期、横浜のドヤ街で当たり屋稼業をして暮らす「テン」こと小柴俊太は、幼馴染の麻生と偶然再会した縁で、料亭の下足番として雇われる。  ある日、麻生の上司でムーンヒルホテルの次期社長・月岡光隆に見出され、彼の運転手を務めることになる。やがて月岡の会社に就職した俊太は、学歴はないものの、独創的なアイデアと度胸で次々に実績を挙げ、異例の出世をしていく。  さらに麻生のアイデアで結婚式事業を成功させた俊太は、寛司と共に、月岡に招かれる。そこで持ちかけられた新たなビジネスとは……!?    企業小説の旗手・楡周平が会社に蔓延る「男の嫉妬」の恐ろしさを描ききる。 ※この作品は単行本版として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)
    3.7
    鬼才歌人と異才画家、渾身のコラボ歌集。 2001年の刊行時、短歌界の内外にセンセーションを巻き起こした問題の歌集が電子化。キャバクラ嬢「まみ」と、やっぱりキャバクラ嬢であるその妹の「ゆゆ」、そしてウサギの不思議なトリオの、詩的でほわほわしていて乱れていてストイックな生活と、まみとゆゆを巡る恋人や友達や隣人たち、そして切なくふるえるまみの心、愛、祈り。 手紙魔「まみ」は「ほむほむ」こと歌人穂村弘に大量の手紙を送り、穂村弘はその手紙の中のフレーズを変形させて使ったり、そこからインスパイアされてまったく違う短歌をつくりだしたりしつつ、「手紙魔まみ」という、実在するくせに虚構でもあるあやうい存在を歌集の中に生成する。 装丁・挿画には、センシブルな若い女性に熱烈なファンを持つイラストレーター、タカノ綾(カイカイキキ所属)を起用、ポップでキッチュな部分とはかなさや切なさのあやういバランスを、ビジュアル的にも訴求する。 【ご注意】※この作品はカラーイラストが含まれます。
  • P+D BOOKS 微笑
    -
    癌の妻を救うために奮闘する作家の体験記。 ――寿美は眠りながら、微笑をうかべていた。顔は少しやせているが、一向にとげとげしいところがなく、優しく美しい微笑の表情であった――  いつも元気で病気とは無縁だった妻・寿美が、お腹の違和感を訴えた。いくつかの病院にかかるものの、いずれも胃カタルとの診断。だが、実際には卵巣癌で、余命いくばくもないことが判明する。  お世辞にも愛妻家ではなかった「私」は、その日からなりふり構わず治療法を探しはじめる。臍の緒、梅の木に生えた猿の腰掛、研究中の新薬……。効果があったのか、手の施しようのなかった状態から、手術できるまでに病巣は小さくなり、1年以上持ちこたえたが――。  芥川賞作家が万感の思いを込めて綴る体験記。
  • P+D BOOKS 虚構のクレーン
    -
    1巻825円 (税込)
    戦争が生み出したさまざまな矛盾に切り込む。  東京で学生をしていた仲代庫男は空襲で焼け出され、列車で佐世保の実家へ向かう途上、同年輩の芹沢治子と出会う。長崎の浦上に住むという治子と庫男は文通を始めるが、“新型爆弾”により治子の消息は不明に――。  一瞬にして未来を断たれた原爆被害者、日本人であることを強いながら差別される朝鮮人炭鉱労働者、敗戦前から英語の辞書を買い漁っていた抜け目ない同級生……戦争によって生まれたさまざまな矛盾や理不尽を、富国強兵の象徴であった旧佐世保海軍工廠250トン起重機(クレーン)になぞらえてあぶり出した名作。
  • 初恋食堂
    -
    泣きたいあなたへ。心ほぐれる“恋味”小説。  自分の容貌に強烈なコンプレックスを抱く28歳の日向桐子は、人目に触れぬよう外では常にマスクと眼鏡を身につけて暮らしている。「優しい料理」のサービスに力を入れる単身高齢者向けマンション『みぎわ荘』でも、桐子は職場の人間関係をうまく築くことができない。もう辞めよう、そう思っていた桐子の前に現れたのは、72歳の不良老人・匙田譲治だった。小粋な江戸弁で話す匙田に連れてこられた「居酒屋やぶへび」で、大雑把ながら手際よくつくられた温かい料理と、悩み多き人生を懸命に生きる心優しい人々との対話を通じ、桐子の心は少しずつほぐされていく。  第1回「日本おいしい小説大賞」受賞作、待望の文庫化!  主人公の意外な素顔に、きっとあなたも騙される。  無骨だけど温かい、年上男性がつくるおいしそうな料理たちの描写が、傷つき疲れた心に心地よく沁みること間違いなし。泣きたいあなたへ、この冬イチの温かさをお届けします。 ※この作品は単行本版『七度笑えば、恋の味』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • P+D BOOKS 桜島・狂い凧
    -
    1巻825円 (税込)
    戦争を冷徹な目で見つめた梅崎春生の出世作。 「ねえ、死ぬのね。どうやって死ぬの。よう。教えてよ。どんな死に方をするの」  米軍上陸が迫るなか、桜島の海軍通信基地に異動になった村上兵曹は、一夜をともにした女性に、そう詰められる。しかし、どういう死に方をすればいいのか、そのときになってみなければわからない。ただ、死が目前に迫っていることをひしひしと感じるだけだった。  生きることへの執着と諦観、どうせなら美しく死にたいという願望と、それはかなわないだろうという無力感……。背反する思いを抱えたまま散歩に出た村上に、グラマンの銃弾が降り注ぐ――。  出世作「桜島」に、戦地で自死同然に亡くなった弟の足跡を、双子の兄たちがたどっていく芸術選奨作「狂い凧」を併録。
  • P+D BOOKS ベトナム報道
    -
    1巻825円 (税込)
    一特派員がたどり着いたベトナム戦争の真実。  すでにAPの記者たちが打った電報のカスを、まるで残飯を恵んでもらうような調子で拝読させてもらう自分の姿が、私には全然気に入らなかった。(中略)心の中で固く決心した――彼らの世話になんかなるものか、おれはおれの情報源と判断で対等に仕事をしてみせる。(本文より)  新聞記者として戦地に赴任した著者は、特約を結んでいるアメリカの通信社からの情報や、ベトナム政府の公式発表、米軍のブリーフィングなどを鵜呑みにするのではなく、自分の足で開拓したニュースソースや自身の臭覚などを頼りに、ベトナム戦争の“真実”に迫ろうとする。  のちに芥川賞を受賞する作者の、原点ともいえる作品。
  • P+D BOOKS 但馬太郎治伝
    -
    1巻825円 (税込)
    獅子文六が描くバロン薩摩の伝記風小説。  一代で巨万の富を築いた“木綿王”薩摩治兵衛の孫・治郎八。イギリス・オックスフォード大学に留学後、フランスへ渡った治郎八は、実家の資産を背景にパリの社交界で勇名を轟かせ、「バロン薩摩」の異名をとる。  そんなことはつゆも知らない著者・獅子文六は、フランス外遊の際、知り合いのツテでパリの日本学生会館に投宿するが、そこは治郎八が出資した施設だった。さらに帰国後に転居した先も、2軒続けて治郎八ゆかりの住居。著者はただならぬ因縁を感じるが、ふたりがようやく邂逅したのは、治郎八の最晩年だった――。  そんなバロン薩摩をモデルに、獅子文六が見事に仕上げたユーモアとロマンあふれる秀作。
  • タスキメシ
    4.0
    1~2巻825~1,056円 (税込)
    駅伝×料理、ベストセラー小説待望の文庫化。  陸上の名門高校で長距離選手として将来を期待されていた高3の眞家早馬(まいえそうま)は、右膝の骨折という大けがを負いリハビリ中。そんな折、調理実習部の都と出会い料理に没頭する。一学年下で同じ陸上部員の弟・春馬、陸上部部長で親友の助川、ライバル校の藤宮らは早馬が戻ってくることを切実に待っている。しかし、そんな彼らの気持ちを裏切って、心に傷を抱えた早馬は競技からの引退を宣言する。それぞれの熱い思いが交錯する駅伝大会がスタートする。 そのゴールの先に待っているものとは……。  高校駅伝、箱根駅伝の臨場感溢れる描写とともに、箱根駅伝を夢見て長距離走に青春を捧げる陸上青年それぞれの思いと生き様が熱く描かれる。青年達の挫折、友情、兄弟愛……。熱い涙、しょっぱい涙、苦い涙、甘い涙が読む者の心を満たします。  読後は爽快感と希望に溢れる熱血スポーツ小説です。
  • P+D BOOKS せきれい
    -
    1巻825円 (税込)
    ピアノの音色に乗せて庄野ワールドが展開。 「函館みやげ」「せきれい」「胚芽パン」「ハーモニカ」「玄関の花」「夏の思い出」……。晩年を迎えた作者夫婦の日常を、テンポよく場面を転換しながら綴る日記エッセイ風長編小説。  ピアノのレッスンに通う作者の妻がブルグミュラーの練習曲「せきれい」に手間取っていること、お土産にもらった缶のカレーがおいしかったこと、作者が毎晩吹いているハーモニカの話、庭に埋めた肥料を猫が掘り起こして食べようとしていたので懲らしめようと思ったが逃げられたこと、子どもや孫たちとの交流などなど、きわめてささやかな話題が、庄野作品らしい温かいタッチで丹念に描かれる。
  • P+D BOOKS 好きな女の胸飾り
    -
    1巻825円 (税込)
    若き妻と大学生をあえて近づける屈折した夫。 「森男を蒔子に近づける。……二人は現在でも抑制しつつ愛し合っている。その抑制を或る程度外してやれば、二人は近接し、密着し、融けあうだろう。」  学生の岩永森男は、父の代から杉原産業の庇護を受けており、当主・康方とは親戚同然の間柄だった。しかし森男は、康方の若い妻・蒔子が気になって仕方がない。蒔子も森男を憎からず思っているらしい。  一方で蒔子は、康方の先妻の存在に心を痛めていた。そこで康方は、蒔子を苦しめた自分への罰として、森男と蒔子の接近を甘受しようとする……。  屈折し倒錯した三人の心理劇を見事に描き切った、第20回野間文芸賞受賞作品。
  • 風の向こうへ駆け抜けろ2 蒼のファンファーレ
    4.8
    ドラマ化決定の大ヒット競馬小説、第2弾! 女性騎手・芦原瑞穂と弱小厩舎のメンバーを描いた爽快スポーツエンタメ小説の続編が、待望の文庫化。 舞台は再び、「藻屑の漂流先」と揶揄され、廃業寸前だった緑川厩舎。瑞穂の真摯な姿勢と情熱でメンバーが一つになり、G1桜花賞に挑戦、惨敗した翌年。今度は、中央デビュー戦で勝利した超良血馬ティエレンが緑川厩舎にやってきた。馬主はマスメディアでも有名な風水師のワン。何もかも謎めいている彼は、風水で緑川厩舎に白羽の矢を立てたと言い、厩舎を立て直すきっかけとなった魚目の馬、フィッシュアイズとの勝負を望んでいた。その狙いとは……。  奇しくもワンが告げた通りに、ティエレンとフィッシュアイズはレースで争うことに。ティエレンには瑞穂が、フィッシュアイズには中央の女性騎手、冴香が騎乗することになるのだが、冴香は、実は、調教師光司のかつての恋人だった……。 恋人との再会に心が揺れる光司。光司への思いを自覚し戸惑う瑞穂。自分を捨てた母との関係に揺れる誠……。様々な思いが交錯する中、緑川厩舎のメンバー達の新たな挑戦が始まる……。  巻末掲載の、ドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』主要キャストのインタビューも見逃せません。 (底本 2021年12月発行作品)
  • P+D BOOKS 遠い地平・劉廣福
    -
    1巻825円 (税込)
    著者の青春の軌跡を辿る短編集。 「遠き地平」は、老境を迎えた著者が、ふとした拍子に思い出す若き日の一シーンを、臨場感たっぷりに描いた自伝的連作小説。 樺太で経験した“強制労働”、思想容疑者として満州に逃避行した話、満州での会社員生活、出征中に妻子が戦災で亡くなったことなど、いずれも味わい深い9篇の短編で構成されている。 また、満州で働いた経験から書かれた「劉広福」は、出征先の中国で芥川賞受賞の知らせを受けた秀作で、周囲から馬鹿にされていた一人の満州人が奇跡を起こす痛快な物語。
  • P+D BOOKS 小説陸軍(上)
    -
    1~2巻825~880円 (税込)
    巨大組織「陸軍」を、ある家族の視点で活写。  幕末、小倉で質屋を営んでいた高木商店の跡取り息子・友之丞は、「異人に、おくにをけがされて、たまるか」という思いで奇兵隊に入隊。隊の「勤王、殉忠報国、攘夷、四民皆兵」という思想に感動し、以来、それが高木家の家風となっていく。  その長男・友彦は陸軍士官学校を経て日露戦争に従軍するものの、病気がちで戦闘には参加できなかったので、息子・伸太郎の陸軍入営には万感の思いを抱いていた――。 『麦と兵隊』など「兵隊3部作」で知られる著者が、自らの軍隊生活と従軍作家としての経験をもとに綴った、ある一家の3代、約70年にわたる壮大な物語。
  • P+D BOOKS 達磨町七番地
    -
    1巻825円 (税込)
    “ユーモア小説の大家”獅子文六の初期作品。  パリの片隅に日本人留学生の集まるアパート「達磨館」があった。そのヌシ的存在である松岡範平は国粋主義的人物で、隣の部屋に住む中上川亘は国際主義者。範平に義理がある中上川は波風立てないようにしているが、自分の考えを押しつけようとする範平には辟易していた。  そんなある日、中上川が川に身を投げようとしていた若いフランス人女性を助けてきて同棲を始めてしまう。夜な夜な漏れてくる甘美な物音に、範平の怒りは頂点に達するが――。  1920年代にパリに留学した経験から書かれた「達磨町七番地」のほか、映画化もされた2人の若者の悲喜劇「青空部隊」、デパートの女性店員たちの恋愛模様を描いた「青春売場日記」など、戦前に書かれた5作品を収録。
  • 死にたい、ですか
    3.3
    自死遺族の苦悩と葛藤をリアルに描く衝撃作。  人見由愛の兄・典洋が高校でのいじめに耐えられず、自ら命を絶ってから4年後の家族の物語。由愛は高校3年。兄の心の声に気づけなかった自分を責めながらも、親友の三葉に救われながら前向きに生きている。母親の伊代は今も息子の死を受け入れられず、無念をはらそうと裁判を起こす。家庭も仕事もうまくいかない父親はアルコールに依存。家族は崩壊寸前だった。  一方、伊代からの依頼で典洋の裁判を取材することになった新聞記者・大同要もまた、自身のトラウマと葛藤し、カウンセリングに通う日々。記者として裁判を傍聴するうち、次第に人見一家に深入りしていく。そして由愛のまっすぐな生き方に、要のかたくなな心も動き始める。  裁判では、典洋をいじめた首謀者の同級生、当時の担任、顧問、かつては典洋の親友でもあった由愛の初恋相手の翔が、証言台に立っていく。誰一人いじめを認めないまま淡々と続く裁判。このままでは何一つ変わらない、私たち家族が沈んでいくだけ、と悟った由愛は、ある重大な決意をするが……。  文庫化にあたり、お笑いタレントの白鳥久美子氏が巻末解説を特別寄稿。いじめを経験したからこその視点で物語を読み解く。 ※この作品は単行本版として配信されていた作品の文庫本版です。
  • キャラクター
    3.7
    菅田将暉主演映画を原案者自らノベライズ!  漫画家デビューを目指してアシスタント生活を長く続ける山城圭吾は、ある日、「誰が見ても幸せそうな家」のスケッチを頼まれる。前から気になっていたその家を訪れると、暗闇の中から大音響でオペラが流れていた。家の玄関ドアが開き、手招きに促されるようにして家のなかに入ると、そこには殺害された家族四人の姿があった。 「ぼくの顔、見た? 見ちゃったよね」  第一発見者となった山城は、その現場でひとりの人物を目にしていた。  やがて、彼はその事件をモデルにした漫画でデビューする。家族四人殺害事件も続いていた。
  • 花舞う里
    4.5
    心の居場所を探す少年の伝承と再生の物語。  親友が事故で亡くなったのは自分のせい、と自らを責め、心を閉ざしてしまった中学2年の杉本潤。母と一緒に、東京から逃げるように母の故郷の愛知県奥三河・澄川へと引っ越す。そこはコンビニもファストフードの店もないど田舎だが、700年の歴史を持つ「花祭り」という神事、伝統芸能が根付く山深い地域だった。 奥三河にある10を超す集落が各々に伝わる「花祭り」を大切に守っているが、どこも少子化と過疎化の問題は深刻。潤の新たなクラスメイトもたったの3人で、潤の転入によって久しぶりに集落の中学生だけで少年の舞である「三つ舞」ができると皆が期待する。しかし、人との関わりを極力避けたい潤には煩わしさしかない。  “親友を失った自分が、「神」に捧げる神楽だなんて――”。 祭りへの参加を拒否する潤。だが次第に、周囲の人々の心にも巣食う悩みや悲しみ、この世の不条理さを知るようになる。 守るべき伝統と、受け入れざるを得ない変化。少年の心の成長と、「今」を懸命に生きる人々を描く、美しくて愛おしい再生の物語。 解説は中江有里。
  • 大番 上
    4.0
    1~2巻825円 (税込)
    ギューちゃん復活!株屋が舞台の痛快小説! 愛媛の貧しい農家に生まれた丑之助は、富豪の令嬢・可奈子に手渡した“ガリ版刷りラブ・レター”事件をきっかけに、十八歳で家を飛び出し東京に向かう。昭和初期の日本橋、たまたま住み込んだ小さな株屋で小僧として働くうち、株の面白さに目覚めた丑之助は、独り立ちを決意、愛嬌のある性格と持ち前のカンので、相場師の道を突き進む!  不恰好な体つきに強い田舎なまり。そのうえ金好きで女好き。だけど、どこか憎めない“ギューちゃん”が、カブト町を舞台に大活躍する、ど根性サクセス・ストーリー。  書評家・北上次郎がオススメする名作シリーズ第二弾!
  • P+D BOOKS サムライの末裔
    -
    運命に翻弄される占領下の日本人たち。 1945年8月、広島と長崎に原爆が投下され、その直後に迎えた敗戦。GHQ占領下の卑屈な統治時代を、市井の人たちがどのように生き抜いたのか、ある海軍中将一家の目線で描く。 未亡人となり家財総てを失った中将夫人、米軍人に求婚される長女、原爆被害で恋人と離ればなれになってしまった長男、その長男を想いながらも米兵に身をゆだねてしまう恋人……。 戦勝国・アメリカを呪いながら、その助けなしには生きていけない日本人の哀切と、それでも新時代に向けて歩みを始める強さを、心の奥底を揺さぶる独特な筆致で綴った秀作。
  • ツタよ、ツタ
    5.0
    直木賞作家が描く「幻の女流作家」の運命! 明治の後期に、沖縄の士族の家に生まれたツタ。父親の事業の失敗によって、暮らしは貧しくなり、父親が亡くなったことで母と二人きりの暮らしになった。しかし、女学校の友人・キヨ子の家で音楽や文学に触れるうち、「書くこと」に目覚める。 雑誌の短歌欄へ投稿を始め、千紗子という筆名に出会い、自分の裡にあるものを言葉にし始めた。窮屈な世界から自分を解き放つ術を得たツタは、やがて「作家として立つ」と誓う。 高校卒業後の教員としての仕事、異国での結婚、愛する我が子との別れ、思いがけない恋愛――さまざまな経験を経て、ツタはとうとう作家としてデビューする機会を得た。昭和七年、婦人雑誌に投稿した短編小説が意外な形で評価されたのだ。 ところが、待ち受けていたのは、思いもよらない抗議だった……。 『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』で直木賞を受賞した著者が、実在した「幻の女流作家」と呼ばれるひとりの女性の数奇な運命を描く。
  • 愛国商売
    4.0
    気鋭の若手評論家の初小説! 南部照一は、孤独な自営業者だった。茨城県取手市在住。猫と車を愛する27歳の平坦な人生は、ネット上のとある出会いによって狂っていく。 ひょんなことから保守系言論人の勉強会に参加し、中堅警備会社「シュトケイ」の懸賞論文に応募するや、入選。一躍、保守論壇の新星に祭り上げられ、日本唯一の右派系テレビ局「よもぎチャンネル」レギュラー出演者への道が拓けていく。 順風満帆の照一だったが、彼が足を踏み入れたのは、野心と嫉妬が渦巻き、裏切りや出し抜きが横行する下劣な世界だった。論客同士のパイの奪い合いから、思いも寄らぬ襲撃事件が発生した――。 ◎気鋭の若手論客、古谷経衡氏による初小説。単行本発売時、ネット右翼を騒然とさせた話題作が早くも文庫化! 解説に元外務省主任分析官・佐藤優氏。 <小説の体裁を取っているが、右派の論壇人としてデビューした古谷経衡氏にしか書けない優れた社会人類学的作品だ。21世紀の日本で、愛国心を道具にして、排外主義的ナショナリズムが生成していく過程が見事に描かれている。>――解説/作家・佐藤優氏
  • P+D BOOKS 津田梅子
    -
    新五千円札「津田梅子」の傑作評伝。 日本の女子教育の近代化に生涯を捧げ、新五千円札の肖像画にも選定された津田梅子。 ある日、梅子が創設した津田塾大学(女子英学塾)の倉庫から、おびただしい数の手紙が発見される。それは梅子と、留学先の里親アデリン・ランマンとの往復書簡の束であった。 完全にアメリカナイズされた梅子と日本文化とのギャップ、開明的な政治家・伊藤博文一家との交流、女子教育にかける熱意などが生々しく記された手紙の真意を、同じく津田塾大学出身の著者が自らの渡米経験も踏まえて読み解いていく。 第42回読売文学賞(評論・伝記賞)を受賞した傑作評伝。
  • P+D BOOKS 帰去来 ~太宰治私小説集~
    -
    1巻825円 (税込)
    旧家に生まれた“暗い宿命”を描く私小説集。 名作「富嶽百景」を含む、太宰の私小説で構成したアンソロジー集。 明治42(1909)年6月、太宰治こと津島修治は青森県北津軽郡に誕生、のちに遠く東京にあって望郷の念を募らせていた。 津軽での幼・少年期を“遺書”のつもりで書き綴った処女作「思い出」で文壇デビューを果たし、その後、兄との不和から十年ぶりとなった帰郷を描いた「帰去来」や、母危篤の報を受けての帰郷を描く「故郷」、そして、時局差し迫る中での津軽旅行をまとめた「津軽」と、旧家に生まれた者の暗い宿命を描いている。 解説を同じ東北出身の作家・佐伯一麦氏が特別寄稿。
  • P+D BOOKS 水の都
    -
    1巻825円 (税込)
    大阪商人の“市井文化と歴史”を描いた秀作。 熟年主人公の「私」は大阪府出身ながら生家は郊外にあり、家庭を持ってからは東京暮らしとあって、大阪の街について、実はよく知らない。そこで「私」は妻の従弟にあたる「悦郎さん」に会い、昔日の大阪を語って貰おうと会いに出かける。 明治・大正・昭和の3代にわたる大阪商人の日常を丹念に聞き取ることで、“水の都”の移り変わりが匂い立つように浮かび上がってくる。淡いファンタジーの如く、さまざまな市井の人々の営みが生き生きと描かれた“第三の新人”庄野潤三の秀作だ。
  • わが心のジェニファー
    3.6
    浅田次郎が描く米国人青年ニッポン発見の旅。 日本びいきの恋人、ジェニファーから、結婚を承諾する条件として日本へのひとり旅を命じられたアメリカ人青年のラリー。ニューヨーク育ちの彼は、米海軍大将の祖父に厳しく育てられた。太平洋戦争を闘った祖父の口癖は「日本人は油断のならない奴ら」。 日本に着いたとたん、成田空港で温水洗浄便座の洗礼を受け、初めて泊まったカプセルホテルに困惑する。……。慣れない日本で、独特の行動様式に戸惑いながら旅を続けるラリー。様々な出会いと別れのドラマに遭遇し、成長していく。東京、京都、大阪、九州、そして北海道と旅を続ける中、自分の秘密を知ることとなる……。 圧倒的な読み応えと爆笑と感動。浅田次郎文学の新たな金字塔! ※この作品は過去に単行本として配信されていた作品の文庫版となります。
  • 極夜の警官~NIGHTBLIND~
    -
    極北の警官「アリ=ソウル」シリーズ第2弾。 アイスランド最北の小さな町・シグルフィヨルズル。1年のうち2か月は太陽が山に隠され、日が昇ることがない。 その季節が間近となったある日、郊外の空き家で警察署長が銃撃され、瀕死の重傷を負った。 アリ=ソウルはその日、当直の予定だったが、インフルエンザで休んでいた。撃たれた署長にいくばくかの負い目を感じながら、アリ=ソウルは捜査を始める。 やがて、事件にドラッグと政治家が絡んでいる可能性が見えてきた。市長や副市長への聞き込みを進めるが、そのことがマスコミに漏れ、さらなる悲劇を招く。 一方、事件現場となった空き家には、50年以上前から忌わしい歴史があったことが明らかになるのだが。 極夜の町に連綿と続く負の連鎖――アリ=ソウルは事件を解決できるのか。 世界14カ国で翻訳、英国ではドラマ化が進むベストセラー「警官アリ=ソウル」シリーズ第2弾、満を持しての登場!
  • P+D BOOKS 青い山脈
    -
    主題歌と共に色あせない青春小説の金字塔。 戦後まもない1947年に新聞小説として連載され人気沸騰。その後、いちやく大ベストセラーとなった青春小説の代名詞ともいえる作品。 元々、高校教師であった筆者・石坂洋次郎が、東北地方の私立女子高校を舞台に、戦前の暗くじめじめした封建性を打破し、民主的な社会の実現を目指す人々の姿を爽やかに描きあげ、新風を巻き起こした。 幾度も映画化され、作品発表から70年余を経た現在でもまったく色あせない瑞々しい傑作である。
  • 溺れる月
    3.5
    乱歩賞作家、戦慄のランニングミステリー! 平凡な公園ランナーであるインテリア会社「ワンダーケース」の社長・高木雅弘は、所属するランニングサークルの仲間たちと行なっている「レース」にハマっていた。 ある日、高木のもとに「明日のレースには負けなさい。さもなければ、ひとが死にます」と書かれた一通の郵便が届く。そして翌日、高木がレースに勝つと、さっきまで走っていた公園内で本当に男の死体が発見される。しかもその男は大学時代の同級生だった――。 これは偶然なのか、それとも……。 走れば走るほど、日常は壊れ、運命は狂っていく――。 江戸川乱歩賞作家が放つ、戦慄のランニングミステリー!
  • P+D BOOKS 三匹の蟹
    5.0
    乾いた筆致で描くある主婦の“孤独と倦怠”。 異国に暮らす由梨は、夫と自分双方の浮気相手が集うホームパーティーに参加する気になれず、ひとりで外出してしまう。 遊園地の民芸館で知り合ったアメリカ男に誘われ、海辺のドライブについて行き、そこで男は、赤いネオンが点滅している宿「三匹の蟹」へ行こうと誘うのだった。 果てしない存在の孤独感、そして愛の倦怠が引き起こす生の崩壊を乾いた筆致で描き出した「三匹の蟹」は第59回芥川賞を受賞。「三匹の蟹」以前に執筆された日本人女性留学者の青春への決別を描いた連作「構図のない絵」、「虹と浮橋」も併録。
  • モナ・リザ・ウイルス 上
    3.0
    『ダ・ヴィンチ・コード』に連なる傑作! 「よき『モナ・リザ』が悪しき『モナ・リザ』に永遠に取って代わられなければならない」(本文より) ドイツ・ミステリーの新機軸となる、傑作エンタテインメント登場! (上巻あらすじ) ボストンに住む神経美学者ヘレンは、ある日、見知らぬ男からの電話を取った。 その男、パトリック・ワイズは、自分の父親が失踪し、それにヘレンの娘が関与している可能性があると言う。 離れて住む娘が行方不明になっていると知り、ヘレンは手がかりを求めワルシャワにあるワイズ邸へ飛んだ。 同じ頃、メキシコの高級リゾート・アカプルコでは、ミス・アメリカの候補者全員が行方不明になる事件が発生。 FBI捜査官ミルナーが現地に向かう。 さらに同じ頃、ブラジルや中国でミツバチが大量死し始める。 原因は、ウイルスか? ミツバチがいなくなれば食糧供給は瞬く間に崩壊し、人類は飢餓に襲われる。 ワイズの父親の部屋でヘレンが見たのは、壁に貼られた娘の写真と、モニター上の緑の数列と文字列――コンピューターウイルスだった。 そのウイルスは「人類の生活の基盤を破壊する」と、パトリックは言った。 世界各地で同時多発的に起きる一連の事件に、果たして関連はあるのか、ないのか。 21世紀とルネサンス、ヨーロッパとアメリカ、時間と空間を往き来する、空前の「美」のミステリー!!
  • P+D BOOKS 花筐(はなかたみ)
    5.0
    1巻825円 (税込)
    大林宣彦監督が映画化した檀一雄の原作小説。 『火宅の人』でその名を全国に知らしめた“最後の無頼派文士”檀一雄。その処女作品集に収められた表題作「花筐」は、十代の大学予備校生たちの愛と友情を瑞々しく描いた青春の記念碑ともいえる一作。 病魔と闘いながら大林宣彦監督が自身で脚本を書きあげ、撮影にのぞんだ映画『花筐』は監督の執念の結実でもある。 ほかに檀一雄自身の南極捕鯨船への乗船体験を元に描いた「ペンギン記」、自伝的な「白雲悠々」「誕生」、そして「元帥」「光る道」等、多面的な魅力の作品集を収録。
  • P+D BOOKS 夢の浮橋
    -
    若い男女とその両親たちの“夫婦交換遊戯”。 大学で知り合い愛し合うようになった一組の若い男女。だが、期せずして自分たちの両親が、夫婦交換遊戯を長年にわたって続けてきたことに気づいてしまう。 結婚を夢見る男女と、一方で両親たちが繰り広げる艶麗な恋愛譚を通じ、生涯“物語文学”を追求し続けた倉橋由美子が、古代神話、源氏物語等の系譜を織り込んだ意欲作。倉橋文学後期を代表する「桂子さんシリーズ」の第一弾である。解説は倉橋文学研究の第一人者である古屋美登里氏。
  • P+D BOOKS 前途
    3.0
    1巻825円 (税込)
    学徒出陣が目前の九大生を描いた自伝的作品。 太平洋戦争の最中、昭和18年、九州大学に通う文学青年たちには深い交わりがあった。 文学的揺籃期における恩師・伊東静雄(詩人)から受けた薫陶、そして、学生仲間(島尾敏雄がモデルの小高、森道男がモデルの室、林富士馬がモデルの木谷)との交流が描かれている。 遼史を読み、東洋史の学問にも励むが、それ以上に仲間たちと文学を論じ、酒を酌み交わしながら、それぞれの仄暗い“前途”を案じている。 主人公の文学的形成の様を、約1年に渡り、日記スタイルで描いた“第三の新人”の代表的作家・庄野潤三の青春群像作。
  • P+D BOOKS やややのはなし
    -
    軽妙洒脱に綴った、晩年の短文随筆集。 安岡章太郎、結城昌治、立原正秋、村松友視、森茉莉、澁澤龍彦、色川武大、柴田錬三郎ら作家や知人との交流、子供の頃の邂逅、愛用の粋な小道具、酒や甘味、美人論、身体の不調など還暦前後の身辺を腹蔵なく語っている。 《いささか変った書名をつけてみたが、同じ題名の随筆が、この本の中にある。「ややや」と驚く短い話ばかりを集めてみたものだが、いま読み返してみると、そういう要素を含んだ話がこの本の大部分といえそうだ。》あとがきより。 昭和57年から平成3年までの短文随筆を所収。
  • P+D BOOKS 幼児狩り・蟹
    3.0
    中年女性の屈折した心理を描く「蟹」他6篇。 外房海岸を舞台に、小学一年生の甥と蟹を探し求めて波打ち際で戯れる中年女性の屈折した心理を描き、第49回芥川賞を受賞した「蟹」。 ほかに、知人の子供や道端で遊ぶ子供に異常な関心を示す、子供のない女性の内面を掘り下げた「幼児狩り」。 夫婦交換による男女の愛の生態を捉えた「夜を往く」、「劇場」など、日常に潜む欺瞞を剥ぎ取り、その“歪んだ愛のカタチ”から、よりリアルな人間性の抽出を試みた、筆者初期の短篇6作を収録。
  • P+D BOOKS 江分利満氏の優雅で華麗な生活 ≪江分利満氏≫ベストセレクション
    3.0
    1巻825円 (税込)
    “昭和サラリーマン”を描いた名作が甦る! 昭和30年代――ときは正に高度成長期! まだまだ貧しいけれど日々豊かになっていくサラリーマンの悲喜こもごもを描いた山口瞳の出世作『江分利満氏の優雅な生活』、『江分利満氏の華麗な生活』。 本作は作品中にも「庄助」として度々登場する長男・山口正介氏が、その2冊から江分利満氏のベストセレクションを再編した。『江分利満氏の優雅な生活』は第48回直木賞を受賞。巻末には、長男・正介氏の解説も特別収録。
  • P+D BOOKS 春喪祭
    -
    1巻825円 (税込)
    奈良・長谷寺を舞台にした“妖かしの世界”。 愛する野田涼太郎と初めて結ばれたにも拘わらず、翌日、なぜか吉村深美は姿を消してしまう。 一年後、牡丹で知られる奈良・長谷寺の門前町、初瀬で深美は死体となって発見された。琵琶の撥で手首を切り、琵琶の裏甲には万葉集の恋歌三首が遺されていた。深美の死因を探求すべく初瀬へ向かった涼太郎が見たものは……、いとも妖しげな無明世界だった。 耽美的な幻想文学の秀作「春喪祭」を含む、著者渾身の短篇6作を収録。
  • 世界でいちばん美しい
    4.3
    若き天才音楽家せった君の三十年の人生。  雪踏文彦。ひとは、みな、彼のことを親しみを込めて「せった君」と呼ぶ。語り手である作家・島崎哲も、親友である彼をそう呼んだ。小学校ではじめて出会い、いつもどこかぼんやりしているようだったせった君は、幼少期から音楽の英才教育を受けていた島崎が嫉妬してしまうほどの才能を持っていた。  中学、高校と違う学校に通ったふたりは、あまり頻繁に会うこともなくなったが、大きな挫折をしたばかりの島崎を、ある日、偶然、目の前に現れたせった君のことばが救ってくれる。やがて、再び意気投合したふたりは、彼がピアノを弾いている一風変わったパブレストランで行動をともにするようになった。  音楽のことしか、ほとんど考えていないせった君だったが、やがて恋をして、彼がつくる音楽にも変化が見られ始めた。そんなある日、彼らの前に、妙な男がちらつくようになった。彼は、せった君の彼女・小海が以前、付き合っていた男だった。そして、事件は起こった――。
  • 銀座のカラス 上
    -
    1~2巻825円 (税込)
    歩むべき道が見つからずもがいている者よ、この本を読め!(作家・宮田珠己) 名著復刊! 伝説の「青春三部作」が現代に甦る!  二十三歳の松尾勇は、デパート業界の新聞や雑誌を発行している小さな会社の新米編集者。会社創業以来の人事異動によって配属された編集部で、『店舗経営月報』という、三十二頁、発行部数八百部という地味な雑誌を作っている。 勤め始めて約一年、会社が新橋から銀座のビルへと引っ越した直後、松尾に大きな転機が訪れる。前任者の突然の退社により、なんといきなり編集長になってしまったのだ! といっても部員は自分ひとりだけ。経験もなければ部下もいない松尾の悪戦苦闘の日々が始まった――。 椎名誠初めての新聞連載小説としても話題を集めた、自伝的青春小説の傑作がついに復刊。
  • ナイチンゲール 上
    -
    全米を感動で包んだ、大戦下の姉妹の物語! 戦争は内気な姉を勇者に変え、わがままな妹を聖女に変えた。 アメリカ版読書メーター「Goodreads」、2015年ヒストリカル・ノベル第1位! 本文庫発売時におけるアメリカAmazonレビュー数21,500超、★4.8!! 感動のスーパー・ベストセラーが遂に登場します。 第一次大戦に従軍し、心に傷を負った父親は、妻の死後、二人の娘に背を向けた。 姉のヴィアンヌは慰めを求めて十六歳で妊娠、翌年結婚するが流産してしまう。 妹のイザベルは姉にも見捨てられ、寄宿学校に入れられるが、成長とともに反抗的になり学校を転々とする。 やがて第二次大戦が始まり、フランスはドイツに屈服する。ヴィアンヌの住む町にもドイツ軍が侵攻、出征した夫を待つヴィアンヌは、ドイツ軍大尉との同居を強いられる。 一方、寄宿学校を退学させられたイザベルは姉のもとに身を寄せるが、途上ドイツ軍の暴虐を目の当たりにし、怒りに震え、パリのレジスタンス組織を目指す。 娘の命を守るため、屈辱的な仕打ちに耐え続けるヴィアンヌ。イザベルはパリで、暗号名〈ナイチンゲール〉として、連合軍航空兵を国外へ逃亡させる秘密活動を開始する。
  • ゴーン・ガール 上
    3.9
    NYタイムズベストセラー第1位のミステリ。 ニックは34歳、ニューヨークで雑誌のライターをしていたが、電子書籍の隆盛で仕事を失い、2年前に妻エイミーとともに故郷ミズーリ州の田舎町に帰ってきた。しかし、両親ともに高名な童話作家で、その人気児童文学シリーズのモデルでもあったニューヨーク育ちのエイミーにとって、この田舎町での生活は決して満足するものではなかった。  そんななか、結婚5周年の記念日にエイミーが突如謎の失踪を遂げる。家には争った形跡があり、確かなアリバイのないニックに容疑がかけられる。次々とニックに不利な事実が浮上するなか、彼はみずから妻探しを始めるが、その一方で何かを隠すかのように嘘を重ねるのだった……。  ニックの語る結婚生活と、交互に挿入されるエイミーの日記。夫婦双方の言い分からなるふたつの物語が重なるとき――。大胆な仕掛けと息苦しいほどの緻密さで描写される夫婦のリアルな愛憎劇、やがて浮かび上がる衝撃の真実とは――(2013年6月発表作品)。
  • 小説 サイドライン
    -
    2015/10/31公開の超特急主演映画『サイドライン』が小説に! ももクロの弟分、超特急の主演映画『サイドライン』をノベライズ化!  超特急メンバーが演じるキャラクターの過去など、映画には描かれていない「サイドストーリー」をふんだんに盛り込んだ、ファン心理にささる一冊。
  • ベッドのおとぎばなし
    -
    復刊第三弾は、男女の情事を描く傑作短編集。 女友だちとの会食に向かう途中、にわか雨に降られた美也子は、駅前の本屋に駆け込んだ。軒下で雨宿りをしていると、隣に立つ男から声をかけられ、最初の一瞥で自分の好みの男の範疇に入ると見てとるが……(俄か雨――第一夜)。小学校の同窓会、四十代を目前にした男女が日曜のホテルのティーラウンジに集まった。卒業以来、ずっと断わり続けていた彰子だったが、参加する気になったのにはある特別な理由があった(同窓会――第九夜)。プレゼンテーションの準備を終えた夜、多加子は何度か食事を共にした男友だち・阿久津とみに行くことに。阿久津からの情事の誘いを軽くかわし続ける多加子の目の前に、別居中の夫が若い女性と一緒に現れ……(空車待ち――第十七夜)など全34編を収録。時代を超えてスタイリッシュな男女が織り成す情事、大人の女同士が繰り広げる愛憎劇を、流麗な文体で描いた短編集。
  • 未だ王化に染はず
    -
    覆面作家として発表した幻の小説を初電子化。 <ぼくは今、学説を覆すに足る新事実を発見しようとしています。村人は語りませんが、蝦夷からアイヌ民族の出現に至るまでの空白期間を埋める幻の狩猟民族の末裔が、暗火岳に生きているのです。その所在を確かめるために明日暗火岳に向かうつもりです>  友人の私にこのような葉書を送って北海道・知床半島で消息を絶った鴫沢澄夫。大学で考古学を専攻する私は、彼が主宰する北方の狩猟文化をテーマとした研究会にも顔を出していた。姿を消した鴫沢を追って、私は彼に心を寄せていた女性、奈美とともに、北海道に渡る前に出かけていたという新潟の山村へと旅立つ。その地は研究会にも参加していた考古学の権威、環教授がかつて調査に赴いた場所であり、そこで私は鴫沢と環教授の不思議な連関に気づくのだった。
  • 希以子(小学館文庫)
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    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 東京・下町生まれの希以子には二人の母親がいた。養母マツには美しい娘・美佐緒がおり、希以子にとってはあこがれの存在だった。しかし、生母よしが男と出奔したころから人生の歯車が狂い出す。大洪水や関東大震災に被災して人の命の儚さを知り、美佐緒の嫁ぎ先の長男・市太郎と互いの愛を確かめ合うも許しを得られずに離別。親のすすめで結婚するが、夫の暴力に耐えかねて離婚。その後、満州で成功した市太郎と再会。彼の誘いのままに、幼子を連れて大陸に渡るが…。苛酷な運命に翻弄されながらも、激動の時代を、明るく逞しく生き抜いた女の物語。
  • 首相官邸(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 首相官邸──その権力の中枢を牛耳る官房長官・岳裕三には人に言えないスキャンダラスな過去があった。汚辱の過去を封印したまま権力の頂点に上りつめようと秘かに企てる岳。時の森中首相を追い詰めていく「官邸改造計画」とは? そして代議士夫妻のカネと愛欲にまみれた葛藤のいく末は──。  秘書夫妻の謎の心中事件を縦糸に、そして永田町の水面下で繰り広げられる壮絶な権力争いを横糸に織り成される「権力の虚実」の内幕小説。長年にわたる精緻な取材を続けてきた現役政治ジャーナリストだから初めて描けた問題作。
  • 非合法員
    4.3
    船戸与一衝撃のデビュー作堂々刊行。 1977年、非合法員として世界を舞台に暗躍する神代恒彦のもとに、メキシコ内務省保安局から1968年に起こった学生反乱の実質的指導者の四人を始末するよう依頼が入る。その見返りとして高額の報酬を受け取るはずだった神代だが、仲間のベトナム人、グエン・タン・ミンの裏切りに遭い、まんまと金を持ち逃げされてしまう。グエンを捜し出し報酬を取り戻そうとするものの、神代の行く手を、何者かが次々と阻んでいく。最初は、全てグエンの仕組んだ罠だと思っていた神代だが、実は、強大な組織が自分の命を狙っていることがわかり・・・・・。神代は、過去にいったい何をしたのか?なぜ命を狙われているのか?最大にして最高のスケールで描く船戸与一処女作。巻末に、著者特別寄稿『デビュウ事情』を掲載。
  • 小説 少年ハリウッド 完全版
    3.8
    32歳のサラリーマン、アイドルになる!?  本作から15年後の世界がオリジナルストーリーでアニメ化決定! 放送に先駆け、初代少年ハリウッドの物語が完全版となって登場!  かつてアイドルになることを夢見ていた桜木広司、32歳。ごく一般的な生活を送っていた彼が、ある日アイドルグループの新メンバーにならないかとスカウトされる。  外見が幼く見えるため、まさかの17歳だと思われたのだ。抱いた夢を終わらせる為に“柊剛人”として始めた広司のアイドル生活。彼が『少年ハリウッド』に光臨した神「ゴッド」と呼ばれるまでの軌跡に加え、少年ハリウッド結成当初からの初代メンバーが登場するストーリーをコンプリート。
  • 魅機ちゃん
    3.0
    お酌ロボット魅機ちゃんの酒と探偵の日々! イカしたお酌ロボット“魅機ちゃん”が大活躍する、ミステリーチックなラブストーリー!! 第16回日本ファンタジーノベル大賞受賞の人気作家・平山瑞穂と人気マンガ家・阿部潤が組んだ、全く新しい小説が誕生!!
  • マザー
    4.3
    消された記憶と謎の都市伝説に迫るミステリ 彼はこの世界から消されてしまったのかもしれない――。 メジャーデビューを夢見て高校卒業と同時に上京した佐川夏実は、吉祥寺で毎週木曜日にストリートライブをしている。そんな夏実のバラード〈不在証明〉は、彼女のおぼろげな記憶の中にいる彼氏を歌った曲。彼との思い出が断片的によみがえることもあるし、ツーショット写真も手元にある。だが、写真を見ても夏実にはそれが誰なのか名前さえわからず、写真を撮ったときの記憶もなかった。 これは恐ろしく“都市伝説的”な事態だ――。 吉祥寺の恵晟大学で「都市伝説研究会」というサークルを主宰する伊神雄輝は、世の中に流布する数多の“伝説”の真相を究明していた。最近もっぱらの話題は、「イレイザーヘッド」により記憶を消されるという都市伝説だったが、あるとき雄輝の携帯に奇妙なソフトが届く。そのソフトを使えば、誰でも「理想の人物」を生み出すことができるという。 めくるめく展開と謎解きのスリル、そして予測できない結末が待ち受けるミステリ長編。夏実が歌うおぼろげな記憶と、雄輝が追う謎の都市伝説がシンクロし、やがて二人の人生を大きく揺り動かしてゆくとともに、内包された壮大なテーマが明らかに!

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  • 書き下ろしミステリー第4弾! 時計仕掛けのイヴ
    -
    1巻825円 (税込)
    僕は彼女に二度助けられた。彼女が何をしたのかよくわからなかったけれど、何か不思議なことが起こったのは間違いない。彼女にまた会いたい。時間が経つほどにその気持ちが膨らんでいく。これを恋と呼ばずに何と呼ぼう。数日後、クラスメートの協力もあって、ようやく彼女に会うことはできた。しかし、彼女にはとてつもない秘密が隠されていたのだ──。不思議な《力》を持った女と、彼女に恋をした男が、フリースクール「自遊学園」で巻き起こる怪事件の真相を探っていく“ラブ・サスペンス”。小学館書き下ろしミステリーシリーズ待望の第4弾。単行本も好評発売中!!

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  • 書き下ろしミステリー第3弾! 激走─福岡国際マラソン 42.195キロの謎
    3.7
    1巻825円 (税込)
    「書き下ろしミステリー第3弾!「激走─福岡国際マラソン 42.195キロの謎」の前編と後編が1冊にまとまって再登場! 2007年、師走。北京オリンピックを翌年に控え、その予選レースのひとつである「福岡国際マラソン」には、北京行きの切符をかけ、多くの選手が出場していた。夢のために走る者、名誉のために走る者、愛する者のために走る者、復讐のために走る者……。それぞれの思惑と過去の怨恨、複雑な事情が絡み合いながら、戦いの火蓋は切って落とされた。息もつかせぬ激しいデッドヒート。意地と意地のぶつかり合い。そして事件は起こった……。果たして、一着でゴールし、栄光をつかむのはいったい誰なのか……!?福岡国際マラソンを舞台にした臨場感あふれるレース展開とリアルな心理描写が魅力の小学館書き下ろしミステリー第3弾!単行本も好評発売中!!

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  • 満天のゴール
    4.6
    人の生と死に希望をもたらす感涙医療小説。 奈緒(33歳)は、10歳になる涼介を連れて、二度と戻ることはないと思っていた故郷に逃げるように帰ってきた。長年連れ添ってきた夫の裏切りに遭い、行くあてもなく戻った故郷・京都の丹後地方は、過疎化が進みゴーストタウンとなっていた。  結婚式以来顔も見ていなかった父親耕平とは、母親を亡くして以来の確執があり、世話になる一方で素直になれない。そんな折、耕平が交通事故に遭い、地元の海生病院に入院。そこに勤務する医師・三上と出会う。また、偶然倒れていたところを助けることになった同じ集落の早川(72)という老婆とも知り合いとなる。  夫に棄てられワーキングマザーとなった奈緒は、昔免許をとったものの一度も就職したことのなかった看護師として海生病院で働き始め、三上の同僚となる。医療過疎地域で日々地域医療に奮闘する三上。なぜか彼には暗い孤独の影があった。  一方、同じ集落の隣人である早川は、人生をあきらめ、半ば死んだように生きていた。なんとか彼女を元気づけたい、と願う奈緒と涼介。その気持ちから、二人は早川の重大な秘密を知ることとなる。  隠されていた真相とは。そして、その結末は・・・・・・・。 ※この作品は単行本版『満天のゴール』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 聖女か悪女
    3.4
    これが、人生の罰ゲーム。 葉山の別荘で結婚パーティーの最中、カリスマブロガーの月村珠里亜が倒れ、昏睡状態に。心理カウンセラーの麻乃紀和は、死んだ息子を陥れた珠里亜に復讐を果たすべく、彼女の身辺を調べ始める。 そんな折、四谷の超高級マンションで発見された8体の惨殺死体。珠里亜の過去を追う紀和が辿り着いたのは、17年前に六本木のマンションで8人の子供たちが監禁された“モンキャット事件”だった。事件の鍵を握る人物として浮上したのは、“オザワ”という名の謎の女で―― 取材する記者は皆“消される”というモンキャット事件の真相とは!? マルキ・ド・サドの禁書『美徳の不幸』にオマージュを捧げ、現代に蘇らせた超絶イヤミス!! ※この作品は単行本版『聖女か悪女』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 料理道具屋にようこそ
    5.0
    料理道具で悩みを解決!お仕事青春小説。  自分で立ち上げたWEBデザインの会社がうまくいかず、てんぐ橋にある実家の飲食店用品店・タクミ屋に逃げ帰ってきたミチカ。しかし戻ってきたはいいものの、タクミ屋の経営状況は芳しくなく、窮地に立たされていた。 「タクミ屋になんか行ったって、欲しいものはなにひとつ売ってない」  同じ商店街に店を構える小料理屋の店主にそう言われ、顧客の求める品揃えに対応できていないと悟ったミチカは、人に求められる料理道具屋にタクミ屋を変えることを決意する。てんぐ橋の食品サンプル店で働く同級生・ユイとの再会がミチカに大きなきっかけを与え、初めはそりが合わない二人の関係にも変化が──。  料理道具で人々の悩みを解決するお仕事青春小説、ここに誕生!   解説は、かっぱ橋商店街にある飯田屋の社長・飯田結太さん。
  • ウズタマ
    4.3
    1位に選ばれた感涙家族小説、待望の文庫化。 食品メーカーに勤める松宮周作(28歳)は、シングルマザーの紫織と結婚の約束をしていた。そんなある日、父、将彦から周作名義の預金通帳を手渡される。「誰が」振り込みを続けてくれたのか、その問いに答えぬまま、半月後、将彦は脳梗塞で倒れて昏睡状態に。 真相を探るにも、幼い頃に母親を亡くして親戚づきあいもない周作には、全く心当たりがない。果たして、自分のために、毎月少しずつ振り込み続けてくれたのは誰なのか……。  通帳の謎に向き合って初めて、父親のこと、自分自身の生い立ち、母親の顔さえ何も知らないことに気づき、周作は愕然とする。そして、父親と自分の過去を探り始めて辿り着いたのは、25年前に起こったとある傷害致死事件だった。 被害者は、病気で亡くなったと聞かされていた周作の母。加害者は、当時、松宮家で家事手伝いをしていた18歳の少年だと知る。加害者を捜し始めた周作は、25年前の事件に隠された真実に少しずつ近づいていくのだった。 家族を怖れる男と、家族を求め続ける男が織りなす切なすぎるストーリー。 巻末の人気マンガ家キリエさんによるマンガエッセイ風解説も必読です。 ※この作品は単行本版『ウズタマ』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • ムショぼけ
    3.5
    発売前に地上波連ドラ化決定!衝撃の一冊。 祝!地上波テレビ連続ドラマ化決定!! 大阪刑務所の門の前に、40過ぎの男がひとり立っていた。 陣内宗介、元ヤクザ。14年ぶりのシャバだ。 ジギリ(組のために身体を張ること)で銃を握って長期服役したのに、5000万円の見返りどころか、組を破門になった。妻も子供も離れていった。 絵に描いたような、社会のおちこぼれだ。 陣内は還暦すぎたオカンと2人暮らしを始め、カタギになった元若頭の内装屋で仕事を始める。ユーチューバーになって調子こいている元舎弟を呼び出してドヤしつけると、元舎弟にメッセージが届いた。 「その人、私の父かもしれません」。メッセージの送り主は、14年会っていなかった娘だった―― 長期服役によって「拘禁反応」(いわゆるムショぼけ)に悩まされる男が、ヤクザとカタギと家族と仲間と一緒になって、怒って、ヘコんで、笑って、泣いて、まっすぐに、兵庫・尼崎の夏を駆け抜ける。 狂っているのは、俺なのか、世界なのか。 (底本 2021年9月発行作品)
  • 刑事の遺品
    4.0
    兄弟刑事が時を超えて亡き父の汚名を雪ぐ。  津之神西署の巡査部長・高岡守はその夜、港湾部で引き揚げられた刺創のある水死体を見て、思わず自身の目を疑った。遺体は、自らが一カ月前に取り調べたばかりの薬物の売人と思しき男「木村正」だったのだ。すぐさま県警に捜査本部が立ち上がり、守をはじめとした所轄の刑事たちが聞き込みを始めたものの、不可解なことに被害者の名前以外の情報が何一つ得られない状況が続いた。一体、この男は誰なんだ? 捜査が暗礁に乗り上げる中、警察庁から県警に異例とも言える人事で守の兄・剣がやってくる。剣は警察庁の指示で不自然な県警の金の流れを暴くために送り込まれた一方で、その警察庁にも明かさず、汚名を着せられたまま殉職した父の最後の事件を探ろうとしていた。情熱と刑事の誇りを胸に目の前の事件の真実を追う所轄の弟・守と、決して冷静な姿勢を崩すことなく二十一年前の事件の真相に迫ってゆくキャリアの兄・剣。時を隔てた二つの事件が次第に交錯し始めた時、反目しながらそれぞれの捜査を進めていた兄弟を導いたのは、父が遺した一冊のノートだった。
  • 国防特行班E510
    3.5
    陸上自衛隊と公安警察、男女コンビを組む!  三輪出雲一等陸佐は、部下とともに都内の高級住宅街へ向かっていた。  数年前に「死んだはず」の出雲は、防衛省内の不祥事を始末する専属部署――自衛隊第三特殊情報偵察評価群・五一〇臨時特別行動班の隊長を務めているのだ。  上司からの命令は、「自ら出頭を願い出た、統合幕僚監部に潜りこんでいたスパイを保護する」というもの。大した仕事ではなかったが、いざ現場に入ると、書斎には白髪の男が後頭部を血に染めて、うつ伏せに倒れていた。 思わず身構える出雲たち。彼らの前に姿を現したのは、公安警察の「ゼロ」と呼ばれる非合法部署に所属する荻窪冴子だった。互いが銃を構え、一触即発のムードが漂う中、班長を務める冴子が口を開く。 「私たちが来た時には死んでいたのよ」  睨み合いが続く出雲と冴子のふたり。最初に動いたのは――どちらでもなかった。  突然、窓ガラスが砕け、火炎瓶が投げ込まれたのだ。さらに遠距離からの銃撃までも。  いったい何者が襲撃しているのか?  最近より一層キナ臭い関係となってきた中国なのか? それとも……。  ハード国際諜報アクション!
  • ガラパゴス 上
    3.9
    1~2巻814~913円 (税込)
    大ベストセラー『震える牛』ふたたび!  警視庁捜査一課継続捜査担当の田川信一は、メモ魔の窓際刑事。同期の木幡祐司に依頼され、身元不明相談室に所蔵されている死者のリストに目を通すうち、自殺として処理された案件を他殺と看破する。不明者リスト902の男の発見現場である都内竹の塚の団地を訪れた田川と木幡は、室内の浴槽と受け皿のわずかな隙間から『新城 も』『780816』と書かれたメモを発見する。田川が行った入念な聞き込みにより者不明者リスト902の男は沖縄県宮古島出身の派遣労働者・仲野定文と判明した。田川は、仲野の遺骨を届け、犯人逮捕の手掛かりを得るため、宮古島に飛ぶ。仲野は福岡の高専を優秀な成績で卒業しながら派遣労働者となり、日本中を転々としていた……。  現代の生き地獄を暴露する危険きわまりない長編ミステリー!
  • 特異家出人 ~警視庁捜査一課特殊犯捜査係・堂園晶彦~
    3.4
    被疑者に甘い奴が、特殊班では切り札になる。 東京都葛飾区在住の有村礼次郎という一人暮らしの資産家老人が失踪した。捜査すべき“特異家出人”であるかを探ることになった警視庁捜査一課特殊犯の堂園晶彦は、老人と唯一交流があったという少女・加藤奈々美から、老人と電話で話した際「変な音」を耳にしたことを知る。有村邸の玄関からは血痕が検出され、預金通帳や証書、有価証券、不動産の登記書、時価二億と推定される根付のコレクションが消えた。目撃証言により、彼を拉致したのは鹿児島の元指定暴力団員・中俣勇夫であることが判明。中俣の消息を追い鹿児島に飛んだ堂園は、自身の祖父と有村老人が県立鹿児島第一中学校で同級生だったことを知る。二人は高等学校の替え玉受験が発覚したことを機に、故郷・鹿児島を追われていた。県警の刑事・大迫らとともに中俣の潜伏先を特定した堂園は突入をはかるが、その直前、錯乱に陥った中俣が相棒に射殺されてしまう。しかし、拉致されたはずの有村老人は、その場に居合わせていなかった。有村の拉致には、彼と堂園の祖父の過去が大きく関わっていた……。
  • 万寿子さんの庭
    3.6
    年齢差を超えた友情を描く、感涙の物語。 「あなたがお隣に引っ越してきてから、わたしの人生はまた乙女時代に戻ったかのような活況を取り戻しました」 竹本京子、20歳。右目の斜視にコンプレックスを抱く彼女が、就職を機に引っ越した先で、変わり者のおばあさん、杉田万寿子(ますこ)に出逢った。 万寿子からさまざまないやがらせを受け、怒り心頭の京子。しかし、このおかしなやりとりを通じて、意外にも2人の間に、友情ともいうべき感情が流れ始めるのだった。 半世紀の年齢差を超えた友情が、互いの人生に影響を与えていく様を温かな筆致で描く感涙の物語。

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