火野葦平の一覧
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ユーザーレビュー
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男と女、やはり運命の波に翻弄さる。
本当に読んでいて飽きないのです。
でもこの作品は実話をベースにしているのです。
男と女は実は著者の両親です。
すごいのはたった一度のみ
彼が禁を犯し「脅迫」と言う行為をすること。
本当に窮地に陥ったときに用いたとはいえ
やはり金五郎は後悔しています。
稀有な存在
...続きを読むだよなぁ、金五郎のような男は。
そして、終わらぬままのラスト。
彼らはその後、どのような人生を
歩んでいったのでしょうね…
Posted by ブクログ
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男と女、やがて二人はつながり、
夫婦となります。
男気あふれる男。
そして男勝りな女。
しかし彼らも例外なく
地域のさまざまな運命の渦に巻き込まれていきます。
そして男はやがて組を任され…
任侠ものだけれども
男は怖い奴ではないです。
珍しい作品かな。そういう点で。
Posted by ブクログ
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火野葦平の小説「麦と兵隊」、「土と兵隊」が収録されています。
火野葦平は石炭仲仕を商う家庭の長男として出生し、大学在学中より文学を志しましたが、その後、一時断念、左翼運動に興味を抱きながら家業を継ぎます。
その後、労働活動が検挙されたことにより、転向を決心し、再度文学活動を再開します。
芥川賞を受賞
...続きを読むしましたが、転属し、報道部に入り、日中戦争渦中の南京に入ります。
本作に収録されている「麦と兵隊」は、火野葦平こと、玉井勝則伍長が、1938年の徐州会戦での記録を元に書かれた戦記文学となります。
「麦と兵隊」は日中戦争の最中、従軍時に書かれた作品で、内容は生々しいです。
兵隊や軍備のかっこよさなど、戦争賛美を書かれたような作品や、あるいは後の世に同じ過ちを繰り返させぬよう戦争の悲惨さを伝えたような作品とは異なり、ただ、戦争に参加し、そこでの出来事を、下手な盛り上がりや脚色無く書いた内容となります。
大本営や戦況を鷹の目から述べているようなものはなく、一報道部による従軍記録として書き出したのみの内容で、極限の状態でありながらも淡々と述べられています。
技工が凝らされているわけでもなく、読みにくいわけではないのですが、読んで楽しめるものではないです。
ただ、現地の兵隊がどれだけ辛い目に逢いながらがんばってきたのか、そのリアルな体験を感じられる内容となっています。
「土と兵隊」も"麦~"同様、日中戦争にて杭州湾での上陸作品に参加した際の体験が元になって書かれた作品です。
"麦と~"の方が知名度は段違いに上ですが、私的には"土と~"の方が読みやすかったです。
"麦と~"は日記形式で従軍記録を書籍化したような作品ですが、"土と~"はある兵隊が弟に宛てた手紙という形式となっています。
最初、海上で幾日も作戦の開始を待っていた「私」だが、ある日、ついに上陸が開始し、弾丸の飛び交う戦地で、日本人と見た目はそう変わらない中国人を相手に殺し合いをすること、隙間を見て睡眠し、ものを食い、脱糞する様子、そして凶弾にやられ倒れていく仲間が書かれてます。
そして最後は、今日も進軍ができること、そして、また手紙を書きたいという思いが綴られて終幕します。
いずれの作品も戦争中の場面が書かれているため、検閲が入っているようです。
それを踏まえても、思ったより踏み込んだ内容となっていると思いました。戦地の壮絶さ、痛ましさが書かれています。
本作は太平洋戦争中も読まれ、火野葦平は『戦争作家』として人気を博します。
当然の如く、軍は本作を国民先導のプロパガンダとして利用しますが、それが元となって、火野葦平は戦後に戦争責任を追求される立場になります。
ただ、本作自体は、海外でも本作されて人気が出ており、都合上の改変はあったのだろうけども極端に美化もされていない、中立な内容に思いました。
なお、本書収録の2作の他に「花と兵隊」という作品があり、花を含めて火野葦平の兵隊三部作と呼ばれています。
"花と~"も機会があれば、読んでみたいです。
Posted by ブクログ
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天皇組合結成を目指して奔走し、失敗する顛末を描いたドタバタ劇。
戦後の混乱期に、我こそは正当な天皇だと名乗りあげる人間が続々と登場。
そのうちの一人、北九州の虎沼天皇は現偽天皇(昭和天皇)を退位させるため、全国の自称天皇と団結しようと息子の通軒を派遣する。
しかし協力者にはそれぞれの思惑があり、さ
...続きを読むらには共産党や新興宗教も登場する。
行動力のある女性が物語を推進させているのが印象的。
また、昭和天皇がまったく登場しないことによって、逆にその確固たる存在感を示している。
Posted by ブクログ
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『麦と兵隊』や『糞尿譚』の作者である火野葦平の小説です。
太平洋戦争敗戦直後の混乱期、今上陛下(昭和天皇)は偽系の天皇であり、自分こそが正当な皇位継承者であると主張する者が続々と現れます。主人公は、その一人「虎沼天通」を父に持つ「通軒」。
天皇として即位することを目指す父のため、周囲の人々と協力し
...続きを読むて活動しているつもりでしたが、支援者だと思っていた人々は虎沼天皇の誕生を心から応援していたのではなく、それぞれの利益を追究していただけだということが次第に明らかになっていきます。
自らを天皇家と主張する虎沼一家(とくに父と子)のように、熱中するあまり周囲が見えなくなってしまう人間の愚かさや、混乱期であるからこそ自分の欲求に純粋に生きるために他者を踏み台にする登場人物たちの逞しさを感じることができます。
戦後直後の、秩序が完成しきっていない当時の社会状況も垣間見ることができますし、人間がもつ「弱さ」や「強さ」も感じることができます。
一方で、古い作家の作品ですから少し読みにくい文章表現が出てきたり、物語の設定(展開)に荒唐無稽なところがあったりと、やや読みにくい部分があることも否めません。
特別に政治的なメッセージが込められた作品ではないと思いますが、物語の冒頭で主人公が天皇制と敗戦について関連して意見を述べていた部分(天皇制という国体に戦争責任があるとは言わないが、今上陛下(昭和天皇)は退位するなどの「責任」をとるべき)には、1950年にこういった内容を書くことができた火野の個性(それまで『麦と兵隊』などの作品で戦意を高揚させた、として公職追放を受けていた)を含め、日本の特徴が現れているようなきがします。
Posted by ブクログ
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