火野葦平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ小説家による日中戦争の従軍記。出版は戦中だが、本書は戦後に作者による修正が入ったものである。
戦後版のあとがきでは、著者自身は小説家なので本書はノンフィクションではなく、文学処理を施した創作であると述べられている(p286,287 あとがき「麦と兵隊」「土と兵隊」を書いた頃より)。戦中に出版された際のまえがきでも従軍記と記載されているものの、従軍中毎日つけた日記を整理し清書したに過ぎないものと補足されている(p291 前書 麦と兵隊)ので、ノンフィクションではないようだ。
それでも、軍の修正が入りにくいであろう箇所はあるはずで、そのような箇所の描写は実体験に近いものが書かれているのではない -
Posted by ブクログ
とにかく面白かった。
コメディタッチのドタバタ劇。
これが1950年に出版されたモノの復刊、
ということに、また驚かされる。
先の大戦後に、◯◯天皇だと名乗り出た人物が、
本当にいたらしいと聞く。
それも一人ではなく……。
同じようにこの作品では、戦後、全国に我ぞ天皇というものが7人も現れる。
主人公の父も我こそはと名を上げ、正当性を掲げ、
組合を作るべく「皇太子」となった主人公が、
説得に回るも……。
登場人物のほとんどに動物の名前が付くのは、
現実に現れた◯◯天皇からの着想だろうか?
物語に昭和天皇は現れず、共産党が君が代を歌う。
戦後のある特殊な空気も垣間見ることもでき、
楽しく -
Posted by ブクログ
火野葦平の小説「麦と兵隊」、「土と兵隊」が収録されています。
火野葦平は石炭仲仕を商う家庭の長男として出生し、大学在学中より文学を志しましたが、その後、一時断念、左翼運動に興味を抱きながら家業を継ぎます。
その後、労働活動が検挙されたことにより、転向を決心し、再度文学活動を再開します。
芥川賞を受賞しましたが、転属し、報道部に入り、日中戦争渦中の南京に入ります。
本作に収録されている「麦と兵隊」は、火野葦平こと、玉井勝則伍長が、1938年の徐州会戦での記録を元に書かれた戦記文学となります。
「麦と兵隊」は日中戦争の最中、従軍時に書かれた作品で、内容は生々しいです。
兵隊や軍備のかっこよさなど -
Posted by ブクログ
ネタバレ『麦と兵隊』や『糞尿譚』の作者である火野葦平の小説です。
太平洋戦争敗戦直後の混乱期、今上陛下(昭和天皇)は偽系の天皇であり、自分こそが正当な皇位継承者であると主張する者が続々と現れます。主人公は、その一人「虎沼天通」を父に持つ「通軒」。
天皇として即位することを目指す父のため、周囲の人々と協力して活動しているつもりでしたが、支援者だと思っていた人々は虎沼天皇の誕生を心から応援していたのではなく、それぞれの利益を追究していただけだということが次第に明らかになっていきます。
自らを天皇家と主張する虎沼一家(とくに父と子)のように、熱中するあまり周囲が見えなくなってしまう人間の愚かさや、混乱期