火野葦平のレビュー一覧

  • 天皇組合

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    これはこれは面白い。1950年に出版されたものを底本に2019年に出された本である。戦後相当の時を経た現代でも笑ってしまえる中身に驚かされる。
    「天皇」とは何か、今よりももっと真剣に考えた時代があったようだ。

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    2025年01月11日
  • 花と龍(下)

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    男と女、やはり運命の波に翻弄さる。
    本当に読んでいて飽きないのです。
    でもこの作品は実話をベースにしているのです。
    男と女は実は著者の両親です。

    すごいのはたった一度のみ
    彼が禁を犯し「脅迫」と言う行為をすること。
    本当に窮地に陥ったときに用いたとはいえ
    やはり金五郎は後悔しています。
    稀有な存在だよなぁ、金五郎のような男は。

    そして、終わらぬままのラスト。
    彼らはその後、どのような人生を
    歩んでいったのでしょうね…

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    2012年04月18日
  • 花と龍(上)

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    男と女、やがて二人はつながり、
    夫婦となります。
    男気あふれる男。
    そして男勝りな女。

    しかし彼らも例外なく
    地域のさまざまな運命の渦に巻き込まれていきます。
    そして男はやがて組を任され…

    任侠ものだけれども
    男は怖い奴ではないです。
    珍しい作品かな。そういう点で。

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    2012年04月18日
  • 天皇組合

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    とにかく面白かった。
    コメディタッチのドタバタ劇。
    これが1950年に出版されたモノの復刊、
    ということに、また驚かされる。

    先の大戦後に、◯◯天皇だと名乗り出た人物が、
    本当にいたらしいと聞く。
    それも一人ではなく……。

    同じようにこの作品では、戦後、全国に我ぞ天皇というものが7人も現れる。
    主人公の父も我こそはと名を上げ、正当性を掲げ、
    組合を作るべく「皇太子」となった主人公が、
    説得に回るも……。

    登場人物のほとんどに動物の名前が付くのは、
    現実に現れた◯◯天皇からの着想だろうか?

    物語に昭和天皇は現れず、共産党が君が代を歌う。
    戦後のある特殊な空気も垣間見ることもでき、
    楽しく

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    2025年11月11日
  • P+D BOOKS 小説陸軍(下)

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    登場人物の相関もなかなか入って来ず、ストーリーも各章つながりが解りづらいところがあったが、これは戦争からはるか時が経った今に生きている者であり、また、私個人の読み手の力量不足の故と思う。当時の世相ではこの作品を世に出すことは大変ハードルは高かったと思われ、作者後書にこの作品の全てが凝縮されていると感じた。

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    2024年12月14日
  • P+D BOOKS 小説陸軍(上)

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    最初は主人公始め登場人物が目まぐるしく、なかなか繋がらなかったが、一国民家族の目線で当時の生活を活写しつつ軍国の雰囲気が生々しく描かれており、これまで読んだ戦争題材の作品とはまた違った味わいを感じた。

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    2024年09月21日
  • 天皇組合

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    ネタバレ

    天皇組合結成を目指して奔走し、失敗する顛末を描いたドタバタ劇。

    戦後の混乱期に、我こそは正当な天皇だと名乗りあげる人間が続々と登場。
    そのうちの一人、北九州の虎沼天皇は現偽天皇(昭和天皇)を退位させるため、全国の自称天皇と団結しようと息子の通軒を派遣する。
    しかし協力者にはそれぞれの思惑があり、さらには共産党や新興宗教も登場する。

    行動力のある女性が物語を推進させているのが印象的。
    また、昭和天皇がまったく登場しないことによって、逆にその確固たる存在感を示している。

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    2022年07月04日
  • 天皇組合

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    ネタバレ

    『麦と兵隊』や『糞尿譚』の作者である火野葦平の小説です。

    太平洋戦争敗戦直後の混乱期、今上陛下(昭和天皇)は偽系の天皇であり、自分こそが正当な皇位継承者であると主張する者が続々と現れます。主人公は、その一人「虎沼天通」を父に持つ「通軒」。
    天皇として即位することを目指す父のため、周囲の人々と協力して活動しているつもりでしたが、支援者だと思っていた人々は虎沼天皇の誕生を心から応援していたのではなく、それぞれの利益を追究していただけだということが次第に明らかになっていきます。

    自らを天皇家と主張する虎沼一家(とくに父と子)のように、熱中するあまり周囲が見えなくなってしまう人間の愚かさや、混乱期

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    2020年04月12日