小説 - 小学館作品一覧

  • 山に抱かれた家
    4.4
    海から山へ。大人気シリーズ新章開幕! 田舎暮らしの夢を叶えた父が遺してくれた「海が見える家」で暮らす文哉。旅の途中で山間にある畑付きの空き家を偶然見つけ、つき合いはじめた凪子と内覧に出かける。そこは野菜作りの師匠であった今は亡き幸吉の親友、猟師の市蔵の故郷だった。しかし文哉にとっては縁もゆかりもない土地で、限界集落でもある。それでも運命を感じた文哉は空き家を買い、古い家屋や長年休耕地だった畑に手を入れながらひとりで暮らしはじめる。自分で選んだ、さらなる田舎において、文哉の望む自給自足的な暮らしは果たして実現できるのか? ベストセラー「海が見える家」シリーズの新たな章がスタートする!
  • 私が愛した余命探偵
    4.0
    その真実に、きっと涙する――。 洋菓子店で起こるささやかな事件が、二人の未来を照らし出す。 六年間、夫の闘病生活を支えた著者。亡き夫に捧ぐ、勇気をもらえる愛の物語。 「今日はどんなお客さんの話?」 西荻窪にあるコイズミ洋菓子店で働く二葉には、腹部に肉腫を抱え長期入院中の夫、一星がいる。 一星は大のケーキ好きだが、禁食のため空腹と暇を持て余しており、いつしか、二葉が店から持ち帰るささやかな謎を解き明かすことが二人の楽しみとなった。 幼い女の子が香りを頼りに一人探し続ける「楽しいお菓子」とは? 実家を出た娘の誕生日ケーキを毎年購入し、記録し続けた亡き両親の真意とは? そして、謎に隠された様々な想いに触れた二人が選ぶ未来とは――。 「ほどなく、お別れです」シリーズ著者、渾身の書き下ろし。
  • 対極
    3.0
    第二回警察小説選考会を騒然とさせた問題作。 警視庁には二つの特殊部隊が存在する。SATとSIT、指揮系統こそ違うものの、現場を同じくすることも多い。 高校時代に腕試しで警察学校に殴り込んだ過去を持つ中田数彦は、合法的に暴れるためにSATに志願した。一方の谷垣浩平は異例の抜擢を経てSIT係長になった。 悪童とエリート。生い立ちも信条もまるで異なる二人が衝突を繰り返しながら「厚生労働省解体」を要求する謎のテロ集団と対峙する。彼らを捜査するうち、日本の医療制度の歪みが明らかになっていく―― 第二回警察小説選考会の場を騒然とさせた問題作。解説は、同賞選考委員にして、『教場』著者である作家・長岡弘樹氏。 ※この作品は単行本版『対極』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 鐘を鳴らす子供たち
    4.7
    復興の希望・伝説のラジオドラマの舞台裏。  物語は高度成長期と呼ばれる昭和48年、『鐘の鳴る丘』に出演した当時小学生の一人、良仁への一本の電話から始まる。この日、戦後を代表する劇作家であり、『鐘の鳴る丘』の脚本家・菊井一夫が逝去。電話は菊井の葬儀の知らせだった。知らせを受けて菊井との記憶に思いを馳せる良仁の脳裏には、いつしか「緑の丘の赤い屋根 とんがり帽子の時計台…」と、少年少女たちの歌声が流れ始めていた。  昭和22年。ようやく給食が再開したものの、ほとんどの子どもがいつもお腹を空かせていた時代。東京・練馬区の小学校に通う良仁は親友の祐介と全力で遊びまわる日々を送っていた。そんなある日、良仁と祐介、そして、隣のクラスの実秋を含めた数名が、NHKのラジオ放送劇『鐘の鳴る丘』に出演することに。良仁たちが演じるのは、当時、社会問題となっていた戦後浮浪児の役。戦争への負い目を胸に抱えた大人たちと共に、伝説となるラジオドラマ『鐘の鳴る丘』をつくる日々が始まる。  戦後の混乱期、ラジオが唯一の娯楽ともいえた時代、作り手側に立つことになった子どもたちが見た世界とは。戦争への後悔を抱えた大人達と一緒に希望を模索する日々の行方は・・・。
  • マザー/コンプレックス
    3.8
    地下鉄の“ある事件”を機に母性が暴走する。 蜂須賀恵理子は、悲嘆に暮れている。自慢の息子が痴漢行為を咎められ、逃げようとして地下鉄に轢かれ、死んだのだ。冤罪だと信じる恵理子は、亡き息子のSNSにのめり込み、事件の真相を探ろうと奔走する。 夏川美夏は、激怒している。高校生の娘が電車内で痴漢を捕まえたが、被害には長い間遭っていたというのだ。美しい娘には芸能界で活躍してほしい。週刊誌記者に身辺を嗅ぎ回られ、美夏は苛立つ。 高奈琴絵は、幸せの絶頂から突き落とされる。不妊治療の末、ようやく待望の子供を妊娠した矢先、夫が痴漢をして逮捕されたのだ。琴絵を責める義母に、逆ギレする夫。離婚がちらつくが、一人で子供を育てる自信がなく琴絵は途方に暮れる。 地下鉄で起きたある事件を発端に、歪み、崩壊していく三つの家族。 そして、新たな悲劇が起こる―― 暴走する母性の先に衝撃の結末が待ち受ける、ドメスティック・スリラーの新たなる傑作!
  • 空に牡丹
    4.0
    ご先祖に思いを馳せるファミリーヒストリー。  私のご先祖様には花火に魅せられ、一財をつぎ込んで生きた静助さんという人がいる。  ―――時は明治初期。江戸から東京になったが、地方ではいまだ江戸と呼ばれていた時代。その江戸から遠くない村で大地主の次男坊として生まれた静助は、ご一新で世間が大きく変わるなか、何不自由なく暮らしていた。  ある日、静助は母親と出かけた両国の隅田川で打ち上げ花火を見物し、ひと目で心奪われる。江戸の花火屋たちは、より鮮やかな花火を上げるため競い合っているという。  村に戻ってからも花火への情熱が消えない静助は、潤沢な資金を元に職人を雇い、花火作りに夢中になるが、富国強兵へ向かう時代の波が、次第と静助一族を呑み込んでいく……。 ※この作品は、『空に牡丹』(単行本版)の文庫版となります。
  • 就職先はネジ屋です
    3.4
    ヤル気が出る!女子社員のモノづくり小説。  就活中のユウ(三輪勇)は、第一志望の商社を最終面接で落とされた。その後、母親が社長を務めるミツワネジ(従業員130名)に正式エントリーして、入社することになった。海外で働きたいと考えるユウにとって、ミツワネジにフィリピン支社があることが大きな志望動機になった。  入社後、ひとり暮らしをはじめたユウ。同期入社は同じく営業に配属された辻の2名だった。ユウは、長谷川螺子兄弟社というネジ会社で三か月の現場研修に入り、「緩み」が生じないようにと、ひと工夫したU字ボルトを作った。  営業の取引先は、ネジを扱う顔なじみの商社ばかりだった。何とか直接メーカーに対して提案型の営業もしたいと思いはじめたユウは、飛び込みでメーカーを回り始めるが、相手にされない。ある日、荒川の河川敷で消波ブロックを作る現場を見たユウは、型枠を締めたり緩めたり簡単にできるボルトを作れないかと考えた。  前例のないことを始めようと行動するユウは、幾度もしがらみと闘いながら、仲間や業界のスペシャリストとともに新しい世界を切り開いていく。  読めばヤル気が出る!新入女子社員のモノづくり小説。文庫オリジナル。
  • 夏の雷音
    3.5
    神保町から消えた名器を巡り殺人事件が発生。 神保町のギターショップから消えた1億2000万円のエレキギター。それはアメリカのオークションで落札されたギブソン58という幻の名器だった。盗難にあった店のオーナーはその後謎の死を遂げる……。神保町にある明央大学法学部准教授の吾妻幹は生まれも育ちも神保町。愛する街で起こった謎の殺人事件を追跡することに。教え子の女子大生を助手にして調べていくうちに億単位の値がつくヴィンテージギター業界の内情、オークションの世界のからくりを知る。そんな吾妻の前に地元神田署の刑事が立ちはだかるが……。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた『夏の雷音』 の文庫版となります。
  • 愛される資格
    3.8
    平凡な男が思いついたある復讐とは――。 大手文具メーカー「あねちけ」に勤める平凡なサラリーマン・富岡兼吾。彼は普段から自分に厳しい上司の下永に不満を持っていた。 ある日、酒に酔った下永を家まで送ることになった兼吾は、下永の妻・秀子と出会う。そのとき、兼吾の心にある復讐の企みが芽生えたのだった――。 過激で大胆かつ繊細な性描写と心理描写が導く衝撃の結末。 単行本発売時、「樋口毅宏の最高傑作」と評された長編小説が待望の文庫化!
  • 鸚鵡楼の惨劇
    3.6
    “イヤミスの女王”の最も危険なサスペンス。  1962年、西新宿。十二社の花街に建つ洋館「鸚鵡楼」で惨殺事件が発生する。しかし、その記録は闇の中に葬られた。  時は流れて、バブル全盛の1991年。鸚鵡楼の跡地に建った超高級マンション「ベルヴェデーレ・パロット」でセレブライフを送る人気エッセイストの蜂塚沙保里は、強い恐怖にとらわれていた。「私は将来、息子に殺される」――それは、沙保里の人生唯一の“汚点”とも言える男の呪縛だった。  そして嵐の夜、セレブママたちが集うチャリティ・バザーの最中に、第二の惨劇が幕を開ける。  2013年まで半世紀にわたり、因縁の地で繰り返し起きる忌まわしき事件。その全貌が明らかになる時、かつてない驚愕と戦慄に襲われる!!   大ベストセラー『殺人鬼フジコの衝動』をはじめ、“イヤミスの女王”として女性を中心に熱狂的な支持を受ける著者が放った、最も危険なミステリー。
  • 恥辱
    4.0
    過去に囚われている二人の女性の贖罪の物語。 私ではなく、彼こそ生き残るにふさわしい人間だったのだ――。母親の自慢でもあった、何もかも完璧な兄の死をトラウマとしている女医、38歳。自分でからだを動かすことすらままならない異常な肥満で部屋に閉じこもった50代女性。過去に囚われ、誰も信じることができず、究極の孤独を抱えた二人が人生の歯車を狂わせた先に出会った時……。ベスト北欧推理小説賞受賞の実力派女性作家が描くサイコサスペンスの傑作!
  • バタフライ・エフェクト
    2.0
    北欧ミステリの女王が描く濃密な人間ドラマ。 不治の病に罹り、夫と別れて死を待つ日々を送る五十代の女性ボーディル。法律家としてキャリアを積みながら、心理カウンセラーに依存する三十歳、独身の娘ヴィクトリア。良き父良き夫であり、建築家としても成功を手にしていたアンドレアス。小さな出来事がやがて大きな波となり、それぞれの人生の歯車を狂わせていく……。  北欧ミステリの女王が人生の皮肉とやるせなさ、絶望、そしてほのかな希望を描く、濃密な人間ドラマ。
  • 挑戦 巨大外資 上(小学館文庫)
    3.3
    1~2巻803~825円 (税込)
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 1970年、世界的コングロマリット「ワーナー・パーク」の日本法人に経理本部長としてヘッドハンティングされた池田岑行は、入社早々にしてメーンバンクの変更、経理部門の再編など、停滞していた社内に次々と改革を成し遂げる。しかし、その裏で彼を待ち受けていたものは、追い落としを図ろうとするライバルたちの卑劣な罠だった-。公私混同著しい上司との対決、陰謀と策略渦巻く、一瞬の隙も許さぬ人事抗争、相次ぐCEOの解任…。"非情の外資"を、その卓越した財務戦略で30年にわたって生き抜いた唯一無二の日本人、「奇蹟のCFO」と呼ばれた男の目をとおして見た、巨大外資企業の真実。
  • 0マイル
    3.8
    父と子のふたり旅が紡ぐ新感覚ロードノベル。 かつて新進気鋭の写真家として脚光を浴びた吉川士朗は、出張中に身重の妻が緊急手術をしたことが原因で、長期の旅行を伴う撮影をやめてしまった。日々の仕事に埋没していた折、旧知の編集長から米国フロリダを旅する紀行写真の企画を持ちかけられる。これは「最後のチャンス」かもしれない……。そんな思いを抱きながら、病弱の妻を日本に残して、小学2年生の息子・登士を「助手」として連れていくことになった。 「世界でいちばん美しい道」を息子と一緒に見にいきたい----。マイアミ国際空港から米本土最南端「0(ゼロ)マイルの街」キーウエストを目指してドライブする「ふたり旅」。ホテル内を無断で撮影しようとして警備員に拘束されたり、夜の繁華街で息子が行方不明になったりと、トラブルの連続で思うように仕事ができない士朗は、つい息子にきつくあたってしまう。しかし、些細なことでケンカをしながらも、旅先で様々な人たちとの出会いを経て、「助手」から「相棒」へと、親子の距離も少しずつ変わっていく。そして「世界でいちばん美しい道」の果てで、士朗たちが出会ったのは……!?  父と息子の交流を描いた感涙必至の紀行小説、待望の電子化。 【ご注意】※この作品はカラー写真が含まれます。
  • 蒼ざめた眠り
    3.6
    各紙絶賛の隠れた名作、ついに電子化! 日経、毎日、中日新聞、週刊現代、週刊文春、週刊新潮ほか、二十媒体以上で取りあげられたハードボイルドミステリ巨編が、ついに電子化。  死にかけた海辺の町にもちあがった空港建設計画。町は真っ二つに割れていた。そんな中、辰巳翔一は廃ホテルを撮影中、反対派の女性ジャーナリストの絞殺死体を発見した。殺害女性の元夫で地元新聞の記者をしている安昼のたっての願いで、辰巳は元探偵である経歴を買われ、事件の解決を手助けして欲しいと頼まれる。簡単な事件に見えたが、しかし事態は二転三転し、辰巳自身想像すらしなかった事件の闇に絡め取られていく。  疲弊する共同体、己が欲得に溺れる人間たち、希望の見えない日本という状況を活写しつつ、ハードボイルドの物語を描ききった著者渾身のミステリ巨編!

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  • 長生き競争!
    4.2
    日本初? 笑って泣けるお年寄りファンタジー 「どうせなら金を賭けないか? 誰が一番長生きするか」 聡、弘、明男、正輝、博夫、規子の6人は、小学校時代からの幼なじみの76歳。全員ヒマな上、比較的元気なので、時折同窓会を開いている。しかし話題は、暗いものばかり。そんなある日、6人の中でも最も明るくマッチョな明男がそんなラテンな提案をする。皮肉にも、酔狂な賭けを通じて彼らはお互いのことをよく知るようになるのだが……。生と死、老いと人生を切なくもユーモラスに描き、高齢化社会を希望で照らす、ヒューマン・エンタテインメント。賭け金総額五千七百万円、『長生き競争!』ここに開幕。

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  • あの日、君は何をした
    3.8
    『完璧な母親』著者が放つ慟哭のミステリー。 北関東の前林市で平凡な主婦として幸せに暮らしていた水野いづみの生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていた大樹は、何をしようとしていたのか――。 15年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。無関心に見える妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は、必死で辰彦を探し出そうとする。 刑事の三ッ矢と田所が捜査を進めるうちに、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵が明らかになる。 『完璧な母親』で最注目の著者が放つ、慟哭のミステリー。
  • 口福のレシピ
    3.9
    隠し味のルーツをめぐる「食」の家族小説。 留季子の実家は、江戸時代から続く老舗の料理学校「品川料理学園」。いずれは継ぐものという周囲からの圧迫に耐えられず、大学卒業後はSEとして企業に就職した。しかし、食べることも料理をすることももともと大好きな留希子。SNSでレシピを発信しているうちに、料理研究家としての仕事も舞い込むようになる。アプリ開発会社と組み、大型連休に向けた簡単でおいしい献立レシピの企画を立ち上げるが、留季子の思いと、忙しい女性たちの現状はいつの間にか乖離し、アプリ制作は難航した。一方、昭和二年の品川料理教習所の台所では、女中奉公に来て半年のしずえが西洋野菜の白芹(セロリー)と格闘していた。どのように調理すれば美味しく食べてもらえるのか。しずえは、蕗と同じように小さく切って、少量の油で炒め、醤油と味醂、砂糖で炒りつけた。留希子としずえ、二人をつなぐ一皿の料理の隠し味をめぐる「食」の家族小説。巻末に、著者の原田ひ香さんと料理家・飛田和緒さんの対談を特別収録。 ※この作品は単行本版『口福のレシピ』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 上流階級 富久丸百貨店外商部
    4.2
    1~4巻792~935円 (税込)
    ドラマ化ヒット小説、文庫2ヶ月連続刊行!   天下の富久丸百貨店芦屋川店で、外商員として働く鮫島静緒(37)。日本一の高級住宅街・芦屋に住む本物のセレブたちに、ロレックスの時計やダイヤの指輪を持参してお買い物をしていただくのが仕事だ。新人外商員の静緒に課されたノルマはなんと、月1500万円! 職場の正社員としては珍しく高卒からのたたきあげで働く静緒は、顧客の要望に応えるため、そしてマンネリ感満載の百貨店業界を立て直すため、前のバイト先・パティスリー「ローベルジュ」での人脈をフル活用して全力で奔走する。  静緒をパティスリーから引き抜いたカリスマ外商員・葉鳥士朗の勧めで、静緒は実家から芦屋の高級マンションに引っ越した。ところがそこには思わぬ同居人が。大嫌いな同僚の桝家修平(29)も、葉鳥の勧めでその部屋に住んでいたのだ。バツイチ独身の静緒だが、桝家は実は、セクシャリティの問題を抱えていて……。  竹内結子、斎藤工、草刈正雄ら豪華キャストでドラマ化もされた話題作。神戸在住、『トッカン―特別国税徴収官』『政略結婚』などヒット作を次々生み出す著者による究極のハイクラス・エンタメが待望の文庫化!
  • 小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記
    4.0
    映画ドラえもん×辻村深月。  のび太たちのクラスに、季節外れの転校生・ルカがやってきた。同じ頃、テレビでは月面探査機が謎の白い影を捉えて大ニュースになる。のび太が「月のウサギだ!」と主張するとクラスのみんなは大笑い。悔しがるのび太はドラえもんに泣きつき、ひみつ道具『異説クラブメンバーズバッジ』を使い月の裏側にウサギ王国を作ることに。ルカとともに向かった月でのび太たちは、エスパルという不思議な力を持つ一族と出会う。そこに彼らを狙う赤い宇宙船が現れた!   映画脚本を担当した辻村深月が、自ら完全小説化。 大ヒット作!
  • 私はいったい、何と闘っているのか
    4.1
    2021年12月安田顕主演映画化原作。 家に遊びに来た長女の彼氏にいいところを見せるために考えたヘネシー作戦とは? 息子を野球とサッカーの史上初の二刀流に育てるための前代未聞の秘策とは? そして、念願のスーパー店長への長く険しい道の果てに待っていた、予想外の結末とは? 伊澤春男、45歳。スーパー勤務。一見平凡な日常は、きょうも彼の脳内で戦場と化す。 甘えも嫉妬も憤りも悔しさも、すべてを強がりのオブラートに包み込んで、男は深夜、なじみの定食屋のカツカレーを全力で喰らい尽くす。きょうも、妻が、娘が、息子が待っているはずの我が家が遠い― ※この作品は単行本版『私はいったい、何と闘っているのか』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 漫画ひりひり
    4.3
    現代のトキワ荘。漫画家青春群像活劇。  手塚治虫に憧れた高校球児・細川歩は、部活引退後、将来の夢を漫画家に定める。平成元年4月、合格を果たした大分にある鳥羽デザイン専門学校漫画コースに無事入学。喜びも束の間、専門学校で研鑽を積んだからと言って必ずしも漫画家になれるわけではないという厳しい現実をつきつけられる。新しい友達はできたはいいが、同時に漫画家を目指すライバルという状況になかなか馴染めないでいる歩だった。  何度も投稿するのにデビューできない者、途中でドロップアウトする者、在学中にデビューを飾り東京へ向かう者・・・。厳しすぎる選別を受ける友人達。果たして歩は夢を実現することができるのか?  30年後の平成31年。再会を果たした同期の仲間たちは、どんな人生を歩んだのか。漫画に人生をかけた少年たちの感涙必至の青春群像活劇。  解説は北上次郎さん ※この作品は単行本版『漫画ひりひり』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • クソみたいな理由で無人島に遭難したら人生が変わった件
    2.0
    ワケあって、無人島生活、始まる!?  会社員をしながらネット上に漫画を投稿する保木健人は、取材旅行と称して沖縄にやってきた。さっそく海で“取材”を楽しむ保木だが、海中で意識を失ってしまい、気がつけばそこは……無人島だった!  島には売れない元ホスト、底辺ユーチューバー、パパ活ギャル等々、個性的な男女6人が同じように流されていた。灼熱の暑さの中、水もない現状に7人は血みどろの争いを始める、かと思いきや。 「俺たち、結構運がいいんじゃね?」と、皆でサバイバル生活を楽しみはじめ――。  釣りに火おこし、芋掘りに船造り!? 都会では味わえない、笑って泣ける無人島脱出物語!
  • 齋藤 孝の音読破 1  坊っちゃん
    4.0
    1~6巻792円 (税込)
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 音読して読破するための、日本語テキスト! ことばを身体全体で楽しみ、脳が活性化する音読。まとまった文学作品をまるまる、「音読しながら読破」する活動を「音読破」と呼びます。総ルビ付き大活字の夏目漱石『坊っちゃん』を、音読でお楽しみください。
  • ビッ友×戦士 キラメキパワーズ!ヒロインずかん
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 キラパワのキラッキラなひみつがいっぱい! 子どもたちに大人気の「ガールズ×戦士シリーズ」の第5弾 『ビッ友×戦士 キラメキパワーズ!』 「キラメキパワーズ」は、世界をマックラにしようとするマックラ帝国に立ち向かうガールズ戦士だよ! “キラパワサニー キラリ”、“キラパワムーン ユヅキ”、そして9月にキラパワとなる“キラパワファイン ホノカ”、“キラパワスノー コユキ”の4人についてくわしく紹介します! 戦士たちのキラッキラな写真をたくさん掲載! 決めポーズもイラストでわかりやすく紹介しています! 小さなお子さんでもくりかえし楽しめます。 ※この作品はカラーです。 (底本 2021年9月発行作品)
  • きみはだれかのどうでもいい人
    3.8
    人とわかりあうことは、こんなにも難しい。 税金を滞納する「お客様」に支払いを促すことを仕事とする県税事務所の納税担当に、同期が休職したことで急遽異動させられてきた若手職員の中沢環。彼女は空気の読めないアルバイト・須藤深雪を始めとする周囲の人間関係に気を遣いながら、かつての出世コースに戻るべく細心の注意を払って働いている――(第1章「キキララは二十歳まで」) 週に一度の娘との電話を心の支えに、毎日の業務や人間関係を適当に乗り切るベテランパートの田邊陽子。要領の悪い新米アルバイトや娘と同世代の若い正規職員たちのことも、一歩引いて冷めた目で見ていたはずだったが――(第3章「きみはだれかのどうでもいい人」)  業界中から絶賛の声、殺到!ブクログ第1位、啓文堂書店大賞第2位、「ダ・ヴィンチ」の「今月の絶対にはずさない!プラチナ本」にも輝いた超話題作がついに文庫化。 同じ職場に勤める、年齢も立場も異なる女性たち。見ている景色は同じようで、まったく違っている――。職場で傷ついたことのある人、人を傷つけてしまったことのある人、節操のない社会で働くすべての人へ。迫真の新感覚同僚小説! 解説は、単行本時から絶賛の言葉を寄せてくださっていた島本理生さんです。 (底本 2021年9月発行作品) ※この作品は単行本版『きみはだれかのどうでもいい人』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 下町ロケット
    無料あり
    4.6
    1~4巻0~1,012円 (税込)
    直木賞受賞作、待望の文庫版を電子化! 「お前には夢があるのか? オレにはある」 研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。 圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。創業以来のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に食指を伸ばしてきた。 特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていた――。 男たちの矜恃が激突する感動のエンターテインメント長編! 第145回直木賞受賞作。 池井戸潤、絶対の代表作。
  • 刑事仙道 見取り捜査 京都御朱印巡り殺人事件
    -
    捜査は記憶力が9割! 2千人を忘れぬ刑事。 仙道健太郎は指名手配犯の顔を記憶し、街中で見つけ出す、見取り捜査を専門としている警視庁に所属する敏腕刑事だ。 2千を超える顔に加え、癖まで覚えているため、同僚に比べて、圧倒的に高い検挙率を上げている。 今日は久しぶりに休暇を使い、京都まで一人旅にやって来た仙道だったが、松原通を清水寺から八坂神社へ向かう途中、一人の男に目が釘づけになった。 どうやら男は、15年前に東京都内で発生した殺人事件の犯人らしいのだ。 一瞬で観光気分が吹き飛んだ仙道。 だが、急に一人娘の春香から電話がかかってきてしまう。 なんと偶然、春香も京都に来ていて、連れの女子大生がストーカーの嫌がらせにあって、困っているという。 指名手配犯らしき男と、助けを求めてきた娘との板挟みになった仙道は……。 旅行に出れば事件にぶつかってしまう見取り捜査の敏腕刑事を、実力派の新人が描く、旅情警察小説!
  • 警視庁特殊潜工班 ファントム
    3.0
    「すでに死せる者」同士の果てしなき戦い! 新興宗教団体を張り込んでいた、警視庁公安捜査第十一係の宮守隼人は、リストに載っていない、怪しげな男を尾行しはじめた。 男は賃貸マンション六階の一室を訪れると、玄関先でいきなり住人を刺殺。 宮守は急ぎ現場に駆けつけるが、すでに男の姿は掻き消えていた。 が、手摺り越しに眼下の道路を確認した宮守の目に入ってきたのは、男の墜落死体。 なぜ、男は堕ちたのか? 住人が刺殺された直後、一瞬だけ感じた、鋭利な視線が関係しているのか――。 そして、警察署の死体安置所に収容された男の顔を間近で見た宮守は動揺する。 九年前に起こったある出来事が元で、脳裡に刻まれた男らしいのだ。 上司の目から逃れるように、独自に捜査を始める宮守だったが、不審な影が執拗にまとわりついてくる。 敵なのか味方なのか? 嫌な予感を覚える宮守に、やがて危機が訪れ……。 人が覗けない闇社会で戦う、ハードな警察小説! 書き下ろし長編。
  • 鋳物屋なんでもつくれます
    3.7
    女性鋳物師の奮闘を描く痛快モノづくり小説。  祖父・勇三が起こした下町の町工場「清澄鋳造」で働くルカ(清澄流花)は、営業担当ながら時には自ら流し入れなどの現場作業も行う“鋳物オタク”だ。丁寧なモノづくりを信条に長年培ってきた会社の強味が時代遅れとされ、単価の引き下げや納期の短縮を求められた末に、相次いで発注を打ち切られてしまい、大ピンチに! 瀕死の会社を立て直すため、ルカは大胆な改革を考える。  今までのやり方へのこだわりや、“経験とカン”を誇るベテラン職人たちの反発。困難に立ち向かう中で、亡き祖父だったら……と思い巡らすルカ。特攻隊の生き残りにして、会社を起こし、高度成長期の中で発展させていったその足跡を辿っていくと、これまで知らなかった勇三の人生が浮かび上がってくるのだった。さらに、時代を超えて輝きを放つ、二つの“東京オリンピック”。  変わっていかないと。そう、変わり続けないと。  ルカは、新しい工法や鋳物の概念を超えた新素材の商品や、物語のモノづくりなどに挑戦していく。東京の下町を舞台に、女性鋳物師の奮闘を描き、 鋳物の新しい可能性を見せてくれる痛快モノづくり小説。
  • ポリス×戦士ラブパトリーナ!ヒロインずかん
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    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 ラブパトリーナの4人のひみつがわかる! 子どもたちに大人気の「ガールズ×戦士シリーズ」の第4弾 『ひみつ×戦士ラブパトリーナ!』 「ラブパトリーナ」は、ワルピョコ団によってラブをうばわれて「ラブゼーロ」にされてしまった人たちを「ラブタイホ」して、みんなの愛を守るポリス戦士です。 “ラブパトピンク ツバサ”、“ラブパトパープル サライ”、“ラブパトブルー コハナ”、そして10月に新しくラブパトに仲間入りする“ラブパトシャイン ソラ”の4人についてくわしく紹介します! 元気でかわいい戦士たちのひみつを、たくさんの写真とひらがな&カタカナの文章で掲載していますので、小さなお子さんでもくりかえし楽しめます。 ※この作品はカラー版です。
  • 十津川警部捜査行 愛と哀しみのみちのく特急
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    十津川シリーズの秀作五作を収めた短編集。  十津川警部シリーズには、多くの長編とともに味わい深い短篇も多い。本作は、東北地方を舞台にした秀作5作を収録しています。  「ゆうづる5号殺人事件」は、東京駅に着いた東海道新幹線で忘れものが見つかった所から話が始まります。その所持人である男性が亡くなっていることがわかります。調べを進めると、その後、被害者の関係者である女性の死体が阿武隈川で発見されました。容疑者の存在が浮かんで来ますが、どちらも犯行時間にアリバイがありました。容疑者の企てをどう見破るのか!?  「急行べにばな殺人事件」は、十津川の部下である亀井が容疑者となってしまうという驚きの展開です。高校の同窓会に出席した亀井は、次の日に別れた同級生が急行べにばなで殺されたことを知ります。そして、犯人ではないかと疑われ、留置されてしまいます。ここにも、容疑者にはアリバイがあるのですが……。  既に廃止されてしまった「ゆうづる」「べにばな」「あいづ」が登場。鉄道ファンには懐かしく感じることと思います。  十津川警部の活躍を、お楽しみ下さい。
  • ひみつ×戦士 ファントミラージュ!ヒロインずかん
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 ※この作品は固定レイアウト版です。紙の本のレイアウトを忠実に再現しています。 ファントミラージュ!初めての本。 子どもたちを夢中にしている「ガールズ×戦士シリーズ」の第3弾 『ひみつ×戦士ファントミラージュ!』がいよいよ4月7日から放送スタート! 「ファントミラージュ」は、逆逆警察によって「イケナイヤー」にされてしまった人から、「イケない心」をちょーだいして、平和をとりもどす正義の怪盗です。 元気でかわいい戦士たちのひみつを、多くの写真とふりがな付きの文章で 紹介していますので、小さなお子さんでも楽しめます。(2019年4月発表作品) ☆番組公式サイト phantomirage.jp ※この作品はカラー版です。
  • 華日記 昭和生け花戦国史(小学館文庫)
    4.5
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 「夢千代日記」「花へんろ」などの著作が描いた花の世界の華麗なる舞台と人間ドラマ。昭和の華道史を通して、戦後日本の虚像と実像、社会と文化を浮き彫りにした筆者入魂の新田次郎賞受賞作!! ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • 片翼だけの天使(小学館文庫)
    4.0
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 四十代半ばの独身作家は、気晴らしのつもりで出かけたソープランドで、天使のような韓国人女性と知り合う。舌足らずで一途な彼女と作家の、国境や立場を超えた何ものにもとらわれない純粋な愛を描く恋愛小説の傑作。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • 短歌という爆弾 -今すぐ歌人になりたいあなたのために-
    4.3
    人気歌人が放つ、衝撃の短歌入門書! 人気歌人、穂村弘による衝撃の短歌入門書が待望の文庫版を電子化。冷たく不気味な世界のすみっこで「短歌という爆弾」を炸裂させて、世界の心臓を爆破しよう。短歌の「製造法」(レッスン)、「設置法」(作った短歌をどう広めるか)、「構造図」(現代短歌の魅力の解剖)を、都市を疾走する歌人、穂村弘が熱く語る。文庫化にあたって、21世紀の短歌についての著者ロングインタビューを収録した。
  • 道をたずねる
    4.0
    地図の空白地帯を埋めろ! 人はみな「自分の道」をゆく英雄である。 友情、青春、仕事、人生。 俺たちは、ただ前だけを見て歩いてきた――。 地図会社キョーリンの調査員・合志俊介。彼の仕事は日本各地を歩き、家の表札を一軒ずつ書き留めること。 俊介には一平と湯太郎という幼馴染みがいた。三人は十五歳になる年、裏山のクスノキで誓いを立てた。 一つ、友のピンチは助けること。二つ、友の頼みは断らないこと。三つ、友に隠し事はしないこと。 その日から、男たちはそれぞれの“道”を歩き始めた。 地図づくりに生涯を捧げた男たちの熱き物語! ※この作品は単行本版『道をたずねる』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 仮面幻双曲
    3.7
    この町の誰が“顔を変えた殺人者”なのか? 時は、戦後間もない昭和22年。東京で亡き父の事務所を継いだ私立探偵の川宮兄妹は、依頼を受けて滋賀県の双竜町に赴く。 依頼主は、地元随一の製糸会社を営む占部家の先代社長夫人。専務の武彦が双子の兄である現社長の文彦に恨みを抱き、殺害を目論んでいるのだという。武彦は女子工員の小夜子に恋をしていたが、彼女は町中に中傷の手紙がばらまかれたことを苦に自殺。兄の仕業だと思い込んだ武彦は姿をくらまし、整形手術を受けて顔を変え、別人になりすまして双竜町に戻っている。 「なぜ顔を変えたかわかるか? お前の近くにいる」 川宮兄妹の使命は、武彦を探し出し、文彦の命を守ること。 しかし、琵琶湖のほとりに建つ巨大な洋館に招かれ、寝ずの番にあたった矢先、文彦は惨殺されてしまう―― 果たして誰が“武彦”なのか。 本格ミステリの名手による傑作が、待望の文庫化! ※この作品は 『書き下ろしミステリー第2弾! 双竜町事件-仮面幻双曲』として配信されていた作品の文庫版です。
  • 一等星の恋
    4.0
    星、天体をテーマに切ない恋愛世界を綴る。 ★一等星の恋・・・天体観測が趣味の玲史が心を震わせる憧れの彼女。いつも会うのは暗闇の中。顔はわからない。玲史は、二人で交わしたある約束を心待ちにするが……。切なさの中に、ひとさじ恋愛ミステリー要素を加えて。 ★星球・・・演劇の脚本家の卵、女子大生の朋子が主人公。劇団演出家の大人の彼に密かに思いを寄せるが、恋敵は多いようで……。ピュアな片想いを、笑いをスパイスに描く。 ★The Last Light・・・定年退職後、妻を亡くした老人男性、小泉。新しい妻を見つけようと流行のお見合いパーティーに出かけるのだが。人生最期の、柔らかな恋の予感。 ★七夕の旅・・・戦争が引き裂いた家族の絆。その後、75年経ち、孫世代の私たちが見つけた、ある兄弟の真実の愛とは。胸が熱くなる家族愛、絆。 ★星を拾う・・・毎日仕事に追われあくせく生きる麻衣子が出会った、星の時間を生きる、不思議な男性。彼が残したものは……。文庫書き下ろし作品です。このほか、笑いあり涙ありの2編も加わった、計7つの物語。 心がキュンとしたり、癒やされたり、ときめいたり、笑ったり。色々な感情を呼び起こしてくれる一冊です。
  • 月のスープのつくりかた
    3.8
    母のレシピは、幸福の“おまじない”。  姑とのトラブルから婚家を飛び出した高坂美月は、自活するため、学生時代の先輩・北條を頼って学習塾で働き始めた。ある日、家庭教師として派遣された先で出会ったのは、中学受験生の倉橋理穂と弟の悠太。絵本作家だという母親は、海外留学中で不在にしているらしい。母親のレシピイラストが飾られた家は、一見、幸福そのものだ。だが、理穂は美月に壁を作り、心を開いてくれない。  美月は北條の力を借りながら、理穂に少しずつ歩み寄っていく。ようやくその距離が縮まったとき、理穂と悠太から、一緒に夕食を食べようと誘いを受けた。だが、その言葉に美月は臆してしまう。料理研究家の姑は、美月に“きちんとした”料理を強いた。そのあまりの強硬さに、美月の心は怯え、萎縮し、閉じこもってしまった。そして、包丁を持つことができなくなってしまったのだ――。  母親不在の食卓を囲むことになった美月、理穂と悠太。それぞれ、どうしても言えない“秘密”を抱えた三人は、絵本に描かれた幸せになるための“おまじない”を探してゆく。 「第1回日本おいしい小説大賞」隠し玉。良い嫁とは、良い母とはなんだろう……。号泣必至、悩み多き女性たちに送る救済の物語。
  • 都立水商1年A組
    4.3
    ドラマ化決定の傑作、待望の続編!  中学時代いじめられ、カンニングの濡れ衣まで着せられてからというもの、すっかり学習意欲がなくなってしまった冨原淳史には、「都立水商」くらいしか進学できる高校はなかった。嫌々進学したにもかかわらず、クラブの黒服となるべく勉強するマネージャー科の学級委員長に指名されてしまう。すぐに仲良くなった同じクラスの峰明は、ディスクレシアという病気のため、文字が読めない。外見は美少女の花野真太郎は、ゲイバー科に通う柔道の達人だ。かつて甲子園で優勝したメンバーの二世たちもいる。ひとくせもふたくせもある新入生は、問題を抱えてはいるが、基本的にはいい奴ばかりだ。  慣れない水商売の勉強も、卒業後すぐに戦力となるべく、その道のプロから指導されるので、とても実践的で面白い。やがて、生徒会に参加するようになった淳史たちは、文化祭を手伝うことになった。果たして、このポンコツメンバーは、一年間で最大のイベントを乗り切ることができるのか!?  笑いあり感動有りの傑作青春小説、待望の続編!
  • 真犯人
    3.7
    41年目の誘拐再捜査! 連続ドラマ化!  東名高速道路の裾野バス停付近で、高齢男性の遺体が発見された。事件を捜査する静岡県警裾野警察署の日下悟警部補は、被害者・須藤勲の長男・尾畑守が、昭和49年に誘拐死体遺棄事件に巻き込まれていたことを知る。誘拐事件は、時効直前の昭和63年に再捜査が行われていた。日下は、再捜査の陣頭指揮を取った当時の管理官・重藤成一郎元警視に捜査への協力を願い出る。 平成と昭和、時代を越えた刑事たちの熱い思いは「真犯人」に届くのか。二度敗北を喫した静岡県警の意地と矜持を賭けた三度目の捜査が始まる!
  • ひなた弁当
    4.1
    逆境に陥った中年サラリーマンの復活物語。  王崎ホームの芦溝良郎は、50歳を前に会社からリストラされた。再就職先を人材派遣会社から紹介されたが、どこも長く働くことが出来ない。予備校生の娘の手前もあって、いままで通りに家を出る毎日だった。ある日、公園のベンチに座った良郎は、ドングリ拾いをしている子どもを見て、自分も拾って調理してみる。「食えるのなら、食ってみようかな」。調理して食べられることがわかった良郎は、続いて野草の採取と魚釣りへと行動の範囲が広がった。食材を無料で入手して家で調理しながら、良郎が向かったのは、サラリーマン時代に食べていた 弁当屋のいわくらだった……。  同じリストラ仲間の姿に元気づけられ、一度は途方に暮れた中年サラリーマンが、自らの夢を叶えて仕事を始め、おおいなる復活を遂げる。  逆境に陥った主人公を次第に応援したくなる、心温まる感動小説!
  • 限界集落株式会社
    3.8
    1~3巻781円 (税込)
    地方書店発ベストセラー、遂に電子化! 「限界集落」、「市町村合併」、「食糧危機」、「ワーキングプア」、「格差社会」などなど日本に山積する様々な問題を一掃する、前代未聞! 逆転満塁ホームランの地域活性エンタテインメント!! 起業のためにIT企業を辞めた多岐川優が、人生の休息で訪れた故郷は、限界集落と言われる過疎・高齢化のため社会的な共同生活の維持が困難な土地だった。優は、村の人たちと交流するうちに、集落の農業経営を担うことになる。現代の農業や地方集落が抱える様々な課題、抵抗勢力と格闘し、限界集落を再生しようとするのだが……。 ルールは変わった! 老人、フリーター、ホステスに犯罪者? かつての負け組たちが立ち上がる!!ベストセラー『万寿子さんの庭』の黒野伸一が、真正面からエンタテインメントに挑んだ最高傑作! 地方書店発のベストセラー待望の文庫版を電子化!!新しい公共がここにある!
  • 太平洋の薔薇 上
    4.0
    カリブの海賊も慄くスペクタクル冒険小説!  柚木静一郎は、四十年近い船員生活の掉尾を飾る航海に出ていた。船長として乗り込んだのは、船齢二十四年の不定期貨物船パシフィック・ローズ。パシフィックローズは生ゴム一万二千トンを積んでスマトラ島中部のドゥマイ港を離岸した。目的地は横浜。そこが柚木の船乗りとして最後の寄港地となる。パシフィックローズは、娘の夏美を初めて乗せた船でもあった。  パシフィックローズはマラッカ・シンガポール海峡を航海中、ビンタン島沖合で船火事に遭遇する。要請を受けて救難に向かった柚木たちを待っていたのは、手痛い裏切りだった。パシフィックローズは、アララトと名乗る男が率いる集団にハイジャックされてしまう。船を乗っ取ったアララトは、北へ向かうよう指示する。彼らの目的は、積荷は身代金ではなかった。パシフィックローズは、世界規模のテロに巻き込まれようとしていた。  太平洋、ロシア、アメリカ、アルメニア……世界中を舞台に究極の生物兵器をめぐる攻防戦が始まる!
  • 夏の果て
    3.0
    NHKBSドラマ化原作遂に文庫化(電子化)! 広告界のトップクリエイターが、父と子の30年に渡る相克を描いたあまりにも鮮烈な自伝的小説。 NHKBSプレミアムで2015年にオンエアされ、大きな話題となったドラマ『私は父が嫌いです』原作小説の文庫版が遂に電子化! 広告業界に身を置く僕は、東京オリンピックに沸く池袋に育った。事業に成功していたはずの父親は、19歳のとき5億円の負債を残し失踪してしまう。苦学しながら大学を卒業し、バブルまっただ中の大手広告代理店に入社し、百鬼夜行の業界を生き抜いていく僕。仕事は成功し賞も多数獲得する。しかしその裏に暗くまとわりつくのが父親の影だった……。失踪から30年後、父親と同い年になった僕は父親の行方を捜すことにした……。 父親の影にに翻弄される主人公の人生を縦軸に、生々しCM制作現場での戦いを横軸に描いた本格長編小説。
  • セカンドウィンド 3
    4.4
    1~3巻781~803円 (税込)
    大人気シリーズの高校生篇、ここに完結!  三年生部員が引退し、主人公・溝口洋は、キャプテンとして南雲学院高校自転車部を率いる立場になった。  自転車部を取り巻く環境も変わった。予算が削減される中、スパルタンな新任コーチが就任。その指導への不満やインターハイ連覇を義務づけられたプレッシャーで、チーム内の不協和音が高まっていく。それは必然的にキャプテンである洋に大きな波濤となって押し寄せるのだった。  高校最後の夏、親友でライバルでもある岳との切磋琢磨で、洋はどう成長するのか。連覇は達成できるのか。そして多恵や茜への想いは・・・? 大人の世界への旅立ちを前に、もがく少年たち。かつてない大激走の闘いを経て、やがて洋や岳たちは卒業を迎え、それぞれの夢を実現するため、進路を選択する。  躍動するキャラクター群。激烈なレース描写。怒涛のスピード感。誰もが かつて経験した友情や恋心・・。自転車という乗り物への愛と、若者たちの すべてが正面から描きつくされた本格ロードレース小説の決定版。  早くも青春スポーツ小説の金字塔の呼び声高い名作シリーズ第3巻の文庫版を電子化。

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  • セカンドウィンド 1
    3.8
    1~3巻781~803円 (税込)
    傑作青春スポーツ小説が改訂新装版で登場! スポーツ青春小説の第一人者・川西蘭が満を持して放った長編自転車小説の傑作が、改訂新装版で登場! 競売で手に入れた元郵便配達用の自転車をこよなく愛する鳴滝村の中学生・溝口洋。春休みの一日、雲見峠でロードバイクの集団に出会い、その速さに圧倒された瞬間から、洋の青春のギヤは回り始めた。 初めての自転車レースに出場し、名門・南雲デンキ自転車部ジュニアクラブの練習に通い始めた洋。そこで自転車に青春をかける仲間たちとの出会い、反目、初めての熾烈な競争、そして別れを経験する。 夏休み、気ままな自転車乗りに戻った洋は、清姫峠で天才的なヒルクライマー・田村岳と出会った。岳の父の経営する自転車店でバイトしつつ、いつしか友情と自転車への思いを深めていく。そして夏の終わり、洋は岳とともに伝説の激坂「メデューサの一瞥」「天狗の蹴落とし」に挑戦する。 自転車のように、時に加速し減速し、壁にぶつかり、でも着実に前進していく少年たち。峠の先に待つ未来を夢見る少年たちの輝くような一瞬一瞬を描いたこの作品は、スポーツ小説の枠を遠く超えて、読む者の心をとらえて離さない。溝口洋の青春の第一章、今スタート!

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  • 母恋旅烏(小学館文庫)
    3.5
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 花菱清太郎が家族全員を巻き込んで始めたのは、レンタル家族派遣業。元大衆演劇役者という経歴と経験を武器に意気揚々と張り切ったものの、浮草稼業に楽はなし。失敗につく失敗に、借金がかさみ火の車。やがて住む家すらも失い、かつての義理で旅まわりの大衆演劇の一座に加わることとなったが。はてさて、一家6人の運命やいかに!?
  • 砂の交渉 日米合弁
    -
    二転三転する日米合弁事業の攻防の行方は!  ファミリーレストラン業のサマリン社員山崎和也は、砂漠のまん中にあるアルバカーキ-に到着した。アメリカ大手のレストランチェーン、ジョーンズとの合弁事業を進めるために、現地法人の社長井上恵子と交渉に臨んだ。社長の吉村の意を受けた和也に、この件は吉村と対立する副社長の境が進めていることがわかってきた。  副社長グリンスタインは、最初の交渉でジョーンズの日本でのフランチャイズ権の買い取りやジョーンズ買収などをほのめかせ、和也を慌てさせた。  その後の合弁交渉は、総論ではまとまるものの進展しない。  そして、サマリンの同僚が寝返ったのではという疑惑が起こり、次いで吉村が権利を持つ米国現地法人が、名前を他人の物にすり替えられていた。  本当のところは何が起こっているのか?  さらに、和也にはアメリカにいる別れた妻と娘に会うためにも、この合弁交渉を成功させたかった。  しかし、事態はさらに大きく動き……。  いよいよ、ジョーンズ会長との直接交渉が行われることになった。  会社は誰のものか?男が守るべきものとは?  今年度の日経小説大賞の受賞者による、国際色豊かな経済小説。
  • 骨ん中
    3.0
    「ちょんまげぷりん」作者デビュー作を電子化! バブル崩壊後の94年、日本海に面する東北の地方都市・岩館で大きな影響力を誇る川戸建設会長・川戸英太郎は、ゴルフ場開発に伴う暴力団系企業への多額の不正な債務保証での特別背任容疑の渦中にいた。さらに、逮捕直前には、息子で社長の英介が自殺するという最悪の事態を迎えたが、英太郎は表情を変えることなく、嫌疑をすべて認め、裁判は淡々と進んでいった。 有罪判決が下り、すべてを失ってなお、心に平明を宿しているようにみえた英太郎は、やがて静かに朽ちていった。しかし――。すべてが結末を迎えたに見えた8年後の02年冬、この事件を静かに追い続けていた東日新聞社社会部記者・宮浦弘樹は、英太郎の死亡記事を地方紙の片隅に偶然見つけたことから、物語は大きな転調を迎え、重厚な三代にわたる一族の“血の物語”を呼びさます。

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  • P+D BOOKS 塵の中
    NEW
    -
    1巻770円 (税込)
    筆力の高さを絶賛された直木賞受賞作。  第50回直木賞を受賞した単行本『塵の中』は、「道祖神幕」「暗い血」「強い女」、そして「塵の中」という4篇からなる。  選考委員のあいだでとくに評価が高かったのは、安藤広重の浮世絵を巡って張り合う男女の機微を描いた「道祖神幕」で、4作品中唯一の書き下ろし。また、外国人とのあいだにできた子を育てる蝶子が、数々の不運に見舞われつつたくましく生きていく「強い女」は、「老猿」として雑誌に掲載され、直木賞候補にあげられている。  表題作の「塵の中」は、吉原の遊女だった咲子が、普通の幸せを求めて、妻に先立たれた男と所帯を持つものの、夫婦関係や夫の連れ子との関係が思うに任せないもどかしさを描いた中篇。その前半が「露草」として雑誌に掲載され直木賞候補に、後半は「塵の中」として芥川賞候補になっている。  女の情念を描きながら、その実、著者の半生を映した私小説でもある珠玉の一冊。
  • 銀座「四宝堂」文房具店
    4.0
    1~3巻770~803円 (税込)
    いつまでも涙が止まらない――。 銀座のとある路地の先、円筒形のポストのすぐそばに佇む文房具店・四宝堂。創業は天保五年、地下には古い活版印刷機まであるという知る人ぞ知る名店だ。 店を一人で切り盛りするのは、どこかミステリアスな青年・宝田硯。硯のもとには今日も様々な悩みを抱えたお客が訪れる――。 両親に代わり育ててくれた祖母へ感謝の気持ちを伝えられずにいる青年に、どうしても今日のうちに退職願を書かなければならないという女性など。 困りごとを抱えた人々の心が、思い出の文房具と店主の言葉でじんわり解きほぐされていく。 いつまでも涙が止まらない、心あたたまる物語。
  • P+D BOOKS 夢のつづき
    -
    1巻770円 (税込)
    中高年が主人公のショートストーリー集。 ――私の見てきた商売の裏側を、洗い浚い書いちゃおうと思うの。今お偉いさんになっている連中が、実名で、ばんばん出てくるのよ。みんな、青くなるな、きっと……――  夜の店のママが、客の行状を洗いざらいぶちまける回顧録を書いていると聞いて、やましいところのある元常連たちが“対策協議会”を開く「近火御見舞」をはじめ、妻の浮気が原因で別れたのに、浮気相手に捨てられると元夫に秋波を送る女性に振り回される「あとの祭」、社員からも恐れられ、“財界の狼”と異名をとる男が、ひょんなことから海辺の町の女性と出会い、心癒される「狼男」など、中高年男性を主人公にした17のショートストーリー。  P+D BOOKS『曲がり角』に続く、味わい深い短篇集。
  • P+D BOOKS 緑色のバス
    3.0
    1巻770円 (税込)
    小説と随筆をシームレスにつなぐ小沼の世界。 「グリイン・コオチと云ふ緑色の長距離バスがあつて、それを利用して娘と小旅行した。このバスは倫敦を出ると田園風景のなかを走る。巨きな樹立の続く竝木路とか、緩かな起伏を持つ牧場、森蔭に覗く町の教会の尖塔……そんなものを見てゐるだけで愉しかつた。」  早稲田大学の在外研究員として半年間ロンドンに滞在した経験から書かれた表題作のほか、江戸時代にロシアに漂着したある日本人が、現地で日本語教師として活動し、ついには世界初の露日辞典まで編纂したという史実に基づいた「ペテルブルグの漂民」、師と仰ぐ井伏鱒二ら文学仲間との東北旅行を描いた「片栗の花」など、小説と随筆を取り混ぜて11篇収録。  旧仮名遣いながら、ユーモアを交えた流れるような文章で、読者を小沼ワールドに誘い込む。
  • P+D BOOKS マカオ幻想
    4.0
    1巻770円 (税込)
    亡くなった年に発表された遺作短篇集。 「もしも日本に帰れずに、かの地で死ぬようなことがあったら、私は必ず前歯にジェズスの教えのみしるしを刻みこんで置きます。」  本家の敷地内から発見された壺の中から、365年前にマカオに流された先祖の“遺言”が発見された。遺骨の行方を捜しにマカオを訪れた千葉裕平は、亡くなった娘・由紀子に生き写しの女性、葉銘蓮と出会う。果たして、“みしるし”を刻んだ遺骨は見つかるのか、そして葉銘蓮の正体は――。  マカオへの幻のような旅を綴った表題作に、八甲田山雪中行軍の外伝「生き残りの勇士」、イギリス公使オールコックが外国人として初めて富士山頂に立った顛末を描く「富士、異邦人登頂」など8篇を収録した短篇集。亡くなった年に出版された遺作のひとつ。
  • P+D BOOKS こういう女・施療室にて
    -
    プロレタリア作家・平林たい子の代表作。  高校時代から社会主義運動に興味を持っていた著者は、運動の仲間と中国東北部などを転々とする。その途上で女児を産むが、母子ともに栄養失調だったため、子どもは間もなく死亡――。金持ちが優遇され、そうでない者は薬すらもらえないという現実を記した出世作「施療室にて」に、重い腹膜炎で入院中の左翼活動家が、思想犯として逃亡していた夫の無事を祈りつつ、それよりも切実に自らの生還を願う第1回女流文学者賞受賞作品「こういう女」をカップリング。  さらに「一人ゆく」「私は生きる」「鬼子母神」「人生実験」など、戦争直後に書かれた佳作7篇を併録。
  • P+D BOOKS ブルジョア 結核患者
    -
    デビュー作「ブルジョア」を含む初期作品集。  父が天理教に入信し、叔父夫婦に育てられた芹沢光治良。帝国大学卒業後、農商務省に入省したが、経済の研究を志してパリに留学するもそこで結核に感染し、フランス、スイスで療養生活を経験する。そんな体験から書かれたデビュー作品集である。  雑誌「改造」の懸賞創作で1等に入選した「ブルジョア」は、結核患者が集まる町を舞台に、病に侵された夫と妻、多国籍の入院患者らの懊悩を描いた作品。 「結核患者」「昼寝している夫」「椅子を探す」は、杉夫妻を主人公に、結核に倒れた夫が心身ともに復活していく様子を描写し、「橋の手前」「風迹」は、共産主義に対する市井の人々のとらえ方を描出している。
  • P+D BOOKS 海の牙
    4.0
    1巻770円 (税込)
    人間の欲を浮き彫りにする社会派ミステリー。 「工場はおそろしい水銀の水を流している。魚は獲ってはいけない。獲った魚を喰えば死の病いにとりつかれる。  そうだ、この海……この暗い海の底から、目に見えない何ものかが牙をむいて迫っている」  不知火海沿岸で発生した奇病“猫踊り”。魚や貝を食べると、猫はもちろん、人間までも前後不覚になり死んでしまう恐ろしい病気だ。その実態を調べるために東京の保健所から来た男が行方不明になる。警察医・木田民平は勢良警部補とともに、工場や投宿した旅館などを探るが、男はやがて鴉についばまれた死体で発見される。  男はなぜ殺されなければならなかったのか。そこには、さまざまな“欲”が、複雑に絡み合っていた――。  日本中を震撼させた水俣病を題材にし、直木賞候補にもなった衝撃作。
  • P+D BOOKS 激流(上)
    -
    1~2巻770~880円 (税込)
    時代の激流にあえて身を投じた兄弟を描く。  日本橋の繊維問屋の家に生まれた永森進一と正二の兄弟。関東大震災、昭和恐慌、満州国建国などを背景に、激動する社会状況を、対照的な兄弟の姿を通じて描く。  成績優秀な進一は、学生時代から社会主義に傾倒し、卒業後は組合活動に没頭。しかし、左翼活動家の取り締まりを強めていた特高警察に捕まってしまい、連日激しい拷問を受ける。やがて起訴保留となり釈放されるが、進一はそのときすでに肺を患っていた。  一方、兄とは違って明るく社交的な正二は、学校を出ると家族らに盛大に見送られて入営。ところが、この連隊では体罰こそなかったものの、「昭和維新」(天皇親政の国家を目指す運動)を標榜する右派の巣窟となっており、正二はやがて日本中を揺るがす大事件に否応なく巻き込まれていく――。  あたかも激流のように社会が激しく変動するなか、ふたりはどこに行きつくのか……。治安維持法違反の疑いで検挙された経験を持つ著者の体験から描かれた魂の長編の前編。
  • P+D BOOKS 神坂四郎の犯罪
    -
    1巻770円 (税込)
    関係者のエゴイズムが交錯する傑作心理劇。 ――今日私が申し述べました真相は、あるいは大部分が嘘であるかも知れません。嘘であるという証明も本当であるという証明も出来ないのであります。……有るものはただ外部的資料に過ぎない。私の行為、私の言葉に過ぎない。私の心にある真実は推察されるだけであります。――  自殺幇助の疑いで裁判にかけられている雑誌編集長・神坂四郎。神坂が横領の事実を糊塗するために、梅原千代が持つダイヤを我が物にしようとし、心中を装ったとされているが、証言台に立った被告の妻、同僚女性、被告の飲み仲間らは微妙に食い違う証言をする。  被告のさまざまな顔が明らかになると同時に、証人のエゴイズムも露わになっていく表題作のほか、戦争で人生が変わってしまった二人の女性を描く「風雪」、常識や時代にとらわれず勝手気ままに過ごしているように見えた友人の本当の想いを綴る「自由詩人」という傑作短篇2篇を収録。
  • P+D BOOKS イサムよりよろしく
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    ストリップ小屋を舞台にした人情噺集。  浅草六区の映画街で、ストリップ小屋の隣にバラックを建てて住み着いていた廃品回収業のイサム。関東大震災時に頭を打った影響で、言動は少しおかしいが、生真面目な性格から楽屋番のおばさんをはじめ周囲の人からかわいがられていた。  毎年春になると、踊子の一人を好きになり、線のつながっていない電話機で電話をかける。やがて妄想の相手と恋人同士になり、熱い日々が続くが、踊子に本当の恋人ができると……。  イサムのユーモラスだが悲しい恋を描いた表題作のほか、厳しい刑事とストリッパーのほのかな恋を綴る「入歯の谷に灯ともす頃」、重要文化財の天狗の面を、あらぬことに使ってしまう「天狗の鼻」など、いずれ劣らぬ名調子6篇を収録。
  • P+D BOOKS 筏
    -
    1巻770円 (税込)
    蝦夷に商圏を広げようとする近江商人の物語。 「東の地の適する産物を、西に運び、西の地に適する産物を、東に運びますれば、それぞれの地に最も適する産業が発達致します理でございまして……ところが、この蝦夷の地と申しますは……この広大な土地が殆ど白紙のままに残されているのでございます。」  近江商人の家に生まれた藤村与右衛門、孝兵衛の兄弟が、江戸末期、経済が混乱するなかで未来を切り拓いていく物語。  地図に魅せられ、旅をするのが大好きな与右衛門を差し置いて、浪人の新之助らとともに蝦夷に向かった孝兵衛。アイヌの人々から歓待を受けたり、巨大なアメリカの黒船と遭遇したりしながら、商売のタネを見出そうとするが――。  芥川賞候補作『草筏』に次ぐ、「商店もの」三部作の第2弾。
  • P+D BOOKS 小説 新子
    -
    1巻770円 (税込)
    “情念の川柳作家”時実新子の半生記。 ――どこにも落ち度のない妻と海野は別れなければならない。おなじように新子は夫と別れなければならないところへ追いつめられていた。  しかし、それが愛のすがたというものかもしれない。真実は悪の面を被って、とことん美しくあろうとするものだから。――  医師を目指していた少女が17歳でやむなく結婚。夫の暴力と愛のない生活に疲れ果てていた新子を救ったのは川柳だった。創作活動を通じていくつかの出会いと別れを経験し、やがて妻子ある編集者・海野に巡り逢う。はたして海野は新子にとって運命の人なのか……。  与謝野晶子と並び称される“情念の川柳作家”時実新子が自らを晒した、赤裸々な半生記。
  • P+D BOOKS 明日という日
    -
    1巻770円 (税込)
    昭和の会社員の哀歓悲喜を描く短篇集。  女癖が原因で失踪してしまった元同僚と旅先でばったり出会い、相変わらずの暮らしをしていることを知らされる「病気」。空襲で亡くなった同級生の墓参りと、その寺にまつわる悲しい話を綴る「涅槃西風」。借金で首が回らなくなっている男と、そうとは知らない二人の平凡なサラリーマンの“最後のゴルフ”の様子を描く「トラブル」など、17の作品からなる短篇集。  昭和のサラリーマンが抱える孤独、不安、悲しみ、ささやかな喜びなどが、短い文章のなかに凝縮されており、懐旧の情が掻き立てられる佳作。
  • すべてあなたのためだから
    3.7
    中学受験があぶりだす、母のエゴと娘の闇。 良子は夫と小学4年生の娘・菜摘と暮らす、ごく平凡な主婦。何事にも消極的な我が子の性格に少々不満はあるものの穏やかな日々を送っていた。 優秀な娘を持つセレブなママ友・麗香は娘が赤ちゃんの頃から仲良しで、憧れの存在でもある。彼女の勧めで菜摘は中学受験に挑戦することに。麗香の娘・涼香と同じ塾に通えることに喜び勉強に励むと、菜摘は意外な才能を開花させ、39しかなかった偏差値をみるみる上げていったのだ。 我が子の可能性に舞い上がった良子は麗香に菜摘の成績をさりげなく自慢する。すると麗香の態度は一変、良子を無視し、ママ友とのランチ会で良子を貶める発言をするほどまでに。 私と仲良くしていたのは、愚かな母娘を見て優越感に浸りたかっただけ……。これまでの憧れと信頼の深さゆえに、そう悟った良子の反動は大きかった。麗香を見返す。成績を伸ばし涼香に勝つことこそ、菜摘の将来のため。決意した良子は娘に勉強を強い、その教育熱は次第にエスカレートしていく。やがてそれは思いもよらぬ悲劇を招くのだった。 「どこかの家庭で今まさに起きているのでは」と思わせる、リアルな恐怖が読者の心に爪痕を残す衝撃作!
  • P+D BOOKS 青春放浪
    -
    1巻770円 (税込)
    若き日の逍遙と懊悩を小気味いい文章で綴る。 ――私達は金輪際あきらめなかった。事は夜間学部学生の面目に関する問題だ。かりに、帝国大学を卒業しなくったって、帝国大学の池の鯉はどうしても釣り上げてみたいものである。――  東京大学の仲間たちと、勝手気ままな共同生活をしていた〈私〉。卒業しても定職に就くのはイヤで、ツテをたどりつつ満州暮らしを続けていた。なんとか生活を安定させようと、彼の地の女性との婚姻を画策するが、うまく事は運ばず……。  著者が世に出るまでの物理的、精神的な放浪を綴った本編と、「書いて、喰って、支払をするより外にはない」と腹をくくった経緯を記す「放浪無慙」(「あとがき」に代えて)を収録。
  • P+D BOOKS 武蔵野インディアン
    -
    1巻770円 (税込)
    武蔵野を題材にさまざまな明と暗を描く。 「おい、日清戦争の前の年まで、今の東京都下は神奈川県だったのを知っているか。……都下という言い方、いかにも東京白人の発想だ。植民地扱いじゃないか」 関東大震災後に郊外に移ってきたサラリーマンの子・太田久雄は、武蔵野にルーツを持つ中学時代の友人たちからそう指摘される。彼らは自らを「武蔵野インディアン」と称し、地に足がついておらず「紙とインクの世界しか知らない」都会の“白人”とは一線を画する存在だというのだ――。  武蔵野を題材に、都会と地方、戦前と戦後、保守と革新といった、さまざまなコントラストを見事に描出した珠玉作。
  • バタフライ・エフェクト T県警警務部事件課
    3.7
    警官が署内で首吊り!不祥事の裏にある闇。 T県警大貫警察署内のトイレで、地域課の巡査、静谷永人が首を吊っているのが発見された。拝命して三年の若手警官の自殺に、衝撃が走る。事態の調査にあたるのは県警本部に新設されたばかりの警務部事件課のメンバーだ。キャリア部長が実績を残そうと作ったお飾り部署に寄せ集められた六人。その責任者となった明堂薫警部補は奉職三十四年のベテランで、個性豊かな捜査員たちの取りまとめに苦労をしつつ、調べを進めていく。 その頃、九久見警察署管轄内で起きた連続窃盗事件で、犯人の女二人組が逮捕された。だが、そのうちの一件について、犯行時刻に別の場所で二人が目撃されていたという情報が入る。誤認逮捕となれば、県警を巻き込む大問題となる。薫たちは、九久見署敏腕刑事課長として名をはせる藤堂一雄と対峙することになるのだが。 若手警官を自死に追いやったものはなんだったのか。さらに、所轄に渦巻く闇は底知れずはびこっており……。『女副署長』などで警察小説界の新星として注目される松嶋智左の書き下ろし最新作。女性警察官たちの家庭の悩み、人生への懊悩もリアルな筆致で描き出す、警察群像小説の新境地! (底本 2022年11月発売作品)
  • P+D BOOKS 耳学問・尋三の春
    -
    1巻770円 (税込)
    悲惨な状況を笑いに変える木山捷平の真骨頂。  満州で現地招集されたものの、数日で終戦となり、日本に帰国する術がないまま現地で過ごしていた〈私〉。ある日、シベリア送りにする日本人を徴発していた巡査につかまってしまい、目を盗んでなんとか逃げだしたものの、その先ではロシヤ兵が待ち構えていた。付け焼き刃で覚えていたロシヤ語を駆使して事態を打開しようとするが――。  危機的かつ悲惨な状況をユーモラスな筆致で描いた直木賞候補作「耳学問」のほか、太宰治らとの交流を綴った「玉川上水」、小説デビュー作にして芥川賞候補となった「抑制の日」など13篇を収録した、“短篇の名手”木山捷平の面目躍如の一冊。
  • P+D BOOKS 火まつり
    -
    1巻770円 (税込)
    世間を震撼させた猟奇事件に中上健次が迫る。  海と山に囲まれた熊野の寒村。そこでひときわ広い土地を所有する池田家の長男・達男は、小さいころから悪行が絶えず、猿の肉を食べたり、神事に使う魚を獲るなどやりたい放題。それでも面と向かって文句を言う者は誰もいなかった。  そんななか、何者かがハマチの養殖場に重油を流して地元に大損害を与える事件が発生。次いでぼや騒ぎまで起きた。だれもが達男の仕業だと考えたが――。  実際に起きた「熊野一族7人殺害事件」をもとに、中上健次が映画シナリオを書き下ろした話題作と、のちに雑誌連載されたノベライズ版を収録。
  • P+D BOOKS 幼年時代・性に眼覚める頃
    3.0
    1巻770円 (税込)
    室生犀星“初の小説”を含む自伝的作品集。  婚外子として生まれ、生後間もなく養子に出された〈私〉。いつもやさしい義姉を除いて、周囲に理解してくれる人はおらず、小学校では喧嘩を繰り返して先生からも目をつけられていた。  そんななか、実の父親が亡くなり、母が行方不明になってしまう。ますます自棄になって乱暴を繰り返していた〈私〉は、川のなかでその後の人生を変えるあるものを見つける。それは、苔むした地蔵だった――。 自伝的色彩の濃い、著者初の小説「幼年時代」をはじめ、「性に目覚める頃」「或る少女の死まで」を加えた“幼年時代三部作”を中心に、繰り返し映画やテレビドラマになった「あにいもうと」を加えた全4篇を収録。
  • P+D BOOKS 小説 みだれ髪
    -
    1巻770円 (税込)
    伝記の名手が描く“情熱の歌人”の一代記。 「わたし、ちっとも、後悔はしておりません。……じっと耐えて、先生との恋のために、どこまでも、戦い抜いて行きます。もし、この恋が実をむすばなかったとしても……」  大阪・堺で和菓子店を営む家に生まれた鳳晶子。幼い頃から文学に親しんでいた少女は、やがて短歌の世界にのめり込み、入会した関西青年文学会でみずみずしい歌を披露するようになる。  与謝野鉄幹が主宰する「明星」にも投稿していた晶子は、ある宴席で初めて鉄幹と会い、その人間的魅力の虜に。そして妻子のある身だとは知りながら、鉄幹の元に押しかけてゆき――。  恋に生き、歌に生きた“情熱の歌人”与謝野晶子の生涯を、“伝記の名手”和田芳恵が生き生きと描く。
  • P+D BOOKS 暗い夜の私
    -
    昭和10年代~戦後の文壇の舞台裏を描く。 ――個々の作品が独立した短編であることはいうまでもないが、連続性を意図して執筆したことも事実であった。いわゆる連作であるが、変則的な長編といえるかもしれない。(あとがきより)――  文芸雑誌「行動」の編集者だった時代を描いた「浮きつつ遠く」、二・二六事件前後の作家たちとの交流を扱った「そのとき私は」、戦時中の文人たちの姿を活写した「暗い夜の私」、戦後の雑誌界や日本文芸家協会について触れる「真暗な朝」など、年代ごとの文壇の様子や作家の生の姿が垣間見える秀作短篇集。  他に「ほとりの私」「深い海の底で」「彼と」の計7篇を収録。
  • P+D BOOKS 曲り角
    3.0
    1巻770円 (税込)
    人生の曲り角を迎えた中高年を描く17篇。 ――世間というものはおそろしいな……庭をちょっと作り変えれば、どこかおかしいと思われるし、他愛のない絵を描けば変態扱いか……そういう自分たちの、どこが正常だと思ってやがるんだろう――  定年前後の男たちが、庭の作りかえや裸婦画、プラモデル作りなどに熱中するが、周囲にはまるで理解してもらえない悲哀を描いた「積み木あそび」、ナイフやフォークを持つときに相手が小指を立てていたという一事で見合いが流れてしまう「小指」、病気で倒れたお偉いさんのため、好物だという鰻を熱々の状態で届けたが、どんでん返しに遭う「鰻」などなど、中高年の悲喜劇17篇を収録した名作短篇集。
  • P+D BOOKS 草筏
    -
    1巻770円 (税込)
    商家の主人とその義子、弟らとの葛藤を描く。 「晋! お前のお父つあんやぞ。お前のお父つあんが、美代に子産ませよつたんやぞ。」  あまり家業に熱心ではない近江商人の主人・藤村治右衛門と、正反対な性格の弟・真吾、そして、治右衛門の義子・晋。真吾が密かに心を寄せ、晋の母親がわりを務めていた女子衆の一人・美代が、治右衛門の子を死産し精神を病んでしまう。やがて真吾に結婚話が持ち上がったとき、断固として首を縦に振らない裏には、美代の一件によるわだかまりがあった――。  商家に生まれた著者が、その体験から描く「商店もの」3部作の第1作にして、第1回芥川賞の候補にもなった名作。
  • P+D BOOKS 女のいる自画像
    -
    私小説作家と女たちとの交情を綴った短篇集。 「相手変れど主変らずで、作者の分身である人物がどこにも登場しており、相手方の女性は作品ごとに一人一人違っているのである。が、私がそれぞれ大なり小なり親しくした人達であり――」(まえがきより)  小田原の私娼街「抹香町」の芸者とのつかず離れずの関係を描いた「捨猫」、著者のファンとして訪ねてきた人妻との淫靡な駆け引きを綴った「火遊び」など、著者が交情を重ねた相手とのエピソード8篇に、師と仰ぐ徳田秋声にまつわる女性の話「小説 徳田秋声」など全10篇を収録。私小説作家・川崎長太郎、愁眉の短篇集。
  • ダンデライオン
    3.8
    それは、仕掛けられた出会いだったのか。 11歳の下野蓮司はある日、病院で目覚めると大人の姿になっていた。 20年の歳月が流れ、そこに恋人と名乗る西園小春が姿を現す。「子ども時代と大人時代の一日が交換されたの 」 一方、31歳の蓮司は11歳の自分の体に送り込まれ、ある目的のために、20年前の世界で小春の家へと急いでいた――。 ※この作品は単行本版『ダンデライオン』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 偶然屋
    3.8
    1~2巻770~781円 (税込)
    その「偶然」は仕組まれたものかもしれない。 出会いと別れ、栄光と挫折、幸福と不幸、そして生と死……。 あなたの人生を左右した「偶然」や「運命」は、実はすべて仕組まれていたのかもしれない。奴らによって――。 弁護士試験に挫折して就職活動中の水氷里美は、ある日、電信柱に貼られた「オフィス油炭」という会社の求人広告を見つける。藁にもすがる思いで連絡を入れると、面接場所に指定されたのは、なんと錦糸町のパチンコ屋!? 数々のミッションをなんとかクリアして、入社が認められた里美に与えられたのは「アクシデントディレクター」という聞き慣れないお仕事だった――。 確率に異常にこだわる社長の油炭、かわいいけれど戦闘能力の超高い女子中学生・クロエとともに、里美はクライアントからの依頼を遂行していくが、あるとき「偶然屋」たちの前に、悪魔のような男の存在が浮かび上がる……。 ブラックユーモアミステリーの名手が本領発揮! こんな展開、予測不能!!  『ドS刑事』シリーズで人気の著者、新たなる代表作。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた作品の文庫版となります。
  • P+D BOOKS つむじ風(上)
    -
    1~2巻770~880円 (税込)
    金の亡者たちの滑稽な争いを描いた傑作。  クルマに跳ね飛ばされたらしい、ちょっと変わった青年・松平陣太郎を自宅に連れ帰った浅利圭介。失業中で妻から尻を叩かれっぱなしの圭介は、目撃したナンバープレートを手掛かりに一発逆転を狙っていた。しかし、ボーっとしていると思われた陣太郎が意外としたたかで、徳川家の末裔を名乗り、賠償金を巡る工作の主導権を握りはじめる。  加害者として浮上したのは、公衆浴場の主人と流行作家の2名。そこに浴場同士の争いや作家の美人秘書、浴場主人の愛人らが絡んできて……。  渥美清主演で映画化もされたユーモア小説の前編。
  • P+D BOOKS 暗い流れ
    -
    1巻770円 (税込)
    性の衝動と窮乏生活をあけすけに綴る傑作。  大正時代の北海道を舞台に、貧しい家庭に育った〈私〉が、少年から青年になるまでの紆余曲折を描いた自伝的小説。  幼いころからひそかに恋心を抱いていた「姉や」のシモがなぜか家を出ていき、やがて父の子を出産する。ショックでしばらく疎遠になっていたが、やはり気持ちが抑えられずに会いに行くと、シモは〈私〉を心身ともに受け入れてくれる――。 〈私〉と家族の性生活や厳しい暮らしを、赤裸々に、かつ独特の歯切れのいい筆致で綴る傑作長編。第9回日本文学大賞受賞作。
  • 悲願花
    3.8
    あなたの罪は、生き延びてしまったことです。 夜闇に輝くパレード、大好物ばかりのご馳走、笑顔の父と母。 家族で遊園地に行ったあの日、幸子は夢のような時間を過ごした。 そして―― 両親は家に火をつけて一家心中を図り、幸子だけが生き残った。 工場の事務員として働き始めた幸子は、桐生隆哉と出会い、惹かれ合うようになる。しかし、幸子は隆哉に「一家心中の生き残り」であることを告げられずにいた。隆哉の部屋で料理を作ろうとした幸子は、コンロの火を見てパニックを起こしてしまう。 過去に決別しようと両親の墓を訪れた幸子は、雪絵という女性に出会う。 「あたしが、子供たちを殺したんです」 子供たちを乗せた車で海に飛び込み、一家心中を図ったシングルマザーの雪絵は、生き残ってしまったのだという。 彼女は、墓地から蘇った母だった。 雪絵との運命的な出会いにより、幸子の人生が大きく動き出す。 そして、加害者と被害者の思いが交錯した時、衝撃の真実が明らかになる―― 『闇に香る嘘』『黙過』『同姓同名』で最注目の乱歩賞作家が放つ慟哭のミステリー!! ※この作品は単行本版として配信されていた作品の文庫本版です。
  • ロックンロール・ストリップ
    4.3
    1~2巻770~803円 (税込)
    めっちゃおもろい! 半自伝的青春小説。 木村勇太、25歳。夢は映画監督。 今は売れない劇団をやりながら、大阪市K区寿町でバーを経営している。 ある日の閉店間際、「冬音」という見慣れぬ美女が店にやってきた。 ストリッパーだという彼女は、勇太にストリップ劇場で前座をやってほしいと頼むのだった。なんとか劇場を満員にしたい、力を貸してほしいと――。 そこから勇太たち劇団員4人の、場末の劇場を舞台にした、笑いあり、涙ありの悪戦苦闘の日々が始まった! 「悪夢」シリーズで大人気の作家が描く、“めっちゃおもろい!”半自伝的青春小説。 これって一体……どこまで実話なん?
  • パーフェクト・クオーツ 北の水晶
    5.0
    1~2巻770~880円 (税込)
    北の後継者暗殺の裏側を描いた衝撃作! 読書メーターなど、ネット・レビューでも「名作」と賞される大藪春彦賞受賞作『スリー・アゲーツ』に続く、待望のシリーズ最新作! 日本と北朝鮮、二つの国に二人の子を遺して男は死んだ。 米国国防総省(ペンタゴン)直轄の情報機関に所属する葉山隆(はやまたかし)の元に、男から52本もの古いカセット・テープが届く。 録音されていたのは男の告白。北の情報機関〈三号庁舎〉の一員として知るかぎりのすべてを語った内容だった。 その中で、北の完璧なるスパイ“石英(ソギョン)”の存在が明かされる。そして大がかりな情報網を統べるというもう一人の大物スパイ“カタツムリ”。 北が作った精巧な偽ドル紙幣“スーパーK”の流通を阻止しようと米韓合同で行われたソウルでの摘発作戦は、米韓に多数の死者を出すというさんざんな結果に終わったが(前作)、その原因は、米韓の情報網に開いた巨大な穴からの情報漏洩だったという。 葉山はその巨大な穴に、石英とカタツムリが関与していると見て、調査を始める。 一方、米日の経済制裁に反発して、北朝鮮は突然、国境近くの経済特別区・開城(ケソン)工業団地を封鎖した。 巨額の投資をしていた京星(キョンソン)グループの代表・重貞高平(しげさだたかひら)は、一千億ウォンに及ぶ損失を取り返すべく、米日にある取引を持ちかける。 その内容とは、北の後継者の一人だった“ヨハン”亡命の手引きだった。 ヨハンは、北朝鮮が国を挙げてアメリカを標的とする大量殺戮兵器を開発しているという確実な証拠を握っていた――。 「他の血を残しておけば、それは必ずや新たな災いを呼び起こす。誰かがその血を利用しようとするからだ」 日本人の想像を絶する北朝鮮という国の実態。 米韓の隙を突いてマレーシアの空港で起こる“ヨハン”暗殺事件。そして切り札をなくした取引の行方は?
  • 私はあなたの記憶のなかに
    4.1
    角田ワールド全開!「記憶」をめぐる小説集。 <「さがさないで。私はあなたの記憶のなかに消えます」と言って姿を消した妻をさがす旅に出る僕>――(表題作)。<初子さんは扉のような人だった。小学生だった私に、扉の向こうの世界を教えてくれた>――「父とガムと彼女」。<K和田くんは消しゴムのような男の子だった。他人の弱さに共振して自分をすり減らす>――「猫男」。<イワナさんは母の恋人だった。私は、母にふられた彼と遊んであげることにした――「水曜日の恋人」ほか4篇。角田光代の小説世界を存分に味わえる読み応えたっぷりの小説集。 ※この作品は単行本版『私はあなたの記憶のなかに』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 不在者 家裁調査官 加賀美聡子
    3.5
    三億円の遺産がかかった失踪事件を追う! さいたま市の古い荒ら屋で、老婆が亡くなった。中原トミ、九十七歳。夫に先立たれて三十年、一人でつましく暮らしていたトミには三億円の遺産があった。 相続人は三人の孫たち。しかし、「三男の子の薫にすべての遺産を与える」と書かれた遺言書が見つかった。薫は就職して二年目に失踪しており、二人の孫は遺産を得ようと、薫の失踪宣告を申し立てる。 さいたま家庭裁判所の家事調査官・加賀美聡子は、薫が生死不明になった時期を特定するため、彼の消息を調べ始める。その中で浮かび上がってきたのは、幼少時から児童養護施設で育ち、母親の咲江に歪な形で支配されてきた、薫の壮絶な人生だった―― 一方、東京家裁の離婚調停で“替え玉事件”が発生する。愛人の子を妊娠した妻が出頭させたのは“偽物の夫”だった。 欲にまみれた人々の争いの渦中に身を置きながら、調査を進めていく聡子が辿り着いた衝撃の真実とは。 『誤算』で注目を集めた稀代のストーリーテラーが放つ、緊迫のクライム・サスペンス。
  • 父のおともで文楽へ
    3.7
    父と私と文楽。共感度100%の家族小説。  母の3回忌の法要で、佐和子は実家を訪ねた。久しぶりに顔を合わせた父・敬一郎から文楽を観に行こうと誘われる。仕事が休みの土曜日、小学生の娘・梨々花は別れた夫・義彦との面会日で家にない。「面白いぞ」と敬一郎は言うが、半信半疑で国立劇場へ向かった。  演目は『心中天網島』だった。天満で紙屋を営む治兵衛が曾根崎新地の遊女と恋仲になり、妻子を捨てて心中するという筋書きだ。治兵衛は、妻のおさんへの未練も断ち切れず、遊女の小春との心中も踏ん切りがつかない。佐和子はまったく共感できなかった。そんな佐和子に、「また付き合え」と敬一郎は言った。  ニューヨーク州の弁護士資格も持ち、アメリカで仕事をする予定の義彦が、梨々花を連れていきたいと言い始めた。佐和子は梨々花を手放したくないが、契約社員としての収入は多くなく、夫からの養育費に頼る身だ。そんな中、敬一郎から検査入院をすると連絡が入る。  37歳でシングルマザー、派遣社員の佐和子には、精神的にも経済的にもゆとりは少ない。公私に亘って、課題が山積みだったが……。
  • P+D BOOKS 遠いアメリカ
    -
    1巻770円 (税込)
    夢のアメリカに恋い焦がれた若者の青春小説。 戦後10年目の1955年、日本人はまだ貧しい生活を送りながら、大国アメリカの豊かな物質文化や娯楽産業に憧れをいだいていた。 クリーネックス・ティシューや雑誌「ヴォーグ」、そしてハリウッド映画。そんな時代に、20代半ばの青年・重吉と演劇に没頭している椙枝は二人で愛をはぐくんでいた。一向に見えない自分たちの将来に悪戦苦闘しながらも愛と希望だけを頼りに生きる、往時の若者たちが瑞々しく描かれる。 全4編からなる第96回直木賞受賞作。
  • P+D BOOKS 春の道標
    4.0
    1巻770円 (税込)
    戦後間もない時代を描いた自伝的青春文学。 旧制中学から新制高校へと移行する時代、高校2年生の倉沢明史は、通学途中に出会った中学3年生の美少女・棗に惹かれていく。文学に憧れ、政治にも熱い関心を寄せる明史だが、幼なじみの慶子との接吻もあって心は千々に乱れる。 武蔵野の美しい四季を背景に、物資は満足にないけれど心豊かに生きる若者たちの甘く、ほろ苦い思春期の恋愛を叙情的に描いた青春小説の傑作。“内向の世代”を代表する著者が、今回あとがきを特別寄稿。
  • P+D BOOKS 廃市
    3.0
    1巻770円 (税込)
    退廃的な田舎町で過ごした“青年のひと夏”。 誇り高い姉と、快活な妹――いま、この2人の女性の前に横たわっているのは、一人の青年の棺だった。 美しい姉妹に愛されていながら、彼はなぜこの世を去らねばならなかったのか? 卒業論文を書くために「廃墟のような寂しさのある、ひっそりした田舎の町」にやってきた大学生の「僕」は、地所の夫婦、妻の妹の三角関係に巻き込まれる。 古き日本の風情を残しながらも、どこか享楽的な田舎町での青年のひと夏の経験から、人の心をよぎる孤独と悔恨の影を清冽な筆致で描いた表題作「廃市」は、後に大林宣彦監督によって映画化された。ほかに「飛ぶ男」「樹」「風花」「退屈な少年」「沼」の全6編を併録。
  • P+D BOOKS 小説 阿佐田哲也
    4.0
    1巻770円 (税込)
    色川武大が自らに棲む「阿佐田哲也」に迫る。 「奴とは、ばくち打ちであり、ばくち打ちの奥に至らんと五十年もすごしてきたような、顔をしている人物である」--。色川武大は[阿佐田哲也]を、冒頭でこう評している。 阿佐田哲也なるばくち打ちは『麻雀放浪記』を書き、麻雀新撰組などを結成して世間を煙に巻いた。色川武大名義では『離婚』で直木賞を受賞した作家が、虚にして実、実にして虚の[阿佐田哲也]の素顔に迫った異色作。
  • ザ・ギフト 聖夜の奇跡の物語
    3.0
    聖夜に見つける、心を震わせる贈り物とは。  なんでも一番を求め、仕事に猛進するルー・サファーン。さらなる昇進のチャンスをものにしようとますます多忙を極め、愛する妻や子供たち、親兄弟と向き合う時間も余裕もない。「自分のクローンがいたらいいのに――」。  クリスマスが間近に迫ったある朝、ルーは会社の前に座る同世代のホームレスにふと目を留め、なんの気まぐれか手にしていたコーヒーをプレゼントする。さらに行きがかり上仕事まで世話するが、その男ゲイブの超人的な仕事ぶりは、ルーに恐れと不安を抱かせ、苛つかせていく。この男は何者なのか――。  そんな折、ライバルの企みで窮地に陥り、私生活でも重大な岐路に立たされているルーに、今度はゲイブがある“贈り物”をする。それは、不思議な錠剤だった。その薬を服用すると・・・・・・。  ゲイブは一体何者なのか? 人生において本当にかけがえのないものとは? 誰もが自らの人生と重ねあわさずにはいられない、現代版『クリスマス・キャロル』。ベストセラー作家が描く、聖なる季節の奇蹟の贈り物。
  • P+D BOOKS 上海の螢・審判
    -
    1巻770円 (税込)
    戦中戦後の上海を描いた傑作二編が甦る! 『上海の螢』は、著者が32歳で中日文化協会の文官として滞在した約2年間に及ぶ、敗戦前後の上海での体験を克明に記録した貴重な史料でもあり、一編を遺して未完のままとなった遺作。 1947年発表の『審判』は、『上海の螢』より古く、一兵卒として中国参戦した自身の戦場での体験告白でもあり、誰にも裁かれない自分の犯した戦争犯罪を自身の手で裁くために描かれた問題作。 第一次戦後派作家の“巨人”武田泰淳と上海という場所の因縁深い2作を同時収録。
  • 三浦光世 電子選集 歌集 吾が妻なれば ~妻・三浦綾子と歩んだ40年~
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    アララギ派の歌人・三浦光世が妻・三浦綾子との合同歌集「共に歩めば」(1970年刊)と、その後の作品から自選収録した歌集。 三浦光世がのちに妻となる三浦綾子に勧められて「アララギ」に入会したのは1955年の夏であった。その後、59年に綾子と結婚し、70年には綾子との合同歌集「共に歩めば」も刊行する。この本は光世が作歌を続けた個人の作品群と綾子との共著本の中から自選し、1990年に発刊した歌集。 君を想ふ夕べかなしくて袖に来し白き蛾を鉢の菊に移しぬ 涙出づるまでに素直に聞きてゐつ妻が語る前川正との過去 など、妻・綾子との生活にまつわる歌や、光世が個人的に好んだ自然を対象とした叙景歌も多く収録されている。
  • 三浦光世 電子選集 歌集 夕風に立つ ~妻・三浦綾子と歩んだ40年~
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    三浦光世が妻・三浦綾子との出会いから結婚、その後の実生活を詠んだ短歌が数多く収められた歌集。 1955年6月に堀田(旧姓)綾子を見舞った光世に綾子はアララギ誌を手渡し入会をすすめた。その直後、光世が詠んだ歌が、 堀田さんが貸してくれたるアララギ誌クレゾールの匂ひが泌みこんでゐる だった。 そして「アララギ」に入会した光世は本格的に創作を開始し、歌人として活躍を始める。妻・綾子との生活以外にも、光世が個人的に好んだ自然を対象とした叙景歌も多く収録されている。
  • 三浦光世 電子選集 歌集・共に歩めば ~妻・三浦綾子と歩んだ40年~
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    作家・三浦綾子が夫・三浦光世とふたりで、闘病生活、信仰、恋愛、結婚生活などの心の軌跡をおりおりに綴った歌集。 1955年6月に堀田(旧姓)綾子を見舞った光世に綾子はアララギ誌を手渡し入会をすすめた。そして、すぐに入会した光世が投稿した歌が、 とり分けて甘き水蜜桃ひとつ核の中黒く蝕ばまれゐき だった。そしてこの歌で初入選も果たした。一方の綾子は敗戦後のけだるい生活の中で、歌が<とにかく、わたしにとって、歌は日々の深い吐息であり、つぶやきであった>と明かしている。ふたりの出会い、そして結婚に至るまでの思い、信仰への思い、闘病生活などの軌跡が垣間見える貴重な共著歌集。
  • P+D BOOKS 親友
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    1巻770円 (税込)
    川端康成「幻の少女小説」60年ぶりに復刊。 新制中学1年生のクラスメートであるめぐみとかすみは、同い年で同じ誕生日。赤の他人なのに従姉妹と見間違えられるほど似ていた二人は、自然と「親友」になっていく。 “鵠沼のおじさまの家”での夏休み、先輩女生徒・容子へのほのかな憧れ、バザーで起きた小さな事件……些細なことでの行き違いで、その都度こわれそうになる少女同士の友情。そして、やがて二人に別れの日が訪れる。 ノーベル文学賞受賞作家・川端康成が昭和29年「女学生の友」に連載した幻の最後の少女小説が今、鮮やかに蘇る。 また、戦前に川端が「セウガク一年生」に寄稿した貴重な作品「樅の木の話」も収録。 巻末には川端の娘婿・川端香男里(ロシア文学者)氏の解説文も併せて収録した貴重な一冊である。
  • 眺めのいい部屋売ります
    3.8
    M・フリーマン、D・キートン主演映画原作。  モーガン・フリーマン、ダイアン・キートン主演、2016年1月公開予定の映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』の原作小説。  NYイースト・ヴィレッジに建つエレベーター無しの古いアパート。45年間、5階の部屋に住み続ける画家のアレックスと元教師のルースは、子どもには恵まれなかったものの55年間連れ添い、12歳のダックスフント・ドロシーと幸せで穏やかな日々を送っていた。  ただひとつ、大きな問題が。足腰の弱くなってきた夫婦とドロシーにとって、5階までの階段をのぼることが辛くなってきたのだ。そこで二人は住み慣れたこの部屋を売り、エレベーター付きの物件を購入する計画を立てた。昔は下町だったイースト・ヴィレッジも今ではおしゃれなエリアとなり、二人の部屋にもちょっとした値がつくようになっていた。  ところがアパート内覧会の前日、なんとドロシーが急病に!さらにマンハッタンのトンネルの真ん中でテロ騒ぎが勃発。緊急手術が必要になったドロシーの容態は?テロの動きは?そして不動産交渉の行方は?  夫婦と愛犬が直面した危機と彼らの絆を描く、スリリングでチャーミングなハートフル・コメディ。
  • P+D BOOKS 残りの雪(上)
    3.5
    1~2巻770~880円 (税込)
    古都鎌倉に美しく燃え上がる宿命的な愛。 夫は、なぜ失踪したのか? 理由なき別れに苦しみ、無為不安の日をおくる里子は、40代の会社社長で、骨董の目利きでもある男、坂西と出会う。妻子を捨てた夫と、年上の女との情事が日々うつろなものに変っていくのとは対照的に、二人の愛は古都鎌倉の四季の移ろいの中で、激しく美しく燃え上がった……。 日経新聞に連載され話題を呼んだ長編小説。男女の宿命的な愛を鮮烈に映すとともに鎌倉や京都を舞台に、和服や自然を通して日本の四季が美しく描写されており、作品の魅力に彩りを添えている。
  • P+D BOOKS 銃と十字架
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    1巻770円 (税込)
    初めて司祭となった日本人の生涯を描く。 「何のために苦しい旅を続けるのか。いつかは捕まり、殺されることも確実なのだ。しかし、いかなる苦渋にみちても肩から人生の十字架を棄ててはならぬ」……。 船を乗り継ぎ、砂漠をよぎって、日本人として初めてエルサレムを訪れ、後にローマに学び司祭となった実在の人物・ペドロ岐部。 この破天荒な訪欧大旅行は、イエズス会亜等の組織の保護なしに、個人の自力で成し遂げた、日本人としても最初の快挙だった。やがて彼はキリシタン弾圧の荒れ狂う日本に立ち戻り、使命に生きたのだが……。 17世紀前半の日本におけるキリスト教弾圧の貴重な通史であり、「沈黙」とともに、作者のキリスト教観の理論的な最高峰に位置する一冊である。一日本人ペトロ岐部の劇的生涯を描く。

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