憧れのママ友にすすめられて娘の菜摘を中学受験の塾に入れた良子。
できない子だと思っていた娘が塾の先生たちに十年に一度の才能の持ち主だと目をかけられ、「本当の力」を出し始める。出し始めたと思ったら、トップクラスのトップを狙うまでに時間はかからなかった。
憧れのママ友に敵視され無視される良子。
今まで
...続きを読むアドバイスをくれ、良好に付き合えたのは、相手にとって下に見られていたからだと気づく。
娘たちも母親の影響を受けないわけもなく、幼稚園時代からの仲良しがライバル、敵であるかのように、会話もできなくなってしまう。
菜摘はどんどん成績を伸ばし、良子はそれを娘のために支える。
が、いつの間にか、そしてあっという間にママ友に勝ちたいという苛烈な執念と、自分の劣等感を払拭するためのもの変わってしまい、良子と菜摘の関係を蝕んでいく。
いつも母に従順な娘は受験まで持ちこたえることができるのか?
母は娘を追い詰めずに、娘のために、自分のために勝つことができるのか?
いやー、すごい展開で半日で読みきった。
よく聞くところの、「あなたのためだから」というのが本当に相手のためだったことがあるのか、ということを何度も感じさせられた。
子供をいい学校に行かせたい、経済的に苦労させたくない、幸せになってほしいという願い自体は自然なものなのに、他人との競争を前提とする世界でそれを求めると、何だかもう...
子供は当然気の毒だし、最後もああそうか...そうなるのも仕方ないのかもねと悲しくなるけど、良子も糾弾しきれなかったな。
純粋に娘を思う気持ちもあったはずなのに、それにママ友が絡み、娘同志ではなく母親同志の競争になり、きっと本意ではないのに般若のような顔で娘を追い込んでしまったんだろうね。
誰か幸せになったのかな、と考えると、この本はしんどい。
でもエンタメとして読むと、本当に面白い。