あらすじ
中学受験があぶりだす、母のエゴと娘の闇。
良子は夫と小学4年生の娘・菜摘と暮らす、ごく平凡な主婦。何事にも消極的な我が子の性格に少々不満はあるものの穏やかな日々を送っていた。
優秀な娘を持つセレブなママ友・麗香は娘が赤ちゃんの頃から仲良しで、憧れの存在でもある。彼女の勧めで菜摘は中学受験に挑戦することに。麗香の娘・涼香と同じ塾に通えることに喜び勉強に励むと、菜摘は意外な才能を開花させ、39しかなかった偏差値をみるみる上げていったのだ。
我が子の可能性に舞い上がった良子は麗香に菜摘の成績をさりげなく自慢する。すると麗香の態度は一変、良子を無視し、ママ友とのランチ会で良子を貶める発言をするほどまでに。
私と仲良くしていたのは、愚かな母娘を見て優越感に浸りたかっただけ……。これまでの憧れと信頼の深さゆえに、そう悟った良子の反動は大きかった。麗香を見返す。成績を伸ばし涼香に勝つことこそ、菜摘の将来のため。決意した良子は娘に勉強を強い、その教育熱は次第にエスカレートしていく。やがてそれは思いもよらぬ悲劇を招くのだった。
「どこかの家庭で今まさに起きているのでは」と思わせる、リアルな恐怖が読者の心に爪痕を残す衝撃作!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
いつの間にか、教育虐待をする母になってしまう主人公に共感しかない...。きっと最初はそんな事なかったはず。あっという間に。
子供の英語塾の先生が
保護者は、自分の成功体験を子供に強いる傾向がありますから、口を出さないように
と言ってた事を思い出す。
我が子のためなんて言葉は 呪いに過ぎず
私が主人公とは違うなど 胸を張って なぜ言える? 逆。 絶対に同じ部類に入るはず。
中学受験は本人が望まず回避するけど
高校受験は必ず来る。
その時、この本をお守りにしよう。
親の思い通りに動かない我が子を持って
私は、実はラッキーなのかもしれないと
心底思った。
Posted by ブクログ
すべてあなたのためだから…怖い言葉に感じた。
狂い始めてから、人間が怖くなってくる。
マウントも承認欲求もいやだな。
読みやすいけど、重いテーマでした。
Posted by ブクログ
憧れのママ友にすすめられて娘の菜摘を中学受験の塾に入れた良子。
できない子だと思っていた娘が塾の先生たちに十年に一度の才能の持ち主だと目をかけられ、「本当の力」を出し始める。出し始めたと思ったら、トップクラスのトップを狙うまでに時間はかからなかった。
憧れのママ友に敵視され無視される良子。
今までアドバイスをくれ、良好に付き合えたのは、相手にとって下に見られていたからだと気づく。
娘たちも母親の影響を受けないわけもなく、幼稚園時代からの仲良しがライバル、敵であるかのように、会話もできなくなってしまう。
菜摘はどんどん成績を伸ばし、良子はそれを娘のために支える。
が、いつの間にか、そしてあっという間にママ友に勝ちたいという苛烈な執念と、自分の劣等感を払拭するためのもの変わってしまい、良子と菜摘の関係を蝕んでいく。
いつも母に従順な娘は受験まで持ちこたえることができるのか?
母は娘を追い詰めずに、娘のために、自分のために勝つことができるのか?
いやー、すごい展開で半日で読みきった。
よく聞くところの、「あなたのためだから」というのが本当に相手のためだったことがあるのか、ということを何度も感じさせられた。
子供をいい学校に行かせたい、経済的に苦労させたくない、幸せになってほしいという願い自体は自然なものなのに、他人との競争を前提とする世界でそれを求めると、何だかもう...
子供は当然気の毒だし、最後もああそうか...そうなるのも仕方ないのかもねと悲しくなるけど、良子も糾弾しきれなかったな。
純粋に娘を思う気持ちもあったはずなのに、それにママ友が絡み、娘同志ではなく母親同志の競争になり、きっと本意ではないのに般若のような顔で娘を追い込んでしまったんだろうね。
誰か幸せになったのかな、と考えると、この本はしんどい。
でもエンタメとして読むと、本当に面白い。
Posted by ブクログ
帯に記載されている「あんな子に負けるなんて、バカじゃないの!?」に惹かれて購入。結末を想像しながら一気読み。親のエゴなんだろうなぁとあらためて感じる。
『すべてわたしの虚栄心のためだから』ですかね・・・。
Posted by ブクログ
中学受験に取り憑かれたママのお話
ライバルのセレブママに対する羨望、マウントの取り合い、嘲り、蔑み…上から目線のいやな感情満載です
「すべてあなたのためだから」を錦の御旗に、どんどん狂っていく主人公の様子は見ていてつらかった
Posted by ブクログ
・テーマ/世界観 ★★★★
・背景描写 ★★★★★
・キャラクター ★★★★
・インパクト ★★★★★
・オリジナリティ ★★★
・テンポ/構成 ★★★★
・文章/語彙 ★★★
・芸術性 ★★
・感動/共感 ★★★★★
・余韻 ★★★★★
Posted by ブクログ
オーディブルで聞いたがなかなか重いというかキツい作品だった。母親の視点で話が進むのでその狂気がいっそう強く感じられる。後半、自分の過ちに気付いてから、それでも塾をやめさせなかった時点で結局、母親は自分のことしか考えてなかったんだと思う。ラストの「私が死んだらなつみを殺人犯にしてしまう」というその想いさえ、「私が殺人犯の母親になってしまう」の間違いだろ?と邪推してしまうほどに…。ぬるい受験しか経験しなかった私は「こんな母親おらんやろ…」とちょっと前なら思ったかも知れないが、ノンフィクション『母という呪縛 娘という牢獄』や教育虐待に関する本を読む限り、本書に登場するような母親は存在するのだと思う。
Posted by ブクログ
平凡な主婦「良子」が憧れのセレブママ「麗香」に勧められ娘を中学受験塾に通わせることに
そこから平穏に暮らす一家の歯車が狂い出す
ぐんぐん成績を上げていく菜摘に、麗香の態度が豹変しなければ、お互い切磋琢磨しながら受験出来、良子もモンスターにならなかったかもしれない
終盤折角気づいたのに、、、、とても残念です
が、物語としては想定外で良いのかもしれません
一気読みしてしまいました
Posted by ブクログ
受験にハマった親が最後は娘の幸せに気づく、というある意味既定路線の話か〜と思ってたら、最後の結末には驚いた。自分もここまでとはいかなくても沼に陥る可能性がある、他人事ではないのだと同じ母親として震えてしまった。
一人称で進み、ブログという形で進むので読みやすい文章だった。中学受験というテーマでの人間劇はあまり読んだことがなく新鮮だったので、他の視点からも登場人物や状況を見たいという思いも。
Posted by ブクログ
良子はだれからも注目される事のない冴えない平凡な主婦。
周りから「天才を育てた母親」と羨望の眼差しでみられたいが故に、自分の代わりに子供に死に物狂いで勉強させ、常にトップの成績をキープさせることで、自分の地位を確立させて満足する。
子供のため?子供の幸せ?
本書では良子が綺麗ごとをすらすらと並べてますが、良子にとっての娘は良子の自尊心を満たしてくれるだけのただのロボットにすぎません。
麗香のことを見栄ばかり張る、薄っぺらな人と 酷い人間のように罵っているが、実際は良子も瓜二つ。類は友を呼ぶのです。
親から子へのいじめとも言える母親(もしくは父親)の狂気の振る舞いは、一歩間違えればどの家庭でも起こりうると思うと恐ろしくなります。
子どもの中受を控える親の立場としては反面教師にしなければいけないなと思いました。
Posted by ブクログ
中学受験
冴えない人生を送ってきた良子。
良子の娘、菜摘はやれば伸びる賢い子だった。
中学受験の話かと思いきや
良子の劣等感や自信のなさが生み出す人間関係や欲望の話
Posted by ブクログ
一気読み。
最初の方はブログってこんなに個人情報がわかるように書くものかな、
とか細かいところが気になったけれど
読み進めていくうちにやめられなくなってしまった。
母親の良子の感情、気持ちはわからないでもない。
子供に才能があるとわかったら浮かれるだろうし、
もっと頑張ってほしいと思うだろう。
実際、過去に自分も子供に受験勉強をさせようと
結構厳しくしていたから。
だから子供の気持ちを無視して突き進む
彼女の事を責められないし、
悲しい気持ちで物語を読み終わった。。
Posted by ブクログ
すごくこわかった。この人、ちゃおでいじめの漫画描いてた人で、私よく読んでたんだけど、この人はなんともこういう人間のエゴとか汚い部分を描くのが上手い。主人公はどうしてあそこまで麗香さんを崇拝して信仰することができたんだろう。そして後半の母親の周り見えなさというかそういうのがすごかった。
Posted by ブクログ
私は中学受験をしたことがないし、周りの友達もほとんど公立の中学校に進学していた。だから中学受験の厳しさを知らない。でも東京に引っ越してきてから、カフェやファミレスで親に見守られながら勉強している小学生をたくさん見かけるようになって、色々と思うことがある。
あんなに厳しく言わない方がいいのに、とか、休日まで勉強しなきゃいけないんだ、とか色々と。
親の気持ち、その気持ちに応えたい子供の気持ち、そして子供だからこそ揺らいでしまう気持ち、いろんな気持ちが交差していて、読み手にそれぞれの苦しさが伝わってくる、そんな作品でした。
Posted by ブクログ
恐ろしい教育虐待。
頭に思い浮かんだ言葉は「モンスター」
実際に教育虐待ってあると思うし、自覚してないだけの親っていると思う。
「あなたのため」って言葉よく聞くけど、本当に“あなた”のためなことってどのくらいの割合なんだろう?
子供のため、将来のため、そんな理由で始めたけど
親の見栄だったり世間体だったり、押しつけだったり…エゴなことって結構あると思うんだよね。
子供が休みたいって言ったらある程度は休ませてあげたり、
意見を尊重してあげることが出来ない人は手を出したら行けない領域な気がする。
でも、母親・良子の心情は少しわかってしまうところもあるからそれが怖いとこ。
まぁ麗香の心情も、菜摘も涼香も、全員わかっちゃうから怖いし、しんどい。
お受験組の親御さん、是非手に取ってみてほしい。
Posted by ブクログ
イヤミスのような読後感。……ミステリー要素はないんだけれども。
小学・中学受験にまつわる親の狂気は、これまでドラマや小説などでたびたび触れてきたので、そういう意味では目新しさはとくにないのだけれど……
毎回、「これはフィクションだからね~」で片づけられない何かがあるのは事実。
子育てにおいて、「自分」がない親はダメだ。
でも、「自分」がありすぎる親もダメなのだ。
当たり前だけど、子どもの人生は、子どもが主役。
親にできるのは、子どもをよく観察し、必要なときに手を差し伸べることくらいしかない。
子どもの「受験」は、自分の経験から、達成感・挫折感、いろんな感情を呼び起こされる。
現実の世界でも、受験が悲劇につながってしまう事件が絶えない。
誰でも一度は通る道だからこそ、間違えないようにしたい。
Posted by ブクログ
ホラーだったのか…
余りにもご都合主義でリアリティも何もないが、1ミリも頭をつかわず、あっという間に読めて、昼ドラと捉えると素晴らしく面白い。
若いときに拗らせると、年取ってから変になっちゃうから気をつけないとな、と思いました。
Posted by ブクログ
娘に良かれと思って、娘の事を思って、と。母親のエゴをエゴと感じずに娘に感情や行動を押し付けている。それは母親の自己満足であり、娘の事を本当に思うのなら、もっと娘側の立場を知り研究し、娘の目線に立ってあげる事が大切なのだと思いました。この作品は母親と娘の受験を中心として描かれておりますが、この心理状態は全ての人間関係に言える内容ではないか、と。
Posted by ブクログ
中学受験する子の母の気持ちはわかるところもある。
どちらかというとできない側の親たちの気持ちだけれど。
中学受験の話というより親という欲深い人間たちの話だと感じた。
エンタメとしては良い。
読みやすいためすぐに読める。