無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
ご先祖に思いを馳せるファミリーヒストリー。
私のご先祖様には花火に魅せられ、一財をつぎ込んで生きた静助さんという人がいる。
―――時は明治初期。江戸から東京になったが、地方ではいまだ江戸と呼ばれていた時代。その江戸から遠くない村で大地主の次男坊として生まれた静助は、ご一新で世間が大きく変わるなか、何不自由なく暮らしていた。
ある日、静助は母親と出かけた両国の隅田川で打ち上げ花火を見物し、ひと目で心奪われる。江戸の花火屋たちは、より鮮やかな花火を上げるため競い合っているという。
村に戻ってからも花火への情熱が消えない静助は、潤沢な資金を元に職人を雇い、花火作りに夢中になるが、富国強兵へ向かう時代の波が、次第と静助一族を呑み込んでいく……。
※この作品は、『空に牡丹』(単行本版)の文庫版となります。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
先祖の清助さんは大の花火道楽。金に糸目をつけず花火に費やし、かつては大地主だった家系を落ちぶらせてしまった。だけどそんな清助さんのことを悪く言う人はいない。彼の道楽のおかげで、何も無い普通の日にも花火を楽しめた村の人たち、彼ののんびりとした性格に癒され(時には困らされ)た家族、皆が清助さんを好きだったから。
花火に魅せられた男の人生が時代の流れを反映させながら描かれています。読んでいて私も清助さんをどんどん好きになる。人生は本当に花火のようなものかもしれませんね。自分自身だけでなく周りの人から見ても綺麗な花火。そんな人生を送れたらいいなと思います。
Posted by ブクログ
読み終わったときに,なんかホッコリするような,それでいてもの悲しいような,そんな感じのする作品.
花火に入れ込んでしまったせいで身代を傾けてしまった,少し浮き世離れしたところのある,大地主(東京から遠くない村の元名主)の次男坊の静助さんのお話.
こう書くと,ただの愚者の話と思われるかもしれませんが,さにあらず.
静助さんは,ご一新のあと急激に変わっていく風潮やその流に乗って流されていく人々に違和感を感じる鋭い感性を持っているし,名主の代わりもある程度きちんと務めている.ただ,やっぱり何か(おそらく財産を守ろうとする執着心)が欠落していて,周り人たちの心を慰めようと思っていた花火に入れ込んでしまう.だけど,そんな静助さんだから,周りの村人からも,残された子孫たちからも悪くいわれないし,いつまでも親しみを持って思い出してもらえている.
うーん,空に牡丹.読後感は,花火を見た後の気持ちかな.
Posted by ブクログ
この本、なんで読もうと思ったのかなぁ。大島真寿美さんだったからとは思うのだが、他には何かなぁ。
明治初期、旧名主の次男・清助が、東京で観た花火に魅せられ、花火作りに身代かけて夢中になっていくという物語。
しかし、何だかあっさりしているな。大きな事件が起こるわけでもなく、時代の波に翻弄されるわけでもなく、花火作りにのめり込んで傍から狂人扱いされるわけでもなく。
東京で妾に焦れ込む長男に代わり曲がりなりにも家を守る次男に対し、周囲はその心情に寄り添うでもなく唯一の道楽には仕方なく目を瞑るといった体で進む話に、読者の私も同じような心境で読み進めてしまう。
清助も悪い人間ではなく、読んだあと口も悪くないので★★★にしたけど、あまり深みもなく、本音は2.5といったところ。
表紙の山下清を見れば、コロナのせいで花火大会がない夏の寂しさがより募る…。
Posted by ブクログ
評価の難しい作品であった。
個人的には物語後半の話のたたみ方というか終わり方は好みであり、伝聞調でありながらも当時の人々になりきって読むことができたし、一昔前の話でありながら、その光景を想像できるものであった。
読物として面白いか否かでいうと、やはり難しい。読み終わったあとで言えば、読み応えはあったのかなと思えるので、面白いといっても良いとは思うのだが、人物一人一人の心情に、地方で生まれ上京した身としては共感はできつつも、深く登場人物に思いを重ねることはできない。ましてや静助は晩年までどこか彼の本心が分からず煮え切らない感じがして、読み進めるのがやや億劫になる瞬間もあったような気がした。なので、両手放しで面白かったと言い切るのが少し難しい作品であった。
本書の冒頭にある静助に関する紹介を読むかぎり、人たらしで、どこか憎めない愛しさのある人物なのだろうと推測していた。しかし実際には、会話の中で相手の意図を察するのが鈍かったり、注意力が抜けていたり、財産に無頓着だったりする人物として描かれており、彼に対する興味や関心、愛着をあまり持つことができなかった。
一方で、兄を失った後に花火を上げたいと願う気持ちには、共感できる部分もあった。どちらかといえば了吉に賛同したいところではあるが、家の財産を注ぎ込みすぎて破産しかけたあとも変わらぬ態度を見ていると、そこには彼なりの一貫性や、価値観が垣間見えるように思えた。
一読者でありながら、後半では、その一族の子孫たちの発言にあるのと同じように、静助の死後や彼をめぐる話について、「静助だから仕方のないことなのだ」と思えるようになった。そうした親近感を抱かせてくれる、どこか憎めない存在であると、最後の最後に思わせてくれた。
登場人物を通して見る静助の印象に対して、彼の死後に出てくる話の中の静助はかなり美化されているようにも思えたが、それも含めて、静助という人間の裏表のなさが人の恨みをかわず、改めて思いふけたときに「良い人だった」と思えるに至ったのかなと思った。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸