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Posted by ブクログ
すごく読みやすいのに、すごく半二の気持ちがダイレクトに伝わってくる、不思議な本。虚が実を取り込む、まさにその渦に自分も巻き込まれたのだと思う。
人形浄瑠璃の知識はまったくなかったけど、この本を読んで一度見てみたいと思った。ただ、もうその時点で近松半ニの描いていた未来とは今は大きく違うんだろうなと考えると、すごく切ない気持ちになる。時代は変わるもので誰が悪いわけではないけど、言い表せない悲しみが胸に来る。
浄瑠璃の栄枯盛衰もさることながら、人の生と死も描かれているのが特徴的。そこにあったのに消えてしまった実感が、文章を通してひしひしと伝わるから、とてつもない喪失感にこちらも襲われる。
作り手ではないけど、言わんとしてることがすごくわかる部分もあった。不思議だけど自分にとっては興味深く魅力的で衝撃的な一冊だった。
Posted by ブクログ
歴史に興味がある人はもちろん、ない人でも十分に楽しめる。時代小説には分類されない程度の作風。
人形浄瑠璃(操浄瑠璃/文楽)に魅せられた近松半二という男の一生を描いた時代物語。舞台は江戸時代・大阪。
この世は狂言と表現する半二、どんな辛いことがあっても、それを面白がれる男である。人生で浮かないときにも、一歩引いて楽しめる目を持てるのではないだろうか。
物語を描き上げていくということの熱量がひしひしと感じられる。それでいて軽快な語り口は読む手を離さない。一気に読め、引き込まれる作品。いつのまにか半二にとりつかれている、というより我々がとりついてしまっているんじゃないかと思うほどのめりこんだ。晩年を描く「三千世界」では息も絶え絶え。大変見事な小説だと思う。
物書きをするひと(どんなジャンルでも)にはぜひ読んで、のめりこむ驚きを味わってほしい。
Posted by ブクログ
根拠なく前向きになれる作品でした。面白かったです。どうやら半二が言うところの『渦』は現在もぐるぐると回り続けて新しいものを生み出しているようです。
江戸時代の浄瑠璃作者、近松半二を主人公をとした作品。完全に作者のフィクションと思って読みはじめたのだが、近松半二は実在の人物。『妹背山婦女庭訓』は現在でも人気の浄瑠璃および歌舞伎の演目だそうだ。
移籍や分裂、宗旨替えや旗揚げなどの話は現代の小劇団が舞台だと生々しくなってしまうのだが、250年前の人形浄瑠璃一座が舞台だと素直に拝読することが出来た。
また、半二の代表作『妹背山』のストーリーは本作中の記述を読む限りではまるで劇団新感線のなかじまかずきの作品のよう。歌舞伎や文楽も選り好みせずに観とかなきゃダメですね。
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