講談社選書メチエ作品一覧

  • 講談社選書メチエ 解説目録 2021年9月現在
    無料あり
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 講談社選書メチエ解説目録電子版(2021年9月現在) ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • やさしくない国ニッポンの政治経済学 日本人は困っている人を助けないのか
    値引きあり
    4.0
    ―「政府は貧しい人々の面倒を見るべきか?」 これは、世界47ヵ国を対象にして、アメリカのピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が2007年に行った調査に含まれる質問の一つです。この質問に「面倒を見るべき」と答えた人の割合が最も高かったのはスペインで、実に96%にのぼりました。では、その割合が最も低い59%だったのは、どの国でしょう?――それが、日本にほかなりません。つまり、約4割の日本人は、貧しい人や困っている人を自分で助けないばかりか、公の力で助けることにも同意していないのです。では、次の質問はどうでしょう? -「社会の多くの人は信頼できるか?」 これは、2019年に行われた第7回「世界価値観調査(World Values Survey)」にある質問です。この質問に「信頼できる」と答えた人の割合は、オランダでは58.5%、ドイツでは41.6%だったのに対して、日本では33.7%。しかも、「信頼できるか」どうかの対象を「他国の人」に変えると、オランダの15.4%に対して、日本は実に0.2%、という驚くべき結果になります。つまり、日本人は日本人同士でも信頼していないし、他国の人はほとんど信頼していない、ということです。 本書は、こうしたさまざまな調査の結果を紹介しながら、「おもてなしの国」と言われ、自分たちでもそう思っている日本人が、本当は「やさしくない」ことを明らかにします。この「やさしくない国」をもたらした歴史的・社会的な要因を探ったあと、このまま進んでいった先にはどのような国が待っているのか、その姿が浮かび上がってくるでしょう。すぐに「自己責任」や「自助」が叫ばれる現状を変えるには、どうすればよいのでしょうか。長年ヨーロッパで教育・調査に携わってきた気鋭の著者がクリアに描く日本の姿と、明るい日本を実現するための方策――本書には、確かにこの国の「今」と「未来」があります。 [本書の内容] 序 章 人にやさしくない、貧しい国ニッポン 第1章 他人を信頼しない日本人 第2章 そもそも、なぜ人は他人を助けるのか 第3章 日本人の社会参加 第4章 利己主義の社会的帰結 第5章 日本はベーシック・インカムを導入すべきか
  • いつもそばには本があった。
    4.8
    1冊の本には、たくさんの記憶がまとわりついている。その本を買った書店の光景、その本を読んだ場所に流れていた音楽、そしてその本について語り合った友人……。そんな書物をめぐる記憶のネットワークが交錯することで、よりきめ細かく、より豊かなものになることを伝えるため、二人の著者が相手に触発されつつ交互に書き連ねた16のエッセイ。人文書の衰退、人文学の危機が自明視される世の中に贈る、情熱にあふれる1冊!
  • MMT 現代貨幣理論とは何か
    値引きあり
    4.0
    いま世界の政治、ビジネス、経済論壇を席巻する現代貨幣理論(Modern Monetary Theory=MMT)について、知るべきことがすべて、これ1冊で、明快にわかる! 日本が/世界が変わる “異端”の経済学、最良の入門書。 「財政破綻の危機」は幻想か? 政府はどこまで借金ができるのか? 経済のマクロな仕組みの初歩から貨幣というものの本質論まで、 標準的な経済学の理論もふまえてMMTを中立的に分析。 ベストセラー『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』によって、 AIによる雇用危機の可能性を提起、社会現象を惹起した、 日本でいまもっとも注目される経済学者のひとりである著者が、 MMTが日本が長期低迷から脱するための理論となりうるか否かを明快に解説。 さらには、「すべての人々のための貨幣制度」を展望する意欲作! 【本書より】  MMTは、非主流派の経済理論、つまり一般的な経済学の教科書には載っていない理論です。主流派の経済学者からすれば、MMT派は「異端派」ということになります。  私は、大学の講義で「ミクロ経済学」とか「マクロ経済学」といった主流派の経済学を教え、学術的な論文も主流派のフレームワーク(枠組み)にしたがって書いています。しかしながら、主流派とか非主流派といった区分に本質的な意味があるとは思っていません。  私自身は、MMTに全面的に賛成でも、全面的に反対でもありません。明確に賛成できる部分と疑問や違和感を抱かされる部分とが混在しています。本書は、そうした立場の経済学者から著されたものです。  MMTは、拡張的財政政策を採用して借金を増やすのが正しいのか、逆に緊縮的財政政策を採用して借金を減らすのが正しいのか、という国の命運を左右するようなテーマに関わっています。この問題の重要性の前では、主流派経済学かどうかといったことは些末なことであり、最終的な賛否はさておくとしても、まずはMMTの主張に耳を傾けるべきでしょう。  私は、もとより拡張的財政政策を採用するのが正しいと思っており、その考えを補強したいがために、MMTの理解に努めました。その成果をまとめたのが、本書ということになります。  【本書の内容】 なぜいまMMTが注目されるのか? 貨幣の正体―お金はどのようにして作られるか? 政府の借金はなぜ問題にならないか? 中央銀行は景気をコントロールできるのか? 政府は雇用を保障すべきか?―雇用保障プログラム MMTの余白に―永遠の借金は可能だろうか?
  • 天皇と和歌 国見と儀礼の一五〇〇年
    値引きあり
    5.0
    1500年に及ぶ天皇と和歌の「多彩で強固な関係」を通観する。『万葉集』の巻頭、少女への恋心を歌う雄略天皇の作に読み取れる、敵対者との抗争。平安時代から編まれた21もの勅撰集。戦国乱世の「古今伝授」。幕末の尊王運動への影響。明治天皇は、厖大な数の歌を詠むことで「国民国家の元首」となり、日米開戦を目前にした昭和天皇は御前会議で祖父の御製を読み上げた。「和歌」という視点から描く、異色の「天皇の歴史」。
  • 熊楠の星の時間
    値引きあり
    4.5
    著者中沢新一氏は、長年にわたり南方熊楠についての考察を深め、多くの論考を発表してきました。1990年代に刊行された『森のバロック』(読売文学賞)、『南方熊楠コレクション』(全五巻)などが、その代表作です。また、「宗教学・人類学・民俗学を綜合して「対称性人類学」で新たな思想を展開しています。また独自のフィールドワークによる「アースダイバー」(『アースダイバー』、『大阪アースダイバー』、『週刊現代』連載中の「アースダイバー 神社編」)新しい知見と感性を切り開く可能性をもっています」(南方熊楠顕彰会の受賞理由の概略)。2016年、第26回南方熊楠賞が授与されました。21世紀に入ってから、著者はますます熊楠の重要性を認め、彼の思想の可能性を掘り起こし、発展させるために、2014年には「南方熊楠の新次元」と題する4回の講演・対談を主催しました(明治大学野生の科学研究所)。本書は、その時の講演「アクティビスト熊楠」「明恵と熊楠」(改題「熊楠の華厳」)に加えて、熊楠の心の構造を探った「熊楠のシントム」、海のエコロジーを探究する「海辺の森のバロック」、本書の全体像を提示する「熊楠の星の時間」を収録した、新熊楠論です。思想家・中沢新一が提示する、熊楠哲学の放つ強力な火花に驚愕し、目を開かれることになるでしょう。未来を切り開く一冊です。
  • 日本論 文字と言葉がつくった国
    値引きあり
    -
    「日本語」があって、それを漢字・ひらがな・カタカナで「書く」ということと、「日本語」はなく、あるのは漢字語とひらがな語とカタカナ語、この混合物を「日本語」と呼んでいる、と考えることの違い、この飛躍はなかなか難しい。世界にも希な漢字仮名交じり文という表記法を有し、その下で文化を発展させてきた日本人の意識構造を変えることはできるのか。少なくとも、日本人がいかなる存在であるかを認識することはできるはず。
  • 世界のなかの日清韓関係史 交隣と属国、自主と独立
    値引きあり
    3.7
    日清韓――利害と政治の歴史を照射する! 朝鮮半島は、東アジアの国際関係史を考えるうえで、きわめて重要な位置を占めている。16世紀の東アジア情勢から説き起こし、江戸時代の「日朝交隣関係」と「清韓宗属関係」の併存、19世紀後半の「属国自主」を検証。そのうえで、近代の日清韓の利害対立、国際関係の行方を追う力作。日清、日露戦争にいたる道とはなんだったのか、大きなスケールで描く。(講談社選書メチエ)
  • 本居宣長『古事記伝』を読む I
    値引きあり
    3.0
    1~4巻1,116~1,347円 (税込)
    誰もがその名は知っている本居宣長の大著『古事記伝』。しかし、全巻読み通した人はほとんどいないといっていいだろう。つまみ食い的に読んで彼の思想を語る前に、まず、細部まで精緻に読み抜こうではないか。とはいえ、宣長の注解は多岐・厖大にわたり、簡単に読み切れるものではない。本書は、現代の代表的『古事記』研究者が、その責任において、徹底的に、かつわかりやすく『古事記伝』全44巻を読み解いていく画期的なシリーズである。そこに浮かび上がってくる宣長の無類のおもしろさ、そして思想の核心とは──。(講談社選書メチエ)
  • 〈階級〉の日本近代史 政治的平等と社会的不平等
    値引きあり
    4.0
    武士の革命としての明治維新。農村地主の運動としての自由民権運動。男子普通選挙制を生んだ大正の都市中間層……。しかし、社会的格差の是正は、自由主義体制下ではなく、日中戦争後の総力戦体制下で進んだというジレンマをどうとらえればよいのか。「階級」という観点から、明治維新から日中戦争勃発前夜までの七〇年の歴史を、日本近代史の碩学が描き出す。(講談社選書メチエ)
  • 日本語に主語はいらない 百年の誤謬を正す
    値引きあり
    3.8
    「文法」が日本語を迫害している。「主語がよく省略される」から「非論理的」まで、100年にわたり「日本語」に貼られてきたレッテルを一刀両断する! 「愛らしい」「赤ん坊だ」「泣いた」――日本語の基本文はこの3種で必要十分である。英文法の安易な移植により生まれた日本語文法の「主語」信仰を完璧に論破する、すべての日本語話者、必携の書。(講談社選書メチエ)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。
  • 享徳の乱 中世東国の「三十年戦争」
    値引きあり
    3.8
    戦国時代は「応仁・文明の乱」より13年早く、関東から始まった――。 享徳3年(1454)、古河公方と上杉氏の対立に始まる仁義なき抗争。以降30年近くにわたる戦乱を著者は、「享徳の乱」と称すべきと学界に提唱した。本書はこの用語をメインタイトルとし、「戦国時代の開始=応仁の乱」という根強い「国民的常識」を正さんとする著者年来の宿願である。
  • 「社会」の底には何があるか 底の抜けた国で〈私〉を生きるために
    値引きあり
    3.0
    『「社会」の誕生』(2011年)、『「社会」のない国、日本』(2015年)に続く講談社選書メチエ「社会三部作」、完結。 前著以降の約10年、日本は幾度も自然災害をこうむり、実質賃金が上がらぬまま円高から円安に移行し、物価高に苦しめられている。それに呼応して、さまざまなレベルで分断や分離が進行しているように見える。そして、著者もこの期間に人生の苦難を経験し、三部作の構想をいかに完結させるか、完結させられるかを考え続けた。 「日本ではフィクションつまり作り話が増殖し、蔓延し、しまいには事実や現実に取って代わってしまった。庶民の実態とはかけ離れた「好況」、「経済成長」、科学的事実を無視あるいは隠蔽した「安全・安心」、違法な証拠隠滅さえ厭わず明らかな嘘を押し通す国政の運営等々。あげくの果てには荒唐無稽な陰謀論の不気味な浸透……」――そんな現状認識から始める著者は、こう断じる。「今日ついに我々は、ばらばらになり、互いに共に生きられなくなっている。強者・弱者、マジョリティ・マイノリティの話だけではない。人が人として、個人が個人として生きられなくなっている。人々は分断され、「互いに同じ人間同士」であると思えなくなっている」。 それが証拠に、コロナ禍で叫ばれた「ソーシャル・ディスタンス」に、この国の人々はいとも容易に適応したではないか。では、「社会」が存在しないとは、「社会」が存在しないところで生きるとは何を意味しているのか。――この根本的な問いに答えるために、著者は「社会」を成り立たせる最も根底にあるものを問うことを決意した。前2著での議論を簡潔に振り返り、その末に到達する結論とは? 誰もが考えるべき問いを静かな感動とともに伝える完結篇にふさわしい名著。 [本書の内容] 序 章 分解する日本社会 第1章 社会の誕生、人間の誕生、社会学の誕生 一 トクヴィル──民主主義と人民 二 デュルケーム──社会学の創造 三 ベルクソン──社会的事実の基底 四 永井荷風──日本「社会」の不在 第2章 社会的生の規範性と社会学の基底 第3章 社会を成す=為す個人──デュルケーム道徳教育論 一 道徳性の第一、第二要素──規律の精神と集団への愛着 二 道徳性の第三要素──意志の自律性 三 意 志──生たる社会 第4章 合意に依らない民主主義 一 トクヴィル民主主義論の基底 二 ベルクソンの民主主義論 三 民主主義の根底 第5章 社会の根底 一 生という事実 二 賭けの網 三 生という絶対所与 四 社会と社会学の現実性=実在性 五 民主社会を生きるということ──平等と自由、意志の自律と多様性 終 章 現代日本を生きるということ
  • 歌麿『画本虫撰』『百千鳥狂歌合』『潮干のつと』
    値引きあり
    5.0
    習作期の新進絵師・喜多川歌麿、ブームを経て定着していた「天明狂歌」、そこに目を付けた新興版元・蔦屋重三郎。これらを組み合わせたら――こうして生まれた「狂歌絵本」のうち、『画本虫撰』『百千鳥狂歌合』『潮干のつと』の「歌麿三部作」を翻刻。美人絵の代名詞・歌麿の描く「虫・鳥・貝」と唐衣橘洲ら「狂歌三大人」を初めとする狂歌のコラボが、得体の知れない迫力を生む。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • 大江戸商い白書 数量分析が解き明かす商人の真実
    値引きあり
    3.5
    零細店舗あふれる江戸の町。外食屋七〇〇〇軒。一二六人あたり一軒の古道具屋。米屋は一日三〇名程度の来店客――。十数年しか続かず、血縁原理も働かなかった商家がほとんどだった花のお江戸の商人たちの選択のドラマとは? 狭くて人口密度が高く、売り手買い手ともに自由な一大消費都市江戸の商いのありようとは? 四〇〇〇軒の商家を徹底的に数値解析することで、従来の大商家「越後屋=三井」史観に決別する。(講談社選書メチエ)
  • 地図入門
    値引きあり
    5.0
    地図とは地形や道路、建物などの現実を記号化すること。そのためには、さまざまな省略があります。地図の制作者はどのように現実を記号化するのでしょうか。「総描」「転位」とはどのような作業なのか? また、基準を決めるのも重要です。たとえば、海抜0メートルの決め方とは? 地形図と海図の基準の違いとは? 日本の近代以降の地図を中心に、読み方から楽しみ方まで紹介する入門書の登場です。(講談社選書メチエ)
  • 宗教で読む戦国時代
    値引きあり
    3.8
    戦国日本人の「見えない宗教性」を解明。なぜキリスト教は拒否されたのか。一向一揆は宗教一揆だったのか。宣教師も驚いた戦国日本人の高度な精神性。その「ゆるやかな宗教性」のバックボーンとしての「天道」思想をキーワードに、一向一揆、キリシタン論争から島原の乱まで、日本人の心性に新たな光を投げかける。(講談社選書メチエ)
  • 日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか
    値引きあり
    4.2
    【第16回 山本七平賞奨励賞受賞】 暗号解読など優れたインフォメーション解読能力を持ちながら、なぜ日本軍は情報戦に敗れたか。「作戦重視、情報軽視」「長期的視野の欠如」「セクショナリズム」。日本軍最大の弱点はインテリジェンス意識の欠如にあった。インテリジェンスをキーワードに日本的風土の宿痾に迫る。(講談社選書メチエ)
  • 電鉄は聖地をめざす 都市と鉄道の日本近代史
    値引きあり
    4.4
    小林一三神話を覆す! 私鉄黎明期の語られざる歴史「阪急や阪神、東急や西武といった"電鉄"が、衛生的で健全な"田園都市"を郊外につくりあげた」――よく知られたこの私鉄をめぐる物語の深層には、「寺社仏閣」を舞台とする語られざる歴史があった。初期の電鉄をめぐる世界では、神社仏閣とそれを取り巻く人々の、ある意味無軌道とも言える行動が郊外空間を作り出していったのである。それは、近代的な都市計画といった無機質なものでも、経済的な功利性のみだけでも説明のつくものではなかった。とくに、われわれが通常イメージするような鉄道が確立してくる以前の黎明期には、現在の視点からみると「怪しい」人々が蠢いていたのである。そうした人々を突き動かしていたのは、寺院や神社を興隆させたいという熱情であった。「わが門前に鉄道を」……そのすさまじいまでのパワーが、電鉄を、ひいては日本の都市を作り出していったのである。本書は、「電鉄」と社寺を取り巻く「怪しい人々」に光を当てることで、都市と鉄道という近代化の物語の陰に隠された歴史を明らかにしようというものである。近代の荒波を生き抜く希望を鉄道に見いだした寺社と、そこに成功栄達の機を嗅ぎつける怪しくも逞しき人々が織りなす、情熱と欲望、野望と蹉跌のドラマ。鉄道誘致と都市開発をめぐる、ダイナミックで滑稽で、そして儚い、無二の日本近代都市形成史。【本書の内容】序章 「電鉄」はいかにして生まれたか第一章 凄腕住職たちの群像――新勝寺と成田の鉄道第二章 寺門興隆と名所開発――川崎大師平間寺と京浜電鉄第三章 「桁外れの奇漢」がつくった東京――穴守稲荷神社と京浜電鉄第四章 金儲けは電車に限る――池上本門寺と池上電気鉄道第五章 葬式電車出発進行――寺院墓地問題と電鉄終章 日本近代大都市と電鉄のゆくえ
  • 喧嘩両成敗の誕生
    値引きあり
    4.3
    中世、日本人はキレやすかった!大名から庶民まで刃傷沙汰は日常茶飯、人命は鴻毛のごとく軽かった。双方の言い分を足して二で割る「折中の法」、殺人者の身代わりに「死の代理人」を差しだす「解死人の制」、そして喧嘩両成敗法。荒ぶる中世が究極のトラブル解決法を生みだすまでのドラマ。
  • 終戦後史 1945-1955
    値引きあり
    -
    敗戦、GHQによる占領、独立。農民・労働者・女性・子どもの地位向上と、復員・引揚者への冷淡なまなざしという社会的権力関係の逆転。戦勝国に対する敗戦国の屈折したナショナリズムと、大衆にまで浸透するアメリカ型消費文化。自由経済か統制経済か、保守一党優位体制か、政権交代を伴う二大政党制か――。いくつもの国家像を模索し、新しいかたちを選び取っていった転換期日本の歴史空間を再現する。(講談社選書メチエ)
  • 町村合併から生まれた日本近代 明治の経験
    値引きあり
    4.0
    明治七年の町村七万八〇〇〇、明治二二年の町村一万六〇〇〇弱。明治の大合併、それは新たな境界線を社会に引く試みだった。あいつぐ町村からの異議申し立て、合併後も紛争を抱える自治体……。近世の地縁的・身分的共同体というモザイク状の世界から、近代の大字-市町村-府県-国家という同心円状の世界へ。府藩県三治制、大区小区制、そして明治二二年の大合併にいたる「地方制度」の変遷をたどりながら、近代社会を問い直す。(講談社選書メチエ)
  • 母親の孤独から回復する 虐待のグループワーク実践に学ぶ
    4.5
    増加の一途をたどる子どもへの「虐待」。気づいたら子どもを叩いてしまう、叩いてしまう自分を抑えられない……。そんな母親は、自分も子どもの頃に母親から叩かれたことに気づけず、不安と孤独の中にいる。「MY TREE ペアレンツ・プログラム」での実例を紹介しながら、「独り」から始めて自分を取り戻すための道を探っていく本書は、人知れず苦しんでいる母親たちにヒントを贈りたい、という思いとともに書かれた。
  • 戦国日本を見た中国人 海の物語『日本一鑑』を読む
    値引きあり
    3.8
    16世紀半ば、戦国時代の日本をルポルタージュした中国人がいた。その後すっかり忘れ去られていた貴重な記録『日本一鑑』には、いったい何が書かれているのか。明清時代の中国を、ユーラシアの陸と海から大きな視点でとらえた著作で高く評価される著者が、日本の戦国時代を描き直す意欲作。 1523年、戦国日本の有力者、大内氏と細川氏が日明貿易をめぐって争い、中国の港町を争乱に巻き込んだ「寧波事件」は明朝に衝撃を与えた。密貿易と倭寇への対策に悩む朝廷の命を受けて、日本の調査のために海を渡ったのが、『日本一鑑』の著者、鄭舜功である。「凶暴、野蛮な倭人」という従来の先入観にとらわれない鄭舜功の視線は日本の武士から庶民におよぶ。生活習慣や日本刀の精神性、切腹の作法、男女の人口比など多岐にわたって、凶暴なるも礼節を重んじ、秩序ある日本社会を描いている。 また、日本さらに畿内への詳細な航路の記録は、当時の日本の政治・軍事状況を映し出す。九州の東西どちらを通るのか、瀬戸内航路か太平洋航路か――。しかし、大きな成果をあげて帰国した鄭舜功には、過酷な運命が待っていたのだった。 本書によって、日本の戦国時代は、応仁の乱から関ヶ原の合戦へという「陸の物語」ではなく、実は日本からの銀の輸出と海外からの硝石・鉛の輸入を主軸とする「海の物語」であったというイメージが、新たに像を結んでくるだろう。 目次 はじめに─―忘れられた訪日ルポには何が書かれているのか 序 章 中世の日本を俯瞰する 第1章 荒ぶる渡海者 第2章 明の侠士、海を渡る 第3章 凶暴なるも秩序あり 第4章 海商と海賊たちの航路 終 章 海に終わる戦国時代 あとがき
  • 地図づくりの現在形 地球を測り、図を描く
    値引きあり
    4.0
    近代日本の地図づくりは、どんな技術で、いつ始まったのか。 明治政府が国土を測り始めて150年。測量を積み重ね、やがて航空写真も用いて得た情報をもとに、人間の手あるいは図化機によって手作業で描かれていた。 それによって描かれた「2万5000分1地形図」は、1908年に作成が始まったが、離島を除く日本全国4000面以上の図が完成したのは1981年、さらに北方領土なども整備されたのは2014年であった。 そして今、ようやく完全整備された「2万5000分1地形図」は使われる機会が激減している。衛星による測量技術やデジタル技術の進化による図化の方法、形式の変容などが新しい地図の世界を開いているのである。 三角点から電子基準点へ、航空測量に加えた衛星測量、また図の表現形式の目的別多様化など、まったく姿を変えつつある地図づくりとその活用法の広がりを紹介。
  • とうがらしの世界
    値引きあり
    4.0
    いつ、日本に伝わったのか? なぜ、辛いのか? 辛いししとうと、辛くないししとうの違いとは? ダイエットの効果はあるのか?  「辛い」というよりも「臭い」ハバネロ、「ネズミの糞」の名を持つ激辛種・・・。 知れば知るほど汗が出る。科学と食文化の両面から、世界のトウガラシを挟み撃つ、刺激的な「食の教養」! 第一部では、食用トウガラシの起源から、たくさんの種類、辛さの秘密、トウガラシでのダイエットまで、「トウガラシの基礎知識」を解説。 第二部は、トウガラシの故郷・中南米のハバネロに代表される激辛料理に始まり、スペイン、イタリア、東欧などのヨーロッパの郷土料理、さらにアフリカ、インド、タイ、中国、韓国・・・などなど、「世界一周トウガラシ紀行」。そして、実は豊かな日本の「唐辛子文化」を京都、信州はじめ各地に訪れる。
  • 十八世紀京都画壇 蕭白、若冲、応挙たちの世界
    値引きあり
    -
    蕪村や応挙、若冲、蘆雪に蕭白。ほぼ同時期、同じ地に豊かな才能が輩出した。旧来の手法から抜けだし、己の個性を恃んで、奔放に新しい表現を打ちだす。十八世紀の京都は、まさにルネサンスの地であった。「奇想」の美術史家・辻惟雄は、彼らの作品に向き合い、多数の論考を遺している。それらを抜粋し、作品の解釈から時代背景や人物像にも迫ってゆく。あの時代の京都を、彩りをもって甦らせる試みである。
  • 大正=歴史の踊り場とは何か 現代の起点を探る
    値引きあり
    4.0
    大正時代、都市化の進行や人々の意識の変化は、明治に始まった「官製の近代化」とは質の違う近代を歩み始めたのではないか。新しい社会・思想の源があったのではないか。「震災」「民生」「学区」「趣味」「娯楽」「サラリーマン」「職業婦人」「専業主婦」「地方(ぢかた)」「自由」など、この時代の言葉に着目、その発生や流行の社会状況を立ち上がらせながら、現代の社会や暮らし方の起点となった時代を読み解く。
  • 戦国大名の「外交」
    値引きあり
    4.9
    戦国大名たちは合戦だけをしていたわけではない。 和睦や軍事同盟、領土交渉という「外交」を、活発に行って戦国時代を生き抜かんとしていた。 武田信玄・今川義元・北条氏康による名高い「甲駿相三国同盟」の成立の舞台裏をはじめ、文書と交渉者「取次」が飛び交う、外交の現場を生々しく描き出す。 最新の戦国期研究の成果がここにある! (講談社選書メチエ)
  • SNS天皇論 ポップカルチャー=スピリチュアリティと現代日本
    値引きあり
    4.0
    生前退位から令和改元フィーバーの陰で、この国では何が起こったのか? スマホの中の象徴天皇制を問い、「生前退位」から令和改元の言説空間を鋭く分析する、日本でもっともビビッドな表象文化論! SNSでは皇太子とのツーショット写真が投稿され、天皇は時に「かわいい」キャラクターとして愛でられる一方、スピリチュアリティへの欲望をかき立てている。 そうした時代に明仁天皇は、「おことば」の発信によって「弱者政治【マイノリティ・ポリティクス】」という言説戦略をとった。 誰もが表象の消費者であり、同時に表象の生成者ともなり得る「ポスト・グーテンベルク」時代に、わたしたちは天皇(制)とその表象をいかにして問うことが可能なのか。本書はその試みである。 [本書の内容] 序章 表象の集積体としての天皇(制)研究―その可能性と限界 第一章 「おことば」の政治学  1映像表現としての「おことば」を読み解く   2語りの戦略性―「弱者」としての自己表象と「寄り添い」のディスクール   3語り手の欲望―アリバイとしての宗教的超越性の語りと永続性への欲求  第二章 狂乱と共犯―令和改元におけるメディア表象をめぐって  1政府による「政治的利用」の成功  2皇室による異議申し立てとその欲望、実質的共犯   3政府と皇室の共犯関係  4マスメディアの狂乱と不安、SNSの充満とノイズ  第三章 ポップカルチャー天皇(制)論序説  1皇室によるポップカルチャー消費―ゆるキャラ・初音ミク・アイドル   2ポップカルチャーによる皇室消費―現代天皇小説・天皇マンガ考   3 monstrum としての『シン・ゴジラ』  第四章 「スピリチュアル」な天皇をめぐる想像力―瑞祥・古史古伝・天皇怪談  1令和「瑞祥」と規範逸脱の可能性  2雑誌『ムー』における「オカルト天皇」言説   3現代天皇怪談、その異端性と批評性  第五章 「慰霊」する「弱い」天皇の誕生―一九九四年小笠原諸島行幸啓の検討から  1慰霊の宛て先   2訪問意図の読み替え   3「弱い天皇」の誕生  終章 SNS時代の天皇(制)を問うこと ※第四章の一部は、青弓社刊『〈怪異〉とナショナリズム』(怪異怪談研究会監修、茂木謙之介ほか編著、2021年)を基とする。
  • 〈芸道〉の生成 世阿弥と利休
    値引きあり
    3.7
    出会わざる二つの巨星、ここに出会う。 芸術と政治権力の矛盾に満ちた「共生」の秘密を解き明かす、ドイツ哲学の大家による鮮やかな新解釈。 将軍・足利義満の寵愛を受け、芸術界の頂点を極めた世阿弥は、しかし義教の時代に一転冷遇され、佐渡配流に。一方、織田信長に引き立てられ、豊臣秀吉に優遇された千利休も、最期は秀吉から自刃を賜ることになった。 「芸道と権力の矛盾的共生」を生きた稀代の芸術家二人は、弛緩と緊張の相半ばする時代と人生の只中で、能楽と茶の湯という芸道をいかにして成らしめたのか。時の隔たりを超え、二つの巨星を突き合わせることで見えてくる、日本的美の深奥としての「遊」の境地。 [本書の内容] 第一章 なぜ「世阿弥と利休」か  一 六百余年の忘却に埋もれていた世阿弥  二 「世阿弥と利休」という視座  三 世阿弥と足利義満・義教  四 利休と織田信長  五 利休と豊臣秀吉  六 「芸道」および「茶道」の概念史  七 東西の芸術観の比較  八 戦陣の中の遊楽 第二章 世阿弥と義教  一 足利義教――天魔と歌人が同居する将軍  二 『風姿花伝』の「花」  三 『風姿花伝』から『花鏡』へ――「秘すれば花」  四 「離見の見」――演者の目と観衆の目  五 「批判之事」――「貴人」の批評眼の意味  六 『金島書』――「こがねの島」佐渡へ/から 第三章 利休と秀吉  一 『南方録』研究史の概観――茶湯ニハ、昔ヨリ書物ナシ  二 下克上の時代の茶の湯  三 織田信長――夢幻の如く也  四 秀吉と利休――美をめぐる対峙と共生  五 『南方録』の美学  六 「利休死後」の利休 結語 「遊」、そして現代 あとがき 西田幾多郎の手紙(新史料)にちなんで
  • 大仏師運慶 工房と発願主そして「写実」とは
    値引きあり
    5.0
    鎌倉時代の大仏師、運慶とはいかなる存在だったのか。 定朝を祖とする正系仏所三派中の奈良仏師に連なる運慶。 朝廷・幕府という二元的権力構造による時代の大きな変動期、 院・天皇・将軍・御家人など各種パトロン層の依頼を受けて 東大寺・興福寺の復興、円成寺・願成就院などの様々な造像に 関わった実情と、工房主宰者としての実力とは? 後に「霊験仏師」「天才」とも冠されることになる運慶の実像に迫る。
  • 叱られ、愛され、大相撲! 「国技」と「興行」の一〇〇年史
    値引きあり
    -
    日本の伝統文化にして「国技」とされる大相撲は、一方で八百長疑惑や「横綱の品格」をめぐって、世間から叱られ続けている。この「叱られ体質」は、いつから、何に由来するのだろうか。大相撲100年の「叱られ、愛された歴史」を、「スー女」を自認する著者が丹念に掘り起こした意欲作。明治42年(1909年)、落成したばかりの相撲常設館、その名も「国技館」の「玉座」で、8歳の少年が相撲を観戦した。この少年――明治天皇の皇孫、のちの昭和天皇に愛されたことが、大相撲の黄金時代と深い苦悩の始まりだった。「国技」とは一体何か。「初っ切り」や「相撲甚句」「化粧まわし」は、「国技たる武道」の堕落ではないのか? 本書には、それぞれの「相撲道」を模索した人々が登場する。植民地台湾に力士100人を招いた任侠の親分。東京の相撲界に反旗を翻し、大阪で「角力」を興した異端児。「相撲体操」を考案し、台湾や満洲で相撲教育に邁進した熱血教師。勃興したスポーツジャーナリズムの中で、独自の相撲論を展開するインテリ力士。戦地慰問に疲労困憊しながら連勝記録を樹立した大横綱。そして1945年11月、焼け野原の東京、損壊甚だしい国技館に満場の観客を集めて、戦後初の本場所が開催される。「国技」と「興行」のジレンマに悩みながら、いつも愛され、そこにあった大相撲の近代史。
  • 「怪異」の政治社会学 室町人の思考をさぐる
    値引きあり
    3.0
    怪異とは、それぞれの時代の特徴を、もっとも生々しく切り取る切り口のひとつなのである。それぞれの時代の社会が直面し、そして説明しきれず、恐れねばならなかった問題は、いったいなんであったのか。その問題と関連づけながら、政権中枢に向かって……どのような思考や実践がおこなわれたのか。……怪異を切り口にすることで、政治・経済・文化にまたがる人びとの思考を、われわれは動態的にみてゆくことができるのである。
  • 帝国議会 〈戦前民主主義〉の五七年
    値引きあり
    -
    第二次大戦以前に、アジアの非キリスト教国で憲法と議会制度の定着に成功したのは日本だけであり、その裏には、官民一体となった営々たる近代化の努力があった。現在の「常任委員会制」と対照的な「読会制」、選挙の制度と実態、政党の役割、代議士の生活、弁論術と放言・失言の数々…。人々が「議会」に理想を描き、「政治」に熱く心を寄せた時代。そして、戦時体制へと向かう帝国議会の限界と、戦後の国会誕生の過程を検証する。
  • 〈お受験〉の歴史学 選択される私立小学校 選抜される親と子
    値引きあり
    4.0
    お受験といえば現代社会特有の現象のように思いがちです。しかし1930年代にはすでに、幼稚園の教師から合格のお墨付きをもらっていたのに、入学資格を与えられなかった母親が嘆きの手記を残しています。進物をしなかったからかと自分を責めるその姿は、子を思う親の心がいつの時代も変わらないことを教えてくれます。子と同時に親も選抜されるお受験。ママカーストについても、その実態を数字から暴き、お受験の今に迫ります。(講談社選書メチエ)
  • 戦国大名論 暴力と法と権力
    値引きあり
    5.0
    戦国時代、大名の配下にありながら、「家中」と「領」をもつ者がいた。戦国領主と呼ばれる存在である。大名の生命線は、彼らをいかに統制するかにあった。暴力の時代にあって、いかに支配を安定させたのか。暴力と法のせめぎ合いから、新しい権力が誕生した。群雄割拠の時代を権力論の視点から読み直す。(講談社選書メチエ)
  • 源実朝 「東国の王権」を夢見た将軍
    値引きあり
    4.3
    「文弱の貴公子」という八百年来の誤解から実朝を解放する。政治状況の精緻な分析と、和歌への犀利な読み込みが明らかにする「東国の王権」を夢見た男の肖像。(講談社選書メチエ)
  • 神武天皇の歴史学
    値引きあり
    3.7
    天皇の初代とされる神武天皇は、生没年はもちろん、その実在さえ定かではない。しかし、伝説上の重要人物として、日本の歴史に大きな影響を与え、論争を呼び起こし、時に政治問題となってきた。天皇陵をめぐる近世・近代史の研究者である著者が、「神武天皇陵」の所在地論争と、橿原神宮の創建を軸に、「歴史学の主題」としての神武天皇に迫る。 初代天皇の墓所「神武天皇陵」は、実は江戸時代になるまで定かではなかった。元禄時代の江戸幕府の調査で、奈良・四条村の塚山に「定められた」のである。しかし、当初からこれには異論があり、幕末期には孝明天皇の意思により、その300メートルほど南の「神武田」に改められ、ここが、現在も天皇が参拝を行う神武天皇陵となっている。一方、国学者の本居宣長らは、畝傍山中の丸山を主張して根強い支持を得ており、明治期になっても「疑念」はくすぶり続けた。さらに、水戸学の巨頭・徳川斉昭、寛政の三奇人・蒲生君平、幕末の能吏・川路聖謨、明治大正の文人画家・富岡鉄斎らの見解もみていく。 また、神武天皇を祀る橿原神宮の創建と隆盛に尽力し、のちに決裂した民間勤王家・奥野陣七の生涯や、明治期に「神武天皇祭」に冷徹な目を向けたお雇い外国人にも注目し、「紀元節」から「建国記念の日」へと、現代にいたる「神武天皇」と日本社会をとらえ直す意欲作。 目次 序章 現代の神武天皇 第一章 三ヵ所の神武天皇陵 第二章 幕末動乱と神武天皇陵 第三章 奈良奉行所与力の結論 第四章 文久の修陵 第五章 明治天皇の親祭 第六章 橿原神宮と民間結社 第七章 消えない疑念 終章 紀元節から「建国記念の日」へ
  • 銭躍る東シナ海 貨幣と贅沢の一五~一六世紀
    値引きあり
    4.5
    〈共進化する東アジア史を、貨幣という視点から捉える!〉 「ちかごろ北京城の内外で人々は贅沢を好み、貴賤を問わず、みな金襴や宝石を身に着け、服装がみずからの分限を甚だしく越え、どの宴席でもいつも盛りだくさんの料理や菓子などが並べられ……」 15世紀後半、明の都・北京では人びとが競って贅沢にふけるようになった。奢侈の風潮は、さらに朝鮮半島、そして日本列島にも伝播し、絹製品や陶磁器・金銀・珠玉などの「唐物」が東シナ海を盛んに行き交うこととなる。 大陸・半島・列島にわたる「贅沢の連鎖」はなぜ起こったのか? それは単なる偶然ではなく、また各地域内の単一事象だけでも決して説明がつかない、世界史的事件であった! これまで日本史の枠内で捉えられていた応仁の乱前後を画期とする日本列島の経済成長も、日朝交易が過熱化し半島から列島へ流れ混む朝鮮綿布、琉球を経由した唐糸・青花の流入といった多地域にわたる国際交易の活況と切り離して考える事ができない。 中世日本の経済成長、私鋳銭の流通や石高制への変化などの事象も、東アジア各地の経済成長と連動したものであった。 本書は、中国・朝鮮・日本の経済変動が相互に影響を与え合い、複数の起点からなる共時的な歴史変動がいかに生起するかを探る試みである。 【本書より】 総じて、およそなんの関わりもないように思われてきた東アジア各地の個々の事象が互いに関連し合い、やがてひとつの大状況(東アジア大での経済成長、日本銀の登場、倭寇的状況など)を創出し、さらにその大状況が多数の事象を派生させるとともに、これらの事象によってふたたび変容する、そのような歴史過程を描き出すことが本書の目的である。いままで意識されなかった歴史の「流れ」を見出し、その生成・展開を跡づけることを通して、この時期の中国史・日本史そして東アジア史をめぐる既存の認識とは多少なりとも違ったストーリーを提示できればと考えている。 【主な内容】 第一章 贅沢は連鎖する ─明・朝・日の経済成長 第二章 悪銭と悪貨─ 巻き起こる通貨変動 第三章 そして「倭銀」があらわれた 第四章 活況と騒乱の東アジア─ シルバー・ラッシュがもたらしたもの おわりに ─ 「唐物」と「夷貨」:東アジア史を動かす“モノ”
  • 鷹将軍と鶴の味噌汁 江戸の鳥の美食学
    値引きあり
    4.8
    おいしい野鳥が食べたい!――幕府の権力をもってしても、江戸のグルマンの食欲を抑え込むことはできなかった。失われた食文化の全体像を、初めて描き出す異色作! 江戸時代の人々は、多くの「野鳥」を多彩な調理法で食していた。鶴、白鳥、鴨、雁、雉子、雲雀、鷺、雀、鳩・・・それらは、食のみならず政治や経済、儀礼などをめぐって、魚やほかの動物たちには見られない、複雑で高度な文化の複合体を形作っていた。鳥は、日本文化そのものを理解するうえで欠かせない重要な動物だったのである。 歴代の徳川将軍は、鷹狩で野鳥を狩り、鶴を天皇に献上し、また大名や家臣に獲物を分け与えた。中・下級の武士たちは雁鍋や鴨鍋を楽しみ、裕福な町人は料亭で野鳥料理に舌鼓をうち、庶民は鴨南蛮や雀焼といった素朴なファストフードを頬ばった。幕府によって野鳥流通が厳しく統制され、日本橋の水鳥市場は活況を呈し、その大きな利権を狙ってアウトローたちがうごめいていた。しかし、江戸時代に隆盛を極めたこの食文化は、明治以降、衰退してしまう。そして今、数千年の歴史をもつ野鳥を食べる伝統文化が、日本から消滅しようとしている。 さまざまな野鳥料理のレシピ、江戸に鳥を送っていた村のフィールドワークなどから、語られざる食文化を総合的にとらえたガストロノミー(美食学)の誕生。 目次 序章 鳥の味にとりつかれた美食家たち 第一章 鳥料理の源流――京料理から江戸の料理へ 1 日本人はいつから鳥を食べていたのか? 2 中世の鳥料理 第二章 江戸時代の鳥料理と庖丁人――鶴の味噌汁、白鳥のゆで鳥、鷺の串焼き 1 江戸の町から出てきた大量の鳥の骨 2 『料理物語』のレシピ 3 庖丁人――一流シェフの伝統と技術 第三章 大衆化する江戸の鳥料理――富商、貧乏武士、町人の味覚 1 鶏鍋、雁鍋、鴨鍋――中級・下級武士の食卓 2 料亭・名店の味――富裕層、文人墨客の贅沢 3 鴨南蛮と雀焼――庶民の素朴なファストフード 第四章 闇の鳥商売と取り締まり――せめぎあう幕府と密売人 1 「生類憐れみの令」による危機 2 アウトローたちの鳥商売の手口 3 鳥商売と大岡裁き 第五章 侠客の鳥商人 ――東国屋伊兵衛の武勇伝 1 日本橋・水鳥市場の男伊達 2 幕臣と侠客との親密な関係 第六章 将軍様の贈り物――王権の威光を支える鳥たち 1 鷹狩と贈答による秩序維持 2 「美物」の使い回し――中世の主従関係 3 「饗応料理」の鳥の意味 第七章 江戸に鳥を送る村――ある野鳥供給地の盛衰 1 手賀沼の水鳥猟 2 西洋的狩猟の浸食 3 カモが米に負けた 終章 野鳥の味を忘れた日本人
  • 昭和・平成精神史 「終わらない戦後」と「幸せな日本人」
    値引きあり
    -
    敗戦から70年以上が過ぎ、元号も2度あらたまって、いよいよ昭和も遠くなりつつある。「もはや「戦後」ではない」という宣言から数えてもすでに60年以上が経った。しかし、私たちが生きているのは、今なお「戦後」なのではないだろうか。毎年、戦後何年になるかを数え、ことあらば「戦後初」をうたう。私たちが生きている時間は、つねに「戦後」を起点とし、「戦後」に規定されている。これはいったいなにを意味しているのだろうか。令和の時代を迎えても加速する一方の「息苦しさ」、「生きづらさ」は、実はこの「終わりなき戦後」の終わらなさにこそ原因があるのではないか――。 本書は、「戦後」という幸福な悪夢の外側に、どうにかして越え出るために、昭和・平成を貫く時代精神の真の姿を映し出す試みである。 太宰治の絶望、ゴジラに仮託された不安、力道山が体現した矛盾、さらにオウム真理教という破綻と癒えることのない東日本大震災の傷。戦後日本社会の精神史は、東京オリンピックや大阪万博、インターネットの普及など華やかな出来事や物質的豊かさの影で、それを支えるためにそこから排除されてきた人々の嘆きと悲しみの声に満ちている。その声に耳を傾け、「息苦しさ」と「生きづらさ」の根源から目を逸らさず、その姿を受けとめること。「戦後」を終わらせるため、声高になることなく、著者は静かに繰り返し私たちに語りかける。 うわべだけの「幸せな日本人」を脱ぎ捨て、敗戦から日本社会が抱えこんできた絶望を直視したときにはじめて、希望もまた輝きはじめる。「終わりなき戦後」から、かけがえのない一歩を踏み出すのための、時代に捧げる鎮魂歌。
  • 丸山眞男の憂鬱
    値引きあり
    3.8
    戦後日本を代表する知識人・丸山眞男(1914-96年)は何に躓き、「憂鬱」に陥ったのか? 主著『日本政治思想史研究』(1952年)を読み解き、後年の論文「闇斎学と闇斎学派」(1980年)と山本七平(1921-91年)の『現人神の創作者たち』(1983年)を併置・対照することを通して、日本の近代化に潜む真実を明らかにする。これまで誰もなしえなかった不可欠の試みを実行する画期の書!
  • 国鉄史
    値引きあり
    4.3
    【"この国のかたち"を鉄路で描いた者たちの、栄光と蹉跌の全史】 かつて日本には、国家の所有する鉄道があった。 その組織は平時においては陸軍をしのぐ規模を誇り、列島津々浦々の地域を結びつける路線を構想することは、社会のグランドデザインを描くことそのものであった。 歴代の国鉄トップは、政治家や官僚たちは、そして現場の人々は、この巨大交通システムに何を託し、いかに奮闘したのか。 近代化に邁進する明治政府が新橋・横浜間を開設してから昭和末期に日本国有鉄道が分割民営化されるまで、「鉄道と国家」の歴史を一望する壮大なパノラマ! 【本書より】 日本の鉄道の歴史は大きく四つの時代に分けることができます。まず、明治時代の私鉄が主役だった時代、次に、日露戦争後に多くの私鉄を買収した政府が直営した時代、さらに、第二次世界大戦後、国鉄が公社化されて日本国有鉄道となった時代、そして現在のJRの時代です。 (中略) 本書ではこれから、日本の鉄道の歴史を、鉄道がいかにあるべきかというグランドデザイン、その実現のための経営体制、そしてそれを動かしてきた人物ということに焦点を当てて描き出していきます。それにあたって、この四つの時代区分という捉え方は、たいへん見通しをよくしてくれるので、これに従って議論を進めていきたいと思います。 【本書の内容】 プロローグ 「鉄道一五〇年」と国鉄 [第一部  「国鉄」形成の道程] 第一章 私鉄の時代(一八七二─一九〇六) 1.官設鉄道の誕生  2.「鉄道の父」井上勝  3.鉄道敷設法と私鉄の繁栄  第二章 国家直営の時代(一九〇六─一九四九) 1.鉄道国有法の制定 2.「国鉄」の誕生 3.初代総裁後藤新平の組織作り 4.原敬と改正鉄道敷設法 5.国鉄ネットワークの充実 6.戦時下の苦闘とその遺産 [第二部 日本国有鉄道の興亡─公社の時代(一九四九─一九八七)] 第三章 「復興」の中で(─一九五五) 1.占領期の混沌 2.「公共企業体」の桎梏と総裁たち 3.組織と人々 第四章 「近代化」への邁進(―一九六五) 1.新しい時代の鉄道像 2.「改主建従」の夢 第五章 光と影の昭和四〇年代(─一九七五) 1.都市交通と国鉄の使命 2.効率化がもたらすもの 3.「政治主導」の時代 4.国会とストライキと債務と 第六章 再建の試みと崩壊(─一九八七) 1.「後のない計画」 2.分割民営化への道 エピローグ JR以後(一九八七─)
  • 英語教育論争史
    値引きあり
    4.0
    中学から高校の6年間で膨大な英単語を覚え、暗号解読のような苦労で英文を訳し、長文の速読練習もこなした。でも、労力の割には使えるようにならない。しかも2020年度からは小学校で外国語が正式教科になった。はたして英語は、どのように教え、学ぶべきか。これは、100年以上前から繰り返された議論である。 小学生の英語教育の是非、必要なのは文法訳読か英会話か、全員が必修の必要があるのか、他の教科にエネルギーを回せばもっと日本人の学力は上がるのではないか、そもそも、外国語は英語だけでいいのか。それは、知的バトルあり、人間臭い感情のぶつかり合いもある、真剣勝負の論争史だった。 漱石の指導で英文学に開眼した藤村作の「英語科廃止論」、戦後の熱狂を生んだラジオ「カムカム英語」への批判、加藤周一の「英語義務教育化反対論」、渡部昇一と平泉渉の大論争、筑紫哲也と中村敬の英語帝国主義論争など、文明開化の時代から、戦時下の「敵性語」時代を経て、グローバル化が進む現代まで、「日本人と英語」の百年余りを振り返り、これからの英語教育・英語学習を展望する。 目次 はじめに―― 一〇〇年越しの「真剣勝負」 第一章 早ければ良いのか? 小学校英語教育論争 1 文明開化と内地雑居 2 高等小学校の発足と論争の本格化 3 誰が、どうやって教えるのか 4 岡倉由三郎の小学校英語教育論 5 文部省が小学校英語教育を縮減 第二章 訳読か? 会話か? 文法訳読vs.話せる英語論争 1 学習英文法はどう根づいたか 2 英文法偏重・擁護論争 3 ナチュラル・メソッド論争 第三章 教養か? 実用か? 中等学校の英語存廃論争 1 「一等国」の英語廃止論 2 ナショナリズムと英語教育 3 「米国語」を追い払え! 4 廃止論の急先鋒・藤村作 5 「帝国日本」の外国語教育 6 戦時体制下の英語教師たち 第四章 英語は全員に必要なのか?「カムカム英語」と英語義務化論争 1 敗戦直後の英語熱 2 米会話ブームと「カムカム英語」への批判 3 「英語義務教育化」反対論 第五章 国際化時代に必要な英語とは? 平泉-渡部「英語教育大論争」 1 国際化と英語コミュニケーション能力 2 「平泉試案」の衝撃 3 「平泉新提案」をめぐる論争 4 「平泉試案」後の英語教育政策 第六章 外国語は「英語だけ」でよいのか? 英語帝国主義論争 1 言語帝国主義への先駆的な批判 2 一九九〇年代の英語帝国主義批判 3 中村敬と二つの英語帝国主義論争 終章 そもそも、なぜ、英語を学ぶのか? 英語教育論争史が問いかけるもの おわりに
  • 日本語の焦点 日本語「標準形」の歴史 話し言葉・書き言葉・表記
    値引きあり
    -
    「スタンダード」とは本来は標準語のことである。しかし、「標準語」というと、たいていは、明治以降の「標準語」を思い浮かべるだろう。現在、アナウンサーがしゃべっている言葉、東京山の手の言葉などと言われるあの言葉だ。ところが、本書では、江戸期以来、一貫して「話し言葉の標準形態」つまり「標準語」があったと考えている。これを、一般にイメージされる「標準語」と区別して「標準形(スタンダード)」と呼ぼう。書き言葉にも、標準形があった。これも、歴史をたどれば、室町時代までさかのぼる。書き言葉を書く際の表記にも、標準形はあった。これも、明治維新と供に成立したものではない。いわゆる、仮名遣いの問題である。時折言われるように、歴史的仮名遣いは正しいのだろうか。いや、江戸期には、もっと多様で柔軟な表記を許すスタンダードがあった。このようにして、「スタンダード」と言うことを軸として、本書は話し言葉、書き言葉、仮名遣いの歴史に分け入っていく。豊饒な言葉の世界を堪能してください。
  • ニッポン エロ・グロ・ナンセンス 昭和モダン歌謡の光と影
    値引きあり
    -
    昭和の初め、世に言うエロ・グロ・ナンセンス時代に大量に作られ消費された、あきれるほどバカバカしいがゆえに魅惑的なエロ歌謡群は、いつしか忘却の底に沈みました。まさに日本歌謡史におけるミッシング・リンクといってよいでしょう。エロで生れてエロ育ち、私しゃ断然エロ娘……などと歌い上げたそれらを拾い上げ、つなぎあわせ、戦前の日本人が感じたエロを、その誕生から滅亡までたどってみる……。それが本書の目論見です。
  • 大東亜共栄圏 帝国日本の南方体験
    値引きあり
    -
    1940年8月1日、「大東亜共栄圏」という言葉が外務大臣・松岡洋右によって初めて公表された。新秩序構想を支えるスローガン「八紘一宇」はどのような思想的・歴史的背景から出てきたのか。やがて東南アジアを軍事占領し、対米開戦に至る日本の針路はこの構想で想定されていたのか。200万以上の日本人に「南方」での生活を強い、東南アジアの人々に日本と日本人を目撃させた「外交政策」を検証する。
  • 小津安二郎の喜び
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    -
    小津映画の代名詞とも言える「ロー・ポジション」に据えられたキャメラは、悠久の静けさを帯びた〈永遠の現在〉を捉え続けた──『学生ロマンス 若き日』(昭和4年)から遺作『秋刀魚の味』(昭和37年)まで、現存する全37作品を一貫したまなざしの下で読み解いていく喜び。本書を読み終えたなら、その人は小津作品だけが達成しえた驚異の地平を目の前にするだろう。映画を愛するすべての者に贈る渾身の1冊!
  • 福沢諭吉の朝鮮 日朝清関係のなかの「脱亜」
    値引きあり
    5.0
    福沢諭吉は朝鮮侵略論者か、独立の支援者か――。「絶えざる転向」により多くの解釈を生むことになった福沢のアジア論。本書では、福沢と朝鮮で開化派と呼ばれた人々との関係と、『時事新報』の社説・論説を軸に、日朝清関係史のなかでそれを読み解いていく。そこに見えてきたのは、福沢のアジア論に貫徹する思想であり、「リベラルな帝国主義者」という19世紀的な立場が挫折してゆく過程であった。(講談社選書メチエ)
  • 満蒙 日露中の「最前線」
    値引きあり
    3.0
    二〇世紀前半、日本、ロシア、中国のそれぞれの「辺境」地域は、なぜ「生命線」となったのか。義和団戦争から満鉄解体まで、満蒙でくりかえされる軍事衝突には、「鉄道」をめぐる利権が絡んでいた。ロシアが「北満洲」に設立した中東鉄道とライバル会社満鉄との権益競争、ロシア革命後の「革命派」と「反革命派」の内戦、張作霖など軍閥とスターリンの対決……。鉄道をめぐるドラマを辿り、新しい国際政治史を描く。(講談社選書メチエ)
  • 超高層のバベル 見田宗介対話集
    値引きあり
    4.5
    『現代日本の精神構造』(1965年)や『近代日本の心情の歴史』(1967年)で日本と日本人がたどってきた道行きを具体的な事象を使って鮮やかに分析した社会学者は、人々を震撼させた連続射殺事件の犯人を扱う「まなざしの地獄」(1973年)でさらなる衝撃を与えた。その名を、見田宗介(1937年生)という。 続くメキシコ滞在を機に、さらなる飛躍を遂げた社会学者は、「真木悠介」の名を使ってエポックメイキングな著作『気流の鳴る音』(1977年)を完成させる。ここで形を得た人間観と、そこから導かれるコミューンへの憧憬は、独自の理論に結晶していき、数多くの信奉者と、数多くの優れた弟子を生み出した。その成果は、『時間の比較社会学』(1981年)や『自我の起原』(1993年)といった真木悠介名義による労作を経て、ついに『現代社会の理論』(1996年)に到達する。現代の世界に向けられた冷徹と愛情の共存するまなざしは、最新の社会現象についても常に鋭利な分析をもたらし、今なお他の追随を許すことがない。 その思想が、かけがえのない「他者」たちとの対話を源泉にして生まれてきたこともまた間違いのない事実である。対談や座談会は収録の対象としなかった『定本 見田宗介著作集』(全10巻、2011-12年)と『定本 真木悠介著作集』(全4巻、2012-13年)を補完するべく精選された、珠玉の11篇。現代日本社会学の頂点に君臨する著者が望んだ初の対話集がついに完成した。 [本書収録の対話] 河合隼雄  超高層のバベル 大岡昇平  戦後日本を振り返る 吉本隆明  根柢を問い続ける存在 石牟礼道子  前の世の眼。この生の海。 廣松 渉  現代社会の存立構造 黒井千次  日常の中の熱狂とニヒル 山田太一  母子関係と日本社会 三浦 展  若い世代の精神変容 藤原帰一  二一世紀世界の構図 津島佑子  人間はどこへゆくのか 加藤典洋  現代社会論/比較社会学を再照射する 交響空間――あとがきに(見田宗介)
  • 胃弱・癇癪・夏目漱石 持病で読み解く文士の生涯
    値引きあり
    -
    人間嫌いの厭世病。人の心の深い闇を描いた夏目漱石は、多病持ちだった。疱瘡、眼病、強度の神経衰弱、糖尿病、結核への恐怖、胃潰瘍……。次々襲う病魔と、文豪はいかに闘ったのか。医師との付き合い方、その診療にミスはなかったのか。そして病は、彼の生み出した文学にどんな影響を与えたのかーー。ままならない人生に抗い、嫉妬し、怒り、書き続けた49年。その生涯を、「病」をキーワードに読み解く!
  • 実力発揮メソッド パフォーマンスの心理学
    4.5
    能力を直ちに向上させるのもいいが、その前に、自身の力を最大限に発揮するためにはどうすればよいか? 日々のあらゆる局面においての、効果的な目標の立て方、他人との比べ方、アドバイスの送り方・受け方、あがりの手なずけ方を、心理学の知見より裏付けし、パフォーマンス向上への道筋を示す。 あなたの力は、きっとそんなものじゃない――。自己啓発本と一線を画す、 教育心理学の最新の成果に裏付けられた「最強の自分をつくる」ための上質なヒント。
  • 物価とは何か
    値引きあり
    4.4
    あのバブル絶頂時、そしてその崩壊、いずれのときも意外なほどに物価は動かなかった。それはなぜか? お菓子がどんどん小さくなっている……なぜ企業は値上げを避けるのか? インフレもデフレも気分次第!? 物価は「作る」ものだった? 経済というものの核心に迫るための最重要キーである、物価という概念。 国内第一人者が初歩の初歩から徹底的にわかりやすく説き起こし、社会にくらす私たち全員にとって、本当に知るべき経済学のエッセンスを教える、画期的入門書の登場! ハイパーインフレやデフレと闘う中央銀行や政府の実務家(ポリシーメーカー)たちは、何を考え何をしているのか。 それらの成果と教訓を研究者たちはどのように学び、理論を発展させてきたか。 私たちの生活そのものと直結する、生きた学問としての経済学が立ち上がっていく様を生き生きと描く! 学問としてのマクロ経済学を希求する、真摯な社会科学探究。 インフレもデフレもない安定した社会は、実現できるのか。 その大きな問いにこたえようとする、エキサイティングな一冊! 【本書より】 個々の商品の価格が、売り手や買い手の個別の事情を適切に反映して動くのは、自然なことです。そして、個々の価格は忙しく動きまわるけれど全体としてみると安定している、というのが健全な姿です。ただ、同じ「全体が動かない」場合でも、個々の価格がまったく動かず、その当然の帰結として全体も動かないということもあり得ます。しかしそれは病的だと言えるでしょう。(中略)売り手や買い手の事情で価格が上がり下がりするという、経済の健全な動きが止まっていたら、それは異変とみるべきです。後で詳しく述べますが、今の日本経済はこれに近い状態だと私はみています。 【主な内容】 はじめに 第1章 物価から何がわかるのか 第2章 何が物価を動かすのか 第3章 物価は制御できるのか――進化する理論、変化する政策 第4章 なぜデフレから抜け出せないのか――動かぬ物価の謎 第5章 物価理論はどうなっていくのか――インフレもデフレもない社会を目指して おわりに
  • 永田鉄山軍事戦略論集
    値引きあり
    5.0
    「彼が生きていれば、太平洋戦争は起こらなかった」――近年再評価が進む、帝国陸軍の至宝・永田鉄山(1884-1935)。これまであまり世に出てこなかった永田自身の文書や発言録から、戦間期に残した論考6編を収録。その冷静かつ合理的な分析が訴える、あるべき国家の姿とは? 詳細な解説を加え、昭和の大日本帝国を支えた理論・思想の背骨を明らかにしてゆく。
  • 乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか
    値引きあり
    -
    我々の現代性の黎明期、日中戦争の前/日米戦争の後、江戸川乱歩と横溝正史――二人は探偵小説の夢を創造する。個人の日常生活を成立させるリアリズムの場に深い〈穴〉があき、あるいはリアリズムの〈場〉が〈死者〉の声に触れて崩れるとき、人間に関わる真実が独特の顔をして垣間見えることがある。だが、この真実を表象する手段は限られている。乱歩と正史はこの真実を寓喩――殺人とその不可能図形によって描き出す。
  • 近代日本の戦争と宗教
    3.0
    戊辰戦争によって新たな政権が誕生してから、日清戦争・日露戦争の勝利によって対外的な地位を向上させるまで、明治国家のあゆみには、戦争がともなっていた。そうした戦いのなか、神社界、仏教界、キリスト教界は、いかなる反応をみせたのか。従軍布教や軍資金の提供といった積極的な協力姿勢から、反戦論・非戦論をはじめとする、消極的姿勢──、本書は、その実態を描いてみようとするものである。
  • パーソナリティ障害
    3.7
    古代ギリシャ時代にはすでに「背徳的人間」として記録が残るパーソナリティ障害をいかに解釈するかについて、多数の学者・医者たちが研鑽を積み重ねてきた。そして、アメリカ精神医学会がついに作り上げた診断基準DSM。その基となった「喜び―苦痛」「能動―受動」「自己―他者」「思考―感情」の極性理論を応用して、境界性、自己愛性、統合失調質など14に分類。日本人の病理の実態を、豊富な実例で解説!
  • 江戸幕府と国防
    3.7
    三代将軍家光以降、鎖国政策をとってからは、18世紀後半まで異国からの脅威は日本になかったと思われているかもしれません。が実際はさにあらず。鎖国時代にも、通商を求める葡国や英国船の来航があったのです。全国的に沿岸警備体制は維持され、とくに長崎は軍事力を背景とした防衛システムがありました。実は江戸時代を通じて、異国船問題は幕府レベルの重要な問題でありつづけたのです。幕府の国防を史資料で解き明かします。
  • 湾岸産油国 レンティア国家のゆくえ
    4.3
    クウェイト、カタル、バハレーン、UAE、オマーン。湾岸産油国は、驚くべき特徴に満ちている。莫大な石油収入によって、所得税はなし、教育費は無料。1人あたりのGDPが日本の2倍の国もある。一方で、「経済発展が民主化を促進する」という定説はあてはまらず、君主制が維持されたままだ。2009年のドバイ・ショックで、世界経済における影響の大きさを知らしめた「石油王が統治する金満国家」を詳細に分析する。
  • 加耶と倭 韓半島と日本列島の考古学
    4.0
    謎多き古代日韓関係を韓半島側から検証する。任那日本府はなかった。韓半島に存在する倭人前方後円墳の意義とは。藤ノ木古墳になぜ新羅産馬具が副葬されたのか。韓日考古学の成果を総合し、加耶から百済・新羅に至る古代韓日交渉史を新たな視点で読み直す画期的論考。(講談社選書メチエ)
  • 台湾ナショナリズム 東アジア近代のアポリア
    4.0
    親日か反日か。統一か独立か。しばしば二項対立で語られがちな台湾ナショナリズムは、日本と大陸中国、冷戦期とポスト冷戦期、米国のプレゼンスの低下と中国の台頭など、長期的かつ複数の視座で整理すると今なお続く東アジア近代のアポリア(難題)として見えてくる。日本人にとって重要な歴史経験でもある「台湾問題」を、詳細に読み直す。(講談社選書メチエ)
  • 仏法僧とは何か 『三宝絵』の思想世界
    3.0
    日本仏教の本質が、まさにここにある! 菩薩が実在する世界から、僧が仏教行事を行う「今」へ。源為憲が永観二年(九八四)、尊子内親王に献上した『三宝絵』。三巻に分かれ、仏教説話によって構成されている。釈迦は衆生を救うべく身を捨てて仏と成った。上巻では、菩薩とよばれた前世での釈迦の実在する世界が、中巻では菩薩から僧に法が伝えられる様が、そして下巻では僧が行う仏教儀礼が語られる。現代社会にも深く浸透している日本仏教とは何なのか。ここから、その本質が見えてくる! (講談社選書メチエ)
  • 弁証法とイロニー 戦前の日本哲学
    4.0
    戦前期、「近代」を問う日本の知識人たちは何を思想的課題とし、何を思考し続けていたのか。田辺元の「弁証法」と保田与重郎の「イロニー」を二つの極に、三木清の「人間学」・萩原朔太郎の「デカダンス」の思想を媒介項とすることにより戦前期昭和思想の思想地図を大幅に書き換える。同時に、ハイデガー・ベンヤミンらと同時代の思想的営為として世界の哲学思潮の中に戦前期昭和の思想を位置づける画期的著作。(講談社選書メチエ)
  • 治癒の現象学
    5.0
    哲学と精神病理学、その交叉点で探究する「回復すること」の核心。人が「回復する」こと、とくに不安や精神の病から回復するとは、いったいどのような出来事なのか。「治る」という不可思議な経験の意味と構造を求めて、フッサール以来の現象学が培ってきた「経験の構造」の探究を、精神病理学の臨床的知見と交叉させて、あらたな地平を切り拓く試み! (講談社選書メチエ)
  • 長城の中国史 中華VS.遊牧 六千キロの攻防
    4.0
    〈中華〉VS.〈遊牧〉2000年の攻防。山を削り谷を埋め、2000年の歳月をかけて築かれた中華世界の防波堤=長城。それは、澎湃と興起する遊牧民対策への最終回答たり得たか。秦の始皇帝から明代まで、長城を巡り展開する壮大な中国史。(講談社選書メチエ)
  • ピラミッドへの道 古代エジプト文明の黎明
    -
    ミイラのない石棺、用途不明の建築群、王のシンボルが示す政変の痕跡……「解けない謎」に迫る! いったいピラミッドとは何なのか。王墓なのか、そうでないのか。古代エジプト文明と、あの巨大な建築群はいかにして生まれたのか。メソポタミアや地中海世界、ナイル源流アフリカとのインタラクション、サハラ砂漠が緑のサヴァンナであった可能性、王のシンボル図像が物語る動乱と変革の痕跡、ミイラのない石棺、ピラミッド・コンプレックスの構造……大胆な構想と精緻な分析を武器に"文字以前(ヒエログリフ)"の歴史を描き出す! (講談社選書メチエ)
  • 本草学者 平賀源内
    -
    「我よりおとなしく人物臭き面な奴に、却て山師ハいくらも有」――。江戸中期の大人気学者平賀源内はその華やかな活躍とは裏腹に、自らを「貧家銭内(ヒンカゼニナイ)」と嘆きながら、罪人となり生涯を終えた。エレキテルや火浣布の製作、『物類品隲』執筆など本草学への熱い思いを体現しながら、「山師」と誹られた源内。誰もが知っていそうで実は知られることの少なかった、学者としての実像に迫り、再評価を試みる。(講談社選書メチエ)
  • トラウマの発見
    4.0
    惨事・戦争・虐待と心的外傷。大事故・世界大戦・性暴力。大事件のたびに存在を示唆されたトラウマは、なぜ「発見」が20世紀後半まで遅れたのか? フロイト、フェレンツィらの苦闘からPTSD成立までトラウマ発見の歴史をたどり、同時に、トラウマをつねに否認しようとする社会の「秘められた欲望」を暴く。(講談社選書メチエ)
  • 連歌とは何か
    3.0
    中世人がもっとも愛した文芸の全貌。創作しつつ味わい、味わいつつ創作する、機知と友愛のアート。二条良基・一条兼良・宗祗ら天才の仕事を軸に、能・茶・花をしのぐほどの人気を誇りながら、近代とともに忘れられた文芸の全歴史をたどる。[本書の内容]●長連歌の世界●連歌会の空間●式目の世界●「水無瀬三吟百韻」を読む●連歌七賢●天才宗祗とその弟子たち●安定と停滞 (講談社選書メチエ)
  • ホワイトヘッドの哲学
    4.7
    超難解な思考をあざやかに解説! ホワイトヘッドの世紀は来るか!? 本書は、ホワイトヘッドという哲学者のひじょうに偏った入門書である。読者の方々が、ホワイトヘッド自身の本を手にとってみようか、という気になられることだけを目指した。他意(?)はない。わかりやすさを重視したので、かなり強引なところもあると思う。特に入門篇は、こちらの興味にぐっとひきつけて書いた。淡々と説明だけをするというのは、どうしても性にあわない。それぞれが、1話完結のエッセイとしても読めるように工夫したつもりだ。上手くいったかどうかは、保証の限りではない。もちろん全体として一貫した流れはある。いってみれば、本書全体が、ホワイトヘッドが考えたこの宇宙とおなじあり方、つまり「非連続の連続」になっているといえる……といいのだが。――〈[まえがき]より〉(講談社選書メチエ)
  • 誓いの精神史 中世ヨーロッパの〈ことば〉と〈こころ〉
    4.0
    言われた言葉には魔が宿る。誓いに込められた中世人の世界観を読み解く。誓いの言葉はなぜ間違えてはいけないのか。なぜ文書よりも言葉が重視されたのか。決闘の勝ち負けによって真偽が定まり、目撃していなくても事件の証人になることができる、その根拠はどこにあるのか。西洋中世の特異な習俗から、中世人の「こころ」に迫る。(講談社選書メチエ)
  • 聖なるもの 俗なるもの ブッディスト・セオロジーI
    4.0
    諸宗教の多元的共存は可能か? 「仏教の神学」に挑む連続講義、開幕! 宗教という営みは何を目標としているのか? キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、そして仏教。異なる世界を出発点としながらも、その上に伝達可能で整合的な知の体系を構築することは、神学的方法論によって可能になる。「聖なるもの」を問う、仏教学第一人者の野心的な講義がはじまる! (講談社選書メチエ)
  • 交響曲入門
    4.0
    クラシック音楽の最高峰、交響曲のすべてがわかる! おすすめディスクガイド付き。交響曲には「構造」と「論理」がある。「交響曲の父」ハイドンからモーツァルト、ベートーヴェンをへてブラームス、ブルックナー、マーラーへ。前代の課題を引きつぎつつ交響曲というジャンルに自らの個性を加えてゆく各作曲家の創意と工夫の跡を丹念にたどりながら名曲の高峰を経巡る、もう一歩深い鑑賞への誘い。(講談社選書メチエ)
  • 音楽とは何か ミューズの扉を開く七つの鍵
    3.8
    この不可思議な芸術が持つ"魔力"の根源への探究。空気の波動である音が、時に甘美に心を溶かし、時に激しく魂を揺さぶる魔法となる。この不可思議な音楽というものの正体を、クラシックをはじめ、ロック、民族音楽などの多彩な音と音楽学にとどまらない多様な視点から探究する。すべての音楽好きに贈る、あざやかでかろやかな論考。(講談社選書メチエ)
  • 儒教と近代国家 「人倫」の日本、「道徳」の韓国
    4.0
    忠孝、人倫、理想道徳……日韓それぞれの近代思想史! 同じく儒教を政治思想の基盤としながら、日本と韓国はなぜ、異なる近代化の道をたどったのだろうか。伊藤仁斎に代表される近世儒学の人倫論と、水戸学、明治憲法、教育勅語の関係とは。朱子学を柱とする韓国は、いかにして文明開化から戦後の朴正煕大統領の維新憲法にまで至ったか――。両国の近代と政治思想を問い直す画期的論考。(講談社選書メチエ)
  • 昭和の思想
    5.0
    昭和の思想を包括的に俯瞰する画期的論考。「戦前=戦後」だけでなく、昭和はつねに「2つの貌」を持っていた。皇国史観から安保・学生運動まで、相反する気分が対立しつつ同居する昭和の奇妙な精神風土の本質を、丸山眞男・平泉澄・西田幾多郎・蓑田胸喜らの思想を元に解読する。(講談社選書メチエ)
  • 意識は実在しない 心・知覚・自由
    4.0
    近代的思考の限界を超える! "脳が世界を見ている"のではない! あなたの心は"環境"に広がっている! 心は身体の中に閉じ込められてはいない。知覚は脳に投影されるものではない。そして、自由とは知覚する世界を探索することである──。心の哲学やアフォーダンス理論、認知科学、脳性まひと自閉症の当事者研究などの最新の知見が、私たちの世界の見方を根本的に刷新する! (講談社選書メチエ)
  • 国家とインターネット
    3.0
    グローバリゼーションの時代、国家とメディアの関係は敵対か、はたまた共存か? IT技術は〈人間〉への福音か、それとも呪いか? ──来るべき世界における権力・メディア・人間の関係を根底から考察する。(講談社選書メチエ)
  • 選書日本中世史 3 将軍権力の発見
    4.5
    選書日本中世史 第3弾! 公家政権と武家政権と寺社勢力……室町幕府の傑出した統治構造とは!? 室町幕府にできて、鎌倉幕府にはできなかったこと。それは、「太平の世」前夜の、動乱の続く地方に対して中央政権として安定的に君臨することである。そのために室町幕府が考え出した統治構造とは? 自明のものとされてきた将軍の主従性的支配権に一石を投じ、天皇・公家の持つ力の本質を検証することで、明らかになった将軍権力とは、いったいどんなものだったのか? 「わかりにくい中世をどうわかりやすくするか」の大問題に真っ向から挑む、刺激に満ちた1冊。(講談社選書メチエ)
  • 起請文の精神史 中世世界の神と仏
    4.0
    小さな紙片に蔵された、広大なる精神宇宙。なぜ天照大神に誓いを立ててはならないのか。神と仏はどちらが上位か。本地垂迹の本質とは何か。中世日本の巨大なコスモロジーは、一片の起請文の中にある。神仏習合から新仏教まで、中世人の豊饒なる精神世界の全貌に迫る。(講談社選書メチエ)
  • 「社会」の誕生 トクヴィル、デュルケーム、ベルクソンの社会思想史
    3.3
    19世紀フランス、二月革命。そこから人は、超越性に包まれた「世界」から「社会」という概念を生成した。神という超越性に包摂された世界から、社会という観念が切り離されたとき、「社会科学」が生まれた。19世紀フランスに生まれたトクヴィル、デュルケーム、ベルクソンという三者を、ひとつの流れとして読み解く、これまでにない「ユニーク」な思想史! (講談社選書メチエ)
  • 僧兵=祈りと暴力の力
    3.0
    祈りによって人々に安心と喜びをもたらす、仏法の徒たる僧侶たち。しかし、中世という時代がはじまるにつれて、彼らの中には武器をとって、合戦を引きおこし、人々に恐怖を与えた者たちがあらわれた。暴力と祈りの力をあわせもつ彼らは、いかなる原理のもとに行動したか。比叡山延暦寺を舞台に、多彩な「悪僧」たちが跋扈し、「冥顕の力」をもって世俗権力、社会とわたりあう姿を描き出す! (講談社選書メチエ)
  • 旧石器時代人の歴史 アフリカから日本列島へ
    3.0
    物言わぬ遺物=石器から旧石器時代の実像に迫る。石器しか資料がない中で、いかにして旧石器時代を知ることができるのか。「捏造」事件の摘発にも深く関わった石器研究の第一人者が、石器の詳細な分析から、現代人とはまったく異質な旧石器時代人の文化を解明する。(講談社選書メチエ)
  • 「国語」入試の近現代史
    -
    国語入試のなかでも、とりわけ「現代文」という科目は、読解力を問わねばならないため、つねに、客観性と公平性をどう実現するかという難問にさらされてきた。高等学校の共通試験に現代文が定着した大正期から、戦前期を経て、戦後民主主義、小林秀雄と天声人語のブーム、そして共通一次、マークシート化に至るまで、入試問題はどのように国民の言葉=国語を規定してきたのか。その歴史的な文脈を明らかにする力作。(講談社選書メチエ)
  • 神と自然の科学史
    3.5
    「自然」と"nature"はどう違うか? 比較科学論への招待。先人が工業化のために受け入れた西欧自然科学は、私たちが母語で思考する力を奪ってしまった? 西欧の"nature"と私たちの「自然」。彼我の自然観を互いに相対化することで初めて見えてくる、本当の「科学」の歴史。(講談社選書メチエ)
  • 会社のカミ・ホトケ 経営と宗教の人類学
    -
    入社式、社葬に隠された意味とは? 日本的経営の秘密をさぐる。ビルの屋上に祠をかまえ、物故社員慰霊の法要を営む。日本の会社=社縁共同体はなぜ神仏をまつるのか? 入社式や社葬の知られざる意味とは? 経営人類学の観点から日本的経営の本質を解き明かす1冊。(講談社選書メチエ)
  • 世界の小国 ミニ国家の生き残り戦略
    3.2
    ツバルのドメイン名ビジネス、バハマのオフショア金融センター、ルクセンブルクの欧州外交戦略……。大国ではありえない個性的でしたたかな国家運営をする小さな国々。最高の政治的贅沢か、それとも国際社会のお荷物なのか? 世界の国家数の2割強を占め、今後も増え続けるであろう小国の魅力と、小ささゆえの有利性と不利性を国際関係論のエキスパートが論考する。(講談社選書メチエ)
  • 合理的とはどういうことか 愚かさと弱さの哲学
    -
    私たちは本当に"理性的存在"か? なぜ私たちは、不合理な行動をしたり、意志の弱さや愚かさを見せたりしてしまうのか。それらの行為は「理性」に反したものなのだろうか。この問いから、人間であるという、そのあり方の本質が見えてくる。進化の歴史から日常的な問題まで幅広いスケールで繰り広げる「合理的である」ことをめぐる思考の冒険! (講談社選書メチエ)
  • 「漢奸」と英雄の満洲
    5.0
    「中国の歴史は一代では語れない。この書物は『中原の虹』のすばらしいテキストです。」――浅田次郎。軍閥の長の父、国共合作の立て役者の子。「傀儡国家」=満洲国総理の父、反日活動家の子。「売国奴」と「英雄」の運命を分けたものは何か。運命の地、満洲を舞台に、歴史の転変に翻弄された5組の父子の数奇な生を描く。(講談社選書メチエ)
  • 他界からのまなざし 臨生の思想
    5.0
    生のリアルに迫るダイナミックな思考の旅! 僕らが日々漫然と消費しているこの「生」は、「向こう側」からみつめ直すことで輝き出す! 生のまぎわに臨む「臨生」のたたずまいを得ることで、人生のリアルさを取り戻すことができるのだ。古今東西の他界観・芸術空間論・共同体論をふまえた渾身の哲学論考が登場! (講談社選書メチエ)
  • 漁民の世界 「海洋性」で見る日本
    3.0
    日本人の中には「海」がある。なぜ田植えのときにイワシを食べるのか。山村でも神事の供え物には海の魚を使うのか。日本文化の基層としての海洋性。村落共同体ともノマドとも異なる漁民たちの「ゆるやかな定住」。知られざる海の生活から見えてくる「もう一つの日本」。柳田国男以来の硬直した日本観の見直しを迫る画期的論考。(講談社選書メチエ)
  • イタリア現代思想への招待
    3.5
    アガンベン、ネグリ、カッチャーリ……生政治、帝国、ゾーエー/ビオス……いまなぜイタリアなのか? ジョルジョ・アガンベン、ウンベルト・エーコ、アントニオ・ネグリ、マッシモ・カッチャーリ……。いまや世界の現代思想のシーンは、イタリアの思想家たちを抜きにしては語れない。ジル・ドゥルーズやジャック・デリダらフランスの巨星たちがあいついでこの世を去ったあと、なぜ、イタリア思想の重要性に注目が集まるのか。現代思想の最尖端で、いま何が問題なのか、そしてどのような可能性があるのか。哲学、美学、政治学、社会学、宗教学、女性学など幅広い分野での彼らの刺激的な仕事を、明快な筆致で紹介する。(講談社選書メチエ)
  • 観光人類学の挑戦 「新しい地球」の生き方
    3.0
    東京・バリ・カリフォルニア……観光と移住が織りなす「越境の民族誌」。グローバル化が進行する中で、国境を越えて移動する人びとは世界全体で年間10億人に達しようとしている。東京の下町で、熱帯雨林の島で、中国の世界遺産で、それぞれに繰り広げられる文化景観はすべてリゾーム状につながり、地球はもはや境界のない大きな空間になっているのだ。本書では、ボーダレス時代の観光/移住のありようを描き出し、「一つの世界にともに生きる」とはどういうことか、人類学の新たな試みとして論じていく。(講談社選書メチエ)
  • イルカが知りたい どう考えどう伝えているのか
    -
    最新イルカ学によれば彼らは三段論法で思考する!? 「賢い」「かわいい」「平和的」これらのイメージは真実なのか。最新のイルカ学はイメージを凌駕し、驚くべき成果を提示する。三段論法で考え、物まねをし、同性愛に走り、派閥抗争も辞さない――。我々の「友人」イルカの思考と行動の不思議に迫る。(講談社選書メチエ)
  • 日本リベラルと石橋湛山 いま政治が必要としていること
    5.0
    政治家不在の現代、湛山に学ぶ。「若しも世界の平和がそれによって保たれるならば日本は滅んでもよい」。二者択一的思考の中、広い視野なき議論を続ける現代政治。確たる指導性を発揮できず、劣化するばかりの日本政治の歴史において、没後30年なお輝きを増す石橋湛山。その思想と政策を追い、「今の政治に必要なもの」を考察する。(講談社選書メチエ)
  • ブッダの人生哲学 「正しく生きる」ということ
    3.0
    この世は四苦八苦。生きるための正道とは? 変転する「世間」を生き抜く正しい道とはなにか? 縁りて生起するこの世の四苦八苦を脱し、正覚を得たブッダ。その方法は、快楽への耽溺と苦行の2つの極端を退け、中道を採ることであった。古代インドの四住期の思想をふまえ、ブッダが説く人生哲学を解説。(講談社選書メチエ)
  • 大清帝国
    4.0
    満州(マンジュ)族の一小国が、飽くなき革新力により、巨大な中華世界を飲み込む。その力は中華世界を越え、中央アジアへ進出し、イスラムをも取り込んだ空前の大版図を築く。華夷秩序を超越する世界帝国の体現者=清朝。それは、満・蒙(モンゴル)・漢・蔵(チベット)・回(ウィグル)5族からなる、現代中国の原型だった。康煕・雍正・乾隆の3代皇帝を中心に、その若々しい盛期を描く。(講談社選書メチエ)
  • 「白村江」以後 国家危機と東アジア外交
    -
    663年、倭国大敗。国家存亡の秋(とき)。後進性を痛感した倭は、国家体制の整備を急ぐ。対唐防衛網の構築、亡命百済人による東国開発、官僚制整備。律令国家「日本」完成へといたる、古代の「近代化」を描き、あわせて現代におよぶ、無策、無定見の日本外交の問題点を抉る。(講談社選書メチエ)

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