講談社選書メチエ作品一覧

  • 極限の思想 ラカン 主体の精神分析的理論
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    大澤真幸・熊野純彦責任編集「極限の思想」第6回配本。 精神分析家ラカンは人間をどのように捉えたのか。フロイトの「無意識」「事後性」など諸概念の可能性を掬い上げ、アリストテレスの原因論を足掛かりとして、新たに練り上げられる独創的な概念。 〈他者〉=シニフィアンの導入はいかに「主体」を原因づけるのか。またそこに構造的に内在する「欠如」はどのように「主体」に責任を引き受けるよう迫るのか。 原因と因果性をめぐる思考の果てに到達する、象徴界に穿たれた現実界への開口部とは? 【目 次】 序 章 精神分析家ラカンの軌跡 第1部 アリストテレスにおける「原因」  第一章 四つの原因  第二章 アウトマトンとテュケー  第三章 質料と偶然 第2部 ラカンにおける原因と対象  第一章シニフィアン因果性の三平面  第二章ラカンにおけるテュケー  第三章 原因としての真理、対象の機能
  • ドゥルーズとガタリの『哲学とは何か』を精読する 〈内在〉の哲学試論
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    ドゥルーズとガタリによる最後の共著『哲学とは何か』。難解をもって知られるこの著作をどう読んだらいいのか。 読解のため、本書では大きく三部で構成される。 第一部では、ドゥルーズとガタリの〈内在〉概念とはどのようなものかを明らかにする。単に内在と超越という二項対立ではなく、彼らが「内在野」と名指ししたものは何だったのか。スピノザ、ベルクソンなども参照しつつ、その形成過程を明らかにしていく。 第二部では、哲学・科学・芸術の三つを同じ形式をもったものとして、あえて並列に描こうとしたドゥルーズとガタリの意図に分け入っていく。そこから「脳」と「カオス」が析出される次第は、まさに『哲学とは何か』を解読する重要な準備となる。 第三部では、いよいよ『哲学とは何か』をきわめて精密に読み解く。各章に概要、用語、読解の見出しを立て、まさに一字一句を読んでいく。その先に見えてくる〈内在〉の哲学とは?
  • 日本人の愛したお菓子たち 明治から現代へ
    5.0
    甘くておいしい「スイートポテト」。いつ頃誕生したのか知っていますか? その原型ができあがったのは明治時代。文明開化で一気に流れ込んだ洋風の文化はお菓子にもしっかり影響を与え、和の素材サツマイモを使って洋風の技術を取り入れて出来上がったのが「スイートポテト」でした。 永遠のテーマ「あなたはきのこ派? たけのこ派?」でおなじみの「きのこの山」と「たけのこの里」。「きのこの山」誕生のきっかけは既に発売されていた「アポロ」の製造ラインを有効活用しようとした試作品でした。チョコスナックの時代を切り開き大ヒットした両者も90年代後半になると売り上げに陰りがみえはじめましたが、ライバル関係をあおった「きのこの山・たけのこの里総選挙」キャンペーンで意図的に注目をあつめ人気の回復に成功しました。 明治時代の洋菓子との出会いからスナック菓子、駄菓子やアイス類にマリトッツォといった現代のスイーツを網羅し、お菓子の誕生ストーリーや時代背景をつづります。私たちが歩んできた日本の文化史としても楽しめる一冊。 2023年、50周年を迎える名店「ブールミッシュ」。創業者の吉田菊次郎は戦後の製菓業界の第一線を走り抜けてきました。お菓子の生き字引ともいえる著者が、明治から現代までに流行してきたお菓子を紹介します。初めておこづかいで買った駄菓子、教室で友人と食べたスナック、どの世代の読者にもエモいお菓子がここにはあります。 【本書の内容】 第I部 戦 前 1 明 治──世界への仲間入り 2 大 正──大企業の確立期 3 終戦へ(昭和前期)──お菓子産業受難の時代 第II部 昭 和 4 昭和20年代──子供たちの夢を叶えるお菓子たち 5 昭和30年代──お菓子の持つハピネスを求めて 6 昭和40年代──若手パティシエ飛翔・スイーツ界に新風 7 昭和50年代──フランス菓子一辺倒からの脱却 8 昭和の終焉──スイーツのジャンルを次々網羅 第III部 現 代 9 1990年代──スイーツ文化の国際化&次々登場の流行菓 10 2000年代──スイーツ界も安心安全 11 2010年代──お菓子もフォトジェニックに! 12 今のお菓子たち
  • 日本精神史 近代篇 上
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    縄文時代の巨大建造物から江戸末期の『東海道四谷怪談』まで、日本の美術・思想・文学の精神のありさまを、長大かつ深遠な歴史として一望のもとにとらえた傑作『日本精神史(上・下)』は、その年(2015年)の人文界の最大の収穫として話題をさらいました。 本書は、読者諸氏が待ち焦がれたこの本の続篇です。題して、『日本精神史 近代篇』! この本が扱う時代は、その名のとおり江戸の終わりから20世紀の終わりにいたるまで。 日本の歴史上、最大のインパクトのひとつである幕末の大転換期から、21世紀のいまを生き、わたしたちの生活に多様な彩りをあたえ、生きる源となるゆたかな精神のその発露までを追っていきます。 日本近代の美術・思想・文学の三領域にわたる文物や文献を手がかりに、そこに陰に陽に示された精神のありようを、ときに冷静に、ときに客観的に言葉にした、前作『日本精神史』と双璧をなす大作です。 著者は、前著同様、本書についても難解であることを決していさぎよしとしません。読みやすさに細心の注意をはらい、あくまでも流麗に、そして明解に描ききります。 幕末から20世紀の終わりにいたるまでの150年にわたる時代の精神とはいったいどのようなものなのか? 近代における壮大かつ激しい精神の大河を、ここにご覧ください。 上巻は、近代の始まりから、啓蒙思想の転変や近代文学者の苦闘などを経て、岸田劉生や村上華岳らによる美の探究まで。 きな臭い時代へと突入するその精神のさまがじょじょに浮き彫りにされていきます。 【目次より】 はじめに 第一章 近代の始まり 1高橋由一/2『米欧回覧実記』 第二章 啓蒙思想の転変 1福沢諭吉/2加藤弘之/3中江兆民 第三章 近代文学者の苦闘 1坪内逍遥と二葉亭四迷/2北村透谷/3樋口一葉/4島崎藤村――抒情 第四章 美術表現の近代性 1青木繁/2菱田春草/3荻原守衛と朝倉文夫 第五章 日清・日露戦争――ナショナリズムの嵐 1日清戦争とその前後/2戦後経営/3日露戦争 第六章 森鴎外と夏目漱石――近代的知性の面目 1森鴎外(その一)/2森鴎外(その二)/3夏目漱石(その一)/4夏目漱石(その二) 第七章 韓国併合と大逆事件 1韓国併合/2大逆事件 第八章 民俗への視線、民芸への視線――柳田国男と柳宗悦 1民俗学の創成/2民芸を慈しむ思想 第九章 言語表現への熱情 1斎藤茂吉/2萩原朔太郎3宮沢賢治――修羅の苛立ちと彷徨 第十章 絵における美の探究 1岸田劉生/2村上華岳
  • 原敬 外交と政治の理想(上下巻合本版)
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    朝敵・南部藩に生まれ、新聞記者・外交官・企業経営者など多彩な顔を持ち、一貫して「公利」という概念を重視したポスト「元勲世代」の政治家・原敬の65年の生涯を描く。山県有朋・大隈重信らとの対決を経て、初の政党内閣を組閣、第一次世界大戦後の世界を見通して新たな日本政治の道筋をつけながら、東京駅で凶刃に斃れた「平民宰相」。この暗殺事件で失われた「昭和史の可能性」とは。著者渾身の本格的評伝。(講談社選書メチエ)
  • 分析哲学入門 全三冊合本版
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    英語圏では現代哲学の主流である分析哲学。「ある」「知っている」「心」「物」とはを問う(初級編)。「意味」「真理」「存在」をさらに考察(中級編)。「神の存在証明」と現代哲学の関係を解明する(上級編)。分析という「理屈」を武器に、そしてユーモアを隠し味に、哲学的思考へとあなたをいざなう。『分析哲学入門』『意味・真理・存在 分析哲学中級編』『神から可能世界へ 分析哲学上級編』の合本版が登場!
  • 理性の呼び声 ウィトゲンシュタイン、懐疑論、道徳、悲劇
    NEW
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    知ることを求め、懐疑へと沈む人間。 本書はその真実を掴まえた。 ――古田徹也(東京大学准教授) 世界も、他人の心も、決して本当に知ることはできない。もし、心からそう考える人がいたら、不安に押しつぶされてしまうだろう。人間の実存に関わるこうした考えを初めて哲学的に追究したのはデカルトである。それ以来、この哲学的懐疑論は近代哲学のかたちを決定づけてきた。だとすれば、哲学自体はこの懐疑論を克服できないのだろうか? ウィトゲンシュタインやオースティンの日常言語哲学から、ソローやシェイクスピアなどの文学、また映画、音楽をも横断し、これ以上なく透徹した論理と文体が、哲学の限界を切り開く。言語哲学、認識論、道徳理論を揺さぶり、大陸哲学と分析哲学を調和させ、哲学に人々の日常の「声」を呼びもどすとき、そこに立ち現れるものは何か。 アメリカ哲学の巨人が遺した、哲学史に残る傑作! [本書の内容] ペーパーバック版への序 序文 第1部 ウィトゲンシュタインと人間的知識の概念 第1章 規準と判断 第2章 規準と懐疑論 第3章 オースティンと実例 第4章 物の何たるか(何と呼ばれるか) 第5章 自然と慣習 第2部 懐疑論と世界の存在 第6章 伝統的認識論の探究(プロローグ) 第7章 ウィトゲンシュタインの言語観についての補説 第8章 伝統的認識論の探究・結び 第3部 知識と道徳性の概念 第9章 知識と道徳性の基礎 第10章 道徳性の不在 第11章 規則と理由 第12章 道徳の自律性 第4部 懐疑論と他者の問題 第13章 承認と忌避のあいだ 訳注  訳者解題  『哲学探究』出典索引 人名〔著作名〕索引
  • 本居宣長『古事記伝』を読む 全4冊合本版
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    本居宣長の歴史的な名著『古事記伝』。「古事記」を古典として再評価し、一字一句、詳細に読み解いた大著だが、そのあまりの大著ゆえに、これを読み通せる人は、ほとんど皆無である。本書は、現代の「古事記」研究の第一人者である著者が、『古事記伝』全44巻を、細部にわたり、懇切丁寧に解説した、画期的な労作。便利な合本版でどうぞ。
  • ブッディスト・セオロジー 全五冊合本版
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    諸宗教の多元的共存は可能か? 「仏教の神学」に挑む連続講義! ※以下全5巻の合本版です。 1『聖なるもの 俗なるもの』 宗教という営みは何を目標としているのか? キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、そして仏教。異なる世界を出発点としながらも、その上に伝達可能で整合的な知の体系を構築することは、神学的方法論によって可能になる。「聖なるもの」を問う、仏教学第一人者の野心的な講義がはじまる! 2『マンダラという世界』 聖書、インド思想、近代哲学、そして仏教。明快に語りおろす「世界」の本質。いま、社会の急激な変化に対して、仏教のうたう「普遍的な悟り」は有効なのか? 死すべき自分が「他者」の存在を理解できるのか? 各宗教の「世界」把握の方法論をたどり、現代日本に求められる世界観の体系を解明する。 3『仏とは何か』 あらゆる宗教の根源存在である「聖なるもの」は、仏教においてどのような姿でイメージされたのか。儀礼をキーワードに、仏・菩薩と人間との関わりかたの具体的なプロセスを通じて、いよいよ仏の本質へと迫る。 4『空の実践』 仏教の中核思想「空」とは何か。自己否定とそれを通してのよみがえりという「空」の実践のプロセスから、実践行為としての仏教の本質を考究する、碩学渾身の思考。 5『ヨーガと浄土』 仏教を構造的に分析し、宗教の普遍的本質にせまる画期的シリーズ最終巻。縁起・空・マンダラなど仏教の伝統的概念を更新し、混沌の21世紀にこそ必須の思想として再生をはかる。碩学畢生の「セオロジー」がついにここに完結する。
  • カイエ・ソバージュ[完全版] 人類最古の哲学 熊から王へ 愛と経済のロゴス 神の発明 対称性人類学
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    21世紀の「第三次形而上学革命」を迎えるにあたり、旧石器人類の思考、国家の誕生、貨幣の発生、神の創造と一神教の成立まで、「超越的なもの」について、人類が考え得た全領域を踏破することをめざした伝説の講義録が、愛蔵版として装いも新たに登場! ※『カイエ・ソバージュ(合本版)』と同一の内容です。 第一部では、「神話」とは、人類が最初の考え出した、最古の哲学です。今日の「哲学」は、神話が切り開いた領土で、自然児の大胆さを失った慎重な足取りで進められた後追いの試みでしかないのではないかと思われるほど、神話には根源的な問いに対する人類の果敢な試みが保存されています。 第二部では、「国家=野蛮なるもの」はいかに誕生したか? 熊をカミとする狩猟民たちの「対称性の思考」とは? 「哲学」と「権力」が共存する冬の祭りの秘密とは? 王を戴く国家が「無法の野蛮」と結びつく根源へと遡行して、国家というものが持つ、本質的な問題に迫ります。 第三部では、 本当の豊かさとは? 資本増殖の秘密とは?貨幣と魔術。愛と資本主義の不思議な関係を探る。全体性の運動としての経済と精神の構造は同一だろう。資本主義の彼方に出現する「未知の贈与論」を探究し、 モース、マルクス、ラカンを超えて、21世紀の贈与論へ! 第四部では、「宗教的思考」の3万年を語りつくします。内部視覚、瞑想、夢の時間(ドリーム・タイム)……「宗教的思考」の根源、そして精霊(スピリット)が超越を生む飛躍を探ります。さらに、高神から唯一神への道のりとは? <精神の考古学>が、神々の基本構造をあざやかに解き明かします。 【目次概要】 はじめに カイエ・ソバージュCahier Sauvage)について 第一部 人類最古の哲学 第二部 熊から王へ 第三部 愛と経済のロゴス 第四部 神の発明 第五部 対称性人類学 第五部では、神話、国家、経済、宗教を旅してきた私たちは、新たな知の営み「対称性人類学」へと向かいます。「圧倒的な非対称」が支配する世界の根源を問う冒険が、ここに堂々完結します。抑圧された無意識の「自然」は甦るのか?「対称性の論理」が切り開く新たな世界とは? 野生の思考としての仏教を媒介に、来たるべき形而上学革命への展望は私たちの未来をを示しています。

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