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Posted by ブクログ
著者は「学研」の小論文の「権威」。本書は、小論文を課す大学入試突破のアンチョコではない。他人の文章や論説に触発されて自分の言葉でそれを考え直すこと、そして人に伝えられるように言語化の訓練をすることの重要性を説いている。著者のメッセージは、「自分の言葉を持ってリアルに生きる」だ。当たり前になっている「常識」や雰囲気には、多数の人々が思考停止して盲従しているだけの危うい構造があるのではないか、と疑うべきだし、自分が感じる「異和感」(著者は「違和感」とは書かない)をきちんと意識して結晶化してみるべきだ、と言っている。
本書に出てくる小論文のお題が、環境だったり差別だったり格差是正のための所得再配分だったりするのは、大学入試がそういうテーマを好んで出題するからだろう。ところがよくよく考えると、そういうテーマの小論文を課すということは、受験生にそういった(あえていうと、やや社会主義的サイドに寄り添った)エッセイを刷り込むことになる。模範解答みたいなものを書いてみれば、大概はそういうスタンスのものができあがってしまうだろう。小論文入試がそのような思想バイアスを無意識に作っていると言えなくもない。
著者は、ばりばりの団塊世代であり、吉本隆明を読み込んだ世代でもある。そのあたりも気になるといえば気になる。
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