講談社学術文庫作品一覧

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  • ソビエト連邦史 1917-1991
    3.7
    プロレタリアート革命が、農民国家ロシアで勃発したのはなぜか? 党が国家を所有するという転倒した関係はソ連に何を引き起こしたのか? 「古儀式派」という宗教と党中枢との知られざる関係とは?1917年の革命~1991年の崩壊。この74年間に失われた人命は、数千万以上。ソ連・ロシア政治研究の第一人者が、ソ連崩壊後明るみ出た数多の資料を読み解いて、人類史上最大の「社会主義国家」の全貌を解き明かす。
  • ソフィスト
    -
    名著、復刊。 ソフィストとは「にせものの知識を売物にして人を欺くような言論を試みる者」というような悪名を被されているが、本来はけっしてそのような悪い意味ではないのだというところに、本書の著者は出発点をおく。そしてソフィストの概念を克明に追求して明らかにし、ソフィストが西洋の思想史において持つ意味や果たした役割を積極的に評価し、その上で古来ソフィストに冠せられてきた悪名の由来を丹念に解き明かそうとするものである。
  • 素朴と文明の歴史学 精選・東洋史論集
    値引きあり
    4.0
    日本の東洋史学が生んだ20世紀の巨人、宮崎市定(1901-95年)。広範な領域にわたる魅力的な著作の数々から、全集未収録作品を含め、これまで文庫に収録されてこなかったものを中心に精選したアンソロジー。長年の愛読者はもちろん、宮崎史学初めの一歩にも。 「歴史は須(すべか)らく世界史でなければならぬ。事実、私の研究は常に世界史を予想して考察して居り、世界史の体系を離れて孤立して個々の事実を考えたことは一度もない」(『アジア史研究』第一、「はしがき」より)。出発点となった宋代史研究をはるかに超えて、中国史のあらゆる時代、さらに西アジア史や古代日本史にまで及ぶ優れた業績は、いずれも偉大な歴史家の理念に力強く裏打ちされている。 鋭く細やかな洞察、時間・空間ともに壮大な展望を予感させるスケールの大きさと独創性、生き生きとした人物描写、これらを可能にする文章力……。枚挙に暇がない魅力ゆえに、宮崎の作品は、専門家にとどまらず長きにわたって多くの読者を得てきた。専門とする時代・領域ともに異なりながらも、宮崎への思い入れが嵩じて評伝を著し話題になった西洋古代史研究者の井上文則氏もその一人である。その井上氏が、歴史家としての宮崎市定、とりわけその人となりがわかるような作品を厳選、解説では宮崎の人生のなかにそれらの作品を位置づける。 中国の歴史は中国周辺の民族に代表される素朴主義と、中国社会そのものである文明主義の入れ替わりの歴史であったと喝破し、素朴主義に共感を寄せる「素朴主義と文明主義再論」。本作品をはじめとする宮崎独自の雄大な歴史観、そして古代・中世・近世史、さらに文化史についての各論を通して、巨峰宮崎市定の威容に迫る決定版セレクション! 【本書の内容】  1 歴史の見方 世界史序説 素朴主義と文明主義再論 歴史と塩 『宋詩概説』吉川幸次郎著〔書評〕  2 歴史学各論   ・古 代 中国上代の都市国家とその墓地――商邑は何処にあったか 条支と大秦と西海   ・中 世 晋武帝の戸調式に就て 六朝時代江南の貴族 清 談   ・近 世 五代宋初の通貨問題梗概 王安石の黄河治水策 雍正時代地方政治の実情――シュ批諭旨と鹿洲公案   ・文化史  シナの鉄について 江戸時代におけるシナ趣味  3 全集未収録作品 大きな静けさ はしがき〔『地獄の決闘』〕 中国漢代の都市 中国における易占の発達 付録 宮崎市定と青木木米(リチャード・ピアソン&一枝?・ピアソン) 解 説(井上文則)
  • 孫子
    4.5
    「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」などの名言で知られる『孫子』。春秋時代の孫武(そんぶ)が著わし、二千年以上も読み継がれた名高い古典は世界最古の兵法書として、また人間界の鋭い洞察の書として親しまれ、今日もなお組織の統率法や人間心理の綾を読みとるうえで必携とされている。本書は、従来の宋時代のテキストより千年以上も古い前漢武帝時代の竹簡文に基づく精密な唯一の解説である。
  • 『孫子』の読書史 「解答のない兵法」の魅力
    -
    華々しい戦史も、将軍たちの勇壮な逸話も、ましてや必勝の極意もない小さな兵法書は、なぜ2400年にわたる世界史的ベストセラーになりえたのか? 曹操、蒋介石、毛沢東、山鹿素行、吉田松陰、旧陸海軍、公安警察、労働組合、電通、そしてイギリス軍やアメリカ軍へと読み継がれてきた歴史を辿りつつ、形篇や勢篇、行軍篇など実際のテキストを吟味し、その「魅力」の源泉に迫る! 【目次】 はじめに 中国王朝名一覧 ■第一部 書物の旅路ーー不敗への欲望 第一章 戦いの言語化ーー『孫子』の原型 第二章 成立と伝承 第三章 日本の『孫子』ーー江戸時代末期まで 第四章 帝国と冷戦のもとで ■第二部 作品世界を読むーー辞は珠玉の如し 第一章 帝王のためにーー『群書治要』巻三三より 第二章 形と勢ーー永禄三年の読み 第三章 不確定であれーー銀雀山漢墓出土竹簡「奇正」 第四章 集団と自然条件ーー西夏語訳『孫子』より おわりに 参考文献 学術文庫版へのあとがき 【本書の主なトピック】 □『孫子』古典化の秘密は非万能・抽象・非戦志向にあり □日清・日露戦争の勝利で進んだ『孫子』の聖典化 □米軍を『孫子』研究に向かわせた毛沢東率いる人民解放軍の脅威 □電通PRセンター初代社長が仕掛けた企業経営者向け『孫子』キャンペーン □帝王・皇族は『孫子』から何を学んだのかーー『群書治要』 □なぜ勝ち負けが生ずるのかーー形篇・勢篇 □無限に変化し、不確定であれーー銀雀山漢墓出土竹簡「奇正」 □”China Rising”で『孫子』は21世紀世界の必読書へ
  • 大清帝国への道
    4.0
    従来、「異民族の征服王朝」もしくは「最後の中華王朝」とのみ捉えられてきた清は、満・漢・藩の「三つの貌」を持つ帝国だった。ヌルハチが統合した北方の一小国は、やがて長城を越えて北京に入城し、さらに中央アジアを制圧、康熙・雍正・乾隆という三帝のもとで最盛期を迎える。満洲語史料を読み解き、現代に続く多民族国家の形成過程を解明する。(講談社学術文庫)
  • 大政翼賛会への道 近衛新体制
    値引きあり
    4.3
    打倒財閥、既成政党、そして軍閥、宮廷官僚を一掃して、すべての国家機構が一つの党の指導下に置かれる独裁を目指した近衛新体制運動。憲法改正と解釈改憲で、党の指導者が天皇に対する唯一の輔弼者となる構想は、どのようにして生まれたのか。開戦前夜、近衛文麿を担いだ様々な「革新派」の行動と実態を明らかにする名著。(講談社学術文庫)
  • 太平記<よみ>の可能性
    値引きあり
    4.8
    太平記よみの語りは、中世・近世を通じて人びとの意識に浸透し、天皇をめぐる2つの物語を形成する。その語りのなかで、楠正成は忠臣と異形の者という異なる相貌を見せ、いつしか既存のモラル、イデオロギーを掘り崩してゆく。物語として共有される歴史が、新たな現実をつむぎだすダイナミズムを究明し、戦記物語研究の画期となった秀作、待望の文庫化。 これほど、読むたびに知的興奮を覚えさせられる本は、めったにない。10年前、兵藤さんからこの本を贈られ、一気に読んでそのスリリングな議論展開のとりこになって以来、『太平記<よみ>の可能性』は、文字通り私の座右の書になった。そのときどきの私の関心に応じて、さまざまな読み方ができ、そのたびに啓発される。この本自体、豊かな<よみ>の可能性にみちているのだ。――<川田順造「解説」より> 〔原本:1995年刊行の講談社選書メチエ〕 第1章 太平記の生成 第2章 もう1つの「太平記」 第3章 天皇をめぐる2つの物語 第4章 楠合戦の論理 第5章 近世の天皇制 第6章 楠正成という隠喩(メタファー) 第7章 『大日本史』の方法 第8章 正統論から国体論へ 第9章 歴史という物語
  • 太平洋戦争と新聞
    値引きあり
    4.3
    満蒙の特殊権益をめぐる中国との対立から戦争の泥沼へとのめり込んでゆく日本。満州事変、日中戦争、太平洋戦争と続く動乱の時期、新聞は政府・軍部に対しどんな論陣を張り、いかに報道したのか。新聞紙法を始めとする法令、厳しい検閲に自由を奪われるとともに、戦争遂行へと自らの主張を転換する新聞。批判から迎合的煽動的論調への道筋を検証する。(講談社学術文庫)
  • 対話のレッスン 日本人のためのコミュニケーション術
    値引きあり
    4.1
    「日常会話」や「雑談」は得意でも「対話」は苦手なことが多い日本人。ふだん同じ価値観の仲間とばかり会っているので、異なるコンテクストの相手と議論をしなくて済んでしまう。文化の違う相手と交渉したり共同作業をする経験が、まだ日本人には少ないのだ。さらに携帯電話などの登場で、世代間のギャップが広がる。それではどのようなスキルが必要なのか。豊富な具体例をもとに、新しいコミュニケーションの在り方を真摯に探る。(講談社学術文庫)
  • 台湾の歴史
    5.0
    経済発展と民主化を達成し、ますます存在感を高めている「台湾」は、どんな歴史を歩み、どこへ向かうのか。2024年1月の総統選挙を控えて、その歴史と現在を知る文庫版。 その歴史は「海のアジア」と「陸のアジア」がせめぎ合う「気圧の谷間」が、台湾という場所を行ったり来たりした歴史だった。その動きから生じる政治・経済の国際的な激動の中で、多様な人々が織りなしてきた「複雑で濃密な歴史」を見つめることなしに、現在の台湾を理解することはできない。 はるか以前から、さまざまな原住民族(先住民族)が生きていた台湾島が、決定的な転機を迎えたのは17世紀のことだった。オランダ東インド会社が初めて「国家」といえる統治機構をこの島に持ち込んだのである。短いオランダ統治の後、明朝の遺臣・鄭成功ら漢族軍人の時代を経て、清朝による統治は200年に及ぶが、1895年、日清戦争に勝利した日本の植民地支配が始まる。そして1945年に始まった中華民国による統治は、当時の民衆に「犬が去って、豚が来た」と言われるものだった。その中で、本省人・外省人の区別を超えて「台湾人」のアイデンティが育まれ、1990年、直接選挙による第1回総統選で「初の台湾人総統」李登輝が登場する。 『台湾――変容し躊躇するアイデンティティ』(2001年、ちくま新書)を、大幅増補して改題し、文庫化。 目次 はじめに――芝山巖の光景 第一章 「海のアジア」と「陸のアジア」を往還する島――東アジア史の「気圧の谷」と台湾 第二章 「海のアジア」への再編入――清末開港と日本の植民地統治 第三章 「中華民国」がやって来た――二・二八事件と中国内戦 第四章 「中華民国」の台湾定着――東西冷戦下の安定と発展 第五章 「変に処して驚かず」――「中華民国」の対外危機と台湾社会の自己主張 第六章 李登輝の登場と「憲政改革」 第七章 台湾ナショナリズムとエスノポリティクス 第八章 中華人民共和国と台湾――結びつく経済、離れる心? 第九章 「中華民国第二共和制」の出発 結び 補説1 総統選挙が刻む台湾の四半世紀――なおも変容し躊躇するアイデンティティ 補説2 「台湾は何処にあるか」と「台湾は何であるか」 学術文庫版あとがき 参考文献  台湾史略年表 索引
  • 高杉晋作の手紙
    -
    幕末の長州藩を縦横に走り回った高杉晋作は、時代を大きく旋回させて惜し気もなく舞台から去って行った。享年二十九――。一方で晋作は、厖大な手紙や日記、詩歌草稿を残している。手紙の相手は父母をはじめ、吉田松陰、久坂玄瑞、桂小五郎(木戸孝允)、山県狂介(有朋)ら、多岐にわたる。その行間からは幕末を生きた人間の生の息吹が伝わってくる。(講談社学術文庫)
  • タテ社会の力学
    値引きあり
    3.5
    日本では法よりも社会的規制によって人々の行動は律される。『タテ社会の人間関係』で著者が提示した〈タテ社会〉というモデルを動かすメカニズムを、全人格的参加、無差別平等主義、儀礼的序列、とりまきの構造など、興味深い事例で解明、日本社会のネットワークを鮮やかに描き出す。外的変化に柔軟に対応する軟体動物的構造の再認識に国際化の扉は開く。(講談社学術文庫)
  • 田沼意次の時代
    -
    ◇この男は、列島を「ひとつの社会」にしようと企てた◇ 低い家格から前代未聞の大出世を果たした男は、それまで幕藩体制が規定してきた列島の社会のあり方を一新しようと試みた。 税制改革、通貨一元化、蝦夷地の大規模開発……彼が企てた改革は未完に終わったが、その後の歴史展開に確かな足跡を残すものであった。 戦前は「日本史三大悪人」の汚名を着せられた田沼意次の評価を一転させた、記念碑的論考。 【本書より】 田沼意次の時代は、日本の改革と保守とが激闘した、江戸時代では最も面白い時代である。 【本書の内容】 はじめに プロローグ──郡上一揆と田沼意次の登場  第一章 田沼意次の虚像と実像 1 田沼意次の履歴  2 つくられた悪評  第二章 吉宗の退陣と意次の登場 1 吉宗退陣と家重継嗣  2 左近将監の罷免  3 将軍の座を逃した松平定信  4 田沼意次の登場  5 幕府の権力構造と田沼意次の位置  第三章 田沼意次の政策 1 暗殺で阻止しようとした田沼の政策  2 流通税の導入 3 通貨の一元化政策 4 蝦夷地の調査とその開発政策  5 印旛沼の干拓とその挫折 第四章 田沼時代の社会 1 文人たちの時代  2 天災と災害の時代  エピローグ──「遺書」を通してみた意次の人柄  おわりに  解説
  • 愉しい学問
    -
    本書は、フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900年)が遺した主著、待望の新訳である。1878年の『人間的、あまりに人間的』で採用されたアフォリズム形式の集大成として1882年に出版された本書では、「永遠回帰」の思想が鮮やかに提示され、有名な「神は死んだ」という宣言が登場する。続く『ツァラトゥストラはこう言った』(1883-85年)と並び、ニーチェ思想の神髄を伝える本書を、清新かつ斬新な日本語で!
  • 楽しき熱帯
    -
    ギリシア神話の神々の名を冠した蝶が飛び交い、獰猛な肉食魚ピラーニャが蠢くアマゾン。少年時の夢叶い、いざ緑の魔境へ! トラップで虫採り、釣りに感激、蝶の標本を買い込む楽しい旅は、インディオ虐殺、金採掘人(ガリンペイロ)・ゴム採集人(セリンゲイロ)の過酷な生、自然破壊との出会いでもあった。虫好き仏文学者ならではの、軽妙にして奥深い名紀行。(講談社学術文庫)
  • 歎異抄
    値引きあり
    4.0
    悪人正機説や他力本願で知られる真宗の開祖・親鸞。危険思想視され烈しい弾圧にあいながらも、人々に受け入れられていった、その教えの本質とは何か。師の苦悩と信仰の極みを弟子の唯円が綴った聖典に詳細な語釈、現代語訳、丁寧な解説をほどこした。日本人の「こころ」を追究する著者の手でよみがえる流麗な文章に秘められた生命への深い思想性。
  • 第一次世界大戦  忘れられた戦争
    4.1
    1914年夏、「戦争と革命の世紀」が幕を開けた。交錯する列強各国の野望、暴発するナショナリズム、ボリシェヴィズムの脅威とアメリカの台頭……。ヴィルヘルム2世、 ロイド・ジョージ、 クレマンソー、レーニン、ウィルソンら指導者たちは何を考え、どう行動したのか。日本の進路に何をもたらしたか。「現代世界の起点」たる世界戦争を鮮やかに描く。
  • 大乗仏教の誕生 「さとり」と「廻向」
    4.5
    人びとを救いのない業報の束縛から解放する、恩寵と救済の宗教――大乗仏教は、どのような思想的変転の中から出現したのだろうか。「さとり」と「廻向(えこう)」という大乗仏教のキーワードを軸に、その独自の論理を解明していく。 「マーヤー夫人の処女懐胎」と「マリアの受胎告知」など、ブッダとイエスをめぐる説話に驚くべき類似がいくつも見られるのはなぜだろうか。本書はまず、仏教とユダヤ教、キリスト教など、西アジアの諸宗教の影響関係を聖典文献学から探る。なかでも、ペルシアに栄えたゾロアスター教がメシア信仰や阿弥陀仏信仰、さらに大乗仏教の成立に与えた影響に着目する。 また、自分の積んだ善業の結果を「さとり」という超世間的なものに転換したり、自己の功徳を他人に振り向けたりする「転換の思想」すなわち「廻向」は、「業も果も本質的には空(くう)である」という「空の思想」に支えられている、という。そして、この阿弥陀仏信仰と「空の思想」を両輪として、大乗仏教は育まれたのである。 原始仏教と他宗教を比較する広い視野から、難解な思想を平易に説き明かす。巻末解説を、チベット学の今枝由郎氏が執筆。 『「さとり」と「廻向」――大乗仏教の成立』(講談社現代新書1983年刊、人文書院1997年刊)を改題して文庫化。
  • 大日本人名辭書(一)
    -
    本書は、明治十九年初版発行、昭和十一年新訂版発行、昭和四十九年に小社より復刻版を刊行した『大日本人名辞書』(全五巻)をそのままの内容で縮刷し、学術文庫に収録するものである。本書はもと田口卯吉の編集にかかり、独創的な名辞典として広く流布普及した。以来半世紀にわたって改訂増補を重ね、ここにみる「新訂版」として完成した。人物の網羅、記事の精確、収録の広汎等我が国人名辞典の王者として不朽の名著である。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • だれのための仕事 労働vs余暇を超えて
    3.8
    たのしい仕事もあればつらい遊びもある。仕事/遊び、労働/余暇という従来の二分法が意味を消失した現代社会にあって、わたしたちが生きることを支えているものはなにか、それは「働く」ことと「遊ぶ」こととどのようなかかわりがあるのか――。人間性の深みまで掘り下げて労働観・余暇観の歴史にせまり、人間活動の未来像をさぐる、清新な労働論。(講談社学術文庫)
  • 地下水と地形の科学 水文学入門
    値引きあり
    4.3
    黒部川扇状地、武蔵野台地、千葉・市原、熊本市……。三次元空間を時間とともに変化する四次元現象である地下水流動を可視化する水文学。地下水の容器としての不均質で複雑な地形と地質を解明した地下水学は、改めて環境問題に取り組む。地下水=共有財(コモンズ)を、単に資源としてではなく、文化・心理的な環境要因とみなし、自然と人間の幸福な関係を探究する。
  • 地図から読む歴史
    値引きあり
    4.1
    過去の景観の残片は、さまざまな形で地図に姿を留めている。地名や地形、道路、寺社などの位置関係と実地の検分から、そこに生きた人々の「地表経営」とその意図を解明する<歴史地理学>の楽しみ。聖武天皇の都・恭仁京の全貌、信長の城地選定基準、江戸建設と富士山の関係など、通常の歴史学ではアプローチできない日本史の側面に新たな光をあてる。
  • 地図の歴史 世界篇・日本篇
    3.8
    文字よりも古い歴史をもつといわれる地図には、その時代の人々の世界観が描かれる。それは豊かな想像力と確かな科学や測量が融合した、時代の観念の具象化だった。世界と日本それぞれに、人類はどのような観念を地図に描き、そして現実の世界とつなげようとしてきたのか。斯界の泰斗が、興味深い数多くのエピソードに160点超の豊富な図版を交えてつづる地図の歴史。長く読み継がれてきた歴史地理学の入門書、待望の文庫化!
  • 知性改善論
    -
    本書は、主著『エチカ』で知られるバールーフ・デ・スピノザ(1632-77年)がその執筆活動の初期に残した代表作の一つです。 従来『神、人間および人間の幸福にかんする短論文』が最も早い著作と考えられてきました。しかし、近年の研究では本書『知性改善論』こそ、1656年後半から61年前半に書かれた最初期の論考である、という説が有力になりつつあります。アムステルダムにユダヤ人として生まれ、ユダヤの教育を受けたものの、1656年には破門されるに至ったスピノザが、デカルトやベーコンの哲学を会得した上で、「神」について、無限なる属性としての思考と延長について独自の見解を紡ぎ、語り始めた、画期となる著作です。 精神と全自然との合一の認識、永遠無限なるものへの愛、揺るぎない幸福の追求など、本書には『エチカ』のモチーフをはっきり見て取ることができます。おそらくは時間のなさゆえに本書は未完のまま放置されましたが、しかしその哲学は『エチカ』に引き継がれ、さらなる発展と深化を遂げていくことになります。その意味で、本書はスピノザが「哲学者」になる過程を記録した生々しいドキュメントであるとともに、著者自身による最良の『エチカ』入門でもあると言えるでしょう。 『知性改善論』については、長らく畠中尚志訳(1931年、改訳1968年)が読み継がれてきました。本書は、気鋭の研究者が最新の研究成果を取り込みつつ、充実した訳注とともに「今日の日本語」でスピノザを読めるようにと全力で完成させた待望の新訳です。 [本書の内容] 読者に告ぐ 〔導 入〕 〔方法の規定〕 〔方法の第一部〕 〔方法の第二部〕 訳 注 文献一覧 訳者解説
  • 地中海世界 ギリシア・ローマの歴史
    3.0
    古代ローマ史の泰斗による、古代地中海世界の歴史。講談社現代新書で好評を博したシリーズ「新書西洋史」全8冊のうちの第2巻として刊行されたが、単なる概説書にとどまらず、古代史への新しく、大きな視座を提供した、定評ある意欲作。 本書は、ほぼ2000年にわたるギリシア・ローマの歴史を扱うが、「ギリシア」と「ローマ」という二つの歴史を扱っているのではない。「ギリシア・ローマ」という一つの世界の一貫した歴史として追及する。 現在の西半球の主要な歴史の担い手とその文化は、地中海世界を母胎として生み出されたものであった。ラテン的・ゲルマン的世界、ギリシア的・スラブ的世界、オリエント的・アラブ的世界は、地中海世界の崩壊の中から生み出された第二次的世界であり、キリスト教的東西ヨーロッパ文明、イスラム的アジア文明は、地中海世界の転生の中から生まれたものだった。地中海世界は、それらすべてのものの出発点であり、母胎であり、故郷なのである。巻末解説を、東大名誉教授・本村凌二氏が執筆。〔原本:『新書西洋史2 地中海世界――ギリシアとローマ』講談社現代新書、1973年〕
  • 秩禄処分 明治維新と武家の解体
    値引きあり
    5.0
    秩禄処分とは、明治9年、華族・士族に与えられていた家禄を廃止し、「武士」という特権的身分を解体した変革である。現代にたとえれば、公務員をいったん全員解雇して公職を再編するようなこの措置は、なぜ、曲折を経つつも順調に実施され、武士という身分はほとんど無抵抗のまま解消されたのか。江戸時代以来、「武士」はどのように位置付けられ、没落する士族たちは、新たな時代にどう立ち向かっていったのかを明らかにする。(講談社学術文庫)
  • 「知の商人」たちのヨーロッパ近代史
    3.0
    古来、思想は<出版>という形で普及し、後世へ残った。ならば、知の媒介者たる「印刷・出版業」から16世紀から20世紀の近代を眺めてみよう。そこには、名著を支えた蒐書家や出版人などの人間模様、「知」の商品化による印税騒動など、歴史に埋もれた事件が浮かび上がってくる! 思想史でも書物史でもない、碩学によるユニークな書。 本書は1985年4月、筑摩書房から刊行された『知の商人―近代ヨーロッパ思想史の周辺』を改題、加筆修正したものです。 目次 1 商品としての思想 エルセフィエル書店 リヴァイアサンの顔 ハーリーとソマーズ 知の商人―ストラーンのばあい 知の商人―エディンバラの出版業者 バーゼルのトゥルナイゼン 固有名詞の読み方 『ケール版ヴォルテール全集』始末記 イギリスのワイン アメリカ革命の導火線 『エディンバラ評論』の運命 紅茶の話 ジン横丁 2 知識人層の成立 音楽の商品化 うたは世につれ 『共産党宣言』の英訳者 パリ・コミューンと芸術家たち 芸術至上主義と無政府主義・ 黒猫のスタンラン 大学と女性 ディーツ出版社 ユニウスとジュニアス ブラウンス・アルヒーフ マスク・ヴェーバーをめぐる女性 3 ファシズムのもとで グーテンベルク図書組合 マリク書店とハートフィールド 亡命知識人とスイス 左翼読書クラブ 一九三〇年代の墓標 ウォーバーグ家の人びと 空襲下のコンサート 内容抜粋) 「私は昨夜、ヴォルテールが死んだということを聞きました。これで人びとは、安心して彼の著作を買うことができるでしょう。彼はもう、あとからあとから書き直すということができないからです」(一七七八年一月十七日)。この知らせは誤報で、ウォルポールの安心は四ヵ月余り早すぎたのだが、ヴォルテールの止まるところを知らない改訂癖に蔵書家が悩んでいたことは、誤報ではない。  1「『ケール版ヴォルテール全集』始末記」より ルイジ・エイナウディ研究所 本を愛した外科医 あとがき 学術文庫あとがき 人名索引
  • 知の百家言
    4.5
    有史以来、フィロソフィー(知を愛すること)は人類とともにあった。先人たちの「知を愛する」営為の結晶である言葉を選び出し、その含蓄を引き出して、紹介する。<教養>としての哲学ではなく、激動の時代を生き抜くために、生きることに渇きを感じる強烈な好奇心に、思い考えること=生きることと直結するような「哲学」を提示する珠玉のエッセー集。(講談社学術文庫)
  • チベットのモーツァルト
    3.8
    密教の実践的研究を通して、チベット高原の仏教思想と現代思想が幸福な邂逅をとげる――。 物質に対する執着に眼を曇らされた闇を抜け、いまだ顕れ出ることのない純粋な未発の光に満ちたもう一つの夜を渡る旅へ。 <精神の考古学>を駆使して新たな知の時代を切り拓き、思想の大海を軽やかに横断し続ける著者の代表作。
  • チベット旅行記(上)
    4.3
    仏教の原典を求めて、1900年当時厳重な鎖国をしていたチベットに、困難を乗り越えて、単身入国・帰国を果たした河口慧海師の旅行記です。最高の旅行記かつ、生活・風俗・習慣の的確な記録として、チベット研究の第一級の基本文献です。『西蔵旅行記』(1904、博文館)を底本とし、挿絵も全点収録しています。また、改訂版(1940年)と英訳本(1909年)も参照し、完全な形になっています。(講談社学術文庫)
  • チベット旅行記 合本版
    5.0
    仏教の原典を求めて、1900年当時厳重な鎖国をしていたチベットに、困難を乗り越えて、単身入国・帰国を果たした河口慧海師の旅行記です。最高の旅行記にして、生活・風俗・習慣の的確な記録として、チベット研究の第一級の基本文献です。『西蔵旅行記』(1904、博文館)を底本とし、挿絵も全点収録しています。また、改訂版(1940年)と英訳本(1909年)も参照し、完全な形になっています。(講談社学術文庫)
  • 地方の王国
    -
    新潟、徳島、千葉、滋賀、鹿児島、北海道……。日本中で戦後保守政治の支柱となった〈王国〉。それらに潜り込み選挙の構造を調査した地方政治研究の重要古典。高度成長の終焉がもたらした各地の構造的変容は、「豊かさはもはや手放すべきものなのか」という問いをめぐって揺れる現代日本を照らし出す。日本政治の底の底、そこに映る日本人像にまで肉薄した迫真のルポルタージュ。(講談社学術文庫)
  • 地名の研究
    値引きあり
    4.0
    日本は諸外国とくらべて地名が膨大であると説き、柳田は有名な「大きな地名」よりも、小字などの「小さな地名」に着目する。また、地名を新古の生活の必要によって命名する「利用地名」、自分の土地だと宣言するための「占有地名」、地名を分割して名付ける「分割地名」に分類。それぞれの特徴は何か。地名学の源流となった名著。(解説・中沢新一)(講談社学術文庫)
  • 茶経 全訳注
    5.0
    中国唐代、「茶聖」陸羽によって著された世界最古の茶書『茶経』。茶の起源、製茶法から煮たて方や飲み方、さらに茶についての文献、産地による品質まで、茶に関する知識を実践的かつ科学的に網羅する「茶学の百科全書」を、豊富な図版とともに平易に読み解いてゆく。中国喫茶文化研究の泰斗による四十年余にわたる探究を経て完成した喫茶愛好家必携の一冊。(講談社学術文庫)
  • 茶道名言集
    3.0
    わび・さび、数寄、一期一会――。〈茶の精神〉は現代に生きる我々の日常生活にも息づいている。本書は、茶道書の古典から名人の言葉や逸話を豊富に集めて解説を施した。千利休をはじめ、村田珠光、武野紹鴎、そして岡倉天心まで、茶に生きた人々は茶に何を見出し、何を求めたのか。そこに現れる、茶道の心とは何か。平易な言葉でつづる茶道入門。(講談社学術文庫)
  • 中央アジア・蒙古旅行記
    3.0
    13世紀の中頃、ヨーロッパ人が相次いでモンゴリアの奥深く入っていった。教皇インノケンチウス4世の命を受け、あるいはルイ9世の書簡を携えて、「地獄(タルタルス)の住人」の地へと中央アジアの乾燥帯を苦難と危険を道連れに歩みゆく修道士たち。勢力を西へ拡大中のモンゴル帝国で、また本営カラコルムで、彼らは何を見、誰に会い、どんな宗教や風俗に触れたのか。2人の修道士それぞれの見聞記。
  • 中国侠客列伝
    -
    「弱きを助け、強きを挫く」侠者たちの壮挙。替天行道、一諾千金……。信義を重んじ、自らの命を賭して果断に行動する侠者たち。血湧き肉躍る痛快事を次々と実現するアウトロー達の強さと優しさを読み解く。
  • 中国思想史
    5.0
    昭和11年(1936)に『支那思想史』の書名で刊行され、戦後は『中国思想史』と改題してたびたび再刊されて今世紀まで読み継がれてきた概説書の、初の文庫化。孔子・老子に代表される古代思想はもちろん、その後の儒教・仏教・道教の相互交渉、朱子学・陽明学の成立、清代の考証学の確立まで、2000年以上におよぶ中国思想の幅広い歴史を、コンパクトに通観する。 著者によれば、維新以後この種の著作は数種出ているが、いずれも学者の伝記とその著書の解題を並べたものにすぎず、思想推移の跡をたどるに不便である、という。そこで本書では、思想変遷の過程を明らかにし、異質な思想が接触し変化する歴史を描くことに多く筆を割いている。 なかでも本書の大きな特徴は、四書五経の研究を深めた学問「経学」の変遷や、儒教や宋学への仏教の影響について大胆に説き明かしていることで、一人の研究者がこれほどの広い視野で中国の思想史を捉えた書物は、その後著されていない。 学術文庫のロングセラー、『孫子』『墨子』『諸子百家』等の著者、浅野裕一氏(東北大学名誉教授)が巻末解説を執筆。〔原本:岩波書店、1936年・1957年・2005年刊〕
  • 中国人の機智 『世説新語』の世界
    3.0
    諧謔性に富んだ反射神経、自負心の誇示、侮蔑への鮮やかな反撃……。一筋縄ではいかぬ誇り高き人々の不退転の反俗・反逆の精神を切れ味鋭い機智に乗せて演じきった舞台、それが『世説新語』の世界である。内乱、戦争、めまぐるしい王朝交替。暗く険悪な乱世を生き抜く魂は、悲哀、憂鬱を乗り越え、豪放洒脱な生き様は究極の言語表現を生み出した。(講談社学術文庫)
  • 中国戦乱詩
    -
    太平の時は常に稀にして戦乱の世は常に多し。――古来より、中国では戦争が絶えなかった。歴代の詩人たちは、あるがままの現実を作品に昇華し、人々の叫び出でたる声として残した。中国古典文学研究の泰斗が、蘇軾・李白・杜甫・文天祥といった、周代から清朝の名詩・四十一首を精選する、味わい深い名著。(まえがき・川合康三/解説・小川環樹) [本書の内容] 学術文庫版まえがき 川合康三 序 周詩 漢魏晋詩 六朝隋詩 唐詩(上) 唐詩(下) 宋詩 清詩 解説 小川環樹
  • 中国通史 問題史としてみる
    4.0
    歴史をみるうえで、なぜその事実が選択されたのか、何が大切で、どういう点が問題になるのか等に意を注ぎ、中国文明の誕生から現代までの歴史を綿密に辿る。江南の河姆渡(かぼと)遺跡や四川の三星堆(さんせいたい)遺跡など近年の新しい発掘と研究の著しい成果を踏まえ、民衆の歴史や思想・文化にも注意を払い、総合的観点から中国史の全体像を描き出した意欲作。(講談社学術文庫)
  • 中国の神話 神々の誕生
    -
    「子は怪力乱神を語らず」。孔子に代表される儒教の合理的精神のもと、早くに歴史の中に取り込まれ、断片的にしか伝わることがなかった中国神話。『山海経』や『楚辞』、甲骨資料などわずかに残された痕跡から、一つ目、一本足で猿面の山神を主人公に、古代中国史の泰斗が神話世界を大胆に復元する! 最古の地誌であり、儒学の厳しい検閲の網を逃れて現代にまで生き残った、さまざまな怪物が登場する『山海経』。そこには一本足で、声は雷のごとく、黄帝が生け捕りにして皮をはいで鼓をつくり、その骨をばちに打ち鳴らすと五百里四方にとどろいたという山の怪物が登場する。また別の個所では楽園の番人を殺して不死の木の実を盗んだ罪によって、足にかせをはめられ、両手と髪を縛ってある山の木に逆さ吊りにされた怪物も現れる。このいずれもが「き」という音で呼ばれる、本書の主人公である。 司馬遷が『史記』で歴史のはじめにおいた黄帝と、その強敵である蚩尤はともに風雨、とりわけ風を呪術的に自在に操る力を持っていた。風の神は同時にふいごを使う鍛冶神にも通じ、そして「き」もまた、鍛冶と深いかかわりがあったという。 多くは猿面で一つ目、一本足で表象されるこの山神を出発点に、柳田國男や折口信夫の民俗学的手法や日本神話、時にはバビロニアのマルドゥク伝説からもヒントを得ながら、古代のはるか遠い祖先神をめぐるひとつの物語として中国の神話を大胆に復元し、さらにその後、儒教化によって神話が歴史へ、呪術が宗教へと変容するまでを描く。神話世界を冒険するかのようなスリリングな魅力に満ちた一冊。 (原本:『中国の神話――神々の誕生』筑摩書房、1971年) 第一章 異形の神像 第二章 瞽師の伝承――中国の語部 第三章 風の神の発見 第四章 鍛冶師と山の神 第五章 文化的英雄の誕生――三皇五帝 第六章 神話の世界の消失 第七章 乱――エピローグ あとがき 解説 蜂屋邦夫
  • 中国の歴史1 神話から歴史へ 神話時代 夏王朝
    3.7
    1~12巻1,430~1,815円 (税込)
    講談社創業100周年企画として2004年~05年に出版された全集「中国の歴史・全12巻」の学術文庫版が、いよいよ刊行開始。本全集は、2014年には中国で、2016年からは台湾で翻訳出版され、そのレベルの高さと視点の新しさから累計で150万部を超えるベストセラーになっている。 待望の文庫化、第1回配本は、第1巻と第2巻の同時配本。第1巻では、長年、中国での遺跡発掘を手掛けてきた著者が、「三皇五帝」や「盤古伝説」などで知られる中国の神話の表す史実を探り、「夏王朝」「殷王朝」の謎に迫る。 中国の古代文明といえば、かつては「黄河文明」を指したが、現在では、長江流域をはじめ、各地の多様な自然環境から展開した多元的な古代文明と理解されている。現在の中国のさまざまな地域社会や風土を考える際にも、こうした先史時代から続く地域文化の脈絡を無視できないのである。約1万年前の新石器時代、南北の文化地帯の周縁でアワ・キビ農耕や稲作農耕が生まれ、そこから牧畜型農耕社会と遊牧社会が分離し、さらにその周辺には狩猟採集民が存在した。こうした基本的生活様式が誕生した中から、いかにして初期国家が生まれたのか。最古の王朝とされる夏王朝と二里頭文化の関係とは――。 文庫化にあたり、原本刊行後の重要な遺跡と発掘成果を大幅に加筆。〔原本:2005年、講談社刊〕
  • 忠臣蔵 もう一つの歴史感覚
    -
    日本人の心の中に「大石内蔵助」という名は一つの男の理想像として刻み込まれている。しかし、このイメージは、実は歴史上の実像とは隔たりがある。それでは、「忠臣蔵」という共同幻想をつくったのは、本当はだれなのか。そして、この壮大なフィクションは、なぜこれほど日本人に愛され続け、『仮名手本忠臣蔵』はどのようにして歌舞伎最大の古典となったのか。明晰な構成と文体で鮮やかに描き出す、第一人者による意欲作。(講談社学術文庫)
  • 中世イタリアの都市と商人
    3.5
    海賊さながらに武装する商人、巨大化するガレー船、移住する地主と小作人、都市・農村行政を支える公証人……。 古文書館に眠る証書や帳簿、登記簿などの史料を丹念に掘り起こし、中世イタリア都市社会・地中海世界を生き生きと再構成。のちの中世イタリア史研究の芽はすべてここにあるとも形容される、稀代の中世社会史学者の到達点。 (解説:池上俊一)  * * * [本書の内容] 1 地中海商業と海賊 2 ジェノヴァ・キオス・イングランド 3 地中海貿易とガレー船 4 イタリア中世都市の「市民」と「非市民」 5 中世末期イタリアにおける職人・労働者の移動 6 中世末期イタリアにおける公証人の活動 7 イタリア中世都市論再考 8 イタリア中世都市論再考――清水廣一郎氏遺稿 解説 かけがえのない細部を慈しむ 池上俊一
  • 中世芸能講義 「勧進」「天皇」「連歌」「禅」
    値引きあり
    3.5
    日本中世芸能の世界を、「勧進」「天皇」「連歌」「禅」という四つの切り口から論じる。経済活動の原動力としての勧進が芸能を包含していく過程、天皇制のなかの祓穢思想と芸能との発生のかかわり、位相の変化の連なりを集団の連関のなかで生み出す連歌のダイナミズムと美学、禅が孕むバサラ的思想。超域的な視点から能楽研究を拓いてきた第一人者の眼で歴史資料から鮮やかに見出される日本中世文化の全容を描く画期的講義の記録。(講談社学術文庫)
  • 中世再考 列島の地域と社会
    3.5
    日本中世史の諸説に様々な疑問を提出した小論集。「平民の自由」「民衆の生活史」「東国と西国」「百姓」「海民」など、著者が現在も徹底して追究し、多くの成果をあげている、数多くの研究主題の原点が提示されている。常民文化研究所で著者に強い影響を与えた民俗学者、宮本常一に関する論考も収録。
  • 中世都市 社会経済史的試論
    -
    ローマからゲルマン諸族へと地中海に展開した古代文明。イスラームの侵入による「停滞の中世」のなかで都市と商業はいかに生まれたか
  • 中世の音・近世の音 鐘の音の結ぶ世界
    5.0
    音に託された意味の変化から中近世の日本社会を読む。中世において誓いの場や裁判の場で撞かれていた神聖な鐘は、次第に日常的な音になり、危険や時刻を知らせる役割を果たすようになった。神の世界と人間をつなぐ音から、人間同士をつなぐ音へ。その変遷を、史料に加え民俗学の成果も多分に用いて考察する。記録には残りにくい当時の人びとの感性や感覚を追うことで、中近世の社会・文化を描き出す。(講談社学術文庫)
  • 中世の罪と罰
    値引きあり
    4.3
    「やーい、お前の母ちゃん、でべそ!」 誰もが耳にしたことがありながら、よく考えると意味不明なこの悪口。そこに秘められた意味とは? ありふれた言葉を入り口に、今は遠く忘れ去られた日本の姿が、豊かに立ち上がる。 「お前の母ちゃん…」のような悪口が御成敗式目にも載るれっきとした罪であり、盗みは死罪、犯罪人を出した家は焼却処分、さらに死体の損壊に対しては「死骸敵対」なる罪に問われれた中世社会。何が罪とされ、どのような罰に処せられたのか。なぜ、年貢を納めなければ罰されるのか。それは何の罪なのか。10篇のまごうかたなき珠玉の論考が、近くて遠い中世日本の謎めいた魅力を次々に描き出す。 稀代の歴史家たちが、ただ一度、一堂に会して究極の問いに挑んだ伝説的名著、待望の文庫化!(原本:東京大学出版会、1983年)解説(桜井英治・東京大学教授)より本書を通じてあらためて浮き彫りになるのは、中世社会が、現代人の常識や価値観では容易に解釈できない社会だということ、つまりそれは私たちにとって彼岸=異文化にほかならないということである。……日本中世史研究がまばゆい光彩を放っていたころの、その最高の部分をこの機会にぜひご堪能いただきたい。【主な内容】1 「お前の母さん……」 笠松宏至2 家を焼く 勝俣鎭夫3 「ミヽヲキリ、ハナヲソグ」 勝俣鎭夫4 死骸敵対 勝俣鎭夫5 都市鎌倉 石井 進6 盗 み 笠松宏至7 夜討ち 笠松宏至8 博 奕 網野善彦9 未進と身代 網野善彦10 身曳きと“いましめ” 石井 進討論〈中世の罪と罰〉 網野善彦・石井進・笠松宏至・勝俣鎭夫あとがき 笠松宏至あとがきのあとがき 笠松宏至文献一覧解 説 桜井英治
  • 中世のなかに生まれた近世
    値引きあり
    -
    後北条、武田、今川、上杉など東国の大名が発給した文書は、はんこを捺した「印判状型」。一方、毛利や大友、島津ら西国の大名は「非印判状型」。前者は官僚制的で強力な支配、後者は人格的でゆるやかな支配だった。戦国大名たちの膨大な文書をあざやかに分析し、そのうえで信長、秀吉、家康という天下人の支配の本質にせまる、刺激的な歴史学、登場!
  • 中世の非人と遊女
    値引きあり
    3.8
    非人や芸能民、商工民など多くの職能民が神人(じにん)、寄人(よりうど)等の称号を与えられ、天皇や神仏の直属民として特権を保証された中世。彼らの多くは関所料を免除されて遍歴し、生業を営んだ。各地を遊行し活動した遊女、白拍子の生命力あふれる実態も明らかにし、南北朝の動乱を境に非人や遊女がなぜ賤視されるに至ったかを解明する。網野史学「職人論」の代表作。
  • 中世武士団
    値引きあり
    5.0
    平安時代後期から戦国時代の終わりまで、中世をになった特徴的存在が武士団です。 「土」と結びついたイエ支配権の強力さと独立性、生活の実際と意識のあり方、10世紀初頭の武士団の実体と鎌倉武士団への発展の過程、「板碑」が語る武士団の歴史、安芸国の小早川氏に見る鎌倉的武士団から南北朝・室町的武士団への変貌の経過と武士団の支配下の荘園の様相、北陸の雄たる朝倉氏の城下町、越前一乗谷の考古学的発掘の成果をとり入れた戦国武士団の一面。そして中世から近世へと移りゆくなかで武士団が喪失した「自立性」への惜しみない哀悼。 本書は、日本中世史の泰斗が「中世武士団」という社会集団の実態と特色、そして中世社会の構造を、歴史書、文学作品、碑文、考古学資料を駆使し鮮やかに描き出し、高い評価を受け続けている作品です。30年以上前の著作ではありますが、学生や研究者にとっては今なお必読書であり、一般読者層にとっては最良の日本中世史入門といえる名著です。 〔原本/1974年、小学館「日本の歴史」12巻『中世武士団』〕 ※本書の原本は1974年、小学館より「日本の歴史」第十二巻『中世武士団』として刊行されました。講談社学術文庫収録にあたっては、同社より1990年に刊行された「文庫判 日本史の社会集団」第三巻『中世武士団』を底本とし、2005年に山川出版社から刊行された「石井進の世界」第二巻『中世武士団』を参照しました。 【目次より】 中世武士団の性格と特色――はじめに 曾我物語の世界 敵討とその周辺 「兵」の館をたずねて 「兵」から鎌倉武士団へ 板碑は語る 武士団とは何か 小早川の流れ(一)――鎌倉時代の歩み 小早川の流れ(二)――南北朝・室町時代の武士団 埋もれていた戦国の城下町――朝倉氏の一乗谷 失われたもの、発見されるもの――おわりに
  • 中世ヨーロッパの結婚と家族
    3.0
    学術文庫ですでに、『中世ヨーロッパの城の生活』、『中世ヨーロッパの都市の生活』、『中世ヨーロッパの農村の生活』、『大聖堂・製鉄・水車』、『中世ヨーロッパの家族』、『中世ヨーロッパの騎士』が好評を博している、ギースの「中世ヨーロッパシリーズ」の7冊目。本作では、人間の社会を構成する最も基本的な単位、「家族」と、その核心をなす「結婚」から、中世の社会史を掘り下げる。初訳。古今のあらゆる社会において、「家族」は、人が食べ、学び、経済生活を送る普遍的な場であったが、同時に、常に変化し続けるものでもあった。今日の家族は、ヨーロッパ中世が生み出した歴史の産物なのである。古代には、貴族の一夫多妻は当然であり、ローマ時代の「ファミリア」は、血族だけでなく奴隷や召使いをも含んでいた。中世の1000年間に、「解消不能な一夫一婦制」という原則はどのように定着し、「夫婦と子どもたちが一つの家に住む」という家族観はなぜ生まれたのか。14世紀の大災厄、黒死病以降に、家族のあり方や、子どもへの接し方はどう変わったのか。貴族や中流階級、農民や職人など、様々な人々の「結婚」と「家族」の進化の道筋を丹念に描く。[原著:Frances and Joseph Gies, Marriage and the Family in the Middle Ages,1987 ]目次/第一部 起源 第一章 歴史家、家族を発見 第二章 原点――ローマ人、ゲルマン人、キリスト教/第二部 中世前期 第三章 ヨーロッパの家族――五〇〇―七〇〇年 第四章 カロリング朝時代 第五章 アングロ・サクソン時代のイングランド/第三部 中世盛期 第六章 十一世紀の家族革命 第七章 十二世紀――新しいモデル 第八章 黒死病以前の農民たち――一二〇〇―一三四七年 第九章 貴族の系譜――長子相続がもたらす危機 第一〇章 中世の子どもたち/第四部 中世後期 第一一章 黒死病の影響 第一二章 中世後期の農民の家族――一三五〇―一五〇〇年 第一三章 イングランドの土地持ち紳士階級の家族 第一四章 十五世紀のフィレンツェ――商人の家族/第五部 中世末期 中世の終わり 第一五章 遺産/訳者あとがき
  • 中世ヨーロッパの色彩世界
    3.8
    明日、何を着ていこう――冠婚葬祭をのぞけば、服選びで色がもつ意味を気にする人はいないだろう。ところが中世ヨーロッパではそうはいかない。たとえば緑は恋を、青は誠実さを意味し、黄は忌避される色だった。中世の色は現代よりもはるかに饒舌で、絵画や文学で描かれた人々の衣服の色には、単なる色の美しさや好みを超えた、さまざまな意味が託されている。中世の人びとはどんな色に囲まれ、どんな気持ちで色を身につけていたのか、あるいは目の前の人物が纏う色から何を読みとっていたのか。 多彩な史料から複雑で精緻な色彩コードを読み解き、中世人の日々の感情生活を豊かに描き出す。あの絵画もこの伝説もいっそう深く理解できる、色が語る中世世界への招待!(カラー口絵付き。電子書籍版はオール・カラー図版) 待ちに待った初めての逢瀬。恋焦がれた女性が鮮やかな青に緑のオウムをちらしたドレス着て現れたら、相手の男性は有頂天になるだろう。なぜなら、そのドレスの意味するところは「誠実にあなたを愛します」。ところがある日、夢に現れた彼女が全身緑の衣をまとっていたら、悲嘆に暮れてしまうかもしれない。青が意味する誠実さに対し、緑は恋の色であると同時に変動の色でもある。彼女の心変わりが青を脱がせ、緑を着せたのだ――。 このように単なる色の好みや色づかいの美しさを越えて、中世の色は複雑な精神世界を織りなしている。「中世の色は饒舌であり、中世の人びとは意味もなく色をつけることはない」。たとえば黄色には負のイメージがつきまとい、縞柄は道化師や娼婦、気まぐれな運命女神のものである。権威と権力を示す赤、醜い色からやがて「悲しみの色」として大流行する黒……。 ブリューゲルやジョット、ヤン・ファン・エイクの絵画、数々の華麗な装飾写本の挿絵に、アーサー王物語をはじめとする騎士物語、貴族の家計簿や財産目録など多彩な史料から、当時の染色技術も視野にいれつつ、色彩に込められたメッセージを読み解き、色から見えてくる中世世界を描き出すのが本書である。 グリーンゲイブルスのアンはなぜ「赤毛」を嫌ったのか、ルーレットやバカラなどのカジノ台はなぜ緑のフェルトでおおわれているのか、囚人服は縞柄で、スーツにダークカラーが多いのはなぜなのか。現代社会に今なお息づく色彩に秘められた歴史に迫る!(原本:『色で読む中世ヨーロッパ』講談社選書メチエ、二〇〇六年) 【本書の内容】 序 章 色彩文明の中世 第1章 中世の色彩体系 第2章 権威と護符の赤 第3章 王から庶民までの青 第4章 自然感情と緑 第5章 忌み嫌われた黄 第6章 子どもと芸人のミ・パルティと縞 第7章 紋章とミ・パルティの政治性 第8章 色の価値の転換 終 章 中世人の心性
  • 中世ヨーロッパの社会観
    4.0
    人体に、建造物に、蜜蜂に、チェス盤に―― 隠喩で捉えられた社会像 中世ヨーロッパは教皇・皇帝という聖俗権力の下の階層秩序的な社会であった。人体諸器官に喩えれば君主は頭、元老院は心臓、胃と腸は財務官と代官、武装した手は戦士、足は農民と手工業者、そしてそれらは魂であるところの聖職者の支配に服する――ほかに建築・蜜蜂・チェスなどを隠喩として社会の構成と役割を説明する中世人の象徴的思考を分析。
  • 中世ヨーロッパの城の生活
    3.9
    牢固とまた堂々と風格を漂わせ、聳(そび)える城。西欧中世、要塞のような城が陸続と建造されていった。城作りはいついかなる理由で始まったのだろうか。城の内外ではどのような生活が営まれていたのだろうか。ウェールズ東南端の古城チェプストー城を例に挙げ、年代記、裁判記録、家計簿など豊富な資料を駆使し、中世の人々の生活実態と「中世」の全体像を描き出す。
  • 中世ヨーロッパの歴史
    3.7
    ヨーロッパとは何か。その成立にキリスト教が果たした役割とは――。ケルト的なるもの、ローマ的なるものに加えゲルマン的、東方的、ノルマン的、イスラム的等々、多様な要素を混和してヨーロッパは形成された。地中海古代世界を脱けだし、森林と原野の内陸部に繰り広げられたヨーロッパ世界創造のドラマを「中世人」の視点で鮮やかに描く中世通史。
  • 中世・ルネサンスの音楽
    4.0
    音楽の源泉、バロック以前の音楽の好解説書 心洗われる素朴な響きのグレゴリオ聖歌、吟遊詩人のうたい上げる愛のメロディ……美しい旋律で人の心の奥底を揺り動かす中世・ルネサンス音楽の世界へようこそ。
  • 張騫 シルクロードの開拓者
    3.5
    武帝から西域出使の命を受け、未知なる国へと出立した張騫(ちょうけん)(?-前114)。13年もの旅を経て帰国後、下級官僚から大中大夫への大昇進、失態から死罪宣告されるも、並ぶ者なき唯一の「西域専門家」として復権を遂げる――! 文化・物資の東西交流の大道を築いた英雄の波瀾万丈な出使記録と、シルクロード開通の功績を丹念に考察。 NHKの名番組「シルクロード」(1981)(1985)、「大黄河」(1986)を手がけたNHKプロデューサーにして中国文学研究者が、軽やかな筆致で描写。知られざる張騫の生涯と功績から、中国視点でのシルクロードを活写する。 本書の原本は1991年9月、筑摩書房 ちくまライブラリーより刊行されました。 目次 プロローグ 天の河へ行った男 語り継がれる張騫 第一章 張騫登場の背景 匈奴の馬蹄に戦く漢王朝 耳よりな情報と武帝の経略 奇特な応募者張騫――出身と時代風潮 第二章 第一次張騫出使―経過と成果 拘留十年、節を通す はじめて飲んだ葡萄酒――パミールを越えて 13年目の帰国と報告 第三章 第二次張騫出使――経過と成果 不倒翁の面目 烏孫内属 広がる波紋・張騫効果 第四章 人跡たえぬ流砂の道 葡萄・珍宝そして音楽――西域から漢へ 汗血馬来る――李広利の大宛遠征 絹の威光と穿井法――漢から西域へ 第五章 張騫につづくもの――西域経営の功労者 烏孫の「女王」解憂公主 最初の西域都護――鄭吉 虎穴に入らずんば虎子を得ず――西域に殉じた班超 エピローグ 墓前に思う 解 説   井上文則(早稲田大学教授)
  • 朝鮮紀行
    4.4
    英国人女性旅行家イザベラ・バードが朝鮮を訪れたのは、1894年、62歳の時のことである。以後3年余、バードは4度にわたり朝鮮各地を旅した。折りしも朝鮮内外には、日清戦争、東学党の反乱、閔妃(びんひ)暗殺等の歴史的事件が続発する。国際情勢に翻弄される李朝末期の不穏な政情や、開国間もない朝鮮に色濃く残る伝統的風土・民俗・文化等々、バードの眼に映った朝鮮の素顔を忠実に伝える名紀行。
  • 朝鮮儒教の二千年
    -
    朝鮮における儒教の二千年にもおよぶ展開を丹念に描き出し、朝鮮近代思想史につなげる論考を展開した記念碑的大著。中国・日本と対比しながら二千年を俯瞰し、朝鮮の独自性と東アジアの普遍性を浮き彫りにする。儒学を経世実用の学とみなした潮流を確認・追跡し、そうした流れを摘み取ってしまった過程として朝鮮王朝期の党争を描き出す記述は、朝鮮のみならず東アジアにとっての<近代>を考える出発点となる。
  • 沈黙するソシュール
    -
    ジュネーヴ大学就任講演、形態論、「書物」の草稿、ホイットニー追悼などソシュールの重要なテクストを訳出し、それに対する繊細かつ本質的なノートを付す。その往還自体がひとつのテクストとなって、本書でわれわれは、いつしかソシュールの思想の生の姿に立ち会うこととなる。あえて俗流解釈を排し、言語=ラングそのものを問い続けた記念碑的力作。(講談社学術文庫)
  • チーズのきた道
    4.5
    「乳の生化学」の第一人者が明かす、チーズの起源と分類法、そしてそれらを育んだ風土。栄養価が高く保存性に優れたチーズを、各地の部族は、その存亡をかけて育ててきた。モンゴルのホロート、古代ローマのチーズ菓子、フランスのカマンベール、日本の酥(そ)など、古今東西の文献を渉猟し、乳文化を実地に探訪。「人類にとっての食文化」に考察は及ぶ。(講談社学術文庫)
  • ツァラトゥストラはこう言った
    4.3
    本書『ツァラトゥストラはこう言った』がニーチェ畢生の書にして、ドイツ文学史上屈指の作品であることは言を俟たない。故郷を捨てて山に入ったツァラトゥストラは「私は惜しみなくあげたいし、頒かち与えたい。人間たちのあいだで賢者がもう一度愚かさを愉しみ、貧者がもう一度豊かさを愉しむようになるまで」という言葉とともに山から下り、人間たちの世界に入っていく。「神の死」を告げ、しかし人類は現状に甘んじることなく高みを目指して進んでいくべきだとする「超人」の思想を伝えるツァラトゥストラは、生きとし生けるものは現状以上を目指すという原理、すなわち「力への意志」の原理に「超人」が基づいていることを説く。しかし、没落を始めるツァラトゥストラは、この世に新しいものなど起こらず、すべては同じことの繰り返しであるという「永遠回帰」の思想にたどりつく――。 生田長江による最初の邦訳(1911年)以来、すでに本書の日本語訳は15種類を数える。そのすべてに目を通した上で作られた本訳書は、21世紀にふさわしい日本語で「声に出して読める翻訳」を実現するものである。学術文庫『愉しい学問』の訳者が満を持して送り出す、渾身の訳業! [本書の内容]  第一部 ツァラトゥストラの序説 ツァラトゥストラは語る 三段階の変身/徳の講座/背後世界論者/肉体の軽蔑者/情熱にひそむ喜びと苦しみ/青ざめた犯罪者/読むことと書くこと/山に立つ樹/死の説教者/戦争と戦士/新しい偶像/市場のハエ/純 潔/友/千の目標と一つの目標/隣人愛/創造者の道/老いた女と若い女/毒ヘビにかまれる/子どもと結婚/自由な死/惜しみなく与える徳  第二部 鏡をもった子ども/至福の島にて/同情者たち/司祭たち/有徳者たち/汚い奴ら/毒ぐもタランチュラ/有名な識者たち/夜の歌/舞踏の歌/墓の歌/自己克服/崇高な人/教養の国/純粋無垢の認識/学 者/詩 人/大いなる出来事/占い師/救 い/賢い世渡り法/最も静かな時  第三部 放浪者/幻影と謎/不本意な幸福/日の出前/卑小にする徳/オリーブ山にて/通り過ぎるということ/離反した者たち/帰 郷/三つの悪/重さの地霊/新旧の石板/快復しつつある人/大いなるあこがれ/もう一つの舞踏の歌/七つの封印  第四部・最終部 蜜の捧げ物/助けを求めて叫ぶ声/王たちとの対話/ヒ ル/魔術師/失 業/最も醜い人間/進んで乞食になった人/影/正 午/歓迎のあいさつ/晩 餐/高等な人間/憂鬱の歌/学 問/砂漠の娘たちのもとで/目覚め/ロバ祭り/夜の放浪者の歌/しるし 訳 注 訳者あとがき 索 引
  • 対馬藩江戸家老 近世日朝外交をささえた人びと
    5.0
    将軍吉宗の代替わりに際し、来日する朝鮮通信使。江戸時代、朝鮮との外交交渉・貿易業務の窓口だった対馬藩は、朝鮮御役を拝命する。莫大な出費、形式を重んじる使節、無理解な老中たち。日朝双方の本音と建て前の間にあって、ときに詭弁を弄し、ときに脅し、ときに屈辱に耐えつつ近世の日朝「交隣」をささえた小藩の苦悩と奮闘。
  • 包み結びの歳時記
    値引きあり
    -
    古代、人は生きるために必要にかられて、結ぶこと・包むことを考えました。神が人間だけに授けた特殊な技法「包みと結び」が私たちの精神文化の基調となり、“礼法”という域に昇華するまでには、どんな変遷を辿ったのでしょうか。今や当たり前の景色となった「包み」と「結び」の起源を年中行事や風習から訪ね、由来と意味を解説。日本人の豊かな美の世界を堪能する! 本書は、1991年10月、福武書店より刊行されました。 目次 はしがき 一 年中行事と歳時 はじめに 1年中行事の始まりと広がり 2「包み」の働き 3「結び」のしくみ 4暮らしの中の包み結び 5年中行事と包み結び 6中国の歳時記 二 新年の季寄 はじめに 1門松 2しめ飾り 3結び昆布 4生花初め 5馬騎初め 6着衣始め 7おけら祭り 8お年玉 9掛鯛 10幸木 11猿廻し 12しめ縄の四手 13綱引き 14包み蓬莱 15蘇散 16綯い初め 17縫初め 18初髪結い 19箸包み 20常陸帯の神事  21宝引縄 22万歳と鼓 23結び柳 24大黒天と布袋 三 春の季寄 はじめに 1梅若忌 2事始め 3桜餅 4凧 5新茶 6針供養 7三つ葉 四 夏の季寄 はじめに 1青簾 2菖蒲打ちと菖蒲の枕 3葵祭り 4鵜縄 5団扇 6扇子 7蚊帳 8柏餅 9祇園会 10鱚 11薬玉 12三社祭り 13代掻きと田植え 14襷 15端午の節句と粽 16茅の輪 17夏帯 18夏足袋 19夏場所 20匂い袋 21袋掛け 22 浴衣 23蚊遣り火 五 秋の季寄 はじめに 1牛祭り 2風祭り 3霞網 4鴨 5菊供養 6島田帯祭り 7ずいき祭り 8相撲節会と衣裳 9晴明神社祭 10俵編み 11七夕 12中元 13盆行事 14重陽 15風呂敷 六 冬の季寄 はじめに 1綾取り 2亥の子餅 3襟巻 4縁結び 5事納め 6紙衾 7角巻 8七五三と紐解き 9しめ作り 10障子 11頭巾 12歳暮祝い 13鎮魂祭 14縄跳び 15袴着 16日蔭の鬘 17鰤 18頬被り 19足袋 20羽織と胸紐 21節分 七 通過儀礼 はじめに 1新生児 2誕生祝い 3褌祝い 4結納祝い 5婚礼 6岩田帯 7還暦祝い 8葬礼 9法要 10水引 11熨斗(のし) 12袱紗(ふくさ) 八 日本文化における包み結び はじめに 1神道的なもの 2仏教的なもの 3陰陽五行的なもの 4再び年中行事を考える 5包み結びとのかかわり あとがき
  • 鶴屋南北 かぶきが生んだ無教養の表現主義
    -
    19世紀、遊里とかぶきの全盛を過ぎ、文化と衰退と爛熟が肌で感じられた江戸化政期。それは地震・噴火・洪水と、鎖国の綻びの時代でもあった。「四谷怪談」「桜姫東文章」などで知られる四代目鶴屋南北は、奇抜な趣向で当時の「現代」を写しとり、かぶきに新たな地平をひらく。彼は世に何を仕掛けたのか。伝統の革新とは何か。稀代のかぶき研究者畢生の渾身作。
  • ティマイオス
    4.0
    プラトンの主著は何か、と言われれば、たいていは『国家』という答えになるでしょう。確かに『国家』にはプラトン哲学のエッセンスが詰め込まれ、質量ともに主著の名にふさわしいことは間違いありません。しかし、長い歴史の中で最も大きな影響力をもったプラトンの対話篇はといえば、本書『ティマイオス』なのです。 神による宇宙の製作とさまざまな自然学的理論が論じられる後期対話篇である本書は、古来プラトン信奉者たちに重視され、前1世紀から後3世紀にかけての中期プラトン主義とそれに続く新プラトン主義の時代に特権的な地位を占めるに至りました。その伝統が近代にも及んでいることは、ラファエロの有名な壁画《アテネの学堂》でプラトンが手にしている書物が『ティマイオス』であることに、はっきり示されています。 ソクラテス、ティマイオス、ヘルモクラテス、クリティアスの四人を登場人物とする本書は、導入部以外はすべてティマイオスのモノローグで構成されています。おそらくプラトンが創作した架空の人物であるティマイオスが語る宇宙論は、国家においても個人においても理性こそが主導権を握るべきだ、というプラトンの主張を正当化するものとして提示されます。この宇宙は必然や偶然の産物ではなく、理性的な製作者(デーミウールゴス)によって、理性の対象(イデア)を手本として、理性的な魂をもつ生き物として構成された、というのがその骨子です。こうして宇宙が理性によって導かれているのなら、それと類比関係にある国家においても個人においても、気概や欲望ではなく理性が支配することこそが自然にかなった正しいあり方だということになります。本書においてプラトンは、国家と人間のあるべき姿を宇宙全体の構造の中に根拠づけることを企てたのでした。 本書は、それぞれの時代、それぞれの思想家において、さまざまに異なる観点から関心の対象とされてきました。ユダヤ教徒やキリスト教徒は『創世記』の神の世界創造を理解するヒントを本書に求めたでしょう。新プラトン主義者は形而上学的真理のアレゴリーとして本書を読んだでしょうし、錬金術師は神の創造を自らの手で再現するための秘密を本書に読み取ろうとしたかもしれません。そして、自然学者や科学者にとって、宇宙の始まりと物質の究極という科学にとっての永遠のテーマを追究する本書が関心の対象となったことは言うまでもありません。 そうして「プラトニストのバイブル」とまで呼ばれた本書『ティマイオス』は、しかし日本では、なぜかこれまで文庫版が存在しませんでした。この状況を打破するべく、最良の訳者を得て、満を持しての新訳を皆さまにお届けいたします。 [本書の内容] ティマイオス 訳 註 訳者解説
  • 帝国大学の誕生
    5.0
    東京大学が「帝国大学」だった頃、すべては始まった―― 「東大」出生の秘密を暴き、その虚像と実像を抉り出す!  * 明治19年の帝国大学の誕生は、のちの東京大学をも貫く基本性格を確立した歴史的特異点であった。エリート官僚養成、アカデミズムの独占的権威、立身出世・受験競争の頂点――伊藤博文、森有礼、井上毅ら設計者たちの政策的意図を辿りつつ、今日まで続く東大の本質とイメージの淵源を明らかに! [目次] 第一章 帝国大学の出自――リヴァイアサンの生い立ち 第二章 帝国大学のモデル――ドイツの大学から学ばなかったこと 第三章 官庁エリートの供給源――工科系から法科系へ 第四章 出身と出世――上昇気流にのって 第五章 明治アカデミズムの体質――講座制と研究 第六章 もしも帝大がなかったら――批判的展望 あとがき 解説 科学史/大学史を超えた「学問の歴史」 石井洋二郎
  • 定本 中世倭人伝
    -
    中世アジアの海の世界を鮮烈に描いた書籍の決定版! 苛烈な略奪を繰り返し諸国を悩ませた前期倭寇。その結果生まれた倭人居留地「三浦(さんぽ)」は、朝鮮に巣食う「腫瘍(しゅよう)」とまで呼ばれ、後期倭寇は、アジアに進出してきたヨーロッパ勢力をも巻き込み、銀をめぐる密貿易で世界史に躍り出る……。彼ら倭寇・倭人は日本のものとは明らかに異なる「倭服」に身をつつみ「倭語」を操る、国籍や民族を超えた集団だった。14世紀から16世紀にかけて東アジアの海を舞台に、国家や民族集団からドロップアウトし、しばしば暴力をともないながら、自由に、どこまでもしたたかに生きた人々を描き出す。 「倭人は帯方の東南、大海の中に在り」。邪馬台国の史料としてよく知られる『魏志倭人伝』。ここからおよそ1200年後の朝鮮王朝の記録に、再び「倭人」は現れる―― 14世紀後半、女性や子供にも容赦ない前期倭寇の略奪が『朝鮮王朝実録』に恐怖の記録として生々しく克明に記された。倭寇に苦しむ朝鮮王朝がとった懐柔策によって15世紀に誕生したのが、倭人居留地の三浦である。エネルギッシュで、自由奔放で、論理を越えた倭人がひしめく三浦は、猫のひたいほどの場所でありながら、周辺の朝鮮社会に巨大な経済的影響をあたえ、やがてソウルの政財界まで巻きこんだスキャンダルを引き起こしていく――。 三浦を中心に、倭寇王の後継者として豊臣秀吉が登場するに至る中世東アジアの海域世界を描いた『中世倭人伝』。文庫化にあたって、原本には入れられなかったソウルの倭人たち、江南沿海域を中心とする後期倭寇の猖獗、石見銀山の爆発的増産によって世界を駆け巡った日本銀、さらに16世紀ヨーロッパの古地図に描かれた、銀と海賊に特徴づけられる日本像などの論考を増補し、倭人たちが躍動する海の世界を大きく広げた決定版登場!(原本:岩波書店、1993年)  【本書の内容】 学術文庫版はしがき I 中世倭人伝 「魏志倭人伝」によるプロローグ 一 国境をまたぐ地域 二 「三浦」──異国のなかの中世 三 密貿易の構造 中華の崩壊によるエピローグ 文献案内 あとがき 『中世倭人伝』韓国語版刊行によせて II 倭人群像 一 三浦の鎮城と関限――薺浦を中心に 二 倭人たちのソウル 三 三浦の乱時のソウル倭館 四 石見銀山と倭人ネットワーク 五 海賊、銀山、ザビエル――ヨーロッパ製古地図を読む 六 琉球王国と「倭寇」 七 中世日朝貿易における経典の輸入 学術文庫版あとがき
  • 手仕事の日本
    値引きあり
    5.0
    名もなき工人が作る民衆の日用品の美、「民藝」。大正時代半ばから二十年近い歳月をかけて日本各地で手仕事の「用の美」を調査・収集した柳宗悦は、自然と歴史、そして伝統によって生み出される美を探求し続けた。著者がみずからの目で見、選び取った正しい美しさとはなにか。日本文化が世界的に注目される現代、今なお多くの示唆に富む日本民藝案内。
  • 哲学者ディオゲネス 世界市民の原像
    4.2
    ギリシアの枠を飛び越えた「犬哲学者」の実像 甕(かめ)の中に住まい、頭陀袋(ずたぶくろ)を下げ、襤褸(ぼろ)をまとって犬のようにアテナイの町をうろつき、教説を説いたシノペのディオゲネス。おびただしい数の逸話で知られる「犬哲学者」の思想とは、いったいどのようなものだったのか。アリストテレス的人間観や当時の伝統・習慣を全否定し、「世界市民」という新しい理念を唱導・実践した思想家の実像を探り出し、われわれ現代人の生き方を模索する。 「犬」と呼ばれたシノペのディオゲネス。ひとは彼についてどれほどのことを知っているだろうか。(略)昼日中にランプを灯してアテナイの雑踏を往来しつつ「わしは『人間』を探している」と言い放ったとか、なにかそういう類の奇抜な逸話が知られているだけではあるまいか。だが、知るべきはこの男の生き方、その根底にあった「世界市民」思想だ。――<「序章」より>
  • 哲学宗教日記 1930-1932/1936-1937
    -
    真の信仰を希求する魂の記録! 死後42年たって新発見された幻の日記 『論考』から『探究』へ―大哲学者が書き残した、自らの思考の大転換、宗教的体験、そして苛烈な内面の劇! “隠された意味”は何か!? 私の本『論理哲学論考』には素晴らしい真正の箇所と並んで、まがい物の箇所、つまり、言ってみれば私が自分特有のスタイルで空所を埋めた箇所も含まれている。1930.5.16 真の謙虚さとは、1つの宗教的問題である。1930.10.18 私はすべてを自分の虚栄心で汚してしまう。1931.5.6 人は職人の比喩に惑わされているのだ。誰かが靴を造るというのは1つの達成である。しかしいったん(手元にある材料から)造られたなら、靴はしばらくの間は何もしなくても存在し続ける。しかしながら、もし神を創造主と考えるのなら、宇宙の維持は宇宙の創造と同じくらい大きな奇跡であるはずではないのか、1937.2.24――<日記本文より> 『論考』がウィトゲンシュタインにとっての原罪であり、それを克服するためにこそ、この日記が書かれたのだという言葉に、おそらく多くの読者が驚き、いぶかしがられることと思う。――<訳者解説「隠された意味へ」より> *本書の原本『ウィトゲンシュタイン哲学宗教日記 1930-1932/1936-1937』は、  2005年に小社より刊行されました。 【目次】 はじめに 編者序 編集ノート 謝辞 凡例 第一部 一九三〇ー一九三二 第二部 一九三六ー一九三七 コメンタール コメンタールで使用された参考文献と略号 人名索引 隠された意味へ ウィトゲンシュタイン『哲学宗教日記』(MS183)訳者解説) 訳者あとがき 訳者あとがき補遺(学術文庫化にあたって)
  • 哲学塾の風景 哲学書を読み解く
    4.0
    カントにニーチェ、キルケゴール、そしてサルトル。哲学書は我流で読んでも、じつは何もわからない。必要なのは正確に読み解く技術。"闘う哲学者"が主宰する「哲学塾」では、読みながら考え、考えつつ読む、〈哲学の作法〉が伝授される。手加減なき師匠の厳しくも愛に満ちた授業風景を完全再現。万人に開かれた哲学への道がここにある!
  • 哲学する心
    3.5
    現代における哲学の意義、日常性のなかに探る哲学的真理、仏教思想の再発見、日本と日本文化に寄せる真摯な思い……。本書を構成する4つの大きなテーマである。独創的思想家として知られる著者が、哲学の枠組にとどまらず、時に社会学、歴史学、文学等への領域にも立ち入り、洞察に満ちた思索を縦横に展開、熱っぽく語る初めてのエッセー集。「梅原日本学」の根がここにある。
  • よみがえる古代思想 「哲学と政治」講義I
    -
    1~2巻935~990円 (税込)
    政治について根源的に考えようとする時、人は古代ギリシア・ローマの哲学に立ち戻らざるを得ない。人間と政治の関わりについて、これほど深く、率直に議論された時代は他にないからである。ポリス最大の悪徳「ヒュブリス」とは。プラトンの唱えた「哲人王」とは。ローマの政治家はなぜ哲学を嫌ったのか。政治思想史の第一人者が「政治の本質」を語る。(講談社学術文庫)
  • 「哲学と政治」講義全2冊合本版 よみがえる古代思想・宗教と権力の政治
    -
    政治思想史の第一人者が「政治の本質」を語り、「人類にとって政治とは何か」を考察する。政治について深く、率直に議論したソクラテスやマルクス・アウレリウスら古代ギリシア・ローマの哲人たち、中世における「聖」と「俗」の長い抗争、教皇至上権とトマス・アクィナスの政治論、ルターの宗教改革、マキアヴェッリの権力論、さらに宗教戦争を経て「政治の解体」が訪れ、中世が終幕をむかえるまでを論じる。
  • 哲学入門
    3.0
    西欧古典文化の研究者としてわが国の第一人者である著者が、平明な文章で哲学とはなにか、科学史をどのように理解するかを問う。著者の学生時代をふりかえり周辺の教師像を描く随筆とあわせて、読者を深い思索の道へとさそってくれる。哲学そのものを問いながら、いっぽうでは哲学を難解な言葉から解放して、やさしい言葉で一般の読者に話しかけることは至難のわざであるが、本書には、こうした著者の努力がみごとに結晶している。
  • 哲学の教科書
    3.9
    哲学は何の役にたつのか。哲学の問いとはどんなものか。哲学者とはどのような人々か。そもそも、哲学とは何か。物事を徹底的に疑うことが出発点だという著者は、「哲学とは何でないか」を厳密に規定することで哲学を覆うベールをはぎとり、その本質を明らかにする。平易なことばで哲学そのものを根源的に問いなおす、究極の「哲学・非――入門書」。(講談社学術文庫)
  • 哲学の練習問題
    4.3
    私たちの身体と心には、まだ開発されていない能力が無数にある。しかし、それは「学習」では開発できない。発達をリセットして、能力を形成すること。それは「名詞」ではなく「動詞」の経験であり、そのためには実際にやってみるのが唯一の方法である。本書では、オートポイエーシスの第一人者として知られる著者が、一人でもできるエクササイズを数多く紹介している。これらを実行したその先には、未知の自由が待っている。
  • 寺田寅彦 わが師の追想
    値引きあり
    4.7
    その文明観・自然観が近年再び見直されている寺田寅彦。科学と文学を高い次元で融合させた寺田に間近に接してきた教え子・中谷宇吉郎による追想録。自身も随筆家として名を成した中谷の筆致は、大正から昭和初期の「学問の場」の闊達な空気と、濃密な師弟関係を細やかに描き出す。漱石の思い出や、晩年に注力した「墨流しの研究」の紹介など、その話題は広範囲にわたる。(講談社学術文庫)
  • 天球回転論 付 レティクス『第一解説』
    -
    地球は動いている――。プトレマイオスからおよそ1400年続く天文学を覆したコペルニクス(1473-1543年)。ケプラー、ガリレオ、そしてニュートンへと続く「科学革命」は、この発見に始まる。それは「革命」という言葉の華々しさとは裏腹に静かに、本人さえその帰趨を自覚しないままに始まった。 コペルニクスはいかにして地動説に至ったのか。『天球回転論』全6巻のうち、地球の運動について記された第1巻と、『天球回転論』の公刊に先立ってコペルニクスの地動説を初めて世に知らしめた弟子ゲオルク・ヨアキム・レティクス(1514-74年)の『第一解説』の本邦初訳をあわせて収録。 コペルニクスが生涯をかけた書物『天球回転論』が、ニュルンベルクの出版社から届けられた1543年5月24日、それを待っていたかのように同日コペルニクスは他界する。「プトレマイオスを模倣しようとした」、「天文学の再興者」と言われるほどに、その構成や研究に対する姿勢は、プトレマイオスの『アルマゲスト』に倣ったものだった。ただ一点、「地球が動いている」ということを除いては――。 1400年の長きにわたって支配的であったプトレマイオスの天文学およびアリストテレスの自然学体系に、『天球回転論』がうがった小さな穴は、やがて大きなひび割れとなって従来の伝統的宇宙観を根本から打ち破り、人間の世界に対する認識を大きく変容させることになった。 神学者や世間の反応をおそれて長らく原稿の公開をためらっていたコペルニクスに、出版を強く勧め最終的に承諾させたのが唯一の弟子レティクスである。かたくなに出版を渋るコペルニクスは、レティクスがまず『天球回転論』を簡潔にまとめたものを世に出すことで妥協した。この『第一解説』の好評に力を得て、コペルニクスはついに公開を決意する。『第一解説』は、その後もコペルニクス説の入門的概説として版を重ねることになった。 コペルニクスはいかにして地動説を導き出し、前代未聞の「地球の運動」をどのように語ったのか。文字通り「世界を動かした」書物の最重要部分と本邦初訳となる『第一解説』を収録!  (『完訳 天球回転論』みすず書房、2017年より第一巻を収録、レティクス『第一解説』は新訳) 【本書の内容】 『天球回転論』第1巻目次より 宇宙は球形であること/大地もまた球形であること/地球の大きさに対する天の広大性について/地球が、いわば中心として、宇宙の真中に静止しているとなぜ古代の人たちは考えたのか/地球に複数の運動が付与されうるか、および宇宙の中心について/地球の三重運動についての論証……など。 レティクス『第一解説』目次より 恒星の運動について/古代の天文学者たちの仮説が廃棄されねばならない主な理由/天文学全体の新仮説……など。
  • 天狗芸術論・猫の妙術 全訳注
    5.0
    江戸時代の談義本2作を、読み易い訳文とともに文庫化。いずれも、宮本武蔵『五輪書』とならぶ「剣術の秘伝書」であり「人生の書」でもある。「天狗芸術論」は、剣術者が深山で天狗に出会い、老荘や孔子・孟子、仏教思想をまじえて「芸術」すなわち「武芸」と「心術」の核心に触れる。「猫の妙術」では、どんな猫も敵わなかった大鼠を、一見のろまな古猫が簡単にやっつけてしまう。若い猫たちと家主の剣術家は、古猫に教えを乞う。(講談社学術文庫)
  • 天才数学者はこう解いた、こう生きた 方程式四千年の歴史
    3.0
    ピタゴラス、アナクサゴラス、ユークリッド、アルキメデス、アル=フワリズミ、タルターリャ、フェラーリ、カルダノ、ヴィエト、デカルト、ジラール、ハリオット、ウォリス、ニュートン、ラグランジュ、ガロア、アーベル……。小数、負の数、虚数、超越数……。方程式との格闘は、数のフロンティア拡大の歴史でもありました。方程式の視点から4000年の数学史を読み解く絶好の入門書です。
  • 天災と国防
    値引きあり
    4.1
    標題作「天災と国防」ほか、自らの関東大震災経験を綴った「震災日記より」、デマに対する考察「流言蜚語」など、地震・津波・火災・噴火などについての論考やエッセイ全十二編を収録。平時における備えと災害教育の必要性など、物理学者にして名随筆家ならではの議論はいまだに有効である。天災について再考するための必読書。(講談社学術文庫)
  • 天皇 天皇の生成および不親政の伝統
    5.0
    「天皇親政」と「国体」へのタブーが解けた戦後の学界で、いち早く天皇統治の解明に挑んだ法制史家による「天皇の歴史」。「不親政」と「刃に血ぬらざること」こそが天皇の伝統であり、それゆえに邪馬台国の時代から現在にいたるまで、「統合の象徴」として存続しえたという。その後の日本人の天皇観に大きな影響を与えた必読の論考。(講談社学術文庫)
  • 天皇の軍隊
    -
    日本人にとって「軍隊」とはなんだったのか。大日本帝国軍隊は、天皇に直隷するまさに「天皇の軍隊」であった。天皇は軍人の「頭首」として、斃れた将兵の魂魄を守る者としても存在した。しかし、天皇の名による軍隊生活の実態とは…。徴兵の恐怖感、凄惨な私的制裁、兵士たちの性生活と花柳病、遺された家族の貞操…。戦争が長期化するなかで、軍隊は大衆化し、軍官僚は肥大化して「天皇の軍隊」は大きく変質していった。(講談社学術文庫)
  • 天皇陵 「聖域」の歴史学
    値引きあり
    -
    今年7月、大阪府の「百舌鳥・古市古墳群」が日本で23件目のユネスコ世界遺産に指定された。しかし、この世界遺産を構成する古墳の多くは、その被葬者さえ特定されていない。最大規模を誇る仁徳天皇陵や、履中天皇陵、允恭天皇陵などには、本当にその天皇が眠っているのだろうか。天皇陵は、いつ、どのように定められ、管理されているのか、近世・近代史を専門とする著者が、「天皇陵の歴史」と問題点を解き明かす。江戸時代中期、各地の古墳を独自に探査した蒲生君平。幕末期、尊王思想の高まりの中で、陵墓の比定と修補を願い出た宇都宮の藩主・戸田忠至。こうした近世の研究成果の上で、明治政府は、全天皇と皇族の陵墓を決定していった。神話に語られる天皇の実在を「証明」するためにも、墓の確定は欠かせなかったからである。神武天皇陵や仁徳天皇陵はどのように決められたのか、明治天皇陵はなぜ京都にあるのか、大正天皇陵の参拝に大混雑した鉄道と町、昭和初年に新たに皇統に列せられた南朝第3代の長慶天皇の陵はどう探したのか、さらに天皇陵の祭祀の場としての意味、著者が発見した資料「陵墓参考地一覧」からわかること――など、あらゆる論点から天皇陵を検証し、今後の科学的・考古学的調査の必要性を訴える。〔原本:『天皇陵論―聖域か文化財か―』 新人物往来社、2007年刊〕
  • 天の科学史
    4.0
    「天への恐れ」から星の観測は始まり、その意味を説明するために占星術が生まれ、正確な「暦」が権力者の権威を高める。やがて天動説から地動説へとパラダイムは転換し、天体力学の隆盛を経て、天体物理学と宇宙開発競争の時代へとむかう。民俗や宗教、数学や物理学を巻き込んで展開する最古の科学=天文学の歴史と、人類の宇宙観の変遷をたどる。
  • 天明の浅間山大噴火 日本のポンペイ・鎌原村発掘
    値引きあり
    4.0
    「地獄というものも、これほどひどくはないだろう」―― その日、山に、村に、何が起こったのか? 史料と発掘調査で甦る、埋もれた歴史の真実! 天明三(一七八三)年旧暦七月、浅間山は空前絶後の大爆発を起こす。大地は鳴動し、黒煙は天を覆い、火砕流・溶岩流が麓の村々を焼き尽くし埋め尽くした。この未曽有の事態に、人々はいかに対したのか。史料と埋没集落・鎌原村の発掘調査から、当時の村の社会状況、噴火の被害の実態、そして人々が生きた現実を再現する、驚天動地の歴史ドキュメント! [目次] 第一章 近世の埋没集落 第二章 天明三年の大噴火 第三章 浅間大噴火の被害 第四章 浅間大噴火の影響 第五章 浅間山鎌原村 第六章 鎌原村の発掘 「天明三年の悲劇の日、人々はわれ先にと必死になって観音堂めがけて駆けつけたはずである。もちろん無事駆け上がった人もあるが、いま一歩というところで、背後からおしよせた火砕流に呑まれた人もあるはずである。この埋った石段のどこかにそんな人がいるのではないか……。」――「第六章 鎌原村の発掘」より
  • デカルト形而上学の成立
    -
    「私はあり、私は実在する」という認識は、「すべての認識のうちで最も確実で最も明証的」である。――近代哲学の父ともいわれるデカルトのこの哲学とは、いったい何なのか。神の存在証明とは? 書簡・小篇から主著『省察』まで、細密に読み解き、デカルトの形而上学が成立した道筋を詳細に辿り、その本質を「観念(イデア)」論としてとらえた画期的力作! (講談社学術文庫)
  • デカルト哲学
    -
    あらゆる世俗的な思想を根こそぎにして、「善く生きる」賢者の生を追求した、西洋近代哲学の父……それこそが、デカルトである。死者や病者によりそって思考し、哲学者の神とは何かを語り、まっすぐな倫理をめざす。そこにこそ、「我思う故に我在り」の哲学者の、いまなお読み直すに足る魅力がある。教科書的な知識としてではなく、現代を生きるわれわれ人間のための至高の哲学として、デカルト哲学を描き出した不朽の力作。(講談社学術文庫)
  • デカルト、ホッブズ、スピノザ 哲学する十七世紀
    4.0
    近代哲学の祖とされ、「心身二元論」に拠ったデカルト。国家契約説をとなえ、「万人の万人に対する戦争」で知られるホッブズ。「神即自然」を主張したスピノザ。十七世紀の哲学シーンを彩る三人の思索は、動乱期のヨーロッパを生きたゆえの魅力にあふれている。神、国家、物体と精神……、根本問題をめぐる三様の思索を、鮮やかに浮き彫りにする。(講談社学術文庫)
  • デカルト 「われ思う」のは誰か
    3.0
    本書は、現象学を土台にして幾多の哲学者や思想家を扱ってきた第一人者が「近代哲学の祖」ルネ・デカルト(1596-1650年)との「対話」に挑んだ記念碑的な1冊です。 よく知られているように、デカルトはあらゆる学問を修めた末、そこに自分が求める「真理」はないことを悟りました。そうして「世界という大きな書物」と向き合うために旅人として生きることを選んだものの、やはりそこにも「真理」を見出すことはできませんでした。そうしてたどりついたオランダの地で、まさに生死を賭けた思索に取り組むことになります。それが、少しでも疑いうるものはすべて斥けて「絶対に疑いえない」ものを目指す「方法的懐疑」と呼ばれる思索でした。 その過程でたどりついたのが「われ思う、ゆえにわれあり(私は考える、ゆえに私は存在する)」という、よく知られた命題にほかなりません。しかし、それは決してデカルトが到達した最終結論でもなければ、デカルトが求めた「真理」でもありませんでした――本書は、そのことを哲学者との真摯な「対話」の中で明らかにしていきます。この命題はデカルトにとっては通過点にすぎず、方法的懐疑が導き出したのも「近代的自我」とされる「私」では決してなかった。ならば、その思索はいったいどこに進み、何を明らかにしたのでしょう? 本書は『方法叙説』(1637年)と『省察』(1641年)という二つの主著をていねいに読み解きながら、驚愕すべき結論に向かっていきます。著者とともに歩んでいくことで、「哲学」とはいかなる営みなのか、そして本当に「考える」とはどういうことなのかを実際に体験することができるでしょう。 [本書の内容] 序 章 哲学とは何か  1 死んだものとの対話  2 「よき生」のために 第一章 「われ思う」のは誰か  1 夢  2 狂 気  3 「私」とは何か 第二章 「われ思う」に他者はいるか  1 観念の起源へ  2 「無限」ということ デカルト小伝 読書案内
  • デパートの誕生
    4.0
    劇場のように華やかな装飾。高い天窓からふり注ぐ陽光。シルクハットで通勤するしゃれた従業員。乗合馬車で訪れる客を待つのは、欲望に火を付ける巨大スペクタクル空間! 帽子職人の息子アリステッド・ブシコー(1810-1877)と妻マルグリットが、様々な施アイデアで世界一のデパート「ボン・マルシェ」を育て上げた詳細な歴史を、当時を描く仏文学作品や、19世紀初頭のデパート商品目録など稀少な古書から丹念に採取。 パリの世相や文化が、いかに資本主義と結びつき、人々の消費行動を変えていったのか、 仏文学者にして古書マニア、デーパート愛好家の著者だから描けた、痛快・ユニークなパリ社会史! 内容紹介) 客の目をくらませてしまえ!世界だって売りつけることができるだろう! 「白物セール」のときには、それぞれの売り場が白い生地や商品だけを優先的に並べたばかりか、上の階の回廊や階段の手擦りを白い生地で覆いつくし、造花も白、靴も白、さらに家具にも白のレースをかぶせるなど、全館をすべて白で統一し、 1923年の「白物セール」では、「北極」というテーマに従って、アール・デコ調にセットされたシロクマやペンギンが、ホールに入った客を出迎えるようになっていた。 ようするに、ブシコーにとって、店内の商品ディスプレイは、〈ボン・マルシェ〉という劇場を舞台にして展開する大スペクタクル・ショーにほかならなかったのである。   ――第二章「欲望装置としてのデパート」より *本書は『デパートを発明した夫婦』(講談社現代新書 1991年11月刊)に「パリのデパート小事典」を加筆し、改題したものです。
  • デリダ 脱構築と正義
    4.7
    ポスト構造主義を代表する哲学者、ジャック・デリダ。ロゴス中心主義が「まったき他者」を排除・隠蔽してきた歴史を暴き出した尖鋭で長大な問いかけは、我々に影響を与え続けている。脱構築、散種、差延をはじめとする独創的な概念を生み出した思想の核となる「哲学的」モチーフをとらえ、彼が呈示した「他者との関係としての正義」を潜在的・顕在的に追究する。
  • 陶淵明
    5.0
    悠然たる隠遁生活と真実を希求する熱い魂! 「人生の節目」に読みたい、沁みる名詩を味わうコンパクトな一冊 「我、五斗米のために腰を折って郷里の小人に向かう能わず(たかがわずかな俸給のために、下っぱ役人にぺこぺこできるか)」 老荘思想に通じ神仙世界への憧れやまぬ詩人は、職を辞し隠遁生活を愉しむ道を選んだ。 きらびやかな修辞を凝らすのではなく、あくまで平易な言葉で自然と人間の諸相、空想世界の奇想を自在に描き出す陶淵明の魅力を、「帰去来の辞」「桃花源の詩」はじめ厳選の名作で堪能する絶好のガイド! 桃源郷を夢想し山海経の怪しい世界に思いを馳せ、酒と自然を楽しむ「田園詩人」の魅力堪能! 【本書より】 彼は同時代の人々からは、「古今隠逸詩人の宗」と評されて、一風変わったところだけが珍しがられたが、四百年後の唐代になって、白居易をはじめとする詩人たちに見いだされ、唐以前の最大の詩人として高い評価を得るようになった。むしろ陶淵明の文学が時代を先取りしていたとさえいえるかもしれない。 陶淵明から千六百年近くのちのわれわれにとっても、彼の文学は時代の変化を超えてなお新鮮な魅力をもちつづけている。人間らしく生きたいという真しん摯し な願い、現世を超越したユートピアへのあこがれ、そして死を正面から見つめる姿勢、彼の文学が扱うこれらのいずれもが、人間の永遠のテーマといえるであろう。 (中略) 「帰去来の辞」はともすれば悟りすました隠遁者の心境の表白として見られがちだが、実は、社会と自分との葛藤に悩みつづけてきた孤独な人物の苦悩を、新生活の第一歩を踏み出すに当たって、かく生きたいという将来の願望の形で投影した作品と見るのがむしろ妥当ではあるまいか。(本書第1章より) 【本書の内容】 第1章 帰ってきた陶淵明  帰去来の辞   園田の居に帰る 其の一・二・五   酒を飲む 其の一・四・五・七・九・十四   郭主簿に和す 二首 其の一   子を責む  第2章 ファンタスティックな陶淵明  五柳先生の伝   桃花源の詩并びに記   酒を止む   山海経を読む 其の一・二・五・九・十 第3章 死を見つめる陶淵明  雑詩 其の一・二・五・六  形影神并びに序 形 影に贈る・影 形に答う・神の釈   挽歌の詩 三首 陶淵明年譜 *本書の原本は、一九九八年に『風呂で読む陶淵明』として世界思想社より刊行されました。
  • 東京語の歴史
    3.0
    東訛りから江戸弁、そして東京語へ。その言葉は後に、人為的な「標準語」と、生活に根差した東京「方言」との間を揺れつづけなければならなかった。古代の東国方言のあり方、近世江戸弁が政治の中心地ゆえに日本各地ことばと融合し江戸語を形成するさま、そして標準語を整備される過程で生きた言葉の多くを犠牲にする東京語。その歴史を源内、西鶴はじめ豊富な資料で描き出す。(講談社学術文庫)

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