作品一覧

  • 神武天皇の歴史学
    3.7
    1巻1,925円 (税込)
    天皇の初代とされる神武天皇は、生没年はもちろん、その実在さえ定かではない。しかし、伝説上の重要人物として、日本の歴史に大きな影響を与え、論争を呼び起こし、時に政治問題となってきた。天皇陵をめぐる近世・近代史の研究者である著者が、「神武天皇陵」の所在地論争と、橿原神宮の創建を軸に、「歴史学の主題」としての神武天皇に迫る。 初代天皇の墓所「神武天皇陵」は、実は江戸時代になるまで定かではなかった。元禄時代の江戸幕府の調査で、奈良・四条村の塚山に「定められた」のである。しかし、当初からこれには異論があり、幕末期には孝明天皇の意思により、その300メートルほど南の「神武田」に改められ、ここが、現在も天皇が参拝を行う神武天皇陵となっている。一方、国学者の本居宣長らは、畝傍山中の丸山を主張して根強い支持を得ており、明治期になっても「疑念」はくすぶり続けた。さらに、水戸学の巨頭・徳川斉昭、寛政の三奇人・蒲生君平、幕末の能吏・川路聖謨、明治大正の文人画家・富岡鉄斎らの見解もみていく。 また、神武天皇を祀る橿原神宮の創建と隆盛に尽力し、のちに決裂した民間勤王家・奥野陣七の生涯や、明治期に「神武天皇祭」に冷徹な目を向けたお雇い外国人にも注目し、「紀元節」から「建国記念の日」へと、現代にいたる「神武天皇」と日本社会をとらえ直す意欲作。 目次 序章 現代の神武天皇 第一章 三ヵ所の神武天皇陵 第二章 幕末動乱と神武天皇陵 第三章 奈良奉行所与力の結論 第四章 文久の修陵 第五章 明治天皇の親祭 第六章 橿原神宮と民間結社 第七章 消えない疑念 終章 紀元節から「建国記念の日」へ
  • 天皇陵 「聖域」の歴史学
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    1巻1,320円 (税込)
    今年7月、大阪府の「百舌鳥・古市古墳群」が日本で23件目のユネスコ世界遺産に指定された。しかし、この世界遺産を構成する古墳の多くは、その被葬者さえ特定されていない。最大規模を誇る仁徳天皇陵や、履中天皇陵、允恭天皇陵などには、本当にその天皇が眠っているのだろうか。天皇陵は、いつ、どのように定められ、管理されているのか、近世・近代史を専門とする著者が、「天皇陵の歴史」と問題点を解き明かす。江戸時代中期、各地の古墳を独自に探査した蒲生君平。幕末期、尊王思想の高まりの中で、陵墓の比定と修補を願い出た宇都宮の藩主・戸田忠至。こうした近世の研究成果の上で、明治政府は、全天皇と皇族の陵墓を決定していった。神話に語られる天皇の実在を「証明」するためにも、墓の確定は欠かせなかったからである。神武天皇陵や仁徳天皇陵はどのように決められたのか、明治天皇陵はなぜ京都にあるのか、大正天皇陵の参拝に大混雑した鉄道と町、昭和初年に新たに皇統に列せられた南朝第3代の長慶天皇の陵はどう探したのか、さらに天皇陵の祭祀の場としての意味、著者が発見した資料「陵墓参考地一覧」からわかること――など、あらゆる論点から天皇陵を検証し、今後の科学的・考古学的調査の必要性を訴える。〔原本:『天皇陵論―聖域か文化財か―』 新人物往来社、2007年刊〕
  • 神武天皇の歴史学

    Posted by ブクログ

    神武天皇、実在等ではなく、神武天皇陵がどこにあったのかのみに焦点をあてた本です。
    陵の治定にまつわる近世以降の歴史中心と言って良いでしょう。

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    2024年09月08日
  • 神武天皇の歴史学

    Posted by ブクログ

    「古事記」「日本書紀」に描かれる初代天皇•神武。"実在が疑問視"されているにもかかわらず、神武天皇には陵墓があり、現在でも歴代天皇の拝礼が行われている。江戸時代中期から陵墓の『修陵』作業が始まり、幕末期に現在の姿に『築造』された経緯を克明に解説しているのが本書。
    著者は成城大学で学び、現在は同大教授。原史料を丁寧に読み込み、史料作成者の素性や立場も紹介した上で論点を開陳していく記述はとても分かりやすく、納得がいく。本書の眼目は"神武天皇の実在•非実在を争点とするものではない"という事で貫徹している。よい。

    現在の神武天皇陵の所在場所が、江戸中期、最初に

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    2024年06月15日
  • 神武天皇の歴史学

    Posted by ブクログ

    神武天皇、実在/非実在はさておいて日本の初代天皇とされる方をめぐる論考かと思いきや、神武天皇陵がどこにあったのかのみに焦点をあてた本でガッカリ。なおかつ、どのようにして「神話」とされたのかといった部分にはまったくノータッチでは、羊頭狗肉としか思えません。

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    2024年02月03日

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