国内小説 - 講談社作品一覧

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  • 雄の時代
    -
    部屋の相続問題の不満から力士を廃業した海竜をレスラーに育てあげ、日本プロレス界の黒幕として隠然たる力を揮った弘前太助。弘前の託した夢を実現し、空前のプロレス王国を築きあげたモンスター・海竜。この二人の男の張りつめた厳しい関係を、記者の冷静な目で追跡しながらつづった、異色レスラーの一代記。
  • おせいさんの団子鼻
    -
    痛快新奇な見方で人生を考える好エッセイ――みる、うたう、なめる、おがむ、いばる、だます、どじる、おちこむ等の動作に、はからずも現れる人間心理の種々相を取り上げて、痛快新奇な角度から人生を考える。さまざまな見方をすると、ハタと思い当ることが多い。人間という生き物の、矛盾と面白さをさぐって、軽く読んでずしりとこたえる、傑作エッセイ集。
  • お供え
    3.6
    毎朝、何者かに家の前の「カド」にお供えを置かれ、身に覚えのないまま神様に祀り上げられていく平凡な未亡人。山菜摘みで迷い込んだ死者たちの宴から帰れない女。平穏な日常生活が、ある一線を境にこの世ならぬ異界と交錯し、社会の規範も自我の輪郭さえも溶融した、人間存在の奥底に潜む極限の姿が浮かび上がる七作品。川端康成文学賞受賞。
  • 畏れ入谷の彼女の柘榴
    4.4
    そうだ。 不思議が起こるべきなのだ。 光る息子の指。人語を話す猿。人の形をした心残り。 不条理な世界で「俺」は、優しさを発揮しなければならない。      唯一無二の“奇譚”語り。舞城ワールド最新作! 「ママの体に光入った」幼い息子がそう告げたあと、半年以上触れていなかった妻の妊娠が発覚。一体何が!? 表題作「畏れ入谷の彼女の柘榴」に加え、人語を話す猿に導かれ行方不明者を捜す「裏山の凄い猿」、特別な家で育ったきょ うだいの気付きを描く「うちの玄関に座るため息」の全三篇を収めた奇譚小説集。 『私はあなたの瞳の林檎』『されど私の可愛い檸檬』に連なる、シリーズ最新短篇集がついに文庫化!
  • お助け河岸
    5.0
    江戸の下町、居酒屋「上州屋」にあつまる常連のなかで、奇妙な話が流れた。どこの河岸かはわからないが、その河岸に悩みをもつ者がたたずむと、きっと「旦那」があらわれて窮境を救ってくれる……そこを「お助け河岸」と呼ぶそうな。上州屋の常連客のなかに、いわくありげな隠居がいる。そして、若い浪人・仙之介の闊達な飲みっぷりに、看板娘のお菊はぞっこん惚れていた。その頃、江戸の町に、奇怪な殺人が続発する。第一の殺人は、質屋の番頭・和三郎、彼は「お助け河岸」を探すうちに殺されたらしい。事件の探索に仙之介が立った。意外や若きこの浪人剣土の腕の冴え!
  • 小樽ビヤホール
    5.0
    大正ロマンの風が吹く! ――国の威信を賭けた小樽港湾工事の指揮を執る荻原に、秘かに想いを寄せる女給・りう。だが、荻原には名家の出の妻がいた。それでも抑えきれない恋慕心に、りうは、ばっさり髪を切り落とし、大胆な決意をみせる。そして二人の距離が近づき始めたとき、想いがけない「事故」が発生した!  大正ロマン薫る純愛小説。
  • 落葉・回転窓 木山捷平純情小説選
    -
    男と女の出会いと恋愛の機微を永久の時間のなかで紡ぎ出す短篇小説の魔術師・木山捷平。その鮮麗なる筆致は読む者すべてを魅了する。「村の挿話」「猫柳」「空閨」「増富鉱泉」「男の約束」「落葉」「回転窓」「留守の間」「口婚」「好敵手」「七人の乙女」を収録。
  • お蝶夫人
    -
    作曲者のプッチーニをして「最も理想的な蝶々夫人」と賛美させたプリマドンナ・三浦環。彼女は63歳で他界する直前まで歌い続け、欧米を中心に「蝶々夫人上演2000回」の記録を樹てた。そして、恋多きおんなでもあった。偉大な歌姫・環の希有な生涯を、女性伝記小説の第一人者がみずみずしく描き上げる力作長篇。
  • お天気おじさんへの道
    -
    R45世代へ贈る、中年受験ライフのススメ――エーロゾル、はなこさん、コリオリ力(りょく)……この気象用語の意味がわかりますか? 天気予報好きが高じて、人気コラムニストが「合格率4.1%」の国家試験に挑んだ! 2年近くにおよぶ「五十の手習い」な日々を克明に描きつつ、受験のコツや天気の知識も身に付く、お役立ちエッセイ。気象予報士・泉麻人、誕生?
  • お天気博士の気象ノート
    -
    四季折々雅趣あふれる気象をめぐるエッセイ――地球の公転に伴い春夏秋冬の四季が生じ、自然界では芽生え・万緑・黄落・荒涼の変化が現れる。さらに大気の流れにより、多様な気象変化が展開される。そして古今東西、人々の暮らしは、この気象とは切っても切り離せないかたちで営まれてきた。人気のお天気博士が蘊蓄を傾ける、雅趣あふれる気象エッセイ集。
  • お天気博士の四季だより
    -
    人気のお天気博士が蘊蓄を傾けるエッセイ――四季折々の表情がはっきりしている日本では、そこに住む人が気象に敏感になるのは、自明の理である。そして、この環境が、気象エッセイの名手を生むことになる。テレビのお天気キャスターとして、新聞の気象コラムの筆者として活躍中の著者が、蘊蓄を傾け、日本人の感性に応え、みずみずしく表現する「生活が豊かになる」エッセイ。
  • おてんば歳時記 明治大正・東京山ノ手の女の暮らし
    3.0
    昔のことが、いま新しい! ――明治29年の生まれで、もう90歳にもなるおばあちゃまが、じぶんの娘である著者に話してきかせた、昔の思い出。おてんばで多感だった少女の頃の遊び、様々な暮らしの風俗、家事と家のとりしきり、ハイカラ・ファッション……明治の女性たちの姿が、生きいきとキラキラ輝いて甦る。楽しい読みものであるとともに、当時の生活や時代考証のための貴重な証言となっている。
  • お父さんと伊藤さん
    3.8
    34歳のフリーター・彩はバツイチの54歳・伊藤さんと同棲している。ある日、彩のもとに兄から「お父さんを引き取ってくれないか」との依頼が。彩は申し出を拒むが、74歳の父は身の回りの荷物を持って、部屋にやってきてしまった。父は「この家に住む」と譲らない。その日から六畳と四畳半のボロアパートでぎこちない共同生活が始まった。誰にでも起こりうる家族問題を、笑いと緊張の絶妙なタッチで描く傑作。
  • 男

    4.0
    男は黙ってよく働いている だいじにしなければなあと思う 歿後30年。 「男」をめぐる初の随筆選。 羅臼の鮭漁、森林伐採、ごみ収集、救急医療、下水処理、少年院、橋脚工事―― 日常の暮らしを支える現場で働く男性たちに注ぐ、やわらかく細やかな眼差し。 現場に分け入り、プロフェッショナルたちと語らい、自身の目で見て体感したことのみを凜とした文章で描き出す、行動する作家・幸田文の随筆の粋。 (収録作品) 男(濡れた男/確認する/切除/火の人/傾斜に伐る/都会の静脈/まずかった/ちりんちりんの車/救急のかけはし/並んで坐る/橋) ちどりがけ 当世床屋譚 植える 出合いもの いい男 男のひと 素朴な山の男 男のせんたく 男へ
  • おとこ・おんなの民俗誌
    -
    一夜妻・よばい・色好み・ふんどし・赤不浄・中棒・密通・遊女・ぼんがま等々、性に関する言葉や行為、結婚の形態や古来からの慣習などの由来や変遷、地域的相違を、民俗採訪や多くの古典・文献をもとに論証。民俗学の性や結婚の分野を論じながら、興味本位に流れるのを避け、積極的に学問への道をさぐった好著。
  • 男がいてもいなくても
    -
    「好きに生きます」。無一文で家を出て、大学中退、結婚・離婚、子連れでサーカスに入団etc.……世間の規範から相当はみ出して生きてきた。シアワセだったし、得たものもあった。恋人がいなくたっていい、コースを外れたっていい、枠にとらわれず生きる爽快さが伝わる、雨ニモ風ニモ負ケズ、ノンフィクション作家のシングルマザー奮闘記!!
  • 男だけの世界 梟雄たち 【五木寛之ノベリスク】
    -
    週刊ジャーナルの副編集長の間宮は、自分が企画した座談会の司会を自ら買って出た。外国人タレントを呼ぶ「呼び屋」の大物3人を集めた座談会だ。政治と結んで超大物を呼び寄せる岩森。ビジネスに徹して堅実に興行をこなす冴田。虚業と割り切って野放図な行き方をする円城。企画を試みたのは、35歳のいまが人生を選択する最後の時機と考え、それぞれのどの生き方に自分の将来をゆだねようかと個人的な興味もあったのだ。
  • 男だけの世界 兇音 【五木寛之ノベリスク】
    -
    主として放送番組のエージェント業務を扱う共音プロ。社員十人くらいのその小さな会社で、霧生克己はテレビ番組の企画書作りなどに携わっていた。入社して三年、霧生は新たに独自の企画を思いつき、その研究を進めていた。「CMソング」の次には「CMサウンド」が来ると読み、心理学者に依頼していたのだ。そんな矢先、成沢社長から奇妙な指示を受ける。それは、聞く者に強い不安感を惹起させる音を作れというものだった。
  • 男だけの世界 銃声の夏 【五木寛之ノベリスク】
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    外国人のジャズ・ショーを主にプロモートする興行会社、I.Nプロモーションを経営する伊吹のところに、共同経営者・西田の知り合いのヘンリー・中村から突飛な話が持ち込まれた。ビル・キャノンという西部劇スターをアメリカから呼んで興行しようというもの。乗り気な伊吹に、慎重な西田も同意した。「西部の拳銃王」として日本で売り込む企画は進むが、やって来たのは実弾を撃ったことのない、ただの早撃ちチャンピオンだった。
  • 男だけの世界 第三演出室 【五木寛之ノベリスク】
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    Q新聞の矢来慎吾はテレビ欄担当記者としてもう三年もRテレビに出入りしていた。矢来には気になることがあった。旧知のディレクターの辰巳が「第三演出室」に異動になるという噂を聞いたのだ。第三演出室とは、磨り減って使い物にならなくなったディレクターたちが集められる「放送界の収容所」のような所。折しもRテレビでは、組合闘争でストが計画され、辰巳たち第三演出室の人間が巻き込まれようとしていた。
  • 男だけの世界 闇からの声 【五木寛之ノベリスク】
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    大手の呼び屋が呼ぼうとしてなかなか実現しなかった大物歌手ルイ・グラントンの日本公演が、音連の企画部長・黒崎の才気によってついに開催される運びとなった。ルイ・グラントはただの歌い手ではなく、黒人差別に反対し、戦争の悲惨を歌うことで、平和運動家としても有名だった。だが公演の直前、MCを務め黒崎を支えるはずの篠原令子は不安に陥っていた。前日の深夜に、脅迫めいた謎の電話を受けていたのだ。
  • 男だけの世界 老兵たちの合唱 【五木寛之ノベリスク】
    -
    芸能プロモーターの藤岡慶太は、芸能プロダクション・音連の企画部に勤める知己・星野に、ある大きな企画を勧めていた。それは、平均年齢六十八歳の黒人ジャズ・バンドを本場ニューオリンズから呼び寄せようという企画だった。高齢を危ぶみつつも星野は話に乗り、老兵グループが来日する。勝負と見ていた初回公演は予想外の盛況を博し、喜びを分け合う藤岡と星野。だが直後に、想像を絶する陰謀を知るのだった……。
  • 男波 女波 放浪一本釣り(上)
    -
    1~2巻942円 (税込)
    放浪(さすらい)の漁師・波太郎対決の海へ……。海をイジメるインチキ釣り師たちよ、俺が本物の名人技を見せてやる! ――鯛釣り名人「四本竿の波太郎」は、海をコマセで荒らし回る自称「釣り文化人」に、投げ釣り勝負を挑む。そこに、暁子・久乃の美女2人もからんで、大波乱。海洋環境への思いやりにあふれた痛快作! <上下巻・『さすらい波太郎――伊勢湾彷徨/紀州沖急追/熊野灘対決(全3巻)』改題作品>
  • 男のウンチク学
    3.0
    1~3巻660円 (税込)
    酒場の話題はこの1冊でドンピシャリ! 焼酎のお湯割りで、馬刺などを賞味しながらご一緒に楽しくいきましょう。まあ一杯! ーー食べもの飲みものについての、コダワリ雑学百科。ウドンの正しい食べ方について、コジュケイの燻製の楽しみ方について、ツグミやウサギを使ったシオカラの手軽な味わい方について、その他、ワインやバーボンのこまごました知識など、知らなくともドートイウコトモナイが、知っていれば人生が面白くなるかもしれない、たぶんヒマな君に贈る情報源!
  • 男の階段
    -
    秋晴れの鬼怒川渓谷に、堅田邦子の死体は浮いていた。乳房にはバラの花弁のようなキス・マークがついている。邦子には年下の恋人・所道雄があった。が、彼はその前日にゴルフ場で彼女と別れたばかりだという。確かなアリバイもあった。邦子の弟・浩一は葬式の夜、姉の日記をひらいて、彼女の心の奥にかくされた恋人の不信の事実を知る――証券会社のエリートコースを望む所道雄は、常務の娘との縁談を進めていたのだ――。年上の恋人を無情に捨て去って、出世の階段をのぼろうと焦る男の姿こそは、現代サラリーマンの心奥にひそむ妄執の汚点だ。「男の階段」他3篇。
  • おとこの事典
    -
    男女の微妙なズレや恋愛のむずかしさ。恋の勝者にも、恋の未経験者にも、参考になる1冊――宴会、オフィスラブ、贈り物、結婚観、サイズ、下着、チップ、デジタル、ネクタイ、パーティなどなど、男の生活に密着していて、男の本質をつい露出させ勝ちな、特性や小道具をキイワードとして選び出し、鋭い観察眼と軽妙な語りくちで、男の姿をはだかにしてみせる、異色のエッセイ。250語の、いわば「おとこ早わかり事典」として、世のミス&ミセスに捧げる話題の書である。
  • おとこの天気 おんなの元気 おとこの事典
    -
    女遊び、結婚、勝負など、男の生活用語から男を斬る! ――おとこだけに特有の持ち物、行動、心理。それらをキー・ワードとして観察するとき、おとこの本質・本音がみごとに浮かび上がる。具体的な事件やエピソードで、軽妙かつリアルに「女性とはちがう生物」であるおとこを描く、ユニークなエッセイ事典。おとこが理解できなくて悩んでいるあなたに、必読の読み物。この1冊でおとこの正体がよくわかる!
  • 男はつらいよ お帰り 寅さん
    3.9
    2019年12月に公開される「男はつらいよ」の第50作のノベライズ作品。寅さんの甥っ子満男は脱サラをして小説家になっている。
  • 音のない理髪店
    4.3
    1巻1,881円 (税込)
    音のない世界でも、きっとメッセージは届くから──ろう理容師を祖父に持つ若手作家。その半生を描こうとする姿が胸に迫る傑作小説! 日本の聾学校ではじめてできた理髪科を卒業した第一号であり、自分の店を持った最初の人。そんな祖父を持つ五森つばめは、3年前に恋愛小説系の文学賞を受賞してデビューした。だが、その後自分の目標を見失い、2作目が書けないでいた。そんな折、デビューしたところとは違う出版社の編集者から声を掛けられ、祖父の話を書くことを強く勧められる……。ろうの祖父母と、コーダの父と伯母、そしてコーダの娘の自分、さらには聾学校の先生まで。三代にわたる希望をつなぐ取材が始まった。
  • 乙女の祈り
    4.5
    智子は元気はつらつ高校生。友だちとクァルテットでチェロを弾くアルバイトも気に入ってる。パーティで“谷津則夫を殺せ”という声を聴いた智子は行動を開始。谷津は大好きなパパなのだ。人気番組<ブラック・ボックス>金曜日辛口キャスター・谷津を狙うのは誰か!? 講談社文庫25周年特別書き下ろし推理。(講談社文庫)
  • 踊り子と将棋指し
    3.3
    1巻1,353円 (税込)
    ある朝、横須賀の公園で目覚めた男は、呑み過ぎたせいか自分の名前すら思い出せない。聖良という女性が現れ、男は「三ちゃん」と呼ばれる。三ちゃんがどうやらアルコール依存症らしいとわかり、聖良の部屋に住まわせてもらうことに。聖良の本名は依子で、現役のストリッパー。しばらくして依子に大阪での仕事が入り、三ちゃんも同行。無難にマネージャー役をこなしていたが、大金が動く将棋の真剣勝負に巻き込まれてしまい……。
  • 踊子ノラ
    -
    さいはての地に舞う抒情あふれる踊子物語。女子大に学んだ日も、男たちとの夜も、すべては遠い思い出だ。過ぎ去った日を追わず、明日を夢見ず、踊り疲れて楽屋を出れば、今夜も外は、心も凍らせる一面の雪……。哀しみに耐え、ひたすらに生きる女の姿を、美しい北海道の風光のなかに鮮やかに描く長編小説。
  • 踊るひと
    4.0
    世にも不可思議な物語の扉がいま開かれる。死んだ姉に送られた義兄からの愛の書簡は盗作? 疑いを持った妹はたった一行の葉書を残して消えた。という表題作「踊るひと」をはじめ、7つの短編の迷宮。変幻自在に妖しい魅惑の旋律を、直木賞作家が奏でる。あなただけのお耳に届けましょう──。変幻自在に奏でる短編の妖しい魅力! <『あなたのお耳に』改題作品>
  • 鬼

    3.5
    平安の都で起こる怪事件の影で跋扈(ばっこ)する道鏡、菅原道真らの怨霊、邪鬼。弓削是雄、安倍晴明ら陰陽師の系譜を辿り、歴史の暗部から世界を読み解いていく。藤原氏支配の礎を築いた政変〈応天門の変〉の謎を陰陽術で解き明かす「髑髏鬼」他、秀逸な怪異譚全5編。『白妖鬼』へ連なる妖かしの物語の原点がここにある。(講談社文庫)
  • 鬼恋童
    4.3
    萩焼の窯元に代々秘蔵されてきた、古萩「白虎」。凶々しい伝説に包まれた名器が歴史の闇から浮かび上がった時、惨劇は始まった。表題作「鬼恋童」の焼物、「阿修羅花伝」の能面、「炎帝よ叫べ」の隈取り――伝統の美に囚われた人たちは、官能の暗い情動のままに破滅への道をひた走る。耽美派の鬼才が描く妖美世界。めくるめく伝奇ロマン、赤江文学の傑作5編。
  • おはなしして子ちゃん
    4.0
    ピエタのクラスにやって来た黒髪の転校生トランジ。「私の近くにいるとみんなろくな目に遭わない」学校で次々に殺人や事故が起きて……!?(「ピエタとトランジ」)14歳の夏、高熱を出した少女エイプリルは後遺症で一日に一回嘘をつかなければ死んでしまうという――(「エイプリル・フール」)ブラックで残酷、不気味で怖いけれど、ファンタジックでキュートな10篇の作品たち。新しい才能が迸るポップ&ダークな短篇集です。
  • 大原御幸 帯に生きた家族の物語
    3.0
    「父がほんまに愛し抜いてくれたんは、このうちだけや」帯で栄華を極めた男と、父に心酔する娘。贅沢に彩られ昭和の激流を生きた、濃厚なる家族の歴史。着物黄金時代の京都、帯の意匠で一時代を築いたうちの父は、ほんまに立派な人やった。戦中は東条英機はんの私設秘書として飛び回り、戦後の活況で稼いだ財産は、祇園や道楽できれいに使う。あんなに辛い目に遭っても生きてこれたんは、みんな父のお陰や。濃厚な家族の歴史を、きらびやかに描き切る会心作!
  • オフィス街の達人
    3.0
    商社マン、銀行マン、保険マン、証券マン……そんな分類コードではくくれない、企業内の知られざる名人・怪人・異人に、コラムの達人が肉薄! バクチ打ちの面魂をもつ金鉱探しのプロ、煙草三昧1日250本喫うブレンダー、わが身を挺したトイレット博士たち、など26人衆。もしかしたらあなたの隣人がそうかもしれない。
  • オフィス・ゲーム オフィス空間の生理と心理
    -
    人間は、空間に支配される。サラリーマンには、オフィスが、仕事の場所であると同時に、生命現象の運動場である。会社本位には能率であっても、社員本位には生甲斐にからんで、人間の生理を考えなければならない。入れ物は立派でも、はたして生き生きとしたサラリーマンの生理空間になっているだろうか? オフィス空間は人間をどのように支配するのか、空間に支配される人間の生理と心理を解く。
  • オホーツク殺人ルート
    4.0
    北海道と伊豆で女性が怪死! 新機軸の野心作――北海道の観光地めぐりだけ、という好条件のアルバイトに、狂喜した女子大生ふたり。存分に旅を楽しんだあと、彼女らは別行動をとる。ところが直後、ひとりはサロマ湖畔の砂丘に埋められた! 同じ頃、伊豆下田では、女性作詞家の死体が発見された。2つの事件の背後に浮かんだ人物とは? 新境地をひらいた、トラベル・ミステリーの傑作。
  • おぼろ忍法帖(上)
    -
    心をこの世に残しつつ死の際に立った男が愛する女と交る――と、ひと月後にその女胎を裂いて男は再誕する。妖異凄絶の忍法「魔界転生」! 血風の中に甦る剣鬼たちは天草四郎を筆頭に、曰く宮本武蔵、荒木又右衛門、柳生宗矩、柳生兵庫、宝蔵院胤舜、田宮坊太郎。背後でこれを操るは天草の乱に敗れた森宗意軒と、そして由比正雪。 彼等は紀伊大納言頼宣を唆かし、徳川の天下を潰乱に導くべく、魔人と化した「転生七人衆」を紀州に送り込んだ。これに対決しうるは隻眼の剣手、柳生十兵衛あるのみ。妖雲は腥気をはらみ、十兵衛を窺って紀州から柳生の庄に迫った。全3巻、痛快忍法小説。
  • おまえの手を汚せ
    4.0
    1巻1,595円 (税込)
    ビジネスマン作家、驚愕のデビュー作!本社上層部の事なかれ主義でダメになる組織を、二人のウルフが変えていく!主人公は二人の男――。一人は総合商社のエネルギー事業本部課長。もう一人は日本最大自動車メーカーのインド工場の副工場長。「俺たちで必ず日本を変える」と約束し合った彼らの活躍は、社内で異端視され、多くの摩擦を引き起こすが、東日本大震災の後、俄然注目を浴びる。
  • おまめごとの島
    4.0
    無駄にイケメンな三十男、高橋秋彦と、恋も結婚も諦めたアラフォーの三輪言問子。どちらも東京での居場所をなくし、ここ小豆島に人生をリセットするためにやってきたが――。家庭から逃げ出したい30代主婦の真奈美や、超絶美少女・遥の出現で平穏な島が大揺れに。軽妙な筆で描かれる、笑いと涙のノンストップ家族小説。
  • おまんが紅・接木の台・雪女
    -
    片隅に生きる職人の密かな誇りと覚悟を顕彰する「冬の声」。不作のため娼妓となった女への暖かな眼差し「おまんが紅」。一葉研究史の画期的労作『一葉の日記』の著者和田芳恵の晩年の読売文学賞受賞作「接木の台」、著者の名品中の名品・川端康成賞受賞の短篇「雪女」など代表作14篇を収録。
  • 汚名の広場
    -
    泣いたよ。負けることがくやしかったから、俺は泣いた。男というのは、そういうものさ。負けて笑うのは、男じゃない……一度、勝負の世界に生き、頂点に立ちかかった。引退し、酒に溺れてしまった元レーサー。自らの存在を賭けた勝負がいま始まった。傷心の男の情念を描いた、傑作ハードボイルド長編。
  • 想ひ草
    -
    1巻1,562円 (税込)
    老いを目の前にした女性が、自分の人生を生きはじめる、その瞬間を描いた8つの物語。人生を喪わないために、女たちは密やかな選択をする。――だれも知らないところで。
  • 思い出す顔 戸板康二メモワール選
    -
    昭和を代表する劇評家、推理作家、俳人の戸板康二はまた、歌舞伎、映画、雑誌など、幅広い世界で蒐集した「ちょっといい話」を絶妙な筆致で描く無類のユーモリストだった。数多の著書から60代に書かれた『回想の戦中戦後』『思い出す顔』の2作品23篇を抄録。師折口信夫も市井の無名の人も同じあたたかい目線で捉えたエスプリ溢れる文章は、読む者に幸福感を与えてやまない。時代と人への芳醇なメモワール。
  • 思い出リバイバル
    3.4
    1巻1,672円 (税込)
    ひとつだけ、過去を「再上映」できるとしたら。今だから気付けることがあるーー思い出とは、未来へ一歩踏み出す自分を支えてくれるもの。 思い出をひとつだけ「再上映」してくれる不思議な存在、映人。 過去を変えることはできないが、今の自分の視点でもう一度過去を見直すことができる。 幸せだった頃を取り戻したい人、後悔にけりをつけたい人……映人に再上映を依頼する理由は様々だが、受けるか受けないかは映人なりの基準があったーー。 幸せなものでも、苦しいものでも、自分にとって価値があって大切なものだと心から思えたら、きっと「これから」が変わっていく。 思い出を再体験した依頼人たちは、何を得るのか。 そして、映人の正体と目的とは。
  • 重き流れに(上)
    -
    1~2巻550円 (税込)
    大陸の植民地に夢と野望を賭ける青年に嫁ぎ、夫と大陸に渡った16歳の幼な妻。夫を愛し、夫だけを頼りにして暮らす外地の生活は、新鮮であり、幸福に満ちていた。だが、夫から見知らぬ女に宛てた一通の手紙が、夫婦に翳りをもたらした。自己の全存在を夫への愛に賭けて、歴史の激流を生きぬいた、女の一生を描く。
  • オモチャ箱 狂人遺書
    3.0
    世間が顔をしかめる女たちが、安吾の前に頻出する。安吾はそれを"自然"だとし、その文学の中に析出する。安吾が析出した女たちは、40年の時空を超え、今、更に光を放ち、生き出し、動き出す。安吾が"予言者"であることを証明するかのように。敬愛する牧野信一の人と文学を語る秀作「オモチャ箱」、坂口安吾晩年の力作「狂人遺書」ほか8篇を収録。
  • 思はぬ人
    -
    戦後の混乱した世相と、その中に生きる人間のひとひとりの苦悩とを、『人生劇場』の尾崎氏一流のユーモラスな筆致で描いた傑作、全4編。
  • おやすみなさい、と男たちへ
    -
    女子学生の生態を生き生きと描く短編小説集。早大文芸科卒業小説として注目を集めた表題作ほか、「谷川のせせらぎのようなひびき」(駒田信二氏)と評された清冽な小品「『アルファ』を読んで」、処女作「とべない鳥」、書下ろし作品2編などを収録。特異な感性が光る田中りえの、しなやかなニューノベルの世界。
  • 親はあっても子は育つ
    -
    近い将来やってくるだろう食糧難、神聖なるべき母乳まで汚染した公害……、破局を目前に、孫子の血肉をくらって安逸に暮す親たちは、子供の未来のために今なにをなすべきか? 育児書や教育産業主導の育児を拒否し、親子の温もりが通いあう人間的子育てを希求する、二人の娘をもつ著者の真情あふれる子育て論。
  • オライオン飛行
    -
    舞台は大戦前夜の1936年。九州帝国大学医学部附属病院で働く身寄りのない看護婦・久美子は、東京への冒険飛行中に墜落した仏人飛行士アンドレ・ジャピーの看護にあたることになった。言葉も通じない二人の間に、いつしか燃え上がる恋の炎。それは決して周囲に知られてはならない恋だった。そして謎めいたアンドレの背景を知るすべもなく、別れは訪れた…。時代は下り、久美子の姪の娘・あやめは、謎に包まれた当時のラブストーリーの真相をたどってフランスへ。著者最高傑作。大人のための恋愛小説!
  • おらんだ帽子
    5.0
    たばこのヤニから作る“おふくろ”の妙薬。奇病から髪の毛を失った母親へ、オランダで買った帽子。重なる心痛を耐え生き抜いて来た老母や肉親を描き、生きてあることの哀しみの源へ、真にあたたかな光を送る、短篇の名手・三浦哲郎の珠玉の名短篇集。
  • 折口信夫
    4.0
    1巻3,861円 (税込)
    日本の知の結晶ともいうべき折口信夫。文学、民俗学のみならず、その広大なる表現領域は他の者を圧巻し、全貌を掴むことが不可能とされてきた。そこに、切り込んだ安藤礼二の『折口信夫』。この本を読めば折口の全体像がわかり、この本を読まずして折口を語るなかれと、後世の評価を受けることは確実である。起源・言語・古代・祝祭・乞食・天皇・神・宇宙と題された章──これを追うだけで心が打ち震えるではないか。
  • オリーブの実るころ
    4.1
    恋のライバルは、白鳥だった!?結婚、終活、離婚、妊娠……。 身に起こりうるライフイベントを、不思議な軽妙さで描く6つの短編集。 「家猫」 ハイスぺ彼氏には化け猫みたいな母がいる。もしほんとうに結婚するなら、あの化け猫を少しずつ弱らせる方法を本気で考えなくちゃならない。 「ローゼンブルクで恋をして」 突然行方をくらませた父。終活のために向かった先は、瀬戸内の選挙事務所。そこには小柄で逞しい女性候補者の姿があった。 「川端康成が死んだ日」 母は、あの日を限りに帰ってこなかった。当時の母の年齢を超えてしまった私に、母から最後の願いが届く。 「ガリップ」 ガリップが想像妊娠したのは、わたしたちが結婚した翌年の夏だった。妻と夫とメス白鳥の三角関係の顛末。 「オリーブの実るころ」 斜向かいに越してきたのは、前科者の老紳士。品のいい佇まいからは想像もつかない大恋愛の行末は? 「春成と冴子とファンさん」 彼の両親のもとへ、なぜか一人で結婚報告に行くことに。離婚した二人は、思い思いの生活をしていて……。
  • オルゴォル
    4.1
    母親と二人で東京に住む小学生のハヤトは、同じ団地のトンダじいさんから「一生に一度のお願い」を預かる。それは古いオルゴールを鹿児島に届けること。福知山線の事故現場、広島の原爆ドーム、父さんの再婚とお腹の大きな女の人――出会うものすべてに価値観を揺さぶられながら、少年は旅を続けていく。直木賞作家が紡ぎ出す心温まる成長物語。親が子どもに読ませたい本。(講談社文庫)
  • 俺たち青春浪費中、魔法少女と世界を救う。 【電子特典付き】
    5.0
    雨城大学に通う棗裕太(なつめ・ゆうた)の大学生活は、薔薇色とはかけ離れたものだった。周囲にいるのは恋愛とも遊びともまるで縁のない18人のむさくるしいボンクラども。万年空き教室に集っては怠惰にだべり続け、日が沈むころには安居酒屋になだれ込んで酒浸りの日々。まさに、灰色のキャンパスライフ……のはずだった。謎の同級生灰原(若干パリピ)とあの、魔法少女に出会うまでは!  突然、「生き残りですか!? もしまだ戦えるようでしたら、申し訳ありませんが救援を――」と言って裕太と灰原の前に現れた魔法少女のホワイト。特別な力なんてもちろん持っていないけど、ノリと勢いと友情(?)で、異世界からの侵略者を撃退できるはず。なぜなら俺たちは、天下無敵の一般大学生だから!  大体コメディ、時々シリアス。魔法少女のおかげで、灰色のキャンパスライフからはおさらばだ!? 異色の青春ファンタジー、ついに刊行! ◆電子書籍には特典として書き下ろしSSを収録。
  • 俺たちの宝島
    -
    感覚を信じて生きる! 何もないゴミの島でも、希望だけは残されていたーー東京湾に浮かぶゴミの島で生まれた鉄夫は、ゴミの山から集めた品々を、物々交換することによって生き抜いていた。島の住人の多くは、助け合いながら平穏に暮らしていたが、犬井という男が住み着いたことから、事態は一変する。近未来の東京を舞台に、現代の過当な競争や格差社会の歪みを照らし出した問題作。
  • おれは伊平次
    3.5
    村岡伊平次。故郷の島原を逃げ出し、南方で女衒として名を馳せ、女郎屋に賭博場、からゆき貿易で財を築き、三千有余の妓(おんな)たちを連れ新天地を拓き、あげくは南洋の美姫を妻とし、珊瑚礁の島の国王となった男。幾多の伝説に彩られたその生涯を雄渾に描く。明治の時代に、こんな痛快に生きぬいた日本人がいた!
  • おれ、力士になる
    3.0
    父さんは早くに亡くなった。女手ひとつで自分と弟を育ててくれている母さんに、早く楽をさせてあげたい――。そんな想いを抱く少年が、裸一貫で勝負する道を選ぶ。数百年前から脈々と続く角界のしきたり、師匠や兄弟子たちの温かな人情。純粋無垢な少年の眼を通して相撲の世界を爽やかに描いた青春小説。
  • 終らない旅 【小田実全集】
    -
    1巻1,540円 (税込)
    久美子の父は阪神大震災で、ジーンの母は「9・11」後、共に死ぬ。ジーンの突然の訪日で次々と明かされる娘たちの親の日米を挟んだ秘められた偕老同穴の結婚の夢。長い時間をかけ、国境を越え人はなぜ人を愛するのか。人間の姿、愛の形を縦糸に、大阪大空襲からベトナム戦争、「9・11」等、父が生きた戦後史の時空を静かに娘へ語りつぐ哲学的小説。普通の人びとの力は微力だが無力ではない。西洋の「動」に対して東洋の「静」のもつ力。ベトナム反戦運動の文明史的意義は生き続ける。
  • 音楽展望
    -
    1~2巻1,023円 (税込)
    音楽を中心に、西欧と日本の様々な芸術や文化を鋭く感得し、明快に綴る。透徹した知性と犀利な感性がみなぎるエッセイ集。朝日新聞に連載された人気コラム「音楽展望」3年余分を収録。
  • オン・ザ・プラネット
    3.4
    1巻1,463円 (税込)
    「終わったのかな」 「なにが?」 「世界?」 同じ車に乗り込んだぼくら四人は、映画を撮るために鳥取砂丘を目指す。 注目の新星が重層する世界の「今」を描く、ロード&ムービー・ノベル。 「これからぼくらが話すことは、人類最後の会話になるかもしれない。 そうやって考えるとき、皆は何を話したい?」 記憶すること、思い出すこと、未来に向かって過去をみつけ直すこと。 現実と虚構の別を越えて、新しい世界と出会う旅。
  • 御社のチャラ男
    3.6
    コロナ禍直前の2020年初頭に刊行され、各紙誌書評で絶賛された著者の“会社員”小説史上最高傑作ともいえる『御社のチャラ男』が、ついに文庫化! いませんか? こんなひと。 どこにでもいる、軽くて世渡り上手なチャラ男。 わかっていますか、本当の彼のこと。 組織に属する「私たち」の実態にせまる“会社員”小説の傑作!     ジョルジュ食品はオイル、ビネガーなどの商品を扱う地方の小さな会社だ。 社長のコネでやってきた三芳部長は、社内でひそかにチャラ男と呼ばれている。 自分には自分がないと悟る三芳と、彼のまわりの人々が彼を語ることで見えてくる、この社会に生きる私たちの現実。 すべての働くひとに贈る傑作“会社員”小説。 「どこか滑稽な書名に騙されてはいけない。ここに描かれるのは、組織なるものの実態であり、現代社会の問題や病理であり、働いて生きていくという営みの本質である。ジョルジュ食品という、地方の小さな会社を舞台にして。よりによって、チャラ男を軸に据えて。(略)頁を閉じたとき、きっと誰もが、濃密な塊を受け取ることになる。言葉で容易に説明できないその塊は、読者個々の体内を長い時間掛けてさまよう。本作で得たものと、私たちは共に生きていく」(木内昇「解説」より)
  • 温暖前線
    -
    九州の南西海上から本土にむけて放たれた無数の風船。それは化粧品会社が、東京への招待客をきめる「幸運の風船」だった。その中の2つ、赤と青の風船が、四国土佐と新潟の山中に落ちた。小松大五郎と柳田千穂は、この奇抜な宣伝アイデアによって出あったカップルだが、小松は新婚旅行の夜、室戸岬の宿で花嫁に逃げられた心の痛手をもち、また千穂も雪溪のみえる谷間で遭難、同行していた二人のボーイフレンドに置き去りにされた悲しい経験をもっていた。著者独自の素材で幻想的にくりひろげる、現代若人の恋と真実。
  • 女からの声
    -
    壊れかけている自分への痛切な思いを抱えて生きる〈ぼく〉。真実の絆を追って遍歴する妻の〈ナホミ〉。それぞれに性愛の相手を求め、さまよいつづける。ニューヨーク、小笠原、東京、ネパール、アフガニスタン……と孤独な旅は続く。芥川賞作家・青野聰が、根元的な生の実現を求める人間たちの魂の彷徨を、濃密な文体で綴った長編小説。
  • 女が愛に生きるとき
    4.0
    男と女のあいだには、深くて難儀な愛がある。愛ほど幻想、錯覚、誤解にみち、人間を喜ばせたり苦しめたりするものはあるまい。しかし、人生にはこれが必要だ。とりわけ女性にとって、愛は行動と心理の拠点である。「人生の楽しみは人を愛し、人から愛されること」という著者が、愛を軽快に語る人生論。
  • おんな商売
    -
    男はでんと坐って、貫禄を見せねばならぬが……。勝ち目の少ない亭主の、切なさ辛さ! 男の権威、女の実績 女の横暴、男の我慢――亭主の鼻面引き廻して、ごろ寝の女房はいいたい放題。女世帯で迫害される、気弱な亭主が蒸発した。男の胸には、一つの理想がくすぶっていた。腹の立ったときにいっぺん、食卓をひっくり返してやりたいのである。飄然と辿り着いた山の宿では、折しも老夫婦が……。という標題作のほか、いつの間にか微妙に入れかわる、男女の不思議なかかわりを描く、快作全9編を収録。
  • 女たちの海峡
    -
    病床の父の最後の願いに涙がとまらない。失踪した父を探しに海峡を渡った女が知る、複雑な人生の軌跡――あなたのお父様、丁大吉さんはご健在でいらっしゃる……謎の手紙に導かれ、幼いころ失踪した父親を捜しに、海峡を渡った唐谷美弥子の韓国への旅。そしてそこで知る、複雑な人生の軌跡。日本・朝鮮の歴史の暗部を抉り、太平洋戦争から現代にかけて、時代の荒波に翻弄される親子二代を描く、重くて深い感動の小説。
  • 女と男の子守唄
    -
    いい女そしていい男に捧げる「ララバイ」。デリケートな女と男のアレコレに、ちょっと笑っちゃう話、すこーし辛口の話もいっぱい! ーー童謡の「赤い靴」の異人さんは、イイジイさん? そしてお伽話の「瘤とり爺さん」が小肥りなお爺さんとは……。女と男のアレコレ、友人知人の品定め、はてはわが青春の……失敗談と、思わず知らずに笑っちゃう話、とっておき本音吐露の小気味のよい話がいっぱい! ちょっと洒落た、すこーし辛口のエッセイ集。
  • 女ともだち
    -
    二十歳前後の3人の女性たちが織りなす日常の風景――大学夜間部に通う主人公と、二人の女ともだち。私は、10代で書いた小説で賞を受け、嘘のような生活をしていたが、そこに高校の後輩・隆子が転がりこむ。若い女性たちの生々とした光と影を見事に描ききり、「海を感じる時」で衝撃的なデビューを飾った著者の豊かな感性が弾けた中篇小説。短篇「アジアンタム」も収録。
  • 女のあしおと
    5.0
    小説への夢をささえに、浮き沈みの多い半生を、ひたむきに生きた、人気女流の自伝的随筆集――生家からの自立を願い、18歳の若さで結婚。幼な子を連れての恐怖の引揚げ体験、病苦、離婚、そして夜逃げ同然の再出発……。辛酸の中で、文学への執着を一筋の光明として生きた半生を、真率につづる「浮き沈み五十年」をはじめ、懐かしい土佐の山河や愛着ひとしおの着物の話など、人気女流の素顔の魅力が溢れる随筆集。
  • 女の椅子
    -
    夫が若い商業デザイナーを愛し、間もなく子供さえ生まれようとしていることを知ったとき、由紀子は、小さな息子の洋を連れて、家を出た。家政婦として働き始めた彼女は、いままで知らなかったさまざまな家庭と、その中に息苦しく耐えている夫婦の姿を見た。それぞれの業を背負った男と女が、お互いに傷つけあっている姿に愕然とするが、それでも彼女は、安らかな「女の椅子」が欲しいと願いつづけた。その間に、夫との溝は、ますます深くなって行くのだった。……新鋭女流が、動揺しやすい夫婦愛の機微を、きめこまかな筆づかいで捉えた、味わい深い佳篇である。
  • 女のいる暦
    -
    23歳で文壇デビューしながら、その後不遇の時代が続いた私小説作家の川崎長太郎。東京での執筆に見切りをつけ、小田原の実家物置小屋に棲み、創作に専念すること十数年……。 1954年に娼婦たちとの関わりを描いた『抹香町』で長太郎ブームが起きるが、しばらくすると終息、そして間を置いて再び話題に……という具合の作家人生だった。 この作品は大正期後半、24歳の主人公が私小説の習作に励みながらも食べていくために子供向け読み物で糊口をしのいでいた時期に始まる。その後は27歳、29歳、31歳、33歳、35歳、すこし空いて42歳、45歳と年齢を重ねるたび、その時期に交際のあった女(カフェの女給、若い女流作家、家出した人妻、娼婦、芸者、食堂の女中)との日々を媒介にして大正末から敗戦直後に至る作家生活の周辺を回想するという仕立てで書かれている。 一見、いい気なものだという話にすぎないと感じられるかもしれないが、その筆致に甘さや虚飾はない。愛すべき人間でありながら、とうてい普通の市民としては生きられない「業」を背負ったかのような者たちが懸命に生きる姿が鮮やかに描き出されている。読後感はむしろ清々しささえ湛えているのである。
  • 女の顔(1)
    -
    「あなたは、ほんとに亡くなった英夫さんに似ています。でもそれだけに坂本先生はあなたにお会いするかどうか……」と和子はこたえながら、恋人だった英夫に生き写しの安雄を見て胸をときめかす……。ひたむきな愛を描く全2巻。映画化、テレビドラマ化も。
  • 女の顔
    -
    美貌と財産の重圧に人生を狂わせた女の執念――才能に欠ける美貌の女優・夏川薔子は、カメラの前に立つ苦痛から逃げて、京都に旅した。帰ったとき、母が事故死。だが、その死には、不審が多かった。やがて明らかになる、母の過去、そして、異母姉の秘密。これを、利用しない手はない。薔子は、京都で知った男との恋の成就と、平凡な女に戻る絶妙な殺人計画を思いついたが……。
  • 女の国になったカンボジア
    4.5
    ポル・ポト大虐殺の事実を現地取材で確認、虐殺した側の人間の深層にも迫る衝撃の記録。大虐殺の真実を追求した衝撃のレポート――世界で最初にポル・ポト軍の大虐殺を確認! 難民の話はほんとうだった。到る所に虐殺現場があった。実際に目の前で発掘してもらった穴からは、痛ましい白骨の山が現われた……。カンボジア人がカンボジア人を大量虐殺した事実を、みずから各地で直接取材と遺体発掘で確認して世界に先がけて報道し、さらに虐殺する人間の深層に迫った衝撃の書。ポル・ポト政権(1975~79年)の大虐殺をいちはやく現地で取材して、写真と文とでその事実を明らかにし、虐殺したポル・ポト派幹部の証言も得て迫る衝撃のレポート。
  • 女のことわざ辞典
    3.4
    出る杭は打たれる社会に雄々しく立ちむかうOLも、油断大敵、恋は盲目、一寸先は闇というのは結婚のことだったのね、なんてことだってあるけれど、恋愛・結婚・人生という永遠のテーマが、ちゃんとことわざの中には隠されている。元気いっぱいの女の子たちにマリコさんが贈る今の時代のエチケット辞典です。
  • 女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。
    3.7
    如何にモテるか――それだけをこの胸に問い続けて、今日まで生きてきた。この本の主成分は、これまで恋に関して沈黙するしかなかった有象無象たちの涙なのだ。 「有象くん」と「無象くん」というフツーの男子大学生をはじめ、女の子たちをめぐりもろもろ事件が起きる春夏秋冬のエピソードが綴られる連作短編集。「イケメンくん」に「二番手くん」「ダンベル先輩」「抜け目なっちゃん」、「都合良男先輩」などキャラクターを強調された登場人物たちの悲喜こもごもが描かれる青春ストーリー。
  • 女のコ4人の恋愛大作戦
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ギャル4人がくりひろげる恋愛戦術、大公開! 花を飾ろうか、一冊読もか? ハートに潤いを添える46選――テニスクラブで仲よくなったギャル4人が繰りひろげる、恋愛ゲームの一部始終、恋愛戦術を大公開。時には相談しあい、成功も失敗も、ともに喜び励ます、テンヤワンヤの大作戦。おしゃれして、おいしく食べて、かっこよく遊んで、男のコとイキにつき合う秘訣を身につけませんか。ステキな若い女へ変貌していく成功の鍵がココにありますよ!
  • 女の銃
    -
    サディスティックな夫の仕打ちに耐える妻の胸中は? 衝撃の推理傑作集。平穏な夫婦を狙い撃つ、見えない凶器! ――濃やかな夫婦の愛情が流れていると思われていた二人の間に奔った、鋭い亀裂。衝撃の一夜に、妻が口走った一言が、夫を無惨なワイフビーターに変え、家庭は崩壊した。暴力に無抵抗で耐える女の、はかり知れない胸中が、破滅の終局にサスペンスを盛り上げる表題作のほか、現代の男女の愛情と悲傷を描く5編を収録。
  • 女の旅路
    5.0
    30代なかばの荘一は、7年間連れ添った妻を病気で亡くしてしまった。そして荘一は、なんとか切り替えようと旅に出た先で、美しい人妻・藤堂萌子に出会う。だが、妻の妹の美也子は、姉より「自分が死んだら荘一と結婚してくれ」という旨の遺書を受け取っていたのだ。荘一は藤堂萌子に惹かれていくのだが……。愛憎、まさに絡まる物語!
  • 女の敵
    -
    たぐいまれな美貌にめぐまれたがために、女はより深い悲しみに哭かねばならないのか? 不幸な星のもとに生まれた女は、清純な魂をもつがゆえに、現代のさまざまな、「女の敵」に翻弄されながら生きねばならないのだろうか? 大正時代の孤高な作家といわれた黒木亮二を父に、瀬戸内海に臨む岡山県の片田舎に600年の歴史を誇る平家一門の旧家の一人娘を母にもつ黒木小露は、人生の暗い谷間に行きくれながら、渡り鳥のように女の幸福を追い求めるが、男の愛の暴力にすべてを奪われてしまう。――昭和動乱期のなかに哀しみを埋没させられた女の悲劇を描いた雄篇。
  • 女の踏絵
    -
    東洋映画を背負って立つ、一枚看板の大女優・草壁三樹子は日本でも指折りの大富豪、一井男爵を父に、新劇女優・水田三重子を母にして生まれた。彼女は生まれつき淫奔で、志村プロデューサーと関係し、カメラ助手・白石次郎の子を生み、多くの男と浮名を流すのだった。しかし、二枚目スター・林光哉を知るや、三樹子は全身全霊で彼を愛し、同棲するようになった。そんな三樹子を、彼女の幼時からの忠実な下僕――「カシモド」は嫉妬の炎を燃やし、冷たく見つめるのだった。……。強烈な欲望に生きる奔放な女性を描いた問題作「白い炎の女」他3編を収録。
  • 女の繭
    -
    菱川佳世は、銀座「丸藤」専属の若い和服デザイナー。彼女の染めた衣裳を、一流会社の社長夫人・菅野三千代が着ると、人目をそばだてる。生家が西陣の帯地問屋と織元という関係で、三千代の方が年上だが、二人は幼い頃から姉妹のように親しかった。佳世の兄・豊喜は太平洋戦争の軍医で、ある夏、突然帰国する。彼は抑留中のいまわしい経歴から、虚無的な影のある男となっており、佳世はそんな兄の底知れぬ冷たさに幻滅するが、彼の帰還を10年待ち暮して今は人妻の三千代の瞳は、妖しく燃えるのだった。人間に絶望した男を愛のちからで蘇らせる、京おんなの激しくも哀切な恋を描く傑作。
  • 女の港
    -
    丘の上にあるカトリック系の女子学園。港を見下ろすことができる。西川はそこで英語を教える、数少ない男性教師である。信者ではないが、司祭をしている叔父の紹介で勤めているが……。周囲の人々との関係性を描いた、生活感のある傑作。
  • 女の宿
    -
    大阪に住む友人の女流画家とその義妹の家に宿をかりた私。そこに偶然訪れた二人の女客。隣家から響く無遠慮な女の声。さりげない日常の中に、時代の枠に縛られながら慎しく生きる女たちの不幸と哀しみとを刻み込む、女流文学賞受賞作「女の宿」。ほかに名篇「水」、「泥人形」「幸福」など、人々の真摯な生きざまを見事に描き上げた13篇を収録。
  • 女ひとり
    -
    夫の帰還を待ちわびながら、女代議士としてヒロポン絶滅を叫び、社会悪と闘う香川文江の姿を通し、人生の哀歓を訴える傑作。
  • オンリィ・イエスタデイ
    3.0
    雨の海辺で、何者かに追われる人妻を救った池内峻介は、彼女を自宅にかくまう。彼女の夫は、重大秘密を握って逃亡中。そのため彼女も、或る勢力の追及をうけているらしい。そして池内の周辺にも、敵方の手が……。意外な伏線を秘めて、事件は目まぐるしく動く! 男の特質を鮮烈巧緻に描く冒険小説。追われる女が握る秘密とは? 男の愛と闘い!
  • おーい、宗像さん
    5.0
    1巻1,562円 (税込)
    煩悩満載の純文学小説! 少年の心を持った中年男。それは、ガキか馬鹿か? 純粋か? この小説を読みながら、考えてみて下さい。
  • 虹の彼方に
    4.3
    1973年夏、東京拘置所。『カール・マルクス』『ウルトラマン』等、夢見る囚人達と所長『ハンプティ・D』の間で演じられる可笑しくも悲痛な思想劇。『さようなら、ギャングたち』『ジョン・レノン対火星人』と並び著者の原点を示す秀作。
  • OVER DRIVE
    3.5
    生真面目で寡黙だが、確かな技術で信頼されているメカニックの兄・檜山篤洋と、世界ラリー選手権へのステップアップを目指している天才的ドライバーの弟・檜山直純。篤洋のアドバイスを無視して無謀で危険なレースをする直純はレースの度に篤洋と衝突を繰り返す。ある日、直純の新しいマネジメント担当として、遠藤ひかるがやってくる。彼女を待ち受けていたのは檜山兄弟の確執に秘められた過去、チーム全体を巻き込む試練だった。
  • オールドタイムズ
    -
    有名人の嘘(フエイク)を暴け! 一週間バズり続けろ! 動画スクープで一躍注目を浴びた 新進ウェブニュース「オールドタイムズ」。 新旧メディア業界の荒波を乗りこなせるのか? 痛快メディアエンターテインメント小説! 夕刊紙のエース記者だった不動優作はあえなくリストラ対象に。 新たにウェブニュースサイト「オールドタイムズ」の運営に加わるが、早々に行き詰まる。 自分より若い出資者兼IT社長から「一週間バズり続けるニュースを」と要求され、嘘(フエイク)を暴くネタを探るのだが。 痛快メディアエンターテインメント小説! 解説=温水ゆかり(ライター/書評家)
  • オール・ノット
    3.9
    1巻1,716円 (税込)
    今度の柚木麻子は何か違う。 著者の描く3歩先の未来にあるのは、ちょっとの希望とささやかな絆。 ~~~~ 友達もいない、恋人もいない、将来の希望なんてもっとない。 貧困にあえぐ苦学生の真央が出会ったのは、かつて栄華を誇った山戸家の生き残り・四葉。 「ちゃんとした人にはたった一回の失敗も許されないなんて、そんなのおかしい」 彼女に託された一つの宝石箱が、真央の人生を変えていく。 「大丈夫だよ。オール・ノットの真珠にすれば。あんたみたいながさつな子も。これは絶対に切れない、そういうつなぎ方をしているんだよ」 「え、オール・ノットって、全部ダメだって意味じゃなかったっけ?」 「全部ダメって意味もあるけど、全部ダメってわけでもない、っていう意味もあるんだよ。そうだよ。全部ダメってわけじゃないんだよ。なにごとも」
  • かあちゃん
    4.6
    同僚を巻き添えに、自らも交通事故で死んだ父の罪を背負い、生涯自分に、笑うことも、幸せになることも禁じたおふくろ。いじめの傍観者だった日々の焦りと苦しみを、うまく伝えられない僕。精いっぱい「母ちゃん」を生きる女性と、言葉にできない母への思いを抱える子どもたち。著者が初めて描く「母と子」の物語。
  • 開化奇譚集 明治伏魔殿
    -
    1巻2,189円 (税込)
    歴史の大きな変わり目には、社会は流動化し、人間関係にも平時には起こりえず、想像もつかない変動が生じる。そんなときにひょっこり生まれる人びとの予想外の取り合わせは、貴重な“歴史の偶然”として現出するが、多くの場合たちまち短命に消え失せてしまい、人びとに記憶されず、ましてや記録として書き残されることもない。わたし筆者(わたし)がこれから書こうとしている物語は、ことによったら歴史の流れを異なる水路に導いたかもしれないひとつのエピソードである(「明治天皇の馭者」より)。 文明とは、ある可能性の粉砕であり、開化とは、挫折した夢と怨みの上に咲いた花である。新時代の到来に必然はない。ありえたかもしれない未来と希望のもつれを解きほぐす、5つのネオフィクションの試みが見せる光景とは?
  • 階級
    -
    現代社会の〈辺境〉とも言える廃鉱に遺棄され、痛憤の生存を強いられる人々の、熾烈をきわめる階級的憎悪の情念。内面までも風化解体に瀕した人間破壊の状況は、読者に異様な衝撃と戦慄を与える。〈辺境〉の外で惰眠する人間の、精神の荒廃を烈しく指弾した傑作。他に、炭鉱離職者をテーマにした「せむしたちの冬」を収録。
  • 海峡物語 【五木寛之ノベリスク】
    5.0
    5年前に東京のジャーナリズムの仕事を捨てて北海道へ逃れていた露木は、函館である老人を見つける。老人の名は高円寺竜三。以前Mレコードにいた大物ディレクターだ。彼は、経営合理化のために乗り込んできた黒沢と対立し、その黒沢との「レコード売上げ対決」に敗れて、音楽業界から姿を消したのだった。露木は、黒沢の合理的な歌作りが嫌いだった。高円寺の「時代遅れの艶歌」に賭けてみようと、黒沢との再戦を持ちかける。

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