小説 - 講談社作品一覧

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  • 人生オークション
    3.5
    捨てるって、気持ちいい! 『三千円の使いかた』の著者による、 部屋が片づく、心が軽くなる、"デトックス小説"! 【内容紹介】 不倫の果てに刃傷沙汰を起こして謹慎中のりり子叔母さんと、就活に失敗してアルバイトをする私。 一族の厄介者の二人は、叔母さんのおんぼろアパートの部屋にあふれるブランドのバッグから靴や銀食器、 着物までをせっせとネットオークションにかけていく――。 【担当編集より】 今、私の部屋は奇跡的にきれいです。 部屋に「いらないもの」が溢れている。 「片づけなきゃ」と分かっているのに、動き出せない――。 本作はまさに、そんな私のための物語でした。 読めば、明日がきっとより素敵なものに変わる。 優しく、軽やかに背中を押してくれる一冊です!(編集T)
  • 完全犯罪の恋
    4.0
    「すごい小説を読んでしまった。 私はこの先も、何度も自分の血を辿るように この作品を読み返すと思う」              ――紗倉まな 「人は恋すると、罪を犯す。 運命でも必然でもなく、独りよがりの果てに。 その罪を明かさないのが、何よりの罰」              ーー中江有里 「私の顔、見覚えありませんか」 突然現れたのは、初めて恋仲になった女性の娘だった。 芥川賞を受賞し上京したものの、変わらず華やかさのない生活を送る四十男である「田中」。 編集者と待ち合わせていた新宿で、女子大生とおぼしき若い女性から声を掛けられる。 「教えてください。どうして母と別れたんですか」 下関の高校で、自分ほど読書をする人間はいないと思っていた。 その自意識をあっさり打ち破った才女・真木山緑に、田中は恋をした。 ドストエフスキー、川端康成、三島由紀夫……。 本の話を重ねながら進んでいく関係に夢中になった田中だったが……。 芥川賞受賞後ますます飛躍する田中慎弥が、過去と現在、下関と東京を往還しながら描く、初の恋愛小説。
  • 黒い絵
    3.3
    1巻1,771円 (税込)
    ついに封印を解かれたのは、著者初の「ノワール小説集」。嗜虐と背徳によって黒く塗りこめられた、全6作品を収録する衝撃作! 深海魚 Secret Sanctuary 高校生の真央は友だちも彼氏もいないうえ、クラスメイトからいじめられていた。そんな真央が安息を得られるのは押入れの中だけだった。真っ暗にすると「海の底」のようで……。 楽園の破片 A Piece of Paradise ニューヨーク発の急行列車は遅れていた。ボストン美術館での講演会でスピーチをする予定の響子は焦る。もうひとりの話者のレイとは7年間の不倫関係を清算したばかりだった。 指 Touch 私は私大の日本美術史博士課程の2年生。家庭を持つ彼の研究室で助手をしている。ある週末に奈良の室生寺を訪れ、ずっと手をつないでいる私たちは、どう見ても不倫カップルだ。 キアーラ Chiara アッシジには10年ぶりの再訪だった。亜季は文化財の修復科のある芸術大学を休学して20歳で渡伊し、長年フレスコ画修復の修業をしていたところ、中部の大地震に見舞われ……。 オフィーリア Ophelia わたくしは絵の中の囚われ人。水に浸ってあとひと息で命が絶えるその瞬間を、生き続けています。ロンドンから日本へ連れて来られたわたくしが目撃した、残虐な復讐とは…。 向日葵(ひまわり)奇譚 Strange Sunflower 超売れっ子の役者・山埜祥哉の舞台の脚本を書きたくて、脚本家の私は、ゴッホが主人公の脚本を完成させる。が、脚本が仕上がった直後に、ゴッホらしき人物の奇妙な写真を入手して……。
  • 一瞬の風になれ 第一部 イチニツイテ
    3.9
    1~3巻660~902円 (税込)
    春野台高校陸上部、1年、神谷新二。スポーツ・テストで感じたあの疾走感……ただ、走りたい。天才的なスプリンター、幼なじみの連と入ったこの部活。すげえ走りを俺にもいつか。デビュー戦はもうすぐだ。「おまえらが競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」。青春陸上小説、第1部、スタート! 2006年本の雑誌が選ぶノンジャンルベスト10 第1位。(講談社文庫)
  • チャンネルの5番
    -
    初恋、おしゃれ、男友だち、旅、仕事………諸事万端103題をなつかしのテレビ番組に寄せて綴る、とっても楽しいマリコとショージのスペシャルトーク。「もっと可愛いらしく」のラブコールに応えて、山藤画伯が挑むマリコの七変化ならぬ百変化も見逃せない魅力。ところで、あなたはいくつ番組を思い出せそうですか?
  • 役者の青春
    3.0
    歌舞伎界のス-パ-スタ-の熱き青春――親父がよく言ってました。お前、俺の真似しろよ、って。勘九郎さん、新解釈は僕が死んでからにして下さい、とも。役者は親子でも結局ライバルなんです。……3才で勘九郎を襲名、勘三郎亡き後、中村屋を率い、祖父・六世菊五郎の芸に迫ろうという歌舞伎界のスーパースターが語る、恋、旅、酒、芸……。目の離せぬ一冊です。人気役者が語る熱きこころ!
  • ゴースト・ポリス・ストーリー
    4.0
    妹への叶わぬ恋心を抱いたまま、俺はどうやら死んでしまったらしい。 「お兄の仇、私、絶対とるから!」 妹は刑事になり、死んだ俺は内通者の疑いをかけられ、そして「幽霊のセブンルール」に戸惑っていた。 渋谷署の刑事・長島日樹は、同じく警察官の妹・聖奈と二人暮らし。 実は血の繋がらない妹に切ない感情を抱く日樹だったが、その思いを断ち切るべく捜査に明け暮れていた。 ある日、帰宅中の夜道で何者かに襲われた直後、ある人物と出会う。 「あのね、幽霊にもルールがあるの。だいたい7つくらい。『幽霊のセブンルール』ね」 その1、無念が晴れたら成仏する その2、昼間はけっこう疲れる その3、幽霊に生理現象はない その4、好きな場所に移動できる その5、寺と鏡には近づくな(焼肉店も追加予定)。 その6、人間界にも影響を与えることができる(ティッシュペーパーを揺らす程度)。 その7、…………
  • V.T.R.
    3.4
    辻村深月の長編ミステリーから物語が飛び出した。「スロウハイツ」の住人を受け止め、支えたあの作家。物語に生きる彼らと同じ視線で、チヨダ・コーキのデビュー作を味わおう。『スロウハイツの神様』の世界へようこそ。「ねえ、ティー。一人ぼっちにならないで。アタシはあなたを愛してる」。解説・赤羽環。(講談社文庫)
  • 七日間の身代金
    3.3
    プロデビューを目指す若き音楽家カップルの千秋と要之介。ある日、富豪の後添いとなった友人から、弟と先妻の息子が一緒に誘拐されたと相談を受ける。身代金の受け渡しは、どこにも逃げ場のない湘南の小島。実は千秋の父は警察署長で、要之助との付き合いをよく思っていなかった。にわか探偵と化した2人は犯人を追うが……。誘拐と密室の二重の謎に挑む、傑作青春ミステリー。1986年刊行。(講談社文庫)
  • 捕まえたもん勝ち! 七夕菊乃の捜査報告書
    4.0
    1~3巻902~1,056円 (税込)
    念願叶って捜査一課の刑事に抜擢された七夕菊乃。しかし元アイドルという経歴のせいでお飾り扱いされてしまい、おまけに、驚異的な洞察力を持つ天才心理学者・草辻蓮蔵と、FBI出身で報告書の書き方に異様な執念を燃やす鬼才、「アンコウ」こと深海安公が繰り広げる頭脳戦に巻き込まれることに!初めて挑む密室殺人事件の捜査は、一体どうなってしまうのか!
  • アウト&アウト
    4.1
    探偵見習いで元ヤクザ。矢能(やの)が呼び出された先で出くわしたのは、死体となった依頼主と妙な覆面を被った若い男。図らずも目撃者となり、窮地に追い込まれた矢能。しかし覆面男は意外な方法で彼を解放した。これが周到に用意した殺人計画の唯一の誤算になることも知らずに。最も危険な探偵の反撃が始まる。 (講談社文庫)
  • ABCD殺人事件
    4.0
    不人気警部・大貫の大人気シリーズ! 人の迷惑かえりみず、我が道を行く迷惑男のユーモア・ミステリーテレビに出演したかと思えば、高校で授業をしたり……。ガハハ笑いと図々しさがトレードマークの大貫警部、相変わらずの迷活躍で、よく出来た後輩達を困らせながらも事件解決。表題作のほか、「真実一路」「天地無用」「無理難題」の3作を収録。超不人気警部・大貫の超人気四字熟語シリーズ待望の第10弾。(講談社文庫)
  • 輪廻転生殺人事件
    4.0
    「かな子が俺にたたりに来た」そう呻き心臓発作で倒れた老警部。人望厚い彼にはかつて、無実の罪で男を自殺に追い込んだ過去があった(表題作)。白亜の豪邸で惨殺された会社社長とその息子夫婦。2人の孫も姿が見えず、大貫警部は「一家皆殺しとは景気がいい!」と盛り上がる(「一家団欒殺人事件」)。ほか2編。
  • ハ-ド・ラック・ウ-マン
    4.0
    シンこと石森信たちのロックバンド「ナイトメア」のグルーピーが殺された。誰も彼女の本名を知らない。メンバーにも疑いがかかるが……。待望の長編ロック小説。(講談社文庫)
  • 浄土
    値引きあり
    3.8
    「私はあなたと別れます。なぜならあなたが途轍もない馬鹿だとわかったからです。足は臭いし、チンポが臭いくせにフェラチオしろと言うし」誰もがみな本音しか言わないすがすがしい街「本音街」、突然現れ日本を大混乱に陥れる巨大怪獣「ギャオスの話」他全七篇。奇想あふれる破天荒なる爆笑暴発小説集!
  • 骨の肉・最後の時・砂の檻
    5.0
    生の深奥を抉る明晰な衝撃。河野文学の中期秀作群――初期作品「美少女」「幼児狩り」、芥川賞受賞作「蟹」から、話題の『みらい採り猟奇譚』まで、著者の誠実な文学的展開の中で、中期と呼ぶべき中・短篇群。特に世評高い名篇「骨の肉」ほか、女流文学賞受賞の「最後の時」、更に「砂の檻」ほか4篇収録。男と女の関係、特に子供のいない女・妻と男・夫の関係を描き、抉り出されてくる生の深奥の類例のない明晰な衝撃。
  • 黙阿弥
    5.0
    黙阿弥の真の姿と心の奥の風景を描く曾孫からの鎮魂の評伝。 ――坪内逍遙に“明治の近松、我国のシェークスピア”と称された河竹黙阿弥。その78年の生涯を、秘蔵の原稿や手記をもとに、曾孫にあたる著者が心をこめて描いた評伝。幕末から明治への激動の時代を生きた黙阿弥の作者魂と、江戸作者の矜持。それは現代にも通じるひとつの「生」の記録でもある。 ※本書の初出は、「別冊文藝春秋」(1991年夏~1992年秋)に「孤影の人」という題で発表され、単行本は、文藝春秋より1993年2月に『黙阿弥』と改題され刊行しました。底本は、文春文庫『黙阿弥』(1996年)を使用し、著者により若干の訂正をいたしました。
  • 運転士
    3.3
    時刻ヨーシ、方向切替ヨーシ、発車。電車はスピードを急速に上げ、間もなく軌道が緩やかに下り始め、徐々に傾斜がきつくなっていく。傾斜角1000分の35。都市と都市生活者の様々な貌(かお)をトンネルの闇と駅の輝きが妖しく繋ぐ。カミソリのように光る二本のレールの上に現代を官能的に描く。第107回芥川賞受賞。
  • 消えたオーケストラ
    3.0
    ホールを埋めた聴衆の前から、オーケストラのメンバー全員が消えた。黒い舞台衣裳の特異な姿の彼らだ、人目につかないわけがない。なのに目撃者は皆無。やがて楽団事務局に、正装したヴィオラ奏者の死体の入ったコントラバスケースが届いた。――空前の消失トリックにいどむ音楽ミステリー。読者に挑戦!
  • 雪列車連殺行
    -
    上野着の車内で車掌が発見した男の死体が消え、24時間後に都内のデパートでマネキン人形として飾られていた! 男は蔵王を開発中の会社の役員。上野署の牛深・松島コンビは蔵王に出向く。するとそこでも奇妙な事件が続発しついに殺人が。昔話をひっかける犯行に、誰かの呪いの意志が? 奇想本格長編。(講談社文庫)
  • ヴェールドマン仮説
    3.6
    1巻1,650円 (税込)
    おじいちゃんが推理作家で、おばあちゃんが法医学者、父さんが検事で母さんが弁護士、お兄ちゃんが刑事でお姉ちゃんがニュースキャスター、弟が探偵役者で妹はVR探偵。名探偵一家のサポートに徹するぼくだけれど、ある日強烈な「首吊り死体」を発見し、連続殺人事件を追うことに。被疑者は怪人・ヴェールドマン。布(ヴェール)に異様な執着を示す犯罪スタイルからそう呼ばれている――。
  • 江田島殺人事件
    4.0
    江田島の主峰・古鷹山が炎上し、短剣を腹部に突きたてた不審な焼死体が発見された。そして10年――。帝国海軍の象徴・東郷元帥の盗まれた短剣の行方を追って浅見光彦が江田島へ。奇しくもその日、発見された短剣で男が「自殺」した。3つの短剣に秘められた戦後40余年の繁栄に酔いしれる日本の悲劇とは!? (講談社文庫)
  • 人畜無害殺人事件
    -
    井上刑事の恋人直子の恩師井村典子が不倫!そして不倫相手のTV局員唐木が殺される。捜査開始早々に自首してきた男はなんと典子の夫。どうやら典子が真犯人と思い込んで、身代りを志願したらしい。そのうち、第二の殺人が……。ご存じ大貫・井上コンビに直子を加えてのドタバタ、大めいわく捜査が始まった。さて結末は? ユーモア連作推理。
  • 起承転結殺人事件
    4.0
    中華料理店で客を人質にとったライフル魔は、人質解放の条件に警官をひとりよこせと命令、大貫警部は得たりとコンビの井上刑事にその役を押しつける。哀れ井上刑事! だがライフル魔は意外な要求を出した。自分は、事故で沈んだ遊覧船の元船長だが、事故は誰かが仕組んだ筈、その真相を調べてほしい……。さて大貫・井上コンビの活躍は? 人気シリーズの第二弾。
  • 珊瑚色ラプソディ
    3.4
    結婚式を控えシドニーから帰国した里見は、婚約者の彩子が沖縄旅行中に倒れ入院したと聞く。しかも、彩子は2日間の記憶を失い、女友だちの乃梨子は行方不明。乃梨子の兄の赴任先にともにでかけるはずだったのに、「彩子が男といた」という証言に動揺しながらも、婚約者を信じ真相を追い求める里見の前に立ちはだかるのは……。 南の楽園の悲しみが明かされる長編サスペンス。1987年刊行。(講談社文庫)
  • かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。
    3.8
    1巻1,562円 (税込)
    今、最も注目される詩人・最果タヒが紡ぐ、初めての長編小説――。きみがぼくに使うかわいいという言葉が、ぼくを軽蔑していない、その証拠はどこにあるんだろう。好きとも嫌いとも言えないなら、死ねって言っているようなものだと、いつだってきみは、怒っている。ぼくは、きみを好きでも嫌いでもないまま、優しくありたい。かすかな、死の気配でありたい。
  • 煤煙
    値引きあり
    3.5
    正義派ではない、金のためでもない。ヤミ金融の連中を脅し、言いがかり同然の裁判を起こす。有罪確実な人間を無罪にすることに、暗い喜びを感じる。ご大層な事務所よりも船の上で生きる自由を選ぶ。法を逆手に秩序に盾突く中年弁護士、青井正志。あやふやなこの社会に鉄槌を下すハードボイルド、新たな地平。
  • 虚人の星
    3.6
    外交官から首相秘書に抜擢された新一は、七つの別人格に苦しむスパイでもあった。その新一が仕える世襲総理松平定男は、凡庸な極右との前評判を覆し、米大統領をも黙らせる名演説で世間の度肝を抜く。しかし彼の内部にも奇妙な変化が現れて……。二重スパイと暴走総理は日本の破滅を食い止められるのか?
  • 新装版 海と毒薬
    3.8
    生きたままの人間を解剖する――戦争末期、九州大学附属病院で実際に起こった米軍捕虜に対する残虐行為に参加したのは、医学部助手の小心な青年だった。彼に人間としての良心はなかったのか? 神を持たない日本人にとっての<罪の意識><倫理>とはなにかを根源的に問いかける不朽の長編。
  • 子どものための哲学対話
    3.9
    人間は遊ぶために生きている! 学校なんか行かなくたっていい。うそをついてもいい。クジラは魚だ。地球は丸くない。……ぼくの家の猫のペネトレは、そんな普通じゃないことばかり言う。でも考えてみると、ペネトレの言うことの方が正しいんじゃないかって気がしてくる……。子どもも大人も考え方が変わる、ペネトレとぼくの40の対話。 ※本書は1997年7月、小社より単行本として刊行されました。
  • 夜になっても遊びつづけろ
    値引きあり
    -
    繊細で率直な感性、きらめきあふれた知性、イメージの豊かなことば……。それらをかろやかに駆使して、現代の青春、映像文化、風俗などを勇敢に語った、第一エッセイ集。本書は、注目をあつめる気鋭作家・金井美恵子の、たぐいまれな資質と、エッセイならではのぞけない素顔とを虚飾なく示した、好個の一巻である。
  • 無情の世界
    -
    1巻460円 (税込)
    現実と妄想の区別を失った男子高校生が、夜の公園で不気味な光景に遭遇した―― これは現実なのか? それとも悪夢なのか? 不穏な空気で満ちた、少年の手記。『ABC 阿部和重初期作品集』に収録。第21回野間文芸新人賞受賞作。
  • 冠婚葬祭殺人事件
    5.0
    三百万の会員をもつ礼法の本俵流家元が亡くなり、あとを令嬢が継ぐことになった。ところが本俵流はお家騒動の気配があり、新家元の身を守るため大貫警部・井上刑事が駆り出された。例によって横柄に家元邸へ乗りこんだ大貫をめぐって珍事がひん発、井上は途方にくれるのだった――。 迷コンビによる痛快ユーモア推理。
  • 湖列車連殺行
    -
    上野駅に着いた電車から、火だるまの男が転がり出た。鳥取へ行くといって家を出たのに、なぜ上野着? そして鳥取の白兎海岸で毒死した別の男の名が自称田原で、実は原。タヌキである。まるでカチカチ山の物語を思わせる連続事件!? 上野署の牛深・松島コンビが容疑者の鉄壁アリバイに挑む、奇想本格長編。(講談社文庫)
  • チャイナ インベイジョン 中国日本侵蝕
    3.4
    領土の危機は尖閣諸島だけではない。隣国に国土を侵蝕されつつある最悪の未来へのシナリオを気鋭の作家が抉り出す、緊急警告ノベル。「日本が危ない」と言い続けていた一人の政治家の死から、すべては始まった。フリーライター・予備自衛官・警視庁公安部外事二課警視、それぞれの立場から調査を始めた男たちは、増強を続ける隣国・中国が、北海道などで日本の国土を次々と買いあさっている事実に突き当たる。
  • 東西南北殺人事件
    3.5
    警視庁捜査一課の迷惑男・大貫警部がもたらした驚くべき連続殺人事件の情報。それは何の関連もない三つの事件なのだが、大貫によれば事件の起きたのは全て金曜日、被害者の名字が東・西・南……トーゼン次の金曜日に北某が殺される!? 鼻クソとばしフケとばし、ハタの迷惑かえりみず事件を混迷にみちびく愛すべきアンチ・ヒーロー大活躍の傑作集。
  • 失踪者
    4.1
    2016年、ペルーはブランカ山群。山岳カメラマンの真山道弘は単身シウラ・グランデ峰を登っていた。10年前、クレバスに置き去りにしてしまった親友・樋口友一を迎えにきたのだ。クレバスの底に降り立ち、樋口を見つけ出した真山だったが、遺体の顔を覆う氷雪を落として驚愕する。極寒のクレバスに閉じ込められた遺体は、歳を取ることなく凍りついてしまうはず。しかし、樋口の顔は明らかに10年前より老いていたのだ!
  • 天誅組
    -
    尊皇攘夷、公武合体、権謀術数が渦巻く激動の幕末の文久2年、土佐の山奥の若き庄屋・吉村虎太郎は、脱藩を敢行。翌年8月、「天誅組」を組織、挙兵。その秋、激烈なる死を遂げた。草莽の志士たちへの著者の深い共感が、歴史に埋もれた「もう一つの転換期のエネルギー」を鮮やかに捉える。史料の博渉、明晰なる解読で、維新の先駆者の真実を追跡。「物語体」も一部駆使した、創見溢れる「史伝体歴史小説」。
  • わがスタンダール
    -
    ファブリスを中心にみれば、『パルムの僧院』は宛然一個の冒険小説である。―――スタンダールに魅了され、それを終生問い続けた当代屈指のスタンダリアン=大岡昇平。綿密な探究と思考、対象を徹底的に見極めようとするダイナミックな意志。鮮明な自己認識の大いなる軌跡を示す〈スタンダール論〉34篇を収録した決定版。
  • 北列車連殺行
    -
    中学の同級生が次々殺される! ひとりは特急から石の鉢を抱えて転落死、またもう一人はビルから墜落。奇妙な連続殺人の背後に浮かぶのは日本の古典物語。本格長編。(講談社文庫)
  • 「能登モーゼ伝説」殺人事件
    -
    北海道の巨大な迷路で男の惨殺死体が発見されたが、その体には異様なものが! 謎を解く鍵は、被害者と同じ異形の姿をしていたという古代の預言者モーゼ!? 推理作家・荒尾十郎は、真相を求めて、モーゼの墓伝説の地へ。そしてあらわになる驚愕の真実。古代伝承をふまえ叙情豊かに描く異色のトラベルミステリー。講談社ノベルス『能登モーゼ伝説殺紀行』改題。
  • Frozen Ecstasy Shake
    4.0
    1巻440円 (税込)
    “欲しいのは、心も身体も感じるエクスタシー” 凛花、沙夜、真帆路、頬月、生まれも性格も異なる4人の女性たちには秘められた欲望があった。愛にSEXに傷つき悩む4人の女たち。彼女らを癒し、翻弄する謎の青年“アギト”の正体は!?
  • 新装版 ジャパン・プライド
    3.0
    百年に一度と言われた金融危機リーマン・ショック。長引く低金利と経済のグローバル化で傷ついたメガバンク。銀行マンたちも懸命にそれぞれの道を模索していた。超富裕層のオーダーに応えてみせるプライベート・バンキングの旗手・高梨勝。子育てに奮闘しながらも顧客から逃げない新宿西支店のフィナンシャル・アドバイザー南野治子。この国に誇りを取り戻すため、金融動乱に立ち向うバンカーたちの奮闘を描く白熱のビジネス小説! TBS日曜劇場「集団左遷!!」原作で話題の江波戸哲夫が新時代の銀行マンたちを描く!
  • レペゼン母
    4.1
    1巻1,463円 (税込)
    マイクを握れ、わが子と戦え! 山間の町で穏やかに暮らす深見明子。 女手一つで育て上げた一人息子の雄大は、二度の離婚に借金まみれ。 そんな時、偶然にも雄大がラップバトルの大会に出場することを知った明子。 「きっとこれが、人生最後のチャンスだ」 明子はマイクを握り立ち上がる――! 『晴れ、時々くらげを呼ぶ』『檸檬先生』などで最注目の新人賞から、今年も文芸界のニュースターが誕生! 第16回小説現代長編新人賞受賞作。 ーーーーーー 選考委員も激賞! こんなにスカッと面白い作品が新人賞なら、いっそ清々しいじゃないか!(中略)おかんのラップが響く今宵、この余韻! ――朝井まかて 「親との戦い」ではなく、親の側から「子との戦い」を力強く描いた、大人の小説であると感じさせられた。 ――宮内悠介
  • 猿猴
    値引きあり
    2.8
    This is 伝奇! 田中啓文が世に問う伝奇小説。「猿猴、つひに蘇り、しかる後、人類を喰らふべし」……世界が崩れる!? ――聖徳太子による「人類滅亡」を意味する預言は真実か? 冬山で遭難した奈美江(なみえ)が洞窟で見たものは? 望まぬ妊娠、殺人事件、不気味な宗教団体、秀吉の埋蔵金……その背後に見え隠れする奇怪な「猿」の影。運命の嵐に翻弄(ほんろう)される奈美江は、やがて世界の根源の謎に迫っていく。著者渾身の文庫書下ろし伝奇小説。
  • 夜かかる虹
    値引きあり
    3.2
    ひとり暮らしの私を突然男連れで訪ね、男を置いて帰ってしまった妹リカコ。外見はそっくりで性格は正反対、甘い声で喋り、男に囲まれ、私を慕いながら、一方で恋人まで奪おうとする妹。痛くて切ない姉妹関係をリアルに描く表題作をはじめ、人とのつながり、自分の居場所を誠実に問う作品集。
  • 銀髪少女は音を視る ニュクス事件ファイル
    値引きあり
    3.0
    1~2巻508~759円 (税込)
    恩人の元警官が毒殺され、第一発見者となった道明寺一路巡査。仇を討とうとする彼の前に、銀髪の美少女・音宮美夜が現れる。音や声に色が視える共感覚を持つ彼女は、警察の手には負えない難事件専門の探偵・ニュクスだった。事件を追う二人に、犯人を名乗る人物は推理ゲームを挑み、新たな被害者が生まれてしまう!二転三転する真実の果て、一路が目にする衝撃の結末とは……!?
  • 哀歌
    4.3
    肉体の恐怖の前には精神など全く意味を失ってしまう。臆病に生き臆病に埋もれて、自分がどんなに卑怯なのか、どんなに弱いのか、たっぷり承知している――弱者。弱者を凝視して聖書とキリストの意味を追究し、「沈黙」への展開を示唆した注目すべき短篇集。人間の深層によどむ(哀しみの歌)を表題に据え、「その前日」「四十歳の男」「大部屋」「雲仙」など12篇を収める。
  • 青葉の翳り 阿川弘之自選短篇集
    -
    戦時中に青春を過した主人公は、学徒動員で海軍に入隊。戦友の多くが死んでいったなかで、現在も生きているのはほんの偶然の結果だという感覚に支配されている。戦後社会との違和に直面しながらも、生活者として中年にいたった現在を描く代表作「青葉の翳り」。他に「霊三題」「鱸とおこぜ」「野藤」「スパニエル幻想」「空港風景」「さくらの寺」と短篇的趣向の名品を収録。
  • 或る年の冬 或る年の夏
    -
    性と思想に切り裂かれる青春を、頑なまでに潔癖に生き、後年の著者の、厳しく深い文学と人生を予感させる青春像。昭和初期に青春を生きた知識人が不可避だった「思想」問題、それを自らに苛酷に課した著者の苦闘、家族への深い愛。時代と自分の良心を誠実・厳格に生きた、著者の青春自伝。
  • 異邦人の立場から 現代日本のエッセイ
    5.0
    「人間の存在的な渇望は現実以上に真実である」――我々の現代と西欧の現代、その背後に脈々と流れる、我々が「本能的」に持つ汎神的血液と西欧の一神的血液。生涯のテーマ「日本人でありカトリックであること」を追求する、著者の最初のエッセイ「神々と神と」をはじめ、遠藤文学を確立した昭和40年代までを新編成。文学と信仰の原点と決意を語る熱きエッセイ。
  • うるわしきあさも 阪田寛夫短篇集
    5.0
    「サッちゃん」「ねこふんじゃった」などで、世代を超えて愛される童謡詩人・阪田寛夫は、また、片隅のささやかな人生をあえかな情感と上質のユーモアで描く稀有なる小説家でもあった。脳溢血で倒れた作曲家の叔父の滅びゆく肉体を凝視しつつ、その内で鳴り続ける最後の音楽を哀惜こめて書き留めた表題作、ほか9篇。初期作「平城山」から遺稿「鬱の髄から天井のぞく」まで、「含羞の詩人」の知られざるペーソス溢れる、デビュー作から遺稿まで50年に亘る名品を精選。
  • 鞄の中身
    4.3
    自分の死体を鞄に詰めて持ち歩く男の話。びっしりついた茄子の実を、悉く穴に埋めてしまう女の話。得体の知れぬものを体の中に住みつかせた哀しく無気味な登場人物たち。その日常にひそむ不安・倦怠・死……「百メートルの樹木」「三人の警官」ほか初刊7篇を含め純度を高めて再編成する『鞄の中身』短篇19。読売文学賞受賞。
  • 傷

    3.5
    刑務所にぶちこんでやりたい――。人気プロ野球選手が膝の手術を担当した名医を刑事告発。故意に靭帯を切断されたというのだ。だが医師は失踪。世間をゆるがす大事件の真相を若手刑事と社会部の女性記者が追いかける。男たちの嫉妬と欲望うずまく球界を舞台にした、著者ならではのハイブリッド警察小説!
  • 教祖の文学 不良少年とキリスト
    4.7
    “人間は悲しいものだ。切ないものだ。苦しいものだ。……”“それでも、とにかく、生きるほかに手はない。……”“生きる以上は、悪より、良く生きなければならぬ。”孤独を“わがふるさと”として生き、混沌を混沌のまま生き、その坩堝の中から決然と掬いとった生き続けるための精髄。21世紀を生き抜くための強力な精神賦活の弾機!
  • 作家の日記
    3.0
    作家としての精神を育んだフランス留学時代の内的記録――1950年6月、第1回カトリック留学生として渡仏し、1953年2月、病によって帰国するまでの2年7ヵ月の、刺すような孤独と苦悩に満ちた日々。異文化の中で、内奥の〈原初的なもの〉と対峙して、〈人間の罪〉の世界を凝視し続けた、遠藤周作の青春。作家としての原点を示唆し、その精神を育んだフランス留学時代の日記。
  • 地獄変相奏鳴曲 第一楽章・第二楽章・第三楽章
    -
    第一楽章「白日の序曲」の初稿発表より40年の歳月を経て完成した「連環体長編小説」――全四楽章のうち、旧作の新訂版である第一楽章から第三楽章までを本書に収録。異姓同名の男女の織りなす四つの世界が、それぞれ独立した中篇小説でありながら、重層化され、ひとつの長篇小説となる。十五年戦争から、敗戦・占領下、そして現代にいたる、日本人の精神の変遷とその社会の姿を圧倒的な筆致で描破。
  • 地獄変相奏鳴曲 第四楽章
    -
    本第四楽章をもって、〈連環体長篇小説〉『地獄変相奏鳴曲』がついに完結。十五年戦争の時代をくぐり、敗戦・占領下の混乱、そして戦後の激動を生き抜いてきた、一組の老齢に達した夫婦が、周到な準備のもと、何ゆえ「情死」を選びとったのか? 互いに敬愛する男女の仲に根づく〈無神論的・唯物論的にして宗教的〉な境地とはいかなるものか? 日本人の現代および近未来の課題に果敢に挑戦した最終楽章「閉幕の思想」。
  • 大衆文学論
    -
    白井喬二、菊池寛らを論じ、先行する大衆文学論を詳細に考察した第一部「大衆文学の理論」。吉川英治、山本周五郎、松本清張らの、作家と作品を論じた第二部「作家の年輪」。時代小説の挿画、落語、浪曲など、大衆文化・芸能を掘り下げた第三部「大衆文学の周辺」。独自の視点で大衆文学を検証し、芸術性偏重の従来の文学観に新たな文学論を提示した画期的評論集。芸術選奨受賞作。
  • 文学の運命 現代日本のエッセイ
    -
    「目がくらむような出会い」と交遊――小林秀雄、中原中也、三好達治、桑原武夫、そして「スタンダール」との邂逅。混沌とした青春の放浪時代を出発点に、戦争・戦場・俘虜という「経験と意味」を確認すべく、図らずも小説家として世に出た文学的生涯。常に、文学・政治などすべてに閃めく大岡昇平の鮮烈な「眼」。著者の小説・評論の原点と「志」を語る名エッセイの数々。小説家にして優れた批評家でもあった大岡昇平、珠玉のエッセイ集!
  • 水

    5.0
    水差しから救いの水を飲んだ直後息絶えた病床の母(「水」)。「死にたくない、俺ひとり」妻の胸で叫ぶ癌を病む夫(「谷」)。生と死のきわどさ、戦き、微かな命の甦りの感覚を、生理と意識の内部に深く分け入っていく鋭敏な文体で描出した、「影」「水」「狐」「衣」「弟」「谷」の6作による初期連作短篇集。
  • 悪い夏 花束 吉行淳之介短篇小説集
    -
    初期から最晩年まで、短篇小説で辿る吉行淳之介の世界。男女の心象風景を凝縮するイメージで描く散文詩風の「藁婚式」、少年の眼を通して恋愛の生理と心理を追う「悪い夏」、父エイスケとの屈折した関係を主題とした「電話と短刀」、親友の13回忌に訪れた男女の齟齬を描く「花束」等14篇を収録。明晰な文体と実験的手法で、人間の生と性の不条理を追究した著者の珠玉の作品集。
  • 春、死なん
    4.0
    「春、死なん」 妻を亡くしたばかりの70歳の富雄。理想的なはずの二世帯住宅での暮らしは孤独で 何かを埋めるようにひとり自室で自慰行為を繰り返す日々。そんな折、学生時代に一度だけ関係を持った女性と再会し……。 「ははばなれ」 実母と夫と共に、早くに亡くなった実父の墓参りに向かった、コヨミ。 専業主婦で子供もまだなく、何事にも一歩踏み出せない。久しぶりに実家に立ち寄ると、 そこには母の恋人だという不審な男が……。 人は恋い、性に焦がれる──いくら年を重ねても。揺れ動く心と体を赤裸々に、愛をこめて描く鮮烈な小説集。 紗倉まな(さくら・まな) 1993年千葉県生まれ。工業高等専門学校在学中の2012年にSODクリエイトの専属女優としてAVデビュー。 '15年にはスカパー! アダルト放送大賞で史上初の三冠を達成する。 著書に小説『最低。』『凹凸』(いずれもKADOKAWA)、 エッセイ集『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』(宝島社) 『働くおっぱい』(KADOKAWA)スタイルブック『MANA』(サイゾー)がある.。
  • 稲川怪談 昭和・平成傑作選
    5.0
    1巻990円 (税込)
    500以上にのぼる「稲川怪談」の中から選りすぐりの40作品を定本としてまとめたものが本書です。 座長、ずんじ、稲川先生・・・ファンの間で様々な愛称で呼ばれる稲川淳二さん。関西テレビ系列の「稲川淳二の怪談グランプリ」で多くの怪談師たちを世に送りだし、若手怪談師たちから「巨匠」「レジェンド」と慕われています。 開拓者として怪談ブームの礎を作り、いまや「伝統芸能」とも呼ばれる「稲川怪談」。もとは自身の体験談から始まり、業界人の不思議な話、土地にまつわる噂……と、時代とともに変化し、半世紀を経て、完成度の高い傑作怪談へと発展していきました。 怪談家・稲川淳二が人生をかけて50年にわたり、収集・研究・創作し、語ってきた「稲川怪談」集大成です。
  • 乱調
    値引きあり
    3.0
    人気ミュージシャンだった息子・鷹也が自宅で首を吊った。パリで働いていた私は帰国し、死の原因を探ることにした。ファンなのか、恋人だったのか、息子の部屋に住んでいた女子高生・深雪と出会った私は、次第に彼女にひかれていく……。著者の原点であるミステリーと恋愛小説を融合させた問題作。
  • 袋小路の男
    値引きあり
    3.4
    高校の先輩、小田切孝に出会ったその時から、大谷日向子の思いは募っていった。大学に進学して、社会人になっても、指さえ触れることもなく、ただ思い続けた12年。それでも日向子の気持ちが、離れることはなかった。川端康成文学賞を受賞した表題作の他、「小田切孝の言い分」「アーリオ オーリオ」を収録。(講談社文庫)
  • 去り際のアーチ もう一打席!
    値引きあり
    -
    退場からが、人生だ。 「普通の人はいつ会社をやめるんやろ」。二千本安打達成目前に迫ったものの、衰えを隠せないスラッガーの宇恵康彦。肩たたきを迫る球団とファンからのプレッシャーを背負い、いざ勝負の打席に臨んだが――。球界に集う愛すべき面々が見つけた、退場の後の8つの人生。書下ろし短編「笑えない男」を新たに収録。 本書は、『去り際のアーチ』(徳間文庫)に書下ろし短編を加えた増補改訂版です。 <目次より> ・「塀際の魔術師」  お荷物になった四番打者 ・「スイートアンドビター」  リストラ寸前の老解説者 ・「カラスのさえずり」  四十路のウグイス嬢 ・「永遠のジュニア」  気弱な二代目オーナー ・「トモ、任せたぞ!」  中間管理職コーチ  ・「旅立ちのフダ」  半人前のダフ屋 ・「笑えない男」 人望のない学生キャプテン  ・「人生退場劇場」  四角四面な堅物審判
  • 最高の任務
    3.0
    第162回芥川賞候補作の表題作と、傑作中篇「生き方の問題」を収録。 「手紙」と「日記」を通して、「書く」という行為の意味を問う――。 野間文芸新人賞受賞の気鋭による青春小説集!  「最高の任務」 大学の卒業式を前にした私は、あるきっかけで、亡き叔母にもらって書き始めた、小学生の頃の日記帳をひもとく。日記を通して語られていく、叔母との記憶……。 「生き方の問題」 僕は、2歳年上の従姉に長い手紙を書き送る。幼い頃からの思慕と、一年前の久しぶりの再会について……。
  • プリズン・トリック
    3.3
    市原の交通刑務所内で、受刑者石塚が殺され、同所内の宮崎が逃亡。遺体は奇妙にも“前へ倣え”の姿勢をとっていた。完全な密室で起きた事件は、安曇野を舞台にした政治汚職にまで波及していく。第55回江戸川乱歩賞受賞作。さらに単行本未収録の“ある人物からの手紙”を収めた最強のトリックミステリー。(講談社文庫)
  • 荒魂
    -
    荒ぶる魂、生まれながらにして、生と死を抱え持つ佐太。この存在を無気味な背景に展開される"変革"の劇。精神の逼塞の根に仕掛けられた爆薬のような強烈な"発条"。初期世界からの独自な精神の運動を持続し続けた、石川淳の『白頭吟』から『狂風記』の間を繁ぐ白眉の長篇。
  • 思い出す顔 戸板康二メモワール選
    -
    昭和を代表する劇評家、推理作家、俳人の戸板康二はまた、歌舞伎、映画、雑誌など、幅広い世界で蒐集した「ちょっといい話」を絶妙な筆致で描く無類のユーモリストだった。数多の著書から60代に書かれた『回想の戦中戦後』『思い出す顔』の2作品23篇を抄録。師折口信夫も市井の無名の人も同じあたたかい目線で捉えたエスプリ溢れる文章は、読む者に幸福感を与えてやまない。時代と人への芳醇なメモワール。
  • 神屋宗湛の残した日記
    -
    闊達自在な老耄の境地を示す井伏文学の真髄。豊臣秀吉に寵愛された、博多の豪商茶人神屋宗湛の日記から、秀吉の茶会の人間模様を浮き彫りにした表題作他「うなぎ」「質流れの島」「雷鳥」など七作品を収録。
  • 司法占領
    値引きあり
    4.0
    ロースクールが続々開校し法曹界は転機を迎えた。その陰には、弁護士を増やせ、というアメリカは政治的圧力があった。しかし、進出した米資本の巨大ローファームにおける、日本人の発言権はないに等しく、彼らはアメリカ流司法制度移入の手駒となった。日本の法律事務所は力を失い、日本人弁護士の自由も理想も失われたかに見えた・・・。
  • 転々私小説論
    -
    仏文学が専門の学者・評論家であり、遊びや風俗から日本文化を独自に見つめていた多田道太郎は、私小説をこよなく愛していた。孤高の域にある、その語り口は軽妙かつ深遠で、「葛西善蔵の妄想」「諧謔の宇野浩二」「飄逸の井伏鱒二」「飄飄太宰治」と題された圧巻の文学評論4篇で、新たな視点から日本の私小説の真髄に迫る。
  • どこか或る家 高橋たか子自選エッセイ集
    5.0
    すべて素顔の私。私らしい文章40篇を厳選――小説の中に表われる作家の分身……。自身そのように小説を書いてきたけれど、それは、<私>という人間そのものでは、決してない。おさない頃の京都の記憶、日々の生活を楽しんだ鎌倉、親しい友との旅、出会い、そしてパリでの霊的体験……。書きつづってきた文章の中から、40篇を選び出してみた、ほんとうの<私>をわかっていただくために。 ◎高橋たか子「今、人生の最終段階にいる私は、私という者が大体どういう者であったかを、すくなくとも、すでに書いたエッセイをざっと並べる形において、わかっていただきたい、と思う。大体、と書いたが、全体は神のみぞ知る。<「著者から読者へ」より>
  • 中原中也全訳詩集
    4.0
    季節(とき)が流れる、城寨(おしろ)が見える、無疵な魂(もの)なぞ何処にあらう? (『ランボオ詩集』幸福)早熟な詩才・中原中也が、死の直前に刊行した『ランボオ詩集』。唯一の全訳詩集として流布し、同時代を激しく揺るがせた。生前の三冊の訳詩集に未定稿を加え、全翻訳詩を収録。
  • なまみこ物語 源氏物語私見
    4.2
    贋招人(にせよりまし)姉妹によるいつわりの生霊騒動等、時の権力者・藤原道長の様々な追い落とし策謀に抗する、中宮定子の誇り高き愛を描いた女流文学賞受賞作「なまみこ物語」、『源氏物語』の現代語訳の過程で生まれた創見に満ちた随想「源氏物語私見」の二作を収録。円地文子の王朝文学への深い造詣と幼い頃からの親和に、現代作家としての卓抜な構想力が融合した二大傑作。
  • 白痴 青鬼の褌を洗う女
    4.6
    戯作者の精神を激しく新たに生き直し、俗世の贋の価値観に痛烈な風穴をあける坂口安吾の世界。「堕落論」と通底する「白痴」「青鬼の褌を洗う女」等を収録。奔放不羈な精神と鋭い透視に析出された"肉体"の共存――可能性を探る時代の補助線――感性の贅肉をとる力業。
  • 白頭吟
    5.0
    原敬により、院外団から、代議士、党幹部に引立てられ、拓殖会社の理事として辷り込む父・尾花晋作。3年前病死した正妻のあとになおった27歳の三輪子。洋行志望する前妻の子、主人公20歳の学生・尾花晋一。俗物・まがいもの行き交う、愛あり恋あり不倫あり、裏切り、謀略なんでもありの巷のなかで、昂然として、高貴なるものの光芒一閃。石川淳を代表する傑作。
  • 花の町/軍歌「戦友」
    4.0
    昭和16年、陸軍徴用員として従軍した著者は翌年2月シンガポールに入り、昭南タイムズ、昭南日本学園等に勤務。市内の一家族の動向を丹念に描いた長閑で滑稽で奇妙に平和な戦時中の異色作「花の町」をはじめ、「軍歌『戦友』」「昭南タイムズ発刊の頃」「シンガポールで見た藤田嗣治」「或る少女の戦時日記」「悪夢」など、この体験に関わる文業を集成、9篇収録。
  • 爆笑問題のザ・コラム
    値引きあり
    4.3
    1巻498円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 あの「コラム」が1冊の本になった!――ニュースキャスター・太田光の多事暴論!? 時事問題から風物詩まで、ボケて、ひねって、唸らせる至高の話芸の傑作選。「センター試験」「忠犬ハチ公」「春ですね」「久米 宏」「ドラフト会議」「外務省を何とかして下さい」「タレント候補乱立」……。ありとあらゆるものをネタにして一発撮り直し無し! 爆笑問題の偉大で無謀なる挑戦をご覧あれ。
  • 美を求める心
    3.5
    沖縄戦での許嫁の死、生家の破産、離婚……。病弱な女ひとりの境涯を支えるため、細々とラジオに寄稿し始めて50年、一貫して無名の庶民の心性に寄り添い、魂の深部から響いてくる真実の言葉を刻み続ける。自然の風景に、仏像の佇まいに、平凡な暮らしの道具に、そして何より人の心の中に美を求める、珠玉の88篇が、厳しくもしなやかな半生の美への巡礼の足跡を指し示す。
  • 椋鳥日記
    3.5
    ライラックの蕾は膨らんでいても外套を着ている人が多い4月末のロンドンに着いた主人公は、赤い2階バスも通る道に面した家に落ち着く。朝早くの馬の蹄の音、酒屋の夫婦、なぜか懐かしい不思議な人物たち。娘や秋山君との外出。さりげない日常の一齣を取りあげ、巧まざるユーモアとペーソスで人生の陰翳を捉え直す、純乎たる感性と知性。ロンドンの街中の“小沼文学の世界”。平林たい子賞受賞。
  • 湯葉・青磁砧
    4.0
    没落した幕臣の娘が、15歳で神田の湯葉商の養女となり、養父を助けその半生を捧げる名作「湯葉」。すぐれた陶器や陶芸家に魅せられる父と娘の、微妙な心の揺曳を抒情的に描く「青磁砧」(女流文学賞受賞作)。男に執着する娼婦上りの女の業に迫る「洲崎パラダイス」。「青果の市」で芥川賞を受賞した著者の、中期を代表する3篇を収録。
  • 吉田松陰 武と儒による人間像
    4.0
    激動する時代のなかで、閃光を放つかのように、短き生涯を終えた吉田松陰。その透徹した志や無類の誠実さとして現れた至純の精神の成り立ちを、<武>と<儒>という原理の統一のなかに見出す。僧黙霖、橋本左内、佐久間象山、山鹿素行、山本常朝と対比されることで、松陰の俊傑ぶりや人間的魅力が浮かびあがる。史実に対し文学的想像力で肉迫した、著者晩年の代表作。野間文芸賞受賞作。
  • 動かぬ証拠
    値引きあり
    3.8
    ラスト1ページの驚愕! 新形式本格ミステリー! ……犯行は完璧のはずだった。だが、そこには犯人が見落とした、たったひとつのミスが残されていた。ラストで絵(イラスト)による《動かぬ証拠》が目の前に浮かび上がる、まったく新しい推理短編集。カラーイラストが鮮やかなボーナス・トラックも収録。《証拠》が見えてしまうので、ページをパラパラめくらないでください。
  • 脚光
    値引きあり
    -
    ヤジマ製薬の宣伝部に働く大道輝子は、中流家庭にのびのびと育った明朗な現代娘。気まぐれに無名の劇団アシカビに加入し、たまたまヤジマ製薬提供のラジオ番組にサクラ出演したのが縁で、連続ドラマのヒロインに選ばれる。こうなると、本人の意志に関係なく、マスコミはスターの座におしあげていく。周囲の醜い嫉視、許婚者との愛の破綻に傷つきながら、輝子は次第に女優としての意識にめざめ、主役に抜擢されたT座公演の初舞台に、新生の第一歩を踏みだすのだった……。平凡なビジネスウーマンが一躍華やかな脚光を浴びて女優となる、現代の夢に愛と真実の意味を問う傑作長編。
  • 空へ向かう花
    値引きあり
    3.7
    「東京バンドワゴン」の著者が描く感動長編。小学六年生のカホはある日、屋上から飛び降りようとする少年を見つける。彼は半年前に親友を「殺した」相手だった。苦しみながらも前を向く人々を描いた感動作。(講談社文庫)
  • 真夜中の料理人
    値引きあり
    3.0
    北国から友人が送ってくれた鮭をめぐり、折り合いのわるい夫婦の対立が深まる。肉好きの妻、魚好きの夫、日常の不平をつのらせる妻、日常あたまの上がらない夫。仕方なく夫は包丁を買い込み、深夜のベランダで鮭を切るが……。人生の断面を巧みに描いて定評ある著者の、しみじみと怖い秀作11編。
  • さよなら日和
    3.6
    「別れ」は止められないけれど、止まった「想い」は動かせる。 閉園をむかえる遊園地を訪れた人々。 彼らの「さよなら」が繋がったとき、心に染みる奇跡が起こる! 閉園が決まった遊園地・星が丘ハイランドパークの最後の一日。訪れるのは、淡い思いを秘める中学生に、離れて暮らす息子と遊びにきた父親、認知症の妻をかかえた老人と、ワケありな人ばかり。営業終了時間が迫る中、なんの縁もない彼らの人生が交錯するとき、小さな奇跡が巻き起こる! 心温まる傑作群像劇。(単行本『廃園日和』を改題。) ~~~ ようこそ、星が丘ハイランドへ! ~~~ ジェットコースター 少年は淡い思いを胸に、苦手なコースターへ。 ゴーカート 久しぶりに会った息子は大人びていて――。 コーヒーカップ 遠距離恋愛の彼氏は、アタシのことをどう思ってる? ヒーローショー 20年ぶりに1日限定で出演するはめになったけど……。 メリーゴーランド 認知症の妻は、この光景を覚えていてくれるのか。 観覧車 家族のいる人との恋。このままでいいわけない――。
  • 怪盗グリフィン、絶体絶命
    3.3
    「あるべきものを、あるべき場所に」が信条の怪盗グリフィンに、ニューヨークのメトロポリタン美術館にある贋作のゴッホを、本物とすり替えてほしいという奇妙な依頼が。しかし、それは巧妙な罠だった。グリフィンは次に、国家の威信をかけた「盗み」を引き受ける羽目に。どんでん返しが連続する、痛快冒険活劇!
  • 人肌ショコラリキュール
    値引きあり
    3.8
    今の彼の将吾は元カレと違って自分勝手ではないし、セックスも優しくて、料理が上手。でも将吾と付き合ったのは、元カレと顔が似ているから……(「あなたモドキ」)/四年間セックスなし。いまやヴァイブレータが友達の私、浩未、33歳……。(「ヴォルフガング」)など、リアルな女の性と心を描いてきた著者による、「わかるわかる」満載、ドキドキ満載、美しくリアルなエロチカ短編集。甘くて苦い大人の恋。
  • 否認 どうして言わないの
    値引きあり
    3.0
    父が贈賄罪で逮捕・起訴された! 会社のためにしたことなのにと、父の身を案ずるジュンの前に2人の青年弁護士が……。否認との闘いである汚職事件の捜査を通して、被告人とその家族の揺れる心情、企業の思惑、法廷での攻防を描く。元東京地検特捜検事にして初めて書きえた法廷サスペンス。汚職事件の実態追及、渦中の人間模様と恋愛感情、息づまる法廷内の攻防……。
  • 仮面官僚 東京地検特捜部
    値引きあり
    3.0
    政官財の20億円襖絵事件を暴く検事・香車勇人(かしゃ・はやと)――国税庁に届いた1通の告発文書。絵画売買に絡む、不動産会社の脱税容疑だ。マルサが動き、特捜部が注目した。会社幹部がバブルの裏金で掴まされた20億円の襖絵には、政官財を結ぶ巧妙な罠が仕組まれていた。助教授から検事に転じた香車勇人(かしゃ・はやと)が、東京と京都・祇園を繋ぐアリバイを崩し、金の流れを追い、事件の核心に迫る!
  • ブラフマンの埋葬
    3.7
    ある出版社の社長の遺言によって、あらゆる種類の創作活動に励む芸術家に仕事場を提供している〈創作者の家〉。その家の世話をする僕の元にブラフマンはやってきた――。サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた、愛すべき生き物と触れ合い、見守りつづけたひと夏の物語。(講談社文庫)
  • さくらゆき 桜井京介returns
    3.6
    パーティ会場で衆人環視の毒殺。書斎に置かれた浴槽の中の死体。学校に届いた脅迫状に記された謎の言葉……。蒼が桜井京介が神代教授が、再び魅惑的な謎を解き明かす。書き下ろし短篇「さくらゆき」ほか三編を収録。
  • またね家族
    -
    父の余命は3ヵ月。 何者にもなれなかった僕は―― あなたの息子には、なれたのでしょうか。 小劇団を主宰する僕〈竹田武志〉のもとに、父から連絡があった。余命3ヵ月だという――。 自意識が炸裂する僕と、うまくいかない「劇団」、かわっていく「恋人」、死に行く大嫌いな「父親」。 周囲をとりまく環境が目まぐるしく変わる中、僕は故郷の福岡と東京を行き来しながら、 自分と「家族」を見つめなおしていく。 映画、演劇、ラジオなど多岐にわたって活躍する松居大悟が、 不完全な家族が織りなす、歪だけど温かい家族のカタチをまっすぐ描く。
  • 雨の温州蜜柑姫
    値引きあり
    3.0
    榊原さんと磯村くんと木川田くんと一緒にやってきた青春大河小説「桃尻娘」シリーズもとうとう完結します。でも青春が終わったってことじゃなくて、いつだってそこにあるかもしれないってことなの。最後の主役は醒井さんねっていう橋本さんのとっても長いあとがきもあるので、ぜったい読んでくださいね。
  • 世界の果てのこどもたち
    4.5
    珠子、茉莉、美子――3人の少女は、戦時中の満州で出会った。何もかも違う3人は、とあることから確かな友情を築き上げる。やがて終戦が訪れ、3人はそれぞれの道を歩み始める。日本、中国で彼女たちはどう生きたのか。そして再び出会うことはあるのだろか――。2016年本屋大賞第3位に選ばれた、感涙の傑作、ついに文庫化。
  • 防風林
    値引きあり
    3.3
    冬木立に立つ母の姿が繰り返し浮かぶのはなぜだろう。17年ぶりに札幌に戻った男が、病床にある母の過去をたどる。若き日の母を訪ねてきた男は誰だったのか。その男と母の間には、何があったのか。思いもよらぬ事実が、封印されていた事件を浮かび上がらせる。記憶の底に潜む真実に迫る、長編サスペンス。(講談社文庫)

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