角川春樹事務所作品一覧

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  • ワイルドドッグ 路地裏の探偵
    4.0
    浅草の古ぼけた遊園地『花やしき』裏で、調査会社を営んでいる元警察官の松戸。覚えのない不祥事に巻き込まれ、出所不明の口止め料4千万を渡された挙げ句、身辺を張り込まれるという境遇に陥った彼は、人生の負け犬を装って探偵を続けていた。そこに警視庁の同僚だった紅林から警察官に成れなかった少女・依美を共同経営者にしないかという申し出が来る。不穏な匂いを感じつつも、それを受け入れた松戸は、紅林経由で依頼のあった教育機関役員の素行調査を進めるのだが……。新たなる探偵バディ小説の登場!
  • タイムメール
    3.3
    どうしてあのとき彼女に告白しなかったのだろう? 大学四年の一条裕也は、一年生の時に同級生の女性を好きになったが告白できずなかった。その後、彼女はサラリーマンと泥沼の不倫に陥ってしまう。ある日、裕也のスマホに一通のメールが届いた。「過去の自分に一度だけメールを送れるとしたら、あなたはいつの自分に、どのようなメールを送りますか?」。過去を悔む人々の運命を変える不思議な物語。
  • 思い出牡蠣の昆布舟 はるの味だより
    完結
    3.9
    全4巻748~814円 (税込)
    薬売りだった父を亡くした、はる。一つ年上の兄は、口入れ屋から奉公先を紹介してもらい、その支度金ではるを親戚に預け、江戸へと旅立っていった。十年の月日が流れ、江戸からやってきた絵描きの彦三郎の絵に生き別れの兄の姿を見た彼女は、兄と再会すべく江戸へと旅立つ。彦三郎の世話で、かつては人気の一膳屋だったものの、偏屈者の治兵衛が継いでからすっかり寂れてしまった「なずな」で、住み込みで働くことになるのだが……。慎ましくも美味しい庶民の料理、そして彩り美しい江戸の四季の中、一生懸命に生きる人々を描く時代小説の開幕!
  • 跡とり娘 小間もの丸藤看板姉妹
    完結
    3.0
    江戸の真ん中、日本橋伊勢町の小間物商「丸藤」は、紅やおしろい、櫛やかんざしなど、きらびやかな品揃えが自慢の大店だ。その「丸藤」の娘ふたりのうち、幼いころから病弱で品川で暮らしていた姉の里久が、年頃を迎え、家族のもとに戻ってきた。ところがその里久、漁師町の暮らしにすっかり染まり、まっすぐな物言いと大店の娘らしからぬ立ち居振る舞いで、実の母も妹・桃も戸惑うばかり。だが、里久の底抜けの前向きさが、閑古鳥が鳴き始めていた店を少しずつ変えていって──。おてんばな姉と小町娘の妹、看板姉妹の物語。
  • 親父の十手を受けついで 親子十手捕物帳
    3.0
    1~7巻748~770円 (税込)
    辰吉は、十手持ちだった父・辰五郎と折り合いが悪く、家を飛び出していた。忠次親分や妹の凛に心配されながら、仲直りを拒み続けて数年が過ぎていた。が、賭場での揉め事が原因で、人殺しの嫌疑をかけられてしまう。一方、引退していた辰五郎に、ある大店の跡継ぎが入れ込む楊枝屋の女について調べてほしいとの依頼が舞い込む。父と息子の事件はやがて絡み合って、二人は思わぬ敵と退治するのだが……。親子の絆と人情を描いた傑作時代小説シリーズの開幕!
  • フェルメールの街
    3.6
    一七世紀オランダで、陶器の名産地として栄えた港町・デルフト。父の死をきっかけに故郷へと戻った二〇歳のヨハネス・フェルメールは、幼馴染のレーウことアントニー・レーウェンフックと再会する。学問を志すも家庭の事情で叶わなかったレーウは、かつて友と交わした約束を忘れずにいた。一方ヨハネスは、のちに妻となる女性と運命の出会いを果たす。そのころ、街では陶工が次々と姿を消して──。角川春樹小説賞受賞後第一作。美しきミステリー!(解説・福岡伸一)
  • 下町洋食バー高野 捨て猫のプリンアラモード
    4.0
    1~2巻748~858円 (税込)
    オリンピックまで二年、昭和三十七年の東京。十七歳の郷子は、二年半前に集団就職で上京したものの、劣悪な労働環境から工場を逃亡した。そのまま上野駅でうろうろしていたところを、浅草にある「洋食バー高野」のおかみ・とし子に拾われ、そこで働くことに。美味しく温もりあふれる絶品料理と、一緒に働く人々や、訪れるお客さんに出会い、郷子は新しい“仲間”と“居場所”を見つけていく──。下町の社交場「洋食バー高野」を舞台に描く、少女の上京物語。
  • 汚れた聖女
    5.0
    暴力団組員だった斉藤雅人は、今は足を洗い、神田でホットドッグ屋を開いていた。突然、雅人の店に山口詩音と名乗る女が、男に追われていると逃げ込んできた。事情もわからぬまま匿った雅人だったが、詩音のバッグには多額の現金が入っていた……。一方、それぞれの事情で、ネットカフェ住まいから抜け出せずにいる河合美和と井上真衣。ある日、詩音の荷物を預かった事がきっかけで、美和や真衣までもがヤクザや警察に追われる事になる――。女と男のリアルを描き切る書き下ろし長篇小説。
  • 極道保育 わんわん保育園は今日もにぎやか
    3.3
    1~2巻748~792円 (税込)
    無職の元ヤクザ小柳徹は人生初の一目ぼれで恋に落ちた。その相手はわんわん保育園に勤めるやすみ。小柳は猛アタックの末、彼女と結婚し保育士を目指すものの、刑務所を出所したばかりだったため用務員をすることに。カタギの生活に慣れない元ヤクザになぜか園児たちは懐き、彼も子供たちの笑顔を守るため、様々なトラブルを陰で解決するようになり……。警察小説大賞受賞作家が描く、痛快エンタメ小説!
  • ふるさとは本日も晴天なり
    4.1
    深夜のラジオ放送に熱中し、将来は映画監督になることを夢見る、どこにでもいる普通の少年、横山雄二。そんな彼が苦労の末、見事放送局にアナウンサーとして合格。持ち前のバイタリティーで人気アナウンサーへの階段を上っていたが、ある事件をきっかけに会社で孤立してしまう。自暴自棄になりかけた雄二を救ったのは「家族の愛」と、少年時代夢中になって聴いていた「ラジオ」だった。広島県の人気アナウンサー「天才!横山雄二」が描く感涙の物語。
  • サイファー・ピース・ダンサーズ
    -
    遊間悠一郎は中学三年の夏、NYで開催されたダンスバトル、世界最強を決めるB-BOYの祭典で世界一に登り詰めた。嵐のような祝福の中、彼は自らの才能のなさに打ちのめされていた。帰国した悠一郎は、父の死と母の転勤に伴う福岡への転居を機にダンスをやめた。県内有数の進学校で勉強に励む悠一郎は、学内のテストで一番を取り続ける日向あかりと巡り合う。その出会いが彼を再びダンスへ誘う……。ビートに乗せてダンスが炸裂する青春小説。熱く、疾く、クールに。電撃小説大賞受賞&元ストリートダンサーの著者が描く高校生ダンサーズ!
  • ガールズ空手 セブンティーン
    -
    空手部の選抜出場を応援する校内のポスターが、何者かによって破られた。それは掲載されている主将・結城の写真を狙っての犯行だった。だが目撃者の証言によると、犯人は彼女本人だという。その場にいたはずもなく、犯行に全く身に覚えのない彼女は、あることをヒントに真相に気づくのだが……(「被写体は初夢の彼方に」より)。驚愕のラストが待ち受ける青春ミステリー、待望の文庫化!
  • SIS 丹沢湖駐在 武田晴虎
    3.7
    1~3巻748~924円 (税込)
    神奈川県警捜査一課特殊捜査係、通称SISの元第四班長だった武田晴虎がこの四月より赴任するのは、松田警察署地域課丹沢湖駐在所。過去の人質立てこもり事件の際に部下を負傷させてしまい、また伴侶を失っていた晴虎は、その地での再起を誓っていた。長閑な温泉街で持ち込まれる、微笑ましい相談。しかし、まさかの誘拐事件が発生し!? 過去を乗り越え、再び闘う己を取り戻すことはできるのか。警察小説の新ヒーロー、誕生。
  • 樹海警察
    3.8
    1~2巻748~770円 (税込)
    初任幹部科教育を終え、警部補になった柿崎努は、山梨県警上吉田署という辺鄙な場所、しかも聞いたこともない部署へ配属となった。署長に挨拶も行かず署員からおもむろに渡されたのは、カーキグリーンの軍用ベストやズボン、そして登山靴──。さらに連れて行かれた場所はなんと樹海……!? 栗柄巡査、桃園巡査、そして事務方の明日野巡査長と共に、樹海で見つかった遺体専門の部署・地域課特別室に勤務することに……! 腐乱死体から事件の匂いをかぎ取る!! 書き下ろし樹海警察小説登場。
  • 綺良のさくら
    5.0
    江戸初期、南部盛岡藩の草創期に、初代藩主・南部利直の御側用人を務める桜木兵庫の元に生まれた綺良は、周囲の愛情を一身に受けて、幸せな子ども時代を送っていた。利直の五男・彦六郎とは幼馴染みでお互い想いを寄せていた。しかし、そんなある日、二代目藩主に意見をした父・兵庫がその怒りに触れてしまう。そして綺良は、大奥に出仕することに……。幾多の苦難に出会いながらも自らの道を探し求める綺良の“愛”と“夢”を描き切る、感動の時代長篇。(解説・川本三郎)
  • 神様のパズル
    3.6
    留年寸前の僕が担当教授から命じられたのは、不登校の女子学生・穂瑞沙羅華をゼミに参加させるようにとの無理難題だった。天才さゆえに大学側も持て余し気味という穂瑞。だが、究極の疑問「宇宙を作ることはできるのか?」をぶつけてみたところ、なんと彼女はゼミに現れたのだ。僕は穂瑞と同じチームで、宇宙が作れることを立証しなければならないことになるのだが……。第三回小松左京賞受賞作。(解説・大森望)。
  • キッチン風見鶏
    4.2
    港町で三代続く老舗洋食屋「キッチン風見鶏」。おすすめは、じっくりと手をかけた熟成肉料理だ。漫画家デビューを夢見るウエイター・坂田翔平は、幽霊が見えてしまうのが悩みのタネ。お客さん一人ひとりに合わせた料理が好評なオーナーシェフ・鳥居絵里は、家族の健康を案じつつ空元気を出して奮闘中! 誰しも未来は不安だし、人生は寂しいものだ。でも、だからこそ、自分の心に?をつかずに生きていく──。美味しさとやさしさが溢れる傑作長編。
  • 稲荷町グルメロード
    3.8
    「報酬・年額二千五百万円」「求む! 若き感性!」十八歳以上なら大学生でも応募できるという市の「アドバイザー」契約。金に釣られ応募した大学生・御名掛幸菜が目にしたのは「ゾンビロード」とまで呼ばれる寂れた商店街だった! そのアドバイザーに選ばれた謎多きイケメン・瀧山クリスと共に、この街にグルメで元気を取り戻すべく、幸菜が奔走する! コーヒー、和菓子、寿司、中華──美食礼賛の口福ドラマが開幕します!
  • 雀のお宿
    3.0
    山の侘び寺で穏やかな生活を送っている白雀尼にはかつて、真島隼人という慕い人がいた。が、隼人の四年余りの江戸遊学が二人の運命を狂わせる・・・・・・。心に秘やかな思いを抱えて生きる女性の意地と優しさ、人生の深淵を描く表題作ほか、武家社会に生きる人間のやるせなさ、愛しさが静かに強く胸を打つ全五篇。前作『鷺の墓』で「時代小説の超新星の登場」であると森村誠一氏が絶賛。(解説・結城信孝)
  • イダジョ! 医大女子
    4.0
    1~3巻748~770円 (税込)
    普通のサラリーマンの娘・安月美南が入学した聖コスマ&ダミアノ医科大学はお金持ちの子息が通う中堅医科大学だ。そこに何も知らずに放り込まれた美南は、個性的な面々に囲まれながら、医者になる覚悟を問われ、膨大な勉強に追われ、不運な逆境に襲われながらも、医者になるため邁進する!読むと元気になれる、医療×青春学園エンターテインメント!
  • 未来へ……上
    4.2
    1~2巻748円 (税込)
    「かなちゃんのお仏壇を、だして」。多賀内若葉は、成人式を迎えた“ひとり娘”の菜苗から、思わぬ願い事をされた。二十年前に双子を授かったときには、愛らしい娘たちと優しい夫の家族四人、いつまでも幸せに暮らすのだと思っていた。けれど、それから五年後の夏、双子の姉・香苗は遠足のバス事故で亡くなってしまった。菜苗の願いを聞き入れ、しまい込んでいた仏壇を出してから、若葉は封印していた悲しい記憶を呼び起こされ、不思議な夢を見るようになる――(全2巻)。
  • チームFについて
    -
    昔ながらの温泉街・極楽温泉町は、人口減と少子高齢化の問題に直面していた。町で唯一の高校であり、一二〇年の歴史と伝統を誇る極楽高校にも廃校の危機が。町長秘書の香山和樹は、そんな町の再興と現町長の選挙再選を懸けて「世界の大都市に負けないマラソン大会」の開催を画策。一方、和樹の弟で極楽高校陸上部員の香山芳樹は、この大会で走るため、幼馴染の二人と「チームF」を結成する──。老いも若きも熱くなる、町おこし青春小説!
  • スタンダップダブル!
    4.0
    三十一歳を目前に北海道支局に「飛ばされ」た、全国紙スポーツ記者の前橋絵里。そこで出会った弱小の神別高校野球部が、旭川支部予選を勝ち上がっていく。彼らの不思議な強さの「秘密」に惹かれた絵里はやがて、ナインが甲子園を目指す特別な「理由」を知る。その中心には、見た目はそっくりで性格が対照的な、エースの青山康一とセンターの健一という双子がいて……。野球を知らなくてもワクワクして元気が出るハートフル・エンターテインメント、待望の文庫化!(解説・大矢博子)
  • 警視庁神南署
    3.5
    東京・渋谷で銀行員が少年数人に襲われ、金を奪われる事件が起きた。新設されて間もない神南署の安積警部補たちは、男の訴えにより捜査を開始した。だが、数日後、銀行員は告訴を取り下げてしまう。一体何があったのか?そして今度は複数の少年が何者かに襲われる事件が……二つの事件を不審に感じた刑事たちが、巧妙に仕組まれた犯罪に立ち向かう! ベイエリア分署シリーズの続編、待望の文庫化!(解説・関口苑生)
  • 二重標的 東京ベイエリア分署
    3.6
    1~3巻748円 (税込)
    東京湾臨海署(ベイエリア分署)の安積警部補のもとに、殺人事件の通報が入った。若者ばかりが集まるライブハウスで、30代のホステスが殺されたという。女はなぜ場違いと思える場所にいたのか?疑問を感じた安積は、事件を追ううちに同時刻に発生した別の事件との接点を発見。繋がりを見せた二つの殺人標的が、安積たちを執念の捜査へと駆り立てる――。ベイエリア分署シリーズ第一弾!!
  • トラットリア代官山
    3.8
    華やかさと古き良き時代の面影が混在する代官山。その路地裏に佇む「トラットリア代官山」には、様々な事情を抱えるお客様が訪れる。迎えるのは、亡き父から受け継いだ店を気丈に守り続ける、男装の女支配人・大須薫と、彼女を支える天涯孤独の年下敏腕シェフ・安東怜。二人が京野菜の創作イタリアンと機転の利いたおもてなしで、ゲストを悩ます問題を解決に導いていく――。ハイソな街の陰にある人間同士の絆を、極上の料理と共に描く優しいグルメ小説。
  • 待っていた女・渇き
    3.6
    八年前、卑劣な罠で新聞記者を追われた畝原は、以来探偵として一人娘の冴香を養ってきた。ある日、畝原は娘の通う学童保育所で美貌のデザイナー・姉川明美と出会った。悪意に満ちた脅迫状を送りつけられて怯える彼女の依頼を受けた畝原は、その真相を探りはじめたが--。畝原と姉川が出会う猟奇事件を描いた短編「待っていた女」と長篇「渇き」を併録した、感動のハードボイルド完全版。

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  • ハード ロマンチッカー
    3.7
    山口県下関。在日韓国人のボクは、進学校に通う16歳の高校生。あまり学校にいかず、町をふらついている。仲間たちは、ケンカ、クスリ、セックスにあけ暮れ、あげくの果てには、放火や殺人事件まで起こしてしまう。ボクはひょんなきっかけから、小倉にあるヤクザの経営しているライブハウスの雇われ店長になり、ホステスのナツコさんのところに居候することに--。広告界の鬼才、衝撃のデビュー作。
  • 柳橋物語
    3.6
    「この物語、年代を問わず全ての女のためにあるのかもしれない。そして、本気で女を愛せる男たちのためにも」(あさのあつこ・巻末エッセイより)。「待っているわ・・・・・・」明日上方へ旅立つ男からの告白に幼い感傷で応えてしまったおせんが、その一途さゆえに歩むこととなった苛酷な生涯を描いた恋愛小説の傑作「柳橋物語」、万年補欠とも称すべき武家の四男としての人生を堂々とまい進する青年とその家族の物語「ひやめし物語」、あまりの世間しらずに幽霊たちもたじたじ・・・・・・講談調の滑稽譚「風流化物屋敷」。人間の諸相を巧みに、鮮烈に描き出した三篇を収録。(エッセイ/あさのあつこ、編・解説/竹添敦子)
  • 女は同じ物語
    -
    城代家老の子息・広一郎の女嫌いは、許婚者に見向きもしないほどの徹底ぶり。ある日、家庭内で絶対的権力を持つ母のさしがねで、紀伊という侍女をつけられて――。ユーモアたっぷりに女性の主導の恋を描いた「女は同じ物語」をはじめ、藩を捨て、浪人となり裏長屋に安住の地を求めた信兵衛の人情味溢れる生き方を描いた「人情裏長屋」など、「人間の持つ愛憎、苦悩、悲哀、妬心、人情などの、感情の全てが描かれている」(今井絵美子・巻末エッセイより)周五郎作品から、名作全五篇を精選。文庫オリジナル。(編・解説/竹添敦子)
  • 義経になった男(一) 三人の義経
    3.5
    嘉応二年(一一七〇年)。朝廷が行った強制移住で近江の国に生まれ育った蝦夷のシレトコロは、まだ見ぬ本当の故郷―奥州―を想っていた。十三歳の春のこと、三条の橘司信高と名乗る男があらわれ、シレトコロは奥羽に連れて行かれる……。それは、後の源義経の影武者とするためだった。一方、鞍馬山の牛若は、「あなた様は、源氏のお血筋。平家を打倒し、天下に名をはせるお人」という言葉によって剣術の稽古を続けていた。そして〈遮那王〉と名乗ることになった十六歳の牛若は、奥州平泉に向かう決意をする。壮大なスケールで、新しい義経を描ききった、歴史小説の金字塔!
  • 臆病者
    -
    大阪の関西大学二回生の若草涼は、学園闘争に幻滅し、自ら博奕の世界に足を踏み入れた。勝負の軍資金を稼ぐためにキャバレーのボーイとなった涼は、そこでやくざ者、博奕打ち、夜の世界で生きる女たちと出逢い、裏の世界を体験する。そのさなか、中里という凄腕の博奕打ちとの邂逅が涼にかつてないほどの衝撃を与えた。――俺はこんな勝負師になれるのか? 大人気シリーズ「公安捜査」の著者の原点ともいうべき、自伝的青春小説、待望の初文庫化。
  • マティーニに懺悔を(新装版)
    4.1
    教会のベンソン神父が若い女性を伴って、街のバーへ私を訪ねてきた。連れの女性・長原美沙子の婚約で、神父は上機嫌に祝杯をあげた。だが、一週間後、自殺未遂の新聞記事に彼女の名前が……。暴力団に乱暴され、婚約を破棄されたのだという。それを知った神父は一人で乗り込み、逆に返り討ちに遭ってしまった。どうやら茶道の師匠である私の、封印したもう一つの顔の出番のようだ――。傑作ハードボイルド、待望の新装版。(解説・西上心太)
  • レッド(新装版)
    3.3
    環境庁の外郭団体に出向させられた警視庁捜査四課の相馬春彦は、仕事への情熱を失った日々を送っていた。そんなある日、山形県にある「蛇姫沼」の環境調査を命じられた相馬は、陸上自衛官の斎木明とともに戸峰町に赴く。だが、町の様子がどこかおかしい。なにかを隠しているような町役場助役と纒わりつく新聞記者。そして、「蛇姫沼」からは、強い放射能が検出された――。相馬たちを待ち受けているものとはいったい何か? 傑作長篇小説、待望の新装版。(解説・細谷正充)
  • 波濤の牙 海上保安庁特殊救難隊 (新装版)
    3.7
    台風が接近し、海が荒れる茅ヶ崎沖で、海難事故が発生した。海上保安庁特殊救難隊の惣領正らは、直ちに現場に急行。北朝鮮船籍らしき船から、三人の男を無事救出した。だが、救助した男たちが突如変貌し、惣領たちに銃口を向けてきた。男たちの要求は、沈みゆく船から“荷物”を取って来いというものだった。荷物とは一体何なのか? 彼らの目的は? 特救隊の男たちの決死の戦いが始まる――。傑作長篇小説、待望の新装版。(解説・関口苑生)
  • 美作の風
    3.0
    津山藩士の生瀬圭吾は、家格をおとしてまでも一緒になった妻・美音と母親の三人で、つつましくも平穏な暮らしを送っていた。しかしそんなある日、城代家老から、年貢収納の貫徹を補佐するように言われる。不作に加えて年貢加増で百姓の不満が高まる懸念があったのだ。山中一揆の渦に巻き込まれた圭吾は、さまざまな苦難に立ち向かいながら、人間の誇りと愛する者を守るために闘うが……。市井に生きる人々の祈りと夢を描き切る、感涙の傑作時代小説。(解説・細谷正充)
  • 店長がバカすぎて
    4.2
    谷原京子、二十八歳。吉祥寺の書店の契約社員。超多忙なのに薄給。お客様からのクレームは日常茶飯事。店長は山本猛という名前ばかり勇ましい「非」敏腕。人を苛立たせる天才だ。ああ、店長がバカすぎる! 毎日「マジで辞めてやる」と思いながら、しかし仕事を、本を、小説を愛する京子は――。全国の読者、書店員から感動、共感、応援をいただいた、二〇二〇年本屋大賞ノミネート作にして大ヒット作。巻末にボーナストラック&早見和真×角川春樹のオリジナル対談を収録。
  • 茶屋占い師がらん堂
    3.6
    最福神社門前の茶屋「たまや」を切り盛りする母を手伝いながら、明るく元気に暮らしていた娘・すず。母娘で営む茶屋は、丁寧に作られた甘味と季節の蕎麦がうまいと客の評判も上々だ。ところが一年前の春、隅田川沿いの桜を見物に行って以来、すずはどんな医者も原因がわからぬ不調に苦しむようになった。最後の望みをかけ評判の医者の元へ向かう道すがら、具合が悪くなったすずは、宇之助と名乗る謎の占い師に助けられて……。口福を満たす甘味や蕎麦とぴたりと当たる占いが明日への幸せを呼ぶ、時代小説の新シリーズ開幕!
  • 卯の花月夜 江戸菓子茶店うさぎ屋
    完結
    4.5
    菓子職人・なつめが、寺を建立する母代わりの了然尼に付き添うため、駒込の菓子舗・照月堂を辞して四年。なつめは、内藤宿で菓子茶店うさぎ屋を開き、女将として切り盛りしている。店で出す菓子は、照月堂の主・久兵衛から品書きに加えることを許された「望月のうさぎ」とたれが旨いと評判のみたらし団子。ゆくゆくは体によい養生菓子も作っていきたい。照月堂の家族や、江戸店を出すことになった果林堂の職人・安吉とも交流しながら、ますます精進する菓子茶店女将・なつめの物語。大好評「江戸菓子舗照月堂」に続く物語。
  • 笑う警官(新装版)道警シリーズ
    3.7
    1~7巻770~814円 (税込)
    札幌市内のアパートで、女性の変死体が発見された。遺体は北海道警察本部生活安全部の水村朝美巡査と判明。容疑者には交際相手で同じ本部に所属する津久井巡査部長が浮かぶ。やがて津久井に対する射殺命令までが出た。捜査から外された所轄署の佐伯警部補は、かつておとり捜査で組んだことのある津久井の潔白を証明するため有志たちと極秘裏に捜査を始めるが……。警察小説の金字塔、大ベストセラー「道警シリーズ」第1弾、新装版!
  • 素晴らしき国 Great Place
    -
    かつて美濃の国と尾張の国の境目、二地見川のほとりにあった、不老不死の女性が造った<いよの国>。その地では、戦国の世に争いがなく穏やかで豊かな<素晴らしき国>を造るための礎となる人材が育てられていた。そこで育った優秀な者は、国を治める強い力を持った者の元に送り込まれ、その手助けをする。たとえばその中には、織田信長に嫁いだ女、明智光秀、豊臣秀吉がいた……。未体験の本格時代ロマン!
  • 間取りと妄想
    4.5
    同棲中であるミワの家は、玄関のドアを開けると二つのドアが現れる。彼は帰宅すると、ミワのいるリビングに通じるドアではなく、先にもう一方のドアを開くという……(「どちらのドアが先?」)。三橋葉子は、母の死を機に、叔父が暮らしていた家に移り住んだ。葉子はその家に住むにあたり、窓がなくドアも見つけにくい小部屋をつくった……(「仕込み部屋」)。単行本時、話題沸騰した唯一無二の間取り小説、待望の文庫化。(解説・春日武彦)
  • 初午いなり 木挽町芝居茶屋事件帖
    完結
    3.8
    木挽町の芝居茶屋かささぎは、若い店主・喜八とその兄弟分・弥助、料理人・松次郎の三人で営む小さな店。誰もが振り向く色男・喜八と冷たい風貌で女心を痺れさせる弥助目当ての女客や、気の利いた小料理を求める常連に愛されている。が、じつは喜八、かつて江戸市中の風紀を乱す無頼の徒と粛清され、命を落とした町奴かささぎ組親分のひとり息子。それ故、鬼勘の異名をとる火付改・中山直房に、なにかと敵視され……。芝居の町を舞台に、喜八と鬼勘の掛け合いが見どころの事件帖、人情たっぷりにいざ開幕!
  • 新装版 神南署安積班
    3.3
    新装版 神南署安積人と犯罪の溢れる街、渋谷。その街を管轄する警視庁神南署に張り込む新聞記者たちの間で、交通課の速水警部補が、援助交際をしているという、信じられない噂が流れた。記者の中には、真相を探ろうとするものも現れ、署内に不穏な空気が漂い始める。刑事課の安積警部補は、黙して語らない速水の無実を信じつつ、彼の尾行を始めるが──。新装版第五弾は、黒谷友香氏と著者の巻末付録特別対談を収録!!
  • 新装版 警視庁神南署
    3.4
    東京・渋谷で銀行員が少年グループに襲われるという暴行傷害事件が発生した。新設されて間もない神南署の安積警部補たちは捜査を開始したが、二週間後、銀行員は突然告訴を取り下げてしまう。その直後、容疑者として浮上していた少年が何者かに襲われた──。この二つの事件を不審に感じた安積たちは、巧妙に仕組まれた犯罪に立ち向かう。新装版第四弾は、中村俊介氏と著者の巻末付録特別対談を収録!!
  • 新装版 二重標的 東京ベイエリア分署
    3.7
    1~2巻770円 (税込)
    東京湾臨海署の安積警部補のもとに、殺人事件の通報が入った。若者ばかりが集まるライブハウスで、三十代のホステスが殺されたという。女はなぜ場違いと思える場所にいたのか? 疑問を感じた安積は、事件を追ううちに同時刻に発生した別の事件との接点を発見。繋がりを見せた二つの殺人標的が安積たちを捜査へと駆り立てる──。「安積班」シリーズはこの一冊から始まった。新装版第一弾は、寺脇康文氏と今野敏氏の巻末付録特別対談を収録!!
  • 熱中ラジオ 丘の上の綺羅星
    4.0
    十六歳だった嘉門タツオは、タクシーから降りて笑福亭鶴光に、荒い息づかいで声をかけた。「弟子にしてください!」。一方、先達の金森幸介の曲は、「ヤングタウン 今月の歌」に選ばれ、洋々たる未来が開けていた……。千里丘のラジオ局は、大阪の若者たちの憧れそのもの。だけど未来は必ずしもまっすぐじゃない。辛い内弟子時代と破門、鳴かず飛ばずからの再デビュー。業界追放の苦しみの中、タツオは放浪し、自分の生きる芸事の道を探す。大阪人の夢物語そのものと言える、濃くもあったかい自叙伝物語!
  • 三星京香の殺人捜査
    3.3
    県警本部刑事部捜査一課の三星京香は、とあることから刑事部長に拳を振り上げ、十年の警察人生に終止符を打った。五歳になる娘を抱える彼女の再就職先は、県内でも有数の法律事務所。だが、事務所内にキッズルームまで作ってくれた居心地の良い事務所の副代表が、殺人事件の重要参考人として警察署に任意同行された!?京香にできることは事件の真相を探ることか……元女性警察官の著者が、警察における女性の立場や警察官の考え方をちりばめながら描く、新しい警察小説。
  • 曲亭の家
    3.8
    小さな幸せが暮らしの糧になる──当代一の売れっ子作家・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路。横暴で理不尽な舅、病持ち、癇癪持ちの夫とそんな息子を溺愛する姑。日々の憤懣と心労が積もりに積もって家を飛び出たお路は、迎えに来た夫に「今後は文句があればはっきりと口にします。それでも良いというなら帰ります」と宣言するが……。修羅の家で、子どもを抱えながら懸命に見つけたお路の居場所とは? 直木賞作家の真骨頂、感動の傑作長編。(解説・植松三十里)
  • 慶次郎、北へ 新会津陣物語
    3.0
    豊臣秀吉が世を去り、五大老筆頭の徳川家康は、前田家を屈服させるなど、天下取りの野望を露わにし始める。そして次の標的を上杉に定めた。そんな折、前田慶次郎が会津に入り、穀蔵院飄戸斎の名で上杉に仕官する。上杉家の家老・直江兼続は家康を糾弾、会津攻めを誘う。それは上方の石田三成の挙兵と呼応した、家康を挟撃する一大作戦だった。狙い通り家康を西へ向かわせた上杉は、伊達、最上と東北の熾烈な戦いへ。『乱世をゆけ 織田の徒花、滝川一益』で第九回角川春樹小説賞を受賞した著者が、天下のかぶき者の最後の戦いを描く!
  • 乱世をゆけ 織田の徒花、滝川一益
    3.3
    甲賀の忍びあがりの土豪、滝川久助は、里の陰謀で父を失い、兄を殺め出奔。久助は名を一益と改め、諸国を放浪中に織田信長と運命的な出会いをする。一益は、射撃や忍びの腕だけでなく、武将としても力をつけ、信長の寵臣として存在を大きくしていく。天下への道を着々と進んでいく信長だったが、天正十年(一五八二)、家臣・明智光秀の突然の謀反によって斃れてしまう──。一益を頼みとする若き前田慶次郎、伝説の忍者・飛び加藤といった魅力的な脇役も登場。謎多き武将、滝川一益の波乱に満ちた生涯を描く。選考委員が大絶賛した、第九回角川春樹小説賞受賞作。
  • 宵待草夜情
    4.5
    大正九年の東京。祭りの夜に、カフェ「入船亭」の女給・照代が殺された。着物を血に染めて店を出てきたのは、同じ店で働く鈴子。鈴子の恋人・古宮は、彼女が殺したのかと考えるが──。はかない男女の哀歓を描き、驚きの結末を迎える表題作ほか五篇。人の心の底知れぬ謎、深く秘められた情念から、予想をはるかに超える真実が立ち上がる。不朽の傑作ミステリー、待望の新装版。(解説・泡坂妻夫)
  • 総合商社 特命班
    5.0
    1~2巻770~836円 (税込)
    「もうお終いだ。俺もお前も。今から二人でここから飛び降りる?」 ──二〇一九年十二月三十一日十六時十六分──大手町にそびえる高層ビルNFタワー、総合商社・永福商事の本社ビル三十六階。入社十年の池畑大樹は、鬼気迫る表情で同期の青山仁に強く迫っていた。アメリカ、アジアなど海外赴任も多く、最前線で活躍していた二人に、一体何が起きたのか? 日本の未来は? 働くということは? 幸福とは? を問うノンストップエンターテインメント。令和の新企業小説。
  • 三星京香、警察辞めました
    3.5
    県警本部刑事部捜査一課の三星京香は、あることから刑事部長に拳を振り上げてしまい、10年の警察人生に終止符を打った。京香が頼ったのは、幼馴染で京香がかつて恋心を抱いていた藤原岳人。彼は新進気鋭の弁護士として県内でも有数の法律事務所に勤務しており、その事務所に京香は調査員として再就職したのだ。だが彼女が最初に任された調査に出た夜、岳人が殺されてしまう。いったい誰が、なんのために? 元刑事・京香が走り始める!!「女副署長」シリーズで話題沸騰、元警察官の著者による、新しい警察小説!
  • 雪に撃つ
    3.3
    さっぽろ雪まつり開幕前日に北海道警察本部大通署管内で起こった、自動車窃盗事件、少女の家出、そして発砲事件。無関係に見える事件が、一年で一番賑わう札幌でひとつに収束し激化していく。虐待、不正、外国人労働者――佐伯たち刑事たちの執念は届くか? 警察小説の金字塔&大ベストセラー道警シリーズ、圧巻のタイムリミット・サスペンス!(解説 西上心太)
  • グッバイ マイヒーロー
    4.7
    ぼくの心の中に忘れられない人がいる。何事にも几帳面で真面目な父ではなく、定職に就かず、何事にもいい加減、不まじめで、やりたいことしかしない叔父。ぼくの人生の岐路に突然に現れては混乱を巻き起こした男。いじめに遭っていた子供時代、悶々としていた学生時代、そして……。でもそんな叔父にぼくは救われてきたんだ。『嫌われ松子の一生』『百年法』の著者が、生き辛さに悩むすべての方にエールを贈る感動作! 単行本『いよう!』改題。
  • あの日のあなた
    3.6
    交通事故で唯一の肉親である父を亡くした、大学生の片瀬在。尊敬する父の「弔いごと一切不要」という遺言に戸惑いつつも、その通りにすませた。しかし、生前は立入禁止だった父の書斎で遺品整理をはじめた矢先、全く知らない女性と自分の名が書かれた母子手帳を見つけてしまい、激しく混乱する。父は一体何を隠していたのか――在は主を亡くした書斎で、まるで葬儀を営むかのように、父親の本当の姿と向き合っていく。単行本『お葬式』を改題。ラストは希望溢れる感動長篇、待望の文庫化。(解説・瀧井朝世)
  • 夜がどれほど暗くても
    完結
    3.7
    全1巻770円 (税込)
    志賀倫成は、大手出版社の雑誌『週刊春潮』の副編集長。スキャンダル記事に自負を持ち、充実した編集者生活を送ってきた。しかし、大学生の息子・健輔にストーカー殺人を犯して自殺したという疑いがかかる。彼の幸福は崩れ去り、取材対象からも罵倒される日々に精神がすり潰されていく。だが被害者遺族である奈々美と出会い……。圧倒的筆致で真実と愛を描く、傑作ミステリー(解説・西原理恵子)。
  • 宇宙船の落ちた町
    4.0
    「宇多莉町には何もない」。住民が揃ってそう口にする田舎町で生まれ育った青砥佑太は、十四歳の夏、裏山で巨大な宇宙船の墜落を目撃する。十年後、宇宙船に乗っていた異星人は地球社会へと徐々に溶け込み、佑太は近隣の大都市・舞楼市に移住して無気力な生活を送っていたが、彼らの関係性は「あるアイドルの握手会」から劇的に変わっていく。過去と未来、共生と排斥、都市と辺境、世界と自己――。人が自身と異なる存在とどう向き合うかを描いた物語。
  • 情け深川 恋女房
    完結
    3.0
    全7巻792~836円 (税込)
    深川佐賀町の稲荷小路に『足柄屋』という小間物屋を構える与四郎と小里の夫婦。十三年前に無一文で江戸にやってきた与四郎は、立ち直りのきっかけとなった地蔵様からお恵みと縁を大事にすること、そして修行時代に出会い、互いに一目惚れした女房の小里に支えられた商いが誠実なことで、周囲から評判だった。しかし深川祭りで、小僧の太助が争いに巻き込まれたことから恨みを買ってしまい、撒かれた悪評から商売が傾きつつあった……。共に助け合う夫婦の仲睦まじさと、周囲の人々の人情で解決される事件を、実力は作家が描く心温まる物語。新シリーズスタート。
  • たい焼き・雑貨 銀座ちぐさ百貨店
    3.9
    銀座のはずれにある、ちょっと変わった「ちぐさ百貨店」。千種綺羅の祖母美寿々が営むこの店は、雑貨を売る傍ら、尻尾に魅力が隠された焼き立てのたい焼きも販売している。そんな店を訪れた人々の心を、美味しいたい焼きと所狭しと並べられたこだわりの品々が癒していく。ハンドメイドの一点物アクセサリー、親子を繋ぐつげ櫛、季節外れのスノードーム、店頭に飾られた鯛の木型……。雑貨が人と人を、そして思い出をも、つなぎ癒やしていく、心温まる再生の物語!
  • 奥州狼狩奉行始末
    5.0
    江戸時代、馬産が盛んな地域にとって、狼害は由々しき問題だった。そのため、奥州には狼を狩る役・狼狩奉行が存在した。その狼狩奉行に就くよう藩から命じられた、岩泉亮介。父が三年前に非業の死を遂げ、家督を継いだ兄も病で臥せっている。家のため、命を受けた亮介だったが、狼の群れは「黒絞り」という頭目に率いられ、かつてないほど凶悪になっていた。だがその「黒絞り」を追う内に、父の死の真相、藩の不正にまで繋がり……。北方謙三・今野敏・今村翔吾・角川春樹、選考委員満場一致の第15回角川春樹小説賞受賞作。(解説・青木千恵)
  • 禁忌
    3.6
    女性と幼女の死体が横浜市、佐野市で次々と発見された。その頭からは脳がえぐり出され、手足からは肉がそぎ取られていた。警視庁捜査一課の刑事・水野薫は、被害者のひとり、結城みちるの交際相手である大学准教授・日下部遼の自宅を訪ねた。日下部は、文化人類学者であり、協力して連続猟奇殺人鬼の心理分析(プロファイリング)を行うことに。次第に浮かび上がってくる衝撃の真実。ベストセラーになった『多重人格殺人』を改題し、大幅に手を入れたホラーミステリーの傑作が遂に、復活。
  • えにし屋春秋
    3.8
    浅草の油屋・利根屋の娘お玉に、本所髄一の大店の主人との縁談が持ち上がった。しかし見合いの前日、お玉は置手紙を残して姿を消した。利根屋の体面と命運のかかった縁談である。身代わりとなったおまいは、当日、〈えにし屋〉を名乗る謎めいた女の元で、美しく着飾らせてもらい見合いの席に臨む。しかしその後もお玉の行方は一向に掴めないままで……。浮世には結びたい縁もあれば切りたい縁もある。縁を商いとする者と頼る者の光と影に、心揺さぶられる長篇時代ミステリー、シリーズ第一作。
  • 新装版 旨いものはうまい
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 “今から思ふと、食べもののことや酒を飲む話を書き始めたのは、かういふものを書いてゐれば誰からも尊敬されたりする心配はないし(中略)誰にも気兼ねしないで本音が吐けると考えてのことだつたやうである” ニューヨークで毎日のように通った酒場、麦の匂いがする英国のトースト、広島の牡蠣、横浜の点心、近畿の松茸……。文士・吉田健一が旨いものへのこだわりと本音を包み隠さず語った幸福な食エッセイ集が、新装版になって帰ってきた!
  • 新! 店長がバカすぎて
    3.9
    三年ぶりに吉祥寺本店に店長として復帰した山本猛は張り切るが、相変わらず人を苛立たせる天才だ。それでも部下の京子は新人作家の才能に打ちのめされ、好きな作家の新作に心躍らせ、時には泣き、笑い、怒り、日々戦っている。スタッフや作家の大西先生や小料理屋を営む父親などの応援を受けながら──。思いっきり楽しんだあとに小説と書店の未来を、仕事の意味を、生きる希望を改めて深く考えさせられる、二〇二〇年本屋大賞ノミネート作品の第二弾。(解説・大九明子)
  • あの頃な
    -
    2020年初頭から世界を席巻した新型コロナウイルスは、あっという間に私たちの生活を一変させた。職場も、家庭も、友人や恋人などの人間関係も、そして未来すらも。劇的に変化した世界で生きる私たちの日常はどこに向かっていったのか? ラジオの現場でコロナに対峙し続けた著者が、想いを25本の物語に昇華させた! 誠実でありながらシュールで刺激的。そして笑え、最後には沁みていく……。読者の心と頭を予測不能な振り幅で揺らす珠玉のショートショート25篇!(解説・ゲッターズ飯田)
  • EYES 廃物件捜査班
    -
    北海道警察本部刑事部捜査第一課に所属する吉灘麻耶は、ある事件で負った怪我をきっかけに、“廃墟に限定して、そこで起こった過去の情報を視ることができる目”を持つようになった。そして、廃墟に関わる事件を専門で追う、窓際部署・廃物件捜査班に異動させられる。ある日、定山渓温泉の廃旅館で大規模な火災が発生。現場に向かうと、麻耶には異様な人影が視え、何者かの感情が流れ込む感覚に陥って……。書き下ろし警察小説。
  • 陽眠る
    3.0
    大政奉還の後、鳥羽伏見の戦いに敗れはしたが、徳川慶喜は薩長への徹底抗戦を主張、幕軍は意気軒昂だった。オランダで建造された軍艦〈開陽丸〉の艦将・榎本釜次郎武揚も「ここからが海軍の出番」と自負していた。しかしその夜、慶喜は開陽丸で江戸へ逃げてしまう。失望した榎本は、副艦将・澤太郎左衛門、大坂城から持ち出した十八万両とともに開陽丸ごと脱走。蝦夷地を開拓し旧徳川家臣の新天地とすべく、北へと向かう──。無念の開陽丸と男たちの軌跡を描き切る、渾身の歴史小説。
  • 晴明の事件帖 消えた帝と京の闇
    3.9
    1~5巻792~836円 (税込)
    新築した邸が火災に見舞われた藤原実資の前に現れたのは、京の都で最も優れた力を持つ陰陽師・安倍晴明。有職故実に秀でた実資は、晴明の言葉にできない魅力にひかれて行動を共にしながら、彼と遭遇した不可解な事件を日記に綴っていくことを決意する。そんな折、二人と帝に、最大の敵となる蘆屋道満の呪が迫ってくる……。期待の新シリーズ登場!
  • 神楽坂スパイス・ボックス
    4.0
    1~3巻792~836円 (税込)
    五年間つき合ってきた彼にふられた雑誌編集者のみのり。イタリアンレストランの若きオーナーシェフである元彼を見返すため、自らも飲食店を開店し人気店にしてみせると心に誓う。そのために彼女は、夫を亡くし実家に引きこもっている姉ゆたかに一緒に店をやろうと誘う。姉も亡くなった義兄もシェフだったからだ。そして姉妹は神楽坂の路地の奥の奥にあった木造家屋にスパイス料理専門店を開店させる。そしてその店では、料理を食べた人たちにある変化が……。心に栄養が染み渡る料理小説!
  • パスファインダー・カイト
    3.0
    日本で五本の指に入る自然保護NGO「月読記念財団」に中途採用された速水櫂人。自然や環境の大切さを伝える職務に就く同僚とともに市民への啓蒙活動に励んでいく。だが彼には周囲に明かせない過去と、秘められた任務があった……自らも自然保護団体に勤務経験のある著者が描く、自然&環境保護の現状とは? 乱歩賞作家が挑む新境地のアクション&ミステリー。
  • ぼくもだよ。 神楽坂の奇跡の木曜日
    4.0
    「人は食べたものと、読んだものでできている」──書評家のよう子は、神楽坂に盲導犬のアンと暮らしている。出版社の担当の希子と隔週の木曜日に、打ち合わせを兼ねたランチをするのが楽しみだ。一方、神楽坂で〈古書Slope〉を切り盛りするバツイチの本間は、五歳になる息子のふうちゃんと、週に一度会えるのが木曜日だ。書物への深い愛と強い信頼、それを共有できる大切な人。本に込められた〝想い〟を伝えていく──。(解説・新川帆立)
  • 罪人に手向ける花
    4.4
    癒し系女性検事・黒木二千花、登場! ゆったりめのワンピースに、ふわふわと波打つ長い髪。笑顔を絶やさず被疑者に向かい合う彼女には、元検事だった父の影響からか絶対に悪を赦さないという強い信念があった。その彼女が担当する殺人事件の被疑者は、かつて二千花の父が起訴を見送った男だった。その男は今度も無罪なのか、それとも……。法廷ミステリーの旗手として注目を集める著者による新たなる検事小説。
  • 救いの森
    3.3
    児童保護救済法が成立し、いじめや虐待、誘拐など、命の危険を感じた時に起動させると児童救命士がかけつける「ライフバンド」の着用が子どもたちに義務づけられた。新米児童救命士の長谷川は、先輩救命士の新堂と「ライフバンド」の検査で出向いた小学校で、わざと警告音を鳴らす少年と出会う。深淵に沈む少年の声を聴くため、長谷川は調査を続けていくと、隠された真実が明らかになっていく──。未来を支える子どもたちを守る、救いと希望の物語。待望の文庫化。
  • 衝天の剣 島津義弘伝(上)
    完結
    4.4
    規格外の戦略と勇猛果敢な薩摩魂で戦国最強と謳われた島津四兄弟。その中でも次男・義弘は、ひときわ光彩を放つ武力をもっていた。しかし九州制覇を目前に控えた四兄弟の前に立ちはだかった天下人・豊臣秀吉の大軍に抗しきれず、島津家は豊臣の軍門に降った。その後、明国征服を目論んだ秀吉の命により朝鮮、明国侵攻が目前に迫る。生きて薩摩の地へ帰れるかさえわからない。しかしそれでも行かねばならない、島津家存続のために。そして朝鮮へと出兵した義弘は、明軍との壮絶な死闘を繰り広げることになる──。(全二巻)
  • 真夏の雷管
    3.7
    夏休み。鉄道好きで〈スーパーおおぞら〉に憧れる僕は、ある日出会った男性に小樽の鉄道博物館へ連れて行ってもらえることに。最高の夏になると信じていたのに、こんな大ごとになるなんて──。生活安全課の小島百合は、老舗店で万引きした男子小学生を補導した。署に連れて行くも少年に逃げられてしまう。一方、刑事課の佐伯宏一は園芸店窃盗犯を追っていた。盗まれたのは爆薬の材料にもなる化学肥料の袋。二つの事件は交錯し、思わぬ方向へ動き出す。北海道警察シリーズ第八弾。(解説・池上冬樹)
  • 三鷹台おでん屋心霊相談所
    3.0
    霊が「見える」けれど、その存在を否定したい天哉。霊は「見えない」けれど、信じている陽太(ただし霊がいると無自覚にくしゃみが出る)。幼馴染だが正反対の二人が立ち上げたのは、怪奇現象を科学的に解明する相談所!? そんな彼らのアジトは、三鷹台にある若い女将が営むおでん屋。しかし、この組み合わせにも理由があり……。驚きと温かな感動も呼び起こす心霊ミステリー。
  • 東京プレデターズ チャンネル登録お願いします!
    完結
    3.5
    怪獣映画の制作を夢見つつ、底辺生活を送る須山民夫。懸賞サイトで小型アクションカメラを当てたことで、大学の先輩だった阿知良サトシに会社を無理矢理辞めさせられ、動画配信サービス「ネオチューブ」でのブレイクを目指す羽目に。巻き込まれた女優志望の森元蘭子と動画配信チーム「東京プレデターズ」を結成。三人は、『人気ネオチューバー殺戮ホテル事件』を調べ始める。動画配信者が、廃墟ホテルでのライブ中継で起こした惨劇の真相とは? 気鋭の作家が送る動画配信ミステリー。
  • 居酒屋すずめ 迷い鳥たちの学校
    4.0
    昼間の居酒屋を利用して開かれるフリースクール『すずめの学校』。「居酒屋すずめ」で開校中のそこに通うのは、不登校の中学生や学び直したい老女、挫折したフィギュアスケーターや引きこもりのニートなど様々。居酒屋の経営安定のためと始めたオーナー兼教師の鈴村明也だったが、彼自身もまた、生徒と交わるうちに学び、気付き……。一歩踏み出す勇気をくれる物語。
  • 赤ひげ診療譚
    4.3
    長崎で最新の医学を学び、江戸に戻った保本登は、突然小石川養生所に呼び出され、見習い勤務を命ぜられた。エリートとしての矜持を抱く登は、「赤鬚」と呼ばれる医長・新出去定の強引さに不満を抱き、激しい反発を覚える。だが、養生所を訪れる貧しい患者たちや、徒労とみえることに日々を費やす「赤鬚」とふれ合ううち――。病や死を通して“生”の重みを描き出した、山本周五郎渾身の傑作。(エッセイ/細谷正充、編・解説/竹添敦子)
  • いろあわせ 摺師安次郎人情暦
    3.9
    神田明神下に住む通いの摺師・安次郎。寡黙ながら実直で練達な職人の技に、おまんまの喰いっぱぐれの心配がないと、ついた二つの名は「おまんまの安」。そんな中、安次郎を兄と慕う兄弟弟子の直助が、様々な問題を持ち込んでくる。複雑に絡み合い薄れてしまった親子の絆、思い違いから確執を生んでしまった兄弟など……安次郎は否応なしに関わっていくことに――。五つの摺りの技法を軸に、人々が抱え込む淀んだ心の闇を、澄み切った色へと染めていく。連作短篇時代小説、待望の文庫化。(解説・北上次郎)
  • アナウンサー辞めます
    3.3
    高校球児だった太田裕二は「将来プロ野球選手になる!」という夢を抱いていたが、あと一歩というところで甲子園の出場を逃し、その夢は儚くも散ってしまった。その後、太田は地方局のアナウンサーとなり、夢を諦めてから三十五年の歳月が流れ、五十三歳になっていた。そんなある日、番組で太田が発した一言がきっかけとなり、世の中が急激に動き出す。それと同時に、忘れかけていた「プロ野球選手になる!」という太田の夢が再び燃焼するが――。中年男の挑戦が今、始まる!
  • 落としの左平次
    3.9
    佐々木清四郎は、齢十八歳。定町廻り同心となり三年がたつが、まだ見習い同然の扱いだ。そんなある日上役に呼ばれ、左平次預かりの命を受ける。左平次は、優秀な廻り方で「落としの左平次」と呼ばれていたが、理由あって引退、今は町人の身分だという。どうやら亡くなった清四郎の父親の元同僚らしい。早速、娘の亡骸が運びこまれた番屋で清四郎は左平次に怒鳴られるが──厳しくも温かく鍛えられながら、清四郎は一人前の同心を目指して奔る! 鰻丼、錦糸丼など美味しいご飯も沢山登場するノンストップエンターテインメント時代シリーズ、堂々たる幕開け。
  • いつかみんなGを殺す
    3.8
    東京紀尾井町にある老舗超高級ホテル、グランド・シーズンズ。経営者一族で総支配人の鹿野森優花は弱冠二十八歳。だが更に社長となるためには、今日行われるイベント・ミッドサマードリームナイトを成功させなければならなかった。しかし対抗する旧勢力から思いもよらぬ邪魔立てが。しかも折しも某有名海外覆面調査員がレストランを訪 れ……!? 第六回細谷正充賞受賞作にして、〝G〟を巡りホテルの人々が錯綜する、抱腹絶〝叫〟エンターテインメント!
  • 安曇野殺人紀行
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 結婚を一ヵ月後に控えた藤森岳志は、独身最後の想い出として、悪友とともに山に登ったが、縦走中に転落死してしまう。婚約者の野々村亜衣は、自分がお守りにと首にかけたペンダントが遺体にないことに、不審を抱くが―。一年後、別の遭難場所から、鎖の切れた、あのペンダントが発見された。真相を追う亜衣の身辺で次々と殺人事件が起きる……。長篇旅情ミステリーの傑作。(解説・山前 譲)
  • 古本食堂
    4.3
    鷹島珊瑚は両親を看取り、帯広でのんびり暮らしていた。そんな折、東京の神田神保町で小さな古書店を営んでいた兄の滋郎が急逝。珊瑚が、そのお店とビルを相続することになり、単身上京した。一方、珊瑚の親戚で国文科の学生・美希喜は、生前滋郎の元に通っていたことから、素人の珊瑚の手伝いをすることに……。カレー、中華など神保町の美味しい食と思いやり溢れる人々、奥深い本の魅力が一杯詰まった幸福な物語、早くも文庫化。
  • デッドヒート(上) おれたちの箱根駅伝
    完結
    3.0
    全3巻814~902円 (税込)
    駅伝の魅力って?仲間の頑張りを信じ、想像することさ──。修学院大学陸上競技部に駅伝選手として入部した走水剛の目標は、「オリンピックで金メダルを取ること」。とはいえ精鋭が集まる陸上部では、タイムも実績もチームメイトに及ばなくて……。破天荒でまっすぐな主人公が、仲間とともに箱根駅伝で襷をつなぐ。(「デッドヒート」シリーズ全六巻を加筆・修正のうえ、全三巻としました)
  • 女子大生つぐみと古事記の謎
    4.0
    大学で古事記を研究する森田つぐみは、ある日、謎の組織に拉致されそうに成り、雑誌記者の犬飼大志郎に助けられる。おまけに見に覚えのない同級生殺しの容疑者として警察からも追われるはめに。なぜつぐみが狙われるのか。二人は逃走を続けながら、その理由を探る。そしてつぐみが、古事記に関するある謎を握っていることを知る。神武天皇と草薙の剣の重大な秘密に迫る、鯨流古代史ミステリー!
  • ZONE 豊洲署生活安全課 岩倉梓
    4.2
    日本全体が少子化で人口減に悩まされる中、東京都江東区豊洲は、空前の人口増と再開発に沸き立っている。新たに設置された豊洲署生活安全課の女性刑事・岩倉梓のもとに持ち込まれる事件の数々。《児童ネグレクト》《貧困老人の孤独死》《震災詐欺》――。生まれつつある街の中で、梓は自分に出来る仕事を悩みながらも一歩一歩模索していく……。本格派・福田和代が描く、新世代警察小説。(解説・宇田川拓哉)
  • ジャベリン・ゲーム サッチョウのカッコウ
    -
    大学教授・武田長博が自宅で何者かに殺害された。日本の公安内部に張り巡らされたロシアのスパイ網壊滅を目的とし、CIAが立案した「クロー・ハンマー」の要が長博だった。彼の息子・穰は殺人者を追うためCIAに入局し、スパイとして警察庁に潜入する。その七年後――ウクライナ侵攻の影響で供給不足となっている歩兵携行式多目的ミサイル「ジャベリン」が30基、太平洋で所在不明になる事態が勃発。ロシアの暗躍が噂される中、このジャベリンが日本国内に持ち込まれるのを阻止する命令が穰に下る……。緊迫のエスピオナージ・アクション開幕!「水面下で展開される迫真の国際諜報戦。著者は本書により作家として大きく躍進した」——ミステリ評論家・千街晶之氏、絶賛!
  • 枯野光
    -
    この街の闇社会で生きる陳小生は、刑事の羅朝森からある男を捜して欲しいと依頼される。手がかりは二十年以上も前に撮られた古びた写真だけ。しかも男の名前も素性も明かせないと告げられる。一方、ツアーガイドとして働く香港在住の日本人女性、石原雪子の自宅前に不審者が現れ、勤め先に自分のことを探るような電話が入るなど、彼女の周辺で不穏な空気が流れ始めた─。ネオンが煌めくその裏で、漆黒の闇が支配する香港を舞台に蠢く真実とは!!
  • 晩夏光
    3.0
    香港。この地には、観光客を標的に窃盗する『スリ』、その盗品を売りさばく『露店』、出回った盗品を探し出し、持ち主から手数料を得る『回収』とそれぞれグループが存在し、そこには三者共存の掟があった。ある日、回収側の人間である劉巨明が、何者かによって殺害された。仲間であった新田悟は、巨明の妻からあるメモを渡された。メモには巨明の文字で「任家英に気を付けろ」と謎のメッセージが残されていた。そして新田は、香港の闇社会に渦巻く悲しみの深淵に巻き込まれていく―─。
  • 我々は、みな孤独である
    3.6
    探偵・茶畑徹朗の許にもたらされた、奇妙な依頼。「前世で自分を殺した犯人を捜してほしい」と言う依頼人・正木英之介は八十歳に近いが、一代で企業を築き上げた傑物らしく未だ矍鑠としている。前世など存在しないと考える茶畑と助手の毬子は適当に話を合わせて報酬を得ようとするが、調査を進めるにつれ、次第に自分たちも前世の記憶としか思えない鮮明な夢を見るようになり――。鬼才が今描く死生観とは!? 未体験、未曾有のエンターテインメント!
  • おやすみ、東京
    完結
    4.0
    全1巻814円 (税込)
    東京、午前一時。この街の人々は、自分たちが思っているよりはるかに、さまざまなところ、さまざまな場面で誰かとすれ違っている――映画会社で〈調達屋〉をしているミツキは、ある深夜、「果物のびわ」を午前九時までに探すよう頼まれた。今回もまた夜のタクシー〈ブラックバード〉の運転手松井に助けを求めたが……。それぞれが、やさしさ、淋しさ、記憶と夢を抱え、つながっていく。月に照らされた東京を舞台に、私たちは物語を生きる。幸福な長編小説。
  • 台所のラジオ
    4.0
    それなりの時間を過ごしてくると、人生には妙なことが起きるものだ――。昔なじみのミルク・コーヒー、江戸の宵闇でいただくきつねうどん、思い出のビフテキ、静かな夜のお茶漬け。いつの間にか消えてしまったものと、変わらずそこにあるものとをつなぐ、美味しい記憶。台所のラジオから聴こえてくる声に耳を傾ける。十二人の物語。滋味深くやさしい温もりを灯す短篇集。
  • 風の邦、星の渚 レーズスフェント興亡記 上
    3.7
    フェキンハウゼン男爵たる父から疎まれた若き騎士ルドガーは、ドイツ北辺の村へ代官として赴いた。反抗的な村民の統治に加え、村を襲う浮浪兵と闘うルドガーの前に現れた「泉の精」を名乗る美少女レーズ。彼女の助力により、浮浪兵を撃退したルドガーたちは、「レーズスフェント」という町を創設し、新たな街道を開いて発展への一歩を踏み出していく。だがレーズの正体は遥か過去に地球に飛来した宇宙生命体だった。十四世紀の神聖ローマ帝国辺境で、人知れず果たされたファーストコンタクトから始まった運命の変遷を描く長篇歴史SF。
  • 紅茶とマドレーヌ
    4.1
    1~2巻836円 (税込)
    及川姫乃・四十一歳は、ある日いきなり没落した。会社を経営していた夫が、借金を残して失踪したのだ。女子校時代は学院のプリンセス、タワマン住まいで、ずっと専業主婦だったのに、高校入学を控える娘・笑里とどう生活していけば!? だが姫乃は途方に暮れている場合ではないと、得意の焼き菓子作りを活かし英国式ティールームを開こうと決意。娘や友人たちと支え合って泣いたり笑ったり……。香り高い紅茶ととびきりの焼き菓子が疲れた心をやさしく包み込む、温かく愛おしい物語。
  • おくり絵師
    4.0
    故郷の仙台で母親を亡くし天涯孤独となったおふゆは、母の最期の言葉を頼りに江戸に行き、縁あって、絵師歌川国藤のもと、住み込みで修行中の身である。思うような絵が描けず、悩んでいたある日、亡くなった役者の姿を描いた「死絵」に出会う。一方、幼少時に仙台で知り合った昔馴染みで役者の三代目富沢市之進が、浅草の芝居小屋の夏興行でついに主役を張るという。おふゆは市之進の母親お京に誘われ、初日の舞台を見に行くことになるが……。憂き世を照らす、一途な愛と親子の絆に涙する、書き下ろし時代小説。
  • しあわせガレット
    3.9
    派遣契約最終日の帰り道、バターと砂糖の甘い香りに誘われた詩葉が見つけたのは、千駄木の路地奥に佇む「ガレットとクレープの店 ポルトボヌール」。“幸せの扉”という意味だという。店を切り盛りするのは、赤い髪の店主・多鶴さんだ。こだわりの本格ガレットを食べて魅了された詩葉は、四日間通いつめアルバイトで雇ってもらうことに。ブルターニュ仕込みのおいしい料理と謎めいた常連さんに囲まれて、三十五歳の詩葉の新たな生活が始まる──疲れた心をおいしく癒す、あたたかな連作短篇集。

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