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留年寸前の僕が担当教授から命じられたのは、不登校の女子学生・穂瑞沙羅華をゼミに参加させるようにとの無理難題だった。天才さゆえに大学側も持て余し気味という穂瑞。だが、究極の疑問「宇宙を作ることはできるのか?」をぶつけてみたところ、なんと彼女はゼミに現れたのだ。僕は穂瑞と同じチームで、宇宙が作れることを立証しなければならないことになるのだが……。第三回小松左京賞受賞作。(解説・大森望)。
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光と場、早熟と保障
自分は文系ですが、科学をかみ砕いて 紹介するサイトで聞いていた 考え方が多く総合されていて 興味深く読みました。 光が光速=最速なのは、 雷が地面に向かうように 光が、膨張する宇宙の果てに向かうから、 そして、光が光速で飛ぶから 認識できる。 (光の波長より短い区間の 位置と...続きを読むエネルギーは 同時には認識できない。) また、光も水など通るときは 少し遅くて、より速いものの存在を 教えるように発光するんだね。 (チェレンコフ光) それに、穂瑞の言う、光子と場は 同じものの別の形態だというのは 優れて統合的で感心した。 穂瑞はさらに天才的にふるまって くれても良かったなあ。 原子力が太陽をまねたように 宇宙も作れそうですね。 穂瑞と保積という名前は 2人を対比させる意図があるのかな。 保障の保でもあるね。 ホームズも独身だったけど、 自然や他者や異性とともに 世界や社会や種族を維持するという対極。
#ドキドキハラハラ #深い #タメになる
Posted by ブクログ
2010/03/06 文系の私には、理系の話は難しくてついていくのがやっと(というか、ついていけない部分が多かった)ですが、楽しかった! 理系の人は面白いんだろうなあ。 主人公がお馬鹿だったのが唯一の救いでした。 「学ぶこと」の、根本的な意味を教えてくれた気がする。社会のためではなく、ただ単に「知...続きを読むりたい」「面白い」という自分のために勉強をするんだと。大学は学ぶためにある。何のために学ぶのか。大切だけど言葉だけではない、本質を再確認できた気がする。 キャラクターの名前が粋な設定 ほみず→ホームズ 綿さん→ワトソン 考えることが多かったと思う。読書のこと、自分の考察を持つということ、勉強の本質など。 これは本当に面白かったし、自己啓発にもなったと思う。
これは面白い。すごく良かった。物理の話はさっぱりだけど、するする読み飛ばした。大事なのはそこじゃない。面白かった。続編あるらしいから読む。
今さらながらQuizKnockにハマり、いまなら物理もいけるかも、と思って読んでみましたが、やっぱり物理は難しいです。 ただ、どこまでが現在判明している物理でどこからがフィクションなのかはわからなかったものの、物理を極めることは自分自身を知ることという究極の物理学的テーマにはちょっと感動しました。 ...続きを読む 母親が天才児を育てたいという思いから購入した精子から生まれた天才少女穂瑞(ほみず)沙羅華(さらか)。 誰とも対等なコミュニケーションをとることができない孤高の少女を、なんとか大学に留めたい大人たち。 それから巨大加速器という実験施設の建設にかかわる諸問題の責任など、本当ならまだ高校生である年齢の少女にぶつけられる大人の面子、責任回避、悪意等々「なんで私は生まれてきたのか」を考え続ける穂瑞。 そんな彼女を心配するゼミの先生により、彼女のお世話係になんとなく任命された僕こと綿貫。 就職の内定は取れず、卒論のテーマも見つけられず、それどころか肝心の物理の単位を落としそうだし、ゼミの話にはついていけず、あろうことかひとりで田んぼの世話をしているおばあさんに代わって田植えから稲刈りまで面倒を見ることになってしまう。 主人公が落ちこぼれ学生のおかげで、難しい物理のあれこれも割とわかりやすく登場人物たちが説明してくれて助かる。 多分この物理の部分を取り除けば、普通にライトな青春小説だ。 「なんで私は生まれてきたのか」と中学生のような悩みに苦しむ穂瑞に対して、ほとんど役に立たない主人公。 なんなら物理の問題にすら、何も関与しないし理解してないし、最終的にカタルシスも得ない。 でも、そういう普通の男が彼女の周りで普通に接することも、彼女の救いになったのかもしれないな。 ひとつ彼らがかわいそうだなと思うのは、勉強すること、知らないことを知る喜びを感じていないこと。 今時大学進学は当たり前で、しょうがないから学校に通って単位を取ってはいるけれど、本当は毎日を面白おかしく過ごしたいだけ。 もったいないなあ、せっかく知る喜びを得られる環境にいるのに。 と、自分も学生時代は勉強しなかったくせにそう思う。 最後に橋詰老人が聴講生から正式に大学生になったということに、一番の感動を覚えた。
SF映画はそれなりに観ていると自負しているが、SF小説はこれまでほぼ読んだことがなく、新鮮な気持ちでこの本を手にとった。 高校のときに物理は途中で諦めたのだが、この本を読んでいると小難しい内容が多いのに、意外と理解できる。「宇宙は人間の手で創ることができるのか」という難しいテーマを扱っているにも...続きを読む関わらず、そのテーマから最後まで逃げずに結論を出しているのも高評価したい。
『さらに突き詰めると、“モノ”と“力”でさえもない。“無”だ。無しか出てこない。それが私の探していたものの答えだったのだ。TOEなど、何でもよかった。それがどんな方程式であれ、その右辺には必ずゼロがくるだけなのだから。無限大イコール、ゼロ。この不可解にして繰り込み不可能な方程式こそ、宇宙の本質に外な...続きを読むらない。 そこまで理解できると、さらに先のことが見えてくる。つまり、無になるのに“存在”なんて無意味なのだ。いや、分かっている。私もそれは考えた。本当にそれでいいのだろうかと。』 宇宙創生の謎を追う青春物語。 宇宙は創れるのか。現に一つここにあるのだから創れるはずだ。 これを出発点に、宇宙とは、物理学とは、認識とは、光とは、生きるとは、人生とはを問う作品。 面白い!
2008年6月7日角川春樹事務所製作映画公開、人が宇宙を創ることはできるのか、「実在するこの宇宙は人が創った」と考えてみる。なんと壮大で突飛な発想だろう、それだけで読む価値がある。合わせて映画も観る。グレック・イーガン著『万物理論』スティーヴン・バクター『時間的無限大』も読んでみたい。
表紙からして購入しづらいし電車の中では読みにくいものだと思っていたら、理系人間には最高のエンターテイメントでした。特に世界の誕生をベートーベンの運命を用いた説明には、なんだかなるほどと思いました。
はっきり言って、あたしは理科がすんごい苦手です。 物理なんてさっぱり。。。 高校の時は、化学と生物しかやってないし。 化学は1年間に5回あったテストのうち、3回赤点だし。 だから、『神様のパズル』は、去年から気にはなっていたものの、大学の物理ゼミだなんて全然わかんないんだろうなぁと思って、先延ばし...続きを読むにしてたのですが…。 実際、読んでみると、かなり! おもしろかったです。 専門用語は確かに全然わかんないんだけど。 あたしにとっては、「光」の構成要素(?)からして全然知らない話で…。 自他ともに「物理が全然できない」と言われる主人公の台詞さえ、さっぱり。。。 なのに「解説」読んだら、「たいていのSF読者は彼よりずっと宇宙論にくわしいんじゃないかと思う」って書いてて。 SF読者に敬服。 でも、専門用語がわかんなくても、論理はなんとなくわかるし(たぶんすごくわかりやすく書かれてるのだと思う)、宇宙論の考え方は、物理学というよりむしろ哲学っぽくて理解しやすいし、「人間に宇宙を作ることはできるか」という問いへの回答も気になるから、思ったよりハイペースで読み進むことができました。 でもなにより、おもしろかったのは、物理学の学問観…っていうか、物理学って、そういう学問なんだ〜、ってところ。 あたしの専攻は社会科学なのですが、自然科学と社会科学って、同じ「科学」なのに、なんか全然違ってる気がしてて。 それは、あたしが理科が苦手なせいなのかもしれないし、もともと扱う領域が違うからなのかもしれないけど、とっつきにくいなぁと思っていたわけです。 でも、小説の中で、登場人物たちが「物理学をやっているのは、自分のことを知りたいからだ」って言っていて、…なんだ、じゃあ、やり方が違うだけで、社会科学も自然科学も同じじゃん、みたいな。 同じ関心でやってるのなら、やり方が違ってても、なんだか理解できそうな気がする(っていう、あたしは単純なのかもだけど)。 そもそも、とっつきにくい、と思っていた一方で、あたしが日本でもっとも尊敬するジェンダー研究者は、「ジェンダー研究は、進化生物学などの知見も積極的に学ぶ必要がある」と言っているし、社会学者であるニクラス・ルーマンがつかう諸概念は自然科学の応用だし、社会科学が自然科学に学ぶべきことっていうのはたくさんあるように思うのです。 しかも、ミステリ小説では、物理学とかが話題になることもしばしばだし。 なので、自然科学に対する興味だけは、けっこう昔からあるのです。 理科の苦手なあたしには無理だなぁと思っていただけで。 というわけで、これを機会に、少しずつ自然科学も勉強してみようかなぁ、なんて。 中学程度の知識しかなくても読める自然科学の入門書を知っている方、ぜひ教えて下さい(笑)
終わり方が丁寧なので、思わず納得してしまった。それでも、宇宙の作り方を教えて欲しいものです。そういう説明が、もう少し欲しかったです。
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