国内小説 - 講談社文庫作品一覧

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  • 家族が「がん」になったら 誰も教えてくれなかった介護法と心のケア
    4.0
    家族だから悩むこと 家族だからできること――家族は、患者さんのいちばんの味方です。だからといって、すべてを抱え込んで悩んでは、つらいもの。病院の選び方や移り方、衣食住でのちょっとした工夫、病人の気持ちへの寄り添い方、そして、家族自身の心のケア。自らも母親の介護を経験したホスピス医が、病院では教えてくれない、具体的な本音のアドバイスを贈ります。
  • 家族善哉
    -
    1~2巻660円 (税込)
    このオカンに感動! 愛に満ちた笑撃小説――母親がナント、娘と同じ高校の同級生に!?  大阪で暮らす咲子は、高校時代に妊娠、結婚。再び高校に通い始めたが、高2の娘・美佐緒が恋した男子との三角関係に! そして、家には幼子を連れたかつての友達が転がり込んできて……。男気溢れる夫や初恋に揺れる息子も巻き込んだ、ユーモアいっぱいのナニワ人情物。
  • 家族の神話
    -
    野々村英が5歳の時、両親は離婚した。12年後、高3になった英は、スペイン料理店を営むまだ若く美しい母にうっとうしさを覚えている。母と子の微妙な隙間に女子大生・亜紗子が入って来た。英は母に内緒で彼女と同棲する。一方で、記憶の底に潜む幻であり憧れである父との、皮肉な再会が実現するのだが……。家族とは、都会人とは? 文化的で猥雑な時間の洪水のなかで豆粒的に生きる家族を描く。
  • 家族の晩餐
    -
    弓岡愛子、高校2年生。母亜美子、38歳。母娘二人暮し。愛子は毎月第一日曜日に実父(パパ)とデイトする。だがこのデイトは、もはやメルヘンではなく、陰惨さを帯び始めてさえいるのだ――家族という大都会の中のもっとも小さな単位。そこにも葛藤があり事件がある。その日常の模様を、都会の中の母娘の微妙な関係を、愛情こめて描く長編メッセージ小説。テレビドラマ化も。
  • 家族はつらいよ
    3.2
    長年連れ添った妻の誕生日の夜、平田周造は離婚届を突き付けられた。翌朝、犬の散歩に出ようとすれば、次男は結婚したい相手がいると言い出し、家に戻れば長女が亭主と別れたいと泣いている。二世帯住宅で開かれた家族会議は予想もしない展開に!? 「男はつらいよ」から20年、山田洋次監督の待望の喜劇を、「東京バンドワゴン」の小路幸也が小説化!
  • 家族物語(上)
    -
    男と女は、どのような深い縁で夫婦となるのか? ――京都の織物会社の社長・並木啓一郎は、自然の美しい嵯峨に穏やかな家庭をもっているが、取引先の女性・ゆかりに、秘かな愛情を感じていた。しかしゆかりは、婚約者の自殺で、心に深い傷を負っていた。啓一郎の妻・真穂は、夫への不信に苦しみ、脳溢血で倒れてしまう。夫婦の絆は危うく切れそうになるが……。<上下巻>
  • カタブツ
    3.7
    まじめさゆえに窮地に陥ってしまう愛すべき隣人たち。どこかで身に覚えのある危うい心、共感せずにはいられないミステリー集ーー家庭がありながら運命的な出逢いをしてしまった二人、人の世話ばかり焼いてしまう癖を恋人に咎められる青年、息子が事故に遭遇しても足がすくんで助けられない夢にうなされる母親、隣室の女性がストーカーに殺されたのに何もしなかったと非難される男……。誠実な人々の窮地を描いて共感を呼ぶミステリー集。
  • 片翼だけの天使
    -
    「愛してるんよ。あんたはトクベチュな人よ」――40代半ばの独身中年作家が、ふと遊びに出かけたソープランドで出会った、天使のような明るい韓国人女性。作家は、彼女の舌足らずのしゃべり方や、全身で愛情を表現してためらうことのない一途な性格に魅せられていく。現代では稀有な「純愛」を描いて、熱い共感を呼ぶ大人のための「名昨」恋愛小説。ひたむきで純朴な女性とのめくるめく恋の熱い日々!
  • 勝つ極意 生きる極意
    -
    絶対不敗の勇者はいかにしてつくられたか? 趣味尽きない歴史人物エッセイ。人生ここ一番の勝負で勝った男たち――絶対不敗の人間は、いかにしてつくられたか……。宮本武蔵、大石内蔵助、徳川吉宗、山岡鉄舟など、史上稀なる剣客、名将、大器量人の、厳しい自己鍛練。剣の奥義が処世の指針となる道理と、「勇」に尽きる必勝法。剣の実践者の著者にして初めて可能な、合理的で躍動感にみちた語り口の、興趣つきない歴史エッセイ集。
  • 勝つために何をすべきか 新日鉄釜石の「やる気」ラグビー
    -
    常勝集団・新日鉄釜石の、勝利を生み出す知略と統率。ラグビーでは、人間を中心に考えるということが大事である。選手の自発的な気持ち、ゲームや練習に自分から進んで立ち向かう「やる気」が、重要なのである。もっとも人間くさく、男くさいスポーツであるラグビーで、勝ち続けてきた組織の、哲学と実践の記録。
  • 花伝書(風姿花伝)
    4.1
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 わが国の古典中、もっとも異色である作品で、申楽者・観阿弥が、その実力を養い発揮する方法を、人間の本性を会得した立場で考究した、稀有の体系的芸術論である。その洞察は、また人間論としても、現代に生きている。校注は、世阿弥研究の第一人者・川瀬一馬博士。平易な現代語訳の決定版。
  • 家電の神様
    3.7
    街の電器屋さんvs.大手家電量販店の戦い!大手家電メーカーで働く轟雷太は長引くデフレの影響で入社三年目にして突如リストラされてしまう。転職活動を諦めた彼は実家の母が経営する店を継ぐ決意をする。そこは昔ながらの地域密着型の「街の電器屋さん」。だがそこも近所の大手家電量販店に客を奪われ、経営は風前の灯火だった!<文庫書き下ろし>
  • 金沢発特急「北陸」殺人連鎖
    -
    走行中に2つの殺人……最もあやしい人物は、列車の起点と終点にいた! ――寝台特急「北陸」の車内で男が毒殺され、同じ車中で、女がナイフで胸を刺され殺された。それぞれの犯行時刻に、第1の事件の容疑者は起点の金沢に、第2の事件の容疑者は終点の東京にいた。ニヒルな調査員、おなじみの鏑木(かぶらぎ)一行が、女を抱きながら事件を見事解決する、ハードボイルドなトラベル・ミステリー。
  • 愛しき哉
    5.0
    恋に破れた長女、姉の許婚者にひそかな想いを寄せる次女、陰影の濃い男性にプロポーズされた三女、そろって青春の岐路に立った可愛い三人娘に、父親はとまどう。不憫な思いをさせたくない親心とは裏はらに、嫉妬、背信に苦しむ母を知らない娘たち。それを優しく抱く父の心を、あますところなく描いた傑作長編。
  • カナスピカ
    3.6
    少女は“地上に落ちてきた星”に恋をした――。そのとき中学生の加奈は空を見上げていた。はるか上空から落下した球体は目の前でみるみる少年に姿を変えた。異星人の地球観測衛星、それって!? 少年をかくまった加奈は、当然のごとくあやしい連中に追われる身に! ライトノベル界の雄が描くピュアな青春小説! (講談社文庫)
  • 彼方の水音
    -
    真昼のしらじらとした明るさの中にこそ闇を見つめる孤高な眼。平穏な日常の中にこそ死の気配を嗅ぎとる存在の痛み。狂暴な破壊への意志を内に秘め生きる女の虚無……。鋭利な感覚で人間存在の毒と、清冽な〈彼方〉への憧れを描き、特異な文学空間を創り上げた著者の処女作品集。「相似形」「囚われ」「渺芒」など5篇を収録。
  • かの子撩乱その後
    3.0
    またとない理解者一平を夫に得、才能豊かな太郎を子として産み、恒松安夫や新田亀三を崇拝者として同居させながら、かの子はいつでも孤独感にさいなまれていた。人並外れた激情の作家を支え、大輪の花と咲かせた家族と恋人たちを鮮やかに描く、伝記的小説とエッセイ集。不滅の名作『かの子撩乱』の姉妹編。
  • 彼女の夫たち(上)
    -
    書道家として、はなやかに生きる長女・和美、人妻の座に安住して11年、夫婦間の沈滞に悩む次女・伸子、愛し合って結ばれた夫に浮気をされて呆然とする三女・節子、独身のOLで、中年の愛人との不安定な愛に揺れる四女・竜子。美しい4人姉妹が、それぞれの宿命と愛憎とに翻弄されてゆく姿を、みずみずしく描く、長篇ロマン。<上下巻>
  • 彼女の部屋
    3.2
    ささやかなハプニング、仄(ほの)かな心のざわめき。何度か顔を合わせた程度の女友達から強引に部屋に誘われた恭子。しょうがなく訪れた彼女のマンションで見たものは……。表題作ほか「ハローウィーン」「アメリカを連れて」など6作品を収録。何気ない日常を淡々と描きながら、気にも留めずにやり過ごしている“心のざわめき”を繊細に浮かび上がらせる掌編集。(講談社文庫)
  • 彼女の夕暮れの街
    -
    由美子は旅行代理店に勤めるOL。美しく賢い29歳。何かもの足りなさは感じていて、誘いもいろいろあるのだけれど、何となく気がすすまない。ある日、ふと寄った酒場で、柳川という顎の長い編集者に出会って……。一女性の心の移りかわりと戸惑いーー男性との出会い、恋心を抱き、育てていく過程を、見事に描いた連作短編集。表題作を含め14作収録。一歩ずつ恋を育てて大人になっていく、彼女の恋の行方は……。
  • 甲比丹
    4.0
    三方を海に囲まれた、外国人特別居留地・長崎出島。商館長(カピタン)ヘンミーのもとにおくられた遊女照葉(てりは)は蘭学者の娘。オランダ語を解するがゆえに、幕府と薩摩藩との暗闘に翻弄されるのだった。 都会の恋人たちを描いて定評のある著者が、父の勧めにより壮大なスケールで挑んだ唯一の大河時代小説。惜しまれる未完の大作で絶筆!
  • カフェ・オリエンタル
    3.0
    南国の大都会・シンガポールで、日夜繰り広げられる、男と女の危険なゲーム。じっとりと湿気を含んだ、けだるい大気にからめとられるようにして、過ぎていく退廃の日々のなかで、禁断の店「カフェ・オリエンタル」へ安樹子(あきこ)を向かわせたものは、何だったのか? そして、そこで安樹子は、ゲームの結末を見たのだろうか?
  • 壁の鹿
    3.7
    壁に飾られた鹿の声が聞こえたとき、孤独な魂に革命が起こる。女子校の寄宿舎に暮らす少女結婚詐欺師二股の恋愛に悩む女性剥製職人彼ら、彼女らの心の解放を!あの孤高のミュージシャン「黒木渚」 初の小説刊行!
  • 神在月のこども
    4.0
    自然も人も神様も きっと昔は繋がっていたんだ。 2021年秋、アニメーション映画公開! ☆☆☆ 母を亡くした少女・カンナのもとに訪れた、神の使いを名乗るうさぎ。 曰く母は韋駄天という神様だったそうだ。 日本全国の“馳走”を集めて届けるという使命を受けて、 カンナは走って出雲を目指すことに。 追いすがる鬼の子孫・夜叉とともに、森、街、山、海と神々の美しい座所をめぐる。 縁が日本を一つにつなぐ、原風景の物語。
  • 噛みあわない会話と、ある過去について
    4.1
    あなたの「過去」は、大丈夫? 美しい「思い出」として記憶された日々――。 その裏側に触れたとき、見ていた世界は豹変する。 無自覚な心の内をあぶりだす「鳥肌」必至の傑作短編集! 大学の部活で仲のよかった男友達のナベちゃんが結婚するという。だが、紹介された婚約者はどこかズレていて――。 「ナベちゃんのヨメ」 国民的アイドルになったかつての教え子がやってくる。小学校教諭の美穂は、ある特別な思い出を胸に再会を喜ぶが……。「パッとしない子」 人の心裏を鋭くあばく傑作短編集!
  • 神々の午睡(上)
    4.5
    1~2巻550円 (税込)
    はまったら抜けられない? 清水&宗教の世界! “開祖たち”は、詐欺師、怒りっぽい族長、世間知らずのおぼっちゃまだった? 小説より奇なる事実よりさらに奇なるもの“宗教”をテーマに、パスティーシュの天才が築きあげた大スペクタクル。世界に誇る3大宗教(アルカマ教、サライ教、ジブ教)はいかにして生まれたか。開祖が現われ、教典が編まれ、正統と異端が生まれる。嵌まったら抜けられない清水ワールド。(講談社文庫)
  • 神様の贈り物
    4.1
    無表情で無反応。全てに無関心な殺し屋チャンスは、バスジャック事件に遭遇し一躍ヒーローになった。だが、恩人に頭を撃ち抜かれ、死の淵から奇跡的に甦った彼の目に映る世界は、劇的に変化していた。「水は美味しく花は美しい」。脳の障害を取り除かれ「心」を手に入れたチャンスは自分の過去と対峙していく。
  • 紙の城
    3.5
    新聞、本当になくなってもいいですか? 躍進著しいIT企業インアクティブによる、東洋新聞買収宣告。マスコミの寵児となった会長の驫木は、世論を味方に、役員会を切り崩しにかかる。“ウェブファースト“を掲げ、新聞の価値を根底から揺ぶる彼らが、本当に買おうとしているものは何か? 社会部デスク安芸と部下たちの、記者魂を賭けた死闘が始まる。 『傍流の記者』で直木賞候補となった著者だから描けた、メディアの裏側の熱き攻防! 情報化社会? 何を言ってやがんだ。本当の情報は クリックすれば出てくるもんじゃないんだ。 本城の作品には、「情報」というものの深みを教えられる。 本作は「新聞社は生き残れるか」を人間ドラマに広げた秀作だ。                       ――佐高 信 「朝日新聞」「産経新聞」「日経ビジネスオンライン」「サンデー毎日」「週刊朝日」「アサヒ芸能」「J-novel」ほか新聞25紙で紹介された話題沸騰の話題作!!
  • 髪の環
    -
    切られた髪、竹の花、熟れすぎた果実。絶妙の小道具たちが、男女の陰影深い感情の震えに、鮮かな輪郭を与え、そのとき、みずみずしい生命感をたたえた日常の中に、ふと非日常と幽冥の露頭が現出する。異空間へ踏み出そうとする情念の快い緊張、不安、期待……。強い美意識に貫かれた、珠玉の9短篇。毎日出版文化賞受賞。
  • 仮面官僚 東京地検特捜部
    3.0
    政官財の20億円襖絵事件を暴く検事・香車勇人(かしゃ・はやと)――国税庁に届いた1通の告発文書。絵画売買に絡む、不動産会社の脱税容疑だ。マルサが動き、特捜部が注目した。会社幹部がバブルの裏金で掴まされた20億円の襖絵には、政官財を結ぶ巧妙な罠が仕組まれていた。助教授から検事に転じた香車勇人(かしゃ・はやと)が、東京と京都・祇園を繋ぐアリバイを崩し、金の流れを追い、事件の核心に迫る!
  • 仮面の火祭り
    -
    アル中気味の私立探偵・布施稔・47歳。生まれたばかりの子供ほ実の子ではなくすりかえられた、妻の浮気相手を捜してほしいと、ある日、妙な依頼人が現われた。調査を進めるうちに、人間関係は意外な方向へ展開し、やがて殺人事件が起こる……。はぐれ者の探偵が見た人生の一断面を、ミステリー・タッチで描く長編ロマン。私立探偵が暴いた意外な事実とは?
  • からくり人形は五度笑う
    3.0
    人形の村で次々起こる怪事件を巡る本格推理――人形の村・沙華姿。そこで27年前、婚礼の夜に新妻が殺された。雪に囲まれた死体の側には、凶器も足跡もなかった。数ヵ月以内に新郎も殺され、双子の弟も焼死として処理された。同じ頃、この村で行方不明になった父を探して訪れた、作家・依井直之。昔の事件の謎を探るうちに、彼にも魔の手が迫る! 新本格推理。人形村の秘密とは何か? 謎の探偵・一尺屋遙が怪事件に挑む!
  • からっぽ男の休暇
    4.0
    忘却の旅に出て知る忘却する快楽!! 休暇中のからっぽ男のように南の島で読んでください。あるいは暑い日に!! 南の島の木陰で紡ぎだす曖昧な童話――陽光に照らされた風が動きはじめて、椰子の森がささやいて揺れる。終わりのない休暇を南の島ですごす僕。美しいティパワンやクリッサナたちとのひととき、忙しかったころには思い出しもしなかった童話を話したくて仕方がない。でも、ちょっと変!! そんな曖昧でこんがらがってしまった不思議な15のお話。
  • 空手道ビジネスマンクラス練馬支部
    4.3
    サラリーマンの夢とは何か? 新格闘技ノベル! ヤクザに土下座させられ、男は練馬の空手道場へ通い強い男に変身したのだが……。男なら誰しも強くなりたいと思う! ――新宿で飲んだ帰りに、ヤクザにからまれて、土下座させられたサラリーマンが、一念発起して、練馬の空手道場に通い始めた。「強くなりたい。ケンカに勝ちたい」の一心で、男の腕前は、めきめき上達した。不倫のホテル帰りに、再び同じヤクザにからまれた男は、若いOLの手前、りきんだのだが……。異色格闘技長編ロマン!
  • カリフォルニア
    -
    23歳の鮮烈な感性が描く麻薬の青春、熱風と麻薬の終わりなき<夏>を彷徨するストレンジャーの青春。群像新人長編賞受賞の意欲作ーーセントラル・バレーの中央にある、砂漠のオアシス・フレズノ。はてしない青空と灼けつく熱風の街に、重い過去をひきずって終りなき<夏>を彷徨するストレンジャーたち。雪国から来た留学生くずれの日本人青年と混血の白人娘の、愛と麻薬の日々が、カリフォルニア・エイジの終末を告げる……。23歳の鮮烈な感性がきらめく、群像新人長編小説賞受賞作。
  • 軽いめまい
    3.8
    きっと夏実はあなたにも似ている。マンション住まい、専業主婦、母……。時々「軽いめまい」を感じます。繊細で強靭な長編小説 ――郊外の住宅地にある、築7年の中古マンションで、夏実は、夫と小3と幼稚園児2人の息子と暮らしている。専業主婦の暮らしに、何といって不満もなく、不自由があるわけでもない。けれど、蛇口から流れる水を眺めているときなどに覚える、放心に似ためまい。生活という日常を瑞々しく、シニカルに描いた、傑作長編小説。
  • 枯草の根/炎に絵を
    -
    1巻1,540円 (税込)
    乱歩賞受賞作と初期の傑作長編推理――乱歩賞受賞の処女長編でありながら、中国人名探偵・陶展文の活躍を、清新かつ簡潔で乾いた文体、独得のユーモア、優しく成熟した人間認識で描き、大人(たいじん)の風格を漂わせる『枯草の根』。余命いくばくもない異母兄の依頼で始めた父親の汚名晴らしに、産業スパイやドンデン返しを織りまぜて、完全犯罪を明らかにする、爽やかな『炎に絵を』。人間と人間の織りなす綾で読者を魅了する長編傑作推理2編。
  • 彼の故郷
    5.0
    幼年の頃、青年の頃の忘れがたい光景……それは「故郷」という地獄である。「浩」と呼ぶ少年の成長の過程を、夢と現実の巧みな交錯の中に描き、硬質な抒情の世界を創る半自伝的短編連作集。「いわゆる生い立ちの時期に自然と注意が集まって行った。で、特に意識させられたことは、自分の奇妙な姿勢であった。幼年期から青年期の始めにかけての記憶と現在との間には遠い距離がある。私は、普通に眺めれば広い視界の、ごく限られた一劃に望遠鏡のピントを合わせ、陽炎のかなたを見ようとして呼吸を整えるといった具合だった。」(後記より)
  • 彼のこと
    3.0
    夫はなぜ消えたのか? これは愛だったのだろうか? 真実の愛とは? 結婚2年、行方を消した彼の貌を妻、愛人、行きずりの女子高生が語る――あれは、愛だったのだろうか……。結婚2年で、夫はなぜ姿を消したのか……。183センチの長身でハンサム、優しくて記憶力にすぐれた彼。20年来常連のスナックのおでんが好きで、仕事も家庭も順調だった彼の、真実の貌(かお)はどこにあるのか……。妻、愛人、ゆきずりの女子高生たちが語る、消えた彼の矛盾に満ちたさまざまな姿。
  • 彼の初恋
    -
    少年のころ、憎悪の対象であった父親は、いま、好々爺をきめこんでいる。勝手に人生を引退させるものか……。父親を超えていくための息子の格闘を描いた「親父の年頃」、友人の恋愛問題に絡んで奇妙な友情と人間関係をみせる表題作など、青春の苦渋と爽快さを清新な感覚で描いた作品集。他に「光る丘」「野性」「雷魚」を収録。
  • 可愛い世の中
    3.7
    芳香剤のメーカーで働く地味な会社員、豆子は、自身の結婚式を機に、金銭感覚が人生と共に変化していくことの面白さを発見する。決して「モテ」を追求することなく、社会人としての魅力をアップしていきたい。退職して、「香りのビジネス」を友人と起こそうと画策する。香水に、セクシーではなく、経済力という魅力を! 仕事と経済、カップルでいること……をみずみずしい筆で紡ぐ、新感覚小説!
  • 渇く
    4.5
    本当の幸せとは好きな人と一緒にいられること。満たされない愛の渇きを癒す感動の長編、生と死の喜びを描く傑作――妻に離婚を求められた傷心の晋也は、悠久のインドに魅せられている女、萌(もえ)とめぐり合った。愛の不安定を考えつめた萌は、しかしインドへ逃れ、残された晋也は、不治の病気を宣告される。急ぎ帰国した萌は、死に向う晋也を、癒しと祈りの聖なる大地、インドへ連れて行く……。生と死の喜びを暖かく描く、感動の長編。
  • 川っぺりムコリッタ
    4.2
    川べりに建つハイツムコリッタ。家族も生き甲斐もなく、ひとりで生きたいと思っていたはずの「僕」は、図々しくて、おせっかいで、ダメ人間で、落ちこぼれで、繊細で、あたたかくて、人間らしい、このアパートの住人たちに囲まれ、少しずつ「ささやかなシアワセ」に気づいていく――。 大ヒット映画「彼らが本気で編むときは、」「かもめ食堂」の監督が贈る、新しい「つながり」の物語。 荻上直子監督最新作・映画『川っぺりムコリッタ』、2021年全国公開予定。
  • 川波抄・春の歌
    -
    隅田川を心のふるさととした明治・大正の東京の情趣が、若い日の「私」の歳月と交錯し、失われた時間に寄せる、想いの光と影を清婉に織りなす「川波抄」、さまざまな歴史を包みこんだ女の、不気味な明るさを湛えた晩年の性を描く「春の歌」など、円地文学の多様な才華と幽玄な到達点を鮮かに示す、傑作全9編を精選。
  • 考えない世界
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 どんな世界なんだろう……。考えすぎてませんか? あなたに贈る絵本です! ーー何かと考えすぎてはいませんか? 考えるべきこともあるでしょうが、考えなくてもいいことも、またあるのです。考えすぎるあなたに代わって、考える小説家・原田宗典が、考えに考え、考え抜いた末にたどり着いた、考えない世界とはいかなるものか? イメージ豊かなかとうゆめこの絵とのコラボレーション。
  • 考える技術
    4.2
    経済激変のこれからは思考力格差の時代だ! 世界経済は急激に変化している。これまでの原則がまったく通じない新しい経済状況の中で、ビジネスマンに求められるもの――それが「考える技術」だ。論理思考を身につける具体的方法、アイデアの生み出し方、先見性を磨く術……。「思考力格差」の時代を生き抜くための、大前研一流・知的パワーアップ法を開陳。
  • 考える熟語集 未来が見えてくる160のキーワード
    -
    面白く読んで役に立つ最新キ-ワ-ド集――1960年代からの、日本とアメリカの学生用語、風俗語、時事用語そのほか。はやりの言葉や社会現象への、正確で心あたたかいコメントを通して、現代人の志向する夢と欲望の内実を、生きいきと語ってくれる。歴史の本質をより深く知りたい人たちにおくる、ユニークで役に立つ、160の現代キーワード集。
  • 考えろ丹太!
    -
    6月のある夜、堤防から河に転落する自動車を目撃したのは、中学1年生の丹太とミチだった。現場から立ち去るバクに似た男、河口で発見された死体……。事故死と判断する警察の考え方に疑問をいだいた、丹太たち少年探偵団をとりまいて起こる怪事件。ミステリー風な物語に、人間社会の歪みと真実を見ぬく知恵をおりこんだ、現代児童文学の誕生期をかざる名作。
  • 感染宣告 エイズウィルスに人生を変えられた人々の物語
    3.8
    感染を告げられたとき、妻は? 家族は? 恋人は? HIVという幻に翻弄される人々の絶望と希望。衝撃のノンフィクション! ――エイズが「死の病」ではなくなった現在も、日本人HIV感染者の大半は、人生を大きく狂わされ絶望のなかを生きている。恋愛、結婚、出産、家族関係……、決して語られることのない生と性の現実とは? 世界の奈落を追った気鋭の作家が、100名以上の感染者と家族に取材を敢行し世に問う、衝撃と感動のノンフィクション。 「エイズは男女にとって一番大切なところに忍び込み、彼らを極限の状態にまで追いつめます。弱さや醜さや高慢さといった負の内面をむき出しにし、人間性を試してくるのです。(中略)こんな底意地の悪い病気はありません。試された人間がボロボロになっていくのを眺めているのですから」(エイズ患者の妻)<本文より>
  • 完全犯罪の恋
    値引きあり
    4.0
    「すごい小説を読んでしまった。 私はこの先も、何度も自分の血を辿るように この作品を読み返すと思う」              ――紗倉まな 「人は恋すると、罪を犯す。 運命でも必然でもなく、独りよがりの果てに。 その罪を明かさないのが、何よりの罰」              ーー中江有里 「私の顔、見覚えありませんか」 突然現れたのは、初めて恋仲になった女性の娘だった。 芥川賞を受賞し上京したものの、変わらず華やかさのない生活を送る四十男である「田中」。 編集者と待ち合わせていた新宿で、女子大生とおぼしき若い女性から声を掛けられる。 「教えてください。どうして母と別れたんですか」 下関の高校で、自分ほど読書をする人間はいないと思っていた。 その自意識をあっさり打ち破った才女・真木山緑に、田中は恋をした。 ドストエフスキー、川端康成、三島由紀夫……。 本の話を重ねながら進んでいく関係に夢中になった田中だったが……。 芥川賞受賞後ますます飛躍する田中慎弥が、過去と現在、下関と東京を往還しながら描く、初の恋愛小説。
  • 完全版 日本婦道記(上)
    4.0
    戦中、戦後に渡り書き継がれた名作「日本婦道記」。直木賞辞退作としても知られる金字塔、その31篇を網羅した完全版、初の文庫化。武家の体面を保つために自らはつましい生活を送くる女。その死によって初めて明らかになるその生活を描いた『松の花』や『髪かざり』『風鈴』などの連作短編集。山本周五郎の作品の根幹を成すテーマである、「慎ましく生き、苦しみ、働く」という姿勢を貫く、傑作小説集。
  • 完全版 日本婦道記 上下合本版
    -
    一九四二年、太平洋戦争の中に始められた連載「日本婦道記」。戦中・戦後の混乱期を通し、著者が描き続けた日本人の姿、生き方とは。直木賞辞退作としても知られる金字塔、名作31篇を網羅した完全版、初の文庫化。 武家の体面を保つために自らはつましい生活を送くる女。その死によって初めて明らかになるその生活を描いた名作『松の花』や『髪かざり』『風鈴』『不断草』などの連作短編集。山本周五郎の作品の根幹を成すテーマである、「慎ましく生き、苦しみ、働く」という姿勢を貫き、日本の美とはなにか、を問い続ける不朽の小説集。
  • カント・アンジェリコ
    3.5
    《去勢歌手》(カストラート)が奏でる天使の歌(カント・アンジェリコ)! 人を狂わせるカストラートの真実。甘く危険な謎をパリ・ルーヴル宮に追え!サイバー・バロックの刺激に満ちたサスペンス。(講談社文庫)
  • 監督の問題
    3.8
    “ONETEAM”は夢のまた夢・・・ 弱い組織にゃ理由がある。 最下位低迷中の新興球団「新潟アイビス」の監督に就任した、元スラッガー宇恵康彦。だが、口も悪けりゃ態度もデカい宇恵の采配に、エースは反目、コーチは当惑、ファンからもヤジの嵐が降りかかる。あげく、若きオーナーの方針は「結果が出なければ即クビ」。新米監督は問題だらけの組織を立て直せるか? 迷走のち胸熱!? 痛快組織(チーム)小説!
  • 感応連鎖
    3.7
    母親が自分に寄せる夢を体に溜め込み肥満化した節子。他人の秘め事を言い当てられるがゆえに高慢で孤独な絵理香。周囲の期待に応え続ける美貌の由季子。膨らんだ自意識は、彼女たちを苦しませるだけではない。生きあぐねる女子の生態と心理を辛辣かつユーモラスに描き、痛快極まりないラストへと誘う傑作長編。(講談社文庫)
  • 完パケ!
    4.0
    たった一つのことにすべてを賭けた、あの輝かしい日々。 経営難で閉校が噂される武蔵映像大学で、卒業制作のドラマ映画を撮れるのは、たった一人。感覚の安原と理性の北川。お互いの才能を認め合いながらも性格がまったく合わない二人は、同じ題材を使ってコンペで勝負をすることに。撮影は、前途多難の幕開けとなったが――。
  • 管理職の叛旗
    -
    会社は誰のものか! ついに決起す。ワンマン経営者に叛旗を翻した管理職たちの勇気あるたたかいの行方は……。綿密な社内改革の作戦が練られる! ――会社は誰のものか! 30年近くトップの座に君臨してきた会長の妄執と横暴に、ついに怒りが爆発。叛旗を翻した管理職たちは、社内改革に綿密な作戦計画をたてる。一方、ワンマン経営者は人事権を乱用して、切りくずしにかかる。不気味な沈黙の日が続くが、覚悟の対決は目前に迫る。<『人事権執行』改題作品>
  • 管理職の本分
    3.3
    竹山総理銘柄として強引な営業で業績を伸ばした名門・東都生命は、不良債権問題の風評などで経営が悪化。合併間近の東亜銀行の融資も得られず、更生特例法で外資系生保が受け皿に。管財人室長に抜擢されたエースの友部陽平は、全社員の処遇に心を砕き、関連会社などの売却をめぐって管財人団と対決する。
  • カーテンコール
    3.0
    男は書き、女は演じる。舞台をめぐる愛の行方。かつて有望なプロデューサーを葬り去った「森下家の沈黙」の再演にあたって、家出娘のマナコ役に抜擢された赤坂絢子。最後の第3場にしか登場しない難しい役に、気持ちは作者の寺脇滋有へと向かう。舞台初日は好意的に迎えられたものの演技に悩む絢子は、深夜、滋有の家に電話をかけて……。読売文学賞受賞作。
  • カーラリー殺人事件
    -
    宗谷岬から出発し、佐多岬まで走りつくす、画期的な日本縦断カーラリー。この催しの背後には、さまざまな野望と悪とが、隠されていた。視力に障害を持ちながら、天性の勘と頭脳をもつ田浦二郎は、純粋な競技心で、運転補助者としてラリーに加わる。しかし、故意ともみえる落石事故が襲って……。卓抜な設定による、名手の推理長篇。
  • アマルフィ 外交官シリーズ
    3.8
    1~3巻817~1,012円 (税込)
    アマルフィとヴァチカンがつながる時、世界が震え上がる。 周到に計画された少女誘拐には、とてつもない目的があった。 人気の「外交官シリーズ」第1作。 日伊共同開発事業の調印式でローマ入りする外務大臣を警護せよ。特命を受けた外交官・黒田康作が在イタリア日本大使館に着任早々、大使館に火炎瓶が投げ込まれた。そんな折、母親と観光に訪れた日本人の少女が誘拐され、黒田は母親とともにアマルフィへ向かう。周到に計画を遂行する犯人の真の狙いとは? 人も国も守る頼もしき外交官の活躍を描く「外交官シリーズ」第1作。
  • 外食王の飢え
    3.8
    私大卒業まぎわ、倉原礼一は卒論を破り捨てた。自分は一流の人間でなければならぬ。私大卒の資格はいらない。野望は福岡に端を発した。レストラン「レオーネ」のチェーン化に奔走する倉原。一方、首都圏には沢兄弟の「サンセット」が進出。倉原は首都圏決戦を挑んだ。外食産業の覇者をめざした男の野望と情熱をえがいた傑作長篇小説。
  • 嶽神伝 風花 (上)
    4.0
    1~2巻858円 (税込)
    元亀三年、武田信玄は上洛を目指し動き出す。家康所領の城が次々に落ち、要衝の二俣城もついに陥落する。三方ヶ原の戦いで完膚なきまでに打ちのめされ、敗走する家康の窮地を救うべく、山の者が快刀乱麻、躍動する。時に家康に味方し、滅亡に向かう武田に影のように寄り添い、義のために戦う男たちの姿に胸が熱くなる。
  • 崖

    4.0
    刑事が追う、女が逃げる……。過去のある男と女が出会ったのは、殺人事件の疑惑の中だった。女は本当に財産目当てに夫を焼き殺したのか? はぐれ刑事の追う美女には、隠された過去が。だが遺産狙いの殺人容疑がかけられても、女はしたたかで隙を見せない。違法捜査へ踏み込んだ刑事は窮地に立たされ、執念も実を結ばず終わるのか? だが、ひとり背景を追い続ける刑事が突き止めた意外な真相とは? 欲望の闇の底から浮かびあがる哀しい人間の営みと生きる哀しみが胸に迫る、二転三転の社会派ミステリー。
  • 瓦斯灯
    3.5
    歳月が露わにする秘め事の真相は? 愛憎反転する男と女の心の襞をミステリアスに描く、鬼才の愛の推理ーー歳月は、人を恋う心の炎(ほむら)を消してしまうのか、あるいは、さらに激しく燃えたたせるものなのか。17年前、相思相愛だった男と女が、いま再会して露わになる数奇な離別の真相とは……という表題作など、愛が憎しみに、悦びが哀しみに、一瞬にして反転しうる心の襞をミステリアスに描く、会心の恋愛推理小説5編。男と女の哀しく数奇な物語。
  • 学校ファシズムを蹴っとばせ
    -
    1巻660円 (税込)
    はみだしを許すまいとする体制が、学校でだんだん強くなっている。オトナの「常識」にコドモを巻きこむ機能だけの教育に、どうつき合っていくか? ――学校に束ねられた若者を、現代の呪縛から解く、「屈折のすすめ」+「うしろめたさのモラル」+「フマジメ流受験技術」……の15章。学校のためには、学校からはみだしかけた人間の存在が必要なものだ。それを「非行」といって切り捨てようとすると、学校は「ファシズム」になる。管理の下、自分を騙さないで生きる法。たかが学校くらいで、ガタガタするな!
  • 画文集 花の肖像
    -
    四季おりおりに日本列島を彩る花の貌。比較的私達の眼になじみ易い花58種を選び、ボタニカル アート(植物画)の第一人者・太田洋愛の絵と、登山家で詩人・エッセイスト・哲学者と多方面に活躍の串田孫一が、その花の想い出を透徹した眼差とふくよかな抒情で綴る画文集。
  • ガラスの肖像
    値引きあり
    3.0
    偶然盗み見た夫の日記。見知らぬ女への愛の讃辞が書きつらねてある。そして次に記された一行は妻の心を凍らせた。「それにひきかえ妻はなんと醜いのだろう……。」妻は黄昏どき、鏡の前で唇に紅をぬる。そして夫が帰宅する時――。口紅、香水、靴等女性用品を鍵(キイ)に、愛の陰の恐怖を描出した、円熟の連作集。
  • 瓦礫の死角
    3.8
    父親の性犯罪によって瓦解した家族。その出所が迫り復讐を恐れる母。消息不明の姉。17歳・無職の貫多は……。傑作「私小説」4篇。 性犯罪による父親の逮捕を機に瓦解した家族。出所後の復讐に怯える母親。家出し、消息不明の姉。罪なき罰を背負わされた北町貫多は17歳、無職。犯罪加害者家族が一度解体し、瓦礫の中から再出発を始めていたとき、入所から7年の歳月を経てその罪の張本人である父親が刑期を終えようとしていた。──表題作と“不”連作の私小説「病院裏に埋める」、〈芝公園六角堂跡シリーズ〉の一篇「四冊目の『根津権現裏』」、“変化球的私小説”である「崩折れるにはままだ早い」の全四篇を収録。
  • 瓦礫の中のレストラン
    4.3
    戦争が終わり、すべてが瓦礫と化した街。復員した丑松(うしまつ)の脳裏に浮かんだのは「食堂の社長になりたい」という戦死した幼なじみが語った夢だった。大阪の闇市に向かった丑松は、戦争孤児や戦友とともに無一文から商売を始める。「皆が腹一杯になる世の中に」。復興を支えた「戦う男(ビジネスマン)」の物語。『ごっつい奴――浪花の夢の繁盛記』を改題。
  • ガンを告げる瞬間
    -
    ガン克服の勇気ある姿。富士登頂に挑んだ10人のガン闘病者の記録! ――富士登頂に挑んだ10人のガン闘病者の記録。みずからガンと知りながら、不安や恐怖に圧倒されることなく、意志的に、科学的に、人生を生き抜くことは、可能だろうか。認知の後の<闘病の医学>に挑む人々の勇気ある姿が、ここにある。ガン克服への意思をこめた頂上までの足どりを、克明に追う感動のルポルタージュ。
  • ガール
    4.0
    わたし、まだオッケーかな。ガールでいることを、そろそろやめたほうがいいのかな。滝川由紀子、32歳。仕事も順調、おしゃれも楽しい。でも、ふとした時に、ブルーになっちゃう(表題作)。ほか、働く女子の気持ちをありえないほど描き込み、話題騒然となった短編集。あなたと彼女のことが、よくわかります。
  • 記憶のなかに
    -
    靖国神社に近い坂道のそばにあった母の美容院。皿の底を頭に叩きつけられて泣く病弱の姉。出征の演説を小さな声で三言しか喋らなかった兄。――戦中から戦後へと、成長する童女の犀利な感性がとらえた、生活の微妙な陰影と心の動きを、詩的な散文に凝結させた表題作のほか、3篇を収録。芥川賞作家の第一創作集。
  • 記憶の盆をどり
    4.0
    頭のなかに雨が降る。 小説という名の異世界。 町田康の九つの世界に溺れる一冊。 犯人当てミステリー 背筋も凍るホラーサスペンス 異世界ファンタジー お伽話の現代語訳 果ては美少年BLまで―― 名手が演じる小説一人九役! 【内容紹介】 狭い部屋で暮らす男のもとへやって来た、白い謎の生き物。 機嫌がよいときはころころ転がって過ごしているが、 機嫌が悪くなると、糞尿を垂れ流し、嘔吐し、ひどい声で喚き立てる。 だが、ある日を境に、生き物はどんどん可愛くなり、 男の人生もみるみる好転し――(「エゲバムヤジ」)。 短篇の快楽に満ちた作品集。 【収録作品】 エゲバムヤジ 山羊経 文久二年閏八月の怪異 百万円もらった男 付喪神 ずぶ濡れの邦彦 記憶の盆おどり 狭虫と芳信 少年の改良
  • 記憶力のすすめ
    -
    記憶力とは、人間がいま自分で自分の存在を確認しようとする「ロマン」である。知らないより知っているほうが、覚えてないより覚えているほうが、人生ははるかに楽しい。記憶力は生き方をちょっと工夫するだけで、誰でも強化・改善できる。驚異の鈴木式記憶力のノウハウを初めて明かす、記憶力面白ゼミナール。
  • 鬼花人 ブルー・マン5
    -
    美しい殺人鬼・飛鳥、最大の危機! 封じ込められた「去れずの森」。千古の闇に君臨する恐るべき「主(あるじ)」とは!? ――太古の荒ぶる神を食らい、体内に取り込んだ美しい殺人鬼・八千草飛鳥は、奈良に戻った。広大な土地を狙うヤクザから母子を守るため、庖丁が唸り、ルガーの銃口が火を吹く。だが、陰陽道の精霊を自在に操る謎の神主に、二度と出られぬ千古の闇=「去れずの森」に封じ込められた。そこには恐るべき「主」が君臨していた! 伝奇バイオレンス巨編。
  • 飢餓旅行
    3.0
    昭和21年が明けて間もなく、恩田幸吉(おんだこうきち)の一家は、勤務先の淡路島から彼の故郷である九州宮崎へ旅行した。戦死した長男の遺骨を故郷の寺へ納めたいというのが幸吉の強い希望であった。妻、次男、三男、末娘と、総勢5人の家族旅行は、この時代においては無謀とも思えたが、幸吉はなぜかこだわった。戦後日本の家族の絆。涙と笑い、愛と感動の抒情紀行。
  • 帰郷ツアー
    5.0
    男たちには、生まれ育った故郷に帰れない理由があった。それぞれの思いをこめて、いま橋を渡っていく。ひとりひとりの笑顔の奥にある、数々のドラマが優しく紡がれていく……。という表題作ほか、心の琴線に触れる慈愛に満ちた珠玉の短編8話を収録。思わず心が震えてしまい、読む人の気持ちまで優しく豊かにしてくれる小説集。
  • 危機を活かす
    3.5
    政治・経済・日本式経営・家計の危機に対処! ――日本は、いまや政治、経済、日本式経営、家計の4つの危機に陥っている。新時代の新しい創業に向かって、どのように対処したらよいのか……。まず第1に、国民の一人ひとりが、気質を変えなければならない。未来の不安よりも現在の豊かさを、変化を恐れるよりも可能性を喜ぶ気質こそ、危機を活かす条件である。
  • 企業家サラリーマン
    -
    サラリーマンは企業家たりうるか。組織に安住し、命令に従い、「忍」の一字が要求されるサラリーマンと、その組織をも革新する創造的エネルギーが必須の企業家と。商社冬の時代の中で、苦悩しつつ川下作戦の海外飲食店グループを指揮するひとりの男と、新しい時代の経営者を目指すひとりの女の生き方を、現職商社役員が鋭く描き出す長編ドラマ。
  • 企業戦士
    3.3
    仕事の代わりはいくらでもいるが、家族の代わりは誰にもできない。地元の大手ゼネコンで働く僕は、ある日突然死んでしまった。過労死を訴える家族に、会社は冷たい態度を崩さない。妻は僕の仕事の痕跡を確認したいだけなのに。死んだ僕はその戦いを、ただ見守ることしかできないのか。働く全ての人の必読書。
  • 起業の星
    4.0
    大手不動産会社で専務に命じられ五十人の首を切ったあげく、自らも解雇された田中辰夫。四十九歳の失業者に再就職の道は厳しい。息子の雅人は就職したシステム会社にさっさと見切りをつけ、同級生の相棒とネットで起業をめざしていた。遊んでいるようにしか見えなかった息子も、世間の荒波と格闘していたのか。それを知った父も、大手にはできない新たな不動産サービスを見いだそうとしていた。父と子の再建物語。TBS日曜劇場「集団左遷!!」原作で話題の江波戸哲夫のリストラ再建小説!(『起業の砦』改題)
  • 企業の闇に棲む男
    -
    表社会を喰い尽す闇社会の凄さ! 大銀行のトップを巻き込んだ、闇に生きる男が仕掛けた黒い罠とは? 闇社会の凄さ! ――バブルに翻弄された日本。いま金融・建設・不動産業界を中心に、後遺症に呻吟する声が聞こえる。遺された数々の歪んだ姿の一つが、闇社会が表社会に突出したことだ。その代表が、ここに取り上げた某大商社の1件である。大銀行トップを巻き込んだ、記憶にも鮮やかな事件の全貌を描出した話題作。<『夜行虫』改題作品>
  • 菊と鷲
    3.0
    摩擦と軋轢が高じた今、日米パートナーシップの新しい在り方を提案。「NO」を連発すれば日本は国際的孤立を招く。だが「YES」オンリーでアメリカの51番目の州に甘んじられるか。この二律背反を止揚するのがジャパメリカの発想である。長い間覇権を握り続けてきた国アメリカと共に生きる知恵! 世界的普遍性を持った価値を共有せよ! 第1回読売論壇賞受賞作。
  • 気くばりのすすめ
    -
    1~2巻660円 (税込)
    人と人が心地よく相生きるための秘訣を説き、「気くばり」ブームを巻き起こした、大ベストセラー作品! ――気くばりとは、思いやりであり、やさしさである。けっして大げさなことではなく、むしろ小さな、何気ない心のあり方である。ちょっとした気くばりが、険悪だった人間関係をガラッと良い方向へ変えてることがある。現代人に不足しがちな気くばりの効用とその技術を説き、全国に感動の嵐を巻き起こした名作。
  • 菊日和
    5.0
    死をめぐる6つの静謐(せいひつ)な物語。静かな悲しみを描く――弟の月命日に墓参りをした恵は、墓前に皮を剥かれた蜜柑があるのを見た。柑橘類が好きだった弟への妻・美也の思いやりと思っていたが、そうではないと知り、ひそかなわだかまりを感じる。という「菊日和」ほか、必ずしも幸福ではなかった死、誰の胸にもある奥深く秘められた物語を、静かな筆致で描きあげる傑作6編を収録。
  • 危険銀行
    -
    バブルの崩壊は、銀行を弱体化させた。そこに与党の有力議員、政経のフィクサーたちが、目をつけた。頭取の地位まで登りつめたエリート銀行マンを襲った、奇妙な小切手詐取事件。そこに仕組まれた巧妙な罠……。頭取を取りまき暗躍する、怪しげな人々を描き、存亡の危機に立つ銀行を描ききる話題作。<『罠の行方』改題作品>
  • 危険信号
    4.0
    短篇の名手が贈るバラエティ豊かな秀作集。人生の危険信号を軽妙に描く12篇。黒い笑いに満ちた夢の宝石箱――美津子は、幼いころからよく腹痛をおこした。それも肝心なときに。楽しい山登りの前夜、友達の家に遊びに行くとき、就職試験の折……。そして会社の同僚の並木から、遠出のドライブに誘われたときも、腹痛がおき、淡い恋は去ってしまった。結局、並木は、美津子の友人・芳枝と結ばれたのだが、これには裏があった! 人生の危険信号を軽妙に描く秀作集。
  • 危険な依頼人 告発弁護士・猪狩文助
    -
    美しき相棒(パートナー)を襲った卑劣な罠に猪狩、怒る!――京都・五条大橋で女性を轢き殺した久世山朝子は、「幽霊(ゴースト)が牙を剥き、私を襲ってきたのでアクセルを踏んだ。殺意はなかった」と、弁護人の猪狩文助(いかり・ぶんすけ)を困惑させるような弁解をした。だが20年前、朝子の一族に起きた失踪事件が未解決のままだと知った猪狩は、審理の行方を逆転させる荒業に出た!
  • 喜劇役者たち
    4.0
    トリオ同士の笑いの喰い合いに血を流す男たち。天才コンビに隠された哀しくも皮肉な秘密。芸以外に芸人の大切なものを盗んで掟を破った男の末路。浅草ストリップ界を舞台に、笑わすことに命を賭けたが故に自らの人生に泣く喜劇役者たちを、抱腹絶倒のうちにペーソス溢れるタッチで描いた名品六編――。
  • 起死回生
    値引きあり
    5.0
    銀行から最悪な経営状態のアパレル企業に転籍した若木豊。だがそこには今まで持ち得なかった「物作り」の喜びが溢れていた。会社に愛着を持ち始めた若木は資金集めに奔走する。しかし古巣・東亜菱光銀行の態度は冷たい。そんなとき偶然会ったかつての同期、臼井。彼は銀行幹部の重大な秘密を抱えていた。(講談社文庫)
  • 喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima
    4.0
    文字を読むことが不得意で、勉強が大嫌いだった僕。大学4年のとき卒論のために配属された喜嶋研究室での出会いが、僕のその後の人生を大きく変えていく。寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。学問の深遠さと研究の純粋さを描いて、読む者に深く静かな感動を呼ぶ自伝的小説。
  • 鬼手 世田谷駐在刑事・小林健
    3.5
    日本有数の高級住宅地にある学園前駐在所を守るのは、山手西警察署の小林健(たけし)だ。彼が全国に名を馳せる暴力団捜査のエキスパート“鬼コバ”であることは、まだあまり知られていない――持ち前の機動力と情報力で、芸能人やIT長者と暴力団の繋がりを摘発した小林が遂に挑んだのは、未解決の「一家殺人事件」だった。
  • 傷痕
    3.0
    裁判員制度勉強会で知り合った桜井香子に一目惚れして以来、一色知也の人生は、次第に暗がりへと呑み込まれていく。実は知也は養子で、実父は二十年前の一家惨殺事件で死刑になっていた。刑期を終えて目の前に現れたその共犯者小田島の影に怯えつつ、知也は香子がひた隠す、二人の呪われた宿命を辿ってゆく。
  • 傷口にはウオッカ
    3.6
    40歳の永遠子は、もう晩年期じゃないかと思いつつ、生への執着はなまじっかじゃない。恋人の寿一郎を手放せばあとがないけれど、恋愛が終わるとわかっていればそれでいい。しかし恋愛は思いがけずしてしまうもの――。自らの体で感じる痛みを確かめながら生きる永遠子の愛のかたち。ドゥマゴ文学賞受賞作。(講談社文庫)
  • 傷だらけの放浪
    4.0
    大富豪の殺害を巡り、逃げる美貌の養女と追う若き刑事。笹沢ロマン・ミステリーの会心作! ――殺人容疑の汚名を晴らす、人間の執念と愛の葛藤。……大学の理事長で億万長者の江口正次郎が殺され、捜査の手は一族にのびる。だが、それぞれに不審な点のある、近親者たちのアリバイ捜査の結果は、二転三転する。一方、担当刑事の一人である若き矢代は、被害者の養女で美貌の千秋を、ぴったりとマークしていた……。
  • 傷つけ合う家族 ドメスティック・バイオレンスを乗り越えて
    3.0
    止むことのない家庭内暴力・虐待に、どう立ち向かうのか? ――11歳で義父から受けた性的虐待。崩壊寸前の家庭から逃げるように結婚した相手からの激しい暴力。長年にわたるドメスティック・バイオレンスを、著者はどう乗り越え、自らの尊厳にめざめたのか? DV防止法施行後も止むことのない家庭内暴力。「弱者いじめ」に立ち向かう心と術(すべ)を説く、感動のノンフィクション。
  • 絆

    3.7
    1巻1,037円 (税込)
    「康平、銀行には勝てんよ。金を返すまではね」。丹波から身一つで出てきた森沢康平は愛知で染色業を営む矢井田と出会い、かつて「ガチャ万」と言われた繊維業界で働くことになる。昭和から平成、日本経済が大きく動いたとき、同郷の幼なじみ、大手銀行に勤める治夫と再会し――。走り続けた男たちの物語。
  • 北国の女の物語(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    大正3年、青森県尻屋崎で遭難した船から、ただ一人生き残った赤子があった。その子は沖子と名付けられ、観音堂守りのもとで育てられたが、長じて材木問屋の女中として働くことになる。沖子の美貌と陰日向ない働き振りは誰からも好かれ、17歳の年に番頭の伊助と結婚するが、運命の悪戯は沖子に無情だった……。暗い宿命に耐えて生き抜く女の哀しさと美しさを謳いあげる哀切ロマン。〈上下全2巻〉
  • 北国の春
    -
    青春の頃、恋人を奪われた男が、25年振りにその友人に再会して知った新事実と、長い間、旧友に燃やし続けた敵愾心の真因を悟る「北国の春」、男手一つで育てた一人娘を嫁がせた父親が、旅先で、おきゃんなホステスにその孤独を癒される「凍れる樹」など、人間の深層にひそむ心の動きを鮮やかに描いた、傑作9編。

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